この春、開館10周年を迎えるパナソニック 汐留ミュージアム。
その開館10周年プレ企画として開催されているのが・・・
“二川幸夫・建築写真の原点 日本の民家一九五五年” という展覧会。
大変失礼ながら、一般的には、
「・・・ど、どちら様?」
と、戸惑いは隠せない二川幸夫さん (1932~) ですが。
建築の世界では、日本を代表する建築写真家として超有名な人物。
建築デザイン専門誌として、 『新建築』 と人気を二分する 『GA JAPAN』 。
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その発行人としてもお馴染みのお方です。
ちなみに、大きな書店やオシャレな本屋さんの建築コーナーで必ず見かけるような・・・
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これらの本も、実は、二川幸夫さんの著書なのです。
そんな二川幸夫さんの出世作にして、代表作が、
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全10巻からなる写真集 『日本の民家』 。
こちらの写真集に収められているのは、
《愛媛県南宇和の外泊の瓦屋根》 に、
1950年代 ©Photo:Yukio Futagawa
《能登、時国宏邸の大黒柱》 など、
1950年代 ©Photo:Yukio Futagawa
20代の頃の若き二川氏が撮影した日本各地の民家の写真。
名のある建築家が設計したわけでもない、何の変哲もない民家の写真です。
しかし、そのシンプルなモノクロ写真には、
確かに、民家の力強さや美しさ、長い年月をかけて蓄積された人々の知恵などが映し出されています。
この写真集は、当時の建築界に大きな衝撃を与え、
第一線で活躍する建築家たちからも高く評価されたこともあり、
1959年には、毎日出版文化賞を受賞したのだそうです。
そんな 『日本の民家』 に収められた写真の中から、
厳選に厳選を重ねた70点が展示されているのが、今回の展覧会。
ちなみに、これまで、二川さん自身は、
「自分は写真家ではないから。」 と展覧会を拒んできたのだそうで、
今回のパナソニック 汐留ミュージアムでの展覧会は、国内美術館では初の二川幸夫展なのだとか。
・・・さてさて、二川幸夫さんのスゴさも、わかりましたし。
『日本の民家』 が、とても素晴らしい写真集であることも、わかりました。
くわえて、この展覧会が、とても貴重な機会であることもわかりました。
とは言え、率直な意見を言わせて頂きますと、
「まぁ、ただ、こういう写真を並べて展示してあるだけだろうからなァ・・・。
じゃあ、写真集、見ればよくない??」
としか思えず、積極的に足を運ぶ気にはなりませんでした。
ところが。
何気なく展覧会のHPを見ていたら、ごくごく小さい文字で (笑) 、
『会場構成:藤本壮介』
という一文を発見してしまいました
藤本壮介さんと言えば。
一軒家を積み重ねたようなアパートメントを作ってしまったり、
本棚を組み合わせて図書館を作ってしまったり、
いろいろトリッキーな建築を発表している若手建築家です。
そんな藤本さんが会場構成を手掛けるくらいだから、
ただ写真を並べて展示しているようなフツーの写真展には、なっていないはず!
というわけで、むしろ積極的に二川幸夫展に足を運んできました (笑)
さてさて、その気になる藤本流の写真展の会場の雰囲気は・・・
(注:この記事に使用している写真は、特別にパナソニック 汐留ミュージアムさんより提供頂いたものです)
こんな風になっていました
二川幸夫さんの 『日本の民家』 の写真展と聞いて、
誰が、このようなスタイリッシュな会場風景を想像できましょうか。
天井から吊り下げるスタイルで展示された写真は、浮遊しているかのよう。
まるで深い森を彷徨うように、矢印に導かれながら、
二川さんの写真を観賞するという斬新なスタイルの写真展です。
これまでの写真展では、無意識のうちに、いくつかの写真を流し見してしまうことがありましたが。
今回の展覧会では、このユニークな会場構成のため、
さすがに流し見していしまうことはなく、一点一点足を止めて、観賞することが出来ました。
力強くてシンプルな二川さんの建築写真に感心して、
それらの建築写真の魅力を最大限に引き出す会場構成に、また感心して。
“建築” の持つ力を、強く実感した展覧会でした。
ちなみに、今回の展覧会では、開館10周年プレ企画だからでしょうか。
特製のオリジナル・ブックマークが、もれなくもらえっちゃいます♪
実際に使ってみると、このようになります↓
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二川幸夫・建築写真の原点 日本の民家一九五五年
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