“虹の彼方 こことどこかをつなぐ、アーティストたちとの遊飛行” を観賞してきました。
場所は、府中市美術館です。
こちらは、いわゆる美術家に限定せず、
デザイナーを含め、様々なジャンルのアーティストたち10組によるグループ展です。
なので、この美術展の入り口に飾ってあるポスターも・・・
(注:こちらの記事で使用している写真は、特別に会場の撮影許可を頂いたものです)
ただの美術展ポスターではなく、
実は、丸山晶崇さんというデザイナーによる一つのアート作品。
台形になっているのが、ポイントです。
ふと、そのポスターの左下に目をやると、何やら気になるものが。
こちらの紙には、作者の解説が記載されており、
それらを、10組のアーティストすべての分を集めたなら・・・
このようなミニガイドブックが完成するという仕組みに!
こういう楽しく小憎い演出は、さすが府中市美術館という感じです。
ところで、具体的に、この美術展が、どんな内容なのかと言いますと、
美術館のHPには、以下のようにありました↓
「芸術至上主義に対抗して、「芸術」と「日常」の接点を探る動きが、20世紀美術史には常に存在しました。1960年代のニューヨークを中心とするフルクサスの活動。そして、世界が再編され拡散とフラット化が進行した1990年代。ここに制作の原点を持つ美術家たちにも、同じ意図を見いだすことができます。
21世紀を迎えて、人々の日常と具体的に関わるデザインや写真、編集といった領域と、若い美術家たちの軌道が接近してきたのは、自然の流れであるのかもしれません。本展には、デザイナーを含めて、ジャンルを越えて自在に制作する美術家たち10組が参加します。
その作品には、日常の中での、私たちと物や事との関わりのあり様が、ていねいな、てらいのない手段で紡がれています。身近な物事やフェイストゥフェイスのコミュニケーションが離陸点となって、その先の想像世界への晴れやかな跳躍が生まれます。「ここ」のかけがえのなさ、豊かさは、この跳躍によって確かめられていくのではないでしょうか。
美術館を出た後に、今日という日がぐっと特別に、いとおしくなる。そんな展覧会です。」
・・・・・要するに (笑)
あえて、乱暴に一言に集約してしまうならば、
『「芸術と日常の接点」 をテーマにした美術展』 と言ったところでしょうか。
そんなテーマだけに、現代アート展ながらも、難しいという印象は全くありませんでした。
例えば、こちらは、mamoruさんの作品↓
彼は、日常生活そのものを音作品にしてしまうという少々変わったアーティスト。
テーブルの上には、たくさんのガラス容器が置かれていますが、
このままでは、もちろん音が発生しないので、音作品とは言えません。
さて、この近くに置かれていたのが、冷蔵庫。
普段、美術館の展示室では、目にしない代物です (笑)
この冷蔵庫に、お母さんのメモ書きのように、作品の説明が貼られています。
“何々、冷凍庫から氷を取り出して・・・”
“その氷を、天井から垂らされた釣り糸に掛けると・・・”
これで準備は完了。
あとは、氷が溶けて、その水滴がガラスの容器に落ちる音が聞こえてくるはずです。
冷静に考えれば、何の不思議もない事象なのですが (笑)
美術館で、耳をそばだてながら、その時を待つというのは、何かスゴく特別なことのように思えました。
これこそ、まさに、日常の向こう側にあるアートですね。
ちなみに、mamoruさんは、こんな音作品も。
扇風機の風に当てられたハンガーたちが、ぶつかり合って音を出す。
ただそれだけのことなのですが、イイ感じに爽やかな音色に聞こえてくるから不思議です (笑)
mamoruさんや、デザイナーの丸山晶崇さん以外では、
国立新美術館での“アーティストファイル2010” で紹介されていた斉藤ちさとさんや、
同じく国立新美術館での “DOMANI・明日展2009” で紹介されていた伊庭靖子さん、
そして、ポップでカラフルな型抜き作品でお馴染みの小木曽瑞枝さん…etcが参加されていました。
・・・と、今回の参加メンバーを見ていて、気になったことが。
「アラフォーorアラフィフ女子が多くない??」
そのことが、気になって気になって仕方が無かったので、担当学芸員さんに直撃したところ、
「 “日常” をテーマにしたアーティストを選んだら、自然とそうなってしまいました」
とのこと。
なるほど。確かに、考えてみると、男性作家の方が、
“美” を追求するあまり、その作品は、日常から遠く離れて行っているような。。。
女性作家の方が、日常に根付いたような作品を作る傾向が多いような気がします。
美術の世界でも、男はロマンを追いかけ、女は現実を見つめているのかもしれません。
そういった意味でも、こちらは、
アラフォーorアラフィフ女子の皆様にこそ、是非足を運んで頂きたい美術展でした。
共感を覚える作家さんに多く出会えるのではないでしょうか。
美魔女ブームは、美術界にも浸透中です (笑)
ちなみに、今回参加されていた美魔女 (美術魔女?) たちの作品の中で、
個人的に印象的だったのが、三田村光土里さんのインスタレーション作品。
展示室いっぱいに置かれた物・モノ・もの。
雑然としていて、一見すると、カオスな感じがしますが、
空間に流れるオシャレな音楽と相まって、不思議なことに、イヤな感じは全くしません。
むしろ、親しい人間の部屋に初めてお呼ばれして、
「ちょっとコーヒー入れてくるから、適当に部屋の中でくつろいでて」
と、放り出されたような心地に近いものがありました。
親密なようで、でも、他人でもあって。
その絶妙でアンニュイな空気感が、この空間に漂っていたような気がします。
また、この空間の中を、いろいろと見て回っていると、
いたるところで、三田村さんの言葉と出合います。
それらの言葉の中に、こんな一文を発見!
・・・・・不特定多数の人に紹介すべく、こんなブログを書いていて、何かすいません (笑)
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虹の彼方 こことどこかをつなぐ、アーティストたちとの遊飛行
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