~前回までのあらすじ~
日本全国にある国宝をすべて目にする。
そんな途方もない企画に、一人チャレンジする国宝ハンター・とに~。
順調に数を重ねているように思えたが、前回、まさかのカウントミスが発覚。
どうやら2件多くカウントしてしまっていたらしい。
その事実にショックを隠せない国宝ハンターは、
「認めたくないものだな。自分自身の、若さゆえの過ちというものを。」
と呟いたとか呟いていないとか。
しかし、落ち込んでいるヒマもなく、彼の国宝ハンティングの旅は続くのである。
とに~、行きまーす!
年始年末は何かと出費がかさむ季節。
日本全国に国宝ハンティングをしに行きたい気持ちはあるものの、
通帳の残高が、それを許してはくれません。トホホ。
ということで、今月は、都内での国宝ハンティングです。
まずは、江戸東京博物館で開催中の “尾張徳川家の至宝” にて、
《太刀〈銘来孫太郎作/(花押)正応五年壬辰八月十三日以下不明〉》 (ジャンル:工芸品) と、
(注:今回の記事に使用している写真は、特別に許可を得て撮影したものです)
《太刀〈銘国宗/〉》 (ジャンル:工芸品 徳川美術館所蔵) の2件をゲット。
罰当たりな発言なのは、重々承知していますが、
すでに33件もの国宝の刀を目にしているので、もうそろそろ刀はいいです (笑)
さすがに、飽きてきました (←言っちゃったw)
続いて、東京国立博物館へ。
たくさんの国宝がゲット出来そうな “書聖 王羲之” が、ちょうど開催中でしたが・・・
国宝ハンターは、ここをあえてスルー!!
出展リストとにらめっこした末に、
この展覧会は、後期に訪れた方が良いと判断しました。
そこで、後ろ髪を引かれつつも平成館の考古展示室へ。
トーハクには、何度も通っていますが、
考古展示室を訪れるのは、実は、第三話以来。
さすがに、1年以上も経過すると、
ほぼ入れ替えの無い考古展示室でも、展示品の入れ替えがあるようで・・・
国宝の金印が展示されていました!!
・・・と思ったら、模造でした (笑)
そんなぬか喜びをさせられながらも、
写真撮影不可の 《人物画象鏡》 (ジャンル:考古資料) と邂逅。
考古展示室を訪れた甲斐はありました。
その後は、リニューアルほやほやの東洋館へ。
1月29日より始まった “中国の絵画 中国書画精華(後期)” では、
前期以上に、国宝の中国絵画が出展されていました。
まずは、 《絹本著色十六羅漢像》 (ジャンル:絵画)
トーハク所蔵の 《絹本著色十六羅漢像》 は、第七話で鑑賞済みですが、
今回ハンティングした 《絹本著色十六羅漢像》 は、京都の清凉寺所蔵ver.です。
続いて、 《紙本墨画禅機図断簡〈因陀羅筆/(寒山拾得図)〉》 (ジャンル:絵画)
不自然なほどの左の余白。
トリミングを失敗した感じが否めない国宝です。
そして、ラストは、ちょっと珍しい国宝絵画をご紹介。
《絹本墨画淡彩出山釈迦図「道有」の鑑蔵印がある〈梁楷筆/〉》 (ジャンル:絵画)
《絹本墨画淡彩雪景山水図「道有」の鑑蔵印及び「雑華室印」の印がある〈梁楷筆/〉》 (ジャンル:絵画)
《絹本墨画淡彩雪景山水図「道有」の鑑蔵印及び「雑華室印」の印がある》 (ジャンル:絵画) です。
・・・タイトル長いよ。
実は、こちらは、もともとは、中国・南宋時代の画院画家・梁楷による別々の作品でした。
それらの独立した作品を、足利義満が、勝手に三幅対の作品としてプロデュース。
中には、大きさを揃えるために、裁断された作品もあるのだそうな。
こうして、日本でトリオを組まされた3点の絵画ですが、
時代を経て、足利家のもとを離れ三井家や本願寺へ、それぞれソロで活動をしていました。
その後、昭和23年に、三井家からトーハクへ寄贈された 《絹本墨画淡彩雪景山水図〈梁楷筆/〉》 は、国宝に指定。
他の2点は、重要文化財どまりというメンバー内格差が生じていましたが (笑)
平成9年に、 《絹本墨画淡彩出山釈迦図〈梁楷筆/〉》 が、
平成16年に、もう一点の 《絹本墨画淡彩雪景山水図》 が、トーハクに寄贈されたことで、メンバーが再集結。
その再結成ぶりが評価されて (?) 、
平成19年に、メンバー全員で1件の国宝という異例の指定を受けたのだそうです。
こんなにも紆余曲折を経た国宝があるものだろうか。
実に、波乱万丈な人生を歩んだ国宝です。
今現在の国宝ハンティング数 320/1085
国宝ハンターは、ランキングにも挑戦中!
(皆様のおかげで現在6位まで上がりました!快進撃!!)
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第四十九話 国宝ハンター、見送る!
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