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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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記憶写真展

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横浜美術館の “ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家”
世田谷美術館での “エドワード・スタイケン写真展” に引き続き、本日も写真展を紹介します。

「え~、また写真展??」

そんな声も、ちらほらと聞こえてきそうな気がしますが (汗)
今回紹介するのは、ちょっと・・・いや、だいぶ変わった写真展です。
会場となるのは、目黒区美術館。
その名も、 “記憶写真展-お父さんの撮った写真、面白いものが写ってますね” です。
・・・・・面白い副題が付いていますね (笑)

こちらの写真展で紹介されている全ての写真は、
《雪の日の洗足駅(1955頃)》 にしても、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-洗足駅


《目黒通りの自動車の列(1965頃)》 にしても、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-目黒通り


《目黒新橋を渡る神輿(1937頃)》 にしても、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-目黒新橋


プロの写真家ではない普通の人々によって撮られたものばかりです。
普通の人々が、日々の生活の中で撮り溜めた何気ない写真たちが、
その後、目黒区めぐろ歴史資料館に寄贈され、歴史資料として大切に保管されているのだそうです。

会場では、そんな、いわば素人写真の数々 (約200点) が、
新たに大小様々なサイズにプリントアウトされ、ランドマークや道などテーマごとに紹介されていました。
単に写真展というよりも、目黒区美術館によるインスタレーション展といった印象です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-会場

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-会場  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-会場
(注:美術館内の撮影は、特別に許可を得ています)


正直なところ、誰が撮ったかわからない・・・
しかも、自分が生まれていない時代の写真を見て、楽しめるのだろうかと、不安だったのですが。
気づいたら、真剣に1点1点の写真を見つめている自分がいました。

写真を撮った人がいる。
そこに写された時代の姿がある。
そして、時代を経て、その写真を現代の僕が見て、何かを感じる。

そんなシンプルで純粋なことが、実は、写真が持つ一番の力なのかもしれません。


また、特に、今回紹介されている写真は、
撮ったのも普通の人々なら、撮られた人物も普通の人々。
昭和を生き生きと生きる普通の人々の姿を見ていたら・・・





この曲が頭でループ再生されました (笑)
写真展を観たというよりは、リアルな 『ALWAYS 三丁目の夕日』 を観た印象です。

「写真展って、イマイチ見方がわからない・・・」

という言葉を、よく耳にしますが。
写真展ではなく、友人や知人に写真を見せられた時に、

「イマイチ見方がわからない・・・」

と言う人はいないでしょう。
この写真展を通じて、写真展や芸術として紹介される写真作品に、
自分がいかに身構えすぎていたかということに気づかされた気がします。
星
親戚のおじさんやおばさんに、昔のアルバムを見せて頂いているような、
そんな気楽で肩の力を抜いて楽しめる写真展です。
ツッコミを入れつつ、楽しみましょう (笑)


ただ、プロの写真でないとは言え、
中には、プロを超えるような奇跡的な仕上がりの写真も。
特に、僕が好きだったのが、こちらの 《中目黒にあったガスタンク(1962)》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-中目黒


超巨大なガスタンクと、それを見つめる小さな子供の後姿の対比が、何とも言えず絶妙です。
全体的に、『ALWAYS 三丁目の夕日』 な作風の中で、
この一枚だけが、『20世紀少年』 でした(笑)




他にも、なんちゃってアンリ・カルティエ=ブレッソンな写真や、
なんちゃって土門拳な写真もあって、他の写真展には無い味わいがありました。



ちなみに、もう一つの展示室では、 “特集展示「秋岡芳夫全集1 秋岡芳夫とKAKの写真」” が開催中。
目黒に長く住んだデザイナー・秋岡芳夫と、
そのデザイン事務所 「KAK」 によって撮影された写真が紹介されています。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-kak


やっぱり素人の写真と、デザイナーの写真では、仕上がりに明らかな差がありました。
“記憶写真展” で普通の人々の写真を観ることで、
プロの写真家の作品が、より際立って見えるという副作用もあるようです (笑)




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