まずは、こちらの作品をご覧くださいませ。
この版画作品は、その独特な女性像からも、なんとなく予想が付くように。
有元利夫の手による版画作品です。
(「有元利夫って、誰?」 って人は、こちらをクリック)
作品のモチーフとなっているのは・・・
ヰタ・セクスアリス (新潮文庫)/森 鴎外
¥389
Amazon.co.jp
森鴎外の 『ヰタ・セクスアリス』 の中の以下の一節です↓
「・・・そして二尺ばかりの鉄の烟管を持っている。これは例の短刀を持たなくても好くなった頃、丁度烟草を呑み始めたので、護身用だと云って、拵えさせたのである。それで燧袋のような烟草入から雲井を撮み出して呑んでいる。酒も飲まない。口も利かない。
併しその頃の講武所芸者は、随分変な書生を相手にし附けていたのだから、格別驚きもしない。」
有元利夫×森鴎外。
この美術と文学の奇跡のようなコラボ作品は、
実は、日本たばこ産業株式会社の企業広告として制作された 「版画・たばこのある風景」 のうちの1点。
ちなみに、 「版画・たばこのある風景」 とは、
有元利夫をはじめ、池田満寿夫、工藤甲人、南桂子、金子國義…といったそうそうたる芸術家が、
近現代の日本文学作品中に登場するたばこのシーンを題材に、たばこのある風景を独自に表現したシリーズで。
昭和54年から平成3年にかけて、全部で72点の作品が制作され、多くの雑誌の広告面を賑わせたのだそうです。
そんな 「版画・たばこのある風景」 全72点の原画を一挙に展示しているのが、
たばこと塩の博物館で開催中の “煙に寄せたメッセージ 版画・たばこのある風景” という美術展。
雑誌でリアルタイムで目にしていたという方は、もちろんのこと、
雑誌で目にした記憶が全くないという方でも、楽しむことのできる美術展です。
恥ずかしながら、僕も、この美術展で、
初めて 「版画・たばこのある風景」 の存在を知ったのですがf^^;
(JTの雑誌広告と言えば、 「大人たばこ養成講座」 しか知らない)
加山又造×三島由紀夫 (『禁色』) や、
小松崎邦雄×川端康成 (『伊豆の踊子』) 、
斎藤清×志賀直哉 (『小僧の神様』) などなど。
奇跡のような芸術×文学コラボの数々に、
アートファン兼読書好きとしては、純粋にワクワクさせられました。
リアルタイムで、この広告を見ていたら、さぞ毎回楽しみだったことでしょう♪
1点1点、個々の版画作品を楽しむのも良いですが。
シリーズ全体で楽しむのが、よりベター。
作者によって、リトグラフだったり、木版だったり、メゾチントだったりと技法も様々。
ちゃんと忠実に文学作品の一節をイメージ化する作家もいれば、
元の文学作品の一節の原型が全く留まっていない作品を作る作家もいて、
そのバリエーションの豊かさを俯瞰的に眺めるのが楽しかったです。
個人的に一番印象に残ったのが、 草間彌生×志賀直哉 (『豊年蟲』) のコラボ。
画像が紹介できなくて恐縮ですが、
作品名が、 《YAYOI KUSAMA通り》 となっていたことからも、なんとなく予想は付くでしょうが (笑)
まったく志賀直哉は関係なく、いつもの草間彌生さんの作品でした。
草間100%。
志賀直哉さんは、きっと泣いているに違いない。。。
1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在5位です)
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
↧
煙に寄せたメッセージ 版画・たばこのある風景
↧