昨年、DIC川村記念美術館で開催されていた “FLOWERSCAPES フラワースケープ” で・・・
《天使について―フラ・アンジェリコ〈函のある〉》
《妖精たちの森 Ⅱ》
《硝煙画報 パンジー》
その独創的な世界観を持つコラージュ作品群に出合って以来、
気になって気になって仕方が無かったアーティスト・野中ユリさん。
たいていのシュルレアリスム作家のコラージュ作品は、
あえて意味が解らないものを狙って作っているような感じが透けて見えるのですが。
野中さんのコラージュ作品は、むしろ逆で。
すでに世界に存在する意味が解らないもの (=言語化できないもの) を、
作品化・ビジュアル化しているように思えるのです。
それゆえ、野中さんの作品を観ると、
「あ、そうそう!わかる」
というような感覚に陥るのです。
(・・・・・冷静になってみると、何がわかったのかは、自分でもよくわからないのですがw)
“ストンと落ち着く” 、 “腑に落ちる” という感覚に近い気がします。
それと、これは、僕の勝手なイメージですが。
彼女の作品世界には、喜多郎さんの音楽が合うと思っています。
さてさて。
そんな野中ユリさんの大々的な個展が開催されていると聞いて、
早速、 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館へを、足を運んできました。
“野中ユリ展 美しい本とともに” は、9月1日まで開催されています。
訪れた日が雨だったからでしょうか。
美術展が始まって間もなかったからでしょうか。
展覧会場は、まるで野中ユリさんの作品世界を体現したかのように、静謐な空間となっていました。。。
お客さんは、僕一人。
作品世界以上に、孤独感や寂寥感を感じてしまいました。
(むしろ、そういう演出なのか?!)
もう少し多くの方に、この美術展が認知されることを願っています。
作品数は、約120点ということもあって、見応えは十分。
たっぷりと野中ユリの作品世界に浸ることが出来ました。
特に今回の美術展で印象的だったのが、
《連作「蓮華集」その9 大日如来を囲むラサの寺院と僧院》 をはじめとする蓮をテーマにした一連の作品群。
どちらかと言えば、信心深くない方の僕ですが。
これらの作品と対峙した瞬間に、何か救われたような気になりました。
ちなみに、これらの作品群には、
喜多郎さんの音楽よりも、平沢進さんの音楽が合いそうです。
(どちらにせよ、シンセサイザーですね)
また、今回の美術展では、
野中ユリさんのコラージュ作品だけでなく、デカルコマニー作品たちも紹介されています。
《青と黄のデカルコマニー》
デカルコマニーとは、紙に絵の具を塗りつけ、それを2つ折りにしたり、
別の紙に押し付けたりすることで、塗りつけた絵の具を転写する絵画技法のこと。
小学生のときに、図工の時間で体験した方は多いのではないでしょうか。
そんなデカルコマニーを極めると、
かくも美しい精神性の溢れる作品が作れるのかと、感嘆してしまいました。
特に圧巻は、 《青いデカルコマニー》 シリーズ。 (←画像が無くて、すいません)
あんなにも美しい青色には、そうそうお目にかかったことがありません。
もしかしたら、フェルメールの青よりも綺麗だったかも。
野中ユリさんが装丁を手がけた澁澤龍彦の本なども併せて紹介されていますので。
澁澤龍彦ファンにもオススメの美術展です。
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野中ユリ展 美しい本とともに
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