“野中ユリ展 美しい本とともに” を観に、
神奈川県立近代美術館 鎌倉別館に行ったついでに。
神奈川県立近代美術館にも寄ってみました。 (←こっちの方が本館なのに)
開催されていたのは、 “生誕100年 松田正平展 陽だまりの色とかたち” という美術展。
恥ずかしながら、松田正平なる画家を知らなかったので、
この美術展には、あんまり期待していなかったのですが・・・
めちゃめちゃオモシロかったです!!!
《オヒョウ(大きな魚)》 といい、
《鳥》 といい、
《婆》 といい、
ユルい!ユルすぎる (笑) !!
そのユルいタッチの絵を観ているだけで、自然と、こちらの頬もユルみます。
気づけば、いつの間にやら松田正平のファンに。
こうした出会いがあるのも、美術館巡りの醍醐味。
あまり興味が持てない美術展にも、果敢に飛び込んでみるべきなのです。
(もちろん、美術展を観賞してみても、興味が持てないままという場合もありますがw)
個人的には、松田正平展はオススメです。2つ星。
ではでは、松田正平とは、一体いかなる人物なのでしょうか。
まずは、簡単に彼の紹介を。
今年で生誕100年を迎える松田正平 (1913~2004) は、
50歳を過ぎて世に認められたという遅咲きの洋画家。
↑でんでんに、ちょっと似ていますが、でんでんではありません (笑)
(ついでに、井上ひさしでもありませんw)
こちらは、73歳の時の 《自画像(Mの肖像)》 です。
自画像からも、飄々とした人柄が伝わってくるように、
画家自身も、かなり飄々とした人物だったようで。
「犬馬ハ難ク鬼魅ハ易シ」
(= 魑魅魍魎や異形の怪物を描くのは簡単だが、身近に実際にいる犬や馬を描くのは難しい。)
と言っては、彼の原風景である周防灘の景色や、
《周防灘》
手塩にかけたバラなど身近なモチーフを繰り返し描いたそうです。
《バラ》
ところで、記事の冒頭にて、
松田正平の飄々としたユルいタッチの作品の数々を紹介してしまいましたので。
“さぞかし、ユルい絵しか描けない人物なのだろう・・・”
と、多くの方が思っていらっしゃるかもしれませんが。
実は、若き松田正平は、パリに渡り、本場の油絵を勉強したエリート画家。
ルーヴル美術館に通っては、先人の絵の模写に励んでいたそうです。
ユルさの 「ユ」 の字もありません。
帰国後は、パリ時代の古典的な画風が一転。
どことなくベルナール・ビュフェを彷彿とさせる荒々しいタッチの作品を次々に発表しています。
《カミキリムシ》
《鳥》
ただ、荒々しいながらも、どこかユーモラスな印象を受けるところに、
のちに開花する (?) 松田正平ワールドの片鱗を感じることが出来ました。
今回の美術展には、初期から最晩年までの油彩画が約100点展示されています。
時代を追って松田正平の作品を観ていくと、
晩年に近づくほど、 “ユルさが研ぎ澄まされて” いるように感じられました。
(↑言葉としては矛盾していますがw)
個人的に、特にお気に入りなのが、 《大威徳明王》 という作品。
怖いはずの大威徳明王も、松田の手にかかると・・・
こんなお姿に!!
大威徳明王としては、商売あがったりです (笑)
そして、今回もっとも気に入ったマイベスト作品が、 《四国犬》 。
松田正平が愛犬を描いた作品だそうです。
「犬は飼い主に似る」 とは、よく言いますが、ここまで似るものなのですね (笑)
舌がレーザービームのように見えますし、
そもそも、犬というかキツネのように見えますし。
ユルいことこの上なしの作品なのですが、不思議と目を捉えて離さないものがありました。
甘いようで、実は、意外と力強い作品です。
そのギャップと、ポップなカラーリング。
“あれ、誰かに似ているぞ?”
と、考えてみたところ、
自分の中で、奈良美智さんの作品に似ているという結論に落ち着きました。
そう言えば、奈良さんは、青森県立美術館のために 《あおもり犬》 という作品を制作しています。
《四国犬》 と 《あおもり犬》 。
何やら関係がありそうな気がします・・・たぶん偶然でしょうがw
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生誕100年 松田正平展 陽だまりの色とかたち
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