『美術』 をテーマにした映画を自腹でレンタルし (←当たり前ですが) 、
特に持ち上げることなく、本気で批評してみようという企画 “とに~のこちトラも自腹じゃ!” 。
ゴッホ、竹久夢二、フリーダ・カーロ、モディリアーニ・・・と、
さまざまな芸術家たちを主人公にした映画を、これまでに紹介してきましたが。
今回は、ちょっと意外な人物の芸術人生を描いた映画を紹介したいと思います。
■アドルフの画集
監督・脚本:メノ・メイエス
出演:ジョン・キューザック、ノア・テイラー
2002/ハンガリー・カナダ・イギリス/108分
1918年、第一次世界大戦後の戦渦が色濃く残るドイツ・ミュンヘン。
そんな中、裕福なユダヤ人の家庭で育った帰還兵のマックス・ロスマンは、
戦場で右腕を失いながらも、妻ニーナと共に新しい人生を踏み出すため画廊を開いた。
やがて、商売が軌道に乗ったマックスはある日、
同じ元軍人で画家を目指すひとりの青年アドルフ・ヒトラーと出会う。すぐに意気投合する2人。
マックスのアドバイスに対し耳を傾け絵画に打ち込むアドルフ。
一方で生活の苦しい彼は、持ち前の弁舌を買われ、
陸軍将校の代理で反ユダヤの演説を行い幾ばくかの金を得るのだったが…。 <allcinema>
「若きヒトラーが、画家を目指していたというのは、ちょっと有名な話。
そんな画家を目指していた青年が、どうして独裁者となったのか?
その知られざる部分を丹念に描いたドラマです。
おそらくフィクション。
そもそも、この映画の主人公であるヒトラーに芸術の才能を見出すユダヤ人画商が架空の人物。
その画商とヒトラーとの交流が映画の大半を占めているのですから、全編ほぼフィクションというわけです。
ただ、そうは言っても、当時の美術界の動向 (マックス・エルンストや未来派) や、
ドイツの社会情勢が正しく描かれているので、説得力はありました。
もしかしたら、ヒトラーに、こんな過去があったのかもしれません。
美術という視点から、ヒトラー像を描く。
それに関して言えば、大変興味深い映画でしたが。
特に美術に興味のない人が、フツーに、この映画を観たなら、どうなんでしょう??
ヒトラーは、情緒不安定で小心でKYな感じですし、
主人公のマックスは、金持ちで愛人がいて不遜な男ですし。
しかも、マックスを演じるジョン・キューザックが、元巨人軍の槙原にしか見えませんし (苦笑)
ともかくも、主要キャラにまったく感情移入できません。
画家としては、パッとしないヒトラーが、自分の演説の才能に気づき、
「政治こそアートだ!」
と、喚き散らすシーンがありましたが、そこそこ意味不明でした (笑)
そして、この映画の最大の見せ場となるクライマックス。
わりと早いうちからオチが予想出来てしまいました。
なんとベタベタな展開。。。
「歴史にifは無い」 とは言いますが、
もし、ヒトラーに、もう少しだけ美術の才能があったなら。。。
そう考えずには、いられなくなる映画です。
(星2つ)」
~映画に登場する名画~
ヒトラーが描いた 《犬の絵》
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Film:23 『アドルフの画集』
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