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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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フランシス・アリス展 ジブラルタル海峡編

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“手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから” を観に、東京都現代美術館に行ったついでに、
同時開催されている “オバケとパンツとお星さま―こどもが、こどもで、いられる場所 も観賞し、
さらに、もう一つ開催中の “フランシス・アリス展 ジブラルタル海峡編” も観賞してきました。

昨日の記事でお伝えしたように。
“手塚治虫×石ノ森章太郎” 展と “オバケとパンツとお星さま” 展は、
2つの美術展のセット券を買えば、何と700円もお得に観賞することが出来るのですが。
3つの美術展のセット券というのも、2000円で販売されており、
3つの美術展を、それぞれ観賞するよりも、何と1300円もお得なのです。
ということで、悩んだ末、3つの美術展のセット券を購入しちゃいました♪



・・・・・・・・が。
本音を言えば、今は、このセット券を買ったことを後悔しています。
それくらいガッカリした美術展でした。
ナチュラルに、 「損したなァ・・・。」 と思ってしまいました。
ほし(星なし) です。 (※個人の感想です)


砂塵を巻き上げる竜巻の中へカメラ片手に突入したり。
朝から晩まで、メキシコシティの街なかで巨大な氷を溶けるまで押し続けたり。
シュールなパフォーマンスで知られるアーティストフランシス・アリス (1959~) 。
そんな彼の初期作品から新作までを、2期に渡って紹介する美術展で、
その1期に当たる “メキシコ編” は、4/6~6/9の会期で開催されていたそうです。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-メキシコ編


ちなみに、 “メキシコ編” では、約15に及ぶ過去のプロジェクトが、
映像を中心に写真や絵画、彫刻を通して紹介されていたのだそうで。
それはそれは、行かなかったことを後悔してしまう面白そうな美術展でした。
2期に当たる “ジブラルタル海峡編” では、彼の近年最大のプロジェクトに焦点を絞り、
今まであまり公開されていなかった、そのプロジェクトの全容を明らかにする内容になっています。

で、2期の目玉となるそのプロジェクト 《川に着く前に橋を渡るな》 について、簡単に説明いたしますと・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-川に着く前に橋を渡るな 2008年 ジブラルタル海峡 アクションの記録映像と写真
Photo:Jorge Golem



ジブラルタル海峡によって隔てられたヨーロッパとアフリカの二つの大陸。
その両岸から、サンダルできたボートを持った子供たちの列が出発し、
二つの列が水平線の彼方で交わることで、2つの大陸に橋を架けようという壮大なプロジェクトです。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-川に着く前に橋を渡るな 2008年 ジブラルタル海峡 アクションの記録映像と写真
Photo:Jorge Golem



このプロジェクト自体に関しては、
社会的な問題も感じさせつつも、とても夢があって素敵なプロジェクトだと素直に思いました。
会場に展示されていたプロジェクトのための絵画やドローイングも興味深く眺めました。

が、しかし。

メインとなる記録映像を見て驚愕。というか落胆。
いくらジブラルタル海峡は狭いといっても、最も狭いところで幅14キロ。
子供たちの列がジブラルタル海峡を渡りきれるわけもなく、
当然、水平線で混じることもなく、グダグダな感じで映像は終わります。
映画館だったら、 「金返せっ!」 のレベルです。

“いや、このプロジェクトは、想像上で橋を架けることが目的なので”

と開き直られれば、それ以上は強く何も言えません。
この作品を制作したフランシス・アリスには非はないですが、
この作品をメインにした美術展を開催する東京都現代美術館のスタンスはいかがなものでしょう。
2期に分けることなく、1期で紹介していた面白そうなプロジェクトと一緒に、
今回の 《川に着く前に橋を渡るな》 を紹介すれば良かったのでは?
何はともあれ、近年稀に見るモヤモヤ感の残る美術展でした。


「現代アートって、イマイチよくわからない・・・」 という人を増やすような美術展を、
もうこれ以上開催しないで頂きたいというのが、一都民としての率直な感想です。

その代わりと言ってはなんですが (?)
常設展は、とっても充実していて、純粋に面白かったです。
常設展を観たことで、ようやく入場料の元が取れました (笑)




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