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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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プーシキン美術館展 フランス絵画300年

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東日本大震災と原発事故の影響で中止になってから早2年。
待ちに待った “プーシキン美術館展 フランス絵画300年” が、
いよいよ先日より横浜美術館で始まりましたので、早速足を運んできました!!
(会期は9/16まで)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-横浜美術館


僕のように、プーシキン美術館展の開催を心待ちにしていたアートファンは多く、
開幕初日から横浜美術館は、何かのフェスティバルのような賑わいぶり。
その熱気を肌で感じて、 “平和な日本が帰ってきたなァ(・∀・)” と感慨もひとしお。
もちろん、まだまだ日本全体の復興には、時間がかかるでしょうが。
プーシキン美術館展の奇跡の再開催は、
少なくとも日本の美術館界にとっては、復興の一つの象徴であるような気がしました。
そして、それを祝福するかのように、心なしかサマリーが3割増しで微笑んでいるような気もしました (笑)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-サマリー  ピエール=オーギュスト・ルノワール 《ジャンヌ・サマリーの肖像》 
1877年 ©The State Pushkin Museum of Fine Arts, Moscow



さてさて、そんなわけで、今年絶対に見逃すことのできない美術展の一つであるプーシキン美術館展。
見どころは何と言っても、 フランソワ・ブーシェの 《ユピテルとカリスト》 を筆頭に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ユピテルとカリスト
1744年 ©The State Pushkin Museum of Fine Arts, Moscow


“フランス絵画の殿堂” プーシキン美術館を代表するコレクションが、惜しげもなく公開されている点。
その数は、なんと66点。
教科書や美術の本でお馴染みの作品で埋め尽くされた会場は、まさに贅沢の極み。
ここまで密度の濃い美術展は、そうそうお目にかかることは出来ない気がします。
また、17世紀を代表する画家プッサンにはじまり、20世紀の巨匠ピカソやマティスの作品に至るまで。
実にバランスよく体系立てて、フランス絵画300年の歴史が辿れるようになっているので、
これを機に、美術を学んでみたい・触れてみたいという人にピッタリの美術展と言えましょう。
星星星

個人的に面白く感じたのは、時代が現代に近づくにしたがって、
作品を展示する壁紙の色が、高級感ある色からシンプルな色に変わっていったこと。
確かに、ピカソやマティスなど、比較的時代が新しい画家の作品は、
高級感ある色の壁紙よりも、シンプルな色の壁紙の方が、映える気がしました。
インテリアという観点で、フランス絵画300年の歴史を辿るのも、また一興です。


特に会話のない3人の男性たちの姿が印象的な 《ナイルの渡し船を待ちながら》 (ウジェーヌ・フロマンタン作) や、
飼い主に抱かれた猫に嫉妬する犬の姿がキュートな 《猫の勝利》 (マルグリット・ジェラール作) など、
心に刺さる作品には、たくさん出合えましたが。
やっぱり何と言っても、今回の目玉は、日本初公開となる 《ジャンヌ・サマリーの肖像》 。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-サマリー


ルノワールの印象派時代最高の肖像画と評される傑作中の傑作です。
蕩けるような表情のサマリーに見つめられるうちに、ついつい、こちらも表情が蕩けてしまいます。
ただ、画像で観ていたよりも、実物は、意外とカラフルで驚かされました。
服装や背景がカラフルというのではなくて、肌の色が、かなりカラフル (!) 。
印象派特有の表現で、緑や紫が多用されているので、
「カラフルで綺麗♪」 というよりは、 「カラフルすぎて、顔色悪くない??」 といった印象 (笑)
顔色が気になっちゃう方は、少し離れたところから観るのが、ベストなようです。


そして、もう一つの目玉作品が、
ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングルの 《聖杯の前の聖母》 です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-聖杯の前の聖母  1841年 ©The State Pushkin Museum of Fine Arts, Moscow


のちにロシア皇帝となる皇太子アレクサンドル2世の依頼によって描かれた作品で、
左右対称の画面構成によって、厳格な聖性が際立たせられています (聖母の髪形も、ピッタリ左右対称!)
とにかく聖母の表情が、気高く、かつ安らかで。
いつまで経っても見飽きることのない絵画でした。


他に印象に残った作品としては、フィンセント・ファン・ゴッホの 《医師レーの肖像》 でしょうか。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-医師レーの肖像  1889年 ©The State Pushkin Museum of Fine Arts, Moscow


描かれているのは、例の耳切り事件を起こしたゴッホを診察したインターンの医師レー。
診察のお礼にと、ゴッホはレーの肖像画を描いて渡したのだそうです。
そこまでは、微笑ましい美談のように思えるのですが・・・。
肖像画を受け取ったレーは、この絵が気に入らず、
あろうことかニワトリ小屋の金網の穴をふさぐために使用していたのだとか。
ニワトリ小屋の金網の穴をふさいでいたものが、
こうして時代を経て、美術館で有難く観賞されているという事実が、何とも面白いです (笑)



ちなみに。
普段は、ほとんど音声ガイドを借りないのですが、
今回の音声ガイドのナビゲーターを、水谷豊さんが務めているので、一も二も無く借りてしまいました。
その音声ガイドの最後の最後で、あの刑事ドラマでお馴染みのフレーズが飛び出します。
某刑事ドラマファン必聴の音声ガイドです!




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