日本全国のポップ・アートファン待望の・・・
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
国立新美術館で開催中の “アメリカン・ポップ・アート展” に行ってきました。
今回の美術展の目玉は何と言っても、日本初来日となるあの作品!
ポップ・アートを代表するアーティスト・アンディ・ウォーホルの代表作にして、
『ポップ・アートのモナ・リザ』 とも評される 《200個のキャンベル・スープ缶》 です。
(モナ・リザ感は、0ですがw)
「あれっ?本当に、ただただキャンベル・スープの缶が、200個描いてあるだけじゃん!」
・・・と思ってしまった、そこの貴方m9( ・ω・)
その通りです。
ただただキャンベル・スープの缶が、200個描いてあるだけの作品です。
「大量生産」 や 「大量消費」 といった大衆文化を制作のテーマに掲げたウォーホル。
その象徴として、彼は、日常的なキャンベル・スープの缶を題材にし、
さらに、そのキャンベル・スープの缶を反復して描くことで、大量生産というイメージをより強調させたのです。
もし、現代ならば、パソコンを使って、コピペで作品を完成させたものでしょうが。
この時代にはパソコンはなく、ステンシル (型紙) を使って、反復が試みられています。
それだけに、よ~く作品を見ると、
一つ一つのキャンベル・スープの缶の色味やかすれ具合に、微妙な差異があるのがわかります。
その不完全な部分に、ポップさ (=軽妙さ) を感じてしまいました。
楽しくなって、さらに、よ~く作品を見てみると、
キャンベル・スープ缶の種類が同一でないことに気が付きました。
一番上の段を右から見てみると、
トマト、オニオン、ベジタブル、チキンガンボ、オニオン、トマト、トマト・・・・・
「このランダムな並び方に、実は、何か意味があるのでは?もしや、ウォーホル・コード?!」
と思って、十数分、絵の前で謎解きに挑んでみましたが。
結果、何もわかりませんでした (笑)
とりあえず、わかったのは、200個のキャンベル・スープの缶のうち、トマトの缶は36個、
オニオンの缶は21個あり、一番少ないのは、スコッチブロスで2個しかなかったということ。
ウォーホルは、トマトが一番好きで、スコッチブロスはあまり好きでないものと推測されます。 (←だから何だ?)
それは、ともかくも。
今回の美術展には、 《200個のキャンベル・スープ缶》 以外にも、
アンディ・ウォーホルの作品が、それこそ、大量に出展されていますし、
ウォーホルと人気を二分するポップ・アートの旗手ロイ・リキテンシュタインの作品も名品揃いですし、
ロイ・リキテンシュタイン 《鏡の中の少女》 1964年
1964年、106.7×106.7 cm、エナメル/鋼板、The Ryobi Foundation蔵
Photograph by Robert McKeever, courtesy of Gagosian Gallery
(c)Estate of Roy Lichtenstein, N. Y. & JASPAR, Tokyo, 2013
ジャスパー・ジョーンズや、
クレス・オルデンバーグといった他のポップ・アートの巨匠の作品も充実していました。
その数、実に、全206点!
ポップ・アートファンはもちろん、
ポップ・アートファンならずとも、質・量ともに満足のいく美術展と言えましょう。
これだけ内容の濃い今回のポップ・アート展の出展作品たち。
さぞかし、多くの美術館やギャラリーから作品を掻き集めてきたのだろう、と思いきや。
なんと、今回出展されている作品はすべて、
ジョン・アンド・キミコ・パワーズという一組の夫妻が集めた個人コレクション。
ちなみに、奥様のキミコ・パワーズさんは、
ポップ・アートの世界有数のコレクターでもありながら、
ウォーホルの作品のモデルにもなっており、日本人で初めて彼の作品になった人物でもあるそうです。
アンディ・ウォーホル 《キミコ・パワーズ》 1972年
1972年、304.8×304.8 cm、アクリリック、シルクスクリーン・インク/麻布、9枚組、
The Ryobi Foundation蔵、Photograph by Hiroyasu Sakaguchi
(c)2013 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. /ARS, N. Y. / JASPAR, Tokyo
これだけのコレクションを形成したというだけでもスゴいことですが、
これだけのコレクションを気前よく日本に貸し出してくれたのは、さらにスゴいこと。
会場では、映像や写真で、実際に夫妻の家に、
ポップ・アートの作品が飾られている様子が紹介されていましたが。
逆に言えば、今現在、夫婦の家には、あれだけの作品が無い状態ということになりますよね。
何か恐縮です (笑)
今回の美術展で、パワーズ夫妻の個人コレクションにスポットが当たったことで。
ポップ・アートの芸術家たちが、作品を大量生産する一方で、
彼らのように、作品を大量消費してくれるコレクターが存在していた事実を知ることが出来ました。
ポップ・アートの作家ばかりに目が向かいがちですが、
こうしたコレクターがいなかったら、ポップ・アートは歴史に残っていなかったかもしれませんね。
そういう意味では、作品は、ポップ (軽い) ながらも、とても深さを感じる美術展でした。
ちなみに。
個人的には、あまり美術展で、音声ガイドを活用しないのですが。
今回のポップ・アート展の音声ガイドは、かなりオススメ。
(解説を聞きたい絵をペンでタッチすると、音声が流れる仕組みです)
ナビゲーターを務めるのは、日本を代表するDJ小林克也さん。
アメリカン・ポップ・アートのナビゲーターとして、彼以上のキャスティングはないのでは?
というくらいに、イメージがピッタリのキャスティングでした♪
最後に。
「もしかして?」 と期待していましたが。
案の定、ミュージアムグッズ売り場では・・・
キャンベル・スープ缶がズラリと並べて売られていました (笑)
考えることは、皆、一緒です。
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