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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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コレクション♪リコレクション VOL. 2 色彩のラプソディー

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昨年に公式イベントを担当させて頂いて以来、
個人的に楽しみにしているのが、DIC川村記念美術館から美術展ごとに届く案内状。
毎回思わずニンマリとしてまうくらいに凝った作りなのです。

で、今回届いた案内状が、こちら↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-案内状
(注:個人情報の部分は、赤線を引かせて頂いております)


「あれっ、わりと普通。。。」

ちょっとガッカリしつつも、封を開けてみたところ、意外な仕掛けが!!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-案内状


なんと封筒の内側に、フランク・ステラの 《フリン・フロン2》 がプリントされているではないですか。
こちらの作品は、DIC川村記念美術館の顔とも言えるコレクションのうちの1つ。
今回も、思わずニンマリしてしまいました (笑)


さてさて、そんな案内状で案内されたのは、
“コレクション♪リコレクション VOL.2 色彩のラプソディー” という美術展。
前回の “VOL.1 5 Rooms 彫刻/オブジェ/立体” を皮切りに、
これまで展示される機会の少なかったコレクションを3期に渡って紹介する “コレクション♪リコレクション”
そのシリーズ第2弾となる美術展です。

今回の “VOL.2 色彩のラプソディー” は、
アニメ 『サザエさん』 の如く (?) 、3本柱で構成されています。

そのうちの1つの柱として紹介されているのが、
DIC川村記念美術館が誇る日本最大級のフランク・ステラのコレクション。
普段も、美術館で一番広い常設展示室のちょうど半分を使って、
フランク・ステラの大型作品がダイナミックに展示されていますが。
今回は、 「フランク・ステラ・ルーム」 と銘打って、
その常設展示室全体を使って、全16作品を一挙に大公開しています。
もちろん案内状の封筒の内側にプリントされていた 《フリン・フロン2》 も展示されています。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-フランク・ステラ・ルーム  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-フランク・ステラ・ルーム
(注:この記事に使用している写真は、特別にDIC川村記念美術館さんより提供頂いたものです)


展示スペースが2倍になって、ダイナミックさも2倍です。
フランク・ステラのファンにとっては、嬉しさが2倍でしょうが。
フランク・ステラにあまり興味がない人にとっては、嬉しくなさも2倍 (笑)
諸刃の剣とも言えるコーナーです。



続いての柱となるのは、 “ウィーンの魔術師” ことエーリヒ・ブラウアーのコレクション。
展示されていたのは、聖書に関連した作品が3点ほどと、
旧約聖書の 「箴言」 から抜粋したテクストをもとに制作された12枚の連作版画 《ソロモンの箴言より》
 (箴言・・・戒めの言葉。教訓の意味をもつ短い言葉。格言。)
ちなみに、これらの作品は、今回初公開なのだとか。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-エーリヒ・ブラウアー


個人的には、今回の美術展の中では、
この 《ソロモンの箴言より》 のシリーズが一番印象に残りました。
例えば、こちらの版画が表している箴言は・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ソロモン


<あなたのパンを水の上に投げよ。ずっと後の日になって、あなたはそれを見出すだろう。>


また、例えば、こちらの版画が表している箴言は・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ソロモン


<傲慢の行く先には破滅がある。尊大な心を持てば転落する。>


今までに見たことがあるようで、でも、よく考えると誰の作品にも似ていない。
ちょっと他にはないオリジナリティ溢れる画風が、強く印象に残りました。
とりあえず、エーリヒ・ブラウアーのイメージ力が爆発しすぎて (?)
1つの作品の中に、いろいろなもの (アメーバみたいなものやら何やら) が描かれすぎな感が否めません。
その結果、全く箴言が頭に入って来ないという・・・ (笑)


最後の柱となるのは、絵画の時間と銘打たれたミニ企画展。
DIC川村記念美術館を代表するコレクションから、
普段は、あまりお目にかかれないコレクションまで。
「線」 という要素に着目して選抜された作品によって構成されていました。

「線」 という要素に着目した美術展そのものは、
これまでに、DIC川村記念美術館以外の美術館でも目にしたことがあるので、
さして新鮮味を感じなかったというのが、正直なところですが。
いくつかある展示室のうち、とある1室だけが群を抜いてセンスが良かったです。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-絵画の時間


ブリジット・ライリーの 《朝の歌》 が、自分の身長よりも高い位置に展示されているかと思えば、
山口勝弘の 《静かな昇天 (ヴィトリーヌ)》 は、膝丈くらいの位置に展示され、
さらに、モーリス・ルイスの 《ガンマ・ツェータ》 に至っては、床に直置きされていました。
この絶妙に計算され尽くしたカオスな展示室には、
「線」 うんぬんに関係なく、不思議な感動を覚えました。
ここの空間を味わえただけでも、佐倉市まで足を運んだ甲斐がありました。
星



ちなみに。
「線」 という要素に着目した美術展の会場を抜けると・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-線


白い壁一面に、自由に 「線」 を書いてOKなコーナーが待っています。
いざ書いてみると、めちゃめちゃ楽しかったです。
童心に戻って、たくさん 「線」 を書いてしましました。
当然ながら、いくら壁に 「線」 を書いても、誰にも怒られま 「線」 。
(注:毎日14時から行われているガイドツアーに参加した方のみ体験できます)




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