東京国立近代美術館で開催中の “竹内栖鳳展 近代日本画の巨人” が、9月3日より始まりました。
会期は、10月14日まで。
その後、京都市美術館に巡回し、10月21日から12月1日まで開催されるようです。
竹内栖鳳 (1864~1942) と言えば、 「東の大観、西の栖鳳」 と並び称された近代日本画の巨人。
竹内栖鳳 東山、高台寺の自邸にて 1935年頃 71歳頃
・・・・・にも関わらず。
意外なことに、これまでに東京国立近代美術館で竹内栖鳳展が開催されたことはありませんでした。
しかし、その弟子の上村松園も、小野竹喬の回顧展はすでに同美術館で開催済み。
そこで、今回、満を持しての竹内栖鳳展の開催の運びとなったそうです。
これまで開催してこなかったことをリカバリーするかのように (?) 、
今回の竹内栖鳳展には、竹内栖鳳の代表作や重要作が日本全国から大集結。
《絵になる最初》 や、
大正2(1913)年 京都市美術館
《班猫》 も、そのラインナップに華を添えています。
大正13(1924)年 山種美術館 重要文化財
(注:東京展展示は、9/25~10/14まで)
“あれ?でも、そう言えば・・・”
竹内栖鳳の回顧展は、昨年、山種美術館で開催されたばかり。
しかも、そちらの回顧展にも、 《絵になる最初》 や 《斑猫》 は出展されていましたっけ。
“じゃあ、昨年、山種美術館のに行ったから、今回の東京国立近代美術館のはパス!”
・・・となるのは、早計というもの。
確かに、山種美術館での竹内栖鳳展も素晴らしかったですが、
今回の国立近代美術館のは、さらなるパワーアップver.とも言うべき竹内栖鳳展。
国立の美術館の意地が見え隠れするような内容でした。
何よりも圧巻だったのは、その広い展示室をフルに活用したダイナミックな展示。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
ライオンや象、古代ローマの遺跡など、
モチーフからして、ダイナミックな作品が多い竹内栖鳳。
やはり、国立近代美術館の展示室で観賞すると迫力が違います。
巨大なシネマコンプレックスで映画を観賞したくらいの臨場感を得ることが出来ました。
ただ、迫力があるだけの作品ではなく、そこに抒情性も感じられるのが、竹内栖鳳最大の魅力。
洋画のエッセンスと、日本画の思想が見事に共存している気がします。
さらに、国立の美術館の本気ぶりを感じたのが、
初出品となる作品や、古い図版でしか知られていなかった作品も出展されているということ。
特に、見逃せないのが、写真左の 《日稼》 という1枚です。
(注:東京展展示は、9/23まで)
こちらは、個人の手に渡ったあと、行方が分からなくなっていたそうで、
昨年95年ぶりに東京の古美術商の下で見つかったという再発見ホヤホヤの一枚です。
仕事の合間に休憩する女性の姿と、金色の仏画 (画面左上) を取り合せていたり。
女性の丸みを帯びたフォルムを、着物の模様だけで表現していたり。
“95年ぶりに見つかったから” と理由を差し引いても、見応えのある作品でした。
見逃せないと言えば、こちらの作品も↓
《ベニスの月》(ビロード友禅) 明治40(1907)年
大英博物館 ©The Trustees of the British Museum. All rights reserved.
栖鳳作の原画 (髙島屋史料館) をもとに製作され、海外へと輸出されたビロード友禅 《ベニスの月》。
その大英博物館に所蔵されている 《ベニスの月》 が、逆輸入の形 (?) で出展されています。
先日、世田谷美術館にて、その原画を目にして感動しましたが。
もしかしたら、今回目にしたビロード友禅の方が、原画より感動したかもしれません。
というのも、それくらいに友禅の技術の高さがハンパではなく、原画以上に原画のようでした。
明治時代に、このような高い技術が日本にあり、
それが大英博物館にコレクションされるまでになったというのは、
純粋に日本人として誇らしいものがありました。
他にも見逃せない作品は、まだまだありますが。
あとは、会場でのお楽しみ。
前期も後期も、あっという間なので、どうぞ見逃しませぬように。
┃会場:東京国立近代美術館
┃会期:2013年09月03日 (火) ~2013年10月04日 (金)
┃休館日:月曜日 (9/16、9/23、10/14は開館)、9/17、9/24
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竹内栖鳳展 近代日本画の巨人
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