今回は、11月16日より公開されている、こちらの映画を観に行ってまいりました。
■天心
監督:松村克弥
出演:竹中直人、平山浩行、中村獅童
2013年/日本/122分
明治初期。
廃仏運動が起こり、仏寺や伝統美術が失われようとする中、
日本独自の美を守るため、岡倉天心 (竹中直人) はアーネスト・フェノロサと手を組み奔走。
その後、東京美術学校や日本美術院を創立した天心だったが、西洋画派と対立するなど、逆境に陥ってしまう。
天心は茨城県五浦に六角堂を建立し移り住み、
これまでにない日本画を作り上げるため、創作活動に打ち込んでいく。
(シネマトゥデイ)
「今年の秋に、五浦を初めて訪れたこともあって、とても気になっていた映画です。
映画のほぼ4分の3が、五浦を舞台にしているので、
訪れた時のことを思い出しながら、映画の世界に浸ることが出来ました。
タイトルが 『天心』 ですし、主人公は岡倉天心なのでしょうが。
そこまで劇中の天心には、感情移入が出来ませんでした。
日本美術を再興させたい、守りたいという思いは伝わってきましたが、
不倫はするわ、ボストン美術館に高給で招かれるわ、最終的に釣りバカになるわ・・・で、
個人的な評価としては、プラスマイナス0な感じでした (笑)
その代わり、そんな天心を信じて付き従った彼の弟子たち、
特に、菱田春草の姿には、ものすごく感銘を受けました。
悶え苦し抜いた末に、辿り着いた 《賢首菩薩》 という境地。
この絵が完成した瞬間には、映画とはわかっているものの鳥肌が立ちました。
この穏やかな絵の裏には、あれだけの苦労が重ねられていたのかと思うと、目から五浦の波しぶきが。
どれだけ辛くても、日本画に向き合い続けた菱田春草の姿にも胸を打たれましたが。
栄養不足から乳飲み子に与える乳が出なくなっても、
夫を信じつづけた春草の妻・菱田千代の献身的な姿勢に、より胸を打たれました。
なんと理想的な妻なのでしょうか。
ちなみに、そんな菱田千代を好演していた女優さんが、
一体誰なのか気になって、帰ってから調べてみたところ、キタキマユでした。
最近、見かけないと思っていたら、いつの間にやら女優に転身していたのですね!
リアルに、 『ドゥー・ユー・リメンバー・ミー』 という感じでした。
他に、印象的だったのが、下村観山を演じていたのが、木下ほうかだったこと。
彼が演じると、どんな人も裏があるように思えて仕方がないのですよね (笑)
そろそろ横浜美術館で下村観山展が始まりますが、
なんとなく腹黒い人物という色眼鏡で作品を見てしまいそうで不安です。
あと、これを言っては元も子もないかもしれませんが。
天心を演じるのは、竹中直人よりも、
香川照之のが合っていたような気がしてなりませんでした。
(星4つ)」
~映画に登場する名画~
《屈原》
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Film:26 『天心』
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