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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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パリへ渡った「石橋コレクション」1962年、春

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年に4回くらいのペースで、通っていますので。
さすがに、見飽きた…もとい、見慣れてしまった感が拭えないブリヂストン美術館コレクション。

ただいま、ブリヂストン美術館で開催中の美術展でも、
コローの 《ヴィル・ダヴレー》 や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《ヴィル・ダヴレー》


アンリ・ルソーの 《イヴリー河岸》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-イヴリー河岸


《女の顔》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-女の顔


・・・などなど。
ほぼ常に展示されている作品が、ずらりと並べられています。
ブリヂストン美術館に何度も通っている人間にとっては、おなじみのラインナップ。
それだけに、

“今回のコレクション展も、特に目新しさは感じないんだろうなぁ (苦笑)”

と、高を括っていました。


ところが!


今回のコレクション展では、
ブリヂストン美術館コレクションを、何とも新鮮な気持ちで観ることが出来ました。
『見飽きた』 、 『見慣れた』 どころか、 『見直した!』 。
ブリヂストン美術館コレクションを初めて観る方は、もちろん。
ブリヂストン美術館コレクションを何度も観た方にも、オススメの美術展です。
星星星
3ツ星。


ではでは、具体的に、一体どんな美術展なのかをご紹介いたしましょう。

今から遡ること、ちょうど50年前。
ブリヂストン美術館開館10周年の節目の年に、
50点の所蔵品が、 「石橋コレクション」 として、パリ国立近代美術館でまとめて展示されました。
その名も、 “東京石橋コレクション所蔵─コローからブラックに至るフランス絵画展” という美術展。
これは、日本にある西洋絵画のコレクションがまとめて海外で展示された初めての美術展だったそうで。
その反響は大きく、

「こんなにも素晴らしい西洋画コレクションが、ジャパンにあったなんて!マーベラス!!」

と、フランスの人々に称賛されたのだとか。

特に、セザンヌの 《帽子をかぶった自画像》 と、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《帽子をかぶった自画像》


《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》 に関しては、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-シャトーノワール


「なぜ、こんな傑作がジャパンにあったんだ!」 と、本場のフランス人 (←?) も驚いたほど。

日本でも、海外のコレクターが集めた浮世絵コレクション展や、
伊藤若冲や曾我蕭白といった江戸時代の画家のコレクション展が開催されることが多々ありますが。
きっと、僕らが、そういう展覧会を観る感覚に近いのでしょうね。
50年も前に、日本人の個人コレクションが、
本場の人々を唸らせたというのは、何とも誇らしい気持ちになりました。
(↑いや、自分は何もしてませんがw)
ともあれ、ブリヂストン美術館のコレクションは、世界に通用するというレベルだったのですね。
今まで勝手に見飽きてしまっていて、すいません (笑)


さてさて、そんな伝説のフランスでの美術展にスポットを当てているのが、
現在開催中の “パリへ渡った「石橋コレクション」1962年、春” という美術展。
フランスに渡った選抜メンバー (?) 50点が、勢ぞろいの豪華な内容です。
(ただし、この50年の間に、行方がわからなくなってしまった作品に関しては、パネルでの紹介)
50年前のフランス人を驚かせたのかと思うと、
どの作品も、これまでの3割増しに見えてくるから不思議なものです。

また、そのフランスでの美術展に関するエピソードも多数紹介されていました。
例えば、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-アルジャントゥイユの洪水


こちらのモネの 《アルジャントゥイユの洪水》 など数点の作品は、
ニスの汚れがヒドイということで、現地の修復家が表面を洗浄してくれたのだそうです。
ちなみに、当時の日本には、その技術がなかったとのこと。
フランスに渡ったおかげで、いいことがありました。


他に印象的だったエピソードとしては、
美術展会場では、作品が、二曲屏風を模した仮設壁に展示されていたのだとか。
日本を意識したニクい演出です。



最後に、もう一つ、ある意味見逃せない展示品をご紹介。
それは、フランスでの美術展のあれこれを撮影した 《記録映画「石橋コレクション展 パリ」》 (約10分)
この映画の中に、石橋正二郎夫妻が、登場するのですが。
ビックリするくらいに、二人の顔が似ていました (笑)
「双子か!」 と思うくらいに。
夫婦の顔が似てくるってのは、本当だったのですね!




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