本日、熱海に行ってきました。
しかし、駅前の無料の足湯にも入らず、
干物も食べず、
温泉まんじゅうも食べず。
向かった先は、こちら↓
MOA美術館です。
ちなみに、 『MOA』 とは、
Mokichi Okada Associationの頭文字。
世界救世教の教祖・岡田茂吉が蒐集した日本・東洋の古美術品が、
MOA美術館のコレクションの中心になった美術館だからです。
チケットを購入し、建物の中に入ると、
そこには、何とも神秘的な光景が!!!
「て・・・天上界へ?!」
およそ200メートルにも及ぶ大エスカレーターに乗って、MOA美術館の本館を目指します。
“天にも昇る気持ち” とは、このことを言うのでしょうか。
エスカレーターを登りきると、
ヘンリー・ムアの彫刻越しに、MOA美術館の本館が見えてきます。
オリエンタルな神殿のような建物に、思わずひれ伏してしまいそうに。。。
ちなみに、美術館からは相模湾が一望出来ます。
絶景かな。絶景かな。
さてさて、現在、MOA美術館では、
開館30周年を記念して、 “国宝 紅白梅図屏風 所蔵名品展「絵画・書跡」” が開催中です。
国宝3点、重要文化財21点、重要美術品12点。
MOA美術館コレクションの中でも、
選りすぐりの名品ばかりが展示されているスペシャルな美術展です。
正直、熱海までは遠かったですが、
その苦労が一気に吹っ飛ぶほどの素晴らしいコレクションでした。
文句なしの3つ星!
美術展の目玉は、何と言っても、尾形光琳の国宝 《紅白梅図屏風》
これまでに本やテレビなどで、何度も目にしていましたが。
実物を観るのは、これが初めて。
その記念すべきファースト・インプレッションは・・・
“あれっ、小っちゃ!”
思いのほか、小さな作品でした。
もっと大きい作品なのかと勝手に思っていました。
しかし、
『想像していたより、実物が小さく見える作品にハズレなし!』
これは、僕が数多くの美術を観賞した末に、たどり着いた真理。
僕が小さく感じたことからも、
《紅白梅図屏風》 は、間違いなく名作と断言できます。
(↑何様?!)
さらに近付いて、川の部分を観てみます。
その印象は・・・
“あれっ、雑 (笑)!”
銀箔の貼り合わせ方が、なんか雑。
いや、しかし、
かえって、その雑さが、味になっているような気もします。
ともあれ、観れば観るほど、惹きこまれる不思議な一枚。
この絵に関する解釈は山ほどあるのでしょうが、
僕が一番感じたのは、やはり、 「老」 と 「若」 の対比の絵であるということ。
向かって左の白梅は老木で、右の紅梅は若木。
その対比を強調するように、
左隻には、 「法橋光琳」 の落款が、右隻には、 「青々光琳」 の落款が。
「青々光琳」 って、めっちゃ若そうな光琳のイメージです。
(もしくは、めっちゃ髭が濃い光琳のイメージ?)
ただ、この絵が描かれたのは、光琳の晩年とのこと。
それを知った上で観てみると、
白梅のとある部分の描き方に、とても意図的なものを感じます。
それは、枝の描き方。
一度、地に向かって延びた枝が、
川に着水する前に、ギューンと上に伸びています。
この部分に、
「俺は、まだまだやれるよ!若いものには負けんぜ!」
という光琳の決意が現れているような気がするのですが、気のせいでしょうか。
そんな老人になっても現役宣言をする光琳を、
川の向こう岸で、若い光琳が眺めている絵のような気がするのですが、これまた気のせいでしょうか。
ともあれ、いろいろと深読みしたくなりますが、
深読みせず、純粋に頭をカラッポにして観ても、十二分に楽しめます。
両方の木にある苔の緑色が、とてもいいアクセントになっていました。
あの緑がなかったら、きっと、ボヤっとした絵になっていたことでしょう。
光琳のデザインセンスの卓越さが、そんなところにも見て取れました。
さてさて、会場には、
昨年の科学調査の結果を受けて、CGで再現した 《紅白梅図屏風》 も展示されていました。
正直、僕は、このような “昔はこうだったんですよ!” という展示は、
美術展には、蛇足だと思っているのですが。
今回ばかりは・・・
「実物よりも、こっちのがいいかも!!!!!」
という、自分でもまさかの感想。
さきほど、散々実物を観て感動したのに、
CGによって復元させた紅白梅図屏風の実物大のレプリカに感銘を受けてしまいました (笑)
それくらいに、当時の姿は、惚れ惚れするほどカッコよかったです。
(どうしても、その姿が観たい方は、こちらに)
・・・と、気づけば、 《紅白梅図屏風》 だけで、こんなにも、長々と語ってしまいました。
他にも、国宝を2点観たのに。
それぞれ素晴らしかったのに。
国宝2点については、 国宝ハンターの記事に譲るとしまして。
他に印象的だった展示品を、駆け足でご紹介いたしましょう。
まずは、海北友松の 《楼閣山水図屏風》
建物のデフォルメっぷりが、なんともお茶目。
ほっこりする作品です。
続いて、吉山明兆の 《白衣観音図》
500年も前の室町時代の作品とは思えないほど、
観音様の白衣の白さが、鮮やかでした。
今も昔も、人は、白衣に惹かれるのでしょうか。
ラストは、重要文化財の 《樹下美人図》
あまりパッとしない絵のような気もしますが。
実は、世界に4点しかないという貴重な唐時代 (8世紀) の絵。
ここまで綺麗に色が残っているのは、もはや奇跡に等しいとのことです。
ちなみに、こちらの女性は、
樹の下で男性を待っているのだそうです。
その男性は、実は、今、トーハクに。
彼もまた待っています。
この2点は、一対の作品なのだとか。
10世紀以上逢えない2人。
対面する日は、いつか来るのでしょうか。
今後も、静かに見守っていきたいと思います。
ランキングにご協力して頂けたら、 “天にも昇る気持ち” です。
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国宝 紅白梅図屏風 所蔵名品展「絵画・書跡」
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