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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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隠﨑隆一 事に仕えて

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今回ご紹介するのは、菊池寛実記念 智美術館で開催中の “隠﨑隆一 事に仕えて” という展覧会。
現代の備前焼を代表する陶芸家である隠﨑隆一さん (1950~) の作品の全貌を紹介する展覧会です。

隠﨑隆一さんのことを存じ上げなかったので、

「備前焼か~。なかなか地味そうな展覧会だなァ」

と思いながら、美術館に足を運んだのですが。
いざ会場で待ち受けていたのは・・・・・

会場風景  会場風景
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


僕がイメージしていた備前焼とは、大きくかけ離れた作品ばかり。
思わず、心の中で、 「なんじゃこりゃぁあ!!! 」 と叫んでしまったほどです。
それくらいに、いい意味で予想を裏切られる展覧会でした。
星
誰ですか? “地味そうな展覧会” なんて思っていたのは?! (←お前だよ)


《水蛭子》 (2001年) に、

水蛭子


《芯韻》 (2002、2004年) に、

芯韻


《三足花器》 (2013年) に。

三足花器


大阪芸術大学時代にグラフィックデザインを学び、
デザイン会社勤務を経て、備前焼の道に入ったという異色の経歴を持つだけに、
隠﨑さんが生み出す陶芸作品は、どれもユニークで個性的なフォルムをしています。

これらが、もしも彫刻作品であるならば、
「アハハ。ヘンテコな形をしているなぁ」 くらいの印象しか抱かないのでしょうが。
当然、これらは陶芸作品。
きちんと計算し尽くされた上で、焼成して制作された作品です。
それだけに、完成した作品には、
ただ単純にヘンテコな形と一言で片づけられない、強い意志のようなものが宿っている気がしました。
巧い言葉が見つかりませんが、あえて一番近い言葉を当てるなら、 “説得力” とでも言いましょうか。
あるべくしてある。生まれるべくして生まれた。
そんな形である気がしてならないのです。


だから、隠﨑さんの作品を見ても、

隠崎


不思議なほど、 「実際に使うとなると、使い勝手が悪そうだな」 とは思わないのです。
仮に今は使えないとしても、かつて誰かが実際に使っていたかのような。
現代の陶芸作品というよりも、むしろ、何かの遺跡の出土品のような気さえしました。


また、そんな隠﨑隆一さんが生み出す陶芸作品は、
あまりにバリエーションが多彩ゆえ、とても一人の人間が生み出したとは思えません。
それだけに、現代の備前焼作家・隠﨑隆一さんの展覧会というよりも、
隠﨑文明 (←?) の出土品の展覧会という表現のほうが、個人的にはしっくりきます (笑)

皆様にも、是非、この機会に、備前発祥の隠﨑文明の全貌を味わって頂きたいものです。




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