森アーツセンターギャラリーで開催中の “テート美術館の至宝 ラファエル前派展” に行ってきました。
こちらは、テート美術館が所蔵する名品72点を通し、ラファエル前派を紹介する展覧会です。
ちなみに、ラファエル前派とは、ミレイやロセッティを中心に結成されたイギリスの若手作家のグループです。
UKロックな (?) 彼らは、当時の保守的でアカデミックな美術界に中指を立てたのです。
そして、その原因は、アカデミー絵画のお手本となったラファエロにあると考えた彼らは、
ラファエロよりも以前の初期ルネサンス美術に立ち返ろうという意味を込めて、ラファエル前派と名乗ったのです。
特に、ラファエロは、悪くないのに。
そもそも、ラファエルでなく、ラファエロなのに。
それはともかくも、今回のラファエル前派展には、
ミレイの最高傑作として名高い 《オフィーリア》 を筆頭に、
ロセッティの 《ベアタ・ベアトリクス》 や、
同じくロセッティの 《プロセルピナ》 など、
ラファエル前派を代表する名作の数々が、惜しげもなく展示されていました。
ラファエル前派を取り上げた展覧会として、今回のを越える展覧会は開催されないのでは?
それくらいに、豪華オールキャストなラファエル前派展。
2つ星です。
基本的には、英国ヴィクトリア朝時代らしいお上品な作品が多いのですが。
意外と、 「ん??」 という作品もチラホラ。
想定外に、面白い美術展でした。 (あくまで、個人的に)
例えば、ウィリアム・ホルマン・ハントの 《良心の目覚め》 という作品。
裕福な男性に囲われている愛人が、
自分の生き方の間違いに気づき、立ち上がる瞬間が描れているのだそうですが・・・・・
「なんか軽っwww」
「あ、じゃあ、愛人やめま~す。」 みたいなノリです。
で、男性も、 「えっ、マジか~w」 くらいのノリです。
全然、良心は目覚めてません。まだ眠ってます。
また、フォード・マックス・ブラウンの 《ペテロの足を洗うキリスト》 も印象的な一枚。
描かれているのは、最後の晩餐を前に、キリストが弟子のペテロの足を洗う場面です。
師匠の突然の行動に、戸惑いを隠せないペテロ&その他の弟子たち。
そんな中、一番左にいる弟子は、靴のひもを緩め、次に洗ってもらう気満々です。
自重しろよ。
エドワード・バーン=ジョーンズの 《「愛」に導かれる巡礼》 は、パッと見は何とも思わなかったのですが。
巡礼する詩人を導く 「愛」 の化身の頭上にご注目ください。
ヒッチコックの 『鳥』 なみに、鳥が大量発生しています。
なかなかの気持ち悪さです。
バーン=ジョーンズは、この作品のディテールについて苦悩し、制作に20年をかけたそうで。
制作途中、絶望に駆られたあまりに、
「ベンジンの大瓶を手にとり、カンヴァスを拭き取って何もかも消してしまいたい!」
と語ったのだそうな。
そのベンジンで鳥を消してほしかったです。
ちなみに、ラファエル前派の作品は、
絵画そのものと同じくらいに (いや、それ以上に?) 額装が素敵です。
是非、会場で、いろいろな額装をお楽しみくださいませ。
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テート美術館の至宝 ラファエル前派展
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