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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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第百四十八話 国宝ハンター、挑む!

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前回までのあらすじ~

ゴチャゴチャ言わんと、誰が一番国宝をハンティングしたか決めたらええんや!
そんな戦いがあるのかないのかわかりませんが、
最強の国宝ハンターを目指して、日本全国を旅するとに~。
初の山陰地方にやってきた彼は、島根県の国宝をなんなく制覇。
そして、山陰地方2日目。
史上最強の戦いの幕は切って落とされた―。



今回の旅の一番の目的。
それは、《三仏寺奥院(投入堂)》(ジャンル:建造物) のハンティング。
実は、すでに第百七話で、ハンティングしたっちゃしたことにはなっているのですが・・・。

明日発売の 『こども国宝びっくりずかん』 の中で・・・

こども国宝びっくりずかん: 3大付録つき へんてこ!すごいぞ!日本の宝もの (ワンダーライフス.../小学館

投入れ度y


実際に観てはいないのに、日本一危険な国宝として、
投入堂を紹介していることに、軽く罪悪感を覚えていました。

投入れ童


大人には、嘘をついてもいいですが (←ダメです!)、
こどもに嘘をつくのは、絶対によくありません!!

発売日までに、どうしても投入堂に行かなくては。
出版が決まってからの数か月、その思いでいっぱいでした。


9月27日。
この日の鳥取県の天気は、曇りのち雨。
さすがは日本一危険な国宝だけあって、

「雨や雪などにより、当山が危険と判断した場合は入山禁止になります。」

という決まりがあります。
つまり、鳥取まで来たのに登れない可能性も大いにあります。
そこで、前日のうちに、島根から鳥取入り。
始発のバスで投入堂のある三徳山を目指します。

始発


午前8時25分。
軽くポツポツとは雨が降っていましたが、入山は可能とのこと。
ホッとしたのもつかの間、ここから先に進むには・・・

入山


「投入堂へ参拝をされる際には、必ず二人以上でおこしください。」

という新たな条件をクリアしなければなりません。
さぁ、困りました。
孤高の国宝ハンター、早くもピンチです。


しばらく待っていると、近くの温泉を一人で巡っているという大阪のお父さんと、
東京から一人旅で島根と鳥取に来ているという美容師の女性が、それぞれやってきました。

基本的に人見知りな僕ですが、今回ばかりはそういうわけにはいかず。
思い切って、2人に声を掛けてみることにしました。

「あのー、もし良かったら、一緒に投入堂を目指しませんか??」

すると、2人そろって快諾。
即席でパーティーを組んで、第一関門を抜けることに見事成功いたしました。

さて


ここから入山。
しかし、その前に、ショップで装備の軍手を購入することを進められました。

群て


“いるのかなぁ・・・??” と思いつつ、購入。
とに~は軍手を手に入れた!


軍手を装備し、入山すると、まずは本堂が見えてきました。

本堂


しかし、本堂は国宝ではありません。
目指すは、あくまでこの奥にある奥院。投入堂です。

投入堂


と、ここで第二関門。
登山靴を履いておらずスニーカーだったため、参拝受付はできないとのこと。
あくまで、観光でなく、修行としての参拝。
服装チェックは、かなり厳しめです。
ただし、草鞋に履き替えれば、OKとのこと。

わらじ


“スニーカーのが安全だと思うけどなぁ・・・??” と思いつつ、購入。
とに~は草鞋を手に入れた!

わらじ


さぁ、第二関門もクリアし、ようやく出発です!
入山さえできれば、あとは何とでもなります。

入山


・・・・・なんて思っていたら、甘かったです!

これまで国宝ハンターの旅で、
登山的なものは何度もあったので、何とかなると思っていましたが。
それらとは、全然次元が違いました。

岩肌をよじ登ったり、

岩


木の根っこをよじ登ったり、

木


倒れた木を乗り越えたり。

木


これは、登山というよりも、ボルタリングです。
挙句の果てには、鎖を使って垂直な面を登る箇所も。

垂直


SASUKEかよ!!!

それらのステージをクリアした末に、ようやく建造物が見えてきました。
やっとゴールかと思ったら、文殊堂という建造物でした。
紛らわしいヤツめ!

重要文化財


しかも、この文殊堂、山のかなり高いところに、せり出すように建てられています。
なので、濡れ縁からの眺めは、高所恐怖症の僕にとって恐怖以外の何物でもありません。

濡れ縁


怖いから目をつぶりたいのですが、
つぶって濡れ縁から落ちたら、即ジエンドなので、なんとか頑張って目を開けて歩きました。
完全なるスカイウォーク状態。
しかも、命綱無しの。

写真
(注:頑張って写真を撮ってみたのですが、怖すぎて足元は映せませんでした)


そんな文殊堂を越えても、まだ険しい道は続きます。
そこにきて、『危険』 の看板。

危険


今さらかよ!!!


文殊堂から、道なき道を進むこと約15分。
ようやく、それらしき建物が見えてきました。
しかも、今度は背後に崖もあります。

投げ


今度こそ、投入堂・・・・・じゃない!!

じゃない


投入堂に見せかけた (←?) 観音堂です。
トラップ、何度目だ?!
しかし、これぞ修行。
簡単に物事を信じてしまわないための修行です。
とに~はレベルが1あがった!
うたがう力が3ポイントあがった!


その矢先、前を進むパーティーのメンバーから、

「ついに投入堂ですよ!」

との報告が。
“いやいやいや、またそう言って、違うパターンでしょ・・・あ、本当だ!!

投入堂


確かに、そこに投入堂はありました。
まさに投入れたとしか思えない場所に、スポッとハマるように建物がありました。
いくら見ても見慣れることがない、不思議な光景。
白昼夢でも見ているかのような、それはそれは不思議な光景でした。
誰がどうやって何のために建てたのか。
見れば見るほど、疑問は尽きません。
一つだけ確実に言えるのは、ここまで苦労するだけの甲斐はあったということ。
観に来て大正解でした。
そして、これからは、こどもたちに胸を張って言えます。

「投入堂は、日本一危険な国宝だよ!」 と。

あと、もう一つ確実に言えることは、草鞋のポテンシャルは意外とスゴい。
なんだかんだで、あの危険な道のりを、草鞋だけで乗り切ることが出来ました。


普段の国宝ハンターでは、こんなことはしませんが、思わず記念撮影 (笑)
めちゃめちゃテンションがあがってしまいましたあ。

思わず


・・・・・・・・・・・・・うん。
さてさて、ひとしきり感動したわけですが。
ここからあの道を帰らないといけないんですよね。
岩肌とか木の根っことか鎖とか。
どう考えたって、くだりのが危険です。
当然、くだりでもいろいろ大変なことがありましたが、長くなるので泣く泣く割愛。

何はともあれ、帰るまでが投入堂。


今現在の国宝ハンティング数 910/1108




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東山魁夷特集

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現在、東京国立近代美術館の1階では、
“日本の家 1945年以降の建築と暮らし” が開催されていますが。

会場


美術館の2階から4階をフルに使った所蔵作品展、
通称 「MOMATコレクション」 のほうでも見逃せない特集展示が組まれています。
それは、おそらく日本人で嫌いな人はいないであろう国民的画家、東山魁夷の特集展示

東山魁夷


『美の巨人たち』 でも取り上げられた東山魁夷39歳の時の一枚 《残照》 や、

残照
《残照》 1947年 紙本彩色 151.5×212.0cm


東山魁夷の代名詞ともいえる東山グリーンが美しい 《青響》

青響
《青響》 1960年 紙本彩色 133.0×212.0cm


北欧旅行からの帰国後に描いたという幻想的な一枚 《映象》 など、
映象
《映象》 1962年 紙本彩色 147.5×211.5cm


東近美が所蔵する東山魁夷の本制作17点すべてが一挙に公開されています!
同館で本作品17点すべてが展示されるのは、10年前に開催された大々的な回顧展以来。
次にまとめて観られるのは、何年先になるのやら。
というわけで、東山魁夷ファンなら、絶対に行っておいたほうがいいヤツです。
星


個人的に出展作品全17点の中でイチオシなのは、《たにま》

たにま
《たにま》 1953年 絹本彩色 134.0×107.4cm


一見、抽象画のようにも見えますが、
しばらく眺めていると、タイトル通り、谷間に見えてきます。
水の流れも感じられました。
デザインセンスが光る一枚です。
ちなみに、さらに、しばらく眺めていると、何か美味しそうに見えてきました。
こんな和菓子がありそうな感じです。


また、僕の一番好きな東山魁夷作品 《道》 も展示されていました。

道
《道》 1950年 絹本彩色 134.4×102.2cm


《道》 が好きすぎて、今年の春に絵が描かれた実際の場所を訪れたばかり。
まさか年内に、実物の 《道》 を観られるとは思ってもみなかったので感動もひとしおでした。
何やら運命のようなものを感じます。

道


ちなみに、絵のモデルとなった道は、
まっすぐに進む一本道ではなく、道の先が大きく右にカーブしていました。
その実体験を経て、改めて、《道》 の道を観てみると、確かに右へとカーブしています。
実際の場所を訪れみて初めて気がつくことってあるのですね。
というか、それ以上に、改めて気がつかされたのは、
何の変哲もない風景が、東山魁夷の手にかかると、実に味わい深い抒情的な光景になるということ。

道


《道》 と同じアングルで撮った写真と見比べてみると、その差は歴然です。
実際の道には、抒情的の “じょ” の字もありません (笑)
これぞ東山マジック。


さてさて、東山魁夷特集の期間中だけ、
いつものMOMATコレクションの音声ガイド (300円) に、特別ボーナストラックとして、

音声


東山魁夷が自身の絵について語った生の声が収録されています。
勝手に、朴訥なしゃべり方のイメージを抱いていたのですが。
想像以上に、語りが上手かったです。
しかも、優しくて良い声。
『ラジオ深夜便』 のパーソナリティかと思いました。




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制定80年記念 文化勲章受章の作家たち

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国宝ハンターで山陰地方を訪れたついでに、
かねてより一度は訪れてみたかった足立美術館にも足を運んできました。
最寄り駅である安来駅の段階で、「田舎に来たなぁ~」 という感情でいっぱいでしたが。
(注:安来市にお住まいの方、申し訳ありません)

ここから、さらに無料送迎バスで移動。

無料


駅から離れれば離れるほど、「田舎に来たなぁ~」 という感情が強くなっていきました。
というか、もはや不安すら覚えるレベル。

“本当に、こんなところに美術館があるのだろうか・・・”

約20分ほど走ったところで、駐車場に到着。
周りは見渡す限り、畑でしたが、
不釣り合いなほどに広い駐車場、イオンモールくらいの広さの駐車場です。
こここそが足立美術館の駐車場。
観光バスも何台も停まっていますし、一般車も多く停まっています。
どうやら、噂にたがわず人気の美術館のようです。

では、いよいよ足立美術館へ。

足立美術館


・・・・・・・外観は、意外と普通。
公民館みたいな感じです。

しかし、一たび中に入ると、そこには、足立美術館ご自慢の庭園が広がっていました。

庭
庭
庭


さすがに、「庭園日本一」(※)14年連続で選ばれているだけはある庭。
(※アメリカの日本庭園専門雑誌 『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』 が行っている日本庭園ランキング)
美しさはもちろん、面積5万坪とスケールも破格の日本庭園です。
しかも、枯山水庭や苔庭など、全部で6つのゾーンに分かれています。
まるで、日本庭園のデ●ズニーランド状態です。

そんな日本庭園のデ●ズニーランドを作った、
ウォルト・デ●ズニー的な人物が、こちらの足立全康さん。

ミシュラン


足立美術館の設立者にして、島根県出身の実業家です。
日本美術の良さがわからない人でも、日本庭園の美しさならわかるはず。
そこを入り口にして、日本美術に慣れ親しんでほしいという、
オリジナリティ溢れる発想から、今では日本を代表するこの日本庭園を作るに至ったそうです。
ちなみに、庭園を飾る庭石や松の木などは、足立さん自ら日本全国を歩いて捜してきたとのこと。
日本庭園にかける情熱が、ハンパではありません。

どの日本庭園もさすがに素晴らしかったですが、
個人的には、横山大観の 《白沙青松》 をモチーフにした白砂青松庭がお気に入り。
思わず、スマホのパノラマ機能を使って撮影してしまいました。

お気に


さてさて、日本庭園も素晴らしいですが、
足立美術館でもう一つ忘れてはいけないのが、横山大観のコレクション。
総数130点にも及ぶ大観コレクションは、質量ともに日本一として知られています。

大観


大観が昭和15年に自らの画業50年を記念して描いた、
《海に因む十題》《山に因む十題》 (通称「海山十題」) という全20幅の連作。
そのうちの数点を足立美術館が所有しています。
中でも特に見逃せないのが、《海潮四題・秋》
こちらは長い間行方不明で、2004年に発見されたばかりの幻の一枚です。

大観


他にも、本館2階にある横山大観特別展示室には、横山大観の名品が多数展示されていました。
大観ファン、日本美術ファンには、間違いない美術館です。


ちなみに、同じく本館2階の展示室では、
秋季特別展として、“制定80年記念 文化勲章受章の作家たち” が開催されていました。
これまでに文化勲章を受賞した日本画家は、39名いますが。
今回の展覧会では、横山大観はもちろん、女性として初めて受章した上村松園や、

松園


1939年に文化勲章を受章した川端龍子をはじめ、

アイゼン


足立美術館が所有する19名の文化勲章作家の作品が一堂に展示されていました。
文化勲章にスポットを当てるとは、今までありそうでなかった展覧会。
ただ、まぁ選ばれて然りな日本画家ばかりでしたので、
普通に近代日本画の名作を集めた展覧会といった感じでした。
文化勲章がどうこうというわけではなく (笑)

とりあえず、竹内栖鳳の 《爐邊》 が可愛かったです。

爐邊


連れて帰りたくなったほど。
「どうする?アイフル!」 状態になりました。


日本庭園も素晴らしかったですし、
横山大観のコレクションも素晴らしかったですし、展覧会も、まぁ素晴らしかったです。
ただ、入館料の2300円は、ちょっと割高な印象。
コーヒーやお茶も1杯1000円していましたし。
星星
価格感も、デ●ズニーランド。




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開館120周年記念 特別展覧会 国宝

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今年2017年は、京都国立博物館が開館して120年目という節目の年。
それを記念して、現在、京都国立博物館では、
“開館120周年記念 特別展覧会 国宝” というスペシャルすぎる展覧会が開催されています。

国宝
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


2017年現在、国宝は1108件。
そのうちの223件は建造物、美術工芸品は885件です。
今回の展覧会には、美術工芸品の約4分の1にあたる約200件もの国宝が日本各地から集結!
全4期にわたって、一挙公開されます。

右を観ても国宝。

国宝


左を観ても国宝。

国宝


前を観ても、振り返っても国宝。
見渡す限り、国宝です。

国宝


キャプションには、いちいち 「国宝」 とは書かれていません。

キャプ

なぜなら、すべて国宝だから。
国宝ハンター的には、夢のような光景、鼻血モノの光景です。
興奮が止まりません!

中でも、個人的に一番興奮したのは・・・

風神雷神


俵屋宗達の 《風神雷神図屏風》 が、ごくごくサラッと展示されていたこと。(注:展示は11月26日まで)
いつもは主役級の扱いで展示されるのに、
今回は、その他大勢の内の一つみたいな感じで展示されていました。
その贅沢な使い方 (?) に、逆に興奮してしまいました。


そうそう、贅沢と言えば、10月22日までの期間限定ですが、
中世絵画を紹介する1室に、雪舟の国宝6点すべてが勢ぞろいしています。

雪舟
8天橋立図(small)
国宝 雪舟 《天橋立図》 室町・16世紀 京都国立博物館 (注:展示は、10月3日~10月29日)


6件すべてが揃うのは今回が初めて。
まさに奇跡の共演。
SMAPの元メンバーが6人集まるよりも奇跡の共演です。
この光景を観るためだけに行く価値は大いにあり。


・・・でも、日程がどうしても合わずに、
雪舟の国宝コンプリートの期間が終わってしまったとしても、ご安心を。
Ⅲ期では、長谷川等伯の 《松林図屏風》 と、

左隻
右 
国宝 長谷川等伯 《松林図屏風》 桃山・16世紀 東京国立博物館 (注:展示は、10月31日~11月12日)


長谷川久蔵の 《桜図壁貼付》 が夢の親子共演を果たしますし、

桜図壁貼付 長谷川久蔵筆
国宝 長谷川久蔵 《桜図壁貼付》 桃山・16世紀 京都・智積院 (展示は、10月24日~11月12日)


Ⅳ期では、根津美術館のマスターピース 《燕子花図屏風》 が100年ぶりに京都に里帰りします!
とにかく話題に事欠かない、魅力的なコンテンツ満載の展覧会です。
まさに国宝級の展覧会といえましょう。
星星星


ちなみに、国宝の展覧会といえば、
2014年に京博のライバル (?) 東博にて、“日本国宝展” が開催されていますが。
それと比べて、やはり国宝の彫刻 (=仏像) は充実していました。

京都
2釈迦如来立像(small)
国宝 《釈迦如来立像》 中国 北宋・雍煕 2年(985) 京都・清凉寺 (展示は、10月17日~10月29日)


国宝の彫刻のうち、関西以外にあるものは、たったの8件。
つまり、ほとんどの国宝の彫刻は関西にあるわけです。
そういう意味でも、彫刻の展示室に関しては、
このジャンルは負けてたまるかとばかりに、維持とプライドが滲み出ていたように思います。




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アートテラーのいちばん長い日

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2017年9月30日14時。
アートテラー・とに~最大のチャレンジ企画27時間アートツアーは、ソニービル跡地にて始まりました。

アートテラー


トップバッターを飾るのは、“みんなの大東京建築ツアースペシャル 炎の三番勝負”
今年で8年目を迎える大人気企画みんなの大東京建築ツアーの超スペシャル版です。

立ち上げ当初から講師を務めている建築家の伊藤嘉朗氏と照内創氏による初のガチンコ対決企画。
「是非観て欲しい!」 という都内の建築を、お互いがそれぞれガチでプレゼン。
両方を観た後に、どちらの建築のほうが心により刺さったのか、
お客さんに挙手して頂き、その多さで勝敗を決めるという企画です。

画像


対決企画とはいえ、メンバー3人が揃ってのツアーは、
数年ぶりとあって、終始、基本的には和やかなムードでした。
(ジャッジタイムは真剣で、意外とピリッとしていましたw)

ツアー中、とある超大物建築家の建築を紹介しているときに、
ちょうど建築家ご本人が、建物から登場するというサプライズも発生。
ツアーの参加者さんから、仕込みを疑われましたが、仕込みではないです。

盛り込みすぎて、ツアーは18時30分に終了。
楽しかったから仕方がないですが、予定よりも30分オーバーです。

スタッフ


一番左に写っているのは、スタッフの吉澤女史。
ツアー中、照内創氏や吉澤女史も、
27時間アートツアーTシャツを着用してくれたので、本家の番組っぽい感じになりました(笑)
ちなみに、Tシャツのデザインがカワイイと評判で、記念に欲しいという方が続出。
いやはや、有難い限りです。
イエローもピンクもまだ数枚残っているので、
ご所望の方は、以下のメールフォームにてご注文承っております!
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/

・・・・・と、Tシャツの件はこれくらいにしまして。


建築ツアーが推したため、大急ぎで次の会場へ向かいました。
なんとかセーフ。

ダヴィンチ


こちらのちょっと怪しげなお店、
大衆イタリア酒場ダヴィンチを舞台に行うのは、本音でアート酒という新企画です。

そもそもの発端は、“水曜日のアートテラー” のクレームに関する説の記事。
この記事を通じて、美術館サイドの本音をちらっと紹介したところ、
読者さんだけでなく、美術館の中の人からも、「よくぞ言ってくれた」 と反響がありました。
だったら、その両方の人間が、お酒を飲みながら本音で語り合ったほうが早いんじゃない?
ということで、考えたのが、今回の企画です。

ゲストの学芸員は、横浜市民ギャラリーあざみ野の天野太郎さんと練馬区立美術館の小野寛子さん。
イベント開始当初は、美術館に多く寄せられるクレームに関して、
学芸員、美術館側の立場としての意見を述べてくれて、わりと真面目な雰囲気だったのですが。
お酒が進むにつれ、裏話が出るわ出るわ。
ほとんど本家の 『本音でハシゴ酒』 状態でした (笑)
その時の一枚が、こちら。

ダヴィンチ


僕は、この後が長いので、お酒は1杯で我慢しました。
2人は楽しそうだなぁ。


宴もたけなわで、本音でアート酒が終了。
お次は、六本木へと移動します。
ここから朝6時までの長丁場、今回のツアーの山場である、
今夜は眠らない!六本木アートナイトツアーが始まります。

朝


途中、若干眠くなったりもしましたが。
24時間人間時計というパフォーマンスをしているアーティストに出会って、

24時間


「あんなことするのに比べて、断然アートツアーのが楽しい!」 と目が覚めました (笑)

さらにダメ押しは、早朝のクラシックなラジオ体操というプログラム。
日本フィルハーモニー交響楽団の生演奏でラジオ体操を踊ります。

ラジオ


疲れは溜まりますが、目はパッチリ。
27時間ツアーの半分を折り返しましたが、まだ行けそうな気がします。


ここで一旦帰宅。
滞在できるのは。約30分。
シャワーを浴びて、髭を剃って、着替えて、残る2つのツアーの準備をして・・・と、ここで時間。

アートツアーの集合場所についたのは、ギリギリ8時でした。
ここからは、高天麗舟先生と行く!都内の仏像手相鑑定の旅
仏像の手相を、勝手に鑑定する人気企画、3年ぶりの復活です!
今回は高天麗舟先生とともに、都内のお寺を巡り仏像の手相を鑑定していきます。

まずは、手相の観方のレクチャータイム。

Tシャツ


30分くらいのトークとなるので、頭が回らなかったらどうしようかと不安だったのですが。
全然、問題なかったです。
自分で言うのもなんですが、ちゃんと笑いを取れていました。
むしろ、眠いくらいの時のほうが、調子がいいのかも。

レクチャータイム終了後は、護国寺や目黒不動尊などの仏像の手相を鑑定。

手相


感情的な仏がいたり、ストーカー気質な仏がいたり、
ストレスを溜め込みがちな仏がいたり、金運に恵まれてる仏がいたり。
(注:あくまで手相を鑑定した結果です)
まさに、十仏十色。
4時間があっという間の楽しい旅でした。

旅


そして、いよいよラストのアートツアーです。

「浮世絵に描かれた街並みは、今、どのような姿になっているのか?」

浮世絵を手掛かりにして、太田記念美術館の渡邉晃学芸員とともに、
東京の街をぶらぶら歩く大人気企画 “そうだ 江戸、行こう。” と、
建築家・山本至氏によるみんなの大東京建築ツアーが一日限りのコラボ。
日本橋から京都にかけての街並みを、浮世絵と建築のWの視点でガイドするツアーです。

ツアー
ツアー


もしかしたら、寝てないからハイになっていただけなのかもしれないですが (笑)
めちゃめちゃ楽しいツアーでした。
内容もさることながら、今回が初対面となる2人の化学反応が秀逸。
司会進行している自分が一番笑っていた気がします。

いっぱい歩いて、いっぱい笑って、ツアーは無事に終了。
気づけば、27時間アートツアーも終了です。

銀座


ツアー終了後すぐに、万歩計を確認したところ、
歩数は実に50000歩超え、総距離は約30㎞でした。
そんなに歩いていたのかと、自分でも引きました。。。
でも、ここまで乗り切ることができたのは、
間違いなく、計75名のお客さんと9名のゲストが参加してくださったから。
皆様の応援があったからこそです。
この場を借りて、改めて、ありがとうございました。


アートツアーは、アートテラーの活動の中で、もっとも大切にしているうちの一つ。
もちろん、多くの人に楽しみにして頂いているブログも、活動の柱のうちの一つではありますが。
やはり、「アート」 の 「テラー (語り部)」。
皆さまと直接お会いして、自分の言葉でアートを伝えることが何よりも大切だと思っています。
おかげさまで、昔よりは仕事が増えてはきましたが、
これからもアートツアーは可能な限り続けていきます。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

現在募集中のアートツアー&アートイベントはこちら↓
https://ameblo.jp/artony/entry-11201204360.html


ちなみに、27時間アートツアー終了後は、打ち上げ。

終了


約3時間くらいあったので、正確には30時間アートツアーでした。




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没後20年 麻田浩展 ―静謐なる楽園の廃墟―

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一般的には、あまり知られていない。
でも、一度作品を目にしたら、ハマる人はドハマりする。
そんな隠れたアーティストを、これまでに何人も発掘してきた練馬区立美術館。
今年の芸術の秋にも、スゴい隠し玉を放り込んできました。

それが、“没後20年 麻田浩展 ―静謐なる楽園の廃墟―”

麻田
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


今年で、没後20年を迎える画家・麻田浩の関東の美術館では初となる大々的な回顧展です。

麻田


この展覧会が開催されるまで、麻田浩という画家の名前は知らなかったのですが。
1980年代には、一部のファンの間でカルト的な人気を誇っていたそうで。
その時にファンだったと思しきオジサマたちが、展覧会の会場にはチラホラいらっしゃいました。
(ちなみに、その時にファンだったと思しきオジサマたちのおかげで、早くも図録の売り上げが好調とのことです)

ただ、麻田浩の名前は知らなくても、
彼の絵は一度や二度は目にしたことがあるかもしれません。
そのミステリアスな作風は、本の装丁に採用されることが多く、
松本清張の名作 『ゼロの焦点』 の表紙にも、麻田浩の絵が採用されています。
ゼロの焦点【電子書籍】[ 松本清張 ]



初期には、当時フランスで流行していたアンフォルメル的な抽象画を描いていましたが、

案ふぉるめる 
兄ふぉるめる


パリに留学してからは、シュルレアリスム風の油彩画を描くようになり、

シュルレアリスム風の油彩画


帰国後は、地表や水滴、鳥の羽根をモチーフにした、
“麻田浩風” としか言い表しようのない独特なスタイルの作品を次々と発表していきました。

麻田浩
麻田浩


ハマる人は、とことんハマる。
受け付けない人は、とことん受け付けない。
好き嫌いがハッキリと分かれるタイプの画家です。
僕は、まんまとハマってしまいました。

色
麻田


麻田浩の作品は、とにかく空虚 (←いい意味で!)。
感情が一切感じられません (←これも、いい意味で!)。
それゆえ、何か物悲しく、眺めているだけで、
心の奥がギュッと締め付けられるようでした (←もちろん、いい意味で!)。
ずーっと眺めていたら、何かトラウマになりそうな気がします (←どちらかと言えば、いい意味で)。
星星


モチーフや世界観、絵肌の風合い、どれを取っても僕好みだったのですが、
それ以上に引きこまれたのは、その独特の色合い。
赤とか青とかエメラルドグリーンとか、一つとして、何色と言える色がありません。
強いて言うなら、麻田色。
麻田レッドに、麻田グリーンです。

色
麻田


どの作品も静かながら強いインパクトがありましたが。
中でも、じわじわボディブローのようなインパクトがあったのは、《沼・月》 という作品。

沼・月


タイトルになっている沼と月が、
黒く塗りつぶされているという不思議な、いや不可解、不条理な作品です。
緻密に描かれた周囲の風景と、月と沼とが、なんともアンバランス。
不協和音を奏でていました。
ちなみに、こちらは自殺した晩年に描かれたもの。
何かを予感させるものがあります。


最後に、お気に入りの作品をご紹介いたしましょう。
《草・水》 です。

草・水


画面の手前 (?) を、水が流れ落ちてるという斬新な構図の一枚。
しばらく眺めていたら、このまま水位が上がっていって、
最終的には、絵の中の世界が水没してしまいそうな、不思議な印象を受けました。
独創的な絵なのに、タイトルが普通すぎて草。




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安藤忠雄展-挑戦-

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今年で、開館10周年を迎える国立新美術館。
それを記念して、今年は例年以上に気合の入った展覧会が続々開催されています。
そして、この秋、開催されているのは、
“国立新美術館開館10周年 安藤忠雄展-挑戦-” という展覧会。

安藤忠雄


元プロボクサーという異色の経歴を持ち、
今や “日本一有名な” と言っても過言ではない建築家、安藤忠雄氏。
その過去最大規模となる展覧会です。
展覧会では、安藤氏が半世紀にわたる活動で手掛けた、
89のプロジェクトが、模型や設計資料を交えて紹介されています。

4X4の住宅 (神戸市) 模型
4×4の住宅(神戸市)模型

プンタ・デラ・ドガーナ
プンタ・デラ・ドガーナ 2009年 ヴェニス/イタリア (撮影:© Palazzo Grassi SpA. Foto: ORCH, orsenigo_chemollo)


展覧会の目玉は何と言っても、
安藤氏の代表作中の代表作 《光の教会》 の再現展示。
なんと、原寸サイズ。

光の教会


コンクリート風 (?) のパネルか何かで、
ちゃちゃちゃっと再現しているだけなのかと思っていたのですが。
いやいや、ちゃんと本物のコンクリートでした。

コンクリ


この展覧会のためだけに、わざわざ 《光の教会》 を六本木に作ってしまうだなんて・・・

六本木


どうかしてるぜ!!
(↑もちろん、誉め言葉です)

とは言え、さすがに外観だけの再現だけだろうと思ったのですが。
中に入って、再び驚愕。
内部も、ちゃんと再現されていました。

コンクリ


どうかしてるぜ!!
(↑改めまして、誉め言葉です)

しかも、写真撮影可能。
本物のほうは教会ゆえ、なかなか写真は撮れませんが。
こちらでは、気兼ねなくパシャパシャ撮影することできます。
それゆえ、プロっぽいカメラを持って、撮影している方もチラホラいらっしゃいました。

この 《光の教会》 の再現展示だけでも十分に見ごたえはありましたが。
他にも、約30年に及ぶ直島のプロジェクトを紹介するインスタレーション作品や、

直島
直島


現在の安藤氏のアトリエの一部再現もあり、展覧会は見どころだらけとなっています。
しかも、ただ数が多いだけでなく、現在進行中のプロジェクトも、
これまでに国内外で手掛けたプロジェクトも、そのほとんどが魅力的。
単純に、一度は行ってみたくなりました。
とりあえず、一番行ってみたくなったのは、
巨大なラベンダー畑から、大仏が頭だけ顔をのぞかせる、通称 「頭大仏」 です。




安藤建築といえば、コンクリート打ちっぱなし。
コンクリート打ちっぱなしといえば、安藤建築。

07:住吉の長屋
住吉の長屋 1976年 大阪府大阪市 (撮影:新建築社 写真部) 


自身が主催する建築ツアーを通じて、数多くの安藤建築を目にしてきたため、
「あぁ、またコンクリート打ちっぱなしかぁ」 と、やや退屈な印象を受けたこともありましたが。
今回の展覧会を通じて改めて、シンプルにして大胆、パワフルな安藤建築の魅力を再発見しました。

「ごちゃごちゃ言わんと誰が一番強い建築家か決めたらええんや!」

とばかりに、今でも現役で気を吐き続けている安藤忠雄氏。
これからの活躍にますます期待したいと思います。
星星


ちなみに、個人的にもっとも印象に残っているのは、

腰の
小篠邸 1981/1984年 兵庫県芦屋市 (撮影:新建築社 写真部)


安藤氏が設計した家に住んでいたコシノジュンコ氏本人の言葉。
コンクリート打ちっぱなしの家であるため、
冬は寒すぎて、自宅でスキーウェアを着ていたのだとか。
そんなコシノジュンコ邸の内部写真を映したモニターが小さめで、ちょっと見づらかったのですが。
コシノジュンコ氏の苦労に比べたら、大したことではありません (笑)
むしろ、ちょっと見づらいことで、ちゃんと見ようという気になりました。
建築も展覧会も、ちょっと不便なくらいが、ちょうどいいのかもしれません。




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興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」

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今年の芸術の秋、ド本命の展覧会、
“興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」” が、いよいよトーハクで開幕いたしました!

運慶
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


こちらは、日本一有名な仏師・運慶の展覧会で、
国宝や重要文化財に指定されている名品の仏像の数々が日本中から集結しています。
ちなみに、2017年現在、運慶作とされる仏像で現存しているものは、全部で31体。
そのうちの約7割にあたる22体が、今回の展覧会に出展されています。

仏像


さてさて、会場に入って、まず出迎えてくれたのは、奈良の円成寺にある国宝の 《大日如来坐像》
運慶20代のデビュー作です。

ダイニチ
国宝 運慶 《大日如来坐像》 平安時代・安元2年(1176) 奈良・円成寺蔵 写真:飛鳥園


実は、一昨年に円成寺を訪れて、こちらの 《大日如来坐像》 と対面を果たしているのですが。
安置されている多宝塔がガラス張りだったため、あまりよく見えず。。。

多宝塔
ガラス


《大日如来坐像》 そのものの記憶よりも、
必至にガラスに張り付いた記憶のほうが残っています。
しかし、今回の運慶展では、ガラスに張り付くことなく、
ゆったりと細部まで、思う存分に鑑賞することが出来ました。
しかも、背後からの鑑賞も可能!

背後


この1体だけでも、観に来た甲斐が十分にありました。
ちなみに、この仏像の台座の天板の裏には、運慶の花押 (サイン) があるそうです。
実は、このサインが、現在確認されている中で最も古い仏師のサインとのこと。
なるほど。運慶はかなりアーティスト気質の強い仏師だったようです。

確かに、運慶の仏像は、現代人の目から見ても、驚くほどに写実的。
仏師というよりも、彫刻家といったほうがしっくりくる作品が多いです。
特に、制多伽童子(せいたかどうじ)をはじめとする・・・

八台
国宝 運慶 《八大童子立像のうち制多伽童子》 鎌倉時代・建久8年(1197)頃 和歌山・金剛峯寺蔵 写真:高野山霊宝館


金剛峯寺蔵の 《八大童子立像》 は、造形が絶妙も絶妙。

八代


人生で本物の彼らに出会ったことはないですが、
“たぶんこういう姿をしているんだろうなァ” という妙な説得力があります。
ちなみに、メンバーの中には、ガリガリガリクソンに似ているのがいました。
元キングオブコメディの今野浩喜に似ているのもいました。
どちらかと言えば、芸人顔なのかもしれません。


個人的に一番惹かれたのは、国宝の 《毘沙門天立像》

毘沙門天
国宝 運慶 《毘沙門天立像》 鎌倉時代・文治2年(1186) 静岡・願成就院蔵 写真:六田知弘


腰を少し左にクイッとやったポーズに思わず目を惹かれました。
左手に乗せた宝塔のバランス感覚にも目を惹かれました。
パーマの機械か、はたまたダイソンのスタイリッシュ家電のような光背にも目を惹かれました。
でも、それ以上に目を惹かれたのが、踏みつけられた2体の邪鬼。
いつもは踏みつけられてばかりの可哀相な存在ですが、
この邪鬼は、戟の柄の先を握って、少しだけ抵抗しているように見えます。
ビーチフラッグしているようにも見えます (笑)


ちなみに、展覧会には、運慶の作品だけでなく、運慶の父である康慶や、

慶


運慶の息子である康弁、

弁


運慶イズムを引き継いだ仏師たちの名品の数々もあわせて紹介されていました。

計


まさに、今世紀最大の運慶展。
いや、今世紀最大の仏像展です。
行くべし。
星星星




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アートテラー的お茶漬け生活 ~最終回~

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永谷園のお茶づけ海苔に封入されている東海道五十三次カード。
全55枚揃えるには、何日かかるのか?


アートテラー・とに~が体を張って検証する企画。

タイトル


2017年10月6日。
ついに、その時はやってきました。
不定期に主催しているトークバラエティショー “笑いdeアートナイト” 。
その幕間の時間に、持参した茶碗とお茶づけ海苔で、お茶漬けを食べる僕。

お茶づけ海苔


そして、完食。

完食


これが、約11か月に及ぶお茶漬け生活の最後の1杯となりました。


さて、前回の段階でゴールまで、あと3枚。
これまで出ていないのは、《東海道五十三次之内 桑名 七里渡口》

桑名 七里渡口


《東海道五十三次之内 荒井 渡舟ノ図》

荒井


そして、一番メジャーな・・・

日本橋


《東海道五十三次之内 日本橋 朝之景》 の3枚でした。
特に 《東海道五十三次之内 日本橋 朝之景》 に関しては、
企画開始からずーっとパッケージに印刷されているのを目にしていたので、いつ出るのかとヤキモキ。
パッケージのを切り取って、出たことにしてしまおうか。
そう考えたことは一度や二度ではありません。

あまり


もちろん、パッケージので誤魔化すことなく
ちゃんと3枚すべてのカードを出して、きちんと55枚揃えてゴールしています。

桑名
荒井
日本橋


とは言え、なぜ、前回から一気に3枚も短時間で揃えることが出来たのか。
皆様は不思議に思っていることでしょう。
実は、こんな方法を使ったのでした。

話は2か月前に遡ります―

ゴールまで残り10枚を切ってから連敗が増え、
この先、さらに過酷になるであろう展開に絶望していた夜のこと。

おちゃづけ


“なんとか中身を見る方法はないものか・・・”

と、未開封のお茶づけ海苔を眺めていました。

しかし


しかし、案の定、透けて見えるは、裏の説明書きのみ。
絵柄が何かはわかりません。
いつもならそこで諦めるのですが、この日は、さらに隅々までパッケージを凝視。

本人


すると・・・

発見


「これは!!!」

小窓


発見してしまいました。
この小窓のような部分を上手く使えば、
袋を開けずとも、中のカードを判別することが出来るのではなかろうか。
ということで、袋の上からカードをずらしてみます。

カード


で、裏返します。

カード


「み、見える!!!そして、わかる!!!」

毎日のように 《東海道五十三次》 を観続けてきたため、
この小さな一部を見ただけでも、中身のカードがわかるようになっていました。
諦めなかったものだけに、道は開けるのです。
ちなみに、これは間違いなく、《東海道五十三次之内 神奈川 台之景》 でしょう。

「このゲームには必勝法がある!」

気分は、『LIAR GAME』 の秋山です。





・・・・・しかし。
これは、まさしく禁断の手。
しかも、スーパーの売り場でこの必勝法を使った日には、
おでんツンツン男やじゃがりこ爪楊枝野郎みたいに炎上する可能性は大です。

ということで、この技は封印しておきました。



それから、2か月。
過去最大の15連敗を経験した際に、
もうゴールしてしまおう、と一つの決断をしました。

お茶漬け


一番好きな梅干し茶づけを箱買い。
念のために、もう10袋を購入。

そして、必勝法を使って、残りの3枚を探します。
もし無かったら、追加で買う覚悟もしていたのですが、奇跡的に3枚を発見!

奇跡


そして、この3袋分18食分を食べて、
約11か月に及ぶお茶漬け生活の幕は閉じました。
これまでに食べたお茶づけ海苔は、128袋計747食
応援してくださった皆様、本当にありがとうございました!

ゴール


この結末に、納得しない方も少なからずいらっしゃることでしょう。
しかし、今回のお茶漬け生活を通じて、僕が学んだこと。
それは・・・

「人間、一つの課題に真剣に取り組んでいたら、思いもかけない解決法を導き出すことが出来る」

というもの。
個人的には、今回の結末に納得しています。

ちなみに、残った大量の梅干し茶づけは、
お茶漬け生活を応援してくださった皆様への感謝のおすそ分けに。
「別にいらねーよ!」 とツッコまれそうですが、
希望者には、サイン付でプレゼントしようと思います (笑)

サイン


アートツアーの参加者への先着順としますので、
アートツアーに参加表明される際に、「お茶づけ海苔希望」 と書き添えてくださいませ。


さて、ゴールの翌朝。
無意識に、お湯を沸かしている自分がいました。

「あ、今日から朝にお茶漬けを食べなくていいのか!」

完全にパブロフの犬。

完




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渡辺豪 ディスロケーション

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現在、横浜市民ギャラリーあざみ野では、
“渡辺豪 ディスロケーション” という無料の展覧会が開催中です。

ポスター


こちらは、第24回五島記念文化賞美術新人賞を受賞し、
国内外から注目を集めている現代アーティスト渡辺豪さんの最新個展。
2013年末から約1年ほど、フィンランドに滞在していたそうで、
今回の展覧会では、その滞在時の経験をもとにした新作が発表されています。
その一つが、ポスターのメインビジュアルになっている 《M5A5》 という作品です。

M5A5
渡辺豪 《M5A5》 2017 ビデオインスタレーション


モチーフとなっているのは、フィンランドの食器棚。
日本の食器棚とは違って、底が水切になっています。
洗った後、逆さまに置いておけば、自然と水が切れるという、なんとも便利な食器棚です。
IKEAに行けば、販売されているのでしょうか?

・・・・・・・と、それはともかく。
一見すると、普通の写真のように見えますが、実は、こちらはCGで作られたものです。
CGの映像だと知った上で観ても、CGとはわからないレベル。
相当に精巧なCGです。

しかも、画像ではなく、映像作品の一部。
これだけのクオリティ高いCGの映像が48分 (!) もあります。

映像


しかもしかも、モニター5台分。
すなわち、48分×5。
考えただけで、気が遠くなるような作業量です。

5つ


さてさて、肝心の映像の内容ですが。
ほとんど、と言っていいほど、動きはありません (笑)
ほぼ静止画のよう。
48分かけて、じわじわ~っと映像が動いていきます。
まるで、画像の一部が徐々に変化する 「アハ体験」 の映像のよう。
そんなじわじわ~っと変化する “ディスロケーション”、
つまり、“ずれること”“転位” が、渡辺豪作品の最大との特徴であり見どころです。
パッと見て、「面白い!」 という即効性こそないですが、
ボーっと見続けて、「なんか面白いかも。この作品、好きかも」 となるタイプの作品。
半身浴みたいにじわじわ効いてくる作品です。
星


さてさて、もう一つの展示室で紹介されていたのは、
北極圏付近や南極圏付近特有の夏に陽が沈まない 「白夜」 と、
対照的に冬に陽がほとんど昇らない 「極夜」 をテーマにした新作 《M2B2》

M2B2
M2B2


こちらも、もちろんフルCG。
例によって、全く動きが感じられませんが、
48分の映像を通して、どちらも白夜と極夜の1日 (=24時間) を再現しているそうです。
言うなれば、タイムラプスのような感じです。
じーっと見ていると、室内に入り込んでくる光や、
窓から見える景色、窓についた曇りが、じわじわっと変化していくのが感じられました。
しかし、24時間を48分に凝縮しても、これくらいの変化しかないとは。
白夜、恐るべしです。
フィンランド人の体内時計が、どうなっているのか心配になってきました。


ちなみに、展覧会の会場には、他にも渡辺豪さんの新作が。

作品
作品


これらのパネル作品も、写真にしか見えませんでした。

“CGの技術、ハンパ無いなぁ!”

と感嘆していたら、監視員の方に、

「あ、それは写真です」

と教えて頂きました。
渡辺さんの映像作品を見続けた結果、
普通の写真を、CGと感じてしまうようになってしまいました。
感覚が、だいぶディスロケーション。




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「1968年」 ―無数の問いの噴出の時代―

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国立歴史民俗博物館で開催中の “「1968年」 ―無数の問いの噴出の時代―” に行ってきました。

1968年
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


世界的にはベトナム反戦運動が展開され、
アメリカではキング牧師暗殺を契機に公民権運動が勢いを得て、
社会主義圏では、「プラハの春」 と言われたチェコスロバキアの民主化運動が起きて・・・と、
何かと世界各地で社会運動が巻き起こっていた1968年。
日本もその例に漏れず、「ベトナムに平和を!市民連合」(略称:ベ平連) や、
三里塚闘争や水俣病闘争、東大紛争や日大闘争といった学生運動など、多くの社会運動がありました。
そんな日本の1968年前後の社会運動の数々が、
約500点 (!) にも及ぶ膨大な資料で紹介されていました。

展示
鉢巻
展示


一般市民が中心となった社会運動の資料だけに、
展示品の多くは、彼らの手によって作られた配布物、ガリ版によるものでした。

ガリ版


小学校の時のテストやプリントはガリ版だったので、
“あぁ、懐かしいなァ” と感じることは、まだギリギリ出来ましたが。
自分よりも下の世代となると、おそらくガリ版は知らないはず。
世代を感じずにはいられません。


ベ平連も三里塚闘争も水俣病闘争も、
東大紛争や日大闘争といった学生運動も、昭和史を語る上では重要なトピックですし。
社会運動自体は、今でも形を変えて続いていますし。

べ
(ベ平連の若者たちがフォークソングで反戦を訴えていたのは、SEALDsの平和ラップに通ずるものがあります)


意義のある展覧会ということは、重々承知していますが、
1968年の社会運動を知らずに育った僕的には、何の共感もない展覧会でした。
世代の人には、きっとドンピシャなのでしょうが。
星

ガリ版の資料の実物を見たところで、何のテンションがあがるのか?
学生運動していた当時の学生に、どう共感すればいいのか?
そもそも、1968年がテーマなら、ちょうど50年後となる来年まで開催が待てなかったのか?
無数の問いが噴出する展覧会でした。


ちなみに。
全国の学生運動を取り上げたコーナーで、弘前大学も紹介されていたのですが。

全国


そこに、のちに 『ガンダム』の生みの親の1人となるアニメーターの安彦良和氏の名前を発見。
実は、安彦氏を中心とするメンバーは、弘前大本部を3週間も占拠したことがあるとのこと。
最終的には建造物侵入、不退去罪の疑いで逮捕され、大学を除籍処分になったのだとか。

「認めたくないものだな。自分自身の、若さゆえの過ちというものを。」

シャアのあの名言は、こんな過去から生まれたのかもしれません。



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「怖い絵」展

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今年の芸術の秋、大本命の展覧会 “「怖い絵」展” が、
ついに10月7日より、上野の森美術館にて開幕いたしました!!

怖い絵
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


こちらは、今年めでたく刊行10周年を迎える・・・

怖い絵 (角川文庫)/角川書店



作家・ドイツ文学者の中野京子氏の大ベストセラー 『怖い絵』 をベースにした展覧会です。
これまでにシリーズで紹介された怖い絵はもちろん、
中野京子氏監修のもと、今展のために新たに選び抜かれた新作の怖い絵も世界中から集結。
全80点の怖い絵が、観客を恐怖のどん底に叩き落とします。フハハハハ。


と、それを聞いて、

「ホラー映画苦手だから、やめとこうかなぁ・・・」

と思った方もいらっしゃるでしょうが、どうぞご心配なく。
確かに、中にはフューズリの 《夢魔》 のように、
モンスターが描かれた見た目からして怖い絵もあることにはありますが。

フューズリ 《夢魔》
ヘンリー・フューズリ 《夢魔》 1800-10年頃 油彩・カンヴァス ヴァッサー大学、フランシス・リーマン・ロブ・アート・センター蔵
© Frances Lehman Loeb Art Center, Vassar College, Poughkeepsie, New York, Purchase, 1966.1



出展作のほとんどは、ウォーターハウスの 《オデュッセウスに杯を差し出すキルケー》 や、

キルケ―
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 《オデュッセウスに杯を差し出すキルケー》 1891年 油彩・カンヴァス オールダム美術館蔵
© Image courtesy of Gallery Oldham



ファーブルの 《スザンナと長老たち》 のように、

スザンナと長老たち
フランソワ=グザヴィエ・ファーブル 《スザンナと長老たち》 1791年 油彩・カンヴァス ファーブル美術館蔵
© Musée Fabre de Montpellier Méditerranée Métropole, France – Photographie Frédéric Jaulmes – Reproduction interdite sans autorisation



一見すると特に怖くはない、普通に美しい絵です。
これらはすべて、本家 『怖い絵』 同様に、
物語の背景を知ってから見ると怖く感じられる絵。
もし、ホラーが苦手な方は、情報を遮断して、絵だけに集中すれば問題ありません (←?)。

ホラーが苦手でない方は、作品に寄せられた中野京子氏のテキストや、

テキスト


作品の近くに添えられたキャプションをヒントに、

作品


作品の秘密を紐解き、ワーワー怖がりながら展覧会を楽しみましょう。
さらに、ホラー大好きな上級者の方は、吉田羊さんによる音声ガイドを借りるのがベター。

アトラクション


まるで恐怖アトラクションのように楽しめます。
これまでの展覧会にはない新感覚の展覧会でした。


ちなみに、今回の展覧会の目玉は何と言っても・・・

レ出路


ポール・ドラローシュの 《レディ・ジェーン・グレイの処刑》 です。

ポール・ドラローシュ
ポール・ドラローシュ 《レディ・ジェーン・グレイの処刑》 1833年 油彩・カンヴァス ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵
Paul Delaroche, The Execution of Lady Jane Grey, © The National Gallery, London. Bequeathed by the Second Lord Cheylesmore, 1902



こちらは、ロマン主義を代表する画家ドラローシュの代表作。
縦2.5m、幅3mにもおよぶ大作です。
わずか9日間だけ王位にあった16歳の若きイギリス元女王ジェーン・グレイ、
その処刑直前のシーンが、まるで演劇の一場面のようにドラマチックに描かれています。
1928年にテムズ川で大洪水が起こった際に、どさくさに紛れて一度行方不明となってしまいましたが。
その約半世紀後の1975年に、奇跡的に再発見。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーで公開されて以来、
同館でもっとも人気のある作品として不動の地位を築いているそうです。
絵をじっくりと見る人が多すぎて、
展示室の床のワックスを定期的に塗り直さなければならないほどなのだとか。
そんなイギリスの至宝だけに国外に貸し出されたのは、これまでに1度だけ。
今回が史上2度目とのことです。
まさに奇跡の来日!


こんな貴重な機会をみすみす逃してしまうことが、何よりも怖いです。
文句なしに3ツ星の展覧会。
這ってでも行くべし。
星星星


・・・・・最後に。
“文句なしに” とは言いましたが、あえて一つだけ言わせて頂くならば。
たまに、「あれ??」 と違和感を覚えるキャプションがありました。

お前


“もしかして、笑いを取りに行ってる??”

ちなみに、ホガースの 『ビール街とジン横丁』より 《ジン横丁》 に添えられていたのは・・・
ホガース


「ジン生、いろいろ」 の一文。
これは、もう完全に確信犯ですね。
怖がらせたいのか、笑わせたいのか。
感情がややこしいことになりました (笑)




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【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】

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現在募集中のアートツアーです。

アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画を心掛けております。
初参加の方も多いので、どうぞお気軽にご参加くださいませ♪
(男女比は、7:3くらいで女性が多いです。
 また、おひとりで参加される方が大半ですので、一人でもふらっと遊びにいらしてください!)
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
参加希望の方は、お手数をおかけして恐縮ですが、
件名に希望するアートツアーを明記して、以下のメールフォームよりお申し込みくださいませ。
詳細をお知らせいたします。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
お知らせ先のメールアドレスが間違っている方が、ごくたまにいらっしゃいます。
こちらからの返信がない場合は、もう一度ご確認頂けますと幸いです。


10/14(土) LOVEだけじゃない!新宿ミステリーアートツアー

今回は、新宿を舞台にしたミステリーアートツアーをお届けいたします。

新宿のアートと聞いて、《LOVE》 を思い浮かべた方は多いでしょうが。
いえいえ、新宿には、まだまだまだ沢山のパブリックアートがあるのです。
それらを紹介するのは、もちろんのこと。
現在、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館にて、
絶賛開催中の “生誕120年 東郷青児展 抒情と美のひみつ” も鑑賞いたします!
さらに、無料で楽しめる㊙美術館もご案内♪
新宿の隠れたアートな一面に徹底的に迫るアートツアーです。
どうぞご期待くださいませ。

時間:13時~17時
定員:12名
参加費:1500円 (鑑賞代を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/



10/22(日) みんなで並ぼう運慶展!

今年の芸術の秋の大本命展覧会の一つ、運慶展
スター仏師の史上最大規模の展覧会ということで、
展覧会初日から早くも行列が発生してしまっているそうです。

“一人で並ぶのはなぁ・・・。”

でも、観たい!

そんな皆様のために、今回のイベントを企画しました。
みんなで並べば、行列もまた楽しい想い出になるはず。
図録や運慶特集の 『芸術新潮』 を持参しますので、
待ち時間を使って、見どころをガイドさせて頂きます。
鑑賞後は、みんなでカフェでまったりトークをいたしましょう。

時間:13時~17時
定員:15名
参加費:1500円 (鑑賞代を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/



10/29(日) みんなで並ぼう怖い絵展!

今年の芸術の秋の大本命展覧会の一つ、怖い絵展
先行して開催された兵庫県立美術館では最大で、チケット購入までに1時間待ち、
入場までに2時間待ち、さらに、音声ガイドを借りるまでに30分待ちだったとのこと。
東京ではこれ以上に並ぶことは必至です。

“一人で並ぶのはなぁ・・・。”

でも、観たい!

そんな皆様のために、今回のイベントを企画しました。
みんなで並べば、行列もまた楽しい想い出になるはず。
図録や 『芸術新潮』 を持参しますので、
待ち時間を使って、見どころをガイドさせて頂きます。
鑑賞後は、みんなでカフェでまったりトークをいたしましょう。

時間:13時~17時
定員:15名
参加費:1500円 (鑑賞代を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/



11/11(土) みんなの大東京建築ツアー【コンクリ建築編】

世界中の建築ファンが憧れる街・東京。
この街には、たくさんの名建築が存在しています。
そんな東京で生活をしていながら、建築に興味が無いなんて。
何ともったいないことでしょう!

「・・・・でも、“建築” って何をどう観たらいいの?? 」

そんな皆様にお送りするのが、みんなの大東京建築ツアー。
実際に東京の街をぶらぶらしながら名建築を巡り、
進行役の自分と講師の建築家が掛け合いをしながら、その魅力をたっぷりお伝えするツアーです。

今回は、国立新美術館にて絶賛開催中の “安藤忠雄展―挑戦―” にちなんで、
安藤建築の代名詞ともいうべき『コンクリート建築』をテーマにした建築ツアーを開催いたします。
まずは展覧会をみんなで鑑賞。
その見どころを、講師の建築家・伊藤嘉朗氏がガイドいたします。
鑑賞後はランチ休憩を挟み、午後からは、都内の名コンクリ建築の数々を巡ります。
(途中、電車移動あり)
歴史的な名コンクリ建築から、最新コンクリ建築まで。
どうぞお楽しみに。

時間:11時~16時
定員:15名
参加費:3000円 (鑑賞代を含む。昼食代、交通費は各自負担)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
http://arc-tour.org/mail.html



いずれのツアーも、皆様のご参加を心よりお待ちしております!!

わらしべ長者生活

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昔、あるところに一人の貧乏な男がいた。
貧乏な生活を抜け出そうと観音様に願掛けしたところ、偶然1本のわらしべを手に入れる。
やがて、そのわらしべはミカンと交換することになり、ミカンは反物と交換することになり。
最終的に、男は大きな屋敷を手に入れるに至る。
人は彼を、こう呼んだ。
わらしべ長者と。



先日、ついに 「アートテラー的お茶漬け生活」 が完結。
多くの方からメッセージまで頂き、それはそれは感動的なフィナーレだったのですが。
一つだけ、頭を抱えたくなる現実がありました。
それは、出費の大きさ。
ハガキを大量に購入したり、最後に箱買い+10袋購入したりで、5万円近くかかりました。
それ以外にも、美術館の鑑賞料やら交通費やら、
国宝ハンターでの高速バス代やら、とかくこのブログは出費が多い!
にもかかわらず、アフィリエイトなどとは無縁なので1円も収入がありません。

このままでは限界を迎えてしまう!!

そんなブログのピンチを救うべく、本日より新企画が始動します。
それが・・・

わらしべ


ルールは単純。
美術品を手に、銀座を代表するギャラリーの数々を訪問し、
昔話 『わらしべ長者』 のように、物々交換してもらおうという企画です。
最終的に、どんな作品に変わるのか。
実に夢のある企画です。


さて、元手 (?) となるのは、我が家に唯一あるアート作品。
日本画家・阿部瑞樹さんの 《月の声》 という作品です。

阿部


今から8年前に、当時の生活費を削りに削って、
オークションで落としたという思い入れの強い作品。
(その奮闘の模様は、こちらに⇒Mission4 オークションで落札せよ!
落札以来、ずっと我が家に飾ってあります。
嬉しいことも悲しいこともみな知ってるこの作品とお別れするのは寂しいですが。
これも企画のため。
致し方ありません!


というわけで、記念すべき最初の画廊にやってきました。
いつも元気いっぱいの山田聖子社長がオーナーを務める靖山画廊
歌舞伎座の真向かいにあるギャラリーです。

聖山


ちなみに、靖山画廊の 「靖山画廊」 という文字は、

靖山画廊


片岡球子が揮毫してくれたのだとか。
確かに、言われてみれば、文字に味わい深さがあります。

さて、僕が訪れたときは、
“中島敦子 漆展” という漆芸の展覧会が開催されていましたが。
(現在は、“ワタべカズ展”[10月10日(火)~2017年10月20日(金)] が絶賛開催中!)

展覧会


漆芸に限らず、日本画、洋画、油絵、写真、彫刻など、古典も現代アートも関係なく、
山田社長が純粋に 「面白い!」 と思った作家を紹介しているのが、靖山画廊の一番の特徴です。


では、いよいよ本題。

「とに~さんが、どんな絵を持ってくるのか、今日は楽しみにしていましたー♪」

と、いつものように明るく元気な山田社長。
しかし、一たび絵を前にすると、途端に口数が少なくなりました。

悩む


“えっ?!僕はお気に入りの絵なんだけど、プロの目から見るとそうでもないのかなァ・・・”

と不安でいっぱいに。。。
すると、山田社長の口から、こんな言葉が飛び出しました。

「いや、予想していたより、イイ絵!ビックリした!」

ホッと一安心です。
アートテラーとしても、なんとか面目を保てそうです。

「たいしたことない絵を持ってこられたら、どうしようかと思ってたけど (笑)
 でも、これはこれで困ったわね。交換する絵を真剣に考えなきゃ」

そう言って、収蔵庫へと消える山田社長。

社長


時計15分経過時計

1枚の絵を抱えて、山田社長が戻ってきました。

「何と交換するか、すっごく悩んだけど、この作品はどうかしら?
 阿部瑞樹さんって作家さんは、若いのに日本画の基礎がしっかりしてるのよ。
 だから、同じくらいの年齢で、かつ日本画の基礎がしっかりしているツジモトコウキ先生の作品」

辻本


人気急上昇中で、これからさらにブレイクすること間違いなしの作家。
そう山田社長が太鼓判を押すだけあって、完成度が抜群に高いです。
しかも、世界観も確立しています。
交換によりサイズこそ小さくなりましたが、その分、ギュッと濃縮した印象です。


ちなみに、阿部瑞樹さんは普段は自動車を日本画で描く作家であって、
彼による美人画は、おそらくこの1点であることを山田社長に伝えたところ・・・
(彼のHPを見るに、どうやらいまだに描いていないようです)

「この子は、人物を描いたほうが、絶対もっと売れると思う。
 とに~さんのせいで人物を描いていないんだったら、早く本人に伝えてあげたほうがいいわよ!」


阿部さん、申し訳ありません。
もし、このブログを読まれていたら、
これからは僕に気にせず、好きな絵を描いてください!


というわけで、月の女神の絵から、月のクジラの絵に。
意外な変身を遂げました。

家
家


この先、どう変身していくのか。
今後の展開にご期待くださいませ。




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中世宇都宮氏 頼朝・尊氏・秀吉を支えた名族

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現在、国宝が約200件出展される空前絶後の国宝展、
“開館120周年記念 特別展覧会 国宝” が、京都の国立博物館にて絶賛開催中なわけですが。
実は、ほぼ同じタイミングで、国宝21点が出展される地味にスゴイ展覧会が開催されています。

その展覧会が開催されているのは、東京でも大阪でも愛知でも福岡でもなく、栃木県。
今年で開館35周年を迎える栃木県立博物館です。

栃木県立博物館


こちらで、現在、開催中の・・・

展覧会


一見地味な感じのする “中世宇都宮氏 頼朝・尊氏・秀吉を支えた名族” という特別展。
この展覧会に、なんと国宝と重要文化財あわせて約70件が出展されています。
人も展覧会も、イメージで判断してはいけませんね。

さてさて、こちらは、平安時代末期から戦国時代にかけて400年以上にわたり、
宇都宮を拠点に活躍した名門武家・宇都宮氏に本格的にスポットを当てた展覧会です。

宇都宮氏軍旗 《宇都宮氏軍旗》 高津古文化会館


宇都宮の宇都宮氏。
よっぽど歴史に詳しい人でないと知らないであろうマイナーな一族です。
もちろん僕も知りませんでした。
(宇都宮という名字で思いつくのは、宇都宮隆くらいですw)

そんな宇都宮氏ですが、豊臣秀吉によって改易され、
歴史の表舞台から消えるまでは、関東を代表する有力な一族だったとのこと。
その証拠に、3代の宇都宮朝綱は、源頼朝をして 「関東一の弓取り」 と言わしめたり、
楠木正成らが挙兵した際に9代の宇都宮公綱は、楠正成に 「坂東一の弓取り」 と言わしめたり。歴史の表舞台に、宇都宮氏は何度もちょこちょこ顔を出しています。

特に重要な人物なのが、見た目が堺正章にどことなく似ている5代の宇都宮頼綱。

宇都宮頼綱


マチャアキに負けず劣らずマルチな才能の持ち主です。
今回出展されている国宝の 《法然上人絵巻》

法然上人絵巻
《法然上人絵巻 巻四二》 知恩院


この中で、法然の遺骸を護衛しているのが頼綱です。
また、文化人としては、こんな功績も。
歌人の藤原定家と親交が深く、京の別荘小倉山荘に住んだ際に、
定家に選定してもらった和歌98首を、襖絵として飾ったのだそうです。
これが、百人一首の成立に繋がったとのこと。
知らず知らず、宇都宮頼綱の恩恵 (?) を受けていたのですね。


さてさて、展覧会では、240点を超える膨大な資料で、
そんな宇都宮氏の知られざる実像を明らかにしています。
基本的には書状や文書など、字ばっかりなので、
歴史に興味がない人にとっては、やや退屈に感じられることでしょうが。
国宝と重要文化財が展示品の半数を占めているのは、やはり圧巻。
また、仏像もありましたし、

阿弥陀如来立像
重要文化財 《阿弥陀如来立像》 大念寺


刀剣もありましたし、
7月の記事で紹介した 「布袋国広」 の実物が出展されていました!)

邦弘


あの有名な豊臣秀吉の肖像画もありましたし、

豊臣秀吉像 南化玄興賛
重要文化財 《豊臣秀吉像 南化玄興賛》 高台寺 (注:展示は前期のみ)


栃木で開催されているからと侮るなかれ、
想定外に見ごたえの多い展覧会となっていました。
星


ちなみに、今回個人的に一番印象に残ったのは、
歌人として5代の頼綱と交流のあった時宗の僧・他阿(たあ)の彫像です。

他阿真教上坐像


晩年に患った中風によって口許が歪んでしまったそうで、
この彫像は、それを残酷なまでにリアルに再現しています。
その痛々しいまでの迫真性には、思わず見ているこちらの顔が引き攣ってしまいました。


そうそう、顔が引き攣ったといえば、
こんなトピック展示も同時に開催されていました。

ヒアリ


まさか、ヒアリに出会うとは。
中世宇都宮氏からヒアリまで。
守備範囲の広い栃木県立博物館です。




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オットー・ネーベル展 シャガール、カンディンスキー、クレーの時代

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現在、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催されているのは、
“オットー・ネーベル展 シャガール、カンディンスキー、クレーの時代” という展覧会。
ドイツとスイスで活動した画家オットー・ネーベル (1892~1973) の日本初となる回顧展です。

オットー
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


オットー・ネーベル。
初めて耳にする名前の画家です。
オットーと呼ぶべきなのか。
ネーベルと呼ぶべきなのか。
それすらわかりません。
とりあえず、フルネームでオットー・ネーベルと呼ぶことにします。

12_ネーベルの肖像写真
ネーベルの肖像写真 1937年 (オットー・ネーベル財団提供)


まずは、その簡単なプロフィールからご紹介。
オットー・ネーベルは画家として活動する一方で、
版画家や詩人、著述家、役者としても活動したマルチな人物です。
1920年代にワイマールに滞在し、
バウハウスで教鞭を取っていたカンディンスキーやパウル・クレーらと出会いました。
特にクレーとは生涯にわたる親交を結んだそうです。
それは、オットー・ネーベルの作風を見れば明らか。

オットー
オットー


色合いといい、雰囲気といい、サイズ感といい。
クレーの作品を彷彿とさせるものがあります。
ちなみに、展覧会ではクレーの作品も併せて紹介されているのですが。

クレー


もはや、どっちがオットー・ネーベルで、
どっちがクレーなのか、パッと見では判別不能。
オットー・ネーベルかと思えば、クレーで、
クレーかと思えば、オットー・ネーベルで。
『君の名は』 状態です。


ただ、それはあくまで、パッと見での話。
ちゃんと近づいて、よくよく見てみると、
オットー・ネーベルとクレーの作品には、大きな違いがありました。
オットー・ネーベルの作品のほうが、マチエールがハッキリしているのです。

オットー・ネーベルで


ツヤツヤ。ザラザラ。キラキラ。ラメラメ。
物質感が強いです。
主張してきます。
クレーの絵が線で絵を描いている感じなら、
オットー・ネーベルの絵は、絵の具を塗り重ねて描いている感じ。
絵画というよりも、工芸品に近い印象を受けました。

輝く黄色の出来事
オットー・ネーベル 《輝く黄色の出来事》 1937年、油彩・キャンヴァス、オットー・ネーベル財団


クレーの作品も好きでしたが、
個人的にはオットー・ネーベルの作風のほうが好み。

聖母の月とともに
オットー・ネーベル 《聖母の月とともに》 1931年、グアッシュ・紙、ベルン美術館

オットー


どこがどうとは具体的に好きな理由は挙げられませんが。
色のセンスや絵肌の質感が、いちいちツボ。
お気に入りの画家が、また一人増えました。
星


ちなみに、一番印象に残っているのは、《避難民》 という一枚。

オットー・ネーベル
オットー・ネーベル 《避難民》 1935年、グアッシュ、インク・紙、オットー・ネーベル財団


避難民というタイトルとは裏腹に、
悲壮感や緊張感が全く感じられません。
何かのマスコットキャラクターのようです。
避難民クンと、そのパパとママみたいな。
もし、避難する人のためのマニュアル本があるならば、
避難民クン一家がガイド役で登場するのかもしれません。




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重要文化財 長谷川等伯障壁画展 南禅寺天授庵と細川幽斎

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旧熊本藩主・細川家伝来の美術品や歴史資料を収蔵し、一般公開している永青文庫。
目白台にある隠れ家系のミュージアムです。
最近すっかりご無沙汰していたのですが、約1年ぶりに訪れることに。
すると、門がリニューアルされていました。

門


なんだかオシャレな感じに。
しばらく見かけないうちに、垢抜けていました (←?)。


そんな永青文庫で、現在開催されているのが、
“重要文化財 長谷川等伯障壁画展 南禅寺天授庵と細川幽斎” という展覧会です。

衛星


細川家とゆかりがある南禅寺の塔頭の一つ、天授庵。
その方丈を飾る長谷川等伯の障壁画全32画面 (いずれも重要文化財!) を公開する展覧会です。

等伯


これらの障壁画は、普段は非公開とのこと。
長谷川等伯ファン、日本美術ファンなら、押さえておきたい展覧会です。
ただし、前後期で障壁画は総とっかえ。
前期16面。後期16面。
残念ながら、一挙展示というわけではなかったです。
星


ちなみに、前期で紹介されていたのは、《禅宗祖師図》 という16面。
禅宗の偉いお坊さんたちのエピソードが題材となっています。
例えば、この一番左に描かれているのは・・・

等伯


「懶瓚煨芋 (らんさんわいう)」 というエピソード。
ある日、皇帝の使者が、懶瓚和尚のもとにやってきます。
その時、懶瓚は牛の糞を燃やして、芋を焼いて食べていました。
しかも、顔を見ると、鼻水が垂れて、鼻水と一緒に芋を口に入れているではないですか。
使者は失笑して、

「皇帝がお呼びです。すみやかに都に向かうように。
 しかし、まず、その前に、鼻水を拭いてはどうですか」

と言い放ちます。
すると、懶瓚は、

「ワシは今、必至に工夫して芋を食っている。鼻水を拭う暇なんかない!」

と、返しました。
・・・・・この時点でも、よくわからないエピソードですが。
その使者の報告を聞いた皇帝は、「さすがは懶瓚!」 と満足したそうな。
なんだ、そのエピソード!


また、先ほどの襖の一番右に描かれていたのは、「南泉斬猫 (なんせんざんみょう)」 というエピソード。

猫


ある時、東堂と西堂の弟子たちが、一匹の子猫を巡って何やら論争していました。
そこに現れたのが、南泉和尚。
南泉は猫をつまみ上げるなり、

「何か言ってみろ!言え無かったら、この猫を叩き斬るぞ!」

と刀を手に恫喝します。
おそらく、そんなクレイジーな展開に、弟子たちは何も言えなかったのでしょう。
そのため、南泉は猫を斬り捨ててしまいました。
・・・・・アウトレイジ??

ちなみに、この襖絵の隣には、
その続編 (?) にあたる 「趙州頭戴草鞋」 を題材にした絵が描かれていました。
それは、こんなエピソード。
南泉が子猫を斬るという修羅場にはいなかった趙州が夜になって帰ってきます。
南泉が趙州に一連の出来事を話したところ、
趙州は草鞋を脱いで、自分の頭の上にちょこんと乗せて部屋から出て行きました。
その行動を見て、南泉は、「あぁ趙州がいたら猫を斬らずに済んだのに」 と嘆いたのだとか。
・・・・・赤塚不二夫漫画??
あまりにもナンセンスです。


そういう意味で、《禅宗祖師図》 は、実にシュールな作品でした。
今の自分では、禅の世界は理解不能。
いつか理解できる日が来るのでしょうか。
(いや、別に来なくてもいい気がしています)


さてさて、展覧会には他にも、長谷川等伯による 《細川幽斎(藤孝)像》 と、
その妻を描いた 《細川幽斎(藤孝)夫人像》 も特別に出展されています。
夫婦が並んだ形で展示されているのですが、
細川幽斎が体を後ろに反らしていたので、若干妻に引いてるように見えました。

細川幽斎(藤孝)夫人像Hosokawa_Yusai


細川幽斎夫人の祈りのポーズが、
某芸能人のYouTubeでの動画を彷彿とさせるものがあります。
とんでもないものを見ちゃったのかもしれません。




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第百四十九話 国宝ハンター、 訝しむ!

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前回までのあらすじ~

日本全国にある1108件の国宝を目にする。
そんな無謀ともいえるチャレンジを続けて、7年目。
本の出版を記念して、ずっと後回しにしてきた鳥取県の投入堂へ。
もっとも危険な国宝とされるだけあって、その道のりは険しい。
崖、鎖、草履とさまざまな困難が立ちはだかるも、死闘の末についに攻略する!
僕が・・・・僕こそが・・・・国宝ハンターだ。



27時間アートツアーの翌日のこと。
この日は、朝10時から京都国立博物館にて、“国宝展” の内覧会がありました。
ゆっくりぐっすり寝たかったところですが、
むしろ、いつも以上に早起きする必要があったのです。

朝5時に起きれるか、かなり不安でしたが、気合と根性で起きて京都へ。
ギリギリ間に合いました。

国宝


人間、なんとかなるものです。
記者発表の後、いよいよ会場へと足を踏み入れました。

そこには、たくさんの国宝が!

・・・・・でも、ほとんど見たヤツ。
それも、苦労して。

こんなに国宝が一堂に会する展覧会が行われるだなんて。

「それさぁ、早く言ってよ~」

松重豊の気持ちがよくわかりました (←?)。

とは言え、未見の国宝もいくつかあり。

会場
会場
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


今回訪れたⅠ期では、以下の7件をハンティングしました。

《麻布著色吉祥天像》(ジャンル:絵画)
《赤韋威鎧〈兜、大袖付/〉》(ジャンル:工芸品)
《天寿国繡帳残闕》(ジャンル:工芸品)
《四騎獅子狩文錦》(ジャンル:工芸品)
《花鳥彩絵油色箱》(ジャンル:工芸品)
《古来風躰抄〈上下(初撰本)/自筆本〉》(ジャンル:書跡・典籍)
《古林清茂墨蹟〈月林道号/泰定四年三月望日〉》(ジャンル:書跡・典籍)


久しぶりの大量ゲットです。
ただし、残りのⅡ期~Ⅳ期にも、
それぞれ未見の国宝があるので、あと3回通わねばなりません。
2週に1回、京博。
なかなかハードなペースです。

ちなみに、国宝展のグッズ売り場では・・・

国宝


ちゃんと国宝ハンターの本が販売されていました!しかも、山積み!!

どうか売れ残りませんように。
子供や孫や甥っ子や姪っ子のために、ついで買いしてくれますように。


さてさて、京博の “国宝展” の陰に隠れてしまい、ほとんど話題に上っていませんが。
実は、国宝が21点も出展される地味にスゴイ展覧会が、
今年で開館35周年を迎える栃木県立博物館で開催されています。
そこで、京博の翌週に宇都宮へ。

栃木県立博物館


その地味にスゴイ展覧会というのが、“中世宇都宮氏 頼朝・尊氏・秀吉を支えた名族”
知る人ぞ知る一族、宇都宮氏にスポットを当てた展覧会です。

展覧会


とりあえず宇都宮氏も気になりますが、
栃木県立博物館のゆるキャラ 「みーたん」 のが気になります。

ミミズ


栃木市の後藤遺跡から出土したミミヅク土偶がモチーフとのことですが。
色はどう見ても、ミミヅクというより、ミミズ。
そのせいで、どうにも生っぽい感じがして、僕は生理的に受け付けませんでした (笑)

と、みーたんは、さておきまして。
展覧会は、前期と後期に分かれていました。
僕が訪れたのは、前期。
出展されている国宝のほとんどは、すでにハンティング済みでした。
未見のものは、《三帖和讃〈親鸞筆/〉》(ジャンル:書跡・典籍) 1件のみ。

惨状


帰り際に、何気なく後期のラインナップを目にしたところ・・・

「ん???!!!」

気づいてしまったのです。
まだ未見の 《附法状〈俊〓筆/嘉禄三年三月廿二日〉》(ジャンル:古文書) が後期に出展することを。

「宇都宮にも、もう1回来なきゃいけないのかー!」

21件出展されている国宝のうち、僕が未見だったのは2件だけ。
その両方が、前期と後期に分かれているなんて、出来すぎている気がします。
きっと栃木県立博物館の人は、国宝ハンターの記事をチェックしていて、
それで、あえて未見の2件の国宝を前期と後期に分けたに違いありません。
そうに決まっています!(←完全なる被害妄想)


というわけで、まんまと2度目の栃木県立博物館。
片道2時間の移動で、テンションはかなり低めです。
そんな僕を、みーたんが待ち受けていました。

み0-たん


みーたん、この野郎むかっ

ろいうか、土偶のくせに、何で貴族の服を着てるんだ!設定どんなだ!
つくづく生理的に受け付けないみーたんです。


ちなみに。
別日には、永青文庫で開催中の “重要文化財 長谷川等伯障壁画展” にて、

衛星


《柏木兎螺鈿鞍》(ジャンル:工芸品) をハンティングしています。

柏木兎螺鈿鞍


芸術の秋。国宝の秋。
1000件を目指して、数を稼ぎたいと思います。

今現在の国宝ハンティング数 920/1108




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日本パステル畫事始め

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今年で開館30年を迎える目黒区美術館。
それを記念して、現在、“日本パステル畫事始め” という展覧会が開催されています。

展覧会


こちらは、武内鶴之助 (1881~1948) と矢崎千代二 (1872~1947) という、
日本のパステル画の先駆者にして、国産パステル作りにも関わった2人にスポットを当てた展覧会。

「30周年にしては、何か地味・・・。」

そう思われ方も、大勢いらっしゃるでしょう。
しかし、目黒区美術館はこれまで積極的に、渡欧した画家を紹介してきた美術館。
くわえて、あえて画材に注目した展覧会も積極的に開催してきた美術館です。
そういう意味では、武内鶴之助と矢崎千代二は、まさに目黒区美術館にうってつけ。
目黒区美術館のために生まれたような画家と言っても過言ではないのです (←?)。


パステルの画家の展覧会と聞いて、
いわゆる “パステルカラー” のふわふわした絵が多い展覧会をイメージしていましたが。

武内鶴之助 《ロンドン郊外
武内鶴之助 《ロンドン郊外》 1908~12 パステル・紙 目黒区美術館蔵

矢崎千代二 《モンマルトル
矢崎千代二 《モンマルトル》 1921 パステル・紙 郡山市立美術館蔵


全くそんなことはありませんでした。

あれ?じゃあ、パステルって何??
知ってそうで意外とパステルのことを知らなかったことに気づかされました。
そんなパステルに関するあれこれが、
パステルの実物を交えながら、展覧会では詳しく紹介されています。

パステル
現在の『ゴンドラ』パステル


ちなみに、ごく簡単にパステルについて説明しますと、
パステルとは、顔料を主体とする素材を棒状に固めたもの。
他の画材と違って、ほぼ顔料そのものであるため、ダイレクトに美しい発色を放つのが特徴です。
また、乾燥時間はゼロ。
速写できるのも大きな特徴です。
それだけ聞くと、いいことづくめのような気もしますが、パステルには大きな弱点が。。。
それは、ベースとなる紙への定着力の弱さ。
粉状となったものが、なんとか紙の上に乗っているという感じなのです。
その儚さが魅力と言えば魅力なのですが、
展示するのも、ましてや動かすだけでもリスクが大きいとのこと。
そんな理由もあって、展覧会で紹介される機会が、あまり無いのだそうです。
というわけで、一部油彩画もありましたが、
パステル画だらけの今回の展覧会は、実に貴重なものと言えましょう。
星


さてさて、武内鶴之助と矢崎千代二。
どちらも初めて目にする画家でしたが、個人的には武内鶴之助の絵のほうが好みでした。
というのも、矢崎千代二は世界各地の風景を題材にしているのですが、
矢崎千代二本人の資質のせいなのか、それともパステルのせいなのか。
フランスを描いても、

矢崎千代二 《マルセーユ》
矢崎千代二 《マルセーユ》 1925 パステル・紙 目黒区美術館蔵


ブラジルを描いても、

矢崎千代二 《リオデジャネイロ風景
矢崎千代二 《リオデジャネイロ風景》 制作年不詳 パステル・紙 郡山市立美術館蔵


なんとなく同じような空気感になってしまっているのです。
フランスやブラジルの景色を描いたというよりも、
フランスやブラジルをイメージしたセットの風景を描いているかのような印象を受けました。
どの景色も暑くもなく、寒くもなく。
常にちょうどいい温度です。
そういう意味では、心地良くはありました。


一方、武内鶴之助の絵画は、暑かったり寒かったり雷鳴が轟いたり、
まるでスナップ写真のように、自然の一瞬の表情が切り取られていました。

武内鶴之助 《雷鳴
武内鶴之助 《雷鳴》 制作年不詳 パステル・紙 個人蔵


ちなみに、メインキャストは武内鶴之助と矢崎千代二ですが、
それ以外の画家のパステル画も、展覧会では紹介されていました。
その中には、パステル画界のビッグスター、ドガやルドンの作品も。

ドガ
エドガー・ドガ 《踊りの稽古場にて》 1884 パステル・紙 ポーラ美術館蔵


さすが30周年。
ちゃんと抑えるところは抑えています。




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パリ♥グラフィック -ロートレックとアートになった版画・ポスター展

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三菱一号館美術館で、この秋開催されているのは、
“パリ♥グラフィック -ロートレックとアートになった版画・ポスター展”

パリ
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


こちらは、19世紀末パリのグラフィック・アートに焦点を当てた展覧会です。
グラフィック・アートと言っても、
現代の僕らがイメージする落書きのようなアートではありません。
版画やポスター、本の挿絵といったグラフィック (印刷) のアートが紹介されています。

会場
会場


そう聞いて、油彩画至上主義 (?) の方々は、

“なんだ版画とポスターか・・・”

と、ガッカリされたかもしれませんが。
19世紀末当時、版画やポスターこそが最先端のメディア。
ロートレックや世紀末の前衛芸術家たちの力によって、
版画やポスターは、絵画と同じく芸術の域まで高められており、
わざわざ収集する愛好家も出現したほどだったのです。

ポスター
(画面右のルイ・カリエ=ベリーズの絵に注目!こんな感じでポスターが壁に貼られ、裕福な人々が鑑賞していたのだそうです)


そんな19世紀パリのグラフィック・アートの名品の数々が、
それも保存状態が最高のものばかりが (紙なので傷みやすい!) 、会場に勢ぞろいしています。

ポスター


浮世絵に興味がない人でも、保存状態が最高の浮世絵を観れば、感動を覚えるはず。
それと同様に、これまで西洋の版画やポスターに興味がなかった人でも、
保存状態が最高の版画やポスターを観れば、きっと感動を覚えるはずです。
そういう意味では、これまで食わず嫌いしていた人にこそ足を運んで欲しい展覧会です♥
星星


さてさて、個人的には、ヴァロットンの作品が数多く観られて、それだけで大満足。
相変らず、モノクロ作品のデザインセンスが群を抜いていました。
痺れるくらいにカッコイイです。

ヴァロットン
フェリックス・ヴァロットン 《お金(アンティミテⅤ)》 1898年 木版 三菱一号館美術館

ヴァロットン


しかし、そんなヴァロットンに負けず劣らず、
センスを光らせていたのが、ジャン=エミール・ラブルール。
目に飛び込んでくるなり、「カッコイイ!」 と引かれました。

負けず劣らず


ラブルール。
その語感から、何となくあくまで何となく、エロスな響きを感じていましたが (←?)。
よくよく作品を見てみると、女性のあられもない姿が描かれていることに気が付きました。
普通にエロス!
ただカッコイイのではなく、エロカッコイイ作品でした。

ちなみに、今回出展されていた作品の中で、不本意ながら一番印象に残ってしまったのは、
エルマン=ポールの 《『ラ・プリュム』誌による第17回または第18回「サロン・デ・サン」展のためのポスター》(写真右) です。

キス顔


なぜにキス顔??
じっと見ていたら、迫ってくるような感じがしました。
しかも、目をつぶったら、まぶたの裏にコイツがいました。
ある意味、怖い絵。


最後に、美術館内で気兼ねなくトークを楽しみたいという方に朗報です。
三菱一号館美術館では初の試みとして、
展覧会期間中の10/30、11/27、12/25 (いずれも月曜日) の3日間で 「トークフリーデー」 を実地。
さすがに独り言は寂しいので、誰かを誘って行きましょう!


┃会期:2017年10月18日(水)~2018年1月8日(月・祝)
 ┃会場:三菱一号館美術館
 ┃
http://mimt.jp/parigura/

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “パリ♥グラフィック” のペアチケットを、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。

https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
(〆切は、10月30日。当選は発送をもって代えさせていただきます)




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