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表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち

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今年の頭に、マティスとルオーの友情に焦点を当てた展覧会を開催したパナソニック 汐留ミュージアム。
この秋は、カンディンスキーとルオーとの接点にスポットを当てた展覧会を開催しています。
その名も、“表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち”

看板
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


「カンディンスキーとルオー??」

かたや、ロシア出身でいわゆる “熱い抽象” で知られる抽象絵画のパイオニア。

カンディンスキー
ヴァシリー・カンディンスキー 《活気ある安定》 1937年 宮城県美術館蔵


かたや、フランス出身で絵の具モリモリな絵肌が特徴的な20世紀最大の宗教画家。

ルオー
ジョルジュ・ルオー 《降誕》 1953年 ジョルジュ・ルオー財団蔵


国も違えば、作風も画題も違う。
接点なんか、どこにも無いような気がします。
とは言え、展覧会を開催するからには、

“マティスとルオーの時みたいに、
 カンディンスキーとルオーの間にも、意外な交流があったんだろうなァ”

と、点と点が結ばれるのを期待していたのですが・・・・・

ほとんど接点はなかったです。やっぱり。

若い時に同じ展覧会に出展していたという接点はありましたが。
そのあとに紹介されていたのは、同じような時代に、
同じように色彩の激しい絵を描いていたというトピックでした。
接点と言えなくもないけど、接点とは言い難い。
色で言えば、まるで玉虫色のような感じです。


というわけで、個人的には、2人の接点がどうのはさておいて、
カンディンスキーとルオー、ときどきクレーの展覧会として勝手に楽しんでました。
(2人と関わりの深い画家として、クレーも大きく取り上げられていました)

カンディンスキー
クレー


それぞれ国内外から名品がやってきているので、それぞれ見ごたえあり。
まるで、主人公が3人いるオムニバスのような展覧会として楽しめました。
星


個人的に一番印象に残っているのは、初期のカンディンスキー作品です。

初期
ヴァシリー・カンディンスキー 《商人たちの到着》 1905年 宮城県美術館蔵


まだ抽象表現には至っていませんが。
その片鱗は、チラホラ。
画面中央の群衆が、無数の色の点で表現されていますし、
城がそびえ立つ丘も、やはり無数の色の点で表現されています。
クローズアップして観てみると、カラフルな抽象画のようでした。


また、クレーの珍しい初期の作品も強く印象に残っています。

クレー


どことなくジョジョ。
どことなく荒木飛呂彦です。
こんなモノクロで不穏な画風の時代もあったのですね。


それと、主役の3人の作品ではないですが、
ガブリエーレ・ミュンターの作品も印象的な一枚です。

ミュンター
ガブリエーレ・ミュンター 《抽象的コンポジション》 1917年 横浜美術館蔵


彼女は、一時期カンディンスキーと恋人の関係にあったとのこと。
その出会いは、美術学校の担当教師と生徒だったのだとか。
生徒に手を出すなんて、カンディンスキーこのこのぉ。
抽象的と言いながら、ちゃっかり画面の左に、
ハートマークを描いているミュンターの浮かれっぷりが気になります。
リア充め。


しかし、何と言っても、今回一番インパクトが強かったのは・・・

エーリッヒ


画面右のエーリッヒ・ヘッケルという画家の作品です。
裸でアンバランスな女性が、口元を抑えています。
えっ、吐くの??
じーっと見てると、自分まで戻しそうになってしまいます (←?)。
なんとも不気味な人物だと思ったら、タイトルは 《木彫りのある静物》 とのこと。
人ではなく、木彫りの彫刻だったのですね。
呪いの偶像にしか見えません。
タワー・オブ・テラーの世界観。


最後に。
今回の展覧会では、美術館では史上初となる自撮りできる記念撮影コーナーが設けられています。

自撮り
自撮り


一人で行っても、ちゃんと記念撮影できますよ。
是非、チャレンジしてみてくださいませ。




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Book:26 『殺されたゴッホ』

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殺されたゴッホ


■殺されたゴッホ

 作者:マリアンヌ・ジェグレ
 翻訳:橘明美、臼井美子
 出版社:小学館
 発売日:2017/10/6
 ページ数:455ページ

百二十年以上にわたって自殺したと信じられてきた、
ポスト印象派の巨匠フィンセント・ファン・ゴッホ。
しかしその死は、じつは他殺によるものだった!
画家ゴーギャンとの共同生活の失敗、弟テオに対する罪悪感や社会からの疎外感…。
2011年にアメリカで発表され評判となった新説に基づき、
ゴッホが残した手紙や日記類、彼をめぐるさまざまな人々の視点から語られる、
ゴッホの苦悩と情熱。
なぜ、誰にゴッホは殺されたのか?殺されなければならなかったのか?
ゴッホ最後の二年間と死の真相に迫る物語!
(「BOOK」データベースより)


稀にみる鬱小説でした (苦笑)

 ゴッホ最後の二年間はほとんど、イイことなし。
 貧乏だわ、孤独だわ、街から追い出されるわ、
 人に馬鹿にされるわ、挙句の果てに精神を病むわ。
 読んでて、終始どんよりした気分でした。

 で、肝心のラスト。
 タイトルの通り、ゴッホは殺されてしまいます。
 犯人は、2011年にアメリカで発表されたゴッホの死の新説で指摘された人物。
 この殺され方が、実にやるせないです。
 冒頭からずーっとどんよりしていましたが、最後の最後で特大のどんより。
 ドどんよりです。

 ゴッホの絵は、絵の具が盛り上がっているのが特徴的ですが。
 このゴッホの小説は、一切、盛り上がりがなかったです。

 とは言え、これぞ本当のゴッホの人生なんだろうなぁ、と思わせるリアリティはありました。
 小説を読んでいるというよりも、ドキュメンタリー番組を見ているかのよう。
 テイストとしては、『ザ・ノンフィクション』 。
 「サンサーラ」 が何度も脳内で再生されました。



 
 あと、この小説のせいで、イメージダウン必至なのが、ゴーギャン。
 彼にとって美味しいシーンは一つもなし。
 読み進めれば、読み進めるほど、好感度が下がっていきます。

 ゴーギャンのよく知られた絵の一つ 《ひまわりを描くフィンセント・ファン・ゴッホ》

ひまわりを描くフィンセント・ファン・ゴッホ


 その裏側に込められた悪意が、小説内で浮き彫りに。
 確かに、指摘されてみれば、そういう風に見えます。
 これまで、この絵を2人の友情の証と思っていたのですが。
 うーん、真逆だったのですね。

 ゴーギャンや、ゴッホを殺した犯人だけでなく。
 耳切り事件後の担当医だった医師レーも。

 医師レーの肖像


 晩年のゴッホの担当医だった医師ガシェも。

 ガシェ


 人間的にどこか問題あり。
 登場人物が 「全員悪人。」 のアウトレイジ状態でしたが (←?)。
 唯一の救いが、ゴッホの弟・テオ。
 その献身ぶりに、心を打たれました。
 もう一度、「サンサーラ」 が脳内で再生されました。


 

 あくまで、これは小説ではありますが、読めば確実にゴッホ神話は崩れます。
 いよいよ来週から東京都美術館で “ゴッホ展 巡りゆく日本の夢” がスタートしますが。
 その前に読まないほうが、ベターです。
スター スター スター ほし ほし(星3つ)」


~小説に登場する名画~

《渓谷》

渓谷

近代香粧品なぞらえ博覧会

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現在、日本で唯一の紅屋である伊勢半本店が運営するミュージアム、
紅ミュージアムでは、“近代香粧品なぞらえ博覧会” という特別展が開催中。
明治期から昭和初期の香粧品、つまり香料&化粧品の変遷をたどる展覧会です。

紅
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


文明開化。
急速な西洋化により、人々のライフスタイルは一変します。
それは、香粧品もしかり。
西洋の最先端の香粧品のようにオシャレにするべく、
国内の香粧品メーカーは、容器のデザインにも力を入れるようになりました。
と言っても、スタート地点はまだこんな感じ。

スタート


ガラスの製造技術が向上し、ガラス製の容器になっても・・・

小瓶


貼られたラベルは、江戸時代風です。

アップ


1周回って、コレはコレでアバンギャルドなデザインのようにも思えてきましたが、
同時代の西洋の容器のデザインと比べてしまうと、どうしてもダサさは拭えません。
ちなみに、西洋化を目指し、容器も西洋風に近づけているのですが。
商品名は、「若ざくら」 だとか、 「富士の雪」 だとか、
挙句の果てには 「都ノ一花筏」 だとか (←演歌かよ!)、古風なまま。
明治20年代後半になってようやく、
「チェリー」 のようにカタカナの商品名が誕生したのだそうです。

チェリー


さてさて、パッケージ以外にも、
西洋の香粧品が日本人に大きなインパクトを与えたものがありました。
それは、香りです。
日本にもそれまで薫香はありましたが、
華やかで豊かな西洋の香りとは、まさに未知との遭遇。
そんな西洋風の香りが、新時代の香粧品の重要なカギとなります。
当時、特に人気が高かった香りは、ムスクと・・・

ムスク


スミレ。

スミレ


スミレに関しては、香水や化粧水だけでなく、石鹸の香りとしても人気だったそうです。

スミレ


今、スミレの香りというと、芳香剤くらいなものでしょうか。
香粧品にスミレが使われている例が、ほとんど思いつきません。
こんなにもスミレが当たり前のように定着していた時代があったのですね。
『すみれの花咲く頃』 や 『すみれ September Love』 と歌われていたのも、納得です (←?)。


・・・と、このように展覧会では、
意外と知らない香粧品のヒストリーが丁寧に紹介されていきます。
見た目は優雅な香粧品の世界。
でも、その裏側では、西洋になんとか追いつけと必死にバタバタもがいていたのですね。
まるで白鳥のよう。
なんと涙ぐましいのでしょう!
明治期の日本の香粧品メーカーが愛おしくなる展覧会でした。
星


西洋のパッケージをパクって・・・もとい、なぞらえていたことにも愛おしさすら感じます。

アウト
夜がよな


おおらかな時代だったのでしょうが、今なら完全にアウト。
隣国のことを、とやかく言えないような気がしてきました。
確信犯的に真似ているパターンもありましたが、なんとなく雰囲気だけを真似ているパターンも。

パッケージ


フランスのほうは、綿がモチーフ。
対して日本のほうは、蜘蛛やホタルがモチーフ。
何で虫にしたし?!


紅ミュージアムでの展覧会なので、
もちろん大正や昭和初期の貴重な紅も紹介されていましたが。

紅


個人的には、明治期に爆発的に流行したという素肌ケア用品に興味津々でした。

キメ


女性だけでなく男性も、スキンケアに夢中だったとのこと。
その事実も衝撃的でしたが、ネーミングもいろいろ衝撃的でした。
例えば、こちらの化粧水の名前は・・・

斬れー


キレー水
そのまんま!
藤子不二雄が付けそうなネーミングです。

また例えば、写真右の化粧品の名前は・・・

キメ


キメを整えるチンキで、キメチンキ
小林製薬が付けそうなネーミングです。

そんな数々の素肌ケア用品にまじって・・・

にきび


にきびとり美顔水なるものがありました。
この時代の人も、にきびが気になっていたのですね。
これが進化して、プロアクティブになるのでしょう。

ちなみに、展覧会と全く関係ないのですが、プロアクティブを連想した瞬間に、
かつてあのCMで流れていた歌詞がちょっと何言ってるかわからない曲が脳内で再生されました。






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70 CREATORS’ SEVEN

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パルコミュージアムで開催中の展覧会、
“ウルトラセブン放送開始50年特別企画展 70 CREATORS’ SEVEN” に行ってきました。

パルコ


こちらは、今年で放送50年を迎える国民的特撮番組 『ウルトラセブン』 をテーマにした展覧会で、
総勢70人の人気クリエイターが思い思いに、『ウルトラセブン』 のオマージュ作品を制作したものです。
参加メンバーは、超豪華!

画力が凄まじい漫画家と評される上條淳士さんに、

上條淳士


日本を代表するシュールな漫画家で、最近では現代美術家としても活躍するしりあがり寿さんに、

しりあがり


サイケアートの巨匠・田名網敬一さんに、

サイケ


「ファイナルファンタジー」 や 「タイムボカン」 シリーズのイラストでお馴染みの天野喜孝さんに、

天野喜孝


“バベルの塔展” とのコラボ企画も記憶に新しい、画家のヒグチユウコさんに、

ヒグチユウコ


荒井良二さんに、片桐仁さんに、横山裕一さんに、と挙げていたらキリがないほど。
・・・ただ、参加メンバーは超豪華なのに。
出展作品一つ一つも見ごたえはあるのに。
展覧会全体としては、「スパーク!」 とも、
「ストライク!」 とも、「アタック!」 とも、そこまで心にガツンとくるものがありませんでした。

その理由はおそらく、ウルトラセブンへの思い入れが強い人が多かったのでしょう、
普通に、ウルトラセブンを題材にしただけの作品が大半だったことにある気がします。

全体
全体


「なるほど、こう来たか!」 的な、
いい意味で世界観を壊すような作品は、ほとんど無し。
もっとウルトラセブンと戦って欲しかったです。
ガッツ星人やパンドンくらいに、ウルトラセブンを追い込んで欲しかったです。
星


個人的には、五月女ケイ子のイラストが好きなので、それが観られただけでも満足。

セブン


このフザケた感じがたまりません。
ちなみに、タイトルは 《ごあいさつ》
フザケてるなぁ (笑)


それから、新鮮な驚きがあったのが、こちらの絵。

みうら


なんと描いたのは、みうらじゅんさんです。
ゆるキャラのようなイラストでくるかと思いきや、意外とマジなタッチの絵。
本当に、ウルトラセブンが好きなのでしょうね。


最後に、ウルトラマンと違って、
どこか陰があるウルトラセブンの独特な世界観に通ずると感じた作品をご紹介。

くるはらきみ


くるはらきみさんの 《ダーク・ゾーン》 という一枚です。
どことなくバルテュスを連想させる少女たちと不気味な影。
そして、棚に置かれたペガッサ星人。
いちいち不穏に満ちています。
もしかしたら、この中の誰かが実は地球侵略を企む宇宙人なのかもしれません。。。


ちなみに。
僕が訪れた平日の夜には、
子供の頃にウルトラセブンに夢中になったであろうオジサマ方が多くいらっしゃいました。
皆様もれなく、グッズコーナーで、いろいろ買いこんでいました。
たぶん、あれも宇宙人の仕業。




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三沢厚彦 アニマルハウス 謎の館

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渋谷区立松濤美術館で開催中の “三沢厚彦 アニマルハウス 謎の館” に行ってきました。
観終わったあとの率直な感想は、ただ一言。

「こんなん絶対に面白いに決まってるじゃん!!」


まず何よりも、今回の展覧会の主役である三沢厚彦さんによって、
クスノキの丸太から彫り出され、油絵具で彩色された実物大の動物たち、通称ANIMALSが魅力的。

ライオン
三沢厚彦 Atsuhiko Misawa 《Animal 2016-01》 撮影:渡邉郁弘 Ikuhiro Watanabe

7三沢厚彦
三沢厚彦 Atsuhiko Misawa 《Animal 2006-08》 撮影:内田芳孝 西村画廊蔵


顔は基本的に無表情ですし、遠い目をしていて心ここに非ずですし。
パッと見はちょっと怖いです。
ただ、顔こそは無表情ですが、
ANIMALSの表面上にビッシリと付いた鑿や彫刻刀の跡は、実に表情豊か。
三沢さんの愛情によって、ただのクスノキ (?) に命が吹き込まれたのがそこに見て取れます。
それゆえ、ANIMALSには血が通っているように感じられるのです。
触れば、きっと体温が感じられるに違いありません (注:お手触れ厳禁)
何はともあれ、見れば見るほど、愛着が湧く個性豊かな作品たちです。

特に可愛らしいのが、ANIMALSのしっぽ。

ANIMALS
三沢厚彦 Atsuhiko Misawa 《Animal 2005-01》 撮影:内田芳孝


ピーンとさせていたり、ファサーッとさせていたり、
モフモフっとさせていたり、チョコンとさせていたり。
それぞれが、思い思いのポーズを取っています。
今まさに動かしたばかりのような臨場感、生命感にあふれていました。


こんな可愛らしいANIMALSが、
まさに 「アニマルハウス」 という名の通り、美術館のあちこちに点在しているのです。
それも展示室だけでなく、階段やエントランス、窓の外やロビーに。

寅
寅


これが、面白くないわけありません!

しかも、三沢さんの呼びかけにより、
30年近く親交のある先輩彫刻家・舟越桂さんや、

船越
舟越桂 Katsura Funakoshi 《言葉をつかむ手》 2004 撮影:岩根悠樹 Yuki Iwane 楠に彩色、大理石 painted camphor wood and marble


同じく親交の深い画家の小林正人さん、

小林
小林正人 Masato Kobayashi 《Unnamed #56》 2016


東京都美術館での個展が先日終わったばかりの杉戸洋さんも、

杉戸
杉戸洋 Hiroshi Sugito 《untitled》 2014 油彩、カンヴァス oil on canvas


アニマルハウスの住人 (?) として、展覧会に参加。
三沢さんのANIMALSと彼らの作品が共鳴しあっていました。

なおさら、面白くないわけありません!

館内は、素晴らしきごちゃごちゃ感、わちゃわちゃ感でした。
僕が訪れたときでも十分に面白かったですが、
この先、期間中に作家が集まって公開制作をしたり、作品をどんどん変化させていくとのこと。
次にアニマルハウスを訪れるときには、どんな風になっているのか。
リピート必至の展覧会です。


ちなみに、展覧会のポスターに使われているのは、
住人の一人、浅田政志さんによる撮り下ろしの写真。
ANIMALSと三沢さん、そして、4人の住人が渋谷区立松濤美術館の前でポーズを決めています。

ポスター
三沢厚彦、舟越桂、小林正人、杉戸洋、浅田政志 with Animals / 2017 Photographs by Masashi Asada


それにしてもこの5人とANIMALS、ノリノリであるw

作家本人たちが本気で面白がっている展覧会。
こんなん絶対に面白いに決まってます。
星星星




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飲食店名に関する説

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アートテラー・とに~が信じる美術に関するを検証していく企画 『水曜日のアートテラー』

水曜日



今回は、美術界の巨匠たちと同じ名前のお店を紹介する企画、
『あなたの街の巨匠たち』 のリサーチ作業中に発見した説を提唱したいと思います。

ピカソ


『水曜日のアートテラー』 の記念すべき第一回目で、個展や二人展でもないのに、
展覧会タイトルに名前を使われがちな芸術家をランキング形式で紹介しましたが。
その際に、ぶっちぎりで1位だったのが、20世紀最大の巨匠ピカソでした。
そして、巨匠の名がついた飲食店をリサーチしている時、やはりよく目にするのもピカソ
展覧会のタイトルだけでなく、飲食店名にもピカソは使われがちのようです。
おそらく、美術界No.1なのでは?

ということで、今回は、食べログの店名検索機能を使い、100人以上の芸術家の名前を調査。
その結果をもとに、飲食店名版の 「名前使われがち芸術家ランキング」 を独自に作成しました。
果たして、説通り、ピカソの2冠達成となるのでしょうか?


「名前使われがち芸術家ランキング」 第10位

北斎 北斎


北斎 13店

世界のHOKUSAIが10位にランクイン!
『あなたの街の巨匠たち』でも紹介した両国の北斎茶房を筆頭に、
すし処 北斎 (北海道) や炙HokuSai (北海道) など13店が存在していました。
東京ディズニーランドの中には、唯一和食を食べれる飲食店として、れすとらん北斎があります。

ちなみに、同数で第10位だった画家がもう一人。

ミレー 13店

日本で人気の高い農民画家ミレー。
その名にあやかった喫茶店やケーキ屋さんが日本各地に存在。
中には、フランソア喫茶室 (京都) のように、なぜかミドルネームのほうにあやかったパターンも。


「名前使われがち芸術家ランキング」 第8位

シャガール


シャガール 14店

喫茶店の名前に多く使われがちだったのが、愛の画家シャガール。
東京、大阪だけでなく、宮城、群馬、愛知、香川にシャガールがあるようです。
ちなみに、「シャガール」 でなく、「シャガァル」 も。
もし、シャガァルがなかったら、北斎とミレーと同位でした。


「名前使われがち芸術家ランキング」 第7位

ダヴィンチ


ダ・ヴィンチ 15店

第8位は、ルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチ。
大衆イタリア酒場 ダビンチ Davinci (東京) や、
トラットリア ダ・ヴィンチ (兵庫) のようにイタリアンのお店に多く使われているようです。
名古屋には、だびん家という名の、和食なんだかイタリアンなんだか、一見よくわからないお店が存在。
ちなみに、ダ・ヴィンチの代表作 《モナ・リザ》 の名がついた飲食店名は、13件ありました。


「名前使われがち芸術家ランキング」 第6位

大観


大観 16店

大観荘大観苑など、
旅館や中華屋さんの名で多くヒットするも、横山大観とは全く関係なさそうなのでそれらは除外。
その結果、展覧会名に名前使われがち芸術家ランキングにおいて、
日本美術界では圧倒的な強さを誇った横山大観が、まさかの第7位にとどまりました。
鮨 大観 (秋田) やすしの大観 (神奈川) など、意外と寿司屋に使われがち。


「名前使われがち芸術家ランキング」 第5位

夢二


夢二 18店

大正ロマンを売りにする飲食店に使われがちだったのが、竹久夢二。
喫茶店から、小料理屋、バー、牛鍋、さらに、天ぷら屋まで。
さすが大衆に人気が強かった夢二だけあって、店名としても大人気です。
沖縄には、なんと沖縄そば屋の夢二も。
沖縄と夢二。
全くイメージが結びつきません。


「名前使われがち芸術家ランキング」 第4位

モネ


モネ 19店

語呂がよくて、2文字という使いやすさからか、純喫茶モネ (神奈川) や、カフェ・ド・モネ (愛知)、レストラン モネの家 (高知) など、全国各地にモネが存在。
中には、東京都昭島市にあるクロード・モネのようにフルネームのパターンも。
また、判断が微妙なため、今回はカウント外としましたが、
CAFE 百音 (新潟) や萌音 (東京) のように当て字のバージョンもありました。


「名前使われがち芸術家ランキング」 第3位

光琳 21店

琳派を代表する絵師・光琳が堂々の3位。
そのスタイリッシュでラグジュアリーなイメージから、
和風のオーセンティックなバーや懐石料理屋に使われがちでした。
しかし、それ以外にも、喫茶店やラーメン屋、浜松餃子の店にも光琳の名が。
琳派の根強い人気ぶりが明らかになりました。


「名前使われがち芸術家ランキング」 第2位

ピカソ


ピカソ 24店

北千住にある炭火焼肉ピカソを皮切りに、
パブロ・ピカソ 秋田店 に、ステーキ懐石 パブロ ピカソ (大阪)。
北は北海道のたこやき&cafe ぴかそから、南は沖縄のバル ピカソまで。
神奈川には、ピカソの恋愛遍歴を想起させる恋するピカソといった店名も。
美術史にその名を大きく残したピカソは、
飲食店名にもその名を多く残していますが、それでも24店どまり。
よって、今回もまた・・・

説立証ならず。。。

ちなみに、鹿児島県には、バッハとピカソという名のケーキ屋さんが存在。
『バピカ』 の略称で、地元の人たちに愛されているとのこと。
それにしても、なぜ、バッハとピカソのカップリングなのか?
謎です。


「名前使われがち芸術家ランキング」 第1位

??? 99店

その名が使われた飲食店の数は、驚異の99店!
言われて見れば、おそらく誰もが納得するであろう、
飲食店名にもっとも多く名前が使われている芸術家とは・・・

写楽
写楽


そう、写楽です。
居酒屋の名前に圧倒的に使われていただけでなく、
静岡県にはテイクアウト専門の寿司屋・東海道写楽が10店舗も展開。

写楽


その結果、第2位のピカソを大きく引き離し、
ぶっちぎりの強さで第1位にランクインしました。
ちなみに、99店は、漢字の 「写楽」 と、
平仮名表記 「しゃらく」 、カタカナ表記の 「シャラク」 を合わせた数。
ランキングとしては除外しましたが、「酒楽」 と書いて、
「しゃらく」 と読ませるお店も、18店 も存在していました。


検証結果

飲食店の名付け親は、ゴッホ (4店) よりピカソよりも普通に写楽が好き。
ちなみに、ルノワールは6店。ルノアールの表記もアリなら、110店。





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昭和の洋画を切り拓いた若き情熱

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八王子市夢美術館で開催中の “昭和の洋画を切り拓いた若き情熱” に行ってきました。

展覧会


こちらは、昭和の洋画壇に名を残す2つの美術団体、
「1930年協会」「独立美術協会」 に焦点を当てた展覧会です。

まずは、それぞれの美術団体を簡単にご紹介いたしましょう。
1920年代前半をパリで過ごした木下孝則、小島善太郎、里見勝蔵、
佐伯祐三、前田寛治の5人の画家が新しい作品発表する場として、帰国後に結成したグループ。
それが、「1930年協会」 です。
その名称は、ミレーやコローが属したバルビゾン派の旧称である 「1830年派」 に由来するのだとか。
スタート時はたった5人でしたが、回を重ねるごとに、勢力が拡大。
4年後には、400名が集う一大勢力へと成長しました。

・・・・・しかし。
創立メンバーの一人、木下は再びフランスへ。
佐伯も渡仏し、30歳の若さで客死。
前田も33歳という若さで病死。
さらに、里見と小島が離脱したことで、ちょうど1930年に自然消滅してしまいます。

さて、その里美と小島のもとに、
三岸好太郎や福沢一郎といった気鋭の洋画家14名が合流し、新たな美術団体が誕生します。
それが、「独立美術協会」。
既存の美術団体との絶縁、新時代の美術の確立を宣言し、昭和の洋画壇に新風を巻き起こしました。


と、一応、大雑把にまとめてみましたが。
政治家の新党の立ち上げみたいで、
美術団体の活動どうこうは、個人的には全く興味がなし (笑)
なので、会場では、それぞれのメンバーの作品を、活動とは切り離して普通に楽しんでました。
星


全体的には、佐伯祐三の 《扉》 や、

扉


児島善三郎の 《ソテツのある公園》 をはじめ、

里美


マティスを彷彿とさせるフォービスム (野獣派) 風の作品が多いのが特徴です。
特に野獣感たっぷり (?) だったのは、里見勝蔵の 《少女》 という一枚。

少女


顔も体も胸も、何がどうなってるのか。
完全に異形です。
野性味ある少女というよりも、もはや野獣に育てられた少女といった印象。
こんな風に描かれてしまったモデルの少女が、可哀相でなりません。


また、もう1つ印象的だった里見勝蔵作品が、こちらの 《メーデー》

メーデー


迫り来る感がハンパではありません。
3D映画を見ているかのようなド迫力でした。
もし、彼らが道の向こうからやってきたら、思わず避けてしまいそうです。
・・・・・避けるとこ、ないけど。


印象的だったと言えば、清水登之の 《山麓の家族》 という作品も。

山麓の家族


なんか、もろもろ変な絵です。
オトンのランニングのピチピチ具合とか。
オカンのポージングとか。
息子の発育具合とか。
影の付き方とか。
謎の根っことか。
あと、なんでまた薪の束を、あんなところに置くのか?
建物の入り口を塞いでどうする。


ちなみに、独立美術協会の初期メンバーには、
小島善太郎と児島善三郎という、よく似た名前の2人の画家がいて、ややこしいのですが。
どうやら、当時から2人はよく間違えられていたそうです。
なので、小島善太郎のほうは、

小島

サインを、「Z.Kojima」 に。
対して、児島善三郎のほうは、


児島


サインを 「Z.Z.Kojima」 にしていたとのこと。
昔から、児島は名前を間違えられやすかったのですね。




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遥かなるルネサンス

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この秋、東京富士美術館で開催中されているのは、
“遥かなるルネサンス 天正遣欧少年使節がたどったイタリア” という展覧会。
略して、「はるルネ展」 です。

ルネサンス
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


「はるルネ展」 の主役となるのは、
伊東マンショ、千々石ミゲル、中浦ジュリアン、原マルティノの4人。
いわゆる、天正遣欧少年使節です。

天正遣欧少年使節


日本人として初めて、イタリアのルネサンス文化を目にした彼らの足跡を辿りながら、
彼らが実際に目にしたであろう、目にしたかもしれないルネサンス美術の作品を紹介する展覧会です。

ルネサンス
ルネサンス


歴史の授業などで、天正遣欧少年使節の存在はさすがに知ってはいましたが。
改めて考えてみると、「どれくらいの期間ヨーロッパに行っていたのか?」
「ヨーロッパのどのあたりを巡ったのか?」「そもそも、ヨーロッパで何をしていたのか?」
など、実は、いろいろと知らないことだらけでした。

ちなみに、上の3つの疑問に対する答えは、以下の通り。
「出発から帰国までは、約8年半。」
「イタリアのリヴォルノに到着し、フィレンツェ、ローマ、ヴェネツィアなどを巡った」

地図


「当時のローマ教皇、グレゴリウス13世に謁見した (ただし、中浦ジュリアンは急病で欠席)」

教皇


ちなみに、遠い日本から、数々の苦難を乗り越えてやってきた4人の少年は、
メディチ家をはじめ、訪れたイタリアの各国で熱烈な歓迎を受けたそうです。
その人気ゆえに、時には、記念メダルが発行されたほど。

コイン


また、ヴェネツィアでは、当時の大人気画家が彼らの絵を描いたそうです。
それが、2014年に発見され、話題となったこちらの一枚。

マンショ
ドメニコ・ティントレット 《伊東マンショの肖像》 1545年 トリヴルツィオ財団

会場


ヨーロッパ人が初めて日本人をモデルに描いた絵と考えられています。
キャンバスに対して、人物がパツパツだなぁと思っていたら、
おそらく4人が描かれたものの一部を切り取ったものであろうとのこと。
いつの日か残りの3人も見つかるといいですね。


何はともあれ、天正遣欧少年使節がそんなにも活躍していたとは。
過酷な旅の末に、ヨーロッパの地へ。
その結果、アイドル的な人気を確立。
まるで猿岩石のようです。

余談ですが、帰国した天正遣欧少年使節の4人には、
渡欧中に、豊臣秀吉によって伴天連追放令が発令されていたこともあり、
決して幸福とは言えない人生が待ち受けていたそうです。
まるで猿岩石の森脇のようです。


さてさて、展覧会にはウフィツィ美術館やルーブル美術館、
さらには、ヴァチカン教皇庁図書館など、各地から貴重な作品の数々が来日しています。
芸術の秋に相応しく、なんとも華やかな展覧会でした。
星星

その中でも特に見逃せないのが、今回が初来日となる 《ビア・デ・メディチの肖像》 です。

《ビア・デ・メディチの肖像》
ブロンズィーノ(アーニョロ・ディ・コジモ・トーリ) 《ビア・デ・メディチの肖像》 1542年頃 ウフィツィ美術館 Antonio Quattrone, Firenze


こちらは、メディチ家のお抱え画家ブロンズィーノの代表作。
病気のため幼くして亡くなったコジモ1世の愛娘ビアを、その死の直後に描いたという一枚です。
その事実を知ってから向き合うと、何とも切なくやるせない気持ちになります。
儚げな笑みを浮かべているので、なおさら胸が苦しくなります。
背景に使われているのは、ラピスラズリとのこと。
高貴な青に包まれているのが、少しだけ救いに感じられました。


そうそう、メディチ家と言えば、コジモ1世の息子フランチェスコ1世・デ・メディチと、
その2度目の妃であるビアンカ・カッペッロの肖像画もウフィツィ美術館から来日しています。

フランチェスコ


左が、ウフィツィ美術館所蔵の 《ビアンカ・カッペッロの肖像》
右は、東京富士美術館が所蔵する 《ビアンカ・カッペッロの肖像》
同一人物とは思えないくらい顔が違います。
右は美人ですが、左は・・・・・。
小顔ローラーの使用前と使用後?
たった4週間で驚きの効果、といった感じ。




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わらしべ長者生活

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美術品を手に、銀座を代表するギャラリーの数々を訪問し、
昔話 『わらしべ長者』 のように、物々交換してもらおうという企画。
それが・・・

わらしべ


前回は、靖山画廊にて、我が家にあったアート作品、阿部瑞樹さんの 《月の声》 を、
新進気鋭の日本画家ツジモトコウキさんの 《紅白鯨~月仰~》 という作品に交換してもらいました。

そして、今回は、銀座のギャラリー界のアイドル、
“柴田の悦ちゃん” こと柴田悦子さんがオーナーを務めるギャラリーにやってきました。
その名も、ズバリ柴田悦子画廊
銀座一丁目駅のほど近く、第三太陽ビルの2階に位置するギャラリーです。

柴田


カメラを向けると、特にこちらが指示したわけでもないのに、ちゃんとポーズを決める柴田さん。
さすがは、銀座のギャラリー界のアイドルです。
と、写真を撮った後に、一つ気づいたことが。

「あれ、そういえば、今日は帽子は普通な感じですね?」

そう、柴田さんにお会いする時は決まって、
毎回違うカラフルなオリジナル帽子をかぶっているのですが、今日は意外にシンプルです。
すると、どこかに消える柴田さん。

「???」

待つこと、しばし。

「帽子はないけど、先月ここで個展をした米山のぶ子さんって、
 藍染作家の素敵な絞りがあったから着てみたの。はいどうぞ♪」

柴田


まさかの衣装チェンジ。
さすがは、銀座のギャラリー界のアイドルです。

ちなみに、撮影が終わると、すぐに絞りを脱ぎだす柴田さん。
そして、僕にそれを手渡しました。

「???」

「絶対とに~さん似合うと思うから、着てみてちょうだい」

よくわからない展開ですが、言われるがままに着てみました。

「あー、似合う似合う!ねー、皆さん、似合ってますよね?」

なぜか、ギャラリー内に居合わせたお客さんに、同意を求める柴田さん。
当然ですが、お客さんと僕は初対面。
しかも、これがファーストコンタクトです。
似合うとか似合わないとか、そういう次元ではなく、ただただ困惑するお客さんと僕。
早くも柴田悦子ワールド全開です。

“このままでは話が進まない気がする!”

そう直感し、本題を切り出します。

「柴田さん、この作品を何かと交換してもらいたいのですが・・・」

「ちゃんと用意しておいたわよー。これなんか、どうかしら?」

そう言って、柴田さんが取り出したのが、こちら。

箱


何やら小さな箱に、ちょっぴり妖しげな絵が入っています。

「この箱の中の絵が、作品ですか??」

「箱も込みで作品なのよ。この絵を描いた馬場京子さんが見つけてきたの」

作者は、京都在住の画家・馬場京子さん。
普段は、板や石膏地に描いているのだそうですが、
なんでもアンティークがお好きなようで、時々掘り出し物を見つけてきては、
それに合わせて、作品を制作することもあるとのこと。
この箱も京都で見つけた掘り出し物のアンティークなのだそうです。
その箱のサイズに合わせて板を作り、そこに女性の絵を描いたのが、こちらの作品。
しかも、リバーシブルになっており、
裏側には、妖しさがアップしたエロティックな女性が描かれていました。

リバーシブル


「面白い作品でしょ?でも、もう1つ悩んでいるものがあるから、そっちも一応持ってくるわね」

「はい」

数分後、大きな袋を抱えて柴田さんが登場。
その袋から出てきたものが、こちらです。

アフガニスタン


「・・・・・・・・・・・何ですか、これ?」

「アフガニスタンの骨董品」

「な、何に使うんですか?」

「うーん、何かを炒るんじゃない?」

「アバウトですねw」

「とにかくこれも貴重なものらしいのよ。どうする?こっちにする?」

第一回目で絵画と絵画を交換してもらって、
第二回目で絵画とアフガニスタンの何かを炒るヤツと交換。

いくらなんでも、展開がトリッキーすぎます!

というわけで、アフガニスタンの何かを炒るヤツは丁重にお断りしました。

「じゃあ、今回は馬場京子さんの作品ということで」

そう締め括ろうと思ったのですが、柴田さんはまだ納得していない様子。

「せっかくなら、もっと面白い交換がいいわよねー・・・」

しばらく悩んだ末、柴田さんは一つの決断をしました。

「よし!馬場京子さんのとっておきの作品を出しちゃおう!」

それが、こちら。

馬場


例によって、馬場さん本人が探してきた貴重なアンティークのワインケースを・・・

虫かご


虫かごに見立てた作品です。
しかも、この作品もリバーシブルになっており、
ワインケースを開け、中に入っている絵を裏返すと・・・

裏


こんな感じに。
途端に、エロティシズムを発揮します。

「とに~さん、この作品でどうかしら?」

「めちゃめちゃイイです!柴田さんさえOKなら、是非この作品で!」

「じゃあ、この作品と交換しましょうね」

「ちなみに、作品名って何ですか?」

「うーん、《虫かごワインケース》 じゃないかしら」

作品
作品


その後、正しい作品名が判明しました。
《くちなし》 だそうです。


【今回ご協力いただいた画廊】
柴田悦子画廊
住所:東京都中央区銀座1-5−1 第三太陽ビル2階




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ゴッホ展 巡りゆく日本の夢

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日本人は、ゴッホが大好き。

これまでに何度も日本の美術館で、ゴッホ展が開催されていますが。
今年の秋も、ゴッホ展が開催されています。
その名も、“ゴッホ展 巡りゆく日本の夢”

ゴッホ
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


会場は、東京都美術館。
会期は、来年1月8日までとなっています。

さてさて、今回のゴッホ展は、
史上初となるオランダのファン・ゴッホ美術館との国際共同プロジェクト。
展覧会が日本各地を巡回したのちは、ファン・ゴッホ美術館でも開催されるそうです。
展覧会のコンセプトは、ずばり「ゴッホと日本」
日本人はゴッホが大好きですが、負けず劣らず、ゴッホも日本が大好き。
浮世絵にインスパイアされた作品を描いてみたり、

湯k景色
フィンセント・ファン・ゴッホ 《雪景色》 1888年、油彩・カンヴァス、個人蔵 ©Roy Fox


日本的なモチーフの作品を描いてみたり。

夾竹桃
フィンセント・ファン・ゴッホ 《夾竹桃と本のある静物》 1888年、油彩・カンヴァス、メトロポリタン美術館蔵(ジョン・L.・ローブ夫妻寄贈)
©The Metropolitan Museum of Art. Image source: Art Resource, NY



日本への憧れっぷりが、ハンパではありません。
展覧会の前半では、そんなゴッホの側面にスポットが強く当てられていました。
対して、展覧会の後半で紹介されているのは、日本人がゴッホを大好きになったルーツ。
ゴッホの死後、彼に魅せられ、彼が眠るオーヴェールの地を訪れた、
いわゆる聖地巡礼した日本人画家の作品や資料などが紹介されています。

19.ゴッホの墓_R
前田寛治 《ゴッホの墓》 1923(大正12)年、油彩・カンヴァス、個人蔵

会場


ゴッホと日本。
その相思相愛ぶりを改めて実感する展覧会でした。
また、展覧会のメインビジュアルに、
まさしく 「ゴッホと日本」 な作品が採用されていたので。

花魁
フィンセント・ファン・ゴッホ 《花魁(溪斎英泉による)》 1887年、油彩・綿布、ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵
©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)



全体的にこういう作風の作品ばかりの、
いつもとはテイストが全く違うゴッホ展なのかと思いきや。
数あるゴッホの自画像の中でも有名な 《画家としての自画像》 や、

画家としての自画像
フィンセント・ファン・ゴッホ 《画家としての自画像》 1887/88年、油彩・カンヴァス、ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵
©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)


ゴーギャンと暮らすためのアルルの家の一室を描いた 《寝室》 など、

寝室
フィンセント・ファン・ゴッホ 《寝室》 1888年、油彩・カンヴァス、ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵
©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)



いかにもゴッホな、王道の作品も多く紹介されています。
“ラッセンよりも普通にゴッホが好き” くらいの、
ライトなゴッホファンでも十分に楽しめる展覧会となっていました。
星星


ちなみに、今回紹介されていたゴッホ作品の中で、
個人的に印象に残っているのは、日本初公開となる 《タラスコンの乗合馬車》 です。

タラスコン
フィンセント・ファン・ゴッホ 《タラスコンの乗合馬車》 1888年、油彩・カンヴァス、ヘンリー&ローズ・パールマン財団蔵(プリンストン大学美術館長期貸与)
©The Henry and Rose Pearlman Collection / Art Resource, NY



初めて目にする絵なのに、どうにもデジャヴ。
どこかで一度目にしたことがあるような。
いや、かつて目にしていた何かに似ているような・・・はっ!

パーシー!!

思わず脳内であのBGMが再生されました。



それと、これまた日本初公開となる 《ポプラ林の中の二人》 も印象深い一枚。

《ポプラ林の中の二人》
フィンセント・ファン・ゴッホ 《ポプラ林の中の二人》 1890年、油彩・カンヴァス、シンシナティ美術館蔵(メアリー ・E. ・ジョンストン遺贈)


林の向こうから、こちらをじっと見つめる怪しげな2人。
どんな絵を描いても、無駄に (?) 生命感が溢れるゴッホですが。
この絵に関しては、生命感は皆無。
どうにも、この世界の人間とは思えないのです。
あっちの世界に呼び寄せようとしているのかもしれません。
この絵が描かれたのは、1890年。
ゴッホの晩年です。
もしかして・・・・・。

信じるか信じないかはあなた次第です―




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古代アンデス文明展

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1994年に開催された “黄金の都シカン発掘展” を皮切りに、
“世界遺産ナスカ展”(2006年) や “インカ帝国展” (2012年)など、
アンデスをテーマにした展覧会を5回開催し、計400万人以上を動員してきたTBSアンデス・プロジェクト
その集大成ともいうべき展覧会 “古代アンデス文明展” が、
いよいよ10月21日より、国立科学博物館にてスタートいたしました!

展覧会


今回の展覧会の最大の特徴は、アンデス文明の歴史が総覧できること。
先史時代から16世紀にスペイン人がインカ帝国を滅ぼすまで、
約1万5千年間に及ぶアンデス文明の代表的な9つの文明が紹介されています。

アンデス
ナスカ


シカン文化やインカ帝国、ナスカ文化など、
これまでに展覧会で目にしたことがある文明もありましたが。
そのほとんどが、チムー王国やティワナク文化といった全く耳馴染みのない文明です。

“楽しめるのか??”

と、展覧会を訪れるまでは不安でいっぱいでした。
しかし、モチェ文化の 《象嵌のマスク》 や、

象嵌のマスク
《象嵌のマスク》 モチェ文化(紀元200年頃から750/800年頃)  ペルー文化省・国立博物館所蔵 撮影 義井豊


チャビン文化の 《自身の首を切る人物の象形鐙型土器》 をはじめ、

自身の首を切る人物の象形鐙型土器


純粋に造形が面白いと感じられる展示品が、予想以上に多く、
気づけば、文明展というよりも、アート展として楽しんでいる自分がいました。
そこらへんのアート展 (?) よりも、よっぽどアートな刺激の多い展覧会です。
星星


どことなく中川いさみチックな小像 (写真中央) や、

中川


どことなくさくらももこチックな壺 (写真右) 、

さくら


どことなくMAYA MAXXチックな土器もお気に入りですが、

マヤマックス


個人的に一番のお気に入りは、《4つの首が描かれた土製内弯鉢》 (写真左) 。

ド八


完全にタッチが 『Golden Eggs』 です。
1500年以上も前のモノとは思えないくらいにポップでした。




ちなみに、描かれているのはただの顔ではなく、首級か奉納用の首とのこと。
・・・・・内容は全然ポップでなかったです。


もう一つのお気に入りは、シカン文化の 《装飾付きの壷》 (写真右)。
見ているだけで、なんだかハッピーな気持ちになれます。

装飾付きの壷


じーっと見ていると、ふと誰かに似ている気がしてきました。
誰だっけ??
しばらく考えた末、閃きました。

あっ、あらぽん!!
(ANZEN漫才のみやぞんの相方)


ちなみに。
展覧会のラストの章は、「身体から見たアンデス文明」 となっています。
字面だけでは、どういう展示内容なのかイマイチわからなかったので、
気軽な感じで足を踏み入れたところ、意図的に変形させた頭蓋骨やミイラなどが展示されていました。
かなりディープな章でした。。。
それらの展示の中には、《開頭術の跡のある男性頭骨》 なるものも。

開頭術の跡のある男性頭骨
《開頭術の跡のある男性頭骨》 チリバヤ文化(紀元900年頃から1440年頃) ペルー文化省・ミイラ研究所・チリバヤ博物館所蔵 撮影 義井豊


アンデス文明の遺跡からは、
このように開頭術が行われた頭蓋骨が多く出土されているのだそうです。
メスなんか当然ないので、開頭には黒曜石のナイフなどを使ったと考えられているとのこと。
穴の周りの骨は再生が進んでいるそうで、
この頭蓋骨の持ち主は術後しばらく生きていたことがわかっていたのだとか。
アンデス文明にも、失敗しないドクターⅩがいたのですね。




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第百五十話 国宝ハンター、歯噛みする!

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前回までのあらすじ~

Trick or National treasure.
国宝を見せてくれなきゃ、イタズラするぞ!
ハロウィンも盛り上がっていますが、
今年は国宝イヤーということもあり、国宝もそれなりに盛り上がっています。
そんな国宝ブームに先駆けて、2011年から国宝を追い求めている国宝ハンター。
これまでにハンティングした数は、921件。
その数をさらに伸ばすため、今日も国宝のもとへ―



おはようございます。
時刻は、朝6時53分です。

時刻


連日行列が発生しているという大人気の “国宝展”
その第Ⅱ期を観るために、京都国立博物館にやってきましたが・・・

京都


さすがに、この時間には誰も並んでいませんね。

なぜなら、開館は9時30分
開門の9時15分までだって、まだ2時間以上もあります。

門


今回のミッションは何と言っても、
大徳寺龍光院が所蔵する 《曜変天目茶碗》(ジャンル:工芸品) を目にすること。
3点ある国宝の 《曜変天目茶碗》 のうち、もっとも目にするのが困難な激レアの 《曜変天目茶碗》 です。

「対面できる日が来ようとは!しかも、1番乗り!!」

と、誰もいない門の前でニヤニヤしていると、背後から年配の女性に声を掛けられました。

「あのー、並んでいるんですか?」

「・・・あ、はい。」

「じゃあ、ここが先頭ですよ」

そう言って、僕の後ろに並ぶ女性。

“えー、まだ7時だよ。もう並ぶ人、いるの?!”

ここに到着するのがあと5分遅れていたら、とゾッとしました。
しかも、その女性。
折り畳みの椅子を取り出し、座り始めたのです。

“えー、本格的!iPhone発売日に並ぶ人みたいじゃん!”

そう言えば、正しい並ぶ位置を指摘されましたっけ。
ということは、国宝展の並びの常連さん?
いろいろパニックです。

なるべく後ろの人を意識しないように、
持参した本を読んで時間を潰していましたが。
やはり、気になります。
これから2時間以上も何をして待つつもりなのでしょう??
で、チラ見。

“うわー、展示リストを片手に、シミュレーションしてる!”

後ろの人が気になりすぎて、本の内容が全然入ってきません。
あぁ、あと2時間どうしよう。

“誰か来ないかなぁ”

そんな僕の願いが通じたのでしょうか。
7時10分には、早くも3人目が。
そして、その後も、続々と人がやってきます。
いやはや、国宝展の人気を甘く見ていました。
時計の針が8時を差した時には、30人近くが並んでいました。

さらに、30分後。
8時半には、行列はすでに100人ほどに達しています。
そこで・・・

8時40分


予定が前倒しされ、8時40分には開門。
そのまま館内へと誘導され、8時45分の時点で展示室近くで待機することとなりました。

45分


なお、その後も列は伸び続け、9時25分の段階では、300人を超える人が並んでいました。
国宝展、恐るべし。


ただ、そんな大行列の先頭にいるのは、この僕です。
7時前から待った甲斐がありました!

そして、9時30分
「先頭の方から、展示室にお進みください」 のアナウンスが。

他の国宝には目もくれず、《曜変天目茶碗》 へと足早に向かいます。


(脳内を流れる『炎のランナー』 の主題歌)

“待ってろー、《曜変天目茶碗》!ついに対面の時だー!!”

・・・・・と、次の瞬間。
そんな僕の脇を、一組の中年の男女が駆け抜けていきました。

“えっ?!”

明らかに、《曜変天目茶碗》 のほうを目指し走っています。

“何その福男みたいなパターン!”

あの2人、行列では後ろのほうにいたはず。

“こっちは1番乗りを目指して、7時前から並んでるんだ!負けてたまるか!!”

・・・・・と、一瞬、ダッシュしかけたのですが。
国宝ハンターである前に、アートテラー。

“博物館内で走るって、アートテラーとして、どうなのよ?”

と冷静な自分が出てきてくれたおかげで、非常識な行動をとるには至りませんでした。
展示ケースに到着すると、先ほどの2人が張り付くように鑑賞しています。
そこまで人を惹き付ける大徳寺龍光院の 《曜変天目茶碗》

大徳寺龍光院


確かに美しかったですが、照明のせいか、内側の傷が結構目立っていました。
あと、他の2点の曜変天目の光が幽玄的な印象であるのに対して、龍光院のは光がシャープで強め。
レーザービームのようでした。


・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


別に2時間半も並ぶ必要はなかったかも。うん。
第Ⅲ期は、ムリせず開館してから来ることにしよう。


ちなみに、第Ⅱ期では他にも、

《紙本著色絵因果経》(ジャンル:絵画)
《紙本墨画禅機図断簡〈因陀羅筆/(丹霞焼仏図)〉》(ジャンル:絵画)
《伝教大師將来目録〈貞元二十一年五月十三日/明州剌史鄭審則跋〉》(ジャンル:古文書)
《竺仙梵僊墨蹟〈明叟斉哲開堂諸山疏/(絹本)〉》(ジャンル:書跡・典籍)

4件の国宝をゲット。

また、京博のライバル (?) トーハクでも、

古文尚書〈巻第六/〉


《古文尚書〈巻第六/〉》(ジャンル:書跡・典籍) をゲットしています。


今現在の国宝ハンティング数 927/1108




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第百五十一話 国宝ハンター、オファーがくる!

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前回までのあらすじ~

「国宝を目にしなくても幸せになれるこの時代に、私はすべての国宝を目にしたいのです。」
そんな国宝ハンターは、これまでに927件の国宝を目にしてきました。
しかし、完全ゴールとなる1108件達成までは、あと200件弱。
まだまだ旅路は長そうです。
“まだ、ここにない、出会い。” を求めて、今日も旅立つ!


アートテラー名義ではなく、国宝ハンター名義での初の著書、
『へんてこ!すごいぞ!日本の宝もの こども国宝びっくりずかん』 が発売されて、早1か月。

な、な、なんとテレビ番組からオファーがきました!

その番組とは、TBSの夕方に放送されている報道・情報番組 『Nスタ』。
11月3日、文化の日の放送に関して、
国宝にまつわる様々なトリビアを紹介したいとのことで、相談がありました。
とりあえず、あるだけ挙げて欲しいと言われ、都内のカフェで打ち合わせ。

打ち合わせ


その中から厳選されたものが番組で紹介されることになるようです。

後日、担当ディレクターさんより、
学校の教科書に載っているメジャーな国宝に関するトリビアに会議で決まったと連絡が。
具体的には、姫路城や金印にまつわるトリビアなどが取り上げられることとなったそうです。

「へー。そうなんですねー」

と他人事のように思っていたら、僕もロケに同行するとのこと。
しかも、国宝ハンターとして案内役を務めるとのこと。

これは、どエライことになりました!!

というわけで、今週月曜に、国宝ハンターとしては2度目となる姫路城へ。
(前回の模様は、こちら⇒第百十九話 国宝ハンター、登城する!

姫路城


時刻は、朝7時。
始発では到底間に合わないので、前泊でした。
ちなみに、こんなにも朝が早いのは、開城時間の9時前に城内の撮影をしないといけないためです。
僕のトークの部分の撮影もちょいちょいありましたが、
どちらかと言えば、インサート (挿入用の映像) の撮影が多め。

プロ


ベテランの取材クルーの皆さまのプロの仕事を、邪魔しないように後ろから眺めてました。
報道番組の1コーナーを制作するのに、こんなに手間暇がかかっているのですね。

と、僕がトークする部分の撮影自体は、2時間かけて終了。
取材クルーの皆さまは、このあともまだまだ撮影があり、全てが終わったのは11時過ぎでした。
と言っても、これはあくまで姫路城パートでの話。
その後、車で移動して、京都へ向かいます。

これぞ京都というロケ地で、別シーンを撮影しました。
なぜか旅番組っぽいカットも撮られましたが、そこが使われるかはオンエア次第です (笑)
ともあれ、その撮影が終わったのが、16時くらい。
ここで一旦休憩を挟み、夜の撮影に備えることになります。


時計3時間経過時計


時刻は19時。
すっかり陽も落ちた時間にやってきたのは・・・

クルー


京都国立博物館、その通用口です。

京都


そう、最後のロケ地は “国宝展” の会場。
しかも、訪れたこの日は、第2期と第3期の展示替えの日。
つまり、第3期の展示準備が終わってホヤホヤの会場に入ることが出来るのです。

なんという役得!

昨日お伝えしたように、第2期では、
2時間半も寒空の中で待って、最終的に悔しい目に遭ったわけですが。
これで全然チャラです。
国宝の神様、ありがとうございます!

19時に着いたものの、なんだかんだで撮影が可能となったのは21時。
金印に関してのトリビアを紹介するシーンを撮影しました。
もちろん、そちらが仕事のメインではありますが、
国宝ハンターの性で、インサートを撮影している時間を見計らって、国宝をハンティング。
一般のお客さんたちに先駆けて、第3期の国宝を目に焼き付けてきました。

特に興奮を隠せなかったのは、秘仏中の秘仏、
仁和寺の 《木造薬師如来坐像〈円勢、長円作/(北院旧本尊)〉》(ジャンル:彫刻) との邂逅。

仁和寺


想像していた以上に、小さいっ!
そして、想像していたよりもはるかに、施された細工が美しいっ!


正直なところ、もっと観ていたかったのですが。
撮影があったため、泣く泣く断念しました (←当たり前だ!)

他にも撮影の合間をぬって、以下の5件をハンティング。

《絹本著色不動明王像》(ジャンル:絵画)
《絹本著色十一面観音像》(ジャンル:絵画)
《宝相華蒔絵経箱》(ジャンル:工芸品)
《日本霊異記上巻》(ジャンル:書跡・典籍)
《宋版後漢書(慶元刊本)》(ジャンル:書跡・典籍)


基本的には、チラ見。
チラ見でも、国宝の素晴らしさは変わらなかったです。

さてさて、撮影がすべて終わったのは、22時半。
僕はこれにてオールアップでしたが、ディレクターさんは、
明日の朝も来て、開館前の行列している様子を撮影するのだとか。
さらに、この他にも様々なロケがあるそうです。
報道番組の1コーナーを制作するのに、こんなに手間暇がかかっているのですね (本日2回目)。


ちなみに、今回の収録に当たって、
『こども国宝びっくりずかん』 の担当編集者さんより、

「とに~さん、是非、国宝ハンターのタスキをかけて映ってきてください!」

と、発破をかけられていたので、

ハンター


タスキを持参して、撮影に臨みました。
しかし、担当ディレクターさんより一言。

「・・・・・報道番組なんで。」

「・・・・・ですよねぇ。」


あくまで報道番組なので、基本的に真面目なことしか言っていませんが。
特別なニュースが入らない限り、
11月3日の 『Nスタ』 の 「なるほどアンサー」 コーナーに出演します。
もしよかったら、見てやってくださいませ。
(関東ローカルなので、放映されないエリアもあります)


今現在の国宝ハンティング数 933/1108




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【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】

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現在募集中のアートツアーです。

アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画を心掛けております。
初参加の方も多いので、どうぞお気軽にご参加くださいませ♪
(男女比は、7:3くらいで女性が多いです。
 また、おひとりで参加される方が大半ですので、一人でもふらっと遊びにいらしてください!)
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
参加希望の方は、お手数をおかけして恐縮ですが、
件名に希望するアートツアーを明記して、以下のメールフォームよりお申し込みくださいませ。
詳細をお知らせいたします。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
お知らせ先のメールアドレスが間違っている方が、ごくたまにいらっしゃいます。
こちらからの返信がない場合は、もう一度ご確認頂けますと幸いです。


11/5(日) アート&カルチャーな街 “渋谷” ツアー

東京を代表するアートタウンと言えば、上野、六本木、銀座をイメージする人が多いでしょうが。
実は、渋谷も隠れたアートタウン。
なんと10軒近くのミュージアムが存在しています!

そこで、今回は渋谷の2つのミュージアム+αを巡るアートツアーを開催いたします。

訪れる1つ目のミュージアムは、Bunkamuraザ・ミュージアム。
こちらでは、“オットー・ネーベル展” を鑑賞いたします。

「オットー・ネーベル?誰それ??」

という感じでしたが、始まってみると、
大方の予想を覆して、 口コミでジワジワと人気が広がっている今年の超大穴美術展です。
是非、お見逃しなく!

2つ目のミュージアムは、渋谷区立松濤美術館。
こちらで開催中なのは、“三沢厚彦 アニマルハウス 謎の館”
自信を持っておススメできるこの秋の3つ星展覧会です星星星
この日は、作家ご本人が在館されているとのこと。
是非、三沢さんとその仲間たちに会いに行きましょう!
美術館の建物そのものも魅力なので、そちらも併せてお楽しみくださいませ。

+αは、当日のお楽しみ。
休憩を挟みながら、渋谷のアート&カルチャーをたっぷり堪能いたしましょう。

時間:13時~17時半
定員:12名
参加費:2000円 (すべての鑑賞代を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


11/11(土) 今日はアートスコープの日!泉屋博古館分館貸し切りスペシャルナイト

ビクセン社の 「単眼鏡が広げる美術鑑賞の世界」 を担当して、早1年。
ジワジワとではありますが、着実に単眼鏡での美術鑑賞が定着してきたように実感しています。
そこで、単眼鏡のような形の 『1』 が4つ並ぶ11月11日を、勝手にアートスコープの日に制定!
それを記念して、単眼鏡で是非楽しみたい展覧会を貸し切りで、
しかも、館長さんの特別トークショー付で楽しむスペシャルな企画を開催いたします。

場所は、六本木一丁目にある泉屋博古館分館。
こちらでこの秋開催される特別展 “典雅と奇想” を閉館後貸し切りで楽しみます。
一見、地味な展覧会に感じられるかもしれませんが、アートスコープを通して観れば、驚きの連続。
見どころは、館長さんと僕とでバッチリ紹介させて頂きます。

もちろん、アートスコープを持っていないという方でもご安心を。
ビクセン社の完全協力のもと、1人1台お貸しいたします。

閉館後の美術館でのスペシャルな夜。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

時間:17時半~19時
定員:50名
参加費:1000円 (鑑賞代を含む。㊙プレゼント付!)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


11/12(日) そうだ 江戸、行こう。【鎌倉編】

“浮世絵に描かれた街並みは、今、どのような姿になっているのでしょうか?”

浮世絵を手掛かりに、東京の街を歩きながら、
江戸時代にタイムスリップする・・・気持ちになれるツアーです。
講師の太田記念美術館の渡邉晃学芸員とともに、
浮世絵に描かれた場所に実際に赴き、浮世絵と見比べてみましょう!

さて、今回は、秋の特別編。
江戸を飛び出し、関東屈指の観光地の鎌倉を訪れます。

今も観光地として、大人気の鎌倉ですが、
実は、江戸時代からすでに観光地として人気を博していました。
そのため、鎌倉を描いた浮世絵は数多く残されています。
今回は、そんな鎌倉の浮世絵を頼りに、江戸時代から続く観光スポットの数々を訪問。
江戸の人々の気分になったつもりで、鎌倉観光できるツアーです。

浮世絵がお好きな方はもちろん、浮世絵を好きになってみたいという方も大歓迎♪
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

時間:13時~17時半
定員:14名
参加費:2000円

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


11/19(日) 運慶展へ行こう!

今年の芸術の秋の大本命展覧会の一つ、運慶展
想定以上の人気ぶりで、早くも来場者数が20万人を突破しています。
2017年に、絶対に見逃すわけにはいかない展覧会の一つです!

“一人で並ぶのはなぁ・・・。”

でも、観たい!

そんな皆様のために、今回のイベントを企画しました!
みんなで並べば、行列もまた楽しい想い出になるはず。
図録や運慶特集の 『芸術新潮』 を持参しますので、
待ち時間の間に、展覧会の予習をすることも可能です。
もちろん、見どころもたっぷりガイドいたします。
また、混雑の中でも仏像をじっくり観られるよう、単眼鏡を一人一台手配いたします♩

当日の待ち時間がどれくらいになるかにもよりますが、
鑑賞後、希望者でカフェで感想をおしゃべりする時間も設ける予定です!

時間:13時~17時
定員:12名
参加費:1500円 (鑑賞代を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


11/23(木・祝) ゴッホ!北斎!モネ!今日は一日“ジャポニスム”ツアー

今年の芸術の秋は、上野が熱い!
東京都美術館と国立西洋美術館でそれぞれ、
『ジャポニスム』 をテーマにした大型展覧会が開催されています。
(ジャポニスム…19世紀のヨーロッパ、特にフランスで起こった日本ブーム。ゴッホもモネも日本美術の影響をもろに受けた)
その2つをまとめて楽しんでしまおうというのが、今回のアートツアーです!

まず訪れるのは、東京都美術館の “ゴッホ展 巡りゆく日本の夢”
「ゴッホと日本」 の関係にスポットを当てた日本初となる展覧会です。
先行して開催された北海道立近代美術館では観客動員数で記録を作ったとのこと。
東京でも盛り上がること請け合いです。

展覧会を鑑賞後、一度カフェ休憩を挟みます。
その後、国立西洋美術館で “北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃” を鑑賞します。

北斎の作品だけでなく、モネやゴーギャン、セザンヌなど19世紀の西洋美術のオールスターが勢ぞろい。
芸術の秋に相応しい、豪華な展覧会です。
是非お見逃しなく!

時間:12時半~17時半
定員:12名
参加費:3000円 (2館の鑑賞代を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


11/26(日) みんなで並ぼう怖い絵展!

今年の芸術の秋の大本命展覧会の一つ、怖い絵展
先行して開催された兵庫県立美術館では最大で、チケット購入までに1時間待ち、
入場までに2時間待ち、さらに、音声ガイドを借りるまでに30分待ちだったとのこと。
東京ではこれ以上に並ぶことは必至です。

“一人で並ぶのはなぁ・・・。”

でも、観たい!

そんな皆様のために、今回のイベントを企画しました。
みんなで並べば、行列もまた楽しい想い出になるはず。
図録や 『芸術新潮』 を持参しますので、
待ち時間を使って、見どころをガイドさせて頂きます。
鑑賞後は、みんなでカフェでまったりトークをいたしましょう。

時間:13時~17時
定員:15名
参加費:1500円 (鑑賞代を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


11/27(月) 月曜日のアートツアー

いつもは、土日祝日にアートツアーを開催していますが。
「たまには平日の開催も!」 というリクエストを、
複数頂きましたので、今回は月曜日にアートツアーを開催させて頂きます。

今回みんなで訪れるのは、三菱一号館美術館。
普段は、都内の多くの美術館と同じく、月曜日が休館日なのですが。
声の大きさを気にせず鑑賞できる 『トークフリーデー』 という、
美術館初となる試みを実施するため、この日は特別に開館しています。
おそらく、ほとんど浸透していないので、この日はほぼ貸し切りに近い状態になるはず (笑)
しかも、館内でのトークを気兼ねなく楽しめます。
現在開催中の “パリ♥グラフィック” を思う存分楽しみましょう♪
http://mimt.jp/parigura/
ちなみに、鑑賞後は近くのカフェでのんびりまったりいたします。

時間:14時~17時半
定員:12名
参加費:1500円 (鑑賞代を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


12/2(土) みんなの大東京建築ツアー【両国編】

世界中の建築ファンが憧れる街・東京。
この街には、たくさんの名建築が存在しています。
そんな東京で生活をしていながら、建築に興味が無いなんて。
何ともったいないことでしょう!

「・・・・でも、“建築” って何をどう観たらいいの?? 」

そんな皆様にお送りするのが、みんなの大東京建築ツアー。
実際に東京の街をぶらぶらしながら名建築を巡り、
進行役の自分と講師の建築家が掛け合いをしながら、その魅力をたっぷりお伝えするツアーです。

さてさて今年2017年は、相撲ブームが再来!
それにちなんで、建築家の照内創氏のガイドで、
今もっとも注目を集めている両国の建築ツアーをお届けいたします。
下町ならではのレトロな建築もありますが、それだけに非ず。
実は、世界的な建築家による最新建築も多く、
建築的にもっとも注目を集めているエリアの一つなのです。
そのうちの代表的な建築で、今年でちょうど開館1周年を迎えるすみだ北斎美術館も訪れます。
その他、どんな建築が登場するのか、どうぞお楽しみに♪

時間:13時~17時
定員:15名
参加費:1900円 (鑑賞代を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
http://arc-tour.org/mail.html


いずれのツアーも、皆様のご参加を心よりお待ちしております!!

フェリーチェ・ベアトの写真 人物・風景と日本の洋画

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現在、DIC川村記念美術館で開催されているのは、
“フェリーチェ・ベアトの写真 人物・風景と日本の洋画” という展覧会。
幕末から明治にかけて横浜に滞在したイタリア生まれのイギリス人写真家、
フェリーチェ・ベアトが日本各地で撮影した風景や風俗の写真を紹介する展覧会です。

東京都写真美術館や横浜美術館で、
フェリーチェ・ベアトの展覧会が開催されるなら、イメージが湧くのですが。

“DIC川村記念美術館でフェリーチェ・ベアト?”

ちょっと意外な取り合わせな気がしました。
が、実は、DIC川村記念美術館コレクションに、
フェリーチェ・ベアトのアルバム3冊が含まれているとのこと。
これまでは隠れたコレクション (?) だったそうですが、
今回の展覧会で初めて、その3冊のアルバムをフィーチャー!
その中から約180点の写真が一挙公開されています。

愛宕山から見た江戸風景
フェリーチェ・ベアト 《愛宕山から見た江戸のパノラマ》 鶏卵紙 DIC川村記念美術館

生麦
フェリーチェ・ベアト 《東海道、横浜近郊》(生麦事件の現場) 鶏卵紙 DIC川村記念美術館


また、ほぼ同時期に日本で制作された洋画作品18点もあわせて紹介。
幕末から明治期の写真と洋画の関係性にも迫った展覧会です。

浅井
浅井忠 《農夫帰路》 1887(明治20)年 油彩、カンヴァス ひろしま美術館

位置
高橋由一 《愛宕山より品川沖を望む》 1877(明治10)年 油彩、カンヴァス 横浜美術館


約150年前の日本を映した写真がメインということもあり、
歴史に興味がない人しか楽しめない展覧会かと思いきや、全くそんなことはありませんでした。
教科書でよく見るような人物写真と違って、
ベアトが撮影した人物写真は、めちゃめちゃ表情が豊か。
それゆえ、

“なぁんだ。今も昔も、みんな同じような表情してるんじゃん!”

と親近感がわくこと請け合いです。
いい意味で、約150年前の写真を見ている感じがしません。
「こんな人いるよねーw」 と素直に受け入れられる写真ばかりです。
星

特にそう感じたのが、ポスターにも使われている 《役人と従者》 という一枚。

役人と従者
フェリーチェ・ベアト 《役人と従者》 鶏卵紙 DIC川村記念美術館


カメラに映るのが、よっぽど嬉しかったのでしょう。
がっつりカメラ目線です。
そして、その嬉しさを抑え切れなかったのでしょう。
口元がゆるんじゃってます。
従者の2人は、ちゃんと表情を抑えているというのに。
恰好こそ侍ですが、その表情はその辺のドン・キホーテにいる若者と変わりません。
しばらく眺めていたら、コスプレにしか見えなくなってきました (笑)

他にも印象的だった写真を、いくつかご紹介いたしましょう。
まずは、《鎌倉の大仏》

鎌倉の大仏
フェリーチェ・ベアト 《鎌倉の大仏》 鶏卵紙 DIC川村記念美術館


一見すると、鎌倉の大仏を映したよくある感じの観光写真ですが。
大仏様の太もものあたりにご注目。
よく見ると、人が座っています。
それも、堂々と。
いつの時代も、こんな風にヤンチャするヤツはいるのですね。


続いては、《娘と赤児》

娘と赤児
フェリーチェ・ベアト 《娘と赤児》 鶏卵紙 DIC川村記念美術館


赤ちゃんの表情が、渋いです。
ハードボイルドな探偵くらいに渋いです。
赤ちゃんと “ちゃん付” するのが忍びないほど。
あ、だから、タイトルが 「赤児」 なのですね。
と、ついつい赤児ばかりに目がいってしまいますが。
娘の前傾姿勢ぶりも、かなりのもの。
ピーンとした状態で、全身を使って傾いています。
地面に刺さってる?

《古道具屋》 も印象的な一枚でした。

 古道具屋
フェリーチェ・ベアト 《古道具屋》 鶏卵紙 DIC川村記念美術館


棚の上に、びっしりと古道具が陳列されていますね・・・・・って、えー?!
画面中央を思わず二度見。
棚と棚を橋渡しさせた板の上に、たくさんの古道具が乗っているではありませんか。
なんちゅうディスプレイ。
なんちゅうバランス感覚。
ハラハラせざるを得ない写真です。
何はともあれ、そっちが気になって仕方がないので、右の女性に全く目がいきません。
せっかくポーズ取ってくれているというのに。


ちなみに、DIC川村記念美術館的には、《葱売り》 がお気に入りな模様。

葱売り
フェリーチェ・ベアト 《葱売り》 鶏卵紙 DIC川村記念美術館


展覧会オリジナルグッズとして、《葱売り》 のアクリルキーホルダーを作成していました。

葱


・・・・・・・誰が買うのか (笑)




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ディエゴ・リベラの時代 メキシコの夢とともに

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今年めでたく開館35周年を迎える埼玉県立近代美術館。
現在、その記念展として、“ディエゴ・リベラの時代 メキシコの夢とともに” が開催されています。

埼玉
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


こちらは、20世紀のメキシコを代表する芸術家ディエゴ・リベラに焦点を当てた展覧会で、
リベラの初期から晩年までの作品を中心に、同時代のメキシコ美術の作品が紹介されています。
ディエゴ・リベラには、いかにもメキシカンな壁画を描く画家というイメージを抱いていましたが。
意外にも、初期の作品には、メキシカンさ (?) はまったく無し。

農地
ディエゴ・リベラ 《農地》 1904年/ディエゴ・リベラ生家美術館蔵/Museo Casa Diego Rivera, Marte R. Gómez Collection, INBA, Guanajuato/
© 2017 Banco de México Diego Rivera Frida Kahlo Museums Trust, Mexico, D.F./Reproduction Authorized by INSTITUTO NACIONAL DE BELLAS ARTES Y LITERATURA 2017.



むしろ明治期の日本の洋画のような印象です。
背景の山も、富士山に見えてきました。
畑も茶畑のよう。
・・・・・静岡??


その後、21歳でヨーロッパへ留学したリベラ。

洋画


この時代の作品も、やはり日本の洋画風です。
メキシカンの欠片もありません。
さらに、ピカソと交流し、キュビスム風の作品も手掛けるように。

キュビスム
ディエゴ・リベラ 《銃を持つ水兵(昼食をとる船乗り)》 1914年/ディエゴ・リベラ生家美術館 蔵/Museo Casa Diego Rivera, Marte R. Gómez Collection, INBA, Guanajuato/
© 2017 Banco de México Diego Rivera Frida Kahlo Museums Trust, Mexico, D.F./Reproduction Authorized by INSTITUTO NACIONAL DE BELLAS ARTES Y LITERATURA 2017.



「一体、いつになったらリベラらしい作品が登場するんだ!」

と思ったところで、ようやくリベラらしい作品が登場。

リベラ


長い旅路の末に、やっとメキシコに辿り着いたような。
長いプロローグのあとに、やっと主人公が登場したような。
不思議な安堵感がありました。
前半は焦らしに焦らされましたが、後半は一気にラテンモード!
開館35周年記念を盛り上げるに相応しい展覧会でした。
星星


今回出展されていたリベラ作品の中で、
特に印象に残っているのは、《聖アントニウスの誘惑》 という一枚。

アントニウス
ディエゴ・リベラ 《聖アントニウスの誘惑》 1947年/メキシコ国立美術館蔵/Museo Nacional de Arte, INBA, Mexico City/
© 2017 Banco de México Diego Rivera Frida Kahlo Museums Trust, Mexico, D.F./Reproduction Authorized by INSTITUTO NACIONAL DE BELLAS ARTES Y LITERATURA 2017.



“聖アントニウスの誘惑” という画題自体は、
西洋美術の長い歴史の中で、だいぶこすり倒されていますが。
(参考記事:がんばれ!!聖アントニウス!!
他のどの “聖アントニウスの誘惑” モノとも被っていない独創性あふれる作品です。
というか、そもそも何が聖アントニウスで、どこがどう誘惑なのか。
タイトルを知らなければ、ただの変な形のサツマイモの絵にしか思えません。
たまに、ニュースで取り上げられる人の形をしたサツマイモ。
まさにアレ。


ちなみに、大人の都合で画像は紹介できませんが、
リベラと交流のあった藤田嗣治の作品も、数点まとめて紹介されています。
中には、藤田がリベラを描いた作品も。
似てるか似てないかでいったら・・・・・そんなに似てませんでした(笑)
また、リベラの妻であるフリーダ・カーロの作品も、1点だけ紹介されています。

フリーダ
フリーダ・カーロ 《ディエゴとフリーダ 1929-1944 (ディエゴと私)Ⅱ》 1944年/個人蔵/
Private Collection, Mexico City/© 2017 Banco de México Diego Rivera Frida Kahlo Museums Trust, Mexico,
D.F./Reproduction Authorized by INSTITUTO NACIONAL DE BELLAS ARTES Y LITERATURA 2017.



夫婦を描いた一枚。
リベラとフリーダが、ハーフ&ハーフで描かれています。
男女ハーフ&ハーフといえば、あのモノマネは面白かったなぁ。
子供の時に腹を抱えて笑ったなぁ。




でも、今は、なんかいろいろあって、動画を観てもあの頃のように笑えません。
画面右上に描かれている花王のロゴマークを彷彿とさせる月。
この月の表情と、動画を見ているときの僕の表情が完全に一致しています。




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典雅と奇想―明末清初の中国名画展

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泉屋博古館分館で開催中の “典雅と奇想―明末清初の中国名画展” に行ってきました。

泉


こちらは、明末清初・・・すなわち、明時代の末期から、
清時代の初期にかけての中国絵画に焦点を当てた展覧会です。
三国志の頃から、たびたび激動の時代が訪れている中国。
この明末清初の頃も、大きく社会が変動した激動の時代でした。
そんな激動の時代の波は、中国の美術界にも。
典雅な絵画を描く正統派の画人が活躍する一方で、
彼らに反発するように、奇想で個性的な絵画を描く異端の画人たちが現れたのでした。
そんな中国美術史上屈指の激動の時代に生み出され、
そして、日本に伝わった名品優品の数々が会場に大集結しています。

会場
会場
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


カラフルさはほとんど無いので、
全体的にモノトーンかセピアの色味が地味な展覧会ではありますが。
展示されているのは、明末清初の名品優品ばかり。
分かる人からすれば、あり得ないくらいに超豪華な明末清初の美術展なのです。
星


ちなみに、展覧会の冒頭では、
東京国立博物館と泉屋博古館それぞれが所蔵する徐渭の 《花卉雑画巻》 が展示されています。

徐渭


これもあり得ないくらいに超豪華な取り合わせ。
日本にある徐渭の名品2点が並ぶのは、
明末清初美術ファンにとっては、まさに夢のような光景で、奇跡の2ショットなのだとか。
そう教わってから見てみると、途端にありがたい気がしてきました。(←現金な奴です)
作品はどちらもイイ感じで力が抜けており、心地良い雰囲気があったのですが。
なんでも作者の徐渭 (じょい) は、妻を殺害した罪により6年間を獄中で過ごしたとのこと。

・・・・・・・・・。

エピソードは全然JOYな感じじゃなかったです。


さて、会場にはスター級の明末清初美術作品が勢ぞろいしていましたが。
その中でも特にキングオブスターな作品が、こちら↓

重要文化財 八大山人「安晩帖」
重要文化財 八大山人 《「安晩帖」 第7図》 清・康熙33年(1694) 泉屋博古館


重要文化財に指定されている八大山人の傑作 《安晩帖》
あの司馬遼太郎に、「京都にある第一等の美術品」 と言わしめた逸品です。
作者の八大山人は、もともとは明の王族出身。
しかし、20歳の頃に明が滅亡してしまったため、禅門に入ります。
その数十年後に発狂し (発狂したフリ説もあり) 、のちに書画三昧の暮しを送ったそうです。
そんな波乱万丈の人生を送ったにも関わらず、絵からは一切それが伝わってきません。
むしろ、のほほんとした感じ。
魚も何かしらのキャラクターのよう。
てか、なんで魚なのに白目があるの??

ちなみに、《安晩帖》 は全部で22帖。
以下のスケジュールで展示替えがあるそうです。

透け


ページによっては、期間中たった1日しか展示されないものも。
全てをコンプリートするためには、ほぼ毎日のように通う必要がありそうです。
ちなみに、僕が訪れた日は、こちらのページが開かれていました。

ページ


猫?熊?カワウソ?アザラシ?
よんでますよ、アザゼルさん??
何なにかはよくわかりませんが、もふもふしていてカワイイのは確かです。
「キュー」 って鳴きそう。


最後に、一つお知らせです。
いぶし銀なこの展覧会の魅力を一人でも多くの方に、伝えるべく。
来る11月11日の夜に、貸し切りの美術館でトークイベントを開催いたします!
(個人的に、美術館を貸し切ってしまいましたw)
詳細は、こちら↓
募集中のアートツアー&アートイベント

自称 “コニー” こと泉屋博古館分館長・野地耕一郎さんと、
私、“とに~” との掛け合いで、見どころを余すことなくお伝えする豪華企画です。
まだ定員まで余裕がありますので、是非皆さまのご参加をお待ちしております!




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逆に、日本美術に描かれていない鳥って?

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スズメにサギにニワトリに。
美術の世界には、実にたくさんの鳥が登場します。
それら鳥にまつわるアート作品に関して抱いている疑問を、
これまでに何度もトークショーでタッグを組んだ鳥博士・高橋雅雄君に解決してもらおうという企画。
それが、「高橋君に聞いてみないとネ」

高橋君   


<プロフィール>
高橋雅雄 
1982年青森県八戸市生まれ。
小学4年生から野鳥の追っかけを始める。
金沢大学理学部、立教大学理学研究科博士課程を経て、
青森県仏沼のオオセッカの繁殖生態の研究を行っている。
2013年3月に博士課程を修了し、博士号 (理学) を取得。
2013年9月より、新潟大学朱鷺・自然再生学研究センターの特任助手として佐渡島に赴任。
トキの野生復帰の研究-プロジェクトに参加。
2015年4月より弘前大学農学生命理学部の研究員となり、
渡り鳥に対する風力発電の影響評価に関する研究プロジェクトに参加。

大学1年より美術館に通い始める。
2009年1月に開催されたアートテラー・とに~氏主催の記念すべき第1回アートツアー@渋谷に参加。
その縁により、とに~氏と 「鳥とアート」 をテーマにしたトークショーを不定期に開催。

未婚。



まずは、この秋もっとも注目を集めている展覧会、“「怖い絵」展” にまつわる疑問から。

怖い絵

Q ベッ〇ーに似ていると話題沸騰の 《飽食のセイレーン》
  モデルとなっている鳥はいるの?


~高橋君による見解~
「羽の模様や全体の雰囲気から、オウギワシがモデルと思います。

扇和紙


 世界三強を評される超大型のワシで、
 南米アマゾンの熱帯雨林に住み、サルやナマケモノを捕まえる怪鳥です。
 ちなみに、英語では、ハーピーイーグルと言います。」


今年2017年は、国宝イヤー。
ということで、ここからは国宝に関する鳥の疑問3連発です。

桃鳩

Q 国宝の 《桃鳩図》 に描かれてるハト。普段、見かけるハトと全然違くない?

~高橋君による見解~
「普段、街で見かけるハトはキジバトと、飼い鳥が野生化したドバトです。
 この絵に描かれているのは、アオバトです。



 森に住むハトで、海岸に飛んできて海水を飲むという不思議な習性を持っています。」


迦楼羅

Q 興福寺の 《迦楼羅像》 。モデルの鳥って何?ニワトリ?

~高橋君による見解~
「迦楼羅とはインドの神話の鳥ガルーダのこと。
 ガルーダはインドクジャクまたはワシの1種がモデルと言われています。
 でも、この 《迦楼羅像》 は、スズメツバメっぽい顔ですね。」


山鳥毛

Q 国宝の太刀 《無銘一文字》
その見た目から、「山鳥毛」 って呼ばれてるけど、本当に山鳥の毛ってこんな感じなの?


~高橋君による見解~
「この太刀の特徴である刃紋は大柄な横縞模様ですが、
 ヤマドリの尾羽も大柄な横縞模様が特徴なので、ヤマドリに例えた気持ちがよく分かります。

ヤマドリ


 実際は、そんなに似ていないけど・・・。」


本日最後の疑問は、こちらです。

スズメ

Q スズメやサギ、ニワトリ。あらゆる鳥が日本美術に描かれてるけど、
  逆に、日常では見かけるのに日本美術に描かれていない鳥っているの?


~高橋君による見解~
「姿の美しさからバードウォッチャーに人気なのに、なぜかあまり描かれない鳥はいます。
 例えば、田中一村は例外的に描いていますが、アカショウビン

アカショウビン


 パンダガモという通称があるミコアイサ

ミコアイサ


 他にもシノリガモ、オオマシコ、ベニマシコなどが挙げられます。
 あと、カワセミはよく描かれているのに、ヤマセミは描かれていないですね。」

ヤマセミ


さてさて、この 「高橋君に聞いてみないとネ」 では、
読者の皆様からも、鳥にまつわるアート作品の疑問を広く募集しております!
見事、疑問が採用された方には、
何らかの美術展ペアチケットをプレゼントしますので、ふるってご応募ください。
コメント欄に書き込むか、以下のメールフォームによろしくお願いいたします。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


また、11月11日の “泉屋博古館分館貸し切りスペシャルナイト” に、高橋君の緊急参戦が決定!
青森から駆けつけてくれることになりました。
野地耕一郎分館長が高橋君にどうしても聞いてみたい鳥の疑問をぶつけるコーナーも。
こちらの中国絵画や、

鳥


こちらの中国絵画に関する疑問の答えが解決することでしょう。

鳥


生 『高橋君に聞いてみないとネ』 をどうぞお楽しみに♪




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北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃

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この秋、国立西洋美術館で開催中の展覧会、
“北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃” に行ってきました。

北斎
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


こちらは、日本が世界に誇る天才浮世絵師・葛飾北斎と、
その北斎に大きな影響を受けたモネやドガといった西洋美術の巨匠YOUたちを紹介する展覧会です。
展覧会場では、個人蔵の貴重な作品も含む西洋美術の傑作の数々が、
インスパイアを受けたと思われる北斎作品と対比させる形で紹介されています。

会場
(左)メアリー・カサット 《母と子供》 1889年頃 シンナティ美術館
(右)メアリー・カサット 《青い肘掛け椅子に座る少女》 1878年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー



西洋美術も楽しめる。
北斎の浮世絵も楽しめる。
一粒で二度美味しい展覧会です。
しかも、出展数は、西洋芸術の名作が約200点。
北斎の錦絵が約30点、版本が約60冊合わせて90点とボリューム満点。
90分あっても消化しきれなかったほど。
まるでホテルビュッフェのような展覧会でした。
星星


さてさて、展覧会で紹介されていた数々の “西洋美術×北斎” ですが。
「影響を受けたってレベルでなくて、完全にコピーじゃん!」 というパターンもあれば、

まんま
左から)フェリックス・ブラックモン/エスカリエ・ド・クリスタル社「セルヴィス・グラン・ゾワゾー」より 《皿:雁》 1894年頃 パリ装飾美術館
フェリックス・ブラックモン/アヴィランド窯「セルヴィス・パリジャン」より 《皿:月に鶴》 制作年不詳 パリ装飾美術館
エルキントン社 《花器:鶴》 1876年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、ロンドン



「なるほど、北斎の作品をオリジナルアレンジすると、こうなるのね!」 というパターンも。

ポプラ
(右)葛飾北斎 《冨嶽三十六景 東海道程ヶ谷》 1830-33(天保元-4)年頃 横大判錦絵 25.7×37.8cm ミネアポリス美術館 
Minneapolis Institute of Art, Bequest of Richard P. Gale 74.1.237 Photo: Minneapolis Institute of Art
(左)クロード・モネ 《陽を浴びるポプラ並木》 1891年 油彩、カンヴァス 93×73.5cm 国立西洋美術館(松方コレクション)



北斎の作品とのマッチング度合は、さまざま。
100%から30%くらいまで、その振れ幅は広かったです。
中には、「影響を受けたっちゃ受けたのかもしれないけど(笑)!」 という30%を下回るパターンも。
(とに~比)

影響
(左)クロード・モネ 《菊畑》 1897年 個人蔵
(右)葛飾北斎 《菊に蛇》 1831~33(天保2~4)年頃 シカゴ美術館


北斎漫画
(左)葛飾北斎 『北斎漫画』 十一編(部分)刊年不詳 浦上蒼穹堂
(右)エドガー・ドガ 《踊り子たち、ピンクと緑》 1894年 パステル、紙(ボード裏打)66×47cm 吉野石膏株式会社(山形美術館寄託)



似てる似てないの学術的な判断は、この際、置いておきまして。
このマッチング度は何%と、自分なりにジャッジしながら鑑賞すると楽しいですよ。

ちなみに、個人的に意外とマッチング度が高いと感じたのは、
セザンヌの 《サント=ヴィクトワール山》 と、

サント=ヴィクトワール山》
>ポール・セザンヌ 《サント=ヴィクトワール山》 1886-87年 油彩、カンヴァス 59.7×72.4cm 
フィリップス・コレクション、ワシントンD.C.The Phillips Collection, Washington, D. C



葛飾北斎の 《冨嶽三十六景 駿州片倉茶園ノ不二》 の組み合わせ。

北斎
葛飾北斎 《冨嶽三十六景 駿州片倉茶園ノ不二》 1830-33(天保元-4)年頃 横大判錦絵 24×37.2cm オーストリア応用美術館、ウィーン MAK – Austrian Museum of Applied Arts / Contemporary Art, Vienna Photo: ©MAK / Georg Mayer


一見、あまり似てないような気もしたのですが。
よくよく比べてみると、山の位置がほとんど一緒でした。
そして、左右反転してはいますが、手前の木の位置も一緒。
ふもとの景色の色合いも、なんとなく似ています。
よくぞこの組み合わせを見つけたものだと感動すら覚えました。


逆に、マッチング度が低いと感じたのは、北斎の 《冨嶽三十六景 凱風快晴》 と、
ブロンシア・コラー=ピネルという画家の 《アン・デア・ウィーン劇場の屋根》 の組み合わせ。
(注:大人の事情で、画像をお見せできません)

屋根と富士山。
確かに、どちらも三角形。
確かに、白い部分が雲に似てるっちゃ似てます。
でも、似てないっちゃ似てないです。
ある意味、よくぞこの組み合わせを見つけたものだと感動すら覚えました (笑)
皆さまも会場で是非ジャッジしてみてください!




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THE ドラえもん展 TOKYO 2017

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日本を代表する現代アーティストたちが、
日本を代表する漫画・アニメ 『ドラえもん』 をテーマに作品を制作する。
まさに “こんなこといいな できたらいいな” な願いが実現した展覧会が、
六本木の森アーツセンターギャラリーで、来年1月8日まで開催されています。
その名も、“THE ドラえもん展 TOKYO 2017”

会場


「あなたのドラえもんをつくってください」

あなたのドラえもんをつくってください」
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


そんな呼びかけに答えたのは、28組のアーティスト。
村上隆さんに、

村上


蜷川実花さんに、

蜷川実花


奈良美智さんに、

奈良


会田誠さんに山口晃さんに・・・

山口


と、一人ひとりの名前を挙げていたらキリがないほど。
とにもかくにも、豪華な顔ぶれです。
これまでアートテラーとして沢山の現代アート展を目にしてきましたが。
まず間違いなく、参加アーティストの豪華さでいったら、今回の展覧会がぶっちぎりでNo.1。
よくぞこれだけのメンバーが揃ったものだと、ただただ驚くばかりでした。
きっとスネ夫のパパが、なんとかしてくれたのかもしれません。

参加メンバーが豪華ということだけでも、テンションが上がってしまいましたが。
もちろん作品一つ一つも、それぞれ見ごたえアリ。
お祭りだから、なんとなく参加しているのではなく、
アーティストの皆さんが、きちんと作品を制作していたのが印象的でした。
ドラえもんに対するリスペクトが、作品からひしひしと伝わってきます。
そういう意味で、これだけの一流現代アーティストたちを本気にさせたドラえもん。
その存在のスゴさに、改めて気づかされる展覧会でした。
星星


ちなみに、どのドラえもん作品も素敵でしたが。
もっと “俺のモノ” にしたかった作品は、福田美蘭さんの 《波上群仙図》 です。

福田
福田美蘭 《波上群仙図》 ©Miran Fukuda ©Fujiko-Pro


離れて見ると、中国絵画風なのですが。
近づいてみると、ドラえもんにしか見えないというトリックアートのような一枚です。
水の渦が、タケコプターを表現しているところは特に秀逸。
ずっと見ていても見飽きない絵でした。


見飽きないといえば、町田久美さんの 《星霜》 も。

町田
町田久美 《星霜》 ©Kumi Machida ©Fujiko-Pro


一見すると、ポップなイラストレーションのようですが。
実は、れっきとした日本画。
和紙に墨や胡粉、岩絵具など伝統的な日本画の素材で描いた作品です。
大胆な太い線に見えるものも、実は、面相筆で細い線を何度も塗り重ねたもの。
近づいてみると、微妙なニュアンスが込められているのがわかります。
シンプルだけど、意外と深い。
まさに、『ドラえもん』 の世界を表しているよう。


また、今回の展覧会には、大御所アーティストだけでなく、
今人気急上昇中の若手アーティストたちも参戦しています。
その中には、黒板アートで話題のれなれなさんの作品もありました。

れなれな
れなれな 《静かな決意》 ©RenaRena ©Fujiko-Pro


黒板とチョークで、どうしてこんなにも緻密な絵が描けるのか。
何らかのひみつ道具を使っているに違いありません (←?)。
絶対にやっちゃダメですが、黒板消しをかけたら、この緻密な作品は消えてしまうわけです。
その儚い感じが、この作品をさらに魅力的なものにしている気がします。


最後に、個人的に、“とっても大好き” なドラえもん作品をご紹介。

しりあがり
しりあがり寿 《万事解決!劣化防止スプレーの巻》 ©Shiriagari Kotobuki ©Fujiko-Pro


それは、しりあがり寿さんの 《万事解決!劣化防止スプレーの巻》
お馴染みの 「ゆるめ~しょん」 スタイルで、
つまり、ゆるいアニメーションで、『ドラえもん』 の新作 (?) を制作したものです。
作画やアテレコ、主題歌など、どれをとってもゆるゆるなのですが。
意外と内容は、ゆるくなかったです。
むしろ、ちょっと深い。
この作品を見てから、すでに数日経っていますが、
あまりにもインパクトが強かったので、まだ頭からこびりついて離れません。

助けて、ドラえもん!




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