Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all 5005 articles
Browse latest View live

名画IPPONグランプリ 第8問&第9問

$
0
0

ippon



出張授業などでお世話になった小学生たちに、
名画に関する大喜利に挑んでもらい、その中から厳選されたオモシロ回答だけを紹介していく企画。
それが、名画IPPONグランプリです。

今回のお題となる絵は、こちら。

ホッパー


アメリカを代表する画家エドワード・ホッパーの 《日曜日》 です。
この哀愁たっぷりのおじいさんに、一体何があったのか?
想像がいろいろと膨らむ名画です。

お題


今回の回答でもっとも多かったのは、おじいさんの頭髪をいじったものでした。
小学生は、やっぱりハゲが好きなようです。
とは言え、ハゲというフレーズを出してしまうと、
ストレートすぎて、なかなか笑いにはつながらないので、
婉曲的に表現したほうが、大喜利の回答としてはレベルがアップします。
例えば、こんな感じに。

あーとねーちゃー


具体的な企業名を出すというのは、イイ回答ですね。
アメリカにアートネーチャーがあるかは不明ですが (笑)

ちなみに、ハゲネタの中で一番センスを感じた回答が、こちら。

髪の毛


カギを失くしたのと同じタイミングで、
髪の毛もごっそり無くなってしまったのかと想像すると、オモシロいですよね。
誰かが拾ってくれているかもしれません。


ハゲネタ以外の回答も紹介いたしましょう。
僕が一番好きだったのは、この回答です。

ホッパー


たぶん自分でペンキを塗ったのでしょうね。
そのうえで、自分が座ってしまうという。
自己嫌悪と絶望感が漂っています。


最後に、ちょっと社会派な回答を。

ホッパー


こうして過疎化って進んでいくのでしょうね。
『ザ・ノンフィクション』 のワンシーンのよう。
胸が苦しくなりました。


一応恒例なので、僕も考えてみました。
「あるある」 的な回答にするというのが、王道でしょうか。
もしくは、感情を寂しさではなく、静かな怒りと捉えるというパターンもありですね。

ippon
お題
登校日
乙姫


さて、今回はもう一問いきましょう。
世界一有名な絵画の一つであるムンクの 《叫び》 をお題にしました。

後ろ


まずは小学生らしい回答から。

カツラ


ハゲはいじらざるをえない。
小学生というのは、そういうものなのです (笑)


続いては、普通に巧いなぁと感心してしまった回答を。

桂


「えー、早く言ってよー」 といった感じでしょうか。
出来れば、渡る前に忠告して欲しいものです。


《叫び》 のモデルは、ペルー人ミイラという説がありますが。
全く違う設定を考えた小学生がいました。
その回答が、こちら。

弁当


弁当屋の倅だったのですね (笑)
個人的には、ふかわりょうの一言ネタっぽい言い回しもツボ。

最後に、今回のイチオシの回答をご紹介。

ナン


いや、ナンじゃねーよwww

確かに、言われてみれば、顔の形がナンです。
その発想はなかった。
思わず、「天才かよ!」 と叫んでしまいました。

このボケを見せられた後には、回答する気にはなりません (笑)
完敗です。

以上、名画IPPONグランプリでした。




5位以内を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですダウン
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ   にほんブログ村 美術ブログへ

アジェのインスピレーション ひきつがれる精神

$
0
0
天才アラーキーこと荒木経惟氏には、
「やっぱ <私情> がなくちゃね。やっぱりアッジェだね。」 と言わしめ、
日本を代表する写真家・森山大道には、
「現代に至るまで、アッジェの写真への心の追及は止むことがない」 と言わしめる写真家。
それが、ウジェーヌ・アジェ (1857~1927) です。

俳優を目指すも、結局目が出ず劇団を解雇。
画家を目指すも、才能が開花せず、やはり挫折。
41歳のときに、職業写真家へと転向しました。
当時失われつつあった19世紀パリの古き良き時代の姿を、丹念に記録し続けたアジェ。
30年の職業写真家人生で撮影した写真は、実に8000枚にも及ぶそうです。
全体的には、驚くほどパッとしない人生でしたが、
最晩年になって、マン・レイらシュルレアリストの芸術家たちからジワジワ注目を浴びはじめます。
そして、その死後、マン・レイのアシスタントを務めていたベレニス・アボットや、
ニューヨーク近代美術館のキュレーターの功績により、アジェは 『近代写真の父』 と呼ばれるまでに。
そして、現在もなお、多くの写真家に影響を与えているようです。


そんなアジェの作品とその系譜を受け継ぐ写真家の作品を合わせて紹介する展覧会、
“アジェのインスピレーション ひきつがれる精神” が、東京都写真美術館で開催されています。

道
ウジェーヌ・アジェ 《ショワジー館、バルベット通り8番地》 1901年

トリニ館、ケ・ダンジュ通り11番地
ウジェーヌ・アジェ 《トリニ館、ケ・ダンジュ通り11番地》 1902年


正直なところ、写真の良し悪しがイマイチわかっていないので、
“何で、そんなにアジェが絶賛されるんだ?” と、謎だったのですが。
アジェの写真と他の写真家の作品を見比べるうちに、おぼろげながらわかってきたことがありました。
アジェ以外の写真家の作品を鑑賞する際には、
“こういう意図でこの写真を撮ったのかな” と写真家の存在が感じられるものですが。
記録写真に徹したアジェの写真からは、ほとんどといっていいほどアジェの存在が感じられません。
完全にステルス状態。
特にそれを感じたのが、今回のポスターにも使われている 《日食の間》 という一枚です。

日食の間


今でこそカメラが当たり前の世の中ですが、
この当時は、カメラはまだまだ珍しかったはず。
いくら日食に集中しているとは言え、一人くらいはカメラを気にしそうなものです。
まるで画面のこちら側に誰もいないかのよう。
撮影したアジェは、透明人間だったのかも。
『世にも奇妙な物語』 に通ずる世界観があります。
怖い絵ならぬ、怖い写真です。


怖いといえば、こんな写真も。

ウジェーヌ・アジェ《フルーリー街76番地、シャペル大通り》1921年
ウジェーヌ・アジェ 《フルーリー街76番地、シャペル大通り》 1921年


こちらは、2人のモデルがカメラに向かってポーズをしています。
ただ、2人が微妙に距離があるためか、
どこか現実感がなく、まるでコラージュ作品のような印象を受けました。
ちなみに、画面左にご注目。
実は、建物の陰から顔だけ覗かせている3人目の女性がいます。
動いてしまったのでしょう。
顔はブレブレで、半透明になっています。
心霊写真のようでした


個人的に一番心に残ったのは、《紳士服店、ゴブラン通り》 という一枚です。

アジェ


ショーウィンドウの中にあるマネキンのギュウギュウ感 (?) を狙ったのか。
それともショーウインドウに写り込む景色の面白さを狙ったのか。
撮影したアジェの意図が全く見えてこない不思議な写真でした。
よーく見ると腰に手を当てた似たようなポーズをした男性2人の姿が映り込んでいます。
そして、その間に一人の人物のシルエットがうっすらと見えます。
それがアジェなのかも。


ちなみに、展覧会としては、アジェの精神を受け継いだのでしょうか、
アジェの影響を受けたという写真家の作品を、ただただ記録的に並べただけという印象。

ウォーカー・エヴァンズ 《写真家のウィンドウディスプ
ウォーカー・エヴァンズ 《写真家のウィンドウディスプレイ、バーミンガム洲、アラバマ》 1936年


どの辺がどうアジェの影響を受けているのか、
特に現代の日本の写真家に関しては、イマイチ伝わらなかったです。
星
アジェがすごいということだけは伝わりました。




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

Marimekko Spirit -Elämäntapa マリメッコの暮らしぶりー

$
0
0

12月15日より、Gallery A4 (ギャラリーエークワッド) にて、
“Marimekko Spirit -Elämäntapa マリメッコの暮らしぶりー” なる展覧会がスタートしました。

正直なところ、“ここ最近、マリメッコの展覧会多くない?” という気持ちもありましたし、
“てか、Elämäntapaって何?どんな展覧会か全く想像がつかなくない?” という気持ちもあり、
今回の展覧会は、スルーしようかと思っていました。
しかし、これまで良質の展覧会を何度も開催しているGallery A4。
もしかしたら、行かなくて、のちに後悔することも大いに考えられます。

というわけで、Gallery A4のホームページとにらめっこ。
“行かなくていっか?やっぱり、行っとくか?” という考えのいたちごっこの末、
“Gallery A4は基本的にハズレがないから、万が一、今回ハズレでもうらみっこなし!” と、会場へ。
結論から言えば、行って大正解!
今回もアタリの展覧会でした。
星星


まず会場に展示されていたのは、
マリメッコの故郷フィンランドを代表する文化の一つサウナ。
それも、マリメッコがデザイン監修をしたマリメッコスタイルのサウナです。

サウナ


この展覧会 (しかも無料の!) のためだけに作られたオリジナル。
中に入ることも、もちろん可能です。

中


さすがに展示スペースであるため、火は使えないとのこと。
なので、少しでも温かさを感じられるようにと、ホッとストーンが用意されています。

石


そんな小さな気配りにも、心が温まりました。
ちなみに、サウナ内にあるマリメッココーディネートによるバスローブやタオルは・・・

サウナ


実際に着用OKだそうです!!

ただ、他のお客さんもいるのに、
バスローブに着替えられる勇気は持ち合わせておらず・・・(笑)
触り心地だけを体験してきました。


さて、サウナの目の前に広がっていたのは、マリメッコのファブリックの森と庭。
庭の足元に、クッションがいっぱいある (落ちてる?) 不思議な光景が見られます。

ファブリック
庭


そして、その森と庭を抜けた先にあったのは、なんと茶室です。

茶室


サウナと茶室。
一見、何の関係もないような感じがしますが。
実は、かつての茶の湯には、「淋汗茶の湯」というおもてなしがあったそうで、
茶事の前に、湯気を浴びるというサウナに近いスタイルで身体を清めて頂いていたとのこと。
そういう文化的な縁もあり、こちらの茶室もマリメッコがデザイン監修したのだとか。
おそらく世界初となるマリメッコスタイルの茶室。
その名も、『真理庵』 (まりあん)です。

マリメッコのデザインが施されているのは、外装だけではありません。
内装もまたマリメッコデザインです。

内装


さらには、茶道具を見立てたのもマリメッコ。

マリメッコ
マリメッコ


掛軸や花入れを見立てたのもマリメッコだそうです。

マリメッコ
マリメッコ


そこまでマリメッコに興味はない僕でさえ、
「どれもこれもセンスいい♪」 と思わずテンションがアップ。
インスタグラムをやっていないのに、
インスタ映えしそうな写真をパシャパシャ撮ってしまいました。
(会場内は撮影可能!)

センス


マリメッコ人気におんぶにだっこすることなく、
茶室という斬新な切り口をぶつけてくるのは、さすがGallery A4。
今回も素晴らしい展覧会でした。
ただ、それだけに、憎まれっ子になるのを覚悟で一言。

ポスター


このポスター、あまりにもシンプルすぎて何にも伝わってこないですよ (笑)


展覧会は、まだ始まったばかり。
サウナも茶室も出来立てホヤホヤなのでしょう。
新築の匂いがしました。
行くなら、是非お早めに。




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

鉄道絵画発→ピカソ行 コレクションのドア、ひらきます

$
0
0
現在、東京ステーションギャラリーで開催されているのは、
“鉄道絵画発→ピカソ行 コレクションのドア、ひらきます” という展覧会。

駅


こちらは、東京ステーションギャラリーが開館から30年間、
少しずつ収蔵を続けていたというコレクションを初めてまとめて公開する展覧会です。

“30年間も公開しなかったってことは、きっと大したコレクションじゃないんじゃない?”

と、正直、あまり期待はしていなかったのですが。

会場
会場
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


展覧会場で、猛省も猛省。
見切り発車な発言はするものではありませんね (汗)
充実したコレクションでした。
というか、むしろ何故これだけのコレクションが、
今まで公開されなかったのかと疑問に感じてしまったほど。
何はともあれ、収蔵を続けてくれていてありがとう。まとめて公開してくれてありがとう。
東京ステーションギャラリーには、感謝の気持ちでいっぱいです。

さて、そんな東京ステーションギャラリーのコレクションの中核をなすのは、
日本画家・中村岳陵が戦時中に描いた 《驀進》 しかり、

中村岳陵《驀進》1943年
中村岳陵 《驀進》 1943年


ミニチュア風の写真でお馴染みの本城直季さんによる 《small planet tokyo station》 しかり、

本城直季
本城直季 《small planet tokyo station》 2004年 ©Naoki Honjo


やはり駅や電車にまつわる作品でした。
その中には、東京都美術館で現在開催中の展覧会、
“現代の写実―映像を超えて” の出展作家の一人、元田久治さんの作品も。

元田久治
元田久治 《Indication-Tokyo Station-》 2007年


どんなランドマークも廃墟にしちゃう元田さんによって、東京駅がとんでもないことになっています。
作品自体も、もちろんインパクトがあるのですが。
こんな悲惨な姿となった東京駅の絵を、東京駅内にある東京ステーションギャラリーが所蔵している。
その事実が、何よりもインパクト。


今回、紹介されていた駅や鉄道をテーマにした作品の中で、
個人的に一番気に入ったのは、立石大河亞の最晩年の作 《アンデスの汽車》 でした。

アンデスの汽車
立石大河亞 《アンデスの汽車》 1997-98年


芸術家と漫画家のボーダーを超えて活動していた立石大河亞らしい3コマ漫画的な作品です。
普通だったら、「いや、小っちゃいんかい!」 とツッコミを入れそうなものですが。
アンデスの少女が平然と事態を受け入れていることに、ジワジワとくるものがありました。
笑いのテイストとしては、吉田戦車風。
少女の顔のテイストは、バカリズム風。


ちなみに、駅や鉄道をテーマにした作品以外で、
東京ステーションギャラリーコレクションの目玉となるのが、ピカソの絵画4点。
今回の展覧会では大トリを飾っています。
(・・・・・が、大人の事情があるため、作品を画像で紹介できません)

他には、森村泰昌さんや李禹煥さんなど、現代アートの作品が充実。

会場
リー


昨年の千葉市美術館の展覧会で衝撃を受けて以来、
ずっと注目している小川信治さんの作品とも思いがけず出会えました。

東京ステーションギャラリー


コレクション展というと、普通は見慣れた感が拭えないものですが。
このコレクション展に関しては、それが一切なし。
終始、新鮮な気持ちで楽しめた展覧会でした。
星星
駆け込みは危険ですので (結局見逃す恐れアリ)、おやめくださいませ。是非余裕をもってご乗車を。




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

わらしべ長者生活

$
0
0

美術品を手に、銀座を代表するギャラリーの数々を訪問し、
昔話 『わらしべ長者』 のように、物々交換してもらおうという企画。
それが・・・

わらしべ


わらしべ長者生活がスタートして、早2ヶ月。
これまでに7回、作品が交換されました。
ギャラリストさんたちの計らいで、それらの作品が、
先日開催された “Xmas Art Festa” スペシャル・パーティーに大集結!

ギャラリー


すべての作品が一列に並び、なんとも感慨深い眺めでした。
この走馬燈のような光景をもって最終回・・・ということも、一瞬よぎったのですが。
まだまだ紹介していないギャラリーがあるので、企画は続行。
わらしべ長者生活シーズン2に突入です。


さて、今回やってきたのは、銀座7丁目にあるギャラリー広田美術

ギャラリー広田美術
ギャラリー広田美術


創業は、1969年。
近代の物故作家から現代の新人作家まで、平面絵画を中心に紹介しているギャラリーです。
僕が訪れた日には、“寺内誠展 ―スタンド・ライト―” という展覧会が開催中でした。(会期は、12/22まで)

こちらが二代目となるギャラリストの廣田登支彦さん。

広田


アートツアーでよくお世話になっていますし、
昨年は、SPICEの取材でもお世話になりました。
(参考記事:映画『シン・ゴジラ』の首相官邸に飾られていた、あの絵の正体は?
今回のわらしべ長者生活企画にも、快くご協力。

「え~っと、とに~さんが持ってきた美術品を、うちにあるのと交換すればいいんだよね」

そう言って、廣田さんが取り出したのは・・・

野崎慎


野崎慎 (ちか) さんという日本画家の作品でした。
1984年生まれの若手女性作家で、
実力がメキメキと上がっている、これからが楽しみな画家の一人とのこと。

「廣田さん、ズバリ交換の理由は何ですか?」

と聞いてみると、

「う~ん。花、繋がりで」

と、一言。

「・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・えっ、それだけだと、面白くないかな?」

「まぁ、面白いか面白くないかで言えば、面白くはないですよね(笑)」

「うちに今あるので交換できそうなのは、この作品くらいだからなぁ」

「ちなみに、交換するしないは一旦置いておいて、どんな作品があるんですか?」

収蔵スペースを物色していると、
その中に、うちの父親が好きな日本画家・牧進さんの作品を発見!

「えっ、牧進さんの作品も取り扱ってるんですか?!」

「うん。僕の父 (=ギャラリー広田美術の初代) が、牧さんと同級生なんだよ」

「へ~、そうなんですね!」

と、ここで一つ閃きましたひらめき電球

「あのー、廣田さん、提案なんですけど。
 今から、一発勝負のじゃんけんをして、
 廣田さんが勝ったら、野崎慎さんの作品と交換、
 僕が勝ったら牧進さんの作品と交換ってのは、どうでしょう?」

我ながら無茶苦茶な提案だと思いつつ、言ってみたところ、

「それは面白いね!やろう!」

と、なぜか廣田さんは快諾。
じゃんけん対決の火蓋が切って落とされました。

じゃんけん


やらせは一切なしの真剣勝負です。

最初はグー!じゃんけんぽん!!

グー


とに~:グー  廣田:グー

あいこでしょ!

あいこ


とに~:パー  廣田:パー

あいこでしょ!!!

パー


とに~:パー  廣田:パー

まさかの3連続あいこ。
これぞリアルガチ。
実は、かつて実業団でテニスプレイヤーをしていた廣田さん。

「とに~さんには、絶対負けない!」

いつになく熱くなっています。
どうやら廣田さんの何かに火がついてしまったようです。
そして、ついに白熱のじゃんけんバトルに決着の時が。

あいこでしょ!!!!!

じゃんけん


とに~:グー  廣田:チョキ

死闘を終えた直後の廣田さん↓

廣田さん


おそらく僕が今年で一番感情を爆発させた瞬間↓

とに~


・・・・・というわけで。
今現在、我が家に戦利品が飾ってあります。

戦利品


廣田さん、いつでもリベンジお待ちしていますね (笑)


【今回ご協力いただいた画廊】
ギャラリー広田美術
住所:東京都中央区銀座7-3-15 ぜん屋ビル1F




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】

$
0
0

現在募集中のアートツアーです。

アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画を心掛けております。
初参加の方も多いので、どうぞお気軽にご参加くださいませ♪
(男女比は、7:3くらいで女性が多いです。
 また、おひとりで参加される方が大半ですので、一人でもふらっと遊びにいらしてください!)
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
参加希望の方は、お手数をおかけして恐縮ですが、
件名に希望するアートツアーを明記して、以下のメールフォームよりお申し込みくださいませ。
詳細をお知らせいたします。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
お知らせ先のメールアドレスが間違っている方が、ごくたまにいらっしゃいます。
こちらからの返信がない場合は、もう一度ご確認頂けますと幸いです。


12/23(祝・土) レアンドロ・エルリッヒ展へ行こう!
(おかげさまで定員に達しており、現在はキャンセル待ちでの受付となっております)

本年もいろいろとお世話になりました!
今年ラストに相応しく楽しいアートツアーをお届けいたします。

現代アートが好きな方はもちろん、そうでもない方も100%楽しめる美術展。
森美術館で開催中の “レアンドロ・エルリッヒ展” に、みんなで遊びに行きましょう♪
もし、レアンドロ・エルリッヒの名にピンと来なくても、
金沢21世紀美術館にある 《スイミング・プール》 は、何らかの形で一度は目にしたことがあるはず。
そんな彼の代表作の数々から、新作までが勢ぞろいした展覧会です。
一人で行ってももちろん楽しめますが、
体験型作品が多く、写真撮影もOKなので、みんなで行ったほうが、その何倍も楽しめます。
今年の締めくくりの思い出作りに、是非みんなで楽しみに行きましょう!

展覧会を鑑賞した後は、近くのカフェでまったりする予定です。
どなた様も是非気兼ねなく、遊びにいらしてくださいませ。

時間:13時~16時半
定員:12名
参加費:1600円 (展覧会の鑑賞代を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/



1/7(日) 2017年のアートシーンを振り返る新年会

2017年も大変お世話になりました。
そして、2018年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、新年一発目にお届けするのは、
美味しいお酒と料理を味わいつつ、 2017年のアートシーンを振り返ろうという新年会企画です。

当日は僕が2017年に訪れた300強の展覧会の中から、
本当に本当に素晴らしかった美術展ベスト10を発表予定。
それらの美術展の図録を持参しますので、トークの種にして頂けましたら幸いです。

このブログでは紹介し切れなかった2017年のアート事情から、
いろいろあって自粛したアートの話まで、お酒のせいにして、包み隠さず話す予定です (笑)

場所は、現在調整中。
新宿か渋谷の居酒屋を予約する予定です。

時間:18時~21時
定員:12名
参加費:4500円 (飲み放題コースの飲食代を含んだ金額です)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/



1/8(月・祝) 新春企画!トーハクに初もうで

もはや、すっかりお正月の定番企画となった “博物館に初もうで”
今年も、もちろん開催されるようです。
こちらは、国宝 《古今和歌集(元永本) 上帖》《鳥獣戯画断簡》 を筆頭に、
日本美術の一級品の数々がお年玉のように出展される、新春にふさわしい初夢企画。
是非、みんなでトーハクを訪れ、2018年の美術鑑賞初めをしましょう。

ちなみに、当日は、東京国立博物館の常設展の見どころを、徹底的にガイドさせて頂きます。
さらに、美術鑑賞をより楽しんで頂けるよう、1人1台ずつ単眼鏡をお貸しします!
どうぞお楽しみに♪

時間:13時~17時
定員:12名
参加費:1500円 (観賞料を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/



1/20(土) 画廊で買ったつもりになりまショウ

ギャラリーに入るのは、敷居が高くて・・・。
美術品を買うのは、もっと敷居が高くて・・・。

そんな皆様にお送りする新企画。
それが、『画廊で買ったつもりになりまショウ』 です。

ツアーのスタート時に、参加者全員に架空の10万円を支給。
それを元手に銀座の画廊を数軒巡ります。
各画廊でギャラリストさんが、10万円以内のオススメ作品を用意してお待ちしています。
作品を一点購入するもよし、小品を数点購入するもよし。
買い方は、皆さま次第です!
(↑あくまで、“てい”ですが笑)

買い物をしながら、銀座の画廊を巡る。
新感覚のアートツアーを、どうぞお楽しみに♪

時間:13時~17時
定員:10名
参加費:1000円

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/



いずれのツアーも、皆様のご参加を心よりお待ちしております!!

遊ぼかね

$
0
0

先日は、新宿三井ビル1階にあるエプソンイメージングギャラリー エプサイトへ。
来年1月18日まで開催されている “遊ぼかね” を観てきました。

遊ぼかね


こちらは、今もっとも注目を集めているアマチュア写真家・西本喜美子さんの待望の個展です。
西本喜美子さんは、現在87歳。
草間彌生さんと同い年です。
ちなみに、写真を始めたのは72歳の時だったそう。
“人生に遅すぎるということはない” ということを、改めて実感させられます。


そんな西本さんの代表作ともいうべき作品は、ネットでも大きな話題となったこの一枚。

こちら


都市伝説でおなじみの高速道路を走る老女を激写・・・したわけではありません (笑)
モデルは、西本喜美子さんご本人です。
つまり自撮り写真。
さらに、写真をコンピューターで加工処理しているのも、西本さんご本人です。
ちなみに、画像編集ソフトの使い方を学んだのは74歳の時だったそう。
“人生に遅すぎるということはない” ということを、つくづく実感させられました。

自撮り
自撮り


西本さんの作品は、本当に面白い。
嫉妬してしまうくらいに面白いです。
発想も面白いですし、被写体としての表情も面白い。
天が二物を与えています。
しかも、一見ゆるい写真のように思えますが、
どの作品にも、まるで計算され尽くしたかのような絶妙なチープ感が漂っています。
完成度は、高し。
決して、ただの “変なおばあちゃんが撮った変な写真www” ではありません。


個人的に、もっともその才能に嫉妬してしまったのが、中央の2枚。

西本


ごみとして捨てられるおばあちゃん。
仏壇の脇から幽霊として登場するおばあちゃん。
自虐の極みです (笑)
このセンスには勝てる気がしません。


間違いなく、老若男女が楽しめる展覧会。
無料なので、是非足を運んでみるかね。
日曜が休館日なので要注意です。
星星


ちなみに、展覧会では、西本さんの普通 (?) の作品も紹介されていました。

普通
普通
普通


普通にセンスがいいです。
天は何物与えたのか?




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

第7回菊池ビエンナーレ 現代陶芸の〈今〉

$
0
0
2年に1度の現代陶芸の祭典、菊池ビエンナーレの季節がやってきました!
第7回となる今回には、日本国内を中心に総数322点がエントリー。
そのうちの入選作52点 (大賞1点、優秀賞1点、奨励賞3点を含む) が、菊池寛実記念 智美術館で、
今まさに開催中の展覧会 “第7回菊池ビエンナーレ 現代陶芸の〈今〉” で紹介されています。


栄えある大賞に輝いたのは、和田的さんの 《表裏》
一対からなる作品です。

和田的《表裏》


フォルムはほとんど一緒なのですが。
よく見ると、片方には縦に線が入っています。
その線とライティングによって生まれる絶妙な陰影が、なんともいえない緊張感を生み出していました。
こちらの緊張感のあるほうが “表” なのか、
はたまた、もう片方の表面がのっぺりしたほうが “表” なのか。
哲学的な印象すら受ける作品でした。


続く優秀賞に輝いたのは、前回に引き続き今回も津守愛香さん。
前作は 《サムライ・マーメイド》 でしたが、今作は 《人魚仏》 です。

人魚仏》


前作は、のほほんとした空気を漂わせていましたが。
今作は、そこに情念のようなものがプラスされていました。
感情に深みが増していたような気がします。
ちなみに、パッと見は可愛らしい雰囲気なのですが、
よくよく近づいてみると、目が笑っていないことに気が付かされました。
思わず、「ゾッ」「ゾクッ」 とします。
パンダの目って意外と怖い。それに通ずるものがありました。


奨励賞の受章者は、今回は3名。
一人は、人間国宝だった三代 徳田八十吉を師に持つ田島正仁さん。

《彩釉鉢》
田島正仁 《彩釉鉢》


どこか富士山を彷彿とさせる青から、
どこか陽の光を彷彿とさせる薄い黄色へのグラデーションが、実に美しかったです。
まるで壮大な景色を見たかのよう。
心が洗われました。


二人目は、中田雅巳さん。

中田雅巳《SEN》


一見しただけでは、わりかしシンプルな作品なので、
「んー?どのあたりが奨励賞??」 と失礼なことを思ってしまったのですが。
タイトルである 《SEN》 の意味が判明した際には、「そりゃ受章するわ!」 と納得しました。
器の表面にビッシリと細い線がありますが、
実はこの1本1本の線は、手作業で掻き落されたされたもの。
奥に見える黄色い器にいたっては、線を1本1本削った後に、黄色を象嵌したものなのだとか。
確かに、よーく近づいてみると、フリーハンドで作られた線であることがよくわかります。
それを知った上で改めて観てみると、陶芸作品というよりも、抽象絵画のような印象を受けました。
で、その抽象絵画を、筒状にくるっとまるめたような。
2.5次元な陶芸作品です。


そして、三人目は、1991年生まれの若手作家・釣光穂さん。

釣光穂《Ivy》
釣光穂 《Ivy》


まるでアミモノのようなアミモノ陶芸で、注目を集めている作家だそうです。
造形も独特ですが、色合いも独特。
なんとなく、きゃりーぱみゅぱみゅを連想させるカラーリングです。


ちなみに、釣さんをはじめ、今回はこれまで以上に20代の作家の活躍が目立ちました。
僕のイチオシは、井上俊博さん。

井上俊博
井上俊博 《将棋盤 銘“豪傑頼光之化物屋敷二巣喰土蜘蛛ト対峙スル夜”》


決して、最近の将棋ブームに乗っかったわけではなく、
以前より、陶で将棋盤と将棋の駒を制作し続けているそうです。
もちろん、実際に将棋を指すことも可能とのこと。
是非いつか。プロ騎士にこの将棋盤で対局して欲しいものです。
(注:ただし、美術館に展示されている限りは、お手触れなく!)


そういう意味でも、まさに現代陶芸の〈今〉がわかる展覧会でした。
「陶芸って難しい・・・」 とか、
「陶芸って古臭くない??」 とか思っている人のほうが、
かえって素直に楽しめる展覧会かもしれません。
星


最後に。
世の中の誰も期待していないでしょうが、
もし入選作の中で、とに~賞をあげるとするならば、と考えてみました。
熟考の末、伊藤北斗さんの作品に決定!

伊藤北斗《釉刻色絵金銀彩鉢》


皿の内側にも外側にも、イカがビッシリと描かれています。
そのイカの可愛さたるや!
こんなにもイカをカワイイと思ったのは、生まれて初めてです (笑)
ちなみに、タイトルは 《釉刻色絵金銀彩鉢》
全くイカ関係なかったです。
タイトルは、かわいくない。




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

第百五十五話 国宝ハンター、狩り納める!

$
0
0
前回までのあらすじ~

国宝全1108件を目にするため、日本を掛け巡る国宝ハンター。
これまでにハンティングした国宝の数は、943件となりました。
順調にゴールに近づいているかに思えましたが、
またしても、宿敵 (←?) 文化庁が国宝を増やし、そのゴールを阻みます (←??)。
今年の国宝、今年のうちに!


奈良


ということで、2017年ラストの国宝ハンターは、奈良へとやってきました。
さすがに朝一ということもあって、平城京跡には誰もいません。

平城京


ここからさらに歩いて、目的地である法華寺に到着しました。

法華寺


ここを訪れるのは、なんだかんだで3度目。
すっかり見慣れたものです。
前回訪れた際に、もう二度と訪れることはないと思ったので、

これでもう法華寺を訪れることは無いでしょう。
ありがとう法華寺、さようなら法華寺。


と宣言したのに、まさかその翌年に訪れることになろうとは。
夢にも思っていませんでした。

それもこれも・・・

ゆいま


維摩居士坐像が今年国宝に昇格したからに他なりません。
ちなみに、これまで乾漆像と考えられていたのですが、新たな調査で木造であることが判明。
重要文化財から国宝へと変化したタイミングで、
名前も 《木造維摩居士坐像》(ジャンル:彫刻) へと変化したそうです。

法華寺の他の2件の国宝は、特別公開の時期だけしか拝観が叶いませんが。
《木造維摩居士坐像》 は、オールシーズン拝観OK!
いつでも本堂でスタンバっているようです。

本堂


ということは、これまでに2回訪れているので、
重要文化財時代の維摩居士坐像にも2回会っているはずなのですが。
全く記憶にありません。。。

本堂に入るなり、その理由が判明。
なるほど、本堂に入ってすぐ左、物置のようなスペースに安置されていました。
しかも、暗い。
言われないと、気にも留めない場所です。
過去2回はこの場所に仏像があるとは気づかず、完全にスルーしてました。

維摩居士


さてさて、3度目の法華寺にして、はじめましての 《木造維摩居士坐像》
若い時の細川たかしに、ちょっと似ていました。
髪型は今の細川たかし寄りですが。
あと、何よりも気になったのは、襟ぐりは広すぎ。
おじいちゃんのランニングシャツくらい広いです。


何はともあれ、もうさすがに法華寺を訪れることは無いでしょう。
ありがとう法華寺、さようなら法華寺。

法華寺


法華寺の正面にある遊具が全部青い謎の公園も、これで見納めです。
(ついでに言うと、自販機も青!)


その後、奈良国立博物館へ移動。
開催中の名品展 “珠玉の仏教美術” にて・・・

奈良


《絹本著色倶舎曼茶羅図》(ジャンル:彫刻) と、
《智証大師関係文書典籍》(ジャンル:古文書) の2件をゲットしました。
《智証大師関係文書典籍》 は、第5代天台座主 “智証大師” こと円珍に関係する資料を統合したもの。
今回展示されていたのは、そのうちの1点で、
円珍が弟子に与えた全3条からなる自筆の遺戒 「制誡文」 です。

全文三条


何と書かれているのか、よくわかりませんでしたが、
とりあえず2条目だけ短くて、バランスが悪いことだけはわかりました (笑)

ちなみに、国宝とは全く関係ないのですが。
久しぶりに奈良国立博物館を訪れたら、地下で気になる案内板に出会ってしまいました。

看板


自動販売機の案内板って!
どんだけBOSS押しなんだよ。


さてさて、これにて今年の国宝ハンターは終了。
今年一年を振り返ってみると、実に79件の国宝をハンティングすることができました。
北は青森から南は鹿児島、さらには、日本一危険な国宝・投入堂まで、
いつになく充実した国宝ハンターライフを送れたように思います。
国宝ハンターとして、まさかの出版も叶ってしまいましたし。

こども国宝びっくりずかん: 3大付録つき へんてこ!すごいぞ!日本の宝もの (ワンダーライフス.../アートテラー とに~



真の国宝ハンターになるために、来年こそは、1000件達成を目指します。

今現在の国宝ハンティング数 946/1110




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

ニッポンの写実 そっくりの魔力

$
0
0
現在、奈良県立美術館で開催されているのは、
“ニッポンの写実 そっくりの魔力” という展覧会。

奈良


髙島野十郎の 《百合とヴァイオリン》 や、

弥十郎


磯江毅の 《鰯》 といった本物そっくりな写実絵画の数々と、

磯江毅《鰯》


安藤緑山の 《牙彫 竹の子、豌豆、独活》 や、

牙彫 竹の子、豌豆、独活


満田晴穂さんの 《自在深山鍬形(雄)》 など、

自在


本物そっくりな彫刻や工芸品の数々を紹介する展覧会です。
出展作家のラインナップから、なんとなく予想していましたが。
先日、足利市美術館で開催されていた “リアル(写実)のゆくえ” に、
先日、三井記念美術館で開催されていた “驚異の超絶技巧!” をそっくり足したような展覧会でした。
ここ最近特に人気が高い 「写実絵画」 と 「超絶技巧」。

“だったら、その2つを掛け合わせたら、人気展覧会になること間違いなし!”

という魔力に、主催者さんは取りつかれてしまったのかもしれません。
二兎追うものはなんとやら・・・です。
可もなく不可もなく無難。
デジャヴ感が強い展覧会。
星

ちなみに、出展作品の4分の1ほどが、豊橋市美術博物館の所蔵作品でした。
豊橋市美術博物館コレクション展??
とりあえず、豊橋市美術博物館の所蔵品に、写実系が多いことだけはわかりました。


・・・と、展覧会全体的には、いま一つな感じでしたが。
もちろん作品一つ一つは見ごたえがありました。
その中でも特に今回印象的だったのは、三宅一樹さんという彫刻家の作品です。

龍泉に降りし玉珧


こちらは、貝シリーズのうちの1点 《龍泉に降りし玉珧》
質感と言い、フォルムといい、本物の玉珧 (タイラギ) そっくりなのですが。
実は、木彫。
そうわかった上で観ても、やはり木とは思えません。
むぅ。
圧倒的な存在感に、思わず貝のように押し黙ってしまいました。
しばらく観ていると、貝に空いた穴が、魚の形になっているのを発見。
遊び心もある作品でした。

本物そっくりの彫刻家といえば、
驚異的な一木造りで人気急上昇中の前原冬樹さんの作品も出展されていました。
その名も、《螺旋人間》

螺旋人間


信じられませんが、これも一木。
頭 (?) の針金が捻じれてるところとか、
胴体 (?) から伸びている腕 (?) とか。
何をどうやったら、この形が作れるのでしょう??
謎が謎を呼びます。
まさにスパイラル。


最後にご紹介したいのは、星野眞吾の作品です。

露草


よくあるタイプの写実的な洋画かと思いきや、なんと日本画。
この 《露草》 以外にも、ドクダミを描いた 《卓上の一輪》 などリアルすぎる日本画が紹介されていました。
画像をご紹介できず恐縮ですが、特に心にこびりついて離れないのが、《夜の静物》 という一枚。
暗い背景に浮かび上がる木の机。
その上に、大量のタバコの吸殻が無造作に置かれています。
灰皿使えばいいのに。
ちなみに、星野眞吾は肺がんで亡くなったのだそうです。
あのタバコの量なら・・・。
暗示めいた作品でした。




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

日本の絵本100年の歩み

$
0
0
現在、世界で最初の絵本美術館であるちひろ美術館・東京では、
100年におよぶ日本の絵本の歩みを辿る展覧会 “日本の絵本100年の歩み” が開催されています。

子供たちのための本が作られた最初期の絵本から、

岡本帰一
岡本帰一 サンリンシャ「コドモノクニ」 1926年2月号(東京社)より 1926年 ちひろ美術館蔵


誰もが一度は目にしたことがあろう超ベストセラーの絵本や、

瀬川康
瀬川康男 『いないいないばあ』(童心社)より 1967年 ちひろ美術館蔵


有名現代アーティストが手掛けた意外な絵本など、

大T家
大竹伸朗 『ジャリおじさん』(福音館書店)より 1993年 作家蔵


絵本史 (?) に残る名作たちの原画や資料が続々と登場!
絵本好きならずとも自然とワクワクする、子ども時代を思い出してしまう。
誰しもがピュアな気持ちになれること請け合いの展覧会です。
星星
心の大掃除をしたい方にピッタリの展覧会と言えましょう (笑)


個人的に、もっとも心の琴線に触れたのは、
小学校1年生の時の国語の教科書に載っていたおじさんのかさ (講談社の創作絵本)/講談社



「あぁ、こんな話だったなァ」 と、懐かしさで胸がいっぱいになりました。
ただ、改めて冷静に考えると、
偏屈なオッサンが主役の話なんて、小1にはまだ早かったかもなァという疑念も湧きました (笑)


それと、もう一つ懐かしかったのが、
日本の全子どもにトラウマを植え付けた (?) ねないこだれだ (いやだいやだの絵本)/福音館書店



ちょうど今年、ネット上で大喜利的に盛り上がっていましたっけ。
(参考記事→絵本『ねないこだれだ』のパロディが面白すぎて困る件ww
それだけに、原画が観られて、タイムリーでした。
子どものときは、なんか怖かった印象があったのですが、今観ると、全然怖くないですね。
むしろ、可愛いくらいです。
ねれなかったこだれだ (←自問自答)。


ちなみに、今回の展覧会を通じて出会った絵本の中で、
一番印象に残っているのは、『もこ もこもこ』 です。

元永定正
元永定正 『もこ もこもこ』(文研出版)より 1977年 モトナガ資料研究室蔵


具体美術協会を代表する画家・元永定正と、
詩人の谷川俊太郎さんとの異色のタッグによるシュールな絵本。
普通に読んだだけでは、どこがオモシロいのか、よくわからないのですが。
何か惹き込まれる。何かもう一度読みたくなる。何か声に出したくなる。
何かオモシロい絵本でした。

そして、もう一冊は、『きかんしゃやえもん』。
11_岡部冬彦きかんしゃやえもん
岡部冬彦 『きかんしゃやえもん』(岩波書店)より 1959年 ちひろ美術館蔵


僕は、『きかんしゃトーマス』 で育ちましたし、
甥っ子は、『チャギントン』 で育っていましたし。
顔を持つ汽車のキャラクターは、海外の専売特許とばかり。
日本にも、顔を持つ汽車がいたのですね。
勉強になりました。

ということで、帰宅後、『きかんしゃやえもん』 について調べてみることに。
どうやら2009年に 『とびだす!3D東映アニメまつり』 の1作として3DCGアニメ化されていたようです↓
CG東映 アニメまつり きかんしゃやえもん デジモンアドベンチャー デジモンセイバーズ ゲゲゲ.../作者不明



・・・・・誰だよw

原型を留めていないにもほどがあります。


┃会期:2017年11月8日(水)~2018年1月31日(水)
 ┃会場:ちひろ美術館・東京
 ┃
https://chihiro.jp/tokyo/exhibitions/065684/

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “日本の絵本100年の歩み” のペアチケットを、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。

https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
(〆切は、1月10日。当選は発送をもって代えさせていただきます)




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

Film:40 『モリのいる場所』

$
0
0

先日は、東京国立近代美術館へと足を運んできました。
こちらでは、現在、“没後40年 熊谷守一 生きるよろこび” が絶賛開催中なわけですが。
その開催に合わせて、『横道世之介』『南極料理人』 の沖田修一監督が、
守一の晩年のある1日を描いた話題の最新作 『モリのいる場所』 の先行試写会が開催されることに。

ポスター
来年


来年5月の公開よりも一足早く、いや二足も三足も早く鑑賞させて頂きました。
ありがたや。


■モリのいる場所

  監督・脚本:沖田修一
  出演:山崎努、樹木希林
  2018年/日本/99分/

昭和49年の東京・池袋。
守一が暮らす家の庭には草木が生い茂り、たくさんの虫や猫が住み着いていた。
それら生き物たちは守一の描く絵のモデルであり、
じっと庭の生命たちを眺めることが、30年以上にわたる守一の日課であった。
そして、妻の秀子との2人で暮らす家には、毎日のように来客が訪れる。
守一を撮影することに情熱を傾ける若い写真家、
守一に看板を描いてもらいたい温泉旅館の主人、隣に暮らす佐伯さん夫婦、近所の人々、
さらには、得体の知れない男まで。
老若男女が集う熊谷家の茶の間はその日も、いつものようににぎやかだった。
(「映画.com」より)


「まず何と言っても、山崎努さんの演技が秀逸でした!
 終始、熊谷守一にしか見えません。

 いや、守一本人を見たこともないですし、ましてや会ったこともないのに、

 「似てる!そっくり!」

 と、納得させられるものがありました。
 実は、試写会の後に、サプライズでご本人が監督とともに登場したのですが。

 山崎


 守一役とのあまりのギャップに、
 一瞬、「こんな人出てたっけ?」 と思ってしまったほど (笑)
 主役で、出ずっぱだったのに。
 
 それから、キャストも超豪華でした。
 守一の妻・秀子役には、実は今作が山崎努さんと初共演となる樹木希林さん。
 守一の写真を撮ることに情熱を燃やすカメラマン藤田役には、加瀬亮さん。
 守一の家の隣でマンションを建設する現場監督役に、青木崇高にさん。
 他にも、光石研さん、きたろうさん、吹越満さん、三上博史さんなどが脇を固めています。
 彼らと山崎努さんの演技合戦は、実に見ごたえがありました。

 
 ストーリーは、基本的にフィクションだそうですが、
 “《伸餅》 の絵を見た昭和天皇が、「何歳の子供が描いたのか?」 と尋ねた” とか、
 “長いこと蟻を観察し続けた結果、「蟻は左の二番目の足から歩き出す」 ことを発見” とか、
 守一の有名なエピソードは、ちょこちょこ挟まれていました。
 守一ファンなら、ニヤリとすること請け合いです。


 全体的には丁寧に作り込まれていて、美術映画としての出来は申し分がないのですが。
 
 どうしても言いたいことが、1つだけ!

 さて、ここからはネタバレを含みます↓










 劇中で2回ほど、ドスベリしていました。
あのギャグ (?) いります??



 1つ目は、守一が文化勲章の内示を辞退するシーン。
 その少し前から、唐突に劇中の人物が、とある芸人さんたちの話をし始めるので、

 「ん??」

 と、なんとなく違和感を覚えていたのですが。
 まさか、それが伏線となって、あんな展開に繋がろうとは!
 ちょっとしたシーンでもクスクス笑いが起きるほどに、試写会の会場は温まりきっていました。
 しかし、問題のシーンでは、誰一人笑わず。
 体感温度が5度くらい、下がりました。
 今までテレビで多くの人を笑わしてきた、
 お笑い界の鉄板のフォーマットで、あそこまでスベることがあるだなんて。
 今、改めて考えると、逆に面白いものを見たような気になってきました (笑)


 そして、もう一つはギャグというか、設定なのですが。
 物語の終盤、あまりに唐突な展開に、再び会場中がポカンとなります。
 皆の頭の上に、「?」 マークが浮かんでいたのがハッキリと見えました。
 それは、三上博史さんの正体が明かされるシーンでのこと。
 前半にちょろっと登場したときには、ただの情緒不安定な人物でしたが。
 実は、何を隠そう、その正体は〇▼※◇って、いやいやいや!
 それは、さすがにシュールすぎるでしょ!!
 
 “僕は、今、何を見させられてるんだろう?”

 真剣に観ていて、ちょっと損をした気分。
 それなら、蟻の行列をじっと見ていたほうがマシです。

 
 とは言え、公開まで、あと約半年。
 もしかしたら、試写会の反応を受けて、
 この2つのシーンは無くなっているかもしれません (笑)
 スター スター スター 半分星
ほし (星3.5つ)」


~映画に登場する名作~

《宵月》

月

毛利悠子 グレイ スカイズ

$
0
0
JR辻堂駅から徒歩5分。
ココテラス湘南の6階に、2015年10月にオープンしたばかりのアートスペースがあります。

藤沢市


その名も、藤沢市アートスペース。
愛称は、 Fujisawa City Art Spaceの頭文字を取って、FAS (エファース) です。

そんなFASで、現在開催されているのが、
“毛利悠子 グレイ スカイズ” という展覧会。
藤沢市出身で、国内外から最も注目を集める若手アーティストの一人・毛利悠子さんの個展です。

グレイ


ちなみに、展覧会のタイトルの 「グレイ」 とは、
毛利さんの記憶の中にある藤沢市の空の色のイメージとのこと。
藤沢市の方の名誉のためにお伝えしておきますが (←?)
僕が藤沢市を訪れた日は、富士山がバッチシ見えるくらいの青空でした。

藤沢


グレイスカイばかりではありません。


さてさて、まずはじめに会場で出会ったのは、《Everything Flows》 という映像作品。

Everything Flows


プロジェクターが投影している先は、
スクリーンではなく、ビールジョッキでした。

ビール


そこに映し出されているのは、藤沢近辺で撮影された浜辺の映像です。
寄せては返す波。
何の変哲もない浜辺の映像なのですが。
色合いといい、泡しぶきといい、波が引くときのシュワ~という音といい。
ビールにしか見えません (笑)
思わずゴクリ・・・いや、ニヤリとさせられる作品でした。


続いて登場するのは、毛利悠子さんの代表作 《パレード》

ぱれーど


風船がぶわっと膨らんでは、萎んだり、

風船


アコーディオンが音を奏でたり、

アコーディオン


足元のハタキがいきなりビクンと動いたり、

はたき


毛利さんが廃校から譲り受けてきたという不用品が、
まさしくパレードのごとく、賑やかな動きを見せる作品です。
作品の心臓部となるのが、こちらのマシン↓

壁紙


花柄の壁紙が、ゆっくりクルクル回ります。
その色の変化を各センサーが読み取って、電気がオンになったりオフになったりするとのこと。
・・・・・わかったようなわからないような (汗)
まぁ、いうなれば、電子版オルゴールって感じでしょうか。


と、仕組みはさておき。
この作品、そして、この作品がある空間。
全体的に、何ともパッとしない色をしています。
実は、これは狙ってのこと。

ナトリウムランプ


会場のあちこちにトンネルでよく使われるナトリウムランプを設置し、
あえて色味を消し、グレイ一色の光景が広がるにしているのだそうです。
つまり、《パレード》 グレイ スカイズver.。
ちなみに、作品の周囲を囲むカーテンも元の色はグレーではありません。
周期的に白熱電球が灯ることで・・・

ピンク


カーテンの色がピンクであるのがわかります。
しかも、林家ペー・パー子夫妻ばりのショッキングピンク。
グレイと思ったらピンクだったり。
グレイと思ったらオフホワイトだったり。
自分が見ている世界が、必ずしも正しいとは限らない。
そんなことを考えさせられる深イイ作品でした。


さて、最後に紹介されていたのは、
日産アートアワード2015でグランプリを受賞した彼女のもう一つの代表作 《モレモレ》
語感だけ聞くと、ハワイ料理っぽい感じがしますが。
《モレモレ》 を漢字で書くとすると、“漏れ漏れ”となります。
ビニールシートやバケツ、ペットボトルなどを即興的に組み合わせ、
水漏れに対処する東京の駅員さんの器用な仕事っぷりに感銘を受けたという毛利さん。
それに着想を得て、意図的に水漏れを作り出し、
その水がピタゴラスイッチ的に循環する 《モレモレ》 を数多く制作してきました。
今回のグレイスカイver.《モレモレ》 は、複数名が参加した2日間のワークショップで制作されたもの。

モレモレ
モレモレ
モレモレ


何かボーっと見入ってしまう、《モレモレ》 の不思議な魅力は兼ね備えていましたが。
やはり 《モレモレ》 の素人 (?) の手が入っているため、
造形的にちょっと甘く感じる、漏れを感じるところはありました。



ともあれ、小さなスペースとはいえ、
これだけ良質な展覧会を、しかも無料で開催しているとは!
藤沢市アートスペース、恐るべし。
星
これからは展覧会を漏らさずチェックいたします。




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

北斎と北斎派の江の島

$
0
0
先日、藤沢市アートスペースで、
“毛利悠子 グレイ スカイズ” をたっぷり鑑賞し、帰ろうとした時のこと。
とある案内札が目に飛び込んできました。

立札


「あれっ?上の階にも、美術館があるの??」

階段をあがってみると・・・

藤澤浮世絵館


そこには、藤沢市藤澤浮世絵館がありました。(←「沢」 ではなく 「澤」)
こちらは、2016年の7月にオープンしたばかりの施設で、
藤沢市が所蔵する約2000点の浮世絵や絵草子などを入れ替えしつつ公開しています。
下の階の藤沢市アートスペースも無料の施設でしたが、こちらの藤沢市藤澤浮世絵館も無料とのこと。
藤沢市、太っ腹です。

さらに、太っ腹なことに・・・

館内


フラッシュさえ焚かなければ、館内の写真撮影も可能。
それが理由なのかわかりませんが、館内には外国人のお客さんがちらほらいらっしゃいました。

さてさて、館内は全部で4つのコーナーに分かれていました。
まずは、藤沢宿に関連して東海道五十三次コーナー。

東海道五十三次コーナー
東海道


その藤沢宿をフィーチャーしたコーナー。

藤沢
藤沢宿


藤沢宿から南に進んだところにある江戸時代からの人気観光地、江の島コーナー。

江の島コーナー
江の島コーナー


そして、企画展示コーナーです。
僕が訪れた時に、こちらで開催されていたのは、“北斎と北斎派の江の島” という企画展。
葛飾北斎とその弟子である魚屋北渓、昇亭北寿らが江の島を描いた浮世絵が特集されています。
「北」斎に、「北」渓に、「北」寿に。
みんな 「北」 が付いています。
くしくも2017年の今年の漢字は、「北」。
2017年のラストを締めくくるに相応しい展覧会でした。
星


展示されていた中で特に印象に残っているのは、やはり北斎の浮世絵。
西洋画風に風景を描いた浮世絵です。

富士山


画面の中央に見えているのが、江の島。
わりと小さめ。
そういう意味では、主役は江の島というよりも、手前の波なのかもしれません。
《神奈川沖浪裏》 のダイナミックな波と比べると、かなりマイルドな波でした。
サーファーが喜びそうな波。
さすが湘南、サーファーの聖地なだけはあります。
ちなみに、画面右上に筆記体が書き込んであるように見えますが。

筆記


実は、これは 「ほくさいえかく(北斎描く)」 の文字を90度回転させたもの。
洒落っ気が効いていました。

筆記体


もう一点、印象に残っているのが、魚屋北渓の 《江島記行 六郷》 です。

魚屋北渓


こちらは、正確には浮世絵ではなく、摺物 (すりもの)
採算を取ることが前提の売り物の浮世絵とは違って、
摺物は富裕層がプライベート用に作らせた印刷物であるため、
彫りにも摺りにも、贅が凝らされているのが特徴です。
確かに、線がシャープですし、色も綺麗です。
さらに、よ~く見てみると、雨がキラキラ光っているではないですか。
なんと銀泥 (銀を含ませた絵の具) が用いられているとのこと。
顔を近づけて楽しむべし。


こちらの企画展示コーナーで終わりかと思いきや。
そのあとには、おまけ展示コーナーもありました。

おまけ
おまけ


おまけって・・・(笑)
『お笑いマンガ道場』 の 「だん吉なお美のおまけコーナー」 を思い出してしまいました。


ちなみに、ビルの7階に位置する藤沢市藤澤浮世絵館。
その手前に視界を妨げる大きなビルがないため、
天気が良ければ、窓から富士山を望むことが出来ますよ。

富士山
富士山




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

図録・オブ・ザ・イヤー2017

$
0
0
早いもので、2017年も残すところあとわずか。
振り返ってみると、今年もたくさんの展覧会を鑑賞いたしました。
そして、たくさんの図録が、我が家の本棚に加わりました。

というわけで、今年もやります。

図録・オブ・ザ・イヤー2017

展覧会の内容は一切考慮することなく、
ただただ図録の良しあしだけを、独断と偏見で評価する図録の祭典。
果たして、その栄冠は、一体どの図録の頭上に輝くのでしょうか。

図録


第10位  AMBIENT 深澤直人がデザインする生活の周囲展

深澤
深澤


世界的デザイナー・深澤直人氏の個展は、
ご自身で手掛けた展覧会の会場も、スタイリッシュでカッコよかったですが。
図録も、実にスタイリッシュ!
デザインが計算され尽くしています。
インテリアにもなる図録。



第9位  パロディ、二重の声 ――日本の1970年代前後左右

パロディ


パロディで一世風靡した雑誌 『ビックリハウス』 をはじめ、
アート作品に限らず、漫画やポスターなど、さまざまなパロディ作品を集めた展覧会。
その図録は、黒革の手帖のパロディになっています。
手帖なので、ちゃんとメモ用ページもありました。
・・・・・特にメモすることはないですが。

表紙
メモ



第8位  開館120周年記念 特別展覧会 国宝

国宝


約200件もの国宝が集結した超ゴージャスな展覧会の図録は、その想定も超ゴージャス!
しかも、ボリューミー!

ボリューミー


会期は全部で4期に分かれていましたし、
数日しか展示されない国宝もありましたし。
コンプリートするのは、至難の業。。。
(↑計5回訪れた国宝ハンターの僕ですら、見切れませんでした!)
そういう意味でも、この図録は重宝しています。
ただ、想定の全体に 《燕子花図屏風》 があしらわれているので、根津美術館感が強いです。
せっかく京都で手に入れたのに (笑)



第7位  技を極める—ヴァン クリーフ&アーペル

ヴァンクリ


フランスを代表するハイジュエリーブランド、ヴァン クリーフ&アーペル。
その展覧会は、まさにラグジュアリーな空間が広がっていました。
それだけに図録もラグジュアリー。
シルバーに輝いています。

ヴァンクリ


しかも、かなりぶ厚い。
ぶ厚い図録・オブ・ザ・イヤー2017は、間違いなくこの図録!



第6位  ミュシャ展

ミュシャ展
ミュシャ展



65万人を動員!
2017年展覧会入場者数ランキングでは堂々第1位のミュシャ展。
読み物としても面白かったですし、
発色にこだわったというだけあって、本そのものは大変美しかったです。
しかし、図録・オブ・ザ・イヤー的には第6位と、トップ5入りならず。
その個人的な理由は・・・

ミュシャ展


ハードカバーでなかったから。
図録は一生ものなので、ハードカバーが望ましいです (※個人の感想です。)



第5位  シャガール 三次元の世界

syがーある


シャガールの大理石彫刻を彷彿とさせる秀逸なデザイン。
インテリアとしても活躍しそうな (?) オブジェのような図録です。
中のページにも、いろいろと仕掛けが。

syガール


担当学芸員 (館長) のこだわりがつまりにつまっています。
図録もまた、ひとつの芸術品。



第4位  特別展 地獄絵ワンダーランド

特別展 地獄絵ワンダーランド


展覧会は、それなり。
しかし、図録は面白いという稀有なパターン。

特別展 地獄絵ワンダーランド


子どもが読んでも大人が読んでも楽しい。
しかも、きちんとタメになる。
丁寧に作り込まれたページでした。
展覧会もこの図録のテイストに合わせたらよかったのに。



第3位  興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」

運慶


運慶仏が360度から鑑賞できることで大人気を博した展覧会。
図録もそれに従って (?)、
いろんな角度から撮られた仏像写真が掲載されていました。

運慶


きっと仏像ファンには、たまらないでしょう。
場合によっては、裾の接写も (笑)

運慶


・・・・・ここまで来ると、さすがにマニアックすぎ?



第2位  「怖い絵」展

レディ・ジェーン・グレイの処刑
レディ・ジェーン・グレイの処刑


もはや社会現象といっても過言ではないくらいに、
2017年に開催された展覧会の中で一番の話題をかっさらった “怖い絵展”。
展覧会のコンセプトも秀逸でしたが、図録のデザインも秀逸でした。
あえて、展覧会の顔である 《レディ・ジェーン・グレイの処刑》 をチラ見せさせるという。

コラム


特別監修の中野京子さんのコラムまで収録され、読みごたえも抜群。
会期も終了してしまった今、もし手に入れ損ねていたら・・・と考えると怖いです。



第1位  並河靖之七宝展 明治七宝の誘惑―透明な黒の感性

並河


担当学芸員さん念願の、いや悲願の展覧会だったというだけあって、
展覧会そのものはもちろん、図録の細部の細部に至るまで気合が入っていました。
それが、どのページからも伝わってくる完成度の高い図録です。
ちなみに、作品が美しい姿で図録に収録されるよう、ライティングには特にこだわったとのこと。
どれがベストなライティングなのか、
何度も何度も調整し、写真を1点撮るだけで、2時間以上かかったものもあるのだとか。

並河


そんな執念が、素晴らしい一冊を生み出しました。
図録・オブ・ザ・イヤー2017の受賞、おめでとうございます!


ちなみに。
ワーストは、ぶっちぎり。

アンデルセン


展覧会としても (星なし) だった “アンデルセン展” の図録です。
まず腹立たしいのが、価格800円に対して、この薄さ!
カルパッチョくらいにペッラペラです。

薄さ


そして、内容もペッラペラ。

ペッラペラ


何より酷かったのが、誤植。
誤植があること自体は仕方がないと思っていますが、
何がどうなったら、ここまで滅茶苦茶な誤植が発生するのでしょうか。

正誤表


『ナポリ』 と 『ネパール』 って・・・一文字もあってないよ!
『過ぎ去った青春は戻らない』 ではなく、
『決して青春が失われることはない』 って・・・意味、真逆じゃん!!
酷すぎる誤植に、思わず 「違うだろーっ!!」 と叫びたくなりました。


さぁ、2018年は、どんな図録と出逢えるのでしょうか。
また来年の図録・オブ・ザ・イヤーでお会いいたしましょう!




美術ブログ・オブ・ザ・イヤーを目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

2017年アートテラー10大ニュース

$
0
0
今年も残すところ、あとわずか。
今年も一日も休むことなく、ブログをお届けすることが出来ました。
誰も言ってくれないので、この場を借りて、自分で自分に言おうと思います。
お疲れ様でした、と (笑)

さて、2017年のラストを飾るのは、毎年恒例となったアートテラー10大ニュース
年末の忙しい時に、「そんなん、どうでもいいわ!」 とお思いでしょうが、
皆様もご一緒に、アートテラー・とに~の1年を振り返って頂けましたら幸いです。

第10位  美術館に泊まろう!

この夏、ポーラ美術館で初の試みとして開催された宿泊企画。
“FOREST MUSEUM 2017―箱根の森の美術館で、素敵なアウトドア体験を にゲスト参加させて頂きました。
その流れで、ちゃっかり僕もテントで一泊。




ポーラ美術館の森にたくさんのテントが出現。
さらには、森のCafe&Bar、図書館、映画館も出現。
SEKAI NO OWARIのPVかと錯覚するくらいに幻想的な光景でした。



第9位  なんで、私が名誉館長に!?

先日、鹿児島在住のブログの読者さんより、

「とに~さん、鹿児島市立美術館の名誉館長になるんですか?!
 スゴいですね!楽しみにしています」


と、全く身に覚えのないメッセージが届きました。
“なんのこっちゃ?” と添付されていたPDFファイルを開くと、確かに僕の名前が!

僕には打診の 「だ」 の字もありませんでしたが、そういう可能性もあったようです (笑)
万が一オファーがあったら、喜んで引き受けます。
鹿児島市とは縁もゆかりもない僕ですが (笑)



第8位  27時間の奇跡

画像
ツアー


今年一番のチャレンジ企画、27時間アートツアー。
講師の皆さま参加者の皆さまのおかげで、
特に大きなトラブルもなく、無事に完走することが出来ました。
(その顛末は、こちらの記事に→アートテラーのいちばん長い日
来年は、72時間ホンネアートツアーにチャレンジしようかしら。



第7位  こ....これが...地元愛というものか......!!

今年もおかげさまで、本業であるトークのお仕事をいろいろとやらせて頂きました。
この場を借りて、御礼申し上げます。
その中でも、やはり必要以上に気合いが入ってしまうのは、
ホキ美術館でのトークガイドをはじめ、地元・千葉でのお仕事。

ホキ


DIC川村記念美術館でのトークイベントには、
地元のミニストップでアルバイトをしていた時の店長がこっそり来てくれていましたっけ。
嬉しいサプライズでした。
なんだかんだ千葉県が好きなんだんなぁ。
(千葉県以外でのお仕事もちゃんと頑張りますので、オファーお待ちしておりますw)



第6位  職業、アートテラー。

今年の8月1日にマール社より、
クリエイター職業図鑑ともいうような、『クリエイターのハローワーク』 が発売されました。

クリエイターのハローワーク/マール社



画家やCMディレクター、学芸員、美術教諭など、
本の中で取り上げられている職業は、全部で60種類ほど。
それらの職業に混ざって、アートテラーもちゃっかり取り上げられました。

アートテラー


今までは、自称アートテラーでしたが (笑)。
これからは胸を張って、「職業、アートテラー」 と言うようにします。



第5位  脚本家デビュー!

2018年春の大本命の展覧会、“プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光”
その魅力をより面白く、より分かりやすく、
公式プレゼンターの及川光博さんが伝えるPR動画が、1月5日午前10時より公開されます。
動画はストーリー仕立てになっており、7回に分けて配信される予定です。
と、実は、このPR動画の脚本を担当しています。
昨夜、テレビでその一部が公開されました。

せっかく及川さんを起用してPR動画を作るのであれば、ドラマっぽくしたい!
そんな僕の思い付き(ワガママ)が、最終的には洋館でロケを行うほどの本格的なものへ。
おそらく、ストーリー仕立ての展覧会PR動画は史上初なのではないでしょうか?
どうぞお楽しみに。



第4位  中野京子×宮部みゆき×とに~

2017年もっとも話題となった展覧会、“「怖い絵」展”。
その関連イベントとして、『怖い絵』 シリーズの大ファンを自認する宮部みゆきさんと、
原作者である中野京子さんによるスペシャルなトークショーが10月21日に開催されました。
その司会進行という大役に抜擢されたのですが、
日が近づくにつれ、プレッシャーに圧し潰されそうに。
始まる直前は、珍しく緊張してしまいました。
“万が一、盛り上げられなかったら・・・” と考えると、ただただ怖かったです。
しかし、蓋を開けてみれば、楽しく進行できました。
(参考記事:「怖い絵」展 宮部みゆきさん&中野京子さんトークショー 生の臨場感に震撼

実は、中学生の頃より、宮部みゆきさんの大ファン。
小説はすべて読んでいます。
もしタイムマシンがあって、中学生の自分に会うことが出来たら、
「将来、宮部さんと同じ舞台に立つことになるよ」 と教えてあげたいです。
それから、「そのトークショー中、宮部さんに何度もツッコミを入れるよ」 とも。



第3位  やっててよかった国宝ハンター

こども国宝びっくりずかん: 3大付録つき へんてこ!すごいぞ!日本の宝もの (ワンダーライフス.../小学館



ブログの1コーナーに過ぎなかった 「国宝ハンター」 が、なんと本に!
しかも、天下の小学館より出版されました。
その流れで、TBSの 『Nスタ』 にも出演。
まだ水面下で動いている状態ですが、現在、国宝絡みのお仕事を2本担当しています。
国宝ハンターが仕事に繋がるだなんて。
何事も続けてみるものですね。



第2位  ついにNHK!

12月4日の 『ニュース シブ5時』 に、VTR出演&生出演させて頂きました。
「テーマ設定で勝負!人気集めるアート展」 という内容。
オファーをくださったディレクターさんは、
実は、何年も前からアートツアーに参加してくれていた方でした。
まさかお仕事の形でご一緒できる日が来ようとは!
そういう意味でも感慨深いものがありました。



第1位  本が出た出た 本が出た

ようこそ! 西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ: ポップカルチャーで読み解く世界の名画/誠文堂新光社



アートテラー苦節十年弱。
念願だった著者デビューを果たすことができました。
おかげさまで、この本を読んで、僕のことを知ってくれたという方も多く、
中には、興味をもって、アートツアーに参加してくださった方もいらっしゃいました。
有難い限りです。
ただ、この本の副作用として、白タキシード野郎のイメージがついてしまいました。



最後に、自分で選んだ今年のブログ記事ベスト5もご紹介。

第5位  シャガール 三次元の世界 (9/19)

著作権の関係で、作品画像をブログで紹介できないことは多々あります。
それをあえて逆手に取った記事です。
我ながらナイスアイディア。


第4位  11杯目 これが、シャガール丼だ! (7/11)

多くの読者さんから、悲鳴があがったという問題作です (笑)。
もちろん、この後おいしく頂きました。


第3位  軽くイラっとくる美術 (4/9)

改めて読み返しても、イラっとしました。
誰だ、こんなイラっとくる記事を書いたのは?


第2位  アートテラー的お茶漬け生活 ~最終回~ (10/9)

いろいろあった2017年。
その裏には、ほぼお茶漬けがありました (笑)
お茶漬け生活を楽しみにしてくれていた方が多く、終わってしまって寂しいとの声もちらほら。
来年1月、新たなチャレンジ企画が始まりますので、お楽しみに。


第1位  サイゼリヤで使える美術講座 (8/17)

間違いなく、今年1番反響が大きかった記事です。
自分でも、この発想は天才ではないかと思っています (←自画自賛!)
これを超える記事を書く!
来年の目標です。

本年もお付き合い頂きまして、ありがとうございました。
2018年もアートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】をどうぞよろしくお願いいたします。




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

太陽の塔 1967―2018

$
0
0

新年おめでとうございます。

今年2018年は、アートテラー10周年目を迎える節目の年。
昨年以上に面白いことを仕掛けてまいります。
もちろんブログも守りに入ることなく、
あくまでも攻めの姿勢で、休まず頑張ることを誓います!
褒められて伸びるタイプの人間ですので、
みなさま応援のほど、どうぞよろしくお願いいたします (笑)


さて、2018年のアートシーン。
過去最大級の “プラド美術館展”“横山大観展”
さらには、フェルメールが8点も来日する “フェルメール展” など、注目しているトピックはいろいろありますが。
個人的にもっとも注目しているのは、いよいよスタートする 《太陽の塔》 の内部公開です。
当初の予定では、2015年に公開がスタートするはずでしたが、諸事情により延期、そして凍結。
“このまま公開されないのでは?” という声もありましたが、
ついに今年の3月19日より、常時一般公開されることが決定いたしました (入館料700円)。

行かねば!


というわけで、3月19日まで待ちきれないので、
予習も兼ねて、岡本太郎記念館で開催中の “太陽の塔 1967―2018” に行ってきました。

太陽


こちらは、フィギュア界の絶対王者・海洋堂の全面協力のもと、
これまで写真でしか見られなかった大阪万博テーマ館を完全ミニチュア立体化した展覧会です。

まず最初に展示されているのは、
《太陽の塔》 の内部にあるオブジェ生命の樹の模型。

生命の樹


生命を支えるエネルギーの象徴であり、
未来に向かって伸びてゆく生命の力強さを表現したというオブジェです。
要するに、プランクトンから人類に至るまでの生命の進化が表現されています。

生命の樹
生命の樹


当然、上に行けば行くほど、猿がいっぱいいます。

生命の樹


モチーフといい、カラーリングといい、
昔、お正月に親戚が集まったときに遊んだゲームを彷彿とさせるものがありました。

さるも


ちなみに、こちらの生命の樹。
高さは、実に約41m!

太陽の塔
エスカレーター


《太陽の塔》 の中にパンパンに詰まっています。
まるで、生命の樹が、《太陽の塔》 の内臓であるかのような印象を受けました。


さてさて、今回の展覧会では、幻の地下の展示空間もフィギュアで再現されています。

地下


地下にも、こんなにべらぼうな空間が広がっていたとは!
ただただ驚かされました。

地下


ちなみに、こちらの地下の展示空間には、
《太陽の塔》 の4つ目の顔とされる 「地底の太陽」 があったそう。

陽の塔


残念ながら、ホンモノは現在行方不明なのだそうですが、
海洋堂によって復元された 「地底の太陽」 が、3月から一般公開されるとのことです。


予想していた以上に、模型がよく出来ていて、見ごたえはありましたが。
予想していた通り、観れば観るほど、大阪で実物を観たくなってくる展覧会でした (笑)
星
インターネット予約の開始は、1月19日10時より。
要チェックです。


最後に、《太陽の塔》 に関するフィギュアが数多く展示されていましたが、中にはこんなモノも。

《太陽の塔》


太郎さんが、自分と同じ背丈のサイズの 《太陽の塔》 の模型を作っているのでしょうが。
見ようによっては、巨大化した太郎さんが、《太陽の塔》 を作っているようにも見えます。
『岡本太郎vs《太陽の塔》』。
怪獣映画のようです。

ちなみに、このフィギュアの等身大ver.が庭に設置されていました。

庭


リアルな上に全身グレーなので、ちょっと怖かったです。
『ターミネーターⅡ』 のT-1000のよう (笑)

モノクロ
モノクロ


個人的には、下から見上げるアングルがオススメ。
イケメンです。

下




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

「グリーンランド」中谷芙二子+宇吉郎展

$
0
0
現在、銀座メゾンエルメス フォーラムで開催されているのは、
“「グリーンランド」中谷芙二子+宇吉郎展” という展覧会。

中T内


こちらは、世界で初めて人工雪の製作に成功した科学者・中谷宇吉郎と、
その次女で、国際的に活躍するアーティスト中谷芙二子さんによる二人展、親子展です。

アーティストである中谷芙二子さんはともかくも、
科学者・中谷宇吉郎の展示品なんて、研究ノートや研究道具くらいなものだろうと思いきや・・・

中谷宇吉郎


宇吉郎による油彩画や、

宇吉郎


娘である芙二子さんの誕生祝に贈った水墨画なども展示されていました。
(雪の結晶が描かれています!)

雪


中谷宇吉郎は、意外と芸術肌な人物だったのですね!
いや、もしかしたら、そういう人物だったからこそ、
雪の結晶の美しさに気が付くことが出来たのかもしれません。

そんな芸術的センスを持つ父の才能を受け継いだのが、中谷芙二子さん。
若い頃には、油絵やビデオ・アートなども制作していたそうですが。

初期


彼女の代表作といえば、やはり 「霧のアート」 でしょう。
1970年に大阪万博ペプシ館で初めて発表して以来、
今日までに世界各国で80作品を越える霧のインスタレーションを展開。
もはやライフワークといっても過言ではありません。

屋外に人工的に霧を発生させ、それを一定期間、その場所に定着させる。
形の無い霧に、形をもたらす。
まさに、霧の彫刻とでもいうべき作品です。


今回の展覧会では、そんな 「霧のアート」 を、あえて室内で展開!
銀座メゾンエルメスのガラスブロックを、
宇吉郎が研究のために滞在したグリーンランド氷の大地に見立て、
展示空間内に、大量の霧を発生させるのだそうです。
当然、霧は充満することになります。
なので、会場内には、こんな注意書きが↓

霧


さらに、どうしても濡れたくない人のためにポンチョも用意されていました。

ポンチョ


霧が発生するのは、毎時15分と45分。
1時間に2回です。
霧がない時の会場は、こんな感じ↓

発生


グリーンランドの石やドラム缶が設置されているからでしょうか。
室内なのに、屋外みたいな感じがしました。
とても同じビルの1階で高級なスカーフを売っているとは考えられません。
なんてことを思っていたら、いよいよ時間に。
霧が噴射されはじめました。

噴射


霧は絶えず噴射され続けます。

女
は
きゅう


こっち側にみるみる霧が迫ってきます。

霧1


ものの1分くらいで、空間は霧にすっぽりと包まれてしまいました。

すっぽり


霧のせいで、会場にいた誰もが、怪しげに見えます (笑)

人


もしくは、UFOに連れ込まれそうな感じにも見えます。
『Ⅹファイル』 でよく見かける光景です。


しばらくすると、霧の噴射がやんだので、噴射装置のほうに近づいてみることに。

霧


床はビッチョビチョ。
室内で霧を発生させたら、そりゃそうなります。
まず間違いなく、普通の美術館やギャラリーではNGな作品。
この作品を制作した中谷芙二子さんも、
ゴーサインを出した銀座メゾンエルメス フォーラムも攻めてます。
アッパレ!
星星


・・・・・と、噴射装置の近くで、展覧会に感銘を受けていた次の瞬間。
またもや 「プシュー」 という音が!

“えっ?はっ?2回出るの?!”

上


今度は、上のほうのノズルから霧が噴射しています。(1回目は、下)
霧の発生ポイントが高いからでしょうか。
充満するスピードが早かったです。

霧


あっという間に、霧の中。
バルサン状態。

しばらくすると、天井近くの霧がゆっくりと晴れていきました。
そして、光が差し込みます。

光


写真では巧く伝わらないでしょうが。
まるで天国から光が差し込んだような印象を受けました。
しかも、足元には雲のような霧。
ほんの一瞬ですが、

“一回、死んだっけ?”

と、錯覚してしまいました。
神秘的な鑑賞体験でした (笑)


僕が訪れたのは日中でしたが、夕暮れ時や夜ではまた違った光景が見られそう。
期間中、何度も訪れたい展覧会です。




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

小沢剛 不完全―パラレルな美術史

$
0
0

現代アーティスト・小沢剛さんの関東では久々となる大規模個展、
千葉市美術館で開催中の “小沢剛 不完全―パラレルな美術史” に行ってきました。

小沢


初期の代表作から最新作 《不完全》 まで。
日本美術史から着想を得て、小沢さんが制作した作品を中心に展示されています。
こちらが、その 《不完全》 という作品↓

不完全


明治期に西洋美術教育が導入されて以来、
当たり前のように、石膏デッサンが授業で行われています。
(藝大を含む美大の入試でも必須!)
しかし、なぜ石膏像をデッサンすることが、
そこまで重要なのか、何よりも大事なのか、明確に答えられる人はいないとのこと。
そんな現在に至るまでなんとなくデッサンされ続けている石膏像、
それも藝大の大石膏室に置かれている本物の石膏像を使ったインスタレーション作品です。

インスタ
インスタ


壁に掛けられているのは、歴代の芸大生の本物の石膏デッサン。
中には、青木繁や中沢弘光といった、
美術史に名を残す画家たちの学生時代のデッサンもありました。

デッサン


作品が言わんとすることはわかるのですが。
これまで一度も人生で石膏デッサンをしたことがないので、

“まぁ・・・ふ~ん。そっか・・・”

と、他人事に感じてしまいました。
新作が楽しみだっただけに、不完全燃焼です。


“もしも藤田嗣治が、戦後にパリではなく、バリに行ってたら・・・” と、
もしもシリーズばりに、架空の歴史の物語を紹介する 《帰って来たペインターF》 や、

帰って来たペインターF
帰って来たペインターF


“もしも平安時代に中国から伝来して以来、
醤油が調味料としてだけでなく、画材としても使われていたら” をテーマにした 《醤油画資料館》 など、

醤油画資料館
醤油画資料館醤油画資料館
(↑本当に醤油で描かれています。なので、そこはかとなく醤油の香りが漂っていますw)


《不完全》 以外の作品に関しては、アートテラー的には楽しめましたが。
ある程度、美術史や美術に対して興味がないと、刺さらないだろうなァという印象を受けました。
決して、作品自体は難解では無いのですが、
楽しみ方が難しい、完全に玄人向けの展覧会です。
星


ちなみに。
個人的に一番印象に残っているのは・・・

降下す


《す下降にンバンレパ兵神神兵パレンバンに降下す》 という作品。
こちらは、鶴田吾郎 (1890~1969) の戦争画 《神兵パレンバンに降下す》 をモチーフにした作品です。
(画像は、こちら→鶴田吾郎:神兵パレンバンに降下す

鏡文字になっているタイトルから、
想像がついた方がいらっしゃるかもしれませんが (←その方は、天才!)

作品


描きたてホヤホヤの絵をロールシャッハテストの要領で、左右反転させています。
すると、鶴田吾郎の絵画では、銃口の先に敵は描かれていなかったのに、
《す下降にンバンレパ兵神神兵パレンバンに降下す》 (←言いづらい…。) では、銃口の先に敵が。
それも自分自身が銃を向けて、対峙しているではないですか!

小沢剛さん自身の言葉で書かれたキャプションに、こんな一文がありました。

「他者に向けた銃口は、時間をかけてやがて己に向かってくるのです。」



・・・・・・・・・・・・・・。


決して、作品自体は難解では無いのですが、
楽しみ方が難しい、完全に玄人向けの展覧会です。


↑う~ん、あんなこと言わないほうが良かったか。




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

わらしべ長者生活

$
0
0
美術品を手に、銀座を代表するギャラリーの数々を訪問し、
昔話 『わらしべ長者』 のように、物々交換してもらおうという企画。
それが・・・

わらしべ


今回は、いよいよ東京画廊へ!

東京画廊


1950年に銀座にオープンした老舗中の老舗のギャラリーです。
実は、こちらの東京画廊は、なんと日本で初めて現代美術を扱ったギャラリー。
フォンタナやジャクソン・ポロックなど、
欧米の現代美術作家をいち早く日本に紹介したのも東京画廊なら、
高松次郎や岡本太郎など、当時の日本の現代アート作家をいち早く取り上げたのも東京画廊です。

きっとスゴい作品に交換してもらえるに違いありません!
期待が高まります。

こちらが、2代目で現社長の山本豊津 (ほづ) さん。

豊津


まずは、開催中の展覧会 “高明根「A blending space」” をたっぷりと案内頂きました。
(注:展覧会は12/30まで。1/20より “香月泰男” 展がスタートします!)

高明根


高明根氏は1964年生まれの韓国人のアーティスト。
撮影した写真をフィルムにデジタル印刷し、透明なプラスチックでラミネート加工、
それらをヒートガンを使用して、立体的に組み立てた作品を制作し続けているそうです。

作品


写真という平面の素材が、立体に。
内部でもあり外部でもあるような独特な空間が生まれている…etc.
山本さんの話を聞いていると、作品がどんどん魅力的に感じられます。
そして、買いたくなってしまいます。
さすが、お笑い大好き山本さん (今ハマっているのは、モンスターエンジンとのことw)。
銀座のギャラリストの中で、間違いなくNo.1話術の持ち主です。
ちなみに、山本さんの話術は文章でも、いかんなく発揮されています。

アートは資本主義の行方を予言する (PHP新書)/山本 豊津


コレクションと資本主義 「美術と蒐集」を知れば経済の核心がわかる (角川新書)/山本 豊津



美術系の本は小難しいものが多いですが、
山本さんの新書は、実に読みやすいし、タメになります。
忖度なしで (←ここ重要!)、オススメですよ。


と、気づけば、本題に入る前に30分以上が経過。
山本さんはNo.1話術の持ち主でもありますが、No.1話し好きでもあるのです。

「あのー、そろそろ本題に・・・」

「あ、そうだった。そうだった」

そう言って、まず山本さんが見せてくれたのが、こちらの作品です。

菅木志雄


・・・・・作品??
ただ角材に釘が打ち付けてあるようにしか見えません。

「その作品と牧進さんの作品と交換するのが面白いと思ったんだけど、どうかな?」

「えっ・・・(汗)。他に候補はありませんか??」

「あるよ。じゃあ、その作品持ってくるね。
 ちなみに、その角材のは、菅木志雄さんの作品。
 飛び出してる釘の長さがそれぞれ半分ずつになってて面白いでしょ?」
 
木々


「あ、ホントですね!!」

「最近、菅木志雄さんは世界的に人気が高いから、
 その小さな作品でも、×××万円 (自粛) くらいすると思うよ」

「!!!!!!」

「それじゃ、別の作品持ってくるから、ちょっと待っててね」

あちゃ~。
菅さんの作品と交換してもらえば良かった。。。
激しく後悔する僕のもとに、山本さんが新たな作品を持って戻ってきました。

「何か面白い作品無いかなぁと思って、
 昨日いろいろと探していたら、こんなん出てきたんだよね」

田中


「これは、どなたの作品ですか??」

「田中田鶴子さんって、1913年生まれで102歳でお亡くなりになった画家さん」

「初めて知る画家です。どんな人だったんですか?」

「僕もよくわからない(笑)。親父 (先代) の時に、ここで個展をやってるみたいだけど」

田中


「簡単に調べてみたら、グッゲンハイム国際美術展に出品してたり、
 第6回サンパウロビエンナーレに出品してたり、1960年代の前半に世界で活躍してるんだよね。
 これから評価が高まっていくかも」

「そうなんですね!」

「ちなみに、キャンバスの裏側に、昔の東京画廊のシール貼ってあるでしょ」

東京画廊


「右上のTのマークのやつですか?」

「そのシール、今、もうウチにはないんだけどね。
 作品の来歴を保証する意味合いもあるから、
 最近では、それのニセモノのシールも出回っているんだよ」

「もちろん、このシールは本物ですよね??」

「当たり前だよ、うちにあったんだから (笑)」

「じゃあ、この作品と交換でお願いいします!」

牧


かくして、華やかさから一転、我が家に謎の抽象画がやってきました。

田中


東京画廊から発掘された田中田鶴子の絵が、今後、どのようなドラマを生んでいくのか。
2018年のわらしべ長者企画にも、どうぞご期待くださいませ。

ちなみに、東京画廊での帰り際、山本さんが、

「僕もよくわからない作品だから、次に交換するギャラリストさんは大変だろうなァ」

と、ポツリと漏らしていました。
どうなる次回?!


【今回ご協力いただいた画廊】
東京画廊
住所:東京都中央区銀座8-10-5第4秀和ビル7階




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ
Viewing all 5005 articles
Browse latest View live