Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all 5005 articles
Browse latest View live

ほとけをめぐる花の美術

$
0
0
現在、根津美術館で開催されているのは、ちょっと変わった仏教美術展。
釈迦の入滅を描いた仏涅槃図や、


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


密教の宇宙を絵で表したとされる曼荼羅などの仏教絵画、




その他、華鬘 (けまん:仏堂を飾る法具) やお経といった仏教に関する美術品が紹介されています。




「あれっ?それって、いつもと変わらない仏教美術展じゃないの??」

そう疑問に思われた方も、いらっしゃるかもしれませんが。
実は今回出展されている仏教美術には、共通点があるのです。
それは、すべて作品の中に花が登場していること。

例えば、涅槃図の中には・・・


重要文化財 行有・専有 《仏涅槃図》 絹本着色 日本・南北朝時代 康永4年(1345) 根津美術館


沙羅双樹が、つまりシャラの樹の花が描かれています。




また例えば、釈迦や菩薩を描いた仏画には・・・


重要文化財 《法相曼荼羅》 絹本着色 日本・鎌倉時代 13-14世紀 根津美術館


たいていの仏様の足元に蓮台が、つまり蓮の花が描かれています。




そう。こちらは、仏教美術の中では脇役的存在だった 「花」 に着目した展覧会。
その名も、“ほとけをめぐる花の美術” です。




これまであまり意識したことはなかったですが、
注目してみると、意外とたくさんの花が描かれていたことに気が付かされます。


《虚空蔵菩薩・明星天子像》(部分) 絹本着色 日本・南北朝時代 14世紀 根津美術館


《両界曼荼羅》(部分) 絹本着色 日本・室町時代 15世紀 根津美術館


"いやいや、さすがに、この 《水瓶》 に花は無いでしょうw" と思ったら・・・


《水瓶》 青銅 日本・鎌倉時代 13-14世紀 根津美術館


この部分に、しっかりと花がありました。
(根津美術館の関係者様、疑ってしまい申し訳ありませんm(__)m)




花を見つけると、心がウキウキするものですね。
正直なところ、なんとなく地味な印象がある仏教美術ですが、
「花を探す」 という切り口のおかげで、気軽な気持ちで楽しむことができました。
冬から春へ。
花が咲き始めるこの季節にピッタリの展覧会です。
星星


さてさて、今回出展されていた作品の中で、
特に印象に残っているものを、ご紹介いたしましょう。
1点目は、こちらの 《仏涅槃図》


《仏涅槃図》 絹本着色 日本・鎌倉時代 14世紀 根津美術館


パッと見はオーソドックスな 《仏涅槃図》 なのですが。
仏の顔の下に、ご注目。




蓮の花が敷かれています。
まるで、枕のよう。エアウィーヴの枕のよう。
入滅しているのではなく、快眠しているだけなのかもしれません。


そして、もう1点は、《兜率天曼荼羅》


《兜率天曼荼羅》 絹本着色 日本・南北朝時代 14世紀 根津美術館


緑をベースにした珍しい曼荼羅なのだとか。
どことなくファミコンのゲーム画面を彷彿とさせるものがあります
耳をすませば、ピコピコ音が聞こえてくるようです。
ところで、肝心の花が見つかりません。
キャプションによれば、画面の右上に描かれているようです。




蓮はもちろんわかりましたが。
実は、庭一面をビッシリ覆う截金の紋様も、何かしらの不思議な花なのだそうです。
まさか、それが花だとは!
無理ゲーにもほどがあります。
不思議と言えば、花は関係ないですが、
仏様から発せられるオーラ (?) も、ちょっと不思議なことになっていました。




基本は、「ピキーン!」 と一直線に放たれているのですが、
建物の上部を通り抜ける時に関しては、まるで煙のように 「フワ~ン」 となるようです。
どういう仕組みになっているのでしょう?
いろいろ不思議な 《兜率天曼荼羅》 でした。


ちなみに。
次回の展覧会では、いよいよ根津美術館コレクションを代表するあの花が登場するようですよ。




 ┃会期:2019年2月28日(木)~3月31日(日)
 ┃会場:根津美術館
 ┃
http://www.nezu-muse.or.jp/




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

南桂子展 コト、コト。コトリ。

$
0
0
現在、水天宮にある銅版画家・浜口陽三の美術館、
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションでは、“南桂子展 コト、コト。コトリ。” が開催中。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


浜口陽三ではなく、その妻である南桂子にスポットを当てた展覧会です。
夫の浜口と同じく、南桂子 (1911~2004) もまた銅版画家。
ただし、技法や作風は、夫婦で大きく異なります。
メゾチントの技法で、静謐で深遠な黒の世界を追求した浜口に対し、




南桂子はエッチングの技法を用い、
繊細で愛らしく、メルヘンチックな作品を数多く生み出しました。





若き日には、絵本作家を目指していたという南桂子。
作品1点1点が、まるで絵本の中の1シーンのようです。
絵の中のキャラクターは、今にも動き出しそうな気配が漂っています。




展覧会タイトルに、『コト、コト。コトリ。』 とありますが、
作品の前で耳を澄ましてみると、『コト、コト。コトリ。』 という音が聞こえてくるようでした。




そんな物語性豊かな南桂子作品は、国内外で人気が高く、
ユニセフのカードに採用されたり、帝国ホテルの全客室に飾られていたこともあるのだそう。
今回の展覧会では、南桂子が国外で早くも活躍していた例として、
1957年に発行されたNYタイムズ別冊のとある記事が紹介されていました。




ページ面のほぼ大多数を占めているのは、もちろん南桂子の銅版画作品です。
ということは、その周囲に描かれているのは、
南桂子のエッセイ、もしくは、インタビュー記事かと思いきや、全然違いました。
なんとあの 『ナルニア国物語』 の作者C・S・ルイスが、創作について語った物語論なのだとか。
レイアウト (記事と挿絵のバランス) がおかしな気がしてなりませんが (笑)
それだけ、南桂子の作品が評価されていたということなのでしょう。
星星


ちなみに、ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションの学芸員さん曰く、
“最近は、南桂子を知らなかった若い世代の人にも、人気が高いんですよ” とのこと。
確かに、僕が訪れた日は、お客さんの年齢層が若かった気がします。
・・・・・でも、一体なぜ?
南桂子作品のどのあたりが、若い世代の心を捉えているのでしょうか?




その答えを探るべく、しばらく南桂子作品を眺めていたところ、一つの仮説が導き出されました。
”もしかしたら、どこかマリメッコに通ずるところがあるからなのでは?”
なんとなく、あくまでなんとなくなのですが、
南桂子作品は、どこか北欧デザインっぽいところがあるのです。
さらに、近づいて見てみると・・・




背景 (地) の部分に、独特の掠れがあるのがわかります。
そのため、紙ではなく、テキスタイルのような風合いに感じられるのです。
もしかしたら、流行りの北欧デザイン好きの若い世代が、
ここ近年、南桂子の作風に魅了され始めたのかもしれませんね。


最後に。
今回出展されていた中で、特にお気に入りの作品をご紹介。




怪しいけど、カワイイ。
怪人っぽいですが、たぶん鳥です。
頭から生えてるシソの実みたいなのが気になりますが、まぁ、フクロウかミミズクでしょう。
と、タイトルに目をやると、《みみづく》 とありました!
ミミズクではなく、みみづく。
おそらく新種。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

及川聡子展「光ノ萌」

$
0
0
昨年の春より中村屋サロン美術館でスタートした “中村屋サロン アーティストリレー” 。
出展作家自身が次の作家を指名し、リレー形式で展覧会を繋いでいくという展覧会シリーズです。
中村屋サロン美術館のほど近くにあるスタジオアルタにて、
かつて行われていた 「テレフォンショッキング」 を彷彿とさせる企画ですよね。(そうですね!)

そのトップバッターを飾ったのは、
インドと日本を往復しながら、制作活動と発表を行っている日本画家・新恵美佐子さん。
アートツアーの一環で中村屋サロン美術館を訪れた際に、
ご本人にお会いすることが出来たのですが、とても素敵でパワーに満ち溢れた方でした。
そして何より、新恵さんがインドで体験したエピソードが、いちいちぶっとんでて面白かったです。
『激レアさんを連れてきた。』 に登場するのも時間の問題かもしれません。


と、そんな新恵さんがご指名したアーティストは、及川聡子さん。
宮城に生まれ、宮城を拠点に活動する日本画家です。




‟及川聡子展「光ノ萌 (きざし)」” と題された今回の展覧会では、
彼女の代表的な作品シリーズを中心に、約20点が紹介されています。




会場に入ってまず目に飛び込んでくるのは、
及川さんの代表的シリーズ 《水焔》 の作品の数々。




“・・・・・モヤモヤしてて、何が描かれてるのかよくわからないゾ”

と、モヤモヤされている方もいらっしゃることでしょう。
いやいや、ちゃんと描かれているではないですか。モヤモヤが。
そう、《水焔》 とは、湯気を描いた作品シリーズ。
これまで日本画であまり描かれてこなかった水蒸気をモチーフにした作品シリーズなのだそうです。
あれっ?でも、水蒸気な靄や霞は描かれてたような・・・と思ったら。
日本画の靄や霞は、余白、つまり描かないことで表現されているのだとか。
なるほど。水蒸気を ”描く” 日本画家は、実は意外と珍しいのですね。

そんな及川さんのもう一つの代表的なシリーズが、《香焔》




こちらは、お線香などから立ち上る煙をモチーフにしたシリーズです。
下から上へと昇っていく煙。
それだけに絵を前にすると、自然と目線が下から上へと上がっていきます。
そして、一番上まで到達すると、また再び目線が下に戻り、そこから上へ (・・・以下繰り返し)。
不思議と何度もループしてしまう。
新感覚の鑑賞体験でした。
星


さてさて、そんな湯気や煙の絵のイメージの強い及川さんですが、
今回の展覧会では、近年取り組んでいるという人物画も紹介されていました。




「あれっ?普通に人物画も描くんだ」 と、やや煙に巻かれた感じはありましたが。
よくよく観てみると、やはり及川さんの個性が感じられました。
描かれている女性たちは皆一様に、どこか儚げで、心ここにあらずな表情を浮かべています。
目を離した隙に、フッと消えてしまいそうな。つまり、蒸発してしまいそうな。
まさに、及川さんならではの人物画です。


そうそう、及川さんは、大のウサギ好きだそうで。
ウサギを描いた作品も出展されていました。




思わず首元をワシワシしたくなるほどのモフモフ感。
今までウサギをモチーフにした日本画はいろいろと観てきましたが、
本物のウサギらしさという観点から言えば、及川さんの作品が一番かもしれません。
ちなみに、順路の案内図もウサギver.になっていました。




そろそろ及川さんが指名したアーティストを紹介する時間ですね。 (え~!?やだぁ!)
次回、こちらで展示をするのは、
昨年の東山魁夷記念日経日本画大賞で大賞に輝いた浅見貴子さんだそうです。(おおー!!)
来年もまた “中村屋サロン アーティストリレー” を観てくれるかな?(いいともー!)




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

新・無料で観れる 美術百選 《ゆりかもめ新橋駅(東京都港区)》

$
0
0
つい先日、ゆりかもめ新橋駅にパブリックアートが設置されたらしい。
そんな最新㊙情報をゲットしたので、
早速、ゆりかもめ新橋駅へと急行しました!




作者は、日本画家の平松礼二さん。
現代琳派の第一人者と言われる人物です。
ちなみに、その名前にピンと来なくとも、
平松氏が2000年から2010年まで担当した 『文藝春秋』 の表紙絵は、
一度くらいは、きっと目にしたことがあるのではないでしょうか。




さてさて、駅構内をくまなく探せど、
それらしい作品はまったく見当たりません。。。




"もしやガセ?文春砲不発??"

と、一瞬不安になったのですが、駅員さんに尋ねてみると、
どうやら作品は、プラットホーム内に設置されているとのこと。
切符を購入して、プラットホームへと向かうことにしました。
(ということで、正確に言えば、無料で観れる作品ではないのですが、
 ゆりかもめに乗れば、もれなく無料で観れるということでご了承くださいませ)


改札を抜けて、階段をあがって、
ふと後ろを振り返ると、そこに作品がありました。
日本の景色を鮮やかに描き下ろした作品なのだそうですが。
壁画ではなく、ステンドグラスだったため・・・・・




夜だと、ほとんど何だかよくわからず!

ステンドグラスの色なのか、外のネオンの色なのか。
それすら、よくわからなかったです。
ステンドグラス作品は、夜に観るものではない。
そのことだけは、はっきりと分かりました。




描かれているのは、富士山と波、
そして、空を跳ぶ鳥は、きっとゆりかもめでしょうね。
向かって右側には、モミジ。
向かって左側には、桜が描かれているのでしょう。たぶん。

右側は銀座方面で明るいので、まだ色鮮やかでしたが。




左側はネオンが少ないため、




桜の姿はほとんど確認できませんでした。
ライトアップされていない夜桜といった感じです。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



さすがに、これでは記事として、中途半端な気がしてきました。
作品の良さが全く伝わりません。
というわけで、後日、改めてお昼に行ってまいりました。





やはり日差しがないのとあるのとでは、
作品の魅力が半減、いや、90%減していましたね。
光が差し込むことで、作品本来の花の色鮮やかさが際立ちます。




左側は桜だけでなく、梅も咲いていたようです。
百花繚乱。どことなくチームラボの作品を彷彿とさせるものがあります。




ちなみに、タイトルは・・・




新・無料で観れる 美術百選 085  平松礼二 《四季・東京ベイ》


正直、ちょっとダサいです (笑)
が、昨年は、あえてダサさを狙った 『U.S.A.』 が大ヒットしたわけですから、
この 《四季・東京ベイ》 も、それを参考にして、もしかしたら、あえてダサさを狙ったのかもしれませんね。
ダサ美しい作品です。


<無料で観れる美術 データ>

ゆりかもめ新橋駅

住所:東京都港区東新橋1-5-13




この美術室を盛り上げるワンクリックも、無料で出来てしまいます↓
Blogランキングへ   にほんブログ村 美術ブログへ

高野山金剛峯寺 襖絵完成記念千住博展

$
0
0
現在、そごう美術館で開催されているのは、
“高野山金剛峯寺 襖絵完成記念 千住博展” という展覧会。




これまでに数多くの展覧会を訪れてきましたが、
こんなにも沢山のお祝いの花が飾られている展覧会には、お目にかかったことがありません。
「テレホンショッキング」 状態でした。




と、これらのお祝いの花の数が、
人脈や実力、そして、人気を如実に証明している日本画家・千住博さん。
そんな千住博さんが、高野山金剛峯寺開創1200年を記念して、
大主殿の 「茶の間」 と 「囲炉裏の間」 に新作の襖絵を奉納することとなりました。
2015年から制作に取り組み、3年の歳月をかけて、昨年3月に障壁画44面が完成したとのこと。
今回の展覧会では、そんな完成仕立てホヤホヤの新作が、奉納に先駆けて紹介されています。


さてさて、高野山金剛峯寺に奉納される障壁画は、2つ。
一つは、千住さんの代名詞ともいえる滝をモチーフにした 《瀧図》 です。


《高野山金剛峯寺襖絵 瀧図》(部分) 2018年 高野山金剛峯寺所蔵


「いつものウォーターフォールと一緒じゃーん!」

と、思わずツッコんでしまった方もいらっしゃるかもしれませんが。
こちらの 《瀧図》 には、3年に及ぶ長い苦闘の中で編み出した新たな技法が使われているのです。
これまでの 「ウォーターフォール」 シリーズは、立てかけたキャンバスの上から、
胡粉 (貝殻から作られる白い顔料) を溶いた水を直接流すことで、滝を表現していましたが。
新作の 《瀧図》 は、まず先に水を流し、その後に胡粉を溶いた水を流したのだそうです。
そうすることで、より自然な水の流れが表現できたとのこと。
過去のシリーズには見られなかった “水流のうねり” も表現できるようになったとのことです。
聞いた限りでは、誰でも思い付きそうな気がしますが、これこそ、コロンブスの卵。
千住さんが画業40余年にして到達した新たなステージなのです。

ちなみに、「ウォーターフォール」 関連で、
2015年のヴェネツィア・ビエンナーレで特別展示された作品も紹介されています。
その名も、《龍神Ⅰ・Ⅱ》




「いつものウォーターフォールと一緒じゃーん!」

と、再びツッコんでしまった方もいらっしゃるかもしれませんが。
こちらの 《龍神Ⅰ・Ⅱ》 にブラックライトを当てると・・・





光り輝くのです!
まるでホストクラブのように。
《龍神Ⅰ・Ⅱ》 というタイトルが、源氏名のように思えてきました。


・・・・・・・閑話休題。
続いて紹介するのは、もう一つの障壁画、《断崖図》 です。


《高野山金剛峯寺襖絵 断崖図》(部分) 2018年 高野山金剛峯寺所蔵


こちらは、千住博さんが、2009年より取り組んでいる 「崖(クリフ)」 シリーズの最新版。
「崖(クリフ)」 シリーズとは、和紙を手で揉んで皴を作り、
そこに岩絵の具を流し込むことで、紙の凹凸を岩肌のように表現するもの。
いわば、“平面の彫刻作品” です。

総延長17メートルにも及ぶ 《断崖図》 がズラリと並んだ様は、まさに圧巻。
実際に、目の前に断崖が立ち現れたかのような感覚に陥ります。
周囲をぐるりと崖に囲まれ、一瞬不安になったのですが、
靄の奥から、救いの存在が現れそうな予感がして、不思議と心が安らぎました。
靄の向こうから現れるのは、仏か神か空海か。
いや、断崖絶壁なので、戦隊ヒーローかもしれません。


ちなみに、昨年、還暦を迎えたという千住博さん。
それに合わせて、展覧会のラストでは、これまでの主要作品や初期の作品も紹介されています。


《朝に向かって》 1989年 軽井沢千住博美術館所蔵


「ウォーターフォール」 シリーズを観てから、
初期の作品を観ると、なんとも野暮ったい印象を受けました。
人物や鳥に生命力が感じられず、ベタッと貼り付けられた感じといいましょうか。
最新作を鑑賞した後だっただけに、より粗が目立ってしまっていました。
何もあえて初期の作品を展示しなくても。。。
千住さんも、水に流したかったのではなかろうか。
星




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

カミワザ!-驚異の立体切り絵展-

$
0
0
東京ドームシティ内のGallery AaMoにて、
3月8日よりスタートした展覧会 "カミワザ!-驚異の立体切り絵展-" に行ってきました。




こちらは、立体切り絵作家として、
話題沸騰中のSouMa (ソウマ) さんの待望となる東京での大規模展覧会。
新作を含む約40点が出展されています。




『ソウマ』 という名前から、男性を想像した方もいらっしゃるかもしれませんが。
実は、女性アーティスト。
こちらが、そのSouMaさんです。




ご本人曰く、6歳の時からカッターを手にし、
鉛筆やクレヨンで絵を描く代わりに、切り絵で遊んでいたとのこと。
天性の切り絵作家です。

そんな切り絵を愛し、切り絵に愛されたSouMaさんが、
編み出した立体切り絵とは、いかなるものなのでしょうか。
切り絵というのは、一般的に平面的でペタンとしているもの。
それに対し、SouMaさんの立体切り絵作品は、
「立体」 とあるように、作品が立体的に仕上がっています。




驚くべきは、この作品が繋がった1枚の紙で出来ているということ。
立体物に切り込みを入れたわけではなく、平面の紙を立体的に組み上げているのです。
つまり、元に戻そう (?) とすれば、平面の1枚の紙に戻るというわけです。

さらに驚くべきは、その繊細さと精巧さ。




羽1本の細さは、なんと1㎜にも満たないのだとか!
まさにカミワザ、カミってるとしか言いようがありません。

さらにさらに驚くべきは、立体切り絵を制作する際に、
SouMaさんは、ほとんど下絵や設計図を用いないとのこと。
基本的には、感性に任せて制作を進めていくのだそうです。
何をどうやってどうしたら、




1本のカッターと1枚の紙で、あれほどまでに繊細で複雑な立体作品になるのか。
凡人の頭では、まったく想像がつきません。
そのヒントすらわかりません。




SouMaさんは、もはや人ではなく、神なのでは?
そう考えた方が、むしろしっくりくるくらいです。
暇を持て余した神々の紙遊び、といったところでしょうか。
星


ちなみに、SouMaさんが新たに見つけた遊び、もとい新たな技法が、「剥がし切り」。




パッと見は、立体でなく、平面のようですが。
ギリギリまで近づいて、よ~~~~~くご覧くださいませ。




完全に切り取られている部分もありますが、
紙の層が薄~~~~~く剥ぎ取られている部分もあります。
これこそが、SouMaさんが編み出した新たな技法 「剥がし切り」。
SouMaさん曰く、実は、ミリ間隔で細く切るよりも、
剥がし切りの技法のほうが、数倍難しいのだそうです。
しかし、この激ムズの剥がし切りの技法を用いれば、
まるで日本画の濃淡のような表現が可能になるとのこと。
厚さ1㎜にも満たないですが、この作品もまた立体切り絵です。


そんな常に進化をし続けるSouMaさんの最新作が、《構造の火》




平成から新たな元号へ、
さらに、来たる2020年に向かう日本をテーマにしたという作品です。




羽1本1本が、より繊細に。
そして、剥がし切りを駆使し、濃淡も表現されています。
また、作品のいたるところには、折り鶴の姿。
新たな表現にもチャレンジしています。
これまで以上に繊細で複雑な立体作品に仕上がっていました。
現時点での集大成ともいうべき作品です。
なお、随所にみられる白と金色の格子模様は・・・




このように編み込んで表現しているのだそうです。

・・・・・・・・・・・・。(←スゴすぎて、言葉が思いつかない)

東京オリンピックの種目に、切り絵があればいいのに。



1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

特別展 御即位30年記念「両陛下と文化交流―日本美を伝える―」

$
0
0
平成も残すところ、あとわずか。

現在、東京国立博物館で開催されているのは、
天皇陛下のご即位30年を記念した “両陛下と文化交流―日本美を伝える―” という特別展。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


宮内庁が所管する皇室ゆかりの作品を通じて、
両陛下が担われた文化交流を紹介する展覧会です。
展覧会は、全部で3つのブロックで構成されています。
1つ目は、御即位に関連する作品。




その中で特に見逃せないのは、
展覧会のメインビジュアルに使われている・・・




《悠紀・主基地方風俗歌屛風》 です。
(注:メインビジュアルではありますが、諸事情により画像を掲載することは適いません。あしからず)
こちらは、天皇陛下御即位に際して、
平成2年に挙行された大嘗祭 (だいじょうさい) で実際に用いられた儀式用の屛風。
悠紀地方を東山魁夷が、主基地方を高山辰雄が担当しています。
大嘗祭では、悠紀と主基それぞれの地方の斎田で採れた新穀が献上されるとのこと。
聞きなれない地方名ですが、悠紀とは京都より東のこと、主基は京都より西、
と、だいぶ広くざっくりしていますが、具体的な土地は御即位の礼のたびに選ばれるそうで、
平成の場合は、悠紀地方は秋田県、主基地方は大分県に、それぞれ決定したようです。
それゆえ、作品の中には、男鹿半島や田沢湖、
臼杵海岸や耶馬渓といった名勝地が描き込まれていました。

ちなみに、《悠紀・主基地方風俗歌屛風》 を担当するというこの大役、
昭和には河合玉堂と山元春挙が、大正には竹内栖鳳と野口小蘋が務めたとのこと。
次の元号では、誰が担当するのでしょうか。
平松礼二さん?千住博さん?山口晃さん?思い切って、チームラボ?
次なる 《悠紀・主基地方風俗歌屛風》 も楽しみです。


2つ目のブロックで紹介されていたのは、ご養蚕にまつわる作品。
明治期に昭憲皇太后が始められた皇室御養蚕は、
大正、昭和、そして、現在と歴代皇后によって引き継がれているそうです。
そうして生まれた生糸で織られた絹製品は、
宮中儀式や祭祀、皇室の儀典用衣裳などに使われているのだとか。




あの多忙な公務の合間を縫って、ご養蚕をされていたとは!
あの豪華絢爛なお召し物を、まさか糸から作っていらっしゃったとは!
今日の今日まで、知りませんでした。

ちなみに、会場には、ご養蚕の守護神として、
高村光雲によって制作された 《養蚕天女》 も出品されていました。




手にしているのは、純国産種の繭・小石丸。
足元に添えられているのは、桑の葉です。
思わず二度見にしてしまったのは、その頭。
手のひらサイズの蚕蛾が止まっているではないですか(((゚Д゚)))
しかし、さすがは、《養蚕天女》。まったく動じる気配がありません。
キャプションを読んでみると、どうやら本物の蚕蛾ではなく、蚕蛾の宝冠とのことでした。
・・・・・・・いやいや、どういうファッションセンスだよ。


さてさて、3つ目のブロックで紹介されていたのは、
奇想の画家のうちの1人、岩佐又兵衛の 《小栗判官絵巻》 や、




江戸琳派の祖・酒井抱一による 《花鳥十二ヶ月図》 をはじめとした、




日本の伝統的な美術工芸品の数々です。
実は、これらの作品には、とある共通点が。
それは、天皇皇后両陛下が、外国をご訪問された際に紹介されていること。
《小栗判官絵巻》 は、イギリス、ノルウェーをご訪問された際に、
《花鳥十二ヶ月図》 は、カナダをご訪問された際に、それぞれ展示・紹介されたのだそうです。
外国を御訪問した際に、きっちりと日本の文化の㏚をしてくださっていただなんて。
今日の今日まで、知りませんでした。


30年間、本当にお疲れさまでした。
そして、5月以降は、是非ゆっくりお休みいただきたいものです。
心からそう願わずにはいられない展覧会でした。
星

ちなみに、会場は、本館の特別4・5室です。
間違えて、平成館に行ってしまわぬようご注意くださいませ。


 ┃会期:2019年3月5日(火)~4月29日(月・祝)
 ┃会場:東京国立博物館 本館特別4・5室
 ┃
https://tsumugu-exhibition2019.jp/culturalexchange/index.html

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “両陛下と文化交流” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、3月22日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

ヨハネへの道~3週目~

$
0
0
お笑い (ツインツイン) 時代の相方が手掛けた大会形式のダイエットアプリ 【FITFES】 に参戦し、
35日間かけて、カラヴァッジョの 《洗礼者聖ヨハネ》 のような身体を目指すガチンコチャレンジ企画。
それが・・・




企画がスタートしてから、2週間以上が経過しました。
当初は、慣れない筋トレに悪戦苦闘。


(↑HIITのファーストチャレンジの記録。我ながら、ヒドすぎるw)


そして、筋肉痛にも苦しめられました。
特に胸筋の筋肉痛!
リュックサックを背中から降ろしたり、
コートを脱いだりすることが、こんなにも辛いとは。。。
美術館のコインロッカーの前で悶絶する1週間を過ごすはめになりました。


が、しかし!

人間、続けていれば慣れるもの。
2週目には、すっかり筋トレが習慣化、毎日の日課となっていました。
むしろ、空き時間を見つけては、筋トレをしている日々。
筋トレをしないと落ち着かない。
まさか自分がそんな心境になるとは、夢にも思いませんでした。
そのおかげで、初日あんなにボロボロだったHIITを、なんとかこなせるまでに成長しています。
そして、先日、とうとう専用のマットを購入してしまいました。

image


これで、めいっぱい筋トレができます。
目標とするヨハネの身体には、まだほど遠いですが。
どれくらいヨハネに近づいているか、
気づけば、鏡の前でチェックしている自分がいます。
マッチョの人たちが、いちいち鏡の前でポーズを取る理由が、初めてわかりました (笑)


さてさて、この企画のもう一つの柱となるのが、食生活。
宮島トレーナーに、1日3食、
食べたものを写真に撮り、詳細に報告しています。


実は企画がスタートする前、
宮島トレーナーとは、こんなやり取りがありました。

「とに~さんは、食事には気を使ってるほうですか?」

「わりと、気を使ってる方ですよ」

「朝は何を食べてますか?」

「朝は基本的に軽めで、菓子パン1個とコーヒーです」


(↑一番好きな菓子パン、ヤマザキのホワイトデニッシュショコラ。これを冷蔵庫で冷やして食べるのが最高!)


「・・・・・・・菓子パンは、あまりオススメできないですね」

「あ、じゃあ、甘くない惣菜パンにします。
 カレーパンとか、まるごとソーセージとか」

「そういう問題じゃないです (ピシャリ)」

「・・・・・・・はい」

「お昼は何を食べてます?」

「そうですね。基本的に、牛丼とかラーメンとか、外で食べることが多いのですが。
 家にいる時は、カップラーメンですかね。
 あ、でも、ラーメンでなく、健康に気を使って、カップそばの時が多いです!」




「論外です (ピシャリ)」

「・・・・・・・はい」

「では、夕食は?」

「夕食は、かれこれ5年近く、炭水化物を抜いています。
 基本的には、お酒と軽いつまみで済ましている感じですかね」

「ちなみに、お酒は何本くらい飲みますか?」

「強いほうなので、まぁ、ずっと飲んでます。確か、お酒は太らないんですよね?」

「いえ、太ります。
 ビールは糖質が高いので、飲むとしても、一日500㎜以下で。
 飲むなら、せめてハイボールとか焼酎とか、糖質が少ないもののがいいですよ」

「・・・・・・・はい」



そして、後日。
宮島トレーナーから、企画中に採るべき食事の目安が送られてきました。
(注:これは、僕の体質や体型、目標とするヨハネの身体に近づく、といった条件から導き出された目安です)


  :オムレツorスクランブルエッグ (卵2~3個)
    ブロッコリーやほうれん草などの緑黄色野菜 (拳1~2個分)
  :お肉orお魚
    サラダは必ず付け、サラダから食べる
  :炭水化物 (白飯やパスタなど) を中心に、たんぱく質や野菜を採る
  推奨食材:オリーブオイル、くるみ、ヨーグルト、納豆


というわけで、企画スタートから今日まで、この目安に沿った食生活を送っています。
こちらは、とある1日の食事の様子☟




ボリュームは少なめ、腹八分目に抑えています。
さらに、目標により近づけるように、
企画中は、お酒とお菓子も完全シャットアウトすることを、自分自身に課しています。

とは言え、さすがに2週間が経過し、
そろそろ甘いものが食べたくなってきています。
パンケーキ食べたいパンケーキ食べたいパンケーキ食べたい・・・ (出典:夢屋まさる)
ブラックサンダーも食べたいお酒も飲みたい天下一品のラーメンも食べたい。


本物の (?) 洗礼者ヨハネだって、
おそらく、ここまで食事制限はしていないはずです!
何で自分がここまで追い込まれてるのか、段々腹が立ってきました。
(↑怒りっぽいのは、空腹のせい。)
そう思って、彼の食生活を調べてみることに。
すると、『マタイによる福音書』 にて、こんな一説がありました。

このヨハネは、らくだの毛ごろもを着物にし、
 腰に皮の帯をしめ、いなごと野蜜とを食物としていた。





それは、ガリッガリにもなりますわ。。。


ヨハネの食生活に比べたら、今の食生活はだいぶマシでした。
気持ちを入れ直して、残りの3週間を乗り切ろうと思います。


ちなみに。
企画スタート時から、毎朝オムレツを作り続けた結果・・・

image


オムレツが綺麗に作れるようになりました。
体型よりも先に、オムレツが劇的ビフォーアフター。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

柳宗悦の「直観」 美を見いだす力

$
0
0
現在、日本民藝館で開催されているのは、
“柳宗悦の「直観」 美を見いだす力” という展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


民芸品に、民芸店に、味の民芸に (←?)、
今でこそ、すっかり市民権を得ている 「民芸 (正しくは、民藝)」 。
その概念を発見し、命名したのが、日本民藝館の初代館長である柳宗悦 (1889~1961) です。
彼は、それまで見向きもされなかった生活の中の工芸品に ”美” を見出しました。
もちろん、生活の中の工芸品のすべてに ‟美” があるというわけではありません。
柳は日本各地を訪ね、膨大な量の工芸品に触れ、
それらの中から、「これは!」 と思ったものだけを蒐集したのだとか。
この 『「これは!」 と思う力』 が、展覧会タイトルにもある 「直観」 です。
今回の展覧会は、そんな柳の 「直観」 に焦点を当て、
柳が 「直観」 で集めた名品約280点を、館内のさまざまなスペースで紹介しています。




展覧会の一番の特徴は、普通の展覧会には必ずある ‟アレ” が無いこと。




そう、キャプションが無いのです。
名前もなければ、時代や産地の記載もありません。
何に使うものなのか。
どれくらい古いものなのか。
日本製なのか、外国製なのか。
すべてがノーヒントです。

「なんて不親切なんだ!」 と思われてた方もいらっしゃることでしょう。
かくいう自分も、キャプションが全く無いことに、最初は戸惑いを隠せませんでしたが。
人間というのは、それなりに環境に順応するもの。
無ければ無いなりに、徐々に楽しめるようになってきました。
さらに、しばらく経過し、その状況にすっかり慣れた頃、
自分の中で、ちょっとした変化が起きていることを自覚しました。

ファーストコンタクトでは、
まったく何とも思わなかったこの壺やロウソク立てを・・・




“あ、なんかイイ!” と感じられるようになっていたのです。
シンプルなのですが、佇まいが凛としているといいましょうか。
貫禄のようなものさえ感じられました。

また、同じくファーストコンタクトでは、
まったく何とも思わなかったこの何やらも・・・




“あ、なんかイイ!” と感じられるようになっていたのです。
素材的には実際は重みがあるのでしょうが、
ひょいっと持ち上げられそうな軽やかさが感じられるといいましょうか。
茶目っ気のようなものさえ感じられました。

おそらく、これらの “あ、なんかイイ!” という感覚を引き起こしているものこそが、美。
「見えるぞ私にも美が見える!」 と思わず叫びたくなりました。

キャプションがあれば、それがどういうものなのかは、おおむね理解することはできます。
しかし、理解することと、それそのものに潜む美を見出すことはまた別物。
キャプションは、僕らが作品を観て美しいと感じる方法は教えてくれないのです。
"直観" の力をアップさせるには、実践あるのみ。
自分で鍛えるしかないのです。
そのことに、キャプションを失ってみて初めて気が付きました。

そういう意味で、今回の展覧会は "直観" を鍛える絶好の機会。
直観力のフィットネスジムのようなものです。
直観力を鍛えれば、これからの芸術鑑賞にもプラスになるのはもちろん、
変な詐欺にも引っかからなくなるでしょうし、ステマにも騙されないでしょうし、
人をスペックや肩書しか見ないで痛い目にあうこともないでしょう。
人生全般において、きっと役立つであろう展覧会です。
星星


ちなみに。
気づけば、日本民藝館を訪れてから、1時間ほどが経過。
柳が直観で集めた民藝の名品にどっぷり触れたおかげで、
普通の工業製品である消火器や火災報知器が目に飛び込んできた瞬間に、




“あ、なんか美しくない!” と感じてしまいました。
なんなんだ?この感情は。
人生で初めて経験する感覚でした。
直観力が鍛えられたことで、美に対する感度が高くなったようです。

なお、その効力は一時的なものではない模様。
この記事を書くために、日本民藝館で撮影した写真を見返していたところ、
普段だったらスルーしてしまうような部分に、「おや?!」 と目が止まりました。
こちらが、その写真☟




たまたま、アクリルパネルに映り込んだ自分の下半身が、
巧いこと、上半身しかない土偶と組み合わさっていました。(注:狙ったわけではありません)
バランスといい、フォルムといい、なんだか覆面レスラーのよう。
こんなところにも、"美=面白さ" を見出せるのは、直観さまさまです。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

VOCA展2019

$
0
0
美術界の春の風物詩。
今年も、“VOCA展” が、上野の森美術館で開催されています。




VOCA展 (ヴォーカ展) とは・・・

全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40才以下の若手作家の推薦を依頼し、
その作家が平面作品の新作を出品するという方式で、全国各地の未知の優れた才能を紹介する美術展


のこと。
250cm×400cm以内の壁面に展示できるサイズの平面作品であれば、OK。
絵画作品や版画作品に限らず、写真作品もOKです。
VOCA展が始まった頃は、まだモニターがブラウン管でしたが、今やモニターは薄型の時代。
“厚さ20㎝以内であれば平面とみなす” というルールなので、映像作品も余裕でOKです。
なお、厚さ20㎝に満たない薄型の立体作品も、ルール上はOK。
もはや、ほとんど何でもあり状態です (笑)
過去には、村上隆さん、奈良美智さん、蜷川実花さん、
そして、今何かと話題になっているら会田誠さんもVOCA展に出展。
いうなれば、若手アーティストの登竜門的な展覧会なのです。


さてさて、平成最後となる記念すべき今回のVOCA賞に輝いたのは・・・




東城信之介さんの 《アテネ・長野・東京ノ壁ニアルデアロウ摸写》 という作品。
こちらは、キャンバスではなく、金属板の上に、
落書きのようなものが描かれたり、転写されたりしています。




さらに、金属を磨いたり、傷つけたり、
錆びさせたりすることで、複雑な表情を生み出しています。
モチーフとなっているのは、オリンピック。
東城さんがアテネを訪れた際に、荒廃した会場を目にして、
自身の故郷である長野県に同様の荒廃があることを思い出したのだそうな。
そして、いよいよ来年2020年、東京でオリンピックが開催されます。
その会場跡地に近い未来、こんな落書きが ‟アルデアロウ” ことに警鐘を鳴らす作品です。


VOCA奨励賞は在日コリアンのチョン・ユギョンさんの作品、
《Let’s all go to the celebration square of victory!》 が受賞。




パッと見は、サイケでポップ。
どこかのファッションブランドのDMのデザインのようですが。
実は、こちらは北朝鮮のプロパガンダポスターをモチーフとしたもの。
そのイメージが、それと分からなくなるくらいまでに解体された作品です。

もう一人のVOCA奨励賞の受賞者は、石場文子さん。
亡くなった祖母をテーマにしたという 《2と3、もしくはそれ以外(祖母の家)》 が受賞しています。




一番左の作品で、輪郭線で表されているのが、おそらく作者の祖母なのでしょう。
亡霊のようで、ちょっと背筋がゾワっとしました。
(しかも、よりによって、なぜこのようなポーズ?)
残り3点は、祖母の家を映した写真とのこと。
一見すると、特に何の変哲もない写真ですが、近づいてみると・・・・・




あるはずのない輪郭線がくっきりと描き込まれているのに気が付きます。
輪郭線があるだけで、3次元の世界が2次元に感じられる不思議さ。
人間の脳や視覚は、どのように2次元と3次元の違いを捉えているのか。
改めて考えさせられる作品でした。


さてさて、ここ近年、その傾向が高まっているような気がしていましたが。
やはり、今年も社会問題をモチーフにした作品、
複雑な構造の作品が高い評価を受けているような印象を受けました。
当初は、純粋に平面作品の魅力を競う展覧会だったはずなのに、
今や、VOCA展にとっての 『平面』 は、あくまでフォーマットにしか過ぎず。
美術業界内でウケる玄人受けの複雑な作品が選ばれている感は否めません。
正統派の漫才では優勝できない。最近のM-1グランプリのようです。
もっと単純に一般の人が観ても、
「スゴい!」 「面白い!」 「なんだこれは!」 と思える作品が選ばれてもいいような。
新たな元号に代わるこのタイミングで、一旦その辺りのをフラットにしてみてはいかがでしょう。
平面だけに。
星


ちなみに、以前から注目しているアートユニット・目も、今回のVOCA展に参戦。
インスタレーション作品を手掛ける彼女らが、
一体どんな平面作品を作るのか、興味津々でした。
こちらが、その平面の新作 《アクリルガス》 です。




ガスで生成される惑星に着想を得た作品。
アクリル絵の具や樹脂が溶けあい、まさに惑星のような姿を見せています。
映像作品ではないのですが、まるで常に動いているかのよう。
実体があるようでない、なんとも不思議な作品でした。
惜しむらくは・・・




250cm×400cm以内、厚さ20㎝以内という規定があったこと。
もっとサイズが大きいか、形状が半球形なら、
惑星のイメージに、より近かったことでしょう。
とは言え、この作品で、目は佳作賞を受賞。
ファンとしては嬉しい限りですが、
特に平面作品の作家ではないのに、いきなり平面作品を作って、即入賞。
漫才師がピンでR-1ぐらんぷりに出場して、
いきなり決勝に進出してしまったくらいの違和感はあります。


個人的に賞を獲って欲しいと思ったのは、
田中武さんの 《花のたとえ、嵐のたとえ》 という作品です。




下敷きになっているのは、日本画の伝統的な画題である 《武蔵野図屏風》
画面の下には、東日本大震災を連想させる汚染袋が敷き詰められています。
そこから咲き乱れるのは、カーネーション。
美しさと不穏さが同居する妙に惹きつけられる作品でした。


最後に、今回要注意 (?) の笹山直規さんの作品をご紹介。
笹山さんは、生と死をテーマに、
死刑囚や事故、死体などをモチーフとした作品を一貫して制作しているアーティストです。
今回の新作も、それに漏れず交通事故がモチーフとなっていました。
作品の刺激が強すぎるので、画像は掲載しません。




閲覧注意。
覚悟のできた方だけ、壁の向こうに足を踏み入れてください。

・・・・・というような案内をどこかに記載しておいて欲しかったです。
何も知らずに、

”あの一角だけ、なんか隔離されてるぞ。
ということは、ちょっとムフフな感じの作品なのかなラブラブ

と思って、スキップ混じりで足を踏み入れたら、エラいものを見せられてしまいました。。。
完全なるもらい事故。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

ちひろのキッズファッション

$
0
0
現在、ちひろ美術館・東京で開催されているのは、
"ちひろ美術館×文化服装学院 共同企画 ちひろのキッズファッション" という展覧会。
昨年開催された "着るをたのしむ spoken words project" では、
いわさきちひろ自身のファッショナブルな一面が取り上げられていましたが、
今回は特にキッズファッション、ちひろが描いたオシャレな子どもたちに焦点が当てられています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


ちひろ作品を鑑賞すると、
子どもたちの愛くるしい表情に、つい目を奪われがちですが。
意識してみると、確かに、子どもたちのファッションがオシャレ!
ママタレントやママモデルの子どものファッションくらいにオシャレです。




スーパーマーケットの2階で売っていそうな、
ありきたりなキッズファッションは、一つも見当たりませんでした。
しかも、ただ着ている服がおしゃれなだけでなく、
コーデや着こなし、帽子やスカーフといった小物遣いも、ひっくるめてオシャレ!




かなりのオシャレ上級者です。
これからは、ちひろが描く子どもをそういう目で見たいと思います。
お子さんのファッションで悩んでいる方は、参考にしてみてはいかがでしょうか?


さて、今展は、ちひろ美術館では初となる文化服装学院とのコラボ展です。
いわさきちひろと文化服装学院。
特に何の接点もないような気がしますが、実は意外と深い繋がりがあるのです。

若き日に一時、書家を目指していたちひろ。
書家の小田周洋のもとで、藤原行成流の和仮名の書を学びました。




その縁で、周洋の師範代として、
ちひろが文化服装学院の学生たちを指導していたこともあったのだとか。
また、文化服装学院が出版している 『装苑』 や 『ミセス』 といった雑誌にも、
ちひろは、子ども服のデザイン画や挿絵をたびたび寄稿していたのだそうです。




そんな今回のコラボ展の目玉といえるのが、
文化服装学院服装科の学生たちによって制作されたキッズファッション。
ちひろ作品からイメージを膨らまして、構想されたものです。




その約80点のデザイン画から厳選された10点が、
今回の展覧会のために制作され、展覧会場で披露されています。




どれも学生の作品とは思えないほどのクオリティ。
キッズファッションとは何の縁もない自分でさえも、
思わず、「カワイイ♪」 と思ってしまうほどに素敵なキッズファッションでした。
星星


ちなみに。
この展示室に壁一面に飾られているのは・・・




それぞれの元ネタ (?) となった作品の複製パネルと、
制作されたキッズファッションを実際に着用した子どもを撮影した写真パネルです。
子どもたちの表情や仕草も、そして、ファッションも、ちひろ作品そのものでした。
まるで、ちひろ作品から子どもたちが、そのまま抜け出してきたかのよう。
ちひろ作品、奇跡の完全実写化です。


 ┃会期:2019年3月1日(金)~5月6日(月・祝)
 ┃会場:ちひろ美術館・東京
 ┃
https://chihiro.jp/tokyo/exhibitions/26668/




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

ざんねんな橋

$
0
0
日本全国にあるちょっと “ざんねん” な重要文化財 (=重文) を探してみようという新企画。
それが、『ざんねんなじゅうぶん事典』 です。




今回のテーマは、橋。
日本には数多くの有名な橋がありますが、
実は、国宝に指定されているものは、1件もありません。
そう言えば、国宝ハンターで橋を巡った記憶はないですね。
また、意外にも、日本三名橋の一つに数えられる山口県の錦帯橋や、




東海道の終点である三条大橋にいたっては、




重要文化財にすら指定されていませんでした。
歴史ある橋なのに。
文化庁は、橋に厳しいのかもしれません。


では、橋単体で重文に指定されているものは、いくつあるのでしょうか。
調べてみたところ、2019年3月現在で、
日本橋や長崎の眼鏡橋を含む約25件の橋が重文に指定されているようです。
その中で今回僕が注目したのは、富岡八幡宮のほど近くにある・・・




八幡堀遊歩道にかける橋。




その名も、《旧弾正橋(八幡橋)》 です。




この橋は、明治11年に東京府の依頼によって、工部省赤羽製作所が制作したもの。
もともとは、弾正橋という名で、かつて東京都中央区にあった楓川に架けられていました。
しかし、関東大震災を契機に、現在の場所へと移転。
名前も、すぐ近くにある富岡八幡宮にちなんで、八幡橋と改められたのだそうです。


・・・・・・・・・・・・・。

しかし、まぁどう見ても、何の変哲もない橋です。
わざわざ都内の離れたこの地へ移転されるほどの橋には、到底思えません。
なぜ、《旧弾正橋(八幡橋)》 が、錦帯橋や三条大橋を抑えて、重文に指定されているのでしょうか?

その答えは、素材にありました。




《旧弾正橋(八幡橋)》 の主材料は、鉄。
実は何を隠そう、《旧弾正橋(八幡橋)》 は、国産第一号の鉄橋なのでしょう。
今でこそ、こんなひっそりとした場所にありますが、
完成当時は、超最新式の鉄橋として、都心の人々の注目を集めていたのでしょう。
ちなみに、重文に指定されているだけでなく、
1989年には、なんとアメリカ土木学会から栄誉賞を受けています。




そんなにも貴重な橋だったなんて。
心して渡らなくてはならないですね。




では、早速、渡ってみることにします。




安定感は、ごくごく普通。
歩き心地も、ごくごく普通。
橋の上からの眺めも、ごくごく普通です。




貴重な橋だからといって、特別なことは何もありませんでした。
気づけば、あっという間に橋の反対側へ。
長さは約15mなので、5秒ほどで渡り切れてしまいます。




あまりにあっけなかったので、何度か往復してみることに。
やはり貴重な橋だからといって、特別なことは何もありませんでした。
ただ、そうこうするうちに、一つ気づいたことが。

"はっ!さっきから、僕以外、誰もこの橋を渡っていない!"

ということで、どれくらいの人が通るのか、
橋の近くに待機して、ウォッチングしてみることにしましょう。
一人では心細いですが、橋の下にお住いの猫さんがいたので、





彼と世間話をしながら (?)、30分ほど橋を眺めていました。
結果、その間に橋を渡ったのは、OLさんらしき2人組のみ。
どこかこの近くに、『このはしわたるべからず』 の立札でもあるのでしょうか?
ざんねんなくらいに、ほとんど人が渡ることのない橋でした。


『人道橋である 《旧弾正橋(八幡橋)》 を活用しているのは、
 人よりも猫』





1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

Exhibitionismーザ・ローリング・ストーンズ展

$
0
0




『サティスファクション』 や 『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』 など、
数々のヒット曲で知られる世界的なロックバンド、ザ・ローリング・ストーンズ。
今なお第一線で活躍する彼ら自身がプロデュースした展覧会、
"Exhibitionismーザ・ローリング・ストーンズ展" が、2016年4月ロンドンを皮切りに、
ニューヨークやシカゴ、ラスベガス、シドニーと世界各地で開催されました。
その総入場者数は、なんと100万人を突破したそうです!

そんな世界中で旋風を巻き起こした展覧会が、このたびついに日本上陸。
アジア唯一の巡回地となる東京で、それも五反田で開催されています。
会場は、TOC五反田メッセ。
GWの最終日5月6日までの開催です。





出展されているアイテムは、実に500点以上!
メンバーが実際に使っていた楽器の数々から、





ミック・ジャガー直筆の作詞ノート、




歴代のアルバムジャケットのアートワーク、




さらには、作曲の権利に関する権利書といった生々し過ぎるものまで。




ザ・ローリング・ストーンズファン垂涎のアイテムが、
1800平米という広大な展示空間に、ドドーンと一挙公開されています。
また、ファンなら失神してしまうかもしれないのが、彼らにまつわる色々な再現コーナー。
録音スタジオや、




ライブステージのバックヤードといった、





普段は公開されていない禁断の裏側を垣間見ることができます。
しかも、細部まで完全に再現されているので、
まるで、実際にその場所に足を踏み入れたかのような臨場感を味わうことができます。
極め付きは、デビューの頃、メンバーが共に暮らしたという狭いアパート部屋の完全再現。




シンクの中の洗い物まで、完全再現されていました (笑)




あまりにも汚らしく、お世辞にも売れる気がしません。
イギリス版 『銭形金太郎』 状態です。
しかし、そんな彼らが今や世界的ビッグスター。
永ちゃん以上に、成りあがっています。
ちなみに、細部にまでこだわっており、
彼らのヘビースモーカーぶりがわかる灰皿までも、完全再現されていました。




ものすごい煙草の量です。
受動喫煙ナンチャラがクレームを言ってきませんように。


それらの再現展示があまりにも本気なため、全体的には、展覧会というよりも、
ザ・ローリング・ストーンズをモチーフにしたアトラクションのような印象を受けました。
クライマックスには、3Dメガネを付けて、
2013年にロンドンのハイドパークで行われたコンサートを体験するコーナーもあり、




ディ●ニーランドにおける 「キャプテンEO」 に近いものがあります。
ザ・ローリング・ストーンズに熱狂した方、
もしくは、今も熱狂中の方なら、必ずやサティスファクション (=満足) できる展覧会でしょう。
星


アートテラー的に興味深かったのは、
ザ・ローリング・ストーンズとポップアート作家たちとのコラボ。
ポップ・アートの先駆者といわれるイギリスの画家リチャード・ハミルトンや、




ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルによる作品が紹介されていました。




ザ・ローリング・ストーンズが、
ポップアートのアイコンの一つとして用いられていたのは、なんとも興味深い事実。
まさに時代を象徴する存在だったことを、実感させられました。

また、個人的に衝撃を受けたのは、
初期のザ・ローリング・ストーンズのビジュアルです。




完全にビートルズやベイシティローラーズの二番煎じ。
この写真を見て、誰がザ・ローリング・ストーンズだとわかりましょうか。
路線変更して大正解です。
なお、展覧会では、その当時の衣装も紹介されていました。




もちろん、ロック路線へ変更したあとの衣装も紹介されています。




真面目だった子が、急に不良になったかのような。
若干、高校デビューに通ずるものがありました (笑)
いや、そんなことより何よりも、
マネキンのヘアスタイルが妙なことになっています。




これでは、ミック・ジャガーではなく、『ピューと吹く!ジャガー』。
うすた京介感がハンパなかったです。
ガビーン。


最後に、ミック・ジャガーに関して、どうしても気になってしまったことを。
自分はザ・ローリング・ストーンズの世代ではないですが、
今回の展覧会を通じて、改めて彼らのカッコよさを知りました。
特にライブ映像でのミック・ジャガーは、惚れ惚れするくらいにカッコ良かったです。




と、それを踏まえた上で。。。
メインビジュアルのミック・ジャガーが、
一瞬、ロン毛のカツラを被った林家木久扇に見えてしまいました。
いやんばか〜ん。






1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

福沢一郎展 このどうしようもない世界を笑いとばせ

$
0
0
現在、東京国立近代美術館で開催されているのは、
"福沢一郎展 このどうしようもない世界を笑いとばせ" という展覧会。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


昨年生誕120周年を迎え、回顧展が開催されたり、関連本が出版されたりするなど、
一部研究者の間で今最もキテる洋画家といっても過言ではない福沢一郎の大規模な展覧会です。
福沢一郎といえば、若き日に渡仏したフランスで、
当時流行していたシュルレアリスムに衝撃を受け、帰国後、日本に紹介した人物。
1930年代には、前衛美術運動のリーダーとして活躍しますが、それを理由に、
戦時下の警察から目を付けられ、美術評論家の瀧口修造とともに約7か月の拘留を受けました。

これまでの福沢一郎展では、そんなシュルレアリストとしての福沢一郎や、
戦時中に当局から弾圧を受けた一件が中心に紹介されることが多かったですが。
今回の展覧会では、シュルレアリスムに出逢う前の初期の作品から、




人々が争う様子をモチーフにした晩年の作品まで、




これまであまりフィーチャーされなかった部分も含めて、万遍なく紹介されています。
生涯現役の画家であった福沢一郎。
その歩みをきちんと追うことができる展覧会です。
福沢一郎を知らなかった人はもちろん、
福沢一郎について知った気になっていた方にも、足を運んで頂きたい展覧会。
展覧会でこのどうしようもない世界を笑いとばす前に、展覧会に行く予定をとばしませぬように。
星星


さてさて、今回の福沢一郎展に出展されている作品数は、
珍しい写真作品や88年ぶりの公開となる油彩画などを含む計103点。


《静物(叔母の肖像)》 1930年 千葉県立成東高等学校蔵


その中で特に印象に残った作品をいくつかまとめてご紹介いたしましょう。
まずは、展覧会のメインビジュアルにも使われている 《煽動者》 です。


《煽動者》 1931年 一般財団法人福沢一郎記念美術財団蔵


宙に浮かぶ2人の男。
手前の男性は、なんとなくリンカーンに似ています。
あと、ちょっと中居君にも似ています。
担当学芸員さん曰く、後ろの男性は、トランプ大統領に似ているとのことでした (似てるかなぁ?)
《煽動者》 というからには、人々を煽動しているのでしょうが。
見ようによっては、口から吹き出したビームに対して、人々から抗議されているようにも見えます。
そんなところは、確かにトランプ似ている気もしなくはありません。
何はともあれ、一度目にしたら、脳裏に焼き付いて離れないインパクトの強い一枚です。


続いては、地獄をモチーフにした絵が集められた、
福沢一郎地獄絵ゾーン (=この一角だけ照明が暗めです) で・・・




ひときわ異彩を放っていたこちらの作品。


《トイレット・ペーパー地獄》 1974年 群馬県立近代美術館蔵


その名も、《トイレット・ペーパー地獄》 です。
もちろん題材は、この絵が描かれた前年に起こったオイルショック。
人々がトイレットペーパーを求め、殺到するさまを皮肉たっぷりに描いています。
もし、福沢一郎が現在まで生きていたら、
《渋谷ハロウィン地獄》《ツイッター炎上地獄》 といった作品を描いていたかもしれないですね。


展覧会タイトルには、"笑いとばせ" とありますが。
「アハハ!」 と笑い飛ばせる福沢一郎作品は、意外と多くありません。
「クックックッ・・・」 と『ちびまる子ちゃん』 の野口さんのような笑いが洩れる作品が大多数。
ただ、こちらの作品は、純粋に笑いとばせました。


《教授たち 会議で他のことを考えている》 1931年 一般財団法人福沢一郎記念美術財団蔵


タイトルは、《教授たち 会議で他のことを考えている》
おそらく、真面目な会議の真っ最中なのでしょうが、
教授たちが心の中で考えていることが、なぜかスクリーンと化した背もたれにダダ洩れしています。
スケベなことを考えてることがバレバレです。
その隣の教授は、デートプランか何かを考えているのでしょうか?


そうそう、会場は撮影禁止となっていますが。
ブラジルやメキシコを訪問した福沢が、
その影響を受けて描いた作品の数々を紹介したコーナーにある・・・




《埋葬》 という作品だけは、撮影が可能となっていました。


《埋葬》 1957年 東京国立近代美術館蔵


ちなみに、この 《埋葬》 という作品を90度横倒しにし、
それを原画として制作されたのが、東京駅にあるステンドグラス作品 《天地創造》 なのだとか。
(参考:新・無料で観れる 美術百選 《東京駅 その2(東京都千代田区)》

東京駅で 《天地創造》 を目にするたびに、
「どこかどう天地創造なのかよくわかんないなァ (苦笑)」 と首を傾げていたのですが。
なるほど。そのまま首を傾げた状態で、観てみれば良かったのですね。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

1周回っても知られてない話

$
0
0
本日、年齢をまた一つ重ね、36歳となりました。
お酒やケーキで、誕生日を祝いたいところですが。
『ヨハネへの道』 企画の真っ最中のため、それは叶わず (笑)
いつものように、朝食にオムレツを食べて、
昼食には、茹でた鶏むね肉を食べて、今夜も節制した食事を摂ることにします。
こんなに食卓が寂しい誕生日は、生まれて初めてかもしれません。

さてさて、36歳。
年男です。
実は、僕が人前で初めて美術トークをしたのが、2007年11月のことでした。
その時も、亥年で年男。
つまり、気づけばあれから、ちょうど12年が経っているのですね。

振り返ってみれば、長いようで短いようで・・・いや、やっぱりめちゃめちゃ長い12年でした。
あの頃に戻れと言われても、絶対にイヤです (笑)
結婚式場の配膳とミニストップの夜勤、
2つのバイトを掛け持ちしながら、その空き時間を利用して、美術館に通って。
ブログで展覧会に3ツ星評価を付けては、美術館関係者の方から白い目で見られ。
そのうえ、芸人と違って、オーディションや賞レースもないので、
アートテラーとして、一体何をどう頑張ればいいのかもわからず・・・。
とりあえず、アートテラーを続けていれば、なんとかなる。
というか、続けるしかないから、なんとか続ける。
そんな時代が、4~5年は続いたでしょうか。

今思えば、20代後半の大切な時期を、
よく、そんな将来の希望がない状態で乗り切ったものだと、我ながら感心。
自分がもっと頭と要領のいい人間だったら、
早いうちにアートテラー人生なんて見限っていたことでしょう。
今日は、あの頃の自分に感謝する一日としたいと思います。


そうそう。あの頃の自分は、おそらく想像もつかなかったでしょうが。
実は、今週23日の土曜22時から、
BS日テレの 『バカリズムの大人のたしなみズム』 に、たしなみストとして出演いたします。
(注:告知ですw)




お世話になっている銀座のギャラリーの皆さま全面協力のもと、楽しく充実したロケになりました。
スタジオ収録では、中学生の時からファンだったバカリズムさんと共演。
楽しい時間を過ごすことが出来ました。
ちなみに、番組のラストには、衝撃の展開が。
とに~、美術作品を買う?!
お時間のある方は、是非、ご視聴くださいませ。


それから、こちらも想像がつかなかったでしょうが。
実は、その日の午後14時から、ひばりが丘PARCOにて、"「アートの楽しみ方」講座" が行われます。
(注:またまた告知ですw)




前半は、講義スタイルで、アートの楽しみ方をご紹介。
後半は、2019年度オススメ展覧会の最新情報や裏話、
一度は訪れたい国内の美術館情報などを、一挙大放出いたします。
入場は、なんと無料!
ぜひ皆様お誘い合わせの上、お越しくださいませ。


さらにさらに、これも想像がつかなかったでしょう。
コンビを組んで早7年近くになる太田記念美術館の渡邉晃学芸員と、
2015年に一度だけ開催した伝説のイベント、『浮世絵×ジャズ』 企画が4月20日に復活します!
しかも、パワーアップして!
(注:またまたまた告知ですw)

「浮世絵 ☓ JAZZ TALK & LIVE !! (仮)

浮世絵専門の美術館・太田記念美術館の渡邉晃学芸員と、
アートテラー・とに~のタッグでお送りする世にも珍しき 『浮世絵×ジャズ』 のセッションライブ。
浮世絵とジャズの楽しむ方を伝える入門トークあり、
ジャズピアニストの顔も持つ渡邉さんとメンバーによる本格的ジャズライブあり。
さらに、ラストには、僕が選んだ浮世絵をモチーフに渡邉さんが作曲したオリジナル曲を披露!
その浮世絵とは・・・




葛飾北斎による世界的名画 《神奈川沖浪裏》
この無茶ぶりに対して、果たして、渡邉さんはどんな曲を生み出したのか?!
乞うご期待です。

なお、ジャズのライブは、自己のバンドSumitty&THE FUNFAIRで活動するほか、
尚美ミュージックカレッジ専門学校でも教鞭をとるジャズドラマー大井澄東氏をはじめ、
河合卓人氏 (ボーカル)、小松誠幸氏 (ベース) といった実力派ミュージシャン揃い。
正直、僕のトークコーナーが無くても、十分に企画として成立する気がしています (笑)

詳細やお申込みは、こちらをクリック☟
セブンアカデミー オンライン講座予約ページ



・・・・・と、いろいろ告知してみて気が付きましたが。
今の自分があるのは、周囲の助けがあってこそでした。
この場を借りて、応援してくれる皆様にお礼を申し上げます。

やはり今日は、皆様に感謝する一日としたいと思います。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】

$
0
0
現在募集中のアートツアーです。

アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画を心掛けております。
初参加の方も多いので、どうぞお気軽にご参加くださいませ♪
(男女比は、7:3くらいで女性が多いです。
 また、おひとりで参加される方が大半ですので、一人でもふらっと遊びにいらしてください!
 お子様とご一緒の参加も大歓迎です[お子様の参加費は基本無料])
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
参加希望の方は、お手数をおかけして恐縮ですが、
件名に希望するアートツアーを明記して、以下のメールフォームよりお申し込みくださいませ。
詳細をお知らせいたします。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
お知らせ先のメールアドレスが間違っている方が、ごくたまにいらっしゃいます。
こちらからの返信がない場合は、もう一度お送り頂けますと幸いです。


3/31(日) みんなの大東京建築ツアー【六角鬼丈編】

世界中の建築ファンが憧れる街・東京。

この街には、たくさんの名建築が存在しています。
その東京で生活をしていながら、建築に興味が無いなんて!
あぁ、何ともったいないことでしょう!!

「・・・・でも、“建築” って何をどう観たらいいの?? 」

そんな皆様にお送りするのが、みんなの大東京建築ツアー。
実際に東京の街をぶらぶらしながら名建築を巡り、
進行役の自分と講師の建築家が掛け合いをしながら、その魅力をたっぷりお伝えするツアーです。

いよいよ11年目に突入した “みんなの大東京建築ツアー” ですが。
守りに入らず、さらなる進化を目指し、新企画をスタートさせます!
その名も、『この建築家がすごい!』 。
これまでのように、街やエリアを掘り下げるツアーではなく、
講師陣が、“今、特に注目して欲しい!”とリコメンドする建築家1人を掘り下げるツアーです。
記念すべき1回目は、講師の伊藤嘉朗氏の学生時代の恩師のうちの一人、六角鬼丈氏をフィーチャー!
都内にある六角鬼丈氏の代表作の数々を、電車を乗り継ぎながら巡ります。
(スタート地点は、荻窪駅近辺になる予定です)
伊藤氏いわく、

「1月に惜しまれながら亡くなった、建築家・六角鬼丈氏。
 独特の表現の建築家であり、
 後進を育てる優れた教育者でもあった彼の作品を巡りながらその人となりを紹介します」

とのこと。
建築がお好きな方はもちろん、興味を持ってみたい方も大歓迎。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

時間:13時~18時
定員:15名
参加費:1500円

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
http://arc-tour.org/mail.html


4/7(日) さよなら平成!皇室ゆかりのアートツアー

平成の世が終わり、新たな元号がスタートするまで、あと1か月を切りました!
そんな今だからこそ、「皇室」 をテーマにしたアートツアーをお届けいたします。

まず訪れるのは、皇居。
皇居外苑や天守閣跡などを、ぶらぶら散歩しましょう。
本日発表となりましたが、当日4月7日までは、
皇居内の桜並木、乾通りが一般公開されるそうです。
皇居での平成最後のお花見を楽しみましょう桜
また、皇室ゆかりの美術品を公開する三の丸尚蔵館も訪れます。
こちらでは現在、写実画家の野田弘志氏が描いたことで話題となった 《両陛下御肖像》 が特別出展中!
一般公開される最初で最後の機会かもしれません!
是非、この機会をお見逃しなく。

その後、六本木一丁目へと移動し、
泉屋博古館分館で開催中の ”華ひらく 皇室文化” を鑑賞いたします。
実際に宮中晩餐会で使用されたドレスや食器といった皇室にまつわる貴重な品々や、
今でいう人間国宝のような存在である帝室技芸員による超絶技巧の品々が勢ぞろいした展覧会です。
日本近代工芸史に名を残す傑作中の傑作も出展されるので、こちらも見逃せませんよ!

時間:13時~17時
定員:12名
参加費:1000円 (展覧会鑑賞料を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
http://arc-tour.org/mail.html


4/13(土) みんなの大東京建築ツアー【高輪ゲートウェイ編】

世界中の建築ファンが憧れる街・東京。

この街には、たくさんの名建築が存在しています。
その東京で生活をしていながら、建築に興味が無いなんて!
あぁ、何ともったいないことでしょう!!

「・・・・でも、“建築” って何をどう観たらいいの?? 」

そんな皆様にお送りするのが、みんなの大東京建築ツアー。
実際に東京の街をぶらぶらしながら名建築を巡り、
進行役の自分と講師の建築家が掛け合いをしながら、その魅力をたっぷりお伝えするツアーです。

今回のツアーの舞台は、今いろんな意味で注目を浴びる高輪。
絶賛建設中の駅舎を基点に、東京の玄関口・高輪エリアにある名建築の数々を巡ります。
さらに、ツアーの後半では、御殿山方面に足を伸ばして、
2020年に閉館することが決定し、多くの人々に衝撃を与えた原美術館も訪れましょう!
都内屈指の美術館名建築、原美術館。
その建築的な魅力とアートな魅力を、
建築家・照内創氏とアートテラー・とに~のコンビでお伝えいたします!
どうぞご期待くださいませ。

時間:13時~18時
定員:15名
参加費:2600円(美術館鑑賞料を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
http://arc-tour.org/mail.html


4/14(日) 今日は一日トルコ三昧ツアー

今年2019年は、日本における 「トルコ文化年」。
それを記念して、トルコの多様な芸術や文化を紹介する展覧会、
"トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美" が、国立新美術館にて開催されます。
トプカプ宮殿博物館が所蔵する宝飾品や工芸品、
食器、武器、書籍といった国宝級の至宝約170点が来日する貴重な機会です。

この展覧会をさらに楽しむべく、展覧会の前に、
代々木上原にある日本最大のモスク、東京ジャーミイ・トルコ文化センターを訪れます。
(その内装の美しさは、アジア1だとも言われています)
日本にいながらして、トルコ旅行の気分が味わえる。
そんな東京ジャーミィで、たっぷりとトルコの文化に触れましょう!

トルコの文化に興味がある方も、これを機に興味を持ってみたい方も、大歓迎です♪

時間:13時半~18時
定員:12名
参加費:1500円 (展覧会鑑賞料を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
http://arc-tour.org/mail.html


4/20(土) 浮世絵 × JAZZ TALK & LIVE !! (仮)

ある時は、太田記念美術館の学芸員。
またある時は、ジャズピアニスト。
そんな渡邉晃氏とアートテラー・とに~のタッグでお送りした伝説企画、
『浮世絵×ジャズ』 のセッションライブが、皆様からのリクエストにお応えして、ついに復活します!
浮世絵、そして、ジャズの楽しみ方を伝えるトークコーナーあり。
渡邉さんと実力派メンバーによる本格的ジャズライブコーナーあり。
さらに、ラストでは、葛飾北斎の 《神奈川沖浪裏》 をモチーフに、
渡邉さんが、この企画のために作曲したオリジナル曲を披露いたします!
どうぞご期待くださいませ♪

時間:17時~18時
定員:50名
参加費:3888円 (税込み)
出演:渡邉晃氏、大井澄東氏(ドラム)、河合卓人氏 (ボーカル)、小松誠幸氏 (ベース)

ご参加希望の方は、セブンアカデミーのHPからお願いいたします↓
セブンアカデミー オンライン講座予約ページ


4/30(火・祝) 平成最後の日 ドキッ!悪女だらけのアートツアー

本日は、平成最後の日。
それにちなんで、終末、世紀末の美術界に現れる、
『ファム・ファタール』 (宿命の女、魔性の女) をキーワードにしたアートツアーを開催します。

まず訪れるのは、4月1日付けで名称が、
パナソニック 汐留ミュージアムから変更になるパナソニック汐留美術館。
その改称1発目に開催されるのが、
"ギュスターヴ・モロー展― サロメと宿命の女たち ―"
ファム・ファタルを描かせたら右に出るものはいない、
フランス象徴主義を代表する人気画家ギュスターヴ・モローの待望の大規模展覧会です。
本国フランスのギュスターヴ・モロー美術館より、名品約70点が来日!
西洋美術ファンならば、是非とも抑えておきたい展覧会です。

その後、休憩を挟み、三菱一号館美術館へ。
約200年分のイギリス美術を堪能できる "ラファエル前派の軌跡展" を鑑賞します。
美術史にその名を残す "リアル" ファム・ファタル、
ジェーン・バーデンをモデルに描かれた名作をはじめ、数多くの名画が来日しています。
こちらも、この春、是非抑えておきたい展覧会の一つ。

当日は見どころをガイドいたしますので、お気軽に遊びにいらしてくださいませ。
悪女がお好きな方も、悪女とは距離を置きたい方も、
そして、我こそは悪女という方も、どたなも大歓迎です (笑)

時間:13時~17時半
定員:10名
参加費:2500円 (2つの展覧会の鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
http://arc-tour.org/mail.html



いずれのツアーも、皆様のご参加を心よりお待ちしております!!

明治150年記念 華ひらく皇室文化

$
0
0
平成も残すところ、あとわずか。
皇室への注目度が1.5倍 (当社比) アップ中の今、
この絶好のタイミングで、泉屋博古館分館で開催されているのは、
"明治150年記念 華ひらく皇室文化 ―明治宮廷を彩る技と美―" という特別展です。




展覧会は、大きく分けて2つのパートに分かれています。
1つは、皇室 (帝室) が、技芸、つまり美術の制作活動を奨励する制度、
「帝室技芸員」 制度にスポットを当て、帝室技芸員に任命された作家の作品を紹介するパート。
世界にもその名を轟かす漆芸家・柴田是真や、


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


無線七宝という独自の技術を極めた濤川惣助といった、




超絶技巧界のレジェンドたちの作品が数多く紹介されています。




その中でも特に見逃せないのは、板谷波山の傑作 《葆光彩磁珍果文花瓶》
2002年に近現代陶芸作品として初めて重要文化財の指定を受けた作品です。


重要文化財 板谷波山 《葆光彩磁珍果文花瓶》(通期展示) 大正6年 (1917) 泉屋博古館分館蔵


そんな歴史的名品を、住友家15代目当主・住友春翠は、
当時としては、破格も破格の1800円で購入したのだとか!
(この当時、エリート大卒の初任給が約50円)
皇室の文化もさることながら、住友家の文化も華ひらいています。

ちなみに、近代陶芸の巨匠として知られる板谷波山ですが、
実は、東京美術学校時代は、高村光雲らのもとで彫刻を学んでいました。
会場には、波山の貴重な彫刻家時代の木彫作品も出展されています。




高橋由一の 《鮭》 と比べても遜色ないリアルな鮭です。
・・・・・が、頭の部分だけ。
胴体を作る余力はなかったのかもしれませんね。


さてさて、展覧会のもう一つの柱となるのが、華やかな皇室文化を紹介するパート。
宮中晩餐会で実際に使われたドレスや、




テーブルウェアなどが紹介されています。




さすがに皇室のテーブルウェアともなると、
たかが、エッグスタンドでさえも豪華絢爛でした。
庶民には想像もつかない世界です。




明治宮殿正餐用の 《金彩桐御紋パルメット紋チュリーン》 にいたっては・・・




どのように使うものなのか、全く想像がつきません (笑)
何、チュリーンって??
(調べたら、蓋付きのボウルのことでした)
改めて、皇室の人々とは住む世界や文化が違うということを実感させられました。

さてさて、こちらの展示空間でひときわ目を惹くのが、ズラリと並んだボンボニエール。




ボンボニエールとは、皇室で行われる儀式や婚礼などのお祝い行事で、
列席者に記念品として贈られる金平糖や干菓子といった菓子を入れるケースのこと。
先日の宮中茶会で高須院長や浅田真央ちゃんが貰っていたアレです。
展示ケースの中には、明治天皇大婚25年祝典の際のボンボニエールから、




今上天皇の即位記念のボンボニエールまで。




貴重なボンボニエールが大集結していました。
一口にボンボニエールといっても種類は様々。
基本的には、純銀製なのですが、中には陶製や蒔絵のタイプのボンボニエールもあります。




他にも、モチーフが独創的なタイプや、




「お菓子を入れるスペースが少なくね?」 なボンボニエールも。




一生もらう機会がないので、
しっかりとこの目にボンボニエールを焼き付けておきました。
星星
また、会場には、「ヒゲの殿下」として親しまれた、
三笠宮寛仁さまの長女・彬子さまの成年式のボンボニエールも展示されていました。




雪文があしらわれたボンボニエールです。
『アナと雪の女王』 の関連グッズかと思うくらいに可愛らしいデザイン。
ボンボニエールという伝統は受け継ぎつつ、
時代に合わせて、そのスタイルは進化しているのですね。


ちなみに。
今回一番印象に残ったのは、ある日の鹿鳴館の夜会のメニューです。




羹汁の雉子肉合製から始まって、
魚肉、獣肉、鳥肉、獣肉、蔬菜といいつつ洋豚、鳥肉・・・

肉ばっかじゃねーか!!

やはり庶民の食生活とは違います。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR

$
0
0
現在、21_21 DESIGN SIGHTでは、
‟ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR” が開催されています。




今なお第一線で活躍する世界的アートディレクター浅葉克己さんが、
コミュニケーションにおける大切な感性である 『ユーモア』 をテーマにディレクションした展覧会です。


(↑中国服スタイルの浅葉さん人形が会場入り口でお出迎えしてくれますw)


「プププッ!」 と笑えるものから、「クスッ」 となるものまで、
浅葉さんがユーモアのシンパシーを感じている国内外のアーティストの作品が一堂に会しています。
そんな会場内は・・・・・




いい意味で、カオス!
まるで浅葉さんの脳みその中身を、
そのままぶちまけたような空間となっていました。


画家でもあり漫画家でもあり、独特の世界観が持ち味の立石大河亞 (タイガー立石) や、




じわじわツボる映像作品で知られるイギリス人の2人組ジョン・ウッド&ポール・ハリソン、




ユーモラスでのほほんとしたタッチでお馴染みのイラストレーター和田誠さんなど、




30名 (組) を超えるアーティストの作品が紹介されていましたが、
浅葉さんが特にフィーチャーしていたのが、"日本のエッシャー" こと福田繁雄。
展覧会場のいたるところに、福田作品が設置されていました。




もはや、福田繁雄とゆかいな仲間たち状態です。
そんな数ある福田作品の中で、特にインパクトがあるのが、こちらの作品。




手前にある黒い謎のオブジェが何なのか、一瞬理解に苦しみます。
しかし、奥にある鏡に目を向けると・・・・・あら不思議!
ある一点から見ると、鏡像がグランドピアノの姿をしているではないですか?!
I understand.
なお、作品タイトルは、《アンダーグランドピアノ》 です。

それと、個人的にお気に入りの福田作品は、《ネテレビ》




テレビが平行四辺形になっている。
ただそれだけなのに、何度目にしても不思議な違和感を覚えてしまいました。
実際に、作品が目の前にあるにも関わらず、
まるで目が錯覚を起こしているような気がしてならないのです。
ちなみに、モニターの画面には、「しばらくお待ちください」 の文字。
当然ですが、しばらく待ってみても、何も起こりませんでした (笑)


福田作品以外でお気に入りなのは、
デザイン界の巨匠ロン・アラッドによる新作 《Where Are My Glasses?》 シリーズ。




直訳すると、「私の眼鏡はどこにありますか?」。
意訳すれば、「メガネ、メガネ・・・」 といったところでしょうか (笑)
普通のメガネは、フレームにガラスを嵌め込みますが、
このシリーズでは、逆に、ガラスにフレームを嵌め込んでいます。
実にナンセンスな作品でした。


さてさて、ユーモアある作品以外にも、
「ユーモア」 がテーマの展覧会だけに、会場のあちこちにユーモアが散りばめられています。
例えば、展示台の下が猫足になっていたり、




卓球好きの浅葉さんにちなんで展示台の下にピンポン玉が挟まっていたり (それも大量に!)




21_21 DESIGN SIGHTの中庭が石庭に様変わりしていたり (どうやらトンボで整地した模様w)




他にも、いろんな仕掛けが施されているので、
是非、ユーモアの感度をフルスロットルにした状態でお楽しみくださいませ。
「ユーモアをユーモアと思えるあなたの心がユーモア」 なのですから。
星星


ちなみに、会場にはこんなユーモアもありました。




☝こちらは、今回最年少の出展作家、
現在、高校1年生の上野真未さんによる 《巨豚がキョトン》 という作品。
浅葉さんが審査委員長を務める日本高校生デザイングランプリで、グランプリを受賞した作品です。
そんな未来ある若者の作品のすぐ近くに、こんな作品が飾られていました。




確信犯。
この手のユーモアは、ノーモアです (笑)




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

ラファエル前派の軌跡展

$
0
0
イギリスと縁の深い三菱一号館美術館で、現在、開催されているのは、
イギリス美術をテーマにした "ラスキン生誕200年記念 ラファエル前派の軌跡展" という展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


ラスキンと聞いて、"イギリスの清掃会社?" と、思われた方もいらっしゃるかもしれませんが。
ラスキンは、会社名ではなく、人名。
「ヴィクトリア朝きっての美術批評家」 と称された人物です。


ジョン・エヴァレット・ミレイ 《ジョン・ラスキンの肖像》 1853年、鉛筆、水彩、33.6×26 cm、
ラスキン財団(ランカスター大学ラスキン・ライブラリー) ©Ruskin Foundation (Ruskin Library, Lancaster University)



その彼が精神的な指導者の役割を果たしたのが、
19世紀のイギリスで活躍した前衛芸術家集団・ラファエル前派同盟。
当時の保守的でアカデミックな美術界に、
反逆の狼煙をあげた若い画学生7人からなるロックな集団です。
ちなみに、ラファエルとは、ルネサンスの巨匠ラファエロのこと。
イギリスの美術界が保守的なのもつまらないのも、
当時のアカデミー絵画のお手本であった "ぜんぶラファエロのせいだ。" と考えたメンバーらは、

「ラファエロよりも以前の時代の絵画に立ち返ろうぜ!」

という意味を込めて、ラファエル前派と名乗りました。
ラファエロは、とばっちりでディスられたようなものです。


今回の展覧会には、そんなラファエル前派の画家たちの名品たちが本場イギリスから来日。
保存の観点から公開される機会が少ない貴重な作品が、惜しげもなく公開されています!




それに加えて、ラファエル前派の第二世代に当たり、
2012年に三菱一号館美術館で大々的な個展が開催されたバーン=ジョーンズ、




その親友であり、アーツ・アンド・クラフツ運動を主導したウィリアム・モリス、




さらに展覧会の冒頭では、若きラスキンが批評家を目指すきっかけとなったターナーの作品も。




ターナーも、ラファエル前派も、アーツ・アンド・クラフツ運動も。
どれも日本では定期的に展覧会が開催される人気コンテンツです。
それらが、すべてまとめて楽しめてしまうイギリス美術の美味しいとこどりのような展覧会。
星星
ラファエル前派の軌跡を辿る展覧会にして、奇跡の展覧会です。


さてさて、見どころはたくさんありましたが。
特に印象に残った作品をいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、ラファエル前派の中心メンバーで、
ついつい 「ロセッティー!!」 と叫びたくなる (←僕だけ?) 彼の作品から。


ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ 《ウェヌス・ウェルティコルディア(魔性のヴィーナス)》1863-68年頃、
油彩/カンヴァス、83.8×71.2 cm、ラッセル=コーツ美術館 ©Russell-Cotes Art Gallery & Museum, Bournemouth



今展のメインビジュアルにも使われている作品です。
全体的には、確かに華やかなのですが、顔をよーく見ていると、
輪郭が歪んでいるような、目が離れているような、首が太いような、小顔過ぎるような・・・
写真を修整していたら、逆に違和感ありありになってしまった。
そんな印象を受けました。
そう感じたのは僕だけかと思いきや、
ラスキンもこの絵に対して、手紙でロセッティにダメ出しをしていたそう。
「花々は写実的なんだけどさ・・・うん・・・おそろしく粗雑だよね」
ただ、ロセッティの名誉のために言っておきますが、この他の作品は良かったですよ。

ちなみに、今展には、ラスキン自身が、
誰に見せるともなく描いていたという絵画もまとめて紹介されています。





美術評論家なんて、口だけの職業かと思っていましたが。
いやはや、普通に絵が巧かったです。
ロセッティへのダメ出しにも説得力がありました。

続いて、ラファエル前派のもう一人の中心メンバー、ジョン・エヴァレット・ミレイの作品。


ジョン・エヴァレット・ミレイ 《滝》 1853年、油彩/板、23.7×33.5 cm、
デラウェア美術館、サミュエル&メアリ・R・バンクロフト・メモリアル、1935年
©Delaware Art Museum, Samuel and Mary R. Bancroft Memorial, 1935



一瞬、8K映像のモニターが壁に掛けられているのかと、
錯覚してしまったくらいに、写実的で美しい色彩の作品です。
川の流れがリアルに感じられるほど。
タイトルは、《滝》 とのことですが、滝は一体どこに?
画面左に少し見切れているのが、滝なのか。
ちなみに、画面右の女性はラスキンの妻エフィ。
ミレイはエフィに対して、「今までこんな素敵な女性を見たことがない」 という言葉を残しています。
そういう意味での "フォール" なのかもしれません。


色恋沙汰がちょくちょく絡んでくるのが、ラファエル前派。
こちらのウィリアム・ホルマン・ハントの 《甘美なる無為》 という作品も、その例に漏れぬ一枚です。


ウィリアム・ホルマン・ハント 《甘美なる無為》 1866年、油彩/カンヴァス、101×81.2㎝
個人蔵(リヴァプール、ウォーカー・アート・ギャラリーに寄託)



もともとは、ハントの恋人であったアニー・ミラーなる女性だったそう。
しかし、辛辣な破局 (←どういう破局だよ) を迎えたため作品の制作は中断。
その数年後に、ハントと結婚したファニー・ウォーをモデルにして制作が再開されたのだとか。
左手には婚約指輪が嵌められていますが、その手のモデルは元カノだった可能性も・・・。
いや、元カノとの思い出の品を処分しろよ。
ちなみに、顔は何となく池上季実子に似ている気がします。


最後に紹介したいのは、バーン=ジョーンズの 《慈悲深き騎士》 です。


エドワード・バーン=ジョーンズ 《慈悲深き騎士》 1863年、水彩、ボディカラー、アラビアゴム、101.4×58.6 cm、バーミンガム美術館
©Birmingham Museums Trust on behalf of Birmingham City Council



とあるフィレンツェの騎士が、自分の兄弟を殺した男に復讐できる機会を得る。
しかし、彼はその男を赦し、さらには友情の手を差し伸べさえした。
そんな慈悲深き彼が木彫りのキリスト像の前で祈りを捧げていると、なんということでしょう!
木彫りの像が身をかがめ、彼を抱擁したのです。

・・・・・・・・・・・・・。

キリストの体勢がキツそうだから、もっと近づいてやれよ!




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

特別展「大哺乳類展2ーみんなの生き残り作戦」

$
0
0
2010年に国立科学博物館で開催され、
大好評だった "大哺乳類展" から、早9年―。
全哺乳類待望 (?) となる続編、
"特別展「大哺乳類展2ーみんなの生き残り作戦」" が、ついにスタートしました。


特別展 「大哺乳類展2」 ポスタービジュアル


映画でもなんでも、パート2は、
たいてい、パート1よりも面白くないものです (※個人の感想です)。
パート1が面白かっただけに、
「続編は・・・」 ということにならないか、若干不安だったのですが、杞憂に終わりました。
確実に、前回の展覧会よりパワーアップしています。
展示されている剥製や骨格標本は、圧倒的ボリュームの500点以上!
さらに、「生き残り作戦」 という切り口のおかげで、
それぞれの哺乳類の生態や戦略を、より深く学ぶことが出来ます。

個人的には、フィットネスを日課にしていることもあり、
哺乳類のロコモーション (=移動運動) を紹介するコーナーに興味津々でした。





なるほど。こういう風に歩けば、着地の時に負担がかからないのか!
あー、こうやって走ると、エネルギーの消費を抑えられるわけか!
どのフォームも、ちゃんと理に適っています。
哺乳類たちは、これらの動きを自然とマスターできるわけですよね。
何度もトレーナーにフォームを注意される僕とは大違いです。

ちなみに、最速で移動できる哺乳類は、やはりチーターとのこと。




なんと秒速29メートル!
風に例えたら、暴風に匹敵する速さです。
しかも、ハンティング中に方向転換も可能なのだとか。


チーターの疾走中の骨格変化の再現 ©Animal System Physiology,Yamaguchi Uni.(Prof.Wada)


もし、この動きをマスター出来たなら、
100m走で9秒を切るのも夢ではないかもしれません。


他にも会場では、「食べる」 や、





「産む・育てる」 といった、




哺乳類のさまざまな "生き残り作戦" が紹介されています。
当たり前ですが、どの哺乳類も生きるのに必死。
みんな頑張っているんだなぁ。
生きるのに必死になれない哺乳類なんて、間違いなくヒトくらいなものでしょう。
そういう意味で、単に動物好きなヒトだけでなく、
今、いろいろ悩んでいるヒトにもオススメしたい展覧会です。
星星
きっと生きる元気がもらえるはず。


ちなみに、今展のハイライトはなんといっても、
哺乳類の剝製標本150点以上を一堂に展示した 「動物大行進」 のコーナーです。





圧巻も圧巻です。
ディズ●ーランドのパレード並みに心躍るものがありました。
どのキャラクター (哺乳類) も、実に可愛らしかったですが、





特に何枚も写真を撮ってしまったのは、ラッコの親子です。




完全に胸を射貫かれました。
キュートにもほどがあります。
(「ところで、このラッコはどうやって行進しているの?」 という野暮な質問はNGです)

それと、約150体の剥製の中に、
村上ショージ似の哺乳類が混じっていました。
ドゥーン!


(シラガマーモットという名前なのだそう)


また、ウシやシカの仲間が整列したコーナーも圧巻でした。




シカとウシ。
今日の今日まで、その違いは体型にあるのかと思っていたのですが。
(スレンダーなのがシカ。ずんぐりしているのがウシ。)
その違いは、角にあるのだとか。
角が枝分かれしているのがシカ。枝分かれしていないのがウシなのだそうです。




なので、分類上、カモシカはウシとのこと。
ややこしや。


さらに圧巻だったのが、天井から吊るされたマッコウクジラ。




発泡スチロール製のただの模型かと思いきや、反対に回ってみると・・・




マッコウクジラの全身骨格がお目見え!
もちろん実物です。
左半分と右半分で、全く違う姿。
清水アキラの一人二役モノマネを彷彿とさせる模型です。
ちなみに、大哺乳類展パート1では、
マッコウクジラの頭部だけが展示されていたそう。
やはり、パート2はパワーアップしています。


さてさて、圧巻と言えば、
展覧会本編に負けず劣らず、お土産コーナーも圧巻の品揃えでした (笑)





あらゆる哺乳類の中で、もっとも物欲が強い哺乳類はヒト。
そんなことを実感を持って学べるコーナーです。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ
Viewing all 5005 articles
Browse latest View live