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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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Film:46 『天才画家ダリ 愛と激情の青春』

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■天才画家ダリ 愛と激情の青春

  監督:ポール・モリソン
  出演:ロバート・パティンソン、ハビエル・ベルトラン他
  2008年/イギリス・スペイン/112分

1922年、マドリード。
サン・フェルナンド王立美術学校に入学した青年サルバドールはそこで、
詩人のフェデリコ・ガルシア・ロルカや映画監督志望のルイス・ブニュエルと出会い、友情を育んでいく。
やがて、フェデリコとサルバドールは互いに友情以上の感情を抱くようになり……。
(「映画.com」より)


「そのタイトルから、天才画家ダリを主役にした映画かとばかり思っていたのですが・・・。
 蓋を開けてみれば、主人公は、ダリではなく、
 詩人のフェデリコ・ガルシア・ロルカのほうでした。
 スペインでは有名な詩人だそうですが、日本ではほとんど知名度なし。
 それゆえ、ダリの名前を前面に押し出した邦題にしたのでしょう。
 ちなみに、原題は・・・

 


 『Little Ashes』 (=小さな灰)。
 これは、劇中にも登場する、ロルカが名付けられたダリの絵の題名です。




 まぁ、確かに、『小さな灰』 よりは、
 『天才画家ダリ 愛と激情の青春』 のほうが観たくなりますけれども。
 若干騙された気分は否めません。
 ダリ好きをひっかけるためのダリダリ詐欺です。

 騙されたといえば、映画の内容も。
 ダリが登場することから、芸術映画かとばかり思っていたのですが・・・。
 蓋を開けてみれば、ロルカとダリの恋模様を描いた恋愛映画でした。
 2人の恋は、唐突に始まります。
 さっきまでは青春映画だったのに、次のシーンでは恋愛モードに突入。
 しかも、両想い。
 展開が早すぎて、ついていけません。
 
 おまけに、恋愛シーンが、もはやコントのよう。
 例えば、女性と歩くロルカの姿を見かけ、
 居ても立っても居られなくなったダリが尾行するシーン。
 動きが大げさすぎて、ほとんどMr.ビーンでした。
 それから、夜の海で上半身裸の2人が、
 泳ぎながら、手を取り合って、最後にはキスするシーン。
 ほとんどBLコントでした。
 

 さてさて、何よりも気になったのは、
 そもそも、ダリが同性愛者だったのかということ。
 ロルカ自身は、同性愛者であることは知られているようですが、
 ダリに関しては、同性愛のエピソードは聞いたことがありません。
 映画のラストには、こんな一文が登場します。

 「ロルカの死後に沈黙を通したダリが、
  死の直前になって語ったロルカとの思い出話から着想を得て作られた作品である」


 調べてみると、確かにダリは晩年、ロルカとの想い出を語っているようです。
 とはいえ、映画のニュアンスとは、かなり異なります。

 「彼は狂ったように私に恋していた。私は尻を二度狙われた」

 この発言だけ聞くと、ロルカの一方通行、
 それも、かなり激しい一方通行のような気が・・・。
 “狙われた” って、完全に被害者目線です。
 
 もしかしたら、ダリが同性愛者だった可能性もなくはないのでしょうが。
 フィクションだけで、これほどまでに具体的な同性愛エピソードを作り上げてしまうだなんて。
 フェイクニュースならぬ、フェイクムービー。
 下手なホラー映画よりも、よっぽどホラーでした。


 ちなみに。
 2人が恋に落ちるシーンも唐突でしたが、破局も唐突。 
 さらに、いきなり8年が経過し、久しぶりに登場したダリが、
 それまでのナイーブな青年から、僕らがよく知るヒゲを生やした奇天烈な姿に様変わり。
 例によって、その間の説明は、ほとんどありませんでした。
 映画内の時間の進み方が、グニャグニャ。
 さすが、ダリの映画だけはあります。
 スター 半分星 ほし ほし ほし (星1.5つ)」

~映画に登場する名作~

《アンダルシアの犬》






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トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美

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今年2019年は、「トルコ文化年」。
それを記念して、この春、国立新美術館では、
"トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美" が開催されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


15世紀から19世紀にかけて、オスマン帝国の宮殿として使われたトプカプ宮殿。
現在では、トルコ国立の博物館として、
9万点近い膨大なコレクションと、美しい宮殿建築とで人気を博しています。
そんなトプカプ宮殿博物館から、選りすぐりの至宝約170点が来日。
しかも、そのほぼすべてが初来日となっています。

この展覧会に合わせて、国立新美術館の展示室内は、トルコの宮殿モードにガラリと大変身!




もし、目隠しされて連れてこられたなら、
ここが国立新美術館だとは、思いもしないことでしょう。
と、会場の雰囲気だけでも、十分にテンションがあがりますが。
オスマン帝国の君主である歴代のスルタンが、
その贅を尽くした至宝の数々にもテンションがあがること間違いなし。
《スルタン・メフメト4世の宝飾短剣》 や、


《スルタン・メフメト4世の宝飾短剣》 1664年頃 トプカプ宮殿博物館蔵


《宝飾手鏡》 など、


《宝飾手鏡》 16世紀末 トプカプ宮殿博物館蔵


どれもこれもが豪華絢爛で、
見ているだけで、思わずうっとりさせられることでしょう。
ちなみに、とりわけ多くの人が目を奪われていたのが、こちらの至宝。



《儀式用宝飾水筒》 16世紀後半 トプカプ宮殿博物館蔵


金にエメラルドにルビーに真珠に。
見るからにゴージャスなコレの正体は、なんと携帯用の水筒とのこと。
これ1つで、一体いくつの象印マホービンが買えるのでしょうか・・・?
他にも、金やエメラルドやルビーで飾られた筆箱や、
象牙やべっ甲で装飾されたハシゴなどが紹介されていました。
さすが約600年間も繁栄を誇ったオスマン帝国です。


さてさて、展覧会では、実にさまざまな至宝が紹介されていますが、
それらの多くに共通して、あるモチーフが施されていることに気づかされるはず。
これらのお皿にも、




こちらの儀式用のカフタン (=トルコの伝統的な衣装) にも、




さらに意外なところでは、武器にも。




そう。そのモチーフとは、チューリップ。
チューリップというと、オランダのイメージが強かったのですが。
実は、その原産地は、オスマン帝国の領内とのこと。
さらに、トルコ語でチューリップは、「ラ一レ」。
そのアラビア文字のスペルをアナグラムの要領で、
並べ変えると、イスラム教の神を表す 「アッラー」 という言葉になるのだとか。
そして、アラビア文字で表記されたラ一レを、
逆から読むと、トルコ国旗のシンボルでもある三日月 「ヒラール」 という言葉になるのだそう。
つまり、トルコ人にとって、チューリップは国民的な花なのです。
(↑若干、Mr.都市伝説・関暁夫ばりのこじつけっぽいところもありましたが)
ともあれ、日本人が桜を愛するように、トルコ人はチューリップを愛しているそうです。

ちなみに、こちらのケースにズラッと並んでいるのは、チューリップ用の花瓶。




チューリップ畑だけではなく、
一輪挿しでも愛でて楽しんでいたのですね。
なお、頸が長いのは、花が垂れるのを防ぐためなのだそうです。


知ってるようでいて、実はほとんど何も知らないトルコ。
その文化にたっぷりと触れられる貴重な機会でした。
星星
この展覧会を通じて、急激にトルコに興味が湧いてきました。
トプカプ。スルタン。カフタン。
なんだかポケモンの新種のような可愛らしい名前が多かったことにも、興味津々です。
トルコ語を少し勉強してみたくなりました。


最後に、今回の展覧会で一番驚いた作品を。




豪華絢爛な 《宝飾兜》 です。
「中央部分に付いてるのは、スプーンかな(笑)?」 と冗談で思ったら、まさかまさかの大正解。
スルタンから食事を振舞われた際に、取り外してスプーンとして使うのだそうです。
・・・・・いやいや、だとしても、何も兜のセンターに取り付けなくても!
持ち運びに適したところは、他にもいろいろあるでしょうに。




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美術愛住館一周年記念 アンドリュー・ワイエス展

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女性の洋画家として初の日本芸術会員となった、
池口史子 (ちかこ) さんの作品を中心に近現代の優れた洋画を企画展示する美術館、美術愛住館。
今月3月で、開館1周年を迎える運びとなりました (←おめでとうございます!)。
それを記念して、現在開催されているのは、
”美術愛住館一周年記念 アンドリュー・ワイエス展” という展覧会です。




アメリカの国民的画家で、日本でも人気の高いアンドリュー・ワイエス (1917~2009)。
そのワイエスが、およそ30年に渡って描き続けたのが、
アメリカ・メイン州の海辺の丘に住むクリスティーナとアルヴァロの姉弟と、
その姉妹愛の住処ともいうべき、オルソン・ハウスと呼ばれる古くて大きな家でした。
それら一連の作品は、〈オルソン・ハウス〉 シリーズと呼ばれ、
ワイエスの作品の中でも、非常に人気の高いものになっています。
ワイエスの代表作にして、20世紀アメリカ美術の最高傑作とも称される・・・




《クリスティーナの世界》 も、その一つ。
クリスティーナの目線の先にあるのが、オルソン・ハウスです。

そんな 〈オルソン・ハウス〉 シリーズの習作を多く含む、
世界的なワイエスコレクションを所蔵している施設が、なんとここ日本に存在しています。
それも、今何かと話題の埼玉県に!
その施設の名は、丸沼芸術の森。
株式会社丸沼倉庫の社長でもある須崎勝茂氏によって、
1980年代前半に設立された若いアーティストを支援するための施設です。
ちなみに、あの村上隆氏も、丸沼芸術の森から巣立った一人なのだとか。

今回の一周年記念展では、丸沼芸術の森が所蔵する、
貴重なワイエスコレクションの中から選りすぐられた素描や水彩画約40点が公開されています。
オルソン・ハウスの外観を描いたものもあれば、


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


オルソン・ハウスの内部を描いたもの、




オルソン・ハウスで生活をするクリスティーナとアルヴァロをモデルにしたものも。




もちろん、《クリスティーナの世界》 の習作群も紹介されています。




"なんだ、習作が多いのかァ・・・"

と、展覧会に興味を失ってしまった方がいらっしゃるかもしれませんが。
ワイエスは、1点の作品を描くのに、何枚何十枚と習作を残した画家。
それだけ1点の作品に試行錯誤を繰り返した画家なのです。
それゆえ、ワイエスの習作からは、
作品の制作過程や、ワイエスの生々しい感情が伝わってきます。
星星
いや、実際、とある素描作品には、
作品が売れた際の金額メモが、ワイエスの直筆で残っていました (笑)
おそらく、よっぽど嬉しかったのでしょう。


そうそう、会場には、精巧に作られたオルソン・ハウスの模型も展示されていました。




"《クリスティーナの世界》 は、この視点から描かれたんだな。
 なるほど。あの作品は、この角度から見たオルソン・ハウスだったのか!"

といった感じで楽しむことができます。
たかが建築模型と侮るなかれ。
模型とは言え、いぶし銀のベテランの俳優ばりの渋い魅力がありました。
どの角度から見ても、画になります。
模型でこのオーラなのですから、きっと実物のオルソン・ハウスはもっと渋いのでしょう。
いつか実際に訪れてみたくなりました。
あぁ、アメリカに行きたい。
今の僕は、DA PUMPばりにアメリカに恋焦がれています。




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ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュ

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箱のアーティストこと、ジョゼフ・コーネル (1903~1972)。
古書店や骨董品店で見つけたお気に入りの小物、雑誌や本の切り抜きといったものを、
オリジナルの木箱におさめた 「箱」 の作品で知られる20世紀アメリカのアーティストです。
また、あの草間彌生さんのパートナーだったことでも知られています。
そのコーネルの作品を、おそらく日本で最も所蔵している美術館が、DIC川村記念美術館。
マーク・ロスコやフランク・ステラと同じくらいに、
DIC川村記念美術館コレクションにとって、コーネルは重要な作家の一人です。
まさに箱入り娘ならぬ、箱入り “箱のアーティスト” といったところでしょうか。

さてさて、この春、DIC川村記念美術館では、
8年ぶり3度目となるコーネルの展覧会が開催されています。
その名も、“ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュ”


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


展覧会の見どころは何と言っても、
コーネルの箱作品が一堂に会した展示空間でしょう。





日本各地の美術館や個人が所蔵するコーネル作品が、
一つの箱 (=会場) におさまった実に贅沢な空間です。
右を見てもコーネル。左を見てもコーネル。
コーネルのファンの僕にとっては、まさに夢のような光景でした。
もちろん空間だけでなく、コーネルの箱作品そのものも素晴らしかったです。
初見のものが大半だったので、「箱の中身は何だろな?」 とばかりに、
1点1点じっくり鑑賞していたら、あっという間に数十分が経過していました。
玉手箱を開けた浦島太郎状態です。

また、今回の展示では、普段あまりお目にかかれない箱作品のバックショットも拝見できます。
初期の箱作品に関しては、特に何の変哲もないただの箱でしたが、
箱作品の制作を重ねるにつれ、コーネルの意識は、箱の外側にも向かっていったようです。





コーネル作品の裏側は、web上や画集で紹介されることは、ほとんどありません。
なので、会場で実物と出会って初めて、その裏側の姿を見ることができます。
皆様も是非この激レアな機会に、箱の裏側を自身の目に焼き付けてみてはいかがでしょうか?


また、今回のコーネル展には、他にも激レア要素が多数あります。
箱作品を手掛ける前の初期のコラージュ作品や、




神経質で引きこもりという従来のコーネルのイメージを覆す友人たちと交わした手紙の数々、
(その中には、マルセル・デュシャンとの手紙も!)




さらには、日本では上映機会の少ない映像作品が紹介されているのです。




コーネルが映像作品を制作していたとは!
なんとも意外な印象を受けましたが、映像作品を実際に観てみて、なるほどと納得。
ハリウッド映画など既存の映像を切り貼りして繋げたり、
思わぬところで一時停止させてみたり、逆回転させてみたり。
映像版のコラージュ作品といったところ。
コーネルらしさが存分に発揮された映像作品でした。


平面のコラージュ作品にはじまり、
その後、コラージュを立体的にしたかのような箱の作品で独自のスタイルを確立。
さらに、それと並行して、映像のコラージュ作品を制作していた。
「箱のアーティスト」 という従来のコーネル像が、
「コラージュのアーティスト」 へと一新される展覧会です。
星星


ちなみに。
コーネルのコラージュのアーティストぶりは、日記でも遺憾なく発揮されています。




ちょっと何言ってるかわかりません (笑)
何度読んでみても、内容がまったく理解できませんでした。
日記というよりも、詩や文章のコラージュのよう。
普段から、こういう人だったのですね。




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素晴らしきミュージアムショップの世界 商品番号124

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本日ご紹介するのは、科博で絶賛開催中の展覧会、
“大哺乳類展2” のおみやげコーナーで発見したこちらのグッズです。

image


マジックアニマル HEDGEHOG (ハリネズミ)
なんでも不思議なクリスタルが、わずか1日でニョキニョキと成長するのだそうです。

さてさて、高倉健に匹敵するレベルで不器用な僕。
過去に、何度となく、このシリーズで持ち前の不器用さを発揮してきました。
(例:商品番号108商品番号117
商品のパッケージには、「対象年齢10歳以上」 とありますが、
果たして、36歳になったばかりの大人の僕は、上手く作ることができるのでしょうか。

早速、箱から中身を取り出します。




まずは、もし職質でカバンの中から出てきたら、
言い逃れでき無さそうな怪しげな袋に入った怪しげな青い粉をケースに投入。





その上から熱湯を注ぎ、どう見てもアイスの棒にしか見えない付属のマドラーで、よくかき混ぜます。




かき混ぜが甘くて失敗したなんてことが無いように、
念には念を入れ、ねるねるねるねを混ぜるように、5分以上、かき混ぜました。




ケースの蓋を閉めて、約1時間。
程よく冷めたところで、ハリネズミ君の登場。




絵的には、なんだか残酷な感じがしますが、
青い怪しげな液体の中に、ハリネズミを沈めます。




「I'll be back.」
そんな彼の心のアテレコしながら、ゆっくりと沈めていきました。
ダダンダンダダン。

ちなみに、沈め終わったと思ったその瞬間に、懸念していた不器用さが発動。
なぜか、ハリネズミの頭と胴体が取れてしまいました。
慌てて、液体の中に手を突っ込んで、一旦取り出します。
体をくっつけて、再び液体の中へ沈めます。
その際に、液体がケースの外に大量に飛び散ってしまい、チェストの上が悲惨なことに。。。




必死に拭きましたが、
青いシミが広範囲で残ってしまいました。
あーぁ。
その日はふて寝です。


そして、翌日。
”さ~て、どれくらい成長してるのかな?” と、
ウキウキしながら、ハリネズミのもとへ向かいました。




が、まったく変化なし!

順調に成長していれば、ハリネズミの針の部分が水面に到達するそうなのですが。
水位が下がっている気配はありません。
とは言え、注意書きには、条件によっては数日かかると記載されています。
というわけで、気長に成長を待つことに。
1日が過ぎ、2日が過ぎ、そして、7日が過ぎ・・・。




変化しろよ!

「変わらないものなんて何ひとつない」 と誰かが言っていましたが。
そんなことはないです。
コレです。コレがその ”変わらないもの” というヤツです。

実際は、このYouTube動画で紹介されているように、ハリネズミが育っていくとのこと。




もしかしたら、水位こそ下がっていないものの、
この液体の中でハリネズミが成長を遂げているのかもしれません。
そこで、液体を捨て、救出することにしました。
すると、予想だにしなかった姿が現れたのです!




どこに針が生えてんねん!!

ハリネズミの胴体ではなく、
ケースの底にビッシリと針が生えていました。




まさに、マジック。




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国立歴史民俗博物館 総合展示第1展示室「先史・古代」

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先日3月19日。
国立歴史民俗博物館の総合展示第1展示室が、リニューアルオープンしました。




第1展示室がリニューアルされるのは、1983年の開館以来はじめてとのこと。
実に36年ぶりの大々的なリニューアルです。
それに伴い、名称も 「原始・古代」 から 「先史・古代」 へと変更。
展示内容も、近年の調査成果をふまえて、大きく様変わりしたそうです。

すでにリニューアルされていた他の展示室と比べると、
総合展示第1展示室は、やはり古臭い印象がありましたが。
今回のリニューアルによって、その印象は一新!
スッキリ見やすい展示空間へと変身を遂げていました。





さてさて、今回のリニューアルで、
まず何より驚かされたのは、会場に入っていきなり出会うこの光景。




実物大のナウマンゾウの模型が設置されていました。
「どこまで遡るねん!!」
あまりにも壮大すぎる歴史観に、思わず関西弁でツッコんでしまいました (笑)

さらに驚かされたのが、先史・古代人の復元模型のリアルさ。




今にも動き出しそうなくらいに、精巧に作られています。
正直なところ、ここまで頑張らなくてもいいのに、と思うほどのクオリティ。
国立歴史民俗博物館の本気ぶりが伝わってきます。
ちなみに、旧石器時代の落とし穴を紹介する展示に関しては、




目に飛び込んできた瞬間に、展示ケースの上に、
「うわっ、なんかヤベー人がいる!」 と、本気でビビってしまいました。
(↑千葉にはヤンキーが多いので、こういうシチュエーションもなくはない)

それから、縄文人と弥生人を比べたこの展示も、なかなかにシュールで怖かったです。





なんだか売れない女芸人コンビのよう。
きっとコンビ名が、「弥生と縄文」 なのでしょうね。
Instagramとかナイトプールとか、
今どきの流行についていけないことを自虐するネタをやっていそうです。


怖い復元模型ばかりを紹介していますが、
中には、可愛らしい復元模型もありました。




↑上の画像内に展示されているのは、
歴史の教科書やレキシの名曲 『狩りから稲作へ』 でもお馴染みの高床式倉庫とねずみ返し。




その復元模型にネズミと、そのネズミを退治するイエネコも再現されていました。
なんという芸の細かさ。




ちなみに、今回リニューアルを担当された方は、
よほど猫とネズミのやり取りがお好きなのでしょう。
羅城門の再現模型にも・・・・・





ちゃっかり猫とネズミがいました。
模型が小さすぎて見えないレベルですが。
ちゃんとその姿を確認するには、ハズキルーペが必要です。


個人的には、今回のリニューアルは、大成功だったように思えます。
ベテランの風格が漂っていた国立歴史民俗博物館が、
リフレッシュし、いい意味で若返ったような気がしました。
星
これからの国立歴史民俗博物館に期待が高まります。


ただ一つ残念だったのは、展示品の多くが他館の所蔵品のレプリカであること。
(これに関しては、リニューアル前からそうですし、
 歴史民俗を伝えるミュージアムなので、仕方ない部分もあるのですが。。。)

ちなみに、レプリカではありますが、特に魅力的だったものベスト3を。

第3位  感情ゼロのしゃくれ 《土面》




第2位  赤塚不二夫感が滲み出ている (?) 《異形土偶》




第1位  何をどう呪うというのか謎すぎる 《呪いの人形》




これらのLINEスタンプを作ったら、意外と売れるのでは?
それくらいのナイスキャラ。
レプリカでなく、いつか実物を目にしたいものです。




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吉田謙吉と12坪の家-劇的空間の秘密-

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現在、LIXILギャラリーで開催されているのは、
"吉田謙吉と12坪の家-劇的空間の秘密-" という展覧会です。




舞台美術家にして、映画の美術監督、衣装デザイナー、文筆家、
さらには、タイポグラフィ作家と多彩なジャンルで活躍した吉田謙吉 (1897~1982)
その彼が52歳の時、東京・港区飯倉 (現・麻布台) に自ら設計して建てた自邸が今展の主役です。




自宅の広さは、わずか12坪!
約40㎡しかありません。





一見すると、ただの狭小住宅のようですが、
この12坪の家のどのあたりが、展覧会タイトルにある 『劇的空間』 なのでしょうか?




その答えは、こちらの赤い丸で囲まれた空間にあります。




この空間の正体は、なんとステージ (兼 アトリエ)。
緞帳を隔てて隣接するホール (兼 居間) よりも60㎝ほど床が高くなっているのだそうです。
そう。この12坪の家の大半を占めるのが、舞台のための空間。
まさに、"劇" 的空間というわけです。
ちなみに、このステージで実際に演劇が上映されたことは一度もなかったそう。
(落語会などのイベントは開催されたようです)
清水の舞台から飛び降りるつもりで、
自宅に舞台を拵えたのでしょうに、なんとももったいない話です。
・・・・・と思ったのも束の間。
会場で再現されていたステージを目にして、




"狭っ。。。これは演劇できないわ。。。" と、なんか納得しました。
「熱湯コマーシャル」 の告知ボックスを、少し広くしたような感じです。
30秒経ったら、あのカーテンが下まで下がってくるのかも。

なお、ステージの上に設置されているのは、
吉田家で実際に使われていたというテーブルです。
(普段はホールに設置されていた模様)
さて、足元の部分にご注目。




ちょっと変わった形をしていますね。
実は、このテーブルは、もともとは和室用の座卓だったもの。
それを洋室用の机としても使えるようにと、吉田の妻である鹿乃子が工夫したのだそうです。
そのリメイク方法は、雑誌でも紹介されたそう。




吉田鹿乃子。
元祖・DIY女子です。


なぜ、吉田謙吉は、こんな独創的な家を建てることが出来たのか?
その秘密を探るべく、展覧会の後半では、吉田の仕事にスポットが当てられています。
舞台美術家としての吉田の仕事。




「住まい方の工夫」 を提案する文筆家としての吉田の仕事。




そして、店舗設計を手掛けるデザイナーとしての吉田の仕事。





これらの仕事が巧く融合したことで、あの唯一無二の家が誕生したのですね!
12坪というスペースでも、アイデア次第で無限に面白くなる。
そんなことを実感させられた展覧会です。
星
いや、でも、自宅内に舞台は、いりませんが (笑)


ちなみに。
若き日の吉田謙吉は、恩師の今和次郎らとともに、
街を歩き風俗を克明にスケッチしたそうで、それがのちに 「考現学」 誕生へと繋がったのだとか。
考古学が、昔の風俗を探求する学問であるのに対し、
考現学とは、今和次郎曰く、現代の風俗を探求する学問とのこと。




丸の内のサラリーマンがどんな格好をしているのか、とか、
新聞記者、会社員、三流会社員はそれぞれどんな三が日を過ごすのか、とか。
正直なところ、どうでもいいようなことを、吉田は真面目に調査・スケッチしています。
中には、こんな調査もありました。
ポマードのつけ具合調べ。




どーでもいいわwww


極め付きは、仲睦まじい恋人たちの様子を克明に調査。
もはや軽く変態チックです。




おや?Ⓓのスケッチの2人は、こちらを見ていますね。
これは、完全にお互い、目が合って気が付いていますね。
劇的気まずさ。




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特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」

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京都のランドマークと聞いて、パッと頭に思い浮かべるのは、
大文字、京都タワー、金閣寺、そして、五重塔ではないでしょうか。
その五重塔があるのが、東寺 (またの名を、教王護国寺)。
平安京が遷都された2年後、796年に創建された真言宗の総本山で、
今なお 「お大師様の寺」 として、人々から熱い信仰を集めています。

そんな東寺から名宝の数々が上京する今年2019年大本命の仏教美術展、
”特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」” が、いよいよ東京国立博物館で開幕いたしました!


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


展覧会の目玉は、何と言っても立体曼荼羅でしょう。
立体曼荼羅とは、空海が、「曼荼羅ってよくわからない・・・」 という人々のために、
普通は平面で表される曼荼羅を、実際の仏像21体を配置することでわかりやすく表現したもの。
平面の地図では何がどこによくあるかわからなくても、
建物が3D化された地図になれば、理解しやすくなりますよね。
ざっくり言ってしまえば、それと同じような感じです。
普段は、東寺の講堂に配置されている立体曼荼羅。
その21体のうち、なんと15体がトーハクに集結しています!





10連休という史上最長のGWに、
東京にお越しくださった15体の仏さまに感謝。
そして、わずか6体で、東寺講堂でお留守番をしている仏さまにも感謝です。
ちなみに、今回の15体でのフォーメーションは、東寺講堂とは別ver.とのこと。
トーハク限定のフォーメーションです。
しかも、うち11体の仏像は、東寺講堂とは違い、360度全方向から観られるようになっています。




《大威徳明王騎牛像》 に関しては、
普段は決して拝むことができない後頭部の御顔も、バッチリ拝顔できました。
(なんだか、ウォーリーに丸を付けたみたいな感じになっていましたがw)




この圧倒的な光景が観られるのは、トーハクだけ。
しかも、たった約2ヶ月だけです!

さらにさらに、興福寺の阿修羅像と並んで、
仏像界きってのイケメンと言われる 《帝釈天騎像》 にいたっては・・・





なんと写真撮影がOK!
どこから撮っても、さまになる。
ダンボみたいなのに乗っていても、さまになる。
さすがイケメンです。


もともと期待はしていましたが、
その期待をさらに超えてくる展覧会でした。
「行かない理由って逆に何?」
そう、タッキー風に尋ねたくなる展覧会です (←?)。
星星星


ちなみに、立体曼荼羅コーナー以外にも、
空海が最澄に宛てた手紙である 《風信帖》 をはじめ、国宝が多数出展されていたり、


国宝 《風信帖》(第一通) 空海筆 平安時代・9世紀 東寺蔵
(注:展示期間は、3月26日~5月19日)



真言宗の秘密の儀式である 「後七日御修法 (ごしちにちみしほ)」 の道場が再現展示されていたり、




立体曼荼羅以外にも、「曼荼羅の寺」 の異名を持つ東寺の貴重な曼荼羅が出展されていたり、




展覧会の見どころは、たくさんあります。
中でも個人的にオススメなのは、東寺観智院から5体揃ってやってきた 《五大虚空蔵菩薩像》
地元京都では、5体が横一列に仲良く並んで配置されているそうですが、
トーハクでは、特別に立体曼荼羅のフォーメーションで配置されています。





ちなみに、5体とも、お顔立ちがどことなくノブ&フッキー似。
なぜか、ノブにも似ているし、フッキーにも似ています。
・・・・・と、それはともかくも。
あまり仏像でお見かけしないタイプだなァと、
不思議に思っていたら、なんでも中国から伝わった仏像とのこと。
国産の仏像を見慣れていた身としては、中国の仏像は新鮮に映りました。

中国の仏像と言えば、こちらの 《兜跋毘沙門天立像》 も。


国宝 《兜跋毘沙門天立像》 中国 唐時代・8世紀 東寺蔵


僕らがイメージする毘沙門天とは、見た目がかなり違います。
何よりスレンダー。
くびれがスゴいです。そして、足も長い。
完全にモデル体型です。
また、邪鬼との関係性も違います。
一般的な毘沙門天は、邪鬼を踏みつけていますが。
この像に関しては、邪鬼が毘沙門天を持ち上げて、騎馬戦みたいな感じになっていました。


最後に。
今回もっとも衝撃を受けた展示品をご紹介いたしましょう。




こちらも中国から伝わった重要文化財の 《蘇悉地儀軌契印図》 (画面手前)。
さまざまな印を結んだ手首から先の姿が、90種ほど描かれています。
いわば、印の作法を教えるマニュアル本みたいなものなのでしょう。
さてさて、その数ある印の中には、「いいね!」 ポーズや、
『いっせーの』 のスタート時の手の形など、馴染みあるものもありました。
さらには、中指を立てた印も・・・。
ロックンロールです。


┃会期:2019年3月26日(火) ~ 2019年6月2日(日)
 ┃会場:東京国立博物館 平成館 特別展示室
 ┃
https://toji2019.jp/





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ヨハネへの道~最終回~

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お笑い (ツインツイン) 時代の相方が手掛けた大会形式のダイエットアプリ 【FITFES】 に参戦し、
35日間かけて、カラヴァッジョの 《洗礼者聖ヨハネ》 のような身体を目指すガチンコチャレンジ企画。
それが・・・




洗礼者ヨハネのような身体になる。
ただ、それだけのために、
大好きなお酒やお菓子を断って、ひたすらフィットネスに励む日々。
そんな長く険しかった道のりも、ついに最終日を迎えました。
すると、その夜、宮島トレーナーから最後の指令が。

「スッキリした姿でお写真を撮れるように、減塩と塩分排出を頑張っていきましょう!
 サウナに入ることもオススメですよ」


ということで、近所のサウナへ向かいました。




サウナに入るのは、何年ぶりでしょうか。
久しぶりということもあり、10分くらいで限界が見えてきたのですが。
きっと、これが最後の試練。
限界を超えるべく、そこから10分ほど耐えてみることにしました。

入室から、20分が経過。
もう限界です。
さすがに出ようと席を立ったところ、
サウナの室内に置かれていた小さな砂時計を発見しました。

「よし!じゃあ、ラストは、この砂時計の砂が落ち切るまで耐えてみよう!」

小さなサイズなので、落ち切るまでに3分くらいと予想していたのですが。
3分経っても、5分経っても、砂がほとんど落ちていません。
アハ体験の映像くらい、ゆっくりとした変化です。
気付けば、10分が経過。
ギブアップ寸前ですが、砂時計に負けるわけにはいきません (←?)
意地で落ち切るのを見届けてやりました。
結局、砂が落ち切たのは、15分後。
サウナに仕掛けられたこのトラップのせいで、
体内の塩分という塩分が徹底的に排出された気がします。


そして、35日間のチャレンジが終了した翌日。
結果報告をすべく、相方の会社へと再びやってきました。




いよいよ、運命の瞬間です。
企画初日は、締まりのない身体でしたが。




35日に及ぶチャレンジを経た結果、このような身体になりました。




ちなみに。
企画初日の時点での体重は70.2キロ、体脂肪率は19.6%でしたが。




企画終了時は、以下の結果に。




体重は7.6キロ減、体脂肪率は5.6%減となりました。
まさか、ここまで減らすことが出来るとは。
自分でもビックリしております。
もちろん、相方にとっても驚きだったようで、
「せっかくだから、いっぱい写真撮っておこう!」 ということになりました。

「いやいや、それはいいよ (←と言いつつ、まんざらでもない)」
「まずは、腰に手を当てるポーズで」
「ん?これでいいの?」
「あぁ、いいねいいね!」




「次は、身体をもっと捻ってみて。そうそう。
 で、腕の筋肉を見せつけて!」
「こんな感じ・・・?」




「今度は、投げキッスいってみようか」
「こうかな?」




「いいねいいね!で、そのキッスを遠くに飛ばす感じで」
「・・・・・・・・てか、投げキッスは関係ねぇだろ (←冷静になった)。やらすなよ!」

「最後に、あれも撮っとく?」
「あれって?」

そう言いながら、椅子やらテーブルやらを配置し始める相方。
そして、白い布も登場し、何やら用意が整ったようです。
「じゃあ、ここで、《洗礼者聖ヨハネ》 風の写真を撮ろう!」
「それも撮るのかよ(笑)」




「35日間、お疲れさま」
「いえいえ、こちらこそ。いい経験をさせてもらったよ」
「あのさ・・・」
「何?」
「5月中旬から次の35日間がスタートするから、またやってよ」
「もうやらんわ!」

チャレンジしてみたくなった皆さま、
僕の代わりに参戦してみてはいかがでしょうか。


かくして、『ヨハネへの道』 は幕を閉じました。
せっかく洗礼者ヨハネのような身体に近づけたので、
リバウンドしないよう、これからもキープしていきたいと思います。
とは言え、今日からは控えていたお酒を解禁。




しばらくは洗礼者ヨハネから、バッカスになります。






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へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで

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府中市美術館、春の恒例企画。
「春の江戸絵画まつり」 が今年も開催されています。
今年のテーマは、『へそまがり』。




"へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで" と題して、
江戸絵画を中心に、「へそまがり」 な感性がキラリと光る日本美術の数々を紹介しています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


絵画は、写実的なもの。
絵画は、キレイで美しいもの。
なんとなく、そんなお約束がありますが、
「へそまがり」 な画家たちは、そんなことはお構いなし。
ゆるかろうが、ヘンテコだろうが、自身の個性を前面に押し出しています。





その代表格が、ゆるカワな禅画でお馴染みの仙厓義梵 (せんがいぎぼん)
今展にも、もちろん多くの作品が出展されていました。




中でも必見なのが、仙厓には珍しい屏風の大作 《豊干禅師・寒山拾得図屛風》 (注:出展は前期のみ)
中国の禅僧・豊干禅師と、その弟子である寒山拾得を描いた作品です。





豊干禅師は、虎に乗って周囲を驚かせる奇行でも知られる人物。
ということは、この新種のクリーチャーみたいなヤツの正体は、虎。
別の意味で驚かされました。
なお、画面の右にいる小さなヤツは、小虎とのこと。
肩甲骨と尻尾が異様に発達しています。

そんな "ゆるカワ禅画界の絶対王者" 仙厓に相対する (?)、
ゆるカワ禅画のニューウェーブたちの作品も、今展には数多く出展されています。




個人的にイチオシなのは、風外本高の 《新春賀偈》 (注:出展は前期のみ)
新春を祝うありがたいお言葉に交じって、妙ちくりんな生き物が書き添えられています。




猿のようにも見えますが、こちらも正体は虎とのこと。
縞模様を描くなら、ちゃんと描け!
耳もちゃんと描け!
"だっちゅーの" のポーズをさせるな!
でないと、虎に見えませんよ。

それからもう一つオススメの禅画が、惟精宗磬による 《断臂図》 (注:出展は前期のみ)
「どうしても達磨に弟子入りしたい!」
その本気ぶりを示すため、自らの腕を切り落としたエキセントリックな僧侶・慧可。
国宝に指定されている雪舟の 《慧可断臂図》 では、
画面いっぱいに慧可の悲壮な覚悟や緊張感が張りつめています。
対して、惟精宗磬が描くと・・・




あぁ。もうやんなっちゃう。
何で腕を切んなきゃいけないんだろう。
あっ、俺が切るって言っちゃったんだっけ?
あーぁ。言わなきゃよかったよ。本当に。
痛いだろうなぁ。血がドバ~って出るだろうなぁ。早く誰か止めてくれないかなぁ。
覚悟もへったくれもありません。


さてさて、禅画以外で注目なのは、
ネットでもすでに話題になっているこちらの絵画。




ハロ?虫?それとも、山本晋也監督?
正解は、《兎図》 とのこと。
いやいや、そう言われても、どこがウサギなのか。
「ウサギじゃねーしwww」 と指をさして笑いたいところですが、
もし、時代が時代なら、笑った時点で僕の首は刎ねられていたかもしれません。
なぜなら、この絵の作者は、徳川家光。
徳川幕府三代将軍です。
将軍の周りには、当然、お抱えの狩野派の絵師がおり、
間違いなく、絵の手ほどきを受けていたはずなのですが。
そこはさすが将軍様、存分にオリジナリティを発揮なされたようでございます。

そんな家光の作品は他にも。




こちらは、《鳳凰図》
小鳥にしか見えませんが、鳳凰なのだそうです。
どういう仕組みであの長い尻尾を持ち上げているのでしょうか??
なお、比較として、同時期の絵師による花鳥図と並べて展示されていました。




若干の悪意を感じます (笑)
将軍が晒し物となっています。
さらに、その反対側には、現代のヘタウマ絵画として・・・




蛭子能収さんの漫画が紹介されていました。
徳川将軍と蛭子さんが競演する。
おそらく最初で最後の機会ではないでしょうか。


他にも紹介したい絵画は、やまほどありますが。




キリがないので、このあたりで。
しかも、4月16日から始まる後期では、ほとんどの作品が入れ替わるのだそう。
まだまだたくさんの 「へそまがり」 な絵画が控えているのですね。
よっぽど 「へそまがり」 な人間でない限り、誰でも楽しめる江戸絵画展。
自信をもってオススメします!
星星星


ちなみに。
日本美術の展覧会ではありますが、
展覧会自体も 「へそまがり」 ゆえ、1点だけ西洋美術も紹介されていました。
フランスが生んだヘタウマ画家、アンリ・ルソーの 《フリュマンス・ビッシュの肖像》 です。




大正時代の数年間。
ルソーの絵に衝撃を受けた一部の洋画家の間で、あえて "下手に描く" ことが流行したのだとか。
三岸好太郎による 《二人人物》 も、その一枚。




女性の左手が、気持ち悪いことになっています。
もはや寄生獣の世界。




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MOTコレクション ただいま / はじめまして

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約3年間という長い長い休館期間を経て、
東京都現代美術館が、ついにリニューアルオープンしました!




外観こそ、そこまで大きな変化はなかったですが。
エントランス部分は、さりげなくイメチェンされていました。
受付やサインボードが、温もりのある什器へと一新。




レストランやカフェも一新。
密かにお気に入りだったベトナム料理カフェは、
サンドイッチ専門のカフェ 「二階のサンドイッチ」 となっていました。
こちらはこちらで美味しそうなカフェでした。





一つ残念だったのは、隠れた名物だったエントランスのソファ、
ふかふかすぎて寝入っている人が続出のソファは、姿を消していました。
代わりに設置されていたのは、特に寝れる気はしない腰掛け。




いつか、あのソファが復活することを個人的には願っています (笑)


さてさて、そんな現美のリニューアル1発目に開催されているのが、
“MOTコレクション ただいま / はじめまして” という展覧会です。




東京都現代美術館が所蔵する現代美術コレクション、通称、MOTコレクション。
その中でも、特に代表的なリキテンスタインの 《ヘア・リボンの少女》 や、
アルナルド・ポモドーロの 《太陽のジャイロスコープ》 といったおなじみの作品が・・・




「ただいま」 とばかりに出迎えてくれる展覧会です。
3年前までは、ほぼ毎回のように顔を合わせており、
なんなら、若干のマンネリを感じていた作品たちですが。
かつて、郷ひろみが言っていたように、会えない時間が愛を育てるのでしょう。
久しぶりの再会に、思わずハグしたくなるほどの情愛を感じてしまいました。
(注:作品にはお手を触れませぬように)


特に展覧会のラスト。
リニューアル前とまったく同じ展示室で、
同じようにデジタルカウンターが動き続ける宮島達男さんの作品の姿を目にしたときには・・・




自然と口から、「おかえり」 の声が洩れ出てしまいました。
この宮島達男作品がある光景を目にして、
ようやく東京都現代美術館が帰ってきたのだということを実感。
またこれから、定期的に清澄白河を訪れることになりそうです。
おかえり。そして、よろしく。
星星


ところで、今回のコレクション展は、
ただ懐かしの作品が顔を揃えているだけではありません。
実は、約3年間の休館中、美術館の “中の人” は休むことなく業務を続けていました。
そう、MOTコレクションは着々と増え続けていたのです。
会場では、そんな新たにコレクションに加わった作品が、
「はじめまして」 のお披露目もかねて数多く紹介されています。
新加入したメンバーには、日本古来の技法・一木造りで少年や少女の像を作る棚田康司さんや、




身近な日用品をアッと驚く作品へと大変身させる双子のアーティスト髙田安規子・政子さんなど、




人気・実力ともに申し分ない現代アーティストたちが、名を揃えています。
その中で、個人的に注目しているのは、中園孔二。





2015年に25歳という若さで夭逝した天才アーティストで、
今、国内外でもっとも注目を集めている日本人作家の一人です。
その生涯で残した作品の多くが、個人コレクターの手元に渡る可能性も大いにありましたが。
このたび、パブリックな美術館のコレクションに、まとまった形で加わった奇跡に感謝。
MOTコレクションの新戦力として、今後どのように紹介されていくのか楽しみです。


ちなみに。
「はじめまして」 の作家の 「はじめまして」 な作品の中で、もっとも印象に残ったのがこちら。





手のひらサイズの小さな作品なので、素通りしそうになってしまいますが。
実は、気が遠くなるような作業を経て制作されている作品です。
作品に近づいて、よくよく見てみると、小さな粒粒で構成されているのがわかります。
これらの粒は、なんと磁器土を一滴一滴スポイトで垂らしたもの。
その小さな粒を集積させることで、独特の建造物のような形が生み出されているのです。
作者は、ひらがなで、「さかぎし よしおう」 さん。
とても気になるアーティストだったので、早速ネットで調べようとしたところ、
大変失礼ながら、うろ覚えのため、「さかざき よしおう」 という名でググってしまいました。
すると、ちょっと面白いことになりました。
気になった方は、「さかざき よしおう」 を今すぐ検索!




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百年の編み手たち —流動する日本の近現代美術—

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約3年ぶりにリニューアルオープンした東京都現代美術館。
昨日お伝えしたように、それを記念し、
コレクション展示室では、“MOTコレクション ただいま/はじめまして” が開催中です。
さらに、もう一つのリニューアルオープン記念展として、
“百年の編み手たち —流動する日本の近現代美術—” も開催されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


こちらは、リニューアルオープンに相応しく、
企画展示室の3フロアをまるまる使って開催される大規模な展覧会です。




展示会場がただ広いというだけでなく、出展作家も超豪華!
会田誠さんに奈良美智さん、村上隆さん、Chim↑Pom、
オノ・ヨーコさんといった人気現代アーティストはもちろん、




岸田劉生や吉田博、藤田嗣治、岡本太郎、東郷青児といった・・・




日本美術史にその名を残すレジェンド作家たちも名を連ねています。
FNS歌謡祭に匹敵するくらいの豪華メンバーの作品とともに、
大正から昭和、そして現代まで約100年間の日本美術史をイッキ見する。
そんな壮大な内容の展覧会です。
なお、展覧会は、なんと全14章仕立て!
THE虎舞竜の 『ロード』 と同じ数だけ章があります。
お時間と体力には余裕をもって、足をお運びくださいませ。
星星




ところで、東京都 “現代” 美術館のリニューアルオープン記念なのに、
大正や昭和って、現代じゃないじゃん・・・と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、今回の展覧会に出展されている作品は、
他館が所蔵するものでなく、そのほとんどが東京都現代美術館のコレクション作品です。
今の僕らから見れば、大正や昭和の作品は、現代的とは思えませんが、
当時の人々にとっては、間違いなく、それらの作品は現代的であったわけで。
そんな100年分の “現代” が積み重なっているのが、東京都現代美術館のコレクションなのです。


さてさて、今回の展覧会では、
100名を超えるアーティストが紹介されていましたが。
特に際立ってフィーチャーされていたのが、
日本歯科大学名誉学長、日本歯科医師会名誉会長でもあった洋画家・中原實でした。
壁一面に、中原實!




そのまた先の壁一面にも、中原實!




全部で21点もの中原實作品が出展されていました。
もはや軽く ”中原實フェア” 状態。
これほどまでに、ごり押しされたので、
一生、中原實の名前は覚えていられる自信があります (笑)

意外なところでは、ロダンの彫刻作品が出展されていました。




タイトルは、《小さなスフィンクス》
なぜか、受け口。
なぜか、しゃくれ。
そして、なぜか正座しています。
スフィンクスからの新たな謎です。

ちなみに。
個人的にお気に入りなのは、
「抵抗のためのいくつかの方法」 という章で紹介されていた豊嶋康子さんの作品です。




鉛筆への抵抗ということでしょうか。
地味ながら、やっていることはかなりアナーキーです。
鉛筆にとっては、たまったものではありません。




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本日のお客様:三代目大谷鬼次

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大都会の片隅に、
芸術家や絵画のモデルが訪れる占いの館があるという―





おや、今宵も占い師の高天麗舟さんのもとへ、誰かお客様がやってきたようです。



【プロフィール】
高天麗舟 (たかま れいしゅう)
書家・占い師。群馬県高崎市生まれ。書家・野尻泰煌先生に師事。
書を通じて漢籍・思想・哲学・芸術全般に親しみ、
本来の人間表現に到達することを目的として手相・四柱推命・易・生命学 (姓名判断) などの研鑚を積む。
手相:西谷泰人先生に師事/四柱推命:浅野太志先生に師事/易:天道春樹先生に師事
現在、埼玉大学・教育学部にて障害児育児をテーマとした講話や、
「手相×アート」トークショー、仏像手相鑑定ツアーなどを含む多分野での活動を展開。
書作品寄贈:ハンガリー・ケチケメート市、ハンガリー・ケチケメート市ラダイ博物館

HP:https://www.reishu-takama.com/


大谷「おーい。手相を診てくれるって先生はいるかい?ちょっくら邪魔すんぜ」

高天「いらっしゃいませ。私がそうですよ」

大谷「なら、話が早ぇ。早速、占ってくれねぇか?」

高天「まずは、お名前を伺ってもよろしいかしら?」

大谷「おいらは、三代目大谷鬼次だ。仕事は・・・」

高天「歌舞伎役者ですよね」

大谷「さっすが先生!まだ手相を見せてないのに、何でわかったんで?」




高天「だって、歌舞伎の衣装 (注1) のまま、いらっしゃってるから」

(注1) 演目は、『恋女房染分手綱』。寛政6年 (1794) 5月に河原崎座で上演された

大谷「・・・・・あっ、ちげぇねぇ(笑)」

高天「大谷さんは、普段から、そそっかしいところが多いんじゃないかしら?」

大谷「へぇ、確かに。さっき、楽屋で先生の評判を聞いてよぉ、その足できちまったんだゎ。
    しかし、そいつは何でわかったんで?」

高天「大谷さんは、体に対して極端に手が小さいですよね。
    そういう人は、大胆が過ぎる傾向があり、後先考えず行動してしまいがちなんですよ。
    冷静さを失わないことが大切ですよ」

大谷「なるほどなぁ。手の大きさでもわかることがあるもんだ。
    で、手相からは何がわかるんで?」




高天「大谷さんは、生命線が大きく外に張り出しおいて、親指付け根の肉付きも厚いですね。
    これは非常にバイタリティー旺盛で、じっとしていられない性格を表しています。
    ただ、こちらも極端に張り出しているので、
    ガッツだけで成し遂げようとする傾向が強いですね。粗暴な言動には注意が必要ですよ」

大谷「べらぼうめ!ガッツの何が悪いんでぇ」

高天「大谷さん。粗暴な言動!」

大谷「あぁ。面目ねぇ」

高天「しかし、手のひらの肉付きに対して、指は華奢で細いので、
    大胆さの奥に、夢や神秘的なものに惹かれやすいデリケートな一面を秘めているようですよ」

大谷「ところで、先生。おいらは、役者には向いてるんですかい?」

高天「小指下の手のひら側面が、大きく横に張り出していますよね。
    こういう方は、常に人を楽しませたり驚かせたりと、サービス精神が旺盛です。
    役者さんには、もってこいのタイプですよ」

大谷「そいつは嬉しいねぇ。ただ、おいらは悪役が多くてよ。(注2)
    そのうち主役張ったり、役者として成功できると思いますかい?

(注2) 『恋女房染分手綱』 で演じたのは、金子を奪うというチンピラのようなチョイ役。

高天「感情線が、指の付け根に接近するほど高い位置にありますね。



   
    これは、感情が高ぶりやすいことを表しています。
    喜怒哀楽が激しいため、周囲の人にとっては、ちょっと厄介な存在となりやすいのですが。
    高い感情線は、森光子さんや大物女優さんにも多く見られ、
    激しい感情を役に乗せて演じられれば、役者さんとしての活躍はかなり期待できますよ」

大谷「するってぇと・・・役者として活躍できるってことですかい!
   そいつは、めでてぇや!」

高天「ただ一点だけ。感情線の先端が親指方向に下がっていますね。
   これは、自分を犠牲にして人に譲ってしまうことを示しています。
   基本的に、"怖い人" という印象を与えがちですが、
   実は、意外と空気を気にしてしまうタイプのようです。
   舞台の上では、遠慮することなく演じていくと良いですよ・・・・・って、あら?
   話を最後まで聞かずに、帰っちゃったのね。
   感情が高ぶっていいのは舞台の上だけ、ってアドバイスしようと思ったのに」


【告知】
4/21(土)に 『今度は東寺展だ!高天先生と行く 仏像の手相鑑定ツアー
』 が開催されます。
これまで様々な仏像の手相を鑑定してきましたが、
初めて登場する珍しい線が、続々登場いたしますのでどうぞお楽しみに♪
詳細は、こちらに↓
現在募集中のアートツアー




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【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】

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現在募集中のアートツアーです。

アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画を心掛けております。
初参加の方も多いので、どうぞお気軽にご参加くださいませ♪
(男女比は、7:3くらいで女性が多いです。
 また、おひとりで参加される方が大半ですので、一人でもふらっと遊びにいらしてください!
 お子様とご一緒の参加も大歓迎です[お子様の参加費は基本無料])
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
参加希望の方は、お手数をおかけして恐縮ですが、
件名に希望するアートツアーを明記して、以下のメールフォームよりお申し込みくださいませ。
詳細をお知らせいたします。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
お知らせ先のメールアドレスが間違っている方が、ごくたまにいらっしゃいます。
こちらからの返信がない場合は、もう一度お送り頂けますと幸いです。


4/14(日) 今日は一日トルコ三昧ツアー
(おかげさまで、こちらのアートツアーは定員に達しました。現在はキャンセル待ちでの受付となっております)

今年2019年は、日本における 「トルコ文化年」。
それを記念して、トルコの多様な芸術や文化を紹介する展覧会、
"トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美" が、国立新美術館にて開催されます。
トプカプ宮殿博物館が所蔵する宝飾品や工芸品、
食器、武器、書籍といった国宝級の至宝約170点が来日する貴重な機会です。

この展覧会をさらに楽しむべく、展覧会の前に、
代々木上原にある日本最大のモスク、東京ジャーミイ・トルコ文化センターを訪れます。
(その内装の美しさは、アジア1だとも言われています)
日本にいながらして、トルコ旅行の気分が味わえる。
そんな東京ジャーミィで、たっぷりとトルコの文化に触れましょう!

トルコの文化に興味がある方も、これを機に興味を持ってみたい方も、大歓迎です♪

時間:13時半~18時
定員:12名
参加費:1500円 (展覧会鑑賞料を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


4/20(土) 浮世絵 × JAZZ TALK & LIVE !! (仮)

ある時は、太田記念美術館の学芸員。
またある時は、ジャズピアニスト。
そんな渡邉晃氏とアートテラー・とに~のタッグでお送りした伝説企画、
『浮世絵×ジャズ』 のセッションライブが、皆様からのリクエストにお応えして、ついに復活します!
浮世絵、そして、ジャズの楽しみ方を伝えるトークコーナーあり。
渡邉さんと実力派メンバーによる本格的ジャズライブコーナーあり。
さらに、ラストでは、葛飾北斎の 《神奈川沖浪裏》 をモチーフに、
渡邉さんが、この企画のために作曲したオリジナル曲を披露いたします!
どうぞご期待くださいませ♪

時間:17時~18時半(開場は16時半)
定員:50名
参加費:3888円 (税込み)
出演:渡邉晃氏、大井澄東氏(ドラム)、河合卓人氏 (ボーカル)、小松誠幸氏 (ベース)

ご参加希望の方は、セブンアカデミーのHPからお願いいたします↓
セブンアカデミー オンライン講座予約ページ


4/21(日) 今度は東寺展だ!高天先生と行く 仏像の手相鑑定ツアー

占い師の高天麗舟先生を講師に迎え、
仏像を手相という視点で鑑賞する大人気企画の最新版です。

今回のツアーで訪れるのは、今年2018年大本命の仏像展 “国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅”
東寺の講堂から15体の仏像が集結する史上最大規模の仏像展です!
その中で、もっともありがたい手相の持ち主は、どの仏像なのか?!
はたまた、逆に、頼りがいのない (?) 手相の仏像はいるのか??
高天先生とともに、ズバリ鑑定いたしましょう。

もちろん手相鑑定をしたことが無いという方 (多くの方がそうでしょうがw) も、ご安心を!
ツアーの冒頭に、手相の見方がわかるレクチャーコーナーがあります。
東寺の仏像をたっぷり堪能しつつ、手相の鑑定方法も身につきつつ、
さらに、空き時間に高天先生に、自分の手相もチェックしてもらえてしまう。
一粒で二度、いや三度、美味しいアートツアーです。
これまでに参加された方も、初参加の方も大歓迎ですよパー

時間:13時~17時
定員:12名
参加費:3000円 (展覧会鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


4/29(土) 平成最後の大東京建築ツアー

世界中の建築ファンが憧れる街・東京。

この街には、たくさんの名建築が存在しています。
その東京で生活をしていながら、建築に興味が無いなんて!
あぁ、何ともったいないことでしょう!!

「・・・・でも、“建築” って何をどう観たらいいの?? 」

そんな皆様にお送りするのが、みんなの大東京建築ツアー。
実際に東京の街をぶらぶらしながら名建築を巡り、
進行役の自分と講師の建築家が掛け合いをしながら、その魅力をたっぷりお伝えするツアーです。

平成21年にスタートした "みんなの大東京建築ツアー"。
これまでに180を超える建築ツアーをお届けしてきました。
さて、ツアー当日の4月29日は、平成最後の前々日。
そこで、今回は、平成を振り返るべく、
平成にデビューした建築家の名建築を巡る建築ツアーをお届けいたします。
(電車を乗り継いで、都内の数か所を巡ります。集合場所は決定次第、順次更新します)
平成の世とともに歩んだ建築家から、
平成から新元号への架け橋となる建築家まで。
さまざまな建築家の作品が登場!
どうぞお楽しみに♪

時間:13時~18時
定員:15名
参加費:1500円(交通費は各自負担)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
http://arc-tour.org/mail.html


4/30(火・祝) 平成最後の日 ドキッ!悪女だらけのアートツアー

本日は、平成最後の日。
それにちなんで、終末、世紀末の美術界に現れる、
『ファム・ファタール』 (宿命の女、魔性の女) をキーワードにしたアートツアーを開催します。

まず訪れるのは、4月1日付けで名称が、
パナソニック 汐留ミュージアムから変更になるパナソニック汐留美術館。
その改称1発目に開催されるのが、
"ギュスターヴ・モロー展― サロメと宿命の女たち ―"
ファム・ファタルを描かせたら右に出るものはいない、
フランス象徴主義を代表する人気画家ギュスターヴ・モローの待望の大規模展覧会です。
本国フランスのギュスターヴ・モロー美術館より、名品約70点が来日!
西洋美術ファンならば、是非とも抑えておきたい展覧会です。

その後、休憩を挟み、三菱一号館美術館へ。
約200年分のイギリス美術を堪能できる "ラファエル前派の軌跡展" を鑑賞します。
美術史にその名を残す "リアル" ファム・ファタル、
ジェーン・バーデンをモデルに描かれた名作をはじめ、数多くの名画が来日しています。
こちらも、この春、是非抑えておきたい展覧会の一つ。

当日は見どころをガイドいたしますので、お気軽に遊びにいらしてくださいませ。
悪女がお好きな方も、悪女とは距離を置きたい方も、
そして、我こそは悪女という方も、どなた様も大歓迎です (笑)

時間:13時~17時半
定員:10名
参加費:2500円 (2つの展覧会の鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


5/2(木・祝) 見ごろ食べごろ 花満開の日本美術ツアー

例年、GW期間は、根津美術館の燕子花が見ごろを迎えます。
さらに、その開花期間に合わせて開催されるのが、
"尾形光琳の燕子花図 寿ぎの江戸絵画" という特別展。
教科書や二千円札などでもお馴染みの国宝 《燕子花図屏風》 が1年に1度お披露目される展覧会です。
リアルな燕子花と、日本で最も有名な燕子花が同時に観られる。
まさに、根津美術館のベストシーズンです。

また、徒歩圏内にある山種美術館では、
"花・Flower・華―四季を彩る" という展覧会が開催されています。
梅、桜、牡丹、百合、朝顔、菊、水仙、椿など、
さまざまな花を描いた名画を一挙公開する華やかな展覧会です。
それらの作品を愛でた後は、美術館内のCafe椿にてカフェタイム。
オススメは、出展作をモチーフにしたオリジナルの和菓子です。

というわけで、今回のアートツアーでは、この2つの美術館を巡ります。
桜のシーズンは終わってしまいましたが、
GW期間ならではのお花見を満喫いたしましょう!

時間:13時~17時
定員:12名
参加費:2300円 (2館の展覧会鑑賞料を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


5/3(金・祝) 全哺乳類必見⁈"大哺乳展2"へ行こう!

現在、上野の国立科学博物館にて、
"特別展「大哺乳類展2―みんなの生き残り作戦」" が開催されています。

こちらは、確実に1人よりも、みんなで楽しむタイプの展覧会。
‟気になってはいるんだけど、周囲に一緒に行ってくれそうな人がいなくて・・・”
という方、是非、この機会にご一緒いたしましょう♪

みんなで展覧会を鑑賞後、館内のレストランにてカフェ休憩。
その後、時間の許す限り、常設展も満喫いたしましょう!
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

時間:13時~17時
定員:12名
参加費:1500円 (展覧会鑑賞料を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


5/4(土) ぐるっと丸ノ内線ミステリーアートツアー

どこを訪れるかは当日までのお楽しみ。
丸ノ内線を乗り継ぎながら、全部で3つのアートスポットを巡る。
そんなミステリーツアーのようなアートツアーを開催いたします。

大人のための遊べるギャラリーから、 老舗企業の手掛けるミュージアム、
さらには、昨年誕生したばかりの出来立てホヤホヤのミュージアムをご案内。
しかも、学芸員さんの特別ガイド付、ツアーの皆さまだけの特典付です!
それに加えて、アーティストさんご本人も特別に参戦してくださる予定です♪
令和初のアートツアーだけに、内容盛りだくさん。
どうぞご期待くださいませ。

時間:13時~18時
定員:12名
参加費:2000円 (3館の展覧会鑑賞料を含む)

ご参加希望の方は、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


いずれのツアーも、皆様のご参加を心よりお待ちしております!!

幾兆億年の果てより今日も夜はまた訪れてくるのだ―永遠の無限

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新宿の新たなアートスポット、草間彌生美術館。




現在、こちらでは、4回目となる展覧会、
"幾兆億年の果てより今日も夜はまた訪れてくるのだ―永遠の無限" が開催されています。
「草間彌生さんといえば水玉模様」 というイメージが強いかもしれませんが。
同じくらいに代表的といえるのが、『無限の網』 シリーズです。
キャンバス一面が、びっしりと網目で埋め尽くされた作品シリーズで、
若き日に単身渡米した草間さんが、前衛芸術家として一躍注目を浴びるきっかけにもなっています。
今回の展覧会では、そんな 『無限の網』 シリーズの貴重な初期作品を展示。





さらに、ニューヨーク滞在時代の資料や写真も併せて展示されています。




いうなれば、草間彌生さんの青春期にスポットを当てた展覧会。
"世界のKUSAMA" の若手時代の姿が垣間見える展覧会です。
星

今展の目玉はなんといっても、《無題(無限の網断簡)》




約10mにも及ぶ巨大な巻物風の作品で、
右から左まで、ただひたすら網目が反復し続けています。





実はこちらは、ニューヨークでの初個展で発表され、
当時の観客や美術評論家から絶賛された作品のごく一部。
発表時は、幅約10m、高さは約3mほどある巨大な作品でした。
そう。横だけでなく、上にも下にも無限に網目が続いていたのです。
なんという労力。。。


さてさて、一つ上の展示フロアでは、
そんな 『無限の網』 シリーズと対比して、最新の絵画シリーズ 「わが永遠の魂」 が紹介されています。




無限の網目を見過ぎて、目がチカチカ疲れてしまった方は、
どうぞこちらのカラフルなフロアで目を休めてくださいませ。
ただし、絵から放たれる生命のパワーが強いので、目とは別のところが疲れてしまうかもしれません。


ちなみに。
平成から令和へと変わるこのタイミングで、
4階に常設されていたインスタレーション作品が一新されていました。




新作は、ハシゴをモチーフにしたインスタレーション作品。
その名も、《天国への梯子》 です。
もちろん、水玉模様。
そして、色が刻一刻と変化していきます。





天井と床面には、鏡が設置されており、
床の鏡を覗き込むと、そこにはハシゴが無限に続いているかのような光景が。




地獄の果てまで、このハシゴが繋がっているのではないか。
ジーっと見ていたら、奥底から草間さんが登ってくるのではないか。
・・・・・・・なんか、急に怖くなってきました。

逆に、天井に目を向けてみると、
当たり前ですが、ハシゴは上へ上へと無限に伸びています。




タイトルの通り、まさに天国へのハシゴのよう。
希望が感じられました。


また、屋上に設置されていたカボチャも一新。




日本初公開となるステンレス製のカボチャの立体作品です。
シルバーに輝くカボチャは、どこか未来や宇宙を彷彿とさせるものがあります。
そして、ポップでカラフルな水玉は、
どこかアサヒペンを彷彿とさせるものがありました。




  草間彌生美術館
  開館日:木・金・土・日曜日および国民の祝日
  日時指定・各回定員入れ替え制
  毎月1日10:00 (日本時間) に美術館webサイトにて翌々月分のチケット発売開始
  https://yayoikusamamuseum.jp/
  ※当日券はございません。





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藍染の絞り 片野元彦の仕事

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この春、日本民藝館で開催されているのは、
"藍染の絞り 片野元彦の仕事" という展覧会。
藍染絞りの第一人者である片野元彦 (1899~1975) にスポットを当てた展覧会です。




染色の世界は、まだまだ不勉強なため、
正直なところ、この展覧会が開催されるまで、片野元彦のことを存じ上げなかったのですが。
その世界の人にとっては、レジェンド級の人物なのだそうです。
片野元彦が編み出した独自の技法は、
彼の名を取って、今でも 「片野絞」 と呼ばれているのだとか。


片野元彦の作品は、パッと見は、いたってシンプル。
基本的には、藍一色なので、地味な印象を受けます。
しかし、その制作スタイルは、かなり独創的。
布を折り畳んだり、一部を糸で縫ったり、大量の当て布をしたり (←これが俗にいう片野絞)。
それらの技法を駆使し、藍に染まらない部分を作り、独自の紋様を生み出していったのです。

例えば、こちらの 《木綿地藍染熨斗目小華繋紋折縫絞着物》


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


技法の解説によると・・・

「小華繋の部分は、布を巾ひとまとめに亀甲に折り畳み、
 各々の綾線に別布を当て、その上から糸で締めつけて防染。
 横段の部分は、経に布を折り畳み、白い部分を防染して藍一色で染めた」


とのこと。
なんとなくわかったような、いや、やっぱりよくわからないような。
とりあえず、途方もなく複雑な技法が使われていることだけはわかりました。


さてさて、今回の展覧会には、
そんな片野元彦の超絶的な染色作品が大集結しています!




どこをどうやってどうすれば、
このような紋様を生み出せるのでしょうか。
”あそこを折り畳んで・・・・・いや、待てよ。あそこは一回糸で結ぶことで・・・う~ん”。
解けない藍のパズルです。

特に難易度が高そうだったのが、《木綿地藍染分銅崩小華散紋白影絞広巾》





幾何学的な紋様なら、まだしも、
このようにフリーハンドみたいな紋様も生み出せてしまうのですね。
もはや技法がまったく想像できません。

ただ、技法が皆目見当がつかずとも、
当たり前ですが、素直に紋様そのものを楽しむことができました。





テキスタイルデザインというと、
日本人には、マリメッコなど北欧のものが人気ですが。
それに負けず劣らず、片野元彦のテキスタイルもオシャレ。
星星
ファッションによし、インテリアによし。
この展覧会をきっかけに、藍染絞りブームが起きそうな予感です。




ちなみに、そんな藍を知り尽くした片野元彦ですが、
なんと藍染絞り作家に専念するようになったのは、57歳の時とのこと。
意外にも、遅咲きのデビューだったのですね。
なお、染色家になる前は、洋画家として活動。
あの岸田劉生に師事していたのだそうです。
会場には、その当時の記念写真も。




劉生だけでなく、麗子もバッチリ映っていました。
写真なのに、醸し出す雰囲気は、麗子像のあのまま。
子どもとは思えない貫禄があります。




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ギュスターヴ・モロー展 ― サロメと宿命の女たち ―

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今年4月1日。
パナソニック 汐留ミュージアムの名称が、
パナソニック汐留美術館へと変更になりました。
そんな新たなスタートを切ったパナソニック汐留美術館で、
現在開催されているのが、"ギュスターヴ・モロー展 ― サロメと宿命の女たち ―" という展覧会。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


パナソニック汐留美術館と最も関わりの深い画家ジョルジュ・ルオー、
その最愛の師であり、象徴主義を代表する巨匠ギュスターヴ・モローにスポットを当てた展覧会です。
今展に出展されているのは、すべてパリのギュスターヴ・モロー美術館の所蔵品。
まとまった形で来日するのは、実に14年ぶりとのことです。
(ちなみに、ギュスターヴ・モロー美術館は、世界初の個人美術館。初代館長を務めたのは、ジョルジュ・ルオー)
展覧会のテーマは、ずばり 「モローが描いた女性」。
冒頭に飾れている 《24歳の自画像》 以外は、すべて女性にまつわる作品です。


《24歳の自画像》 1850年 ギュスターヴ・モロー美術館蔵
Photo©RMN-Grand Palais / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF



一口に女性と言っても、そのタイプはさまざま。
母や恋人といった身近な女性もいれば、
神話や聖書に登場する女性や、歴史に名を残す女性も登場します。
「あなたはどの女性がタイプ?」
恋愛シミュレーションゲームを彷彿とさせるものがありますが、
気を付けなければならないのは (?)、登場する女性の多くが、ファム・ファタルだということ。
ファム・ファタルとは、男性を破滅へと導く宿命の女。
タイプとして選んでしまった場合、とんでもない未来が待ち受けていることでしょう。

展覧会場には、そんなファム・ファタルが大集結したコーナーも。




右を見ても、悪女。
左を見ても、悪女。
全員悪女。
まるで、『アウトレイジ』 のような展示空間です。

ちなみに。
その中で特に恐怖を感じた悪女 (悪魔?) は、セイレーン。


《セイレーン》 ギュスターヴ・モロー美術館蔵
Photo©RMN-Grand Palais / Philipp Bernard / distributed by AMF



美しい歌声で船乗りを引き寄せ、
その命を奪うギリシャ神話に登場する海の魔物です。
見た目は美しいですが、よく見れば、下半身はウミヘビのような姿をしています。
さらに、よく見れば、その尾っぽに男性が巻き付けられているではないですか!
おそらく、こと切れています。
何が怖いって、巻き付けている当の本人が、夕陽を見て黄昏ていること。
どういう心情だよ。

それ以上に恐怖を感じたのが、画面右の 《死せるオルフェウス》 という一枚。




この絵には直接、女性は描かれていません。
描かれているのは、ギリシャ神話に登場する竪琴の名手オルフェウス。
その首なし死体です。
犯人は、バッコスの巫女たち。
殺害動機は、オルフェウスを誘惑するも、
妻を亡くし、女性嫌いとなった彼が見向きもしなかったから、という身勝手なもの。
殺される時、きっとオルフェウスは思ったことでしょう。
だから、「女性が嫌いなんだ!」 と。


ところで、あまたの悪女の中で、
特にモローがお気に入りだったのが、サロメという女性。
展覧会には、サロメを特集したコーナーがあり、
下絵や習作も併せて、約30点のサロメをモチーフとした絵が紹介されていました。




サロメは、新約聖書に登場する人物。
ヘロデ王の後妻となったサロメの母親は、
再婚に異を唱えた洗礼者ヨハネに対し、処刑の機会を狙っていました。
そんなある日、ヘロデ王は後妻の連れ子であるサロメに、宴席で舞を披露するよう要求します。
そのご褒美に、何でも好きなものを与えると約束。
それを聞いた母親は、「ヨハネの首が欲しいと言え」 と、サロメをそそのかしました。
その結果、哀れ、洗礼者ヨハネは斬首されてしまうのです。
サロメよりも、間違いなく、母親のほうが悪女。
いわゆる毒親です。

今回の展覧会の目玉作品の一つで、
モローの代表作の一つでもある 《出現》 も、そんなサロメをモチーフにした一枚。


《出現》  1876年頃 ギュスターヴ・ モロ一美術館蔵
©️RMN-Grand Palais / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF
 


三代目 J Soul Brothersの “R.Y.U.S.E.I.” ばりに、
もしくは、「犯人はお前だ!」 とセリフを放つ名探偵コナンばりに、ポーズを決めるサロメ。
その指先に浮かぶのは、ヨハネの首です。
なんとも恨めしそうな顔をしています。
「お前のせいで・・・」 と、サロメの前に出現したのでしょうが、
サロメは怖がるどころか、むしろ敵意剥き出しの表情を浮かべています。
完全なる逆ギレ。


さてさて、ここまでで紹介した悪女は、ほんの一部です。
会場では、他にもたくさんのモローが描いた魅惑的な女性と出逢えます。




男女限らず、あなたにとってのファム・ファタル、宿命の女がいるかも。
出会いの春にオススメの展覧会です。
星星


最後に、ある意味で印象的だった1枚をご紹介。
それは、エウロペを描いた作品です。
エウロペとは、とある国の王女。
その美しさに一目惚れしたゼウスは、白い牡牛に変身し、エウロペに近づきます。
エウロペが何気なく牛の背にまたがると、白い牛 (実はゼウス) は暴走開始。
海を渡り、はるか遠くのクレタ島まで彼女を連れ去っていったのです。
かくして、エウロペが海を渡ったその広大な地域は、
彼女の名前にちなんで、ヨーロッパと呼ばれるようになったのだとか。
・・・・・と、そんなエウロペのエピソードを描いた絵画は、美術史上に数多くありますが。


《エウロペの誘拐》 1868年 ギュスターヴ・モロー美術館蔵
Photo©RMN-Grand Palais / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF



モローの描いた牛は、なぜか、顔だけゼウス。
観れば観るほど、不気味です。
エウロペも、若干引き気味。
シレーッとした目で見てやんの。




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第38回 千代田区富士見でダ・ヴィンチ

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ルノアールを筆頭に、モネ、ゴッホ、シャガール…と、
街を歩いていると、時に、美術界の巨匠たちと同じ名前のお店に出くわします。
果たして、それらのお店と巨匠との間に関係はあるのか??

気になるようで気にならない。
でも、気にしてしまったら、気になって仕方がない。
そんな疑問を解消すべく、アートテラーは今日も店へと赴く!!



『ヨハネへの道』 企画のチャレンジ中は、
食生活を節制していたため、食べたいものを我慢する日々を送っていました。
しかし、そんな生活から解放された今、
心の中のリトルとに~ (?) に、"一番食べたいものは何?" と聞いてみました。
すると、「パン!」 と即答。
なるほど。久しぶりに自分を甘やかして、
1か月半ぶりに、パンを食べることにしましょう!

そう言えば、このシリーズでパン屋を紹介したことは、ありません。
早速、ネットで、さまざまな芸術家の名前でパン屋さんを検索。
その結果、飯田橋のさくらテラスに・・・




あの芸術家の名前が付いたパン屋さんがあるのを見つけました。
その名は、Panis da Vinci (パーニス ダ ヴィンチ)。




お店の公式HPには、こうあります。

「飽くなき探求心」 と 「尽きることのない独創性」 を兼ね備えたレオナルド・ダ・ヴィンチがテーマ。
気軽に入れるオフィスビル内にありながらも、本格的なこだわりのパンが並びます。


世界中にはたくさんのパン屋がありますが、
おそらくレオナルド・ダ・ヴィンチをテーマに掲げるパン屋は、ここくらいなものでしょう。
ちなみに、"こだわりのパン" というのは相当なものだそうで、
お店の黒板にもそのこだわりは、ちゃんと記載されていました。




オールスクラッチ。
初めて目にした言葉ですが、
なんでもそのお店で粉から生地を仕込み、
成型して焼き上げまでの工程を一貫して行う製法の事なのだそうです。
それは、期待が高まります。
ではでは、早速、店内へ!




レオナルド・ダ・ヴィンチがテーマとはありますが、
特にお店の内装のイメージは、ダ・ヴィンチやルネサンスとは関係がなさそうです。
しいて言えば・・・




天井の木組みの部分が、ダ・ヴィンチの発明品っぽいと言えば、ぽいような。




それはさておき、パンの美味しそうな香りが漂ってきました。
寡作だった本家のダ・ヴィンチとは違って、
こちらのダ・ヴィンチには、常時60種類のパンが並んでいるのだそう。
思わず目移りしてしまいます。




特に充実していたのは、デニッシュ系。
ミニデニッシュは各118円 (税込127円) と、意外とリーズナブルでした。
お土産に買ったら、喜ばれそうですね。




どれもこれも美味しそうで悩んでしまいましたが、
ここは王道に、お店の売上ベスト3のパンを購入することにしました。




店内にイートインスペースがあるそうなので、そこで食べることに。
パンとワインで、《最後の晩餐》 の気分を味わおうかと思ったのですが。
ドリンクメニューにワインは無いとのこと (←当たり前!)。
パンとの相性抜群というオススメのコーヒーを注文しました。
ちなみに、イートインの席数は、10席と少なめ。




《最後の晩餐》 よりも少ない席数です。
ランチタイムやカフェタイムは、基本的に埋まっているそうです。
奇跡的にカウンター席が空いていたので、そちらでパンを頂きます。




まずは、売上第1位のヴォルケーノから。
こちらは、チーズ入りスパイシーカレーを包んだヘルシーな焼きカレーパンとのこと。
パンも1か月半ぶりなら、カレーも1か月半ぶり。
一口食べるなり、「美味~っ。。。」 と声が洩れてしまいました。

続いては、第3位のサルシッチャ~カヴォロ~
オーブンで蒸し焼きにしたキャベツの甘みとジューシーなソーセージのフランスパンです。
1番好きな食べ物は、シャウエッセンかも。
というくらいに、シャウエッセン信者の僕ですが、このサルシッチャには完敗 (←?)。
噛むたびに溢れる肉汁が、フランスパンに染み込むのも最高でした。
リピートしたくなる逸品です。


ちなみに。
ヴォルケーノサルシッチャ~カヴォロ~という横文字に挟まれた第2位は・・・




意外にも普通に、あんぱんでした。
こちらはテイクアウトし、家で食べることに。




『ヨハネへの道』 企画が始まる前は、
少なくとも1週間に1個は、あんぱんを食べていたものです。
お久しぶりのあんぱん。
ガブッと豪快にパクつきました。

「・・・・・・・・ん?」




あんこが少なめのタイプでした。
パン自体はもちろん美味しいのですが、
僕が食べたかったのは、もっと餡がたっぷり入ったあんぱんだったのに。
ユダに裏切られた気分です。


<お店情報>
panis da vinci
住所:東京都千代田区富士見2-10-2 サクラテラス1F
定休日:特になし
営業時間:平日 7:30~19:30 / 土日祝日 10:00~19:30
 



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荒木悠展:LE SOUVENIRS DU JAPON ニッポンノミヤゲ

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現在、資生堂ギャラリーで開催されているのは、
"荒木悠展:LE SOUVENIRS DU JAPON ニッポンノミヤゲ" という展覧会。
今、もっとも国内外から注目を集める映像作家の一人、荒木悠さんの新作による個展です。




ニッポンノミヤゲ?ニホンノミカタ?
タイトルからは、どんな内容の展覧会なのか、まったく想像がつきません。
とりあえず会場に入ってみることに。
すると、いつもとは違って階段分に、ふかふかの赤い絨毯が敷かれていました。
そして、不思議な形のシャンデリアに、ヴィンテージものっぽい鏡も設置されています。




さらに、耳をすませば、どこからともなく、
『美しき青きドナウ』 の調べが聴こえてくるではないですか!




どうやら今回は、舞踏会をイメージした会場作りになっているようです。
(知っていれば、もっとフォーマルなファッションで訪れたものを!)
さてさて、まず広いほうの展示スペースで展開されていたのは、《The Last Ball》 という作品です。




こちらは、明治期に日本を訪れたフランス人作家、
ピエール・ロティの紀行文 『秋の日本』 内の 「江戸の舞踏会」 の章に着想を得た作品とのこと。
明治18年に鹿鳴館での舞踏会を訪れたロティが、自身の視線でその様子を描いた見聞録なのだそう。
そんな 「江戸の舞踏会」 を下敷きに芥川龍之介が発表したのが、『舞踏会』 という短編小説です。
その小説では、ロティのダンスの相手だった17歳の日本人女性・明子が主人公となっています。

西洋と東洋。
2つの異なる視点で書かれた文学作品。
それを現代的に映像化したのが、《The Last Ball》 という作品なのだとか。
天井から吊るされているスクリーンの片側には、
明子役の女性が手にするスマホで撮影された映像が、
そして、その反対側には、ロティ役の男性のスマホで撮影された映像が映し出されています。
ちなみに、瞳の色によって色の見え方が違うという理由で、
ロティ側の映像はマゼンダが強め、明子側の映像はグリーンが強めに色彩設計されているそう。




・・・ん?スマホでお互いを撮り合っていたら、ダンスできなくない?
と思った方は、鋭いです。
そう。ロティ役、明子役それぞれに与えられた指示は、
「相手を撮影すること、しかし、相手には撮影されないこと」、
つまり、お互い、撮りつつ逃げるを繰り返しているのです。
第三者から見ると、それはそれで、新手のダンスのように見える。
大きな壁一面に上映されているのは、そんな引きの映像です。




どんな作品なのかを説明するのに、
一苦労も二苦労もする複雑極まりない作品です。
ただ、複雑だけど、その複雑さが面白い。
これまでにありそうでなかった新感覚の面白さです。


もう一つの新作映像作品 《戯訳「聖なる都・京都」「日光霊山」「江戸」》 も安定の複雑さ (←?)。




こちらもやはりロティの紀行文 『秋の日本』 が元ネタです。
『秋の日本』 には、京都、日光、江戸 (東京) の紀行文が収録されているそうなのですが、
日光東照宮を1000年近い歴史あるお寺だと紹介するなど、ところどころおかしな箇所があるとのこと。
今回の映像作品では、そんな間違った部分が訂正されることなく、字幕で紹介されています。




映像自体は、当時のものではなく、
荒木さんが現地に赴き、現在の姿を撮影してきたもの。
日本人が撮影した日本の映像なのに、
訪日したユーチューバーの妙な動画のような仕上がりになっています。


ちなみに、《The Last Ball》《戯訳「聖なる都・京都」「日光霊山」「江戸」》 も、
どちらも100年以上前の視点と現在の視点が、ややズレた感じで重なった不思議な味わいの作品です。
現代の僕らでも、この2つの映像作品に妙な違和感を覚えるわけですから、
100年後、200年後の人間が観たなら、さらに滑稽な印象を覚えることでしょう。
それこそが、荒木さんが考える 「時空を超えた (ニッポンの) お土産」 なのだとか。
う~ん、わかったようなわからないような・・・。
荒木さんから、とんだお土産を受け取った展覧会でした (笑)
星


ちなみに。
展覧会場には、資生堂の初代社長であり、
偉大なるアマチュア写真かでもあった福原信三が撮影した写真も飾られていました。




こちらは、なんとあのラフカディオ・ハーン、
またの名を小泉八雲の旧居にあった階段を撮った写真なのだそうです。
小泉八雲といえば、『怪談』。
階段と怪談。
ダジャレ・・・なのでしょうか。

なお、その写真の手前に荒木さんが設置したのは、階段箪笥。




おそらく、階段繋がり。
でも、何でまた、ただの階段ではなく、あえて階段箪笥を選んなのでしょう。
階段だんす・・・・・・ハッ、今回の展覧会のテーマは、舞踏会!
舞踏会と言えば、もちろんダンス。
ダジャレも複雑です。




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イームズハウス:より良い暮らしを実現するデザイン

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現在、Gallery A4 (ギャラリーエークワッド) では、
”イームズハウス:より良い暮らしを実現するデザイン” という展覧会が開催されています。




こちらは、20世紀を代表するデザイナー夫妻、
チャールズ・イームズとレイ・イームズによる名建築 「イームズハウス」 に焦点を当てた展覧会です。




イームズハウスは、夫妻の住宅兼スタジオ。
正面から向かって左にあるのが、住居。




右にあるのが、スタジオです。




竣工年は、1947年。
『アーツ・アンド・アーキテクチュア』 という建築雑誌の企画、
「ケーススタディハウス」 のうちの一つとして、ロサンゼルスに建てられました。
雑誌の一企画で、一軒家が建つだなんて。
なんともバブリーな時代です。

イームズハウスの画期的だったポイントは、多々ありますが、
まず何より斬新だったのは、当時の既製工業製品のみを使用して、建てられている点。
これは、今でいうプレハブ住宅の考え方を先取りしていた建築と言えるそうです。
くわえて、画期的なのは、外装部分が、自由に入れ替えが可能とのこと。




ガラスを嵌めるもよし、
カラフルなパネルを嵌めるもよし、
スタッコ (化粧漆喰) を嵌めるもよし。
組み合わせは無限大となっています。
とはいえ、イームズハウスの外装は、よりによって、ほぼガラス。




『いきなり!黄金伝説。』 のスケルトンハウスくらいにスケスケな家です。
プライバシーだだ洩れ。
名建築ではあることに異論はないですが、
この家に住めと言われたら、僕は丁重にお断りさせて頂きます。


さてさて、こちらの精巧な模型をはじめ、
イームズハウスの関連資料の数々を目にできて、十分に展覧会を堪能しましたが。





イームズと言ったら、やっぱりイームズチェア。
イームズ夫妻の代表作にして、ミッドセンチュリーの名作です。
欲を言えば、イームズ夫妻の展覧会ならば、イームズの椅子も展示して欲しいところ。
とはいえ、無料の展覧会に、そこまで期待するのは野暮かなァ・・・




と思ったら、さすがはGallery A4、その辺りも抜かりありません。
イームズチェアも、ちゃんと展示されていました。
それらの中には、イームズ夫妻と交流の深かった洋画家・猪熊弦一郎に贈った揺り椅子も。




だいぶ年季が入っています。
それもそのはず、こちらの椅子は、
実際に猪熊弦一郎のアトリエで長年使われていたものとのこと。
子どもたちが遊び倒した公園の遊具くらいの色褪せ具合です。


展示品なので、もちろん実際に座ることは出来ないのですが、
やはり椅子であるだけに、観るだけでなく座ってみないと、本当の良さはわかりません。
もう一つ欲を言えば、一つくらいイームズの椅子に座りたいところ。
とはいえ、無料の展覧会に、そこまで期待するのは野暮かなァ・・・




と思ったら、やはりGallery A4は抜かりなし。
映像コーナーの椅子が、イームズチェアになっていました。
鑑賞者のイームズ欲 (←?) に、きちんと応えてくれる。
至れり尽くせりな展覧会でした。


ちなみに、会場内に設置された展示台や壁が、
普通の展覧会のものとは、一風変わっていますが。
これは、イームズ夫妻が1952年にデザインしてから、
半世紀以上経った現代でも愛され続けるおもちゃ 「ハウスオブカード」 をモチーフとしたもの。




“より良い展示を実現するデザイン” が、会場の細部にまで行き渡っています。
イームズ夫妻のデザインの姿勢を、まさに地で行くような展覧会でした。
星




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