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明恵の夢と高山寺

大阪の “都心のオアシス” として人気のエリア・中之島。
そんな中の島の新たなランドマークとなっているのが、
高さ約200mを誇る中之島フェスティバルタワー・ウエストです。

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その4階部分に、昨年オープンしたのが、中之島香雪美術館。

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朝日新聞社の創業者である村山龍平 (1850~1933) が、
文化財保護のために収集した日本と東アジアの古美術コレクションを所蔵する美術館です。
ちなみに、館名にある 「香雪」 とは、村山龍平の雅号。
神戸に同名の香雪美術館がありますが、そちらは本館です。
香雪美術館の開館45周年を記念し、
朝日新聞創業の地である中之島に2番目の施設として開館したのが、中之島香雪美術館というわけです。

そんな中之島香雪美術館で特筆すべきは、
なんと館内に茶室がまるまる1棟建てられていること。
それも、路地付きで!

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こちらは、香雪美術館の本館にある重要文化財の茶室 「玄庵」 を、
部材の一つ一つに至るまで徹底的にこだわって、伝統工法で忠実に再現したもの。
さらに、周囲の風景も、CGで完全再現。
春夏秋冬、朝昼晩と変化する映像が、茶室の周囲の壁に投影されています。
この空間に足を踏み入れた瞬間、
超高層ビルの中にいることを、すっかり忘れてしまったほどでした。


さてさて、この春、めでたく開館1周年を迎えた中之島香雪美術館で、
現在開催されているのが、美術館初となる特別展 ”明恵の夢と高山寺” です。

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樹の上に絶妙なバランスで座っているのが、今展の主役である明恵。

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国宝 《明恵上人樹上坐禅像》 鎌倉時代 13世紀 高山寺蔵  (注:展示は、4/16~5/6)


“あきえ” ではなく、“みょうえ”。
京都の高山寺を再興した鎌倉時代の僧侶です。
4歳の時には火箸を腕に当てたり、
24歳の時には仏道を極める決意を表すため右耳を切り落としたり。
エピソードには、事欠かない明恵ですが、
特に有名なのは、19歳の時から約40年にわたって夢を記録し続けたというエピソード。
夜に見た夢だけでなく、昼に見た夢や白昼夢なども、こと細かく記録したのだとか。
そんな明恵の 「夢記 (ゆめのき)」 は、当時から珍重され、
点数にして470点以上という膨大な数が現在まで伝わっているそうです。

その大多数は、夢記の一部を切り取って掛け軸に仕立てたものですが、
村山龍平が所蔵していた夢記は、まとまった形で伝存する数少ない貴重な夢記。

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明恵 《夢記》 鎌倉時代 建仁4(1204)年頃 村山コレクション


春日明神の像を入手する夢といった普通の夢から、
頭髪が篠竹のように生える夢といったヘンテコな夢まで、さまざまな夢が記録されています。
一番気になったのは、仔犬を釣り針にかけて振り回してイジメるという夢。
一体、どんな願望の現れなのでしょうか??

展覧会では、この村山コレクションの 《夢記》 を中心に、
日本各地に所蔵される 《夢記》、夢記にまつわる絵画や資料などが紹介されています。
明恵の夢の世界に入り込む。
まるで 『インセプション』 のような展覧会です。

また、明恵の夢にまつわる作品だけでなく、
展覧会には、石山寺の至宝の数々も出展されています。
それらの中には、なんとあの作品も・・・・・

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(注:会場は撮影禁止です。記事に使用している画像は、中之島香雪美術館さんより特別に提供して頂いたものです)


そう。国宝 《鳥獣戯画》 です!

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国宝 《鳥獣戯画 甲巻》 平安時代 12世紀 高山寺蔵  (注:展示は、3/21~4/14)


展覧会のタイトルに、‟鳥獣戯画” の文字が無いからでしょうか。
2014年の京都国立博物館での “鳥獣戯画展” では、計150分待ち、
翌年の東京国立博物館での “鳥獣戯画展” では、計240分待ちで目にしたあの 《鳥獣戯画》 が・・・

まさかの0分待ちで観ることができました!

しかも、「立ち止まらず、ゆっくりと動きながらご覧ください」 なんてアナウンスもなし。
かぶりつきで、ゆったりと鑑賞することが出来ました。

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・・・・・夢じゃないよね??
ほっぺたをつねってみましたが、ちゃんと現実でした。
《鳥獣戯画》 をたっぷりと堪能できる贅沢な展覧会です。
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ただし、甲巻と乙巻が展示されるのは4月14日まで!
4月16日からの後期は、丙巻と丁巻が展示されるそうです。

ちなみに、あまりにもゆったり観られたので、《鳥獣戯画》 に関して新たな発見も。

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国宝 《鳥獣戯画 乙巻》 平安時代 12世紀 高山寺蔵  (注:展示は、3/21~4/14)


乙巻には、喧嘩するサイみたいな生き物や虎の家族、
足と尾っぽが絡まる龍や、口から蝶を出す獅子なんかも描かれていたのですね。
甲巻の影に隠れて、そこまでスポットが当たらない乙巻ですが、
じっくり鑑賞してみると、魅力的なキャラクターが多数登場していました。

魅力的なキャラクターといえば、
《鳥獣戯画》 に次ぐ、高山寺の人気キャラ 《子犬》 も出展されています。

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重要文化財 《子犬》 鎌倉時代 13世紀 石山寺蔵


丸みを帯びたフォルム。
ぴょこんと立った尻尾。
なんとも愛くるしいです。
ただ、じーっと見つめていたら、
なんとなく悲しげ、恨めしげな表情にも見えてきました。
もしかしたら、明恵の夢の中で釣り針でイジメられたのは、この子なのかもしれません。




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太陽の塔行ってみたらホントはこんなトコだった

2018年3月19日より、実に48年ぶりに 《太陽の塔》 の内部公開がスタートしました。
見学は前日までの事前予約制。
公開からしばらくの間は予約がほぼ不可能で、プラチナチケット化していましたが。
今年に入ってからは、多少は予約が取りやすくなったので、
スケジュールを調整し、先日、ついに 《太陽の塔》 との初対面を果たしてきました。
今回は、その顛末をお伝えいたします。


4月某日。
長年の憧れだった 《太陽の塔》 との初対面の日。
これまで、何度となく写真や画像で、
青空のもとで堂々と聳え立つ 《太陽の塔》 の姿を目にしてきたことでしょう。
当然、訪れる日も雲一つない青空だろうと信じて疑わなかったのですが、その日は、まさかの雨。
ノー太陽でした。
しかも、その日は、全国的に4月とは思えない寒さの一日。

"はァ。。。何でよりによって、こんな天気なんだ。。。"


テンションは最大限に下がっていましたが、
《太陽の塔》 が目の前に現れた瞬間・・・

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「わー!本物だ!!」

いっきに心が晴れました!
まさに、"心の太陽" の塔です。


初めて目の当たりにする 《太陽の塔》
そのファーストインプレッションは、単純に 「デカっ!」 でした。

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高さは、実に70m。
ビルにすると、20階建てに相当します。
足元から見上げた姿は、それはそれは迫力がありました。

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外観だけでも、もはや満足な気がしますが、
予約の時間が迫っていますので、館内に入ることにします。
館内は、1階部分のみ写真撮影。
海洋堂が復元した、《太陽の塔》 の第4の顔こと 「地底の太陽」 の脇を通って・・・

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いざ、生命の樹のもとへ。

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生命の樹とは、《太陽の塔》 のちょうどお腹の部分にある高さ約41mの巨大なオブジェ。
樹の幹や枝の部分には、原生生物からハ虫類、恐竜、
そして人類にいたるまでの生命の模型が取り付けられており、その進化の過程を表しています。
生命の樹の存在はもちろん知っていましたが、
ぶっちゃけ、「なんだそれはw」 と軽くバカにしていました。
ところが、実物を前にした瞬間、そのスケールの大きさ、
言葉通りの大きさ、進化の歴史という壮大さ、ダブルの意味で圧倒されました。
この強烈な光景は、おそらく今後一生脳裏に焼き付いて離れないことでしょう。

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また、最上部では、腕の内側を観ることができるのですが、
大量の鉄骨が張り巡らされたその様子は、SFチックで強烈的。
この光景も、おそらく今後一生脳裏に焼き付いて離れないことでしょう。


ちなみに。
生命の樹の上部には、ゴリラの模型もあるのですが、
なぜか頭部だけロボットの部分が剥き出しになっていました。
その理由は、万博終了後、ずっと放置されていたため、劣化し脱落してしまったから、とのこと。
しかし、半世紀という時の流れを感じてもらえるよう、
あえて、他の生物は修復したにも関わらず、ゴリラだけは約50年前の姿にとどめたのだそうです。
ただ、頭部だけメカニカルなゴリラは、まるでターミネーターのよう。
むしろ、近未来感が出てしまっていた気がします。。。

ちなみにちなみに。
1階から最上階に登るまでは、圧倒されっぱなしでしたが、
帰りは、何とも味気ない階段を、ただひたすら降り続けさせられることに。
行きと帰りのルートの落差が、べらぼう。
それが、《太陽の塔》 です。


さてさて、ゴリラや帰りのルート以外にも、
《太陽の塔》 に行ってみて初めて発見することが他にもありました。
最後に、それらをまとめてご紹介いたしましょう。


●大屋根の一部が、ちゃんと残されていた

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《太陽の塔》 とともに、大阪万博のシンボルであった丹下健三設計の大屋根。
その一部が、かつてお祭り広場だった場所で保存されていました。
"大" 屋根の名に偽りなし。
想像していた倍以上の大きさはありました。

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《太陽の塔》 グッズ限定のヴィレヴァンがある!

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万博公園の中央口を入ってすぐのところに、
太陽の塔グッズ限定のヴィレッジヴァンガードがありました。
ここでしか買えないグッズが多数取り揃えられています。
さらに、店頭には、ここでしか手に入らないガチャガチャも。
散財必至です (汗)。

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《太陽の塔》 撮影用のカメラスタンドがある!

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《太陽の塔》 のベストショットが狙えるカメラスタンド。
雨が降ってなかったら、試してみたかったものです。


●吹田市のマンホールは、《太陽の塔》 柄!

万博公園内には、もちろん (?) たくさんの 《太陽の塔》 がいましたが。

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万博公園近辺のマンホールでも、《太陽の塔》 モチーフを発見!

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なんと魅力的なマンホールなのでしょう♪
グッズ化希望です。




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花・Flower・華―四季を彩る―

この春、山種美術館で開催されているのは、
"花・Flower・華―四季を彩る―" という展覧会。
山種美術館が所蔵する作品の中から、選りすぐりの花の名品が一堂に会しています。

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(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


会場は、まさに百花繚乱!
広尾の地で新装開館して10周年を記念するに相応しい華やかな特別展です。
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星
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梅に桜に、牡丹に菊に椿に紫陽花に…etc
もちろん展示されていた日本画の数々も華やかだったのですが、
通常の展覧会以上に若い女性客が多く、会場そのものがいつにもまして華やかでした。

・・・・・・ん、なぜ??

カフェ脇に貼られていたポスターを見て、その答えが判明しました。
なるほど、こんなコラボ企画が開催されていたのですね。

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『明治東亰恋伽』、通称、めいこい。
明治にタイムスリップしてしまった主人公が、
史上の偉人たちと出会い、恋に落ちるという歴史恋愛ファンタジーゲームなのだそうです。
根強いファンが多く、現在では、アニメ化や舞台化もされているほどの人気ぶりなのだとか。
そんな "めいこい" の主要キャラの一人が、日本画家の菱田春草とのこと。
(イケメンキャラ化された菱田春草の姿が観たい方は、こちらをクリック)

確かに言われてみれば、展覧会で1点のみ写真撮影可となっていた・・・

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菱田春草の 《白牡丹》 の前に、若い女性が集まっていましたっけ。
きっと、FacebookやInstagramに写真をアップするのでしょう。
菱田春草が描いた明治の上品な日本画に、
まさか平成 (もうすぐ令和) の若い女性たちが熱い視線を送る日が来ようとは。
誰が予想できたでしょうか。
とは言え、めいこいファンたちは決してミーハーな感じではなく、
むしろ一般の美術ファンよりも真剣に鑑賞しているように思えました。
めいこいを通じて、日本画にも恋してくれたのかもしれないですね。

ちなみに、コラボ企画は他にも。
展覧会期間中、山種美術館のショップでは、
ここでしか買えないオリジナルの缶バッジが販売されています。

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展覧会初日から、すでに大量の缶バッジが売れたそう。
ゲットしたい方は、早めに山種美術館に行かれることをオススメいたします。


さてさて、このままでは、"めいこい" のレビューで終わってしまいそうなので (笑)
展覧会の出展作品から気になった作品を、いくつかご紹介いたしましょう。
まずは、画面向かって左の 《桜下美人図》 から。
作者は、菱田春草です(←結局、春草かい!)。

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パッと見は、江戸の肉筆画のよう。
実に古風な作品です。
しかし、この絵を描いたとき、春草はわずか20歳。
いかに早熟であったかがわかります。
ただ、女性や桜の描写は非凡なのですが、
画面の右をよーく見てみると、何やら謎の生物が。。。

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犬?いたち?もしくは、地球外生命体??
離れ目にもほどがあります。

画面にちょこんと登場する生物といえば、こちらの作品にも。

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小茂田青樹の 《四季草花画巻》
文字通り、四季の草花の数々を描いた画巻です。(注:会期中、展示替えあり)
それら草花の中に一匹だけネズミが紛れ込んでいました。

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それも、白と黒のネズミが。
まるで、隠れミッ●ーのようです。

そんな 小茂田青樹の 《四季草花画巻》 以上に、
ディズ●ーっぽさが感じられたのは (←?)、田能村直入 《百花》 という作品。

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田能村直入 《百花》(部分) 1869(明治2)年 絹本・彩色 山種美術館


全部で100種の花が咲き乱れる画面は、
どことなく、花々が行進しているようにも見えました。
まさに花のパレード。
耳をすませば、あのメロディが聴こえてくるようです。




ちなみに、今回出展されている作品の中で、
一番印象に残っているのは、山口蓬春の 《唐壺芍薬》 という一枚でした。

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山口蓬春 《唐壺芍薬》(部分) 1964(昭和39)年 絹本・彩色 山種美術館 ©公益財団法人JR東海生涯学習財団


もちろん、咲き誇るシャクヤクにも目を奪われたのですが。
それ以上に、壺のカラーリングが気になってしまいました。
3色団子みたいだなァ。ひし餅みたいだなァ。こういう棒アイスあったなァ。

・・・・・結局、花より団子。





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櫛野展正のアウトサイド・ジャパン展

現在、Gallery AaMoで開催されているのは、
“櫛野展正のアウトサイド・ジャパン展” という展覧会。

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こちらは、日本唯一のアウトサイダー・キュレーター櫛野展正さんによる、
アウトサイダー・アートの展覧会で、70名を超える作家が参加する大規模なものです。
近年では、アウトサイダー・アートというと、「障碍者によるアート」 と捉えられがちですが。
本来の意味は、「美術の教育を受けていない人々によるアート」 のこと。
障がいの有無にかかわらず、表現せずには生きられない人々が紹介されています。

例えば、1992年生まれのけうけげんさん。

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彼は、お笑いが大好きなあまり、
13歳の時より、架空の芸人を描き続けているのだそう。
彼が生み出した架空の芸人は、名前やコンビ名だけでなく、
キャラクター設定や所属事務所、芸歴や持ちネタまで詳細に決められているとのこと。
その数は、すでに1000組以上を超えているのだそうです。
もう、普通に芸人やればいいのに。


また例えば、自称・宇宙のオリオン座大星雲M423 α‐α-α生まれの景山八郎さん。

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若き日の彼は、天体の発見やロケットの設計など、
普通 (?) に、天文の研究をしていたそうなのですが。
ある時から、隕石やUFOに興味がシフト。
現在では、新宿にある 「宇宙村」 の村長として、宇宙パワーシールなどを販売しているそうです。
ちなみに、展示されているのは、そんな景山さんが、
今から約20年前にテレパシーで描いたという宇宙人のスケッチの数々。
貝型宇宙人って、何?
顔と手の生え方が衝撃的でした。
グレイ型宇宙人よりも恐ろしいビジュアルです。


他にも、家族写真を画像編集ソフトで加工し、
9歳から現在まで毎年休まず、こだわりの年賀状を制作し続けている深沢佳名子さんや、

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元々はブライダル中心の貸衣装店だったのに、
今では独創的な衣装で、ド派手な成人式文化の一翼を担っているというみやび小倉本店など、

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強烈なキャラ (一部、企業) が、続々登場します。
展覧会を観ているというか、『月曜から夜ふかし』 を観ている感覚に近い件。

しかも、すべての作家のキャラが濃いうえに、作品数も尋常ではありません。

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その数、実に2000点以上!
観終わる頃には、完全にグロッキー状態でした。
これほどまでに、ぐったりした展覧会は初めてかも (笑)
何はともあれ、良くも悪くも、
自分が普通の人間であることを実感させられる展覧会でした。
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ちなみに。
今回参加している人々の中で、他にも印象的だった人々をご紹介。
まずは、沖縄県の玉木秀一さん。

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どこからどうみても普通の盆栽にしか見えませんが。
その正体は、ペットボトルや束ねた端切れ。
その上から絵の具を塗り、松の造花や水草を取り付けたものなのだそうです。

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そう言われても、立派な盆栽にしか見えません。
安価な材料で、盆栽風のものを作ってしまう。
謎の才能です。


続いては、2000年生まれの及川陣太さん。

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幼い頃より、デコトラに魅せられ、
中3の時には独学で、デコトラならぬデコチャリを制作してしまったのだとか。
今回出展されているのは、2017年頃より1年かけて制作したアップデートver.とのこと。

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デコトラとは違って、威圧感は全く無し!
補助輪がキュートです (笑)


最後に紹介したいのは、ダンスをしながら髪を切る美容師・藤堂正之さん。

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65歳になる現在も現役バリバリで踊っているそうです。
モニターでは、マイケル・ジャクソンの曲に合わせて、
踊りながら髪をカットする一連の様子が再生されていました。
ステップ。ステップ。カット。ターン。
ほとんどダンス。髪を切ることのほうが、むしろおまけな感じでした。
僕だったら、さすがに途中で、「いいから、切れよ!」 とツッコんでしまうでしょう。
スゴイのは藤堂さんよりも、微動だにしないお客さんでした。


 ┃会期:2019年4月12日(金)~5月19日(日) ※開催期間中無休
 ┃会場:Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)
 ┃
https://www.tokyo-dome.co.jp/aamo/event/kushino2019.html

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “アウトサイド・ジャパン展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、4月26日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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ニッポン制服百年史ー女学生服がポップカルチャーになった!

まもなく、平成が終わろうとしています。
平成とは、どんな時代だったのでしょうか?
その問いに対して、

「平成は制服の時代だった!」

と答える展覧会があります。
それは、“ニッポン制服百年史ー女学生服がポップカルチャーになった!”
昨年開催された “セーラー服と女学生” に次ぐ、弥生美術館の制服シリーズ (?) 第2弾です。

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今回は、セーラー服に限定せず、
洋装女学生服全般をテーマとしています。
展覧会の冒頭を飾るのは・・・

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(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


山脇学園のワンピース式制服。
こちらは、1919年に誕生した日本初の洋装制服とのこと。
それからちょうど100年、ほとんど同じ姿で、現在に受け継がれているのだそうです。

そこから、しばらくは制服は限られた女学生だけが身に着けるものでしたが、
1950年代に入ると、中学校が新設されることになり、誰もが制服に袖を通す時代がやってきます。
さらに、時は流れて、1980年代。
『今日から俺は!』 の時代に突入すると、一部の男女の間で変形学生服が流行します。

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会場には、当時の変形学生服のメーカーのポスターが展示されていましたが、
こういった刺しゅう入りの制服が普通に市販されていたことに、驚きを隠せませんでした。
というか、なぜにアメフト (笑)??

さて、変形学生服がツッパリたちに流行していたその一方で、
ニッポン制服百年史におけるもっとも重要な制服が、80年代前半に産声をあげたそうです。
(↑ここ、たぶんテストに出ますw)

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頌栄女子学院と嘉悦女子 (現・かえつ有明) の2校が、相次いで制服をモデルチェンジ。
エンブレム付きのブレザーに、
タータンチェックのスカートという斬新なスタイルは、一躍、当時の女子の憧れの的に!
そのため、東京を代表する人気校に上り詰めたのだそうです。
それがきっかけとなり、制服をモデルチェンジする学校が激増!
平成30年間で制服をモデルチェンジした高校は、なんと1万校を優に超えているのだそうです。
確かに、そういう意味では、平成は制服の時代と言えるのかもしれません。

さらに、「平成=制服の時代」 を決定づけるのが・・・

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そう、コギャル文化です。
アムラー。ガングロ。ルーズソックス。エクステ。プリクラ。
平成の流行の多くは、コギャルが生み出したと言っても過言ではなさそうです。
なお、その当時のコギャルの制服の着こなしも、マネキンで完全再現されていました。

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世代ドンピシャなので、こんな着こなしの女子が多かったなァと懐かしい気持ちになりました。
(パネルで 「他校バッグ」 が流行っていたこと、
 特に昭和第一高校のバッグが人気と紹介されていましたが、千葉県にはその文化がなかったようなw)

それ以上に懐かしかったのが、腰パン。
僕は腰パンをしなかったですが、ヤンチャな男子はしてましたっけ。


制服の百年史。
キワモノ系かと思いきや、意外や意外、
制服にきちんと時代や世相が反映されていました。
文化史の展覧会として、非常に興味深かったです。
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ちなみに。
展覧会では他にも、実在する学校の制服を着たリカちゃん人形や、

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特に制服の描写に定評のある現在人気急上昇中のイラストレーターたちの作品が紹介されています。

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さらには、『KING OF POP』 こと江口寿史さんのイラスト作品も。

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内容盛りだくさん。
誰もが制服を着ていたあの頃に戻れる展覧会です。




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新・無料で観れる 美術百選 《なんばパークス パークスタワー(大阪府大阪市)》

難波駅のほど近くにある複合施設・なんばパークス。
そのランドマークとなる高さ150m地上30階のパークスタワーに、
なんでも、「あっ!」 と驚くようなパブリックアートがあるそうです。

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2階のエントランスをくぐって、
すぐ右に目を向けたところ、早速、作品のキャプションを発見しました。

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新・無料で観れる 美術百選 086  山下工美 《まちのながめ》

・・・・・・・ところで、肝心の作品はどこに??

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もしかして、公衆電話にしか見えないソレが作品なのでしょうか。
それとも、左側の非常扉的なものが作品なのでしょうか。
はたまた、バカには見えない作品なのかもしれません。
一番可能性が高いのは、キャプションの上にある照明器具ですが・・・

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どこからどう見ても、何の変哲もない照明器具です。
《まちのながめ》 感はありません。

とりあえず、この照明器具が照らす先に、目を向けてみましょう。
すると、そこには、壁に大量に貼り付けられた謎のオブジェが!

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どうやら一つ一つは、数字を表しているようです。

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こちらがアート作品であることは、もはや疑いようがないのですが。
たくさんの数字が、一体何だというのでしょうか?
間近でマジマジと見つめてみましたが、さっぱりよくわかりません。
諦めて、3470 (さよなら) しようと、作品から離れたその瞬間です。

「あー、なるほど!そういう作品なのか!」

思わず、28 (ニヤ) っとさせられました。

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数字のオブジェの影が合わさることで、
横向きの女性のシルエットが生み出されていたのです。

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よく見れば、手すりを掴む手の部分まで影で再現されています。
実に、49 (よく) 作られた作品です。
ちなみに、作者の山下工美さんは、
このように光と影を巧みに操った作品を、これまでにも数多く制作しているのだとか。

1031 (天才) かよ。


<無料で観れる美術 データ>

なんばパークス パークスタワー

住所:大阪府大阪市浪速区難波中2-10-70
アクセス:○南海 「なんば駅」 中央口・南口直結
     ○地下鉄御堂筋線 「なんば駅」 徒歩3分




この美術室を盛り上げるワンクリックも、無料で出来てしまいます↓
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OKETA COLLECTION:LOVE @ FIRST SIGHT

ファッションビジネスに長年携わってきた桶田俊二・聖子夫妻によって収集されたアートコレクション。
それが、桶田コレクション (OKETA COLLECTION)。
これまで一般公開されたことがない、知る人ぞ知るアートコレクションです。
そんな桶田コレクションが、ついに一般公開!
現在、表参道のスパイラルで開催中の展覧会、
"OKETA COLLECTION:LOVE @ FIRST SIGHT" にて公開されています。

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出展されているのは、数百点を超える桶田コレクションから厳選された約20点。
展覧会のタイトルに “Love at first sight” とあるように、
桶田夫妻が "ひと目惚れ" した作品が一堂に会しています。

会場に入って、まず目に飛び込んでくるのは、
桶田夫妻が現代アートの世界に、のめり込むきっかけとなったという草間彌生さんの作品群です。

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その中でもとりわけ目を惹く、巨大な 《南瓜》 の絵画作品は、

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なんと、草間さんの故郷にある松本市美術館が所蔵するカボチャ作品と同サイズ。
つまり、現時点で最も大きな 《南瓜》 の平面作品というわけです。
それが、まさか個人のコレクションだなんて!


・・・・・と、驚いたのも束の間。
“世界のムラカミ” こと村上隆さんの巨大なキャンバス作品や、

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国内外でカルト的な人気を誇る五木田智央さんの巨大なキャンバス作品、

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さらには、セクシーロボットで知られる空山基さんの最新作など、

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今もっともキテいる人気アーティストたちの作品が、次から次へと登場。
もはや、いちいち驚いている余裕はありませんでした。
くどいようですが、これらすべてが個人コレクションだなんて!

「お金は寂しがり屋、お金のあるところに集まる」 と、言いますが。
アートも、寂しがり屋で、あるところに集まるものなのかもしれません。

なお、会場での写真撮影は、基本的に全面OK!
しかも、入場料は無料!
桶田夫妻には足を向けて寝られない。
そう実感した展覧会です。
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星



ちなみに。
桶田夫妻が一目惚れした作品の数々は、
どれも見ごたえがあり、ついつい横恋慕してしまいましたが。
特に心を奪われたのは、こちらの巨大な絵画作品です。

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作者は、アメリカ出身のストリートアーティストKAWS。
バッテンの目がトレードマークで、
最近ではユニクロのTシャツとコラボしたことでもお馴染みのアートティストです。
パッと見は、抽象画のように感じられますが、
実は、目がバッテンのスヌーピーがレイヤーで描かれています。
可愛くて、クール。
センス良すぎな作品です。


パッと見は抽象画のよう、といえば、
トッド・ジェームスのこちらの作品も。

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目に飛び込んできた瞬間は、何が描かれているのかサッパリわかりませんでしたが。
しばらく眺めるうちに、室内を描いた絵であること、
女性が描かれていること、やたらと胴が長い猫が描かれていること、などなど、
さまざまな情報が判明しました。
女性はおそらく煙草を手にしているのでしょうが、
中指を立てているように見えて仕方がありません。
画面右に描かれたスツールは、プールの監視員用の椅子に見えて仕方ありません。
画面手前の水差しは、バーバパパに見えて仕方ありませんでした。
観れば観るほど、いろんなところが気になってくる。
白昼夢のような印象の絵でした。


最後に、もう1つ印象的だった作品をご紹介いたしましょう。

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こちらは、今若者に人気のファッションブランドOff-Whiteのディレクターでもあり、
建築家やグラフィックデザイナー、DJなど、マルチに活躍するヴァージル・アブローの作品。
黒いキャンバスに、「広告はこちら」 の文字と、謎の電話番号が浮かび上がっています。
現在はさすがに使われていないでしょうが、
作品を発表した当時は、実際にこの番号に電話をかけると、
Off-Whiteのデザイナーが、コレクションの説明をしてくれたのだそうです。

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ちなみに、黒い部分は、近づいて見ると、執拗に塗りつぶされているのがわかります。
なんでもヴァージル・アブローは、
18時間かけて、このキャンバスを黒く塗りつぶしたのだとか。
さっと見て終わりではなく、じっくりと隅々まで観てあげてくださいませ。




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メアリー・エインズワース浮世絵コレクション

現在、千葉市美術館で開催されているのは、
"メアリー・エインズワース浮世絵コレクション -初期浮世絵から北斎・広重まで" という展覧会。

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(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


こちらは、知る人ぞ知るアメリカ人女性浮世絵コレクター、
メアリー・エインズワースが母校に寄贈した1500点以上の浮世絵コレクションの中から、
選りすぐられた200点が、初里帰りを果たす展覧会です。
ちなみに、彼女の母校の名は、オーバリン大学。

「ん?なんとなく似たような名前の大学が日本にあるような・・・」

と思ったら、やはり桜美林大学の名は、
創立者がオーバリン大学の卒業生であることに由来するそうです。


・・・・・・と、それはさておきまして。
美人画の名手・喜多川歌麿に、

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謎の浮世絵師・東洲斎写楽に、

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ご存じ葛飾北斎に、

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そして、エインズワースが一番お気に入りだった歌川広重に、

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さらに、鈴木春信に鳥居清長に歌川国芳に渓斎英泉に、
有名どころ、人気どころはバッチリと抑えているエインズワース浮世絵コレクション。
くわえて、まだモノクロだった頃の墨摺絵や、
1枚1枚筆で彩色していた頃の丹絵や紅絵といった・・・

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現存数の少ない貴重な初期浮世絵が充実しているのも、
エインズワース浮世絵コレクションの大きな特徴の一つです。
ちなみに、

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画面右の奥村政信の 《羽根突きをする美人》 は、
現時点で、この1点しか存在が確認されていない超希少な浮世絵作品なのだそう。
まさに、"激レアさんを連れてきた" といったところです。


さてさて、人気作も多く含まれていて、
そのうえ、貴重な作品も充実しているにも関わらず。
これまで、アメリカ本国でさえ、
エインズワース浮世絵コレクションが公開されることは、ほとんどなかったのだそうです。
それはすなわち、保存状態が良好ということ!
エインズワースは、周囲の白い部分はお気に召さなかったのでしょうか、
ほとんどの浮世絵の枠が、容赦なく、ばっさりとカットされていましたが。

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肝心の絵の部分は、無傷。
ほぼ当時のままの鮮やかな色彩が保たれていました。

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浮世絵ファンならずとも、是非抑えておきたい展覧会。
「でも、千葉市は遠くて・・・」 と躊躇している皆さま、
来日中のこの機会を逃すと、あとはオハイオ州まで足を運ばねばなりませんよ。
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星
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なお、今回出展されていた浮世絵の中で、
個人的にもっとも印象に残ったのは、西村重信の 《釈迦涅槃図》

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涅槃図そのものは、あまり珍しくないですが。
浮世絵の涅槃図は、初めて目にしました。
さて、こちらの涅槃図。
お釈迦様の入滅の様子を描いた絵であるのに、
絵のタッチは、実にのほほんとしており、全体的にゆるい空気が流れています。

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悲しみが、これっぽっちも伝わってきません (笑)
誰とは言いませんが、むしろ笑みを浮かべているヤツさえいます。
カメラ目線を決め込んでるヤツもいます。
これでは、お釈迦様も浮かばれますまい。


ちなみに、現在、千葉市美術館では、
"ピーター・ドラッカー・コレクション水墨画名品展" が同時開催されています。
("メアリー・エインズワース浮世絵コレクション" のチケットで鑑賞できます!)

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こちらは、あの懐かしのベストセラー・・・




通称、『もしどら』 でお馴染みのマネジメントの父、
ピーター・F・ドラッカーの日本美術コレクションのうち約50点を公開する展覧会です。

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実は、2015年に一度、千葉市美術館で、
ドラッカー日本美術コレクション展が開催されていますが。
その後、とある日本の企業が、そのコレクションを取得。
そして、それらをまとめて、千葉市美術館に寄託したのだとか。
今回の展覧会は、そのお披露目を兼ねて開催されたものなのだそうです。

ドラッカー日本美術コレクションの中核をなすのは、
室町時代の水墨山水画と、全体的にはやや渋めの作品が多いですが。
中には、伊東若冲や曽我蕭白といった奇想の系譜の絵師たちの作品も。

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さらには、仙厓のゆるい禅画もコレクションに彩りを添えています。

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↑こちらは、《蛙図》
蛙の目線の先に描かれているのは、ミミズだそうです。
完全に干からびているような。。。




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ムーミン展 THE ART AND THE STORY

今年2019年は、日本とフィンランドが国交を樹立して100周年という節目の年。
それを記念して、現在、森アーツセンターギャラリーでは、
フィンランドを代表する芸術家トーべ・ヤンソンが生みだしたあの世界的キャラクター・・・

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トーベ・ヤンソン 《「ムーミン谷の彗星」挿絵》 1946年、1968年(改作) インク・紙 ムーミン美術館
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そう、ムーミンにスポットを当てた大規模な展覧会、
"ムーミン展 THE ART AND THE STORY" が開催されています。

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(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


ムーミンの展覧会といえば、2014年から2015年にかけて、
松屋銀座を皮切りに、全国10会場を巡回した "MOOMIN! ムーミン展" が記憶に新しいところです。
その展覧会では、フィンランドからムーミン小説の貴重な原画の数々が来日して話題となりましたが。
今展でも、フィンランドのムーミン博物館から、
ムーミン小説全9作の貴重な原画やスケッチの数々が来日しているのは、もちろんのこと。

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併せて、ムーミン小説を手がける前に、
トーベが描いていた政治風刺雑誌 『GARM』 の貴重な挿絵も来日しています!

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ムーミンと政治風刺雑誌。
一見すると、何の関係もないような気がしますが。
実は、隅々までよーく目を凝らして見ると、
ムーミンの原型ともいえるキャラクターが描き込まれているのです。
いわば、ムーミンのエピソード1。

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さらに、『過去最大級規模のムーミン展』 を謳う今回の展覧会は、
ムーミンの小説や元祖ムーミンだけにとどまらず、絵本版ムーミンの原画の数々や、

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ムーミンキャラクターズ社が所蔵する貴重な初期のムーミングッズの数々、

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意外なところでは、演劇やオペラなど舞台化されたムーミンに関する資料も紹介されています。

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総展示数は、なんと約500点!
まさに、オールアバウト・ムーミン展。
ムーミンのすべてを網羅した決定版といえる展覧会です。
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星
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なお、展覧会も大充実していますが、
お土産コーナーも、同じくらいに大充実しています。

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お土産コーナーというか、もはや普通に専門店のレベル。
先行販売のグッズやここでしか買えないグッズも多数取り揃えられていました。
こちらもまたムーミンショップの決定版 (←?)。
散財確定ですので、お財布には余裕をもって出かけましょう。

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ちなみに。
個人的に、今展で一番印象深かったのは、
トーベと日本の関わりを紹介したコーナーです。
実は、日本でのアニメの番宣のため、2度ほど来日したというトーベ。
そんな日本滞在中に描いたスケッチ (右上には富士屋ホテルのロゴが!) や、

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参加したイベントや各観光地で撮影された写真が紹介されていました。

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(↑ムーミンの着ぐるみのクオリティが、中国の某遊園地なみ!)


また、浮世絵にも興味を持っていたというトーベ。
最後のコーナーでは、トーベの作品と、
彼女の作品に影響を与えたと思われる浮世絵と並べる形で紹介されていました。

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まさかムーミン展で、浮世絵が観られるとは!
なんとも斬新な試みです。
確かに、影響を受けたと思われる作品もありましたが。

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似てるっちゃ似てるけど。。。
「だって そんな まさか ううん」 と首を傾げたくなるようなものもチラホラ・・・ (笑)
この件に関して、トーベに風刺画を描かれないことを願うのみです。

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最後に、約500点あった展示品の中で、
個人的にどうしてもツッコみたくなってしまったものをご紹介。
それは、とあるムーミンの塗り絵の原画 (画面右) です。

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画面を大きく占めるのは、
ムーミンにムーミンママに、たくさんのニョロニョロ。

ほとんど白ばっかじゃねーか!!

塗り絵なのに。




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名画IPPONグランプリ 第13問&第14問




出張授業などでお世話になった小学生たちに、
名画に関する大喜利に挑んでもらい、その中から厳選されたオモシロ回答だけを紹介していく企画。
それが、名画IPPONグランプリです。

早速、今回のお題となる絵をご紹介いたしましょう。

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ルクランシェ博士



風景画のイメージが強いクロード・モネが描いた肖像画 《ルクランシェ博士》
以前、"軽くイラっとくる美術" という記事でも紹介した一枚です。
やはり小学生たちも、この絵を観て軽くイラっとしたのでしょうね。
全体的に、カチンとくる感じのセリフが多かったです。
ルクランシェ博士を嫌いになっても、小学生たちは嫌いにならないでください。

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まずは、こんな回答から。

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態度、悪っ!
何かにつけてイチャモンをつけたがる人っていますけど、まさにソレ。
嫌々モデルをしている感じが、びんびんに伝わってきます。

その数十分後にルクランシェ博士が発したと思われるセリフがこちらです。

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なんだ、お前!
あぁ、いいよ!もう帰れよ!
売り言葉に買い言葉となること必至。


続いては、違う角度からイラっとさせられる回答です。

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どういうシチュエーションなん?
何故、コイツに、イイ女をあてがわなくてはならないのか??
ちなみに、この回答を考えてくれたのは、女の子でした。
この発想は、どこから生まれたのでしょうか。
少し心配になりました (笑)

ラストは、こんな回答です。

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やくみつるだけが、軽くイラっとする回答です (笑)
「似せてねぇよ!」 と反論したいところでしょう。
どちらかと言えば、ミニにタコが出来る前のマーシーにも似ているような。


さてさて、今回はもう1問あります。
お題となる名画は、こちらです。

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フランスの動物画家ジャン=バティスト・ウードリーの 《犬のサロン》 という一枚です。
作品自体がすでにボケているので、
一見すると、笑いは取りやすそうな感じはありますが。
逆に要素が多すぎて、難しいお題だったかもしれません。

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まずは、小学生あるあるな回答から。

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牛乳を拭いた雑巾って、何であんなに臭いんでしょうね。
そんな懐かしい記憶が小学生時代ぶりに蘇る回答でした。
嬉しくないことに、匂いまで蘇ってきました。


続いては、画面右の犬のポーズに注目した回答です。

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確かに、カメラ目線でツッコんでますね。
そして、確かに、ツッコミのテンポがズレている感じもします。
片方が偉い人、片方がその配下という設定の髭男爵的なコンビなのでしょうか。


ツッコミを入れているという視点で見ると、
ジワジワ面白くなってくる回答がありました。

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水煙草をポッキーと勘違いするというベタベタなボケ。
それにツッコむ犬。
犬の下の赤いのが、レッドカーペットに見えてきました。


最後は、こんな回答です。

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小学生の回答とは思えないダジャレのクオリティ。
すぐにでも放送作家になれそうです。


じゃあ、例によって一応、僕の回答も。

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・・・・・・・・・以上、名画IPPONグランプリでした。




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フェルメール展

2000年に大阪市立美術館で開催され、
入場者数60万人を記録した “フェルメールとその時代展” 。
それが、記念すべき日本初のフェルメール展です。
もし、この展覧会がヒットしていなかったら、
今の日本でのフェルメールブームは無かったかもしれません。
そんな日本におけるフェルメールブーム発祥の地・大阪市立美術館で、
実に19年ぶりとなる “フェルメール展” が、5月12日まで開催されています。

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"フェルメールとその時代展” に出展されたフェルメール作品数は、5点でしたが。
今回の展覧会では、それを上回る6点が出展されています!
大阪・・・いや、西日本でも過去最大級となる出展数です。

とは言え、先日まで東京で開催されていた “フェルメール展” の出展数は、9点。
その中には代表作の一つである 《牛乳を注ぐ女》 も含まれていました。
それと比べてしまうと、大阪会場は、ややパンチに欠けているような。。。

いやいや、しかし、大阪だって負けてはいません!
東京会場ではラスト1ヶ月でしか展示されなかった・・・

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ヨハネス・フェルメール 《取り持ち女》 1656年 油彩・カンヴァス 143×130cm ドレスデン国立古典絵画館
bpk / Staatliche Kunstsammlungen Dresden / Herbert Boswank / distributed by AMF



フェルメールの門外不出の作品 《取り持ち女》 が、
大阪会場では、なんと会期中ずっと出展されています!
しかも、東京会場と比べて、なんと入場料が900円もお得です!
東京会場を見逃してしまった方はもちろんのこと、
すでに東京会場を鑑賞して満足されている方にも、是非、大阪会場をオススメしたい!

“そうはいっても・・・大阪は遠いからなァ・・・”

と躊躇している関東圏の皆さま、大阪会場ならではの魅力は他にもあるのです。
まず何と言っても、大阪会場限定の 《恋文》 が出展されています。

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ヨハネス・フェルメール 《恋文》 1669-1670年頃 油彩・カンヴァス 44×38.5cm アムステルダム国立美術館
Rijksmuseum. Purchased with the support of the Vereniging Rembrandt, 1893

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こちらは、フェルメール全35点の作品のなかで、
もっともサスペンスフルな1点というべき作品です。
手紙を受け取った女性とその使用人の様子が、
まるで隣の部屋から覗き込むかのように描かれています。
緊張感が漂い、どことなくヒッチコック映画を彷彿とさせるものがあります。
タイトルこそ、《恋文》 と、キュンと甘酸っぱい印象ですが、女性が浮かべているのは不安げな表情。
もしかしたら、手紙でいきなり別れを告げられたのかもしれません。
いや、もっと想像力をたくましくすれば、
女性を一途に思うストーカーからの恋文ということも考えられます。
「・・・・・これ、誰からの手紙なのかしら?」
おそるおそる手紙の封を切ると、そこには、

『いつもリュートを弾く貴女を見ています』

の一文が。
自分で想像して、なんだかゾッとしてきました。


・・・・・と、それはさておきまして。
大阪会場をオススメするもう一つの理由は、会場の雰囲気作り、演出の巧みさです。

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(注:会場は撮影禁止です。記事に使用している画像は、「フェルメール展」PR事務局より特別に提供して頂いたものです)


東京会場ももちろん素敵だったのですが、
大阪会場と比べてしまうと、その差は歴然!
同じ展示品でも、会場の雰囲気や演出でここまで違った印象になるのかと驚かされました。
特に実感させられたのが、フェルメール以外の作家の作品の展示の仕方。
東京会場では、メインであるフェルメールルームを引き立てるための、
まるで前座のような扱いで、フェルメール以外の作家を、その他大勢な感じで紹介していましたが。
大阪会場では、1点1点のキャラを立てるように、
まさにバイプレーヤー的な扱いで、フェルメール以外の作家を紹介しています。
そのため、フェルメール以外の作家もそれぞれ、しっかりと輝きを放っていました。

特に印象的だったのは、ヘラルト・ダウの 《本を読む老女》
(東京会場で何度も目にしたはずなのに、記憶にほとんど無い・・・w)

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ヘラルト・ダウ 《本を読む老女》 1631-1632年頃 油彩・板 71.2×55.2cm アムステルダム国立美術
Rijksmuseum. A.H. Hoekwater Bequest, The Hague, 1912

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何より目を惹かれたのは、老女の手の甲。
年月を積み重ねてきたであろう皴のリアルさに、思わず見入ってしまいました。
出来ることなら、ニベアをプレゼントしてあげたい。
本を読むのも辛そうなので、ハズキルーペもプレゼントしてあげたいです。


それから、ヤン・ステーンの 《家族の情景》 も印象的な一枚。
(こちらも東京会場で何度も目にしたはずなのに・・・)

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ヤン・ステーン 《家族の情景》 1665-1675年頃 油彩・板 48.5×40cm アムステルダム国立美術館
Rijksmuseum. On loan from the City of Amsterdam (A. van der Hoop Bequest)

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描かれているのは、とある家族。
空のワイングラスを手に、お代わりを要求するヤツもいれば、
背もたれに思いっきりもたれ掛かるヤツ、股を拡げて煙草を吹かすヤツも。
家族全員、柄が悪いです。
そんなヤンキー家系に生まれた子供は、
テーブルの上に靴で立ち、早くもその片鱗を見せつけています。


最後に。
もう一つご紹介したいのが、ヨブ・ベルクヘイデの 《パン屋でレースを編む女》
(注:画像はありません。あしからず。是非、会場でご覧ください!)
ヨブ・ベルクヘイデという画家は初めて知りましたが、
なんでもパン屋を多く描いた画家として知られているそうです。
しかし、彼が描くその肝心のパンは・・・・・全く美味しくなさそう!
どんな勝算があって、「パン屋の画家」 を自分の売りにしていこうと思ったのか。
その自信の根拠を教えて欲しいものです。


 ┃会期:2019年2月16日(土)~5月12日(日)
 ┃会場:大阪市立美術館
 ┃
https://vermeer.osaka.jp




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野蛮と洗練 加守田章二の陶芸

現在、菊池寛実記念 智美術館にて、
"野蛮と洗練 加守田章二の陶芸" という展覧会が開催中です。

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こちらは、49歳という若さで、惜しまれつつこの世を去った、
『20世紀陶芸界の鬼才』 加守田章二 (1933~1983) の東京では14年ぶりとなる回顧展で、
初期から晩年までの作品約65点を通じて、短く濃く駆け抜けた陶芸家人生を紹介するものです。

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(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


加守田章二の作陶期間は、わずか20年ほど。
そんな宿命をどこかで予感していたのでしょうか。
作風は、20年の間に目まぐるしいほどに変化していきます。

独立してすぐの頃は、灰釉 (=草木の灰を主成分とした釉薬) の渋めの作品を制作。
日本伝統工芸展に出品したこちらの 《灰釉鉢》 が、
文化庁の買い上げとなり、30代にして華々しく鮮烈なデビューを飾ります。

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しかし、その数年後には、さらに渋さが増して、
まるで何千年も土に埋まっていたかのような土器を思わせる作風へシフト。

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そして、そのまた数年後には、
加守田の代名詞ともいうべき 「曲線彫文」 という独自のスタイルを生み出しています。

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ISSEY MIYAKEのアイテムのようでもあり、
古代人の呪術的なアイテムのようでもあり、
はたまた、自然が生んだ造形物のようでもあり。
シンプルながら、見れば見るほど惹き込まれる不思議な魅力に満ちています。


そんな曲線彫文を極めていくのかと思いきや、
加守田の作風の変化はとどまることを知りません。
一転して、カラフルな作風へとチェンジ。

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その後も、琳派風 (?)、

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古代エジプト風 (?)、

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靴下風 (?) と、

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作風が目まぐるしく変化していきます。
「何人、加守田がいるんだ?!」
とても一人の人物とは思えません (汗)
個展なのに、いろんな作風が楽しめるオムニバスような展覧会でした。
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星
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星



さてさて、出展されていた作品の中で、
個人的にツボだったのは、こちらの 《壺》

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模様が何を表しているか、特によくわかっていないそうですが。
僕には、あくびをしているカバ、
もしくは、ずんぐりむっくりな猫のように見えました。
何はともあれ、眺めているだけで、のほほんとした気持ちになれます。


それから、こちらの 《筒形彩陶》 (右) も。

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カラーリングといい、
なんとなく鳥をイメージさせる形といい。
どこかで見たことがあるような・・・。
そのデジャヴの正体は、きっとヨークマート。


ちなみに、展覧会は基本的に時系列に沿って作品が紹介されていましたが。
最後の展示室は、「曲線彫文」 のコーナーとなっていました。

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右を見ても、曲線彫文。
左を見ても、曲線彫文。
それぞれの作品から醸し出される圧が強すぎて、
この空間だけ時空も曲がっているような印象を受けました。




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キスリング展 エコール・ド・パリの夢

現在、東京都庭園美術館で開催されているのは、
"キスリング展 エコール・ド・パリの夢" という展覧会。

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こちらは、シャガールや藤田嗣治とともに、エコール・ド・パリを代表する画家で、
「モンパルナスのプリンス」「モンパルナスの帝王」 と呼ばれたモイズ・キスリングの個展です。
ちなみに、日本でキスリングの展覧会が開催されるのは、実に12年ぶり。
国内外のキスリング作品にくわえて、
海外のコレクターが所有するキスリング作品も来日しています。
キスリングファン、エコール・ド・パリファン、待望の展覧会と言えるでしょう。


さてさて、キスリングと "アール・デコの館" 東京都庭園美術館。
特に何の接点もないような気がしていましたが。
実は、エコール・ド・パリの画家たちが活動した1920年に、
ヨーロッパやアメリカを中心に大流行していたのが、アール・デコスタイル。
そして、キスリングはその影響を大きく受けた画家の一人だったようです。

これまでアール・デコと結び付けて、
キスリングの作品を鑑賞したことは無かったのですが。
改めて、そういう視点で観てみると、
確かに、そこかしこにアール・デコの影響が見て取れました。
それも、東京都庭園美術館の本館内と同じく、
ちょっとやりすぎ装飾デコデコなアール・デコ。

例えば、《花》 という一枚。

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(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


「そんなに花瓶に入るかい!」 と、
思わずツッコみたくなるくらいに、花が盛り盛りで描かれています。
花を活けているというか、もはや花人形のようでした。


また例えば、《ツーロン》 という1枚。

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こちらも、これでもかと言わんばかりに、
小さな画面の中にビッシリと数の船が描かれています。
あまりに船の数が多いため、じっと眺めていたら、軽く酔いました。
観るタイプの船酔いです (←?)。


またまた例えば、《アトリエの画家とモデル》 という一枚。

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こちらは、絵そのものではなく、額縁がデコラティブなパータンです。
あまりに額縁がデコデコしているので、肝心の絵の印象が弱まってしまっていました。
ちなみに、絵の中の画家は、キスリング本人。
右手に1本、左手に6本の筆を持っています。
いくらなんでも、筆持ちすぎです。
やはり、やりすぎ。


・・・・・と、そんなキスリングのデコデコな作風と、
東京都庭園美術館のデコデコな雰囲気は、実に相性抜群でした。
"もともとキスリングの作品が飾ってあったっけ?" というほどに、しっくり馴染んでいます。

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今年のGWは、クリムトの一人勝ちかと思いきや、伏兵現る!
対抗馬は、間違いなくキスリングで決まりです。
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星
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星



ちなみに。
印象的な作品が多々ありましたので、
その中でも特に強く印象に残っているものを、まとめてご紹介いたします。
まずは、ポスターのメインビジュアルにも使われている 《ベル=ガズー(コレット・ド・ジュヴネル)》

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一瞬、ナジャ・グランディーバに見えましたが。
描かれているのは女装家ではなく、女性。
『青い麦』 や 『ジジ』 で知られるフランスの女性小説家コレットの娘だそうです。
何と言っても気になるのは、そのワンピースの柄。
どうしても、あの紙袋を想像してしまいます。
やっぱり 「伊勢丹の紙袋でーす」 が掴みだったのでしょうか。


コレットの娘もベリーショートでしたが、
こちらの 《若い娘》 も、かなりのベリーショート。

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蓮舫議員ばりのベリーショートです。
そして、黒目がデカい。
『Y氏の隣人』 の登場人物ばりの黒目のデカさです。


どことなく蓮舫議員を彷彿とさせる肖像画の隣の部屋に飾られていたのは・・・

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どことなく小池百合子都知事を彷彿とさせる肖像画 《若きイタリア人》
髪型や顔つきだけでなく、ファッションまでもが小池都知事っぽいです。
あと、少しだけ新山千春も入っている気がします。


最後に紹介したいのは、謎すぎる一枚。
《レオポルド・ズボルフスキーの肖像》 です。

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レオポルド・ズボルフスキーは、画商であり、モディリアーニの友人でもあった人物。
明らかに、左半身に板状のものが倒れてきています。
しかし、微動だにしないレオポルド・ズボルフスキー。
ノーリアクション選手権中なのかというくらいに無表情を決め込んでいます。
もうしばらくすると、今度は右半身側から何かのトラップがあるのかもしれません。
頑張れ、レオポルド・ズボルフスキー!




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第百七十三話 国宝ハンター、Can!

前回までのあらすじ~

すべての国宝を目にするべく、日本全国 (埼玉を含む) を巡る国宝ハンター・とに~。
これまでにハンティングした国宝の数は、実に1000件以上!
その国宝指数は、日本でも有数のレベルを誇っている。
そんな国宝至上主義の彼は、重要美術品を認めることはない。
「ああいやだ!重要美術品なんて言ってるだけで口が重要美術品になるわ!」
ちなみに、千葉県出身東京在住であるため、
埼玉県人にも厳しく、国宝をハンティングさせるつもりはないらしい。
「埼玉県人にはそこらへんの石でもハンティングさせておけ!」
(埼玉の皆様ネタ化してゴメンなさい。)



現在、東京国立博物館の平成館にて、
“特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」” が絶賛開催中。

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こちらは、京都の東寺が所蔵する国宝が17件も出展される大盤振る舞いな展覧会です。
とはいえ、かれこれ4回ほど東寺を訪れているので、そのほとんどはハンティング済。
まだ未見であった 《絹本著色五大尊像》 (ジャンル:絵画) と、
《後宇多天皇宸翰東寺興隆条々事書御添状〈(二月十二日)/〉》 (ジャンル:古文書) をゲットいたしました。


そして、先日は、平成最後となる国宝ハンターの旅へ!
やってきたのは、福井県の小浜市です。
今回の旅のスタート地点となるのは、新平野駅。
駅前のコンビニで朝食を調達しようと考えていたのですが・・・

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駅前にはコンビニどころか、お店が一つもありませんでした。
そんな時の強い味方が、Googleマップ。
調べてみると、駅から1.2㎞離れたところに、ファミリーマートがあるようです。

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雨の中、歩くこと約15分。
辿り着いた場所にあったのは・・・

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普通の民家でした。

確かに、ファミリーは住んでるだろうけど!

そういえば、先月から、Googleマップが改悪・劣化したと話題となっていましたっけ。
もはや信用ならないGoogleマップが言うには、
この謎の民家から今回の旅の目的地までは、約3㎞の道のりがあるそうです。
そして、その間に、お店は一つもないようです。

「それも何かの間違いであってくれ!」

と祈りながら、ひたすら歩を進めましたが、
願いも虚しく、そこに関しては当たっているようでした。
遠い。。。飲食がゲットできない。。。
心は何度も折れそうになりましたが、「Yes I Can!」 と自分で自分を鼓舞。
新平野駅を出発してから約1時間、お目当ての明通寺へと辿り着きました。

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さてさて、小浜市というと、
オバマフィーバーにがっつり乗っかった市というイメージしかありませんが。
実は、人口わずか3万3千人の小さな港町にも関わらず、
なんと130を超える寺院が建立しているという日本でも屈指のお寺の多い町なのです。
(コンビニは少ないのに!)
それゆえ、“海のある奈良” とも呼ばれているのだそうです。
その小浜市を代表するお寺が、明通寺。
あの坂上田村麻呂公が、蝦夷征伐の際 (806年) に創建したと伝えられるお寺なのです。

さてさて、そんな明通寺で国宝に指定されているのは、
渦巻き模様の水煙がキュートな 《明通寺三重塔》 (ジャンル:建造物) と、

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鎌倉時代に創建されて以来、1㎜のズレもないという驚きの 《明通寺本堂》 (ジャンル:工芸品) です。

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ちなみに、御本尊は、薬師如来坐像。

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御本尊も国宝なのかと思いきや・・・

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右肩に小さく 『旧』 の文字がありました。
どうやら ”執着” が捨てきれていないようです。

さてさて、薬師如来の脇侍は日光菩薩と月光菩薩が一般的ですが、
明通寺は、降三世明王と深沙大将が脇を固めるというかなりレアなパターンが採用されています。
特に深沙大将は、彫刻化されること自体がレアなのだとか。

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あまりメジャーではない深沙大将ですが、
実は、『西遊記』 の沙悟浄のモデルとなった神様。
沙悟浄というと河童のイメージですが、本来は、砂漠の毒蛇を神格化したインドの神様なのだそうです。
・・・ん?あれ?でも、左手に蛇を持ってるような。。。
神格化しきれなかったのでしょうか


ちなみに。
本堂の中には、この土地ならではのポスターや署名も設置されていました。

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やはり小浜と政治は切っても切り離せません。


今現在の国宝ハンティング数 1006/1116




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縮小/拡大する美術 センス・オブ・スケール展

目の前には、東京湾が広がり、三方を山に囲まれた横須賀美術館。
とあるアート情報サイトが選ぶ 『絶景美術館トップ5!』 にもランクインしている美術館です。

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そんな壮大なスケールの眺めが楽しめる横須賀美術館では、
現在、“縮小/拡大する美術 センス・オブ・スケール展” という展覧会が開催されています。

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美術館に入っていきなり飛び込んでくるのは、白い大きなオブジェ。
横からパッと見ただけでは、何だかよくわからなかったので、
とりあえず中2階のスペースから、見下ろしてみることにしました。

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あ、なるほど!
その正体は、日本列島でした。
もちろん、こちらはアート作品。
鈴木康広さんによる 《日本列島のベンチ》 です。
ベンチだけに、もちろん座ってもOK!
とは言え、半島など細いところは、壊してしまう恐れがあるので座れません。
どうやら僕のふるさと千葉県は、座るのには不向きなようです。

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あと、伊豆半島や能登半島も、座るのに不向き。
これまでの人生で一度も、日本列島に座ろうと考えたことはないですが。
「やっぱり新潟のあたりの座り心地はいいなァ」 とか、「四国は一人用サイズだなァ」 とか、
座るという観点から日本列島を眺め、さらに実体験してみるのは、想像以上に楽しかったです。
ちなみに、画像ではわかりづらいですが、
《日本列島のベンチ》 の座面は、ちょっと湾曲しています。
これは、日本列島自身が曲面であることを、実際の縮尺で可視化したものなのだとか。
平面の地図でしか見たことがない日本列島ですが、実はこんなにカーブしていたとは!
新鮮な驚きがありました。


・・・・・と、今回の展覧会では、このようにモノの縮尺、
つまりスケールを縮小したり拡大したり、変化させた現代アートにスポットが当てられています。
(一部、現代アート以外の作品もあり)
ありそうでなかったテーマの現代アート展です。
作品のスケールが変化するということは、
逆に言えば、観ている僕らのスケールが変化するということ。
巨人になったり小人になったり、さまざまな視点で楽しめる展覧会です。
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星
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今回の展覧会には、11人 (組) の作家が参加していますが、
その中でも特に注目なのは、ミニチュア写真家の田中達也さん。
朝ドラ 『ひよっこ』 のタイトルバックでも話題となった今大注目のアーティストです。
例えば、こちらは 《これぞ “エンター” テイメント》という写真作品。

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ダジャレのセンスこそ、アレですが (笑)
身近な品を別のものに見立てるセンスは天下一品!
今展では、普段Instagramで公開されている写真作品と、
そんなセンスが光るミニチュア作品とが併せて展示されていました。

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なお、今回の展覧会は、基本気に写真撮影がOKとなっています。
是非、自分のお気に入りのアングルで、
素敵なミニチュア写真を撮ってお楽しみくださいませ。

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とりわけ田中さんのミニチュア作品で興味深かったのが、
同じ日用品でも、スケールを変化させることで、まったく違うものに見立てられるということ。

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ミニチュアの視点に立たないと、これらの発想は生まれないのでしょうね。
どの作品もクスッと笑えて、思わずハッとさせられるものばかり。
無限に観ていられる気がしました。


続いて紹介したいのは、和風ドールハウス作家の高橋勝美さん。
公立の美術館で作品が紹介されるのは、今回が初めてとなる作家です。
ちなみに、あの俳優の高橋克実さんと同じ読み方ですが、こちらの高橋勝美さんは女性。
もともとは和菓子屋で働いていたという高橋さん。
余った餡や生地で菓子を作っているうちに、
粘土を使ったらどうなるか考えるようになったとのこと。
そして、まずは自身が働いていた和菓子屋のミニチュアを作ったのだそうです。
それをきっかけに彼女の何かに火が付き、独学でミニチュア作りに邁進するように。
70歳を超えた今でも現役で、ミニチュアを制作し続けているそうです。

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そんな高橋さんが制作するミニチュアの最大の特徴は、とにかく細部まで緻密に作られていること。
作りたい和風建築に出逢うと、まずは徹底的に取材するのだそう。
測れるところは測り、汚れや欠けている部分もチェック、
さらには、内部に置く小物の時代考証も慎重に検討するのだとか。
そうしてノート何冊分にもなる取材を終えたところで、いよいよ制作。
一つの作品を完成させるまでに、数年はかかるのだそうです。

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もはや、1本の映画を製作するくらいの労力。
そんな黒澤明ばりのこだわりで制作されているからでしょう。
彼女が制作するミニチュアには、一人も人がいないにも関わらず、
さっきまでそこで誰かが生活していたかのような、人の温もりや痕跡が感じられるのです。
細部の細部まで鑑賞していたら、時間がいくらあっても足りないくらいでした。


さてさて、会場には他にも、三浦半島を題材にした平町公さんによる超巨大絵画や、

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実は横須賀美術館のある観音崎と 『ガリヴァー旅行記』 が、
関係が深かったという事実から、展示を構成した高田安規子・政子さんの作品群、

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“めがねと旅する美術展” でも紹介した 《コンステレーション》 を含む岩崎貴宏さんの最新作などが、

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(写真上の 《フェノタイピック・リモデリング》 はチラシや紙袋から看板を作成した作品。
 《コンステレーション》 の最新作は、横須賀ということで、占領下に米軍が子供たちにあげていたガムと同じものの包み紙を使用)



展示されています。
どの作品も、もれなく面白かったです。
作家のセンスもさることながら、
このメンバーをチョイスした横須賀美術館のセンスも素晴らしかったです。
早くも続編希望。
いつか “センス・オブ・スケール展2” を開催して欲しいものです。
もちろん拡大版で。




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クリムト展 ウィーンと日本 1900

2019年の大本命展覧会の一つ、
"クリムト展 ウィーンと日本 1900" が、いよいよ東京都美術館で開幕しました!

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(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


日本人、特に日本人女性に絶大な人気を誇るウィーンを代表する画家グスタフ・クリムト。
その日本過去最大規模となる回顧展で、
本国オーストリアの所蔵品を中心に、25点以上 (!) のクリムトの油彩画が出展されています。
ちなみに、東京でのクリムト展は、実に約30年ぶりとのこと。
平成元年の開催からの、令和元年の開催。
この法則でいけば、次の東京でのクリムト展の開催は、新元号を待たねばならないようです (←?)。

さてさて、展覧会の目玉は何と言っても、
メインビジュアルに使われている 《ユディトⅠ》

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グスタフ・クリムト 《ユディトⅠ》 1901年 油彩、カンヴァス 84×42cm
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 © Belvedere, Vienna, Photo: Johannes Stoll



クリムトと言えば、ゴールド。ゴールドと言えば、クリムト。
そんなクリムトが初めて金を使った記念碑的作品が、この 《ユディトⅠ》 です。
今回初めてその実物を前にしましたが・・・

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とにかく、フェロモンがスゴかったです。
"こうやって蜂は花に吸い寄せられるのか!" というくらいに、
《ユディトⅠ》 の画面から漂う妖しい魅力に吸い寄せられてしまいました。
ユディトと一度目が合ったら最後、完全にその虜に。
「いやいや、生首持ってるぜ!」 という理性的な自分の心の声は、本能の僕には届きません。
もし、ユディトが 「生命保険に入って❤」 と言ったら、間違いなく判を押していたことでしょう。
・・・・・・・危ないところでした。


それから、こちらも今展の目玉作品。
ローマ国立近代美術館が所蔵する 《女の三世代》 です。

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縦横約170㎝の油彩画。
壁画などを別にすればクリムト最大級の作品で、今回が初来日となります。
作品のテーマは、「生命の円環」 とのこと。
人間の一生を、幼年期、青年期、老年期の三世代で表現しているそうです。
あどけない表情で眠る赤ちゃんと、その子を愛おしそうに抱く若い女性。
そして、その背後には、顔を手で覆った老婆が描かれています。
青年期と老年期の対比っぷりは、残酷も残酷。
"いつまでも若くないんだぞ" という現実を、クリムトに突き付けられた気がします。


また、厳密には作品ではないのですが。
もう一つ展覧会の目玉なのが、クリムトが40歳の頃に手掛けた大作で、
全長34mを超える壁画 《ベートーヴェン・フリーズ》 の精巧な原寸大複製。

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ベートーヴェンの交響曲第9番にインスピレーションを得て制作されたクリムトの代表作の一つです。

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グスタフ・クリムト 《ベートーヴェン・フリーズ》(部分) 1984年(原寸大複製/オリジナルは1901-02年) 216×3438㎝
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 © Belvedere, Vienna



複製とはいっても、なんちゃってコピーではありません。
金や銀、漆喰など、素材までもちゃんと再現されています。

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(実物を見たことはないですが) 実物と見分けがつかないレベル。
実物と同じくらいの壮大さ、迫力が感じられます。
それだけに、壁画に三方を囲まれた瞬間、
どこからともなく、ベートーヴェンの交響曲第9番が聴こえてきました。
なんという臨場感!!
・・・・・と思ったら、天井の指向性スピーカーから、
実際に、交響曲第9番のBGMが再生されていただけでした。


ちなみに、見逃せない作品は、他にもまだまだいっぱい。
いくらなんでも布が多すぎる気がしてならない 《赤子(ゆりかご)》 や、

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グスタフ・クリムト 《赤子(ゆりかご)》 1917年 油彩、カンヴァス 110.9×110.4cm
ワシントン・ナショナル・ギャラリー National Gallery of Art, Washington, Gift of Otto and Franciska Kallir with the help of the Carol and Edwin Gaines Fullinwider Fund, 1978.41.1



どうしたって 「ハンマーカンマー」 を連想してしまう?
クリムトの風景画の傑作 《アッター湖畔のカンマー城III》

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グスタフ・クリムト 《アッター湖畔のカンマー城III》 1909/10年 油彩、カンヴァス 110×110cm
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 © Belvedere, Vienna, Photo: Johannes Stoll



サブタイトルに、"ウィーンと日本 1900" とあるだけに、
ジャポニスムの影響を受けたと思われるクリムトの作品なども紹介されています。

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改めて、これだけまとまった数の作品を目の当たりにして、
まず驚かされたのは、作品によってタッチが全く違うということ。
印象派風のサラッとしたタッチのものもあれば、
ゴッホを彷彿とさせるような荒々しいタッチのものも。
こんなにも多彩なパターンの持ち主だったのかと、再認識させられました。
そして、何よりも感じたのは、クリムトの絵画作品は華があるということ。

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金箔が使われているから、という物理的な理由ではなく。
クリムトの作品はもとより、作品のある空間もキラキラと輝いていました。
ゴージャスにして、ラグジュアリー。
そんな贅沢な空間が、冒頭からラストまでずっと続きます。
開幕前から期待値は高かったですが、
その上がり切ったハードルを、悠々と越えてくる展覧会でした。
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PIXARのひみつ展 いのちを生みだすサイエンス

現在、六本木ヒルズ展望台東京シティビューでは、
"PIXARのひみつ展 いのちを生みだすサイエンス" が開催中です。

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こちらは、2015年にボストン科学博物館で開催されたのを皮切りに、
アメリカ、カナダの8か所を巡回し、なんと計150万人以上を動員したモンスターズ展覧会。
今回、満を持してアジアに初上陸となります!
PIXARの展覧会といえば、3年前にも東京都現代美術館で開催されていますが。
あちらが、PIXARのアートな魅力に迫る展覧会だったのに対し、
今回のは、PIXARの作品を生み出す技法と科学に迫る体験型の展覧会。
テイストは全く異なるものでした。

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さてさて、展覧会は、“プロダクションパイプライン” と、
PIXARで呼ばれている8つの制作工程に沿って構成されています。
まずは、「Modeling/モデリング」。

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アーティストが描いた二次元のスケッチを、いかにして3D化するのか。
マケットと呼ばれる粘土模型 (実物!) や、
PIXARで働く人々がデジタルの3Dモデルを作成する様子を映した動画などが紹介されていました。

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続いては、「Rigging/リギング」。

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聞き慣れないワードでしたが、
なんでも、キャラクターに仮想の骨や関節、筋肉を作る工程とのこと。
リギングにより、モデルがリアルに動くようになるそうです。

そして、「Surfaces/サーフェイス」。

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思わず、"サーフィス" と呼んでしまいましたが、
正しくは、"サーフェイス" と読むのだそうです。(←さぁ、笑ってくれ)




どんな工程なのか、さぁ、噛み砕いて紹介しますと、
オブジェクトの表面を加工し、素材感や新しさ (もしくは、古びた感じ) を表現する工程とのこと。
服装や髪型といった外見全般も、この工程で決定するのだそうです。


・・・・・と、こんな感じで展覧会は進んでいきます。
展覧会の途中には、カメラワークを体験するコーナーや、
実際にコマ撮りでアニメーションを作成する一番人気のブースも。

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終始、楽しくPIXARのお仕事を体験できるので、
展覧会を見終える頃には、PIXARの制作工程がバッチリ頭に入っていることでしょう。
PIXAR版キッザニアといった印象。
そういう意味では、どちらかといえば、大人よりも子供にオススメの展覧会です。
この展覧会を通じて、小学生のなりたい職業ランキングで、
YouTuberよりも上位に、PIXARで働く人がランクインするかもしれません。
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ちなみに、

「でも、(入場料) お高いんでしょ?」

と思っているお母さんお父さんも多いことでしょう。
なんと、GW期間中の5月3日から6日までは、
中学生以下のお子様は、無料で "PIXARのひみつ展" に入場できるとのこと!
さらに、52階屋内展望台や屋上スカイデッキ、森美術館にも無料で入館できるそうですよ。
インクレディブルな4日間です。


余談ですが。
PIXARのCG技術があまりにも高すぎるため、
展覧会をたっぷりと鑑賞した後、眼下に広がる街を眺めた際に・・・

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「この光景もPIXARが作ってるんじゃないか??」

という不思議な感覚に陥りました。。。
PIXARなら作りかねません。


 ┃会期:2019年4月13日(土)~9月16日(月・祝)
 ┃会場:六本木ヒルズ展望台東京シティビュー
 ┃
https://www.tokyocityview.com/pixar-himitsu-ten/

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “PIXARのひみつ展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、4月26日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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第百七十四話 国宝ハンター、見っける!

前回までのあらすじ~

「私が皆さんにお伝えしたいメッセージは、
私は日本を愛し、国宝を愛しているということです。
もし愛情や愛着、心からの繋がりがなければ、
9年間を国宝ハンターとして務めることなど誰もしないでしょう。」
と動画を通じて訴えたい国宝ハンターが、平成最後の国宝ハンティングの旅先に挑む!
コンビニはないのに寺はやたらとある。
そんな福井県小浜市で国宝を無事に2件ゲット!
ただ、いまだ朝食はゲットできず・・・



明通寺の最寄りである新平野駅 (徒歩4.4㎞!) の周辺には、飲食店がないらしい。
そこで、帰りは、次の駅である東小浜駅 (徒歩5.5㎞!) を目指すことにしました。
こちらの駅の方が栄えているとの明通寺の住職さんの情報通り、ようやく駅近辺でコンビニを発見!
無事に朝食をゲットすることが出来ました。
もはやリアル 『帰れマンデー見っけ隊!!』。
「無人駅で飲食店を見つけるまで帰れない旅」 を一人で行っているような感じです。
食事を済ましたところで、東小浜駅から小浜線に乗って、松尾寺駅へ。

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ここから、西国三十三所の第29番に当たる松尾寺 (まつのおでら) を目指します。
松尾寺駅という駅名なのですから、
当然、すぐ近くに松尾寺があるのかと思いきや、さにあらず。
どうやら松尾寺は、あの山の向こうにあるようです。

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遠っ!!

すでに午前中に10㎞近く歩いているので、かなり足にきています。
しかし、これぞ平成最後の国宝ハンティングの旅!
総決算に相応しいチャレンジじゃないか!
そう自分に言い聞かせて、頑張ることに。

駅から1㎞ほど進むと、松尾寺口が見えてきました。

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ここから松尾寺まで、残り2.5㎞。
それらしき建物は全く見つけられません。
ちなみに、道路の脇には、「松尾寺参道」 の文字が。

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おそらく、日本一風情のない参道ではなかろうか。
その後も、「無人駅で飲食店を見つけるまで帰れない旅」 で見るような光景が延々と続きます。

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山道を登り続けること、小一時間。
ついに松尾寺を見つけました。

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4月も末だというのに、立派な紅葉。
季節感が完全にとち狂ってます。

石段を登って、山門へ。
すると、衝撃的な光景が目に飛び込んできました。

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?!

なんと金剛力士像がパネルだったのです。

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しかも、パネルは小さめ。
これで守れているのだろうか・・・?
まぁ、でも、車で来ない限り、
ここを訪れるまでに参拝者はヘロヘロになっているから、なんとかなるのかも。

本堂で参拝を済ませてから・・・

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真の目的地である宝物殿へ。

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拝観料の800円を払って中に入ります。

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小さな展示空間でひときわ大きな存在感を放っていたのは、金剛力士像。
そう、山門にあるはずの金剛力士像です。
どうやら長年外に安置されていたため、ボロボロになってしまった模様。
そこで数年前に修復されたのをきっかけに、宝物殿の中に安置されるようになったのだそうです。
お寺を護るべき仁王像が、逆にお寺に護られていました。

そして、その向かいに展示されていたのが、
《絹本着色普賢延命像》 (ジャンル:絵画) です。
国宝に指定されている普賢延命菩薩像は、2件のみ。
1つは、すでにハンティング済の広島県の持光寺が所蔵するもの。
そちらの普賢延命菩薩は、4頭の象に乗っていますが。
松尾寺の普賢延命菩薩は・・・

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3つの顔を持つケルベロスのような象に乗っています!
それだけでも驚きなのですが、その象を支えているのは5000頭の小さな象!
この普賢延命菩薩が、どうやって移動するのか、全く想像がつきません。

ともあれ、貴重な国宝をハンティング。
はるばる歩いてきた甲斐がありました。
その旨を宝物殿のおばちゃんに伝えると、「今年で良かったわね」 とのこと。
なんでも来年は展示されないのだそうです。
その理由を尋ねてみると・・・

「来年は、京都の博物館で展示されるのよ。
 “西国三十三所展” ってのがあって、そこに出展されるの」

図らずも、来年の大型展覧会の情報をゲットしてしまいました!
・・・・・って、いや、そんなことよりも、
だったら、こんな苦労をしなくても、京都の博物館で観られたんじゃね??
知りたいような知りたくないような情報でした。

と、軽くショックを受けたあと、
宝物殿を出ようとしたところで、再び衝撃的な光景が目に飛び込んできました!

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《絹本着色普賢延命像》 の顔のどアップ!
拝観料や入館受付時間とかを記載したパネルの裏側は、こんなことになっていたのですね。
金剛力士像といい、普賢延命菩薩の顔といい、松尾寺のパネル使いは独特です。


ちなみに。
今年もこのシーズンに、文化庁が国宝を増やしました。
平成最後に国宝に昇格したのは、3件。
うち2件は、毎年恒例のトーハクの “平成31年 新指定 国宝・重要文化財” でゲットしています。

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1つは、京都・安祥寺の 《木造五智如来坐像》 (ジャンル:彫刻)。
そして、もう1つは、唐招提寺の彫刻群。
《木造薬師如来立像/木造衆宝王菩薩立像/木造伝獅子吼菩薩立像/木造伝大自在王菩薩立像》 (ジャンル:彫刻)。
《木造薬師如来立像》 は、「殿下」 こと小野寺昭に似ていました。


今現在の国宝ハンティング数 1009/1119(1016改め)




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information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美

現在、サントリー美術館で開催されているのは、
“nendo × Suntory Museum of Art
information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美”
という展覧会。
佐藤オオキ氏が代表を務めるデザインオフィスnendoとサントリー美術館が共同で企画。
そして、展示デザインも手掛けたという展覧会です。

シンプルでミニマルなデザインが特徴なnendoだけに (?)。
サントリー美術館の公式HPでの今展の紹介文も、なんともシンプルでミニマルなものでした。

 人は美しいものに出会ったとき、2種類の感動のしかたをすると仮定。
 作品の背景や製作過程、作者の意図や想いを知ることで生まれる感動、
 そしてもうひとつは、ただただ理由もなく、心が揺さぶられる感動です。
 本展は、佐藤オオキ氏率いるデザインオフィスnendoが提案する、
 左脳的なアプローチ、右脳的な感じ方の双方で、日本の美術をたのしんでみる展覧会です。
 つまり、1つの展覧会のようで、2度たのしめる展覧会なのです。
 さて、あなたは理論派?それとも直感派?
(公式HPより)


・・・・・・・・・・・・・。

正直なところ、このインフォメーションだけでは、インスピレーションが働かず。。。
どんな展覧会なのか、まったくもって想像がつきませんでした。
とはいえ、ありがたいことにインビテーションが届いたので、そちらを片手にサントリー美術館へ。

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展覧会のメインビジュアルからして、
いつものサントリー美術館のインプレッションとは異なりますが。
イントロダクションも、これまでにないものとなっていました。
サントリー美術館の展覧会に限らず、展覧会の会場の入り口は、普通は1つしかありませんが。
今展には、「inspiration」 のルートの入り口と、

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「information」 のルートの入り口の2つがあります。

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どちらのルートを進むか。
自分で選ぶところから、展覧会はスタートします。
僕は、「inspiration」 を選択。
こちらは、黒を基調とした暗めのルートとなっています。

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しばらく進むと、四角く光る部分が現れました。

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近づいて覗いてみると・・・・・

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そこには、ガラスの何やらが展示されていました。
キャプションが一切ないので、
これが何なのか、何時代のものなのかはわかりません。
しかし、ライティングのおかげで、
カッティングされたラインの美しさはダイレクトに伝わります。
なるほど。まさに日本美術を余計なインフォメーションなしに、
インスピレーションだけで、直観的に純粋に楽しむルートなのですね!

そんな 「inspiration」 のルートには、この他にも、
これまでにない斬新な仕掛けやディスプレイが用意されています。
「inspiration」 のルート自体が、もはや一つのインスタレーションのよう!
サントリー美術館の所蔵品から選ばれた全22点の日本美術の新たな魅力が引き出されていました。
具体的に紹介したいディスプレイは、いろいろありますが。
インスピレーションで楽しむルートなので、
ネタバレなんて野暮な真似はしないよう、あえて詳細は自重。
気になる方は、是非会場で!

そうそう。
展覧会の吹き抜け部分では、インターミッション的に、
nendoによる 《uncovered skies》 という作品も展示されていました。

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スタッフさんから手渡されるのは、一見すると普通のビニール傘。

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この傘を手に、光の上を歩いてみると・・・

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まぁ、なんということでしょう!
傘の影に映像が現れたではないですか!
実は、こちらの傘には、偏光フィルムが用いられており、
そのシルエットが足元の光に落ちることで映像が浮かび上がるのだそうです。

《uncovered skies》 も含めて、とにかく楽しい展覧会でした♪


・・・・・って、今回の展覧会は、ここで終わりではありません!
出口を出たら、再び入り口へ。
今度は新たに、もう1つのルートで楽しむことが出来るのです。
というわけで、2周目は白を基調とした 「information」 のルートを進みます。
最初に展示されていたのは、
もちろん 「inspiration」 のルートで最初に観たあのガラスの何やら。
「inspiration」 のちょうど反対側から鑑賞する形になります。

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「information」 側のディスプレイは、いたってシンプル。
言ってしまえば、特に何の変哲もないディスプレイです。
しかし、こちらのルートは、「inspiration」 のルートとは打って変わって・・・

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インフォメーションが、とにかく充実!
これでもかというくらいに壁にビッシリ書かれています。
「inspiration」 のルートで目にしていたものの正体がようやく判明。
ストンと腑に落ちる面白さがありました。
2周目で1周目のよくわからなった部分をフォローする。
『カメラを止めるな!』 に近いものがありました。

また単純に、インフォメーションと併せて作品を鑑賞するのは、
「inspiration」 のルートとは違い、知的好奇心が刺激されました。
これはこれで、楽しいルートです。

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ちなみに、「inspiration」 のルートからの 「information」 のルートからの、
もう一度 「inspiration」 のルートを体験すると、1周目とはまた違った感じ方がありました。
(展覧会は何周してもOKです!)
1つの展覧会で、3度の味わいが楽しめる。
まるで、ひつまぶしのような展覧会です。


日本美術の展覧会の見せ方に、こんな方法があったとは!
美術館の新たな可能性を感じました。
令和の幕開きに相応しい展覧会です。
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ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道

東京都美術館で、過去最大規模の “クリムト展” がスタートしたその翌日、
国立新美術館では、“ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道” が開幕いたしました。

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(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


こちらは、19世紀末から20世紀のウィーン世紀末美術をテーマにしたもので、
ウィーン・ミュージアムから来日した作品を中心に、約400点が一堂に会す超大規模な展覧会です。

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展覧会の見どころは、何と言っても、クリムトの油彩画作品。
《パラス・アテナ》 をはじめ、数点の作品が来日しています。

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その中には、クリムトの代表作の一つで、
クリムト最愛の愛人を描いたあの 《エミーリエ・フレーゲの肖像》 も!

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グスタフ・クリムト 《エミーリエ・フレーゲの肖像》 1902年 ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz


浮世絵を思わせる縦長の画面。
ドトールを思わせる胸元の柄。
ウーピー・ゴールドバーグを思わさせるヘアスタイル。
さまざまな印象が洪水のように押し寄せてくる作品です。
来日するだけでも奇跡的な作品なのに、
なんと、こちらの 《エミーリエ・フレーゲの肖像》 に限っては・・・

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なんと写真撮影が可能!!

ウィーン・モダン展、最高かよ。
会場では、誰もが彼女を撮ろうとスマホを手に構えていました。
画中のエミーリエのポーズとあいまって、まるでフォトセッション状態。
「次、こっちに目線お願いしまーす」 と言われたら、エミーリエが動きそうな予感さえありました。

そんなクリムトとに大きな影響を受けながらも、
独自の世界観を確立した夭折の画家エゴン・シーレが、今展のもう一人の主役。
21歳の時に描かれた 《自画像》 をはじめ、

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エゴン・シーレ 《自画像》 1911年 ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz


素描を含む22点ものシーレ作品が来日しています。
シーレの作品は、1点でも圧が強いのですが。
それらが並ぶことで、その圧は増幅。

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作品から、強力な磁場のようなものが放出されていました。
あと、ジョジョ感 (?) も放出されていました。


さてさて、今回の展覧会の見どころは、クリムトとシーレだけにあらず!
絵画はもちろんのこと、建築やデザイン、インテリア、音楽など幅広い分野が網羅されています。
意外なところでは、音楽室でお馴染みの (?) シューベルトの肖像画や、

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モーツァルトもウィーンで加入したあの秘密結社、
そう、フリーメイソンに関する絵画も紹介されていました。

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まさにウィーン世紀末美術の百科事典!
ウィーン世紀末美術の決定版ともいうべき展覧会です。
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ウィーン・モダン展、最高かよ。(←本日2回目)


ちなみに、今展で特に印象的だったのが、
マクシミリアン・クルツヴァイルの 《黄色いドレスの女性(画家の妻)》 という作品。

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マクシミリアン・クルツヴァイル 《黄色いドレスの女性(画家の妻)》 1899年 ウィーン・ミュージアム蔵 
©Wien Museum / Foto Peter Kainz



圧倒的威圧感。
「何で怒ってるのかわかる?」 とでも言いたげな表情を浮かべています。
”とりあえず、ここは土下座するしかないのか・・・ (汗)”
何も疚しいことはしていないのに、
なぜかそんな気持ちにさせられる作品でした。


最後に。
展覧会ももちろん充実していたのですが、
グッズコーナーも負けず劣らず充実していました。
中には、クリムトが実際に着用していたあのスモッグを・・・

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モチーフにしたTシャツもありました。

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これを着て猫を抱けば、気分は完全にクリムトです。
なんと素敵なTシャツなのでしょう!
ちなみに、そのすぐ後ろの売り場では、こんなTシャツも販売されていました。

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クリムトを知らない人が見れば、
ただのオッサンがプリントされたTシャツ。
・・・・・売れるのか??




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