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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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遊びの流儀 遊楽図の系譜

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平安時代末期の歌謡集『梁塵秘抄』 の一節でも、
「遊びをせんとや生まれけむ」 と謳われているように。
古来より、日本人は 「遊び」 が好きなようです。
確かに、言われてみれば、電車の車内を見渡してみれば、
子どもだけでなく、大人もスマホのゲームに熱中しているような気がします。

現在、サントリー美術館で開催されているのは、
そんな日本における 「遊び」、特に中世の 「遊び」 に着目した展覧会。
サントリー芸術財団50周年 遊びの流儀 遊楽図の系譜” です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


展覧会場では、羽子板や貝合わせといった実際に使われていた遊び道具や、




琴に囲碁、書道に絵画といった教養人が嗜む4つの遊びを描いた琴棋書画図といった、




遊びにまつわる日本美術の作品が数多く紹介されています。
中でも特に力を入れて紹介されているのが、展覧会のサブタイトルにもある 「遊楽図」。
重要文化財に指定されている 《遊楽図屛風(相応寺屛風)》 や、


重要文化財 《遊楽図屛風(相応寺屛風)》 八曲一双のうち左隻(部分) 江戸時代 17世紀 徳川美術館
©徳川美術館イメージアーカイブ / DNPartcom (注:展示期間は、6/26~7/15)



同じく重要文化財の 《四条河原遊楽図屛風》 をはじめ、


重要文化財 《四条河原遊楽図屛風》 二曲一双のうち右隻  江戸時代 17世紀 静嘉堂文庫美術館
©静嘉堂文庫美術館イメージアーカイブ / DNPartcom (注:展示期間は、7/24~8/18)



日本全国から貴重な 「遊楽図」 の数々が勢ぞろいしていました。
これまで画中の人物一人一人に、あまり関心を向けたことはなかったですが、
改めてじっくりと注目してみると、まぁ 「遊楽図」 だけに、遊んでいる人の多いこと多いこと!



《邸内遊楽図屛風》 六曲一隻(部分) 江戸時代 17世紀 サントリー美術館 【全期間展示】


いつの時代も、ディスコやクラブのようなノリ、
いつの時代も、パリピやチャラ男のような輩は存在していたのですね。
桃山時代も江戸時代も、プチョヘンザ!
まさに 「バイブスいと上がりけり」(出典:EXIT) な展覧会でした。
星


と、人の中身や本質は、桃山も江戸も令和もそう変わっていない印象でしたが。
遊びそのものは、昔と今で異なっている点もありました。
例えば、双六。
現代人の僕らがイメージする双六は、「人生ゲーム」 のように、
サイコロを振って、ふりだし (スタート) から上がり (ゴール) を目指すゲームです。




しかし、そういった双六、いわゆる絵双六は、
幕末から近代にかけて急速に普及したものなのだとか。
それまで双六といえば、西洋のバッグギャモンに近い2人対戦式の 「盤双六」 を指していたそう。




家族でワイワイ楽しむようなものではなく、
将棋や囲碁のように、頭脳や戦術で競う知的な遊びだったようです。


また例えば、カルタ。
南蛮文化との交流の中で、ポルトガルからもたらされたカルタは、
当初は今のように読み上げられた絵札を取って、その数を競うスタイルではなかったそう。
現代でいうトランプに近い遊び道具だったようです。




また、今でこそお正月くらいにしか遊ぶ機会がないカルタですが、
かつては、年中楽しまれていたというほどポピュラーな遊びだったとのこと。
後期で展示される国宝の 《婦女遊楽図屛風(松浦屛風)》 の中にも・・・


国宝 《婦女遊楽図屛風(松浦屛風)》 六曲一双のうち左隻(部分) 江戸時代 17世紀 大和文華館
(注:展示期間は7/24~8/18)



カルタに興じる人々が描かれています。
確かに、カルタと言われなければ、
ババ抜きで遊んでいるように見えますね。


ちなみに。
中世の 「遊び」 を、真面目に紹介した展覧会ではありますが。
展示された蹴鞠の近くに、ポーンと浮かび上がった蹴鞠があったり、




絵からそのまま飛び出したかのように、天上から輪になって踊る人々が吊るされていたり、




会場のあちこちに、遊び心が溢れていました。
そんな展覧会のラストに展示されていたのは、的。




ただ、特にこの周囲に、的に関した展示も無く。。。
“なぜ、最後の最後で的?!” と、ある意味、注目の的でした。
もしかしたら、展覧会があっと言う間に感じられて、
まさに 「矢の如し」 ということを意味していたのかもしれません。
的外れだったら、ごめんなさい。




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2019 イタリア・ボローニャ国際絵本原画展

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昨年4月より、改修工事のため、
1年以上に及ぶ長期休館をしていた板橋区立美術館。
先日6月29日に、ついにリニューアルオープンいたしました!

以前は、『永遠の穴場』 や 『素通りしないで!』 と自虐していたあの板橋区立美術館が・・・

永遠の穴場


在りし日の姿をまったく感じさせないほどに、
思いっきりスタイリッシュな建物に生まれ変わっていました!





この建物が板橋区立美術館と気づかず、
別の意味で、素通りしてしまうかもしれません。
また、見た目だけでなく、内部も大々的にリニューアルしていました。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


オシャレなラウンジスペースが誕生していたり、




ミュージアムショップが誕生していたり、
(これまでは展示室内の受付がミュージアムショップ機能を兼ねていた)




そして、もちろん展示室の内装や照明も最新式になっていたり、




館内の隅々まで、オシャレで今風な美術館の姿になっています。
『永遠の穴場』 と呼ばれていたあの頃の面影は一切ありません。
まぐれもなく都内最新のアートスポットです。
星星


ただ、長年にわたって、板橋区立美術館のファンである自分としては、
その劇的なまでのビフォーアフターぶりに、惜しみない拍手を送りたい気持ちの半面、
あまりのキャラ変に、戸惑いを隠せない気持ちもあります。
今回のリニューアル一発目の幟のフレーズにも大きく期待をしていたのですが・・・




正直なところ、クスリともしなかったです (笑)
これまでのイメージが一新されて、
個性であった自虐キャラが封印されてしまった―。
まるで南海キャンディーズの山ちゃん状態です。


さてさて、そんな一夜にして勝組となった (?) 板橋区立美術館。
そのリニューアル一発目を飾る展覧会は、
板橋区立美術館の夏の風物詩ともいうべき、“イタリア・ボローニャ国際絵本原画展” です。




毎年ボローニャで開催され、1000以上の出版社が出展する児童書専門の見本市。
それが、 “ボローニャ・チルドレン・ブックフェア” です。
その関連イベントの一つとして、1967年から開催されているのが、
世界最大規模の絵本原画コンクールといわれる 「ボローニャ国際絵本原画展」。
子どもの本のために描かれた作品 (5枚一組) であれば、誰でも応募が可能とのこと。
そのため、新人イラストレーターの登竜門ともなっています。
いうなれば、絵本界のM-1のようなコンクールのようなものです。

なお、今年2019年のボローニャ国際絵本原画展には、
世界62ヶ国から、約2900を超える応募があったのだとか!
入選した作家は、27か国76人。
それらの入選作が、今年も板橋区立美術館で一挙大公開されています。




ちなみに、展覧会のポスターやチラシの絵は、
毎年、ボローニャ展入選者に白羽の矢が立ちますが。
今年の担当者は、『大丈夫だよ。』 で見事入選を果たした工藤あゆみさんでした。




彼女が展覧会のために描き下ろしたイラストの原画も、入選作とともに展示されています。




一見カワイイようで、じっくり見るとそこまで可愛くない。
でも、さらに見続けていると、ジワジワかわいく思えてくる。
絶妙な匙加減のユルかわなイラストでした。


さてさて、今回紹介されていた出展作の中で、特に読んでみたいと思ったのは、
フランスのアントワーヌ・コルビノーによる 『TVシリーズ その華麗なるストーリー』 です。




なんでも人気TVドラマをモチーフにした絵本とのこと。
こちらの1枚は、『ウォーキング・デッド』 を、




こちらの1枚は、『ツイン・ピークス』 がモチーフとなっていました。




海外ドラマ好きとしては、
『24 -TWENTY FOUR -』 や 『X-ファイル』 のver.のも見てみたかったです。

逆に、読んでみたくないと思ったのは (←?)、
クリスティン・ロスキフテの 『数えてみよう』 でしょうか。




『数えてみよう』 と気軽に言う割には・・・




数えるものが多すぎ!

試しに人の数を数えてみましたが、
途中で、「ムキーッッ!!」 となってしまいました。


また、出展作の大半が、オリジナル作ではありましたが、
中には、有名な物語を、作者なりの独自の解釈で描いたものもありました。
例えば、こちら。




原作のイラストが持つテイストとは、まったく似ても似つきませんが。
『100万回生きた猫』 なのだそうです。
ノーヒントでは、100万回考えても、『100万回生きた猫』 とはわからないでしょう。

ではでは、それを踏まえて、ここで1問クイズを。
韓国のチャ・ヨンキュンが描いたこのイラストは、
一体、何の物語をモチーフにしているのでしょうか?





正解は・・・・・


『白雪姫』

7つずつある服やベッド、リンゴに気付けるかがポイントでした。


ちなみに。
その独特なカラーセンスが印象的だったのが、
アメリカのジュンリー・ソングの 『ねこたちの秘密の生活』 です。




なんとなく、ホブソンズを連想させるものがありました。




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浮世絵ガールズ・コレクション―江戸の美少女・明治のおきゃん―

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現在、國學院大學博物館では、
2016年度に、新たに収蔵品に加わった浮世絵コレクションを初公開する展覧会が開催中です。
新収蔵された浮世絵の数は、なんと3000点以上!
今回展示されているのは、そのうちのほんの一部にしか過ぎません。
紹介し切れなかった浮世絵は、これから定期的に公開されていく予定とのこと。
浮世絵ファンの皆様、今後は國學院大學博物館も要チェックですよ。


さてさて、そんな浮世絵お披露目の記念すべき一発目となる展覧会が、
『TGC』 ならぬ 『UGC』、“浮世絵ガールズ・コレクション―江戸の美少女・明治のおきゃん―”




浮世絵の代表的なジャンルの一つ、美人画にスポットを当てたもので、
江戸時代と明治時代、2つの時代の美人がズラリと並んだ、実に華やかな展覧会です。
星

会場に入ると、まずは歌川国芳の 《山海愛度図会 卅三 よい日をおがみたい 出雲 はち蜜 がお出迎え。




《山海愛度図会》 とは、日本諸国の名品を弟子や国芳の娘が上部のコマ絵を描き、
国芳が 「~たい」 というテーマでメインの美人を描く、全70図ほど確認されているシリーズです。
「よい日をおがみたい」 の女性が両手を組んで見入っているのは、伊勢暦。
吉日を調べているのだそうです。
なお、同じ展示ケース内では、
國學院大學博物館がたまたま所蔵していたという伊勢暦も展示されていました。




見比べてみると、一字一句全く同じです。
知っているようで知らない江戸の文化。
当時の実物と併せて展示されることで、浮世絵の理解がより深まりました。

ちなみに、《めでたいづゑ 四十七 まけてもらいたい 大隅 榑板 と併せて展示されていたのは・・・




鼈甲製の簪 (かんざし) と笄 (こうがい) です。




浮世絵を眺めているだけでは、そんなに驚きはありませんでしたが。
実物の笄を目にして、初めて実感が湧きました。
こんな地方のシティホテルのルームキーみたいなヤツを、
江戸時代の女性は、時に何本も頭にぶっ刺していたのですね!
ファッションは繰り返されると言いますが、
あと何周回ったら、この奇抜なヘアアクセサリーの再ブームがくるのでしょう。


さてさて、会場には他の 《山海愛度図会》 シリーズも展示されていました。




「おもたい」 や、




「くせが直したい」 のように、




内容がスッと入ってくるものが多かったですが。
中には、「はやく行きたい」 (←どこに?!) やら、




「はやくしまいたい」 (←何を?!何に?!何で??) やら、




どういうシチュエーションなのか、全くわからないものも。
これらに関しては、研究者の中でも、コレといった答えが出ていないのだそうです。
もし、何を意味しているのか、ピンと来た方がいらっしゃいましたら、是非教えてくださいませ。


江戸時代のガールズを一通り見たあとは、明治時代のガールズのもとへ。





「明治時代=洋装」 なのかと思いきや、
意外にもまだまだ和装が主流のようでした。
とは言え、江戸時代のファッションと比べると、よりカラフルでポップになったような。
その中でも特に印象に残ったファッションは、
月岡芳年の 《登場自慢十二ヶ月 六月 入谷の朝顔 新ばし 福助 に描かれた浴衣です。




全身に猫が散りばめられていました。
普通に今でも人気でそうなデザイン。
メルカリに出品されていたとしても違和感はありません。

明治の美人画を紹介するコーナーの中で、
個人的にツボだったのは、楊州周延による 《幻燈写心競》 というシリーズです。




画面の中の丸窓に描かれているのは、この時代の女性の憧れとのこと。
心の中にある憧れへのイメージが、
まるで幻燈のごとく映し出されているという趣向なのだそうです。
さて、右から2番目のガールが憧れているのは、海水浴。




登場人物は、基本的に全員男でした。
完全に彼女の心の中の憧れ (妄想?) がダダ洩れしています。
中央には、何やらグラビアポーズみたいなのをしてるヤツが、一人いますね。
どういう憧れなのでしょう??


ちなみに。
今回の展覧会に登場するガールズは、約50名。
その中からお気に入りを一人決めて投票するコンテストも開催されています。




見事、1位に選ばれたガールは、
なんとトートバッグの図柄に採用され、グッズとして販売されるのだそう。
パッと中身が取り出せて、サッと収納できる。
せっかちな人向けの 「はやくしまいたい」 トートバッグが誕生することを密かに期待しています (笑)。


最後に、企画展とは関係なく、
考古ゾーンで出逢った妙にポーズが気になる埴輪をご紹介。




完全にVTRフリをしています。
「ふしぎ発見!」 とか 「なるほどザワールド」 とか、
「それでは、2曲続けてお聴きください」 とか言ってるのかもしれません。




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Book:31 『美しき愚かものたちのタブロー』

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■美しき愚かものたちのタブロー

 作者:原田マハ
 出版社:文藝春秋
 発売日:2019/5/31
 ページ数:406ページ

日本に初めて 「美術館」 という概念をもたらした破天荒な実業家、松方幸次郎。
戦火のフランスで絵画コレクションを守り抜いた孤独な飛行機乗り、日置釭三郎。
そして、敗戦国・日本にアートとプライドを取り戻した男たち――。
奇跡が積み重なった、国立西洋美術館の誕生秘話。
日本人のほとんどが本物の西洋絵画を見たことのない時代に、
ロンドンとパリで絵画を買い集めた松方は、そもそもは 「審美眼」 を持ち合わせない男だった。
絵画収集の道先案内人となった美術史家の卵・田代との出会い、クロード・モネとの親交、
何よりゴッホやルノアールといった近代美術の傑作の数々によって美に目覚めていく松方だが、
戦争へと突き進む日本国内では経済が悪化、破産の憂き目に晒される。
道半ばで帰国した松方に代わって、
戦火が迫るフランスに単身残り、絵画の疎開を果たしたのは謎多き元軍人の日置だったが、
日本の敗戦とともにコレクションはフランス政府に接収されてしまう。
だが、講和に向けて多忙を極める首相・吉田茂の元に、
コレクション返還の可能性につながる一報が入り――。
(Amazonより)


「第161回直木賞にノミネート。
 何より現在、東京国立西洋美術館では、“松方コレクション展” が絶賛開催中。

 読むなら今しかねぇ!

 ということで、思い立ったその日に本屋で購入しました。
 そして、その翌日には、読了。
 一気読みでした。

 率直に、面白かったです。
 
 松方幸次郎も、吉田茂も、戦時中に松方の部下だった日置釭三郎も、
 日本を代表する美術史家の一人矢代幸雄をモデルにした田代雄一も。
 4人の主要人物が、誰一人として欠点がない魅力的な男性として描かれていました。
 
 “理想的な男子ばかりが登場するなんて、2.5次元ミュージカルじゃないんだから・・・(笑)”

 と思わないでもなかったですが、それを差し引いても面白かったです。


 それと、物語の舞台がほとんど海外。
 
 “1年の半分をパリで過ごしている原田さんと違って、
  こちとらパリを訪れたことなんてないから、ほとんどイメージ沸かないわ!”

 とも思わないでもなかったですが、それも差し引いても面白かったです。


 とにかく、松方幸次郎や吉田茂のエピソードや、
 松方コレクションが辿った運命など、物語の随所に登場する実話が圧倒的に面白い。
 誰が聞いても面白い、まさに日本美術史における ‘すべらない話’ 。
 これらのエピソードを発掘してきた原田さんの取材力には、ただただ驚かされました。
 
 それだけに、個人的な感想としては、
 そういった面白いエピソードの数々を、もっとシンプルに、
 ただ単純に時系列に沿う形で紹介して欲しかったような。
 物語の形式は、なかなか複雑です。
 ある登場人物のエピソードの途中で、回想シーンが挟まれ、
 別の人物の物語が語られたと思ったら、またさらにそこから別の人物のエピソードに・・・。
 ということが、わりと何度も起こります。
 愚かものとしては、付いていくのがやっとでした。


 ともあれ、この小説を読むと、松方コレクションが10倍、いや20倍は魅力的に感じます。
 日本に国立西洋美術館があることが誇らしくなります。
 反対に、あの手この手を使って、
 頑なに松方コレクションを返そうとしなかったフランスの好感度はダウンするでしょう。
 また、松方幸次郎のコレクターとしての器の大きさを知ってしまうと、
 先日アートコレクションの一部を手放したあの社長の好感度もダウンするでしょう。
 (☝これは、完全なる流れ弾)

スター スター スター スター 半分星(星4.5つ)」


~小説に登場する名画~

フィンセント・ファン・ゴッホ 《アルルの寝室》

傑作《女》を見る

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かねてより一度は訪れたいと思っていた碌山美術館。
日本近代彫刻の礎を築いた荻原守衛 (碌山) の作品と資料を永久に保存し、
一般に公開するために、1958年に碌山が生まれた安曇野の地に開館した美術館です。




碌山美術館といえば、中世の教会を思わせるこちらの建築。




この建物は、長野県下の小中学生を含む29万9100余人の寄付金で建てられたのだそう。
しかも、外観の煉瓦は、隣接する穂高中学校の生徒たちによって積み上げられたのだそうです。
日本にはさまざまな美術館がありますが、
このようにボランティアで作られた美術館というのは、他にちょっと思いつきません。
ちなみに、扉にはこんなレリーフが掲げられていました。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


さてさて、こちらの建物内には、
フランス留学時代に作られた初期作 《杭夫》 や、


(↑碌山はこの作品を捨てるつもりだったが、友人の高村光太郎は絶賛し、日本に持ち帰るよう強く薦めたのだとか。光太郎グッジョブ!)


肖像彫刻の傑作と名高い重要文化財の 《北條虎吉像》




そして、碌山の代表作中の代表作 《女》 を含む、




14点が開館当時の配置のまま展示されています。




“・・・・・えっ、14点?少なっ!”

と思われた方も、いらっしゃるかもしれません。
もともとは、画家を目指して、海外に渡った碌山。
ところが、フランスでロダンの 《考える人》 に衝撃を受けて、画家から一転、彫刻家を目指します。
その後、ロダン本人からも指導を受けて、日本に帰国。
しかし、帰国してから2年ほどで、碌山は30歳という若さでこの世を去ってしまいます。
そう、そんな短い彫刻家人生であったため、
現存している彫刻作品は、わずか15点ほどしかないのです。
なお、館外に、残りの1点 《労働者》 が設置されています。




つまり、碌山美術館を訪れれば、
碌山の全彫刻作品をコンプリートできるのです。
そんな碌山の全彫刻作品の中で、個人的に一番印象に残ったのは、《デスペア》




デスペア。「絶望」 をテーマにした作品です。
完成にいたるまで、絶望的に時間がかかったといわれる碌山苦心の作。
碌山が叶わぬ恋心を抱いていた相馬黒光 (=新宿中村屋の創業者) が、
旦那の浮気に悲しみ、苦しんでいる姿をモチーフにしたという説もあるのだそうです。
なお、ポーズそのものは、黒光の次女が泣く際にするポーズを参考にしたのだとか。
・・・・・どんな泣き方だよ!
ちなみに、この作品を出展した当時、「卑猥すぎる!」 と物議を醸したのだそう。
いや、胸元も隠れてるし、そんなにエロくないような気がします。
どうやら、当時の人々にとっては・・・




このアングルからの眺めが卑猥に感じられたのだそうです。
そうでもないものをエロいと思える人の心がエロいんだなぁ(by とにを)。
碌山はそんな批判に対し、「だったら、その部分に紙でも貼っておけ!」 と笑い飛ばしたのだとか。
うーん。むしろ、そっちの方がエロくなるような。


さてさて、碌山の彫刻作品を観て終わり・・・かと思いきや。
他にもまだまだ観るべきものがありました。
先ほどから紹介している建物の正式名称は、碌山館。
「碌山館=碌山美術館」 とすっかり思い込んでいたのですが、
実は、碌山美術館の敷地内にある建物の一つにしか過ぎなかったのです。
敷地内には他にも、碌山の絵画作品を展示する杜江館 (もりえかん)




高村光太郎や柳敬助といった友人たちの作品や、
碌山から連なる近代彫刻の流れを汲む彫刻家の作品を紹介する第一展示棟、




休憩スペースとミュージアムショップを兼ねた、
地域の教員や学生たちのボランティアにより建てられたログハウス風のグズベリーハウスなど、




さまざまな建物が存在しています。
まさか、こんなにも見どころが多い美術館だったとは!
嬉しいサプライズでした。
星星


ちなみに。
定期的に特別展や企画展を開催する第二展示棟では、
碌山生誕140周年を記念して、“傑作《女》を見る” が開催されていました。




こちらでは、《女》 の石膏複製や、




その元となった貴重なスケッチなどが紹介されています。




苦悶の表情を浮かべた女性。
そのモデルも、《デスペア》 同様に、相馬黒光と言われています。
しかし、実際にモデルを務めたのは、岡田みどりなる女性だったそう。
なのに、何でモデルは相馬黒光とされてしまうのか。
会場には、岡田みどりと相馬黒光、そして、《女》 を写真で比較したパネルが展示されていました。
確かに、どちらかといえば、相馬黒光似。
むしろ、岡田みどりの面影はまったくありませんでした。
ポーズ取り損 (←?)。
自分と全く似てない完成品を目にしたとき、
きっと岡田みどりは、《女》 以上に、苦悶の表情を浮かべたことでしょう。




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青のある暮らし ―着物・器・雑貨

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「江戸はかった」

思わずそう呟きたくなる (←?) 展覧会が、
この夏、太田記念美術館にて開催されています。
その名も、“青のある暮らし ―着物・器・雑貨” です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


実は、僕らがイメージしてる以上に、
江戸時代は、身の回りに青色が溢れていたのだそう。
そんな 「江戸時代の暮らしの中の」 をテーマにした展覧会です。

例えば、ファッション。
木綿の普及と染色技術の向上によって、
藍染が庶民に広がったため、浴衣や小袖などに藍色が多用されるようになります。




また、例えば、生活に欠かせない器。
それまでは高級品だった青色の染付が、時代を経て、庶民の手でも届くように。
染付の食器や植木鉢が爆発的に浸透していきます。




さらに、江戸の庶民の娯楽である浮世絵そのものにも、
当時登場した新しい青色絵具 (プルシアンブルー。ベロ藍とも) が多用されました。




究極ともいえる、身の回りの (?) が、こちら↓




そう、入れ墨です。
確かに、『刺』 とも書きますね。
海外にも、いわゆるタトゥーは存在していますが、
考えてみれば、特にがメインカラーというわけではありません。

展覧会を通じて、いかに日本人が青色大好き民族でだったのかに気づかされました。
すぐそばにある真実には意外と気が付かない。
まさに “い鳥” 状態です。
ブルーシートがいのも、ブルーレットおくだけがいのも、
村上龍のデビュー作が 『限りなく透明に近いブルー』 だったのも、
すべては、江戸時代にそのルーツがあるのかもしれません!
星


ちなみに、今回の出展作品で印象に残っているものをいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、歌川国貞の 《浄瑠璃つくし 傾城恋飛脚 梅川忠兵衛 新口村の段》 という一枚。




女性が着る浴衣の柄にご注目。




なんとコウモリ柄。
それも、歌舞伎の役を演じるコウモリというトリッキーな柄です。
ただ、それ以上に驚きだった柄が、
同じく歌川国貞による 《江戸名所百人美女 薬けんぼり》 で描かれた浴衣。




背中にでっかい蛸って・・・。
もし、女性がこの浴衣を着てきたら、
申し訳ないですが、少し離れて歩くと思います。
あ、そういえば、背中にでっかい犬がプリントされたヤンキー御用達 (?) の服がありますね。
もしかしたら、この女性は江戸時代のヤンキーなのかも。


他に印象的だったのが、《いろいろの手拭いかぶり》




作者も不詳なら、描かれた年代も不詳。
明治から昭和21年頃と、だいぶアバウトな年代が記されていました。
そもそも、どんな需要があって描かれたのでしょうか。
とりあえず、上島竜兵の被り方に近いのは、下の段の左から2番目ですね。


最後に紹介したいのは、い着物を着た女性が描かれた肉筆画。
松野親信の 《水仙持つ美人》 です。




「身体に比べて、顔小っちゃ!」 と思ったら・・・




それに輪をかけて、「足も小っちゃ!」 でした。
実は着物の中に2人、もしくは3人いて、肩車しているに違いありません。




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青のある暮らし ―江戸を染める伊万里焼―

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現在、浮世絵専門の太田記念美術館では、
“青のある暮らし ―着物・器・雑貨” という展覧会が開催中ですが。
同じ渋谷区内にある古陶磁器専門の戸栗美術館では、
“青のある暮らし ―江戸を染める伊万里焼―” という展覧会が開催されています。




もちろん、これは偶然というわけではなく、2館での初となる連携企画展。
太田記念美術館では、浮世絵に描かれたものを通じて、
戸栗美術館では、実際に使われていたやきものを一堂に会して、
それぞれ、「青のある暮らし」 を紹介しています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


江戸時代を代表する青い器といえば、染付。
日本初の国産磁器である伊万里焼の主力の器で、白地に青色でモチーフを描いたものです。
17世紀初め、誕生した当初の染付は・・・




白い部分すら、もはや青みがかっており、
白と青のコントラストというよりは、全体的に青一色といったところ。
本場中国のものと比べると、その差は一目瞭然です。
そうは言っても、貴重な国産磁器。
この当時、「青の器のある暮らし」 をしていたのは、セレブに限定されていたそうです。

しかし、時間と経験を積み重ねるにつれ、
日本人の持ち前の器用さが発揮されていきます。
17世紀中期には・・・




ここまで技術力がアップ!
さらに、17世紀後半には・・・




複雑な形状もグラデーションも自由自在。
海外に輸出されるまでになりました。


さてさて、そんな染付を町人層が手にできるようになったのは、18世紀のこと。
その要因の一つに、中国との価格競争に苦戦し、
輸出だけでなく、国内での販売に力を入れるようになったことが挙げられるようです。
17世紀の染付の名品を紹介する第1展示室に続く、第2展示室では、
そんな18世紀に有田で作られた染付の食器の数々が紹介されていました。
蓋付きのお椀に、




蕎麦猪口に、




薬味入れとしても使われた手塩皿に。




今でも普段使いできそうな食器ばかり。
値札が付いていたら、買って帰りたいものもいくつかありました。

展覧会を締めくくる最後の展示室では、
19世紀のものを中心に、食器以外に使われていた様々なタイプの染付が紹介されています。
化粧道具として使用された染付もあれば、




襖の引手として使用されたという珍しい染付も。




それ以上に珍しいところでは、染付の将棋駒もありました。




これほどまでに、江戸時代の暮らしが、染付で染められていたとは。
今まで染付をそこまで意識したことがなかったですが、
これからは、日本人が大切にしてきた染付に、もっと関心を持ってみようと思います。
星


ちなみに。
今回の展覧会を通じて、何よりも気になったのは、
《染付 蛸唐草文~》 のものが、異様に多かったことです。
蛸の足のような唐草文だから、蛸唐草文。




フリーハンドで、うねうねと書かれた線が、
全体を埋め尽くすさまは、なんとなく草間彌生さんを彷彿とさせるものがあります。
今の時代、逆に女子ウケしそうかも。


しかし、何でまたこんなに蛸唐草文が蔓延っているのでしょう?
普通の唐草文は、ほとんど見かけなかったというのに。
その理由を、学芸員さんに教えてもらいました。

もともとは、一般的な唐草文が描かれていたそうです。
ところが、時代が進むにつれ、
白い画面をできるだけ、青く埋め尽くしたいという欲求 (?) が高まり、




まるでキャスキッドソンのような 「花唐草文」 が描かれるようになります。
しかし、この描き方では、時間と労力がかかるため、
そのうち、花の部分はあまり描かれなくなっていくとのこと。
そして、よりシステマティックに描ける蛸唐草文へと進化 (?) していくのです。

“ん?だったら、単純に全体を青く塗ればいいのでは?”

と、疑問に思ったのですが、
そもそも釉薬を塗る職人さんと絵付けをする職人さんは別とのこと。
色を均等に塗り重ねるのは、唐草文で埋め尽くすよりも、難易度は高いのだそうです。
ちなみに、唐草文の ‘成れの果て’ とされているのが、こちらの 「微塵唐草文」。




・・・・・唐草文って何かね?
その概念までが木っ端微塵に吹き飛ばされてしまいました。


そうそう。
余談ですが、戸栗美術館からの帰り道、
渋谷駅に向かって歩いていると、軽く青ざめる光景が目に飛び込んできました!




電信柱の広告は、すべて戸栗美術館のもの!
頑なまでに、Uターンさせようとしています。




もう少し進むと、さらなる衝撃の広告が!




英語圏の人間も逃さない。
それが、戸栗美術館。




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美術トリビア!

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『トリビアの泉』 の番組が終わって、早数年。
本家の 『トリビアの泉』 でも、美術にまつわるトリビアはいろいろと紹介されていましたが。
本日は、番組がまだ存続していたら投稿したかった、
思わず 「へぇ」 と言いたくなる美術トリビアの数々をご紹介したいと思います。

まずは、こちらのトリビアから。










平山郁夫といえば、日本各地の風景だけでなく、
シルクロードを実際に旅しながら、その風景を描いた画家として知られる日本画家。
その先祖が織田信長の重臣で、賤ヶ岳の戦いで有名な柴田勝家であることは、
平山郁夫美術館公式HPの 『平山郁夫の歩み』 を紹介する欄に、このように記載されています。

「平山家は300年以上も続く旧家で、菩提寺の寺伝によれば、
 初代の柴田孫左衛門は、戦国武将柴田勝家の孫だとされています。」


柴田勝家が築城した北庄城の跡地を整備した、
北の庄城址・柴田公園という公園が福井県にあるそうなのですが。
その完成の際には、平山郁夫は福井を訪れ、
「一族を代表して厚く御礼申し上げます」 と挨拶をしたとのこと。
園内には、その時に揮毫した記念碑もあるそうです。




続いては、こちらのトリビアです。




創業100年以上を数える日本を代表する種苗会社サカタのタネ。
野菜や花など多数の種を販売していますが、
その中の一つに、「ゴッホのひまわり」 があります。




公式HPの説明によると・・・

「画家シリーズのひとつで、ゴッホが描いたヒマワリのイメージに近い品種です。
 一重・半八重・八重咲きと咲き分け、中心部もバラエティーに富んでいます。
 花粉が出ないので切り花にも向きます。」


とのこと。
そして、公式HP内で、ひまわりの種をさらに検索してみると・・・




確かに、モネのひまわりの種も販売されていました。
しかし、モネといえば、睡蓮の画家。
ひまわりの印象はありません。
公式HPの説明には、こう書かれていました。

「画家シリーズのひとつ。
 まばゆいほど鮮やかなレモンイエローで、花形の整った八重咲き品種です。
 タネまきから60日ほどで開花する早咲きで、分枝して数輪花が咲きます。
 花粉が出ないので切り花にも向きます。」


・・・・・・・・特にモネに関しては触れられていませんでした。

ちなみに、補足トリビアなのですが、
かつては、ゴーギャンのひまわりの種とマティスのひまわりの種も販売されていたようです。




続いては、こちらのトリビアです。




日本刀をイケメンキャラ化した 『刀剣乱舞』 や、
戦国武将をイケメン化した 『イケメン戦国 時をかける恋』 をはじめ、
イケメンキャラが多数登場する女性向け恋愛ゲームは多々ありますが。
2017年にサイトが公開されたのが、こちらの芸術家育成ゲーム。




『パレットパーレド』。通称、パレパレです。
そのストーリー設定は、このようになっています。

「街の片隅にオープンした 『パレット美術館』。
 受付募集の求人を見て足を運んだあなたを待っていたのは……
 客が全くいない美術館と、個性豊かな芸術家たちだった!
 館長代理を任されたあなたは、
 彼らと一流の美術館を目指すため 『パレットパレード』 を開催することに……!?」


・・・・・一流の美術館を目指すための 『パレットパレード』 とは、一体何なのか。
長いこと、美術関係の活動をしていますが、初めて目にする単語でした。

ちなみに、例えば、ドラクロワはこんなキャラクターに、




例えば、ムンクはこんなキャラクターになっています。




男目線からすれば、ツッコミどころしかないですが (笑)
今年2019年に配信が予定されているとのこと。
興味がある女性の方は、是非プレイしてみてはいかがでしょう。


続いては、こちらのトリビアです。










1954年に、人間ドックと名付けた健康診断システムを、
国立東京第一病院 (現・国立国際医療センター) と共同で開発し、
定着させた保健同人社の公式HP内の 『人間ドック誕生秘話』 には、次のように記載されています。

1954年当時、
 成人病 (生活習慣病) 予防のために全身の健康状態をチェックしてもらうのには、
 病院内の各科を面倒な手続きを踏んで転々としなければなりませんでした。
 しかも、いま人間ドックで行われている数十項目の検査を受けるのには何か月も費やすことになります。

 こうした病院中心のシステムを改め、
 ベルトコンベアにのった患者を各科の医師が次から次に検診し、
 コンベアの最後では、得られた検査データをもとに主治医が総合判定をするというシステムを作りたい。
 検査開始から総合判定までの期間は6日間―。
 このアイディアは、国立東京第一病院 (現・国立国際医療センター) の、
 守屋博医師 (病院管理学の指導者) との議論の過程で生まれました。

 同病院での試運転に協力していただいたのは、政治評論家の細川隆元氏、
 『保健同人』 の表紙絵を担当してくださった東山魁夷画伯、
 ロイター通信の幹部記者である恒川真氏。
 3氏からはその後の健康管理に役立つ貴重な収穫が得られたと予想外の好評をいただき、
 同時に、病院側のシステム改革にも一石を投じることになったのです。



確かに、日本で初めて人間ドックを受けたのは、東山魁夷だった。


さて、本日の美術トリビアはいかがでしょうか?
明日使えるものばかりでしたね。




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メスキータ

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現在、東京ステーションギャラリーが猛プッシュしているのは、
サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ (1868~1944) というアーティスト。
その日本初となる大々的な回顧展 “メスキータ” を開催しています。




東京ステーションギャラリーで、
「えっ、誰??」 というアーティストの回顧展が開催されるのは、もはやデフォルト。
そして、それらの展覧会がすこぶる面白いのも、デフォルト。
今回の “メスキータ” 展もご多分に漏れず、面白かったです。
星星
すべらんなぁ~。


さてさて、こちらの版画のモデルとなっているのが、今回の主役メスキータ。
ユダヤ系オランダ人としてアムステルダムに生まれた人物です。


《メメント・モリ(頭蓋骨と自画像)》 1926年、個人蔵 Photo: J&M Zweerts


《メメント・モリ(頭蓋骨と自画像)》 以外にも、いくつか自画像が紹介されていましたが・・・


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


どれもこれも、違う顔でした。
結局のところ、どういう顔だったのでしょう??
そんないくつもの顔を持つ (?) メスキータですが、
芸術家としても、版画家、デザイナー、美術学校での指導者と、いくつもの顔を持っていました。
生涯を通じて、多くの版画作品を残すも、
1944年に、妻と息子とともにナチスに拘束されてしまいます。
その数か月後、彼と妻はアウシュヴィッツで、息子は別の強制収容所で殺害されてしまいました。
さて、僕らが今こうしてメスキータの作品を鑑賞できるのは、
自宅に残されていた彼の作品を、ナチスから必死に守った彼の友人や教え子たちのおかげです。
その教え子たちの中の一人が、何を隠そう、だまし絵でお馴染みのM.C.エッシャー。
「エッシャーが、命懸けで守った男。」 という、
展覧会のキャッチコピーには、そういう意味が込められていたのです。


とはいえ、“あのエッシャーを指導したから”、“あのエッシャーが作品を守ったから”、
「だから、メスキータの作品は貴重なので観ておくべき!」 というわけでは決してなく。
純粋に一人の版画家として、作品が面白いのです。
むしろ、これまでフィーチャーされてこなかったのが不思議なほどに、どの作品も魅力的でした。
もしかしたら、逆にエッシャーのせいで、
これまで影に隠れてしまっていたのかもしれません。

メスキータの版画作品の魅力。
それは何と言っても、その独創性にあります。
一つとして、普通 (?) の作品がないのです。
例えば、メスキータが人物画を制作すると、こんな風に仕上がります。


《ヤープ・イェスルン・デ・メスキータの肖像》 1922年、個人蔵 Photo: J&M Zweerts


野生爆弾くっきーの白塗りモノマネのようにも見えますが、もちろんそうではありません。
実の息子ヤープを描いた肖像画なのだそう。
鼻と鼻の下の表現が、独特も独特です。
目の下には、『DEATH NOTE』 のLばりのクマがあるのかと思いきや、その正体はメガネとのこと。
この表現もまた独特です。
ついでにいえば、格子状の背景もなかなかに独特。
この1枚に、どれだけオリジナリティを詰め込んでいるのでしょう。

また例えば、メスキータがシカをモチーフに制作すると、こんな風に仕上がります。




哺乳類と鳥類の中間のような顔立ち。
2本の角は、ちょうど (?) 三角形を形づくっています。
あまりに個性的すぎるため、しばらく見ていると、
「あれっ?僕が思い浮かべているシカのほうが違っているのかな??」 と不安になってきました。

またまた例えば、メスキータが花をモチーフに制作すると、こんな風に仕上がります。




花と葉はともかくも。
その背景を謎の紋様がビッシリと埋め尽くしています。
それによる何かしらの効果があるのかと言われれば・・・・・おそらく一切無いのでしょう。
ただ単純に面白そうだから、“やってみた”。
そんな印象を受けました。

会場には、この他にも、普通じゃない作品がズラリ。
メスキータワールドにどっぷりとハマることができます。




どの作品もインパクトがありましたが、個人的に一番印象に残っているのは、
そのシチュエーションからして独創的な 《ファンタジー:稲妻を見る二人》 という作品。


《ファンタジー:稲妻を見る二人》 1914年、個人蔵 Photo: J&M Zweerts


大の大人が2人して、稲妻を無表情で見つめるって、どんな状況だよ。
それも、目ん玉ひん剥いて。
・・・・・そういえば、肝心の稲妻の表現は貧弱だな!
稲妻よりも、2人のほうがよっぽどインパクトあるわ!
と、カミナリばりにツッコミたくなる作品でした。


最後に、もう一点強く印象に残った作品を。
《母と子》 という一枚です。




白と黒のクッキリとしたコントラスト。
何より、母と子の組み合わさり方。
短絡的な発想であるのは重々承知していますが、
この一枚が、エッシャーに大きく影響を与えたのかも、と想像せずにはいられませんでした。




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マイセン動物園展

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現在、パナソニック汐留美術館で開催されているのは、“マイセン動物園展”
西洋白磁の頂点に君臨するマイセン、その中でも動物をモチーフにした作品に注目した展覧会です。


(注:展示品の一部は写真撮影が不可となっていますが、主催者より特別に許可を得ております)


さてさて、まずは告知をさせてくださいませ。
こちらの展覧会に関連して、来たる7月28日に、
「マイセン 動物奇想天外!」 というトークショーが開催されます。
司会を務めるのは、私アートテラー・とに~。
『高橋君に聞いてみないとネ』 のコーナーでお馴染みの鳥博士・髙橋雅雄氏とともに、
展覧会に登場する数々の鳥について、時間の許す限り、楽しくためになるトークを繰り広げます。
残席あとわずかとのことですので、ご参加を悩まれている方、お申込みはどうぞお早めに!


・・・・・・・・といった縁があるから。
そんな忖度は一切なしで、今回の “マイセン動物園展” は、めちゃめちゃ面白かったです。
担当学芸員さんから事前にお話を伺って、ある程度、内容は把握していましたが。
その想像の斜め上を行く面白さでした。
星星星
これまでに観てきたマイセン展、

いや、すべての洋食器関連の展覧会の中で、断トツに面白かったです!


マイセンを紹介する展覧会ですから、
もちろん上品な奥様方がお好きそうなお皿は、展示されていました。




が、しかし、それは展覧会のごく少数。
今回の展覧会のメインとなるのは、マイセンの技術の粋が詰まった超絶技巧な立体物です。




器の表面に、鳥や虫、動物や植物などが、
これでもかと言わんばかりにデコレーションされていました。
あまりにも造形が細かすぎて、磁器で作られているとは、にわかには信じられないほど。




こちらの 《スノーボール貼花装飾蓋付昆虫鳥付透かし壺》 にいたっては・・・


ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー 《スノーボール貼花装飾蓋付昆虫鳥付透かし壺》 1820~1920年頃 個人蔵


表面に小さな花がビッシリと敷き詰められ、
その上に精巧な鳥や昆虫、足元にはカエルが配置されています。
しかも、中央下部の網目の中を覗くと、その中にも鳥がいました。
もはや技術力の渋滞状態。
超絶技巧が、日本の専売特許ではないことを、まざまざと見せつけられました。


さてさて、これらの作品も展覧会の見どころの一つですが、
やはりハイライトとなるのは、アール・ヌーヴォー期に作られたという動物作品の数々です。




可愛いのなんのって!
人生で初めて、心からマイセンの作品が欲しくなりました。
中でもニヤニヤが止まらなかったのは、マイセンの猫コーナー。




どの猫も自然で愛くるしい動きを見せており、
まるで本当に生きているかのような生命感を宿しています。
このコーナーに関しては、作品を鑑賞するというよりは、
ペットショップの猫コーナーを眺めている感覚に近かったです (笑)
特にお気に入りの猫は、この子たち↓


オットー・ピルツ 《二匹の猫》 1934~1940年頃 個人蔵


許されるなら、連れて帰りたくなる可愛さでした。
ちなみに、この猫には、釉薬の上から描いた絵の具を沈みこませる、
その名も、「イングレイズ」 という画期的な技法が使われているのだとか。
固い磁器なのに、毛並みがふわっと感じられるのには理由があったのですね。
ただ可愛いだけの作品ではありませんでした。


なお、展覧会のラストを飾るのは、
アール・デコ期の鬼才マックス・エッサー。
ベッドガー炻器と呼ばれる赤茶色の焼物による彫刻作品を得意としたマイセンの成形師です。


マックス・エッサー 《カワウソ》 1927年 個人蔵




1937年のパリ万国博覧会でグランプリを受賞した 《カワウソ》 をはじめ、
どの作品も、マックス・エッサー風としか言いようのないオリジナリティを発揮しています。
その中でも特に衝撃的だったのが、
内部に照明を仕込み、壁面装飾として用いられる動物のマスク群。




夢に出てきそうなインパクトある光景でした。
あくまでなんとなくのイメージですが、
この空間だけ、ディズニーランドのアドベンチャーランドっぽかったです。


と、見どころ満載の展覧会ですが、
さらに嬉しいことに、展示品の半数以上が撮影可能となっています!
動物たちとの記念写真も撮り放題。
本当の動物園にいるような感覚で楽しめますよ。


ちなみに。
今回出展されていた作品の中で、
個人的に一番のお気に入りは、《山羊に乗る仕立て屋》




まるでハーレーを乗りこなしているかのような、いかつい顔つきですが。
乗っているのは、眼鏡をかけた山羊。
なんでも、目が悪い仕立て屋が晩餐会に招かれたものの、
目が悪い山羊に乗っているため、なかなか辿り着けない様子を表しているのだそうです。
山羊の目の悪さというよりも、そもそも山羊に乗っているのが問題なのでは・・・?
というか、普通にしていたら地面に足が付きそうですし。
たぶん普通に歩いた方が早く着くはず。


 ┃会期:2019年7月6日(土)〜9月23日(月・祝)
 ┃会場:パナソニック汐留美術館
 ┃
https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/19/190706/index.html

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “マイセン動物園展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、7月20日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの

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昨年4月、惜しまれつつこの世を去った日本を代表するアニメーション監督・高畑勲。
その初となる大々的な回顧展、
“高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの” が、東京国立近代美術館にて開催されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


東映動画 (現:東映アニメーション)時代の貴重な若手時代の作品から、


狼少年ケン ©東映アニメーション


代表作の一つで、日本の夏の定番ともいうべきアニメーション映画 『火垂るの墓』、


火垂るの墓 ©野坂昭如/新潮社, 1988


そして、高畑さんの最後の作品となった 『かぐや姫の物語』 まで。


かぐや姫の物語 ©2013 畑事務所・Studio・Ghibli・NDHDMTK


1000点を超える制作ノートや絵コンテといった膨大な資料を通じて、
日本のアニメーション史における高畑さんの業績を紹介するものです。
タイミング的に、追悼展として開催されているのかと思いきや、
実は、高畑さんの生前から予定されていた展覧会だったとのこと。
その段階では、高畑さんが好きな美術作品や映画と、
高畑さんの作品を合わせて紹介する展覧会を想定していたのだそうです。
東京国立近代美術館ならではのユニークな切り口の展覧会を予定していたのですね。

“ついに近美も、夏休みだからって、
アニメの展覧会をやるようになったのかァ・・・┐('~`;)┌”


なんて思ってしまっていて、ごめんなさい。
そして、ごめんなさいと言えば、もう一つ。
正直なところ、今日の今日まで、高畑勲さんのことを、
“ジブリの宮崎駿さんじゃない方” くらいに思っていました。

しかし、今回の展覧会を観て、そのイメージは激変。
こんなにも日本のアニメ界に大きな影響を与えていた人物だったとは!
(まさか、『ドラえもん』 や 『ルパン三世』 にも関わっていただなんて!)
こんなにも革新的なクリエイターだったとは!
(それも、生涯を通じて常に革新的!)
今さらながら、高畑勲という人物の偉大さを知りました。
反省も反省です。

単なるアニメの原画展というわけでは決してなく、
アニメーションという芸術の一分野の巨匠を紹介する本格的な “美術展” でした。
星星
アニメがお好きな方はもちろんのこと、
普段は絵画や彫刻、現代アートの展覧会を訪れているという方にもオススメの展覧会です。
この展覧会を観ると、きっとアニメーションを見る目が変わるはず。
そして、高畑さんの集大成である 『かぐや姫の物語』 が観たくなるはず。
TSUTAYAに立ち寄って、『かぐや姫の物語』 を借りて、家に帰るまでが “高畑勲展” です。


さてさて、『平成狸合戦ぽんぽこ』 や、


平成狸合戦ぽんぽこ ©1994 畑事務所・Studio Ghibli・NH


『ホーホケキョ・となりの山田くん』 のコーナーも印象的でしたが。


ホーホケキョ・となりの山田くん ©1999 いしいひさいち・畑事務所・Studio Ghibli・NHD


個人的に印象的だったのは、『パンダコパンダ』 のコーナーでした。
テレビゲームを買ってもらえなかった子ども時代。
娯楽と言えば、おじいちゃんがプレゼントしてくれたアニメのビデオを観ることくらいなものでした。
その何本かあるビデオの中に、『パンダコパンダ』 も。
何度 『パンダコパンダ』 を観たことでしょう (←他にすることもないので)。
さて、こちらのコーナーには、展覧会開幕の直前で発見されたという、
若き日の宮崎駿さんが手掛けた 『パンダコパンダ』 のレイアウトの数々も展示されています。


「パンダコパンダ」レイアウト画 ©TMS


パンダコパンダ ©TMS


それらの絵が目に飛び込んできた瞬間、
その当時の懐かしい記憶がブワ~ッと蘇ってきました。
ついでに、「♪パンダ パパンダ コパンダ~」 というフレーズも。




おかげで、あれ以来、水森亜土の歌声が頭にこびりついて離れません。。。


ちなみに。
今回の展覧会でもっとも力を入れて紹介されているのは・・・


アルプスの少女ハイジ ©ZUIYO 「アルプスの少女ハイジ」公式ホームページ http://www.heidi.ne.jp/


『アルプスの少女ハイジ』 です。
高畑さんと宮崎さんによるオリジナル絵コンテや、


『アルプスの少女ハイジ』 絵コンテ ©ZUIYO 「アルプスの少女ハイジ」公式ホームページ http://www.heidi.ne.jp/


三つ編みスタイルの貴重な初期設定のイラストなど、


アルプスの少女ハイジ ©ZUIYO 「アルプスの少女ハイジ」公式ホームページ http://www.heidi.ne.jp/


多くの資料を通じて、『アルプスの少女ハイジ』 が、
この当時、いかに革新的で意欲的なアニメーションだったのかが紹介されています。
日常生活の丹念な描写を重視したという高畑さん。
その企画ノートには、ヤギの生態やチーズ作りまでもがビッシリと記述されていました。
これほどまでに作り込まれたアニメだったなんて。
そんなアニメをネタにしてしまっている某家庭教師のCMが、急に腹立たしくなってきました。

なお、『アルプスの少女ハイジ』 に関しては、
写真撮影が可能なジオラマも展示されています。


アルプスの少女ハイジのアルムの山小屋 (会場外)©ZUIYO 「アルプスの少女ハイジ」公式ホームページ http://www.heidi.ne.jp/

アルプスの少女ハイジのジオラマ ©ZUIYO 「アルプスの少女ハイジ」公式ホームページ http://www.heidi.ne.jp/


ジオラマを通じて初めて、ハイジがとんでもないところに住んでいることを実感しました。
毎日、こんな急な丘を駆け下りたり駆け上がったりしていたんですね。
ハイジの脚力どんだけ。




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名画IPPONグランプリ 第15問

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出張授業などでお世話になった小学生たちに、
名画に関する大喜利に挑んでもらい、その中から厳選されたオモシロ回答だけを紹介していく企画。
それが、名画IPPONグランプリです。

早速、今回のお題となる絵をご紹介いたしましょう。




こちらは、ポーランドを代表する歴史画家ヤン・マテイコによる 《スタンチク》 という一枚。
スタンチクは、三代の王に仕えたポーランド史上最も有名な宮廷道化師と言われています。
シリアスな表情なのに、妙ちくりんな衣装。
このギャップを活かすことが、回答のカギとなりそうです。




まずは、こんな回答から。




これぞシンプルイズベスト、といった回答です (笑)
本当にお腹が痛い時って、真顔になりますよね。
ちなみに、スタンチクがこんなシリアスな表情をしている実際の理由は、
敵国であるロシアによって、スモレンスクの街が陥落したことを知ったから。
華やかな宮廷舞踏会の最中に速報を受け取り、楽屋で一人、考えにふけっているのだそう。
腹痛よりも、もっと大変なことが起こっているのです。


続いては、小学生らしいこちらの回答です。




子どもかwww
完全に、ふてくされていますね。
きっと理不尽な怒られ方をしたのでしょう。

その続き (?) と思われる回答が、こちら↓




怒られた原因は、ゲームのやりすぎだったのかもしれません。
大好きなゲームができない。
ふつふつとした怒りが伝わってくるようです。

スタンチクの表情を 「怒り」 ではなく、
「絶望」 と捉えた子どもたちも多くいました。
その中で印象的だった回答が、こちら。




これはかなりの絶望感でしょう。
まったく一緒のシチュエーションではないですが、自分はかつて、
旅行の前日に飛行機のチケットが取れてないことに気づいて、青ざめたことがありました。
たぶんあの時の僕も、この表情でしばらくフリーズしていたと思います。
ただ何より、この回答を子どもが導き出したのが、スゴい!
もしかしたら、一家の実体験なのかもしれないですが。

続いても、小学生らしくない回答です。




人生詰んだ。
絶望感を表すに、これ以上ないくらいのパワーワードです。
こんな格好をするような人間にはなりたくなかった。
ピエロの哀愁が、これでもかと漂っています。


政治哲学者としての才能に溢れていたともいわれるスタンチク。
そんなスタンチクが、何か新たな真理を発見したようです。




今ごろ気づいたんかい!
そんなことも知らなかっただなんて。
ボーっと生きてんじゃねぇよ。

実際のスタンチクはもっと思索にふける人物であったはずです。
頭の中で絶えず思考を続けている。
そんな回答もありました。




2大欲求!
単なる無限ループです。
もういいから、何か食えよ。それか、寝ろ。


最後は、個人的に一番好きな回答を紹介しましょう。




むしろ、何で赤ピクミンのマネで 「イケる!」 と思ったんでしょう。
それは、こうなりますよ。
顔の部分がオッサンなんだもん。


・・・・・・・・・以上、名画IPPONグランプリでした。




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日本の素朴絵 ―ゆるい、かわいい、たのしい美術―

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この夏、三井記念美術館で開催されているのは、
“日本の素朴絵 ―ゆるい、かわいい、たのしい美術―” という展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


上手いとか下手といった物差しでは測れない、
ゆるくとぼけた味わいのある表現で描かれた絵画。
それが、素朴絵。
地獄の恐ろしさを伝えたいはずなのに、なぜか真逆の効果を生んでしまっている 《十王図屏風》 や、


《十王図屏風》 8曲1隻 江戸時代・17世紀 日本民藝館蔵 


山の上から下へと進んでいるはずの川の流れが、
逆に上へと昇っているように見える、どこかエッシャー風な 《伊勢参詣曼荼羅》 などなど、


《伊勢参詣曼荼羅》 2幅 江戸時代・17世紀 三井文庫蔵


描いている本人はいたって本気なのでしょうが、
観ているこちらとしては、「どうしてこうなった」 と首を傾げざるを得ない。
そんな日本美術史に残る素朴絵の名品が会場に大集結しています。




確かに、伊藤若冲や円山応挙といった、
一流画家によって描かれた絵に、人は心を動かされるものですが。
絵心ない芸人が描いた絵や、しょうこお姉さんが描いたスプーの絵など、




決して上手くはない、いや、むしろ実物とは似ても似つかない絵にも、人は心を動かされるものです。
・・・・・ある意味で。
そして、その衝撃度に関しては、時に一流画家の名品を超えることもあります。
今展に出展されているのは、そんな “奇跡の一枚” ばかりです。
星星
一人で展覧会を鑑賞していて、笑っていたら変なヤツと思われはしないか。
そう思って、終始笑いをこらえながら鑑賞するはめに。
“絶対に笑ってはいけない展覧会” 状態でした。


今回出展されていた素朴絵は、どれもポテンシャルが高かったですが。
その中でもやはり頭一つ抜けていたのは、《かるかや》
出家した武士、苅萱道心 (かるかやどうしん) とその息子にまつわる説話の絵入り本です。


《かるかや》 2帖 室町時代・16世紀 サントリー美術館蔵


画面の右中央に、ピクミンみたいなのが5体ほどいますが、実はその正体は、天上から現れた仏様。
いわゆる来迎図のように、天上からパーッスーッと現れる様子を表現したかったのでしょうが。
5人が等間隔で突っ立っているだけなので、
『ドリフの大爆笑』 のオープニングのように感じられてなりません。
だめだこりゃ。


また、今回の展覧会には、今やミュージアムキャラ界の人気者となった、
京都国立博物館のトラりんのモデルとなった尾形光琳の 《竹虎図》 も参戦しています。


尾形光琳筆 《竹虎図》 1幅 江戸時代・18世紀 京都国立博物館蔵


むしろ、トラりんのほうを何回も目にしていたので、
《竹虎図》 と初対面を果たした瞬間、「本物だ!」 とテンションが上がってしまいました (笑)
しかし、何故にだっちゅーのポーズ?


さてさて、素朴絵がテーマの展覧会ですが、
会場には、大阪のオカン感の強い (?) 仏像や、




大阪の歯のないオッちゃん感の強い (?) 狛犬など、




いうなれば、素朴立体ともいうべき作品も数多く紹介されています。
その中でも特に印象的だったのは、展覧会の冒頭を飾っていた 《はにわ(猪を抱える猟師)》 です。


《はにわ(猪を抱える猟師)》 1躯 古墳時代 個人蔵


顔が完全にビートたけし。
それも、『世界まる見え』 のオープニングのたけしです。
あの右手で抱えているイノシシから、白い煙が噴き出すに近いありません。


それからもう一つ印象的だったのが、《木造 神馬・口取人形》 です。


《木造 神馬・口取人形》 1組 鎌倉時代・13世紀 御上神社蔵


どう見ても男性のポーズが、いつもここからの 「悲しいとき」。




悲しいとき~ 真面目に作った人形が、
何百年後に、展覧会で笑いものにされているとき~




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マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展

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現在、三菱一号館美術館で開催されているのは、
“マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展” という展覧会。
フォルチュニ美術館全面協力のもと開催される日本初のマリアノ・フォルチュニの大回顧展です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


「ヴェネツィアの魔術師」 の異名を持つマリアノ・フォルチュニ (1871~1949)
19世紀初頭に活躍した伝説的なファッション・デザイナーです。


作者不詳 《マリアノ・フォルチュニ》 制作年不詳 フォルチュニ美術館 ©Fondazione Musei Civici di Venezia - Museo Fortuny


そんなフォルチュニの代名詞と言えるのが、デルフォス。


マリアノ・フォルチュニ 《デルフォス》 1910年代 絹サテン、トンボ玉 島根県立石見美術館
(注:展示期間は、8/20~10/6)



1896年に発見された古代ギリシャの青銅彫刻 《デルフォイの御者》 に着想を得たドレスです。
日本から輸入したとされる最高級の絹が、
鮮やかに染めあげられ、繊細なプリーツが施されています。
布そのものにデザイン性が備わっているというのは、当時はかなり革新的だったそうです。
また、ファッション史においては、女性をコルセットから解放したという点でも革新的とのこと。
「コルセットなし (ただし、モデル体型に限る)」 という気もしなくはないですが。
ともあれ、そんなデルフォスの革新性は100年経っても、まったく古びておらず!




現代の眼で見ても、十分に新鮮に映りました。
イッセイ●ヤケの新作と言われても、信じてしまうことでしょう。

ちなみに、デルフォスの収納方法もまた、当時としては革新的だったとのこと。




一瞬、中尾彬のネジネジにも見えますが、
こうしてクルクルとまとめれば、小さな箱に収納することも出来るのです。
何から何まで考えられたデザインですね。
さすが、ヴェネツィアの魔術師の異名は伊達ではありません。

そんなデルフォスをはじめ、展覧会場には、
フォルチュニがデザインしたドレスやコートなど、約30点のアイテムが集結!
初来日を含むフォルチュニコレクションが堪能できます。




その中でデルフォス以外で印象的だったのが、
画面手前の緑のデルフォスが羽織っているジャケット。
その名も、「キモノ」ジャケットです。




日本の文化、芸術、染織に関する書籍や、
日本の染め型紙を多数所有していたというフォルチュニ。
きちんと日本文化を学んだ海外の方が、「キモノ」 を作ると、ちゃんとしたものができるのですね。
アメリカの某タレントとは大違いでした。

さてさて、「ヴェネツィアの魔術師」 以外にも、
「20世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチ」 の異名を持つフォルチュニ。
その “万能の人” ぶりを紹介すべく、
展覧会では、画家フォルチュニによる絵画作品や、


マリアノ・フォルチュニ 《バラ色の衣装のための習作(アンリエット・フォルチュニ)》 1932年 テンペラ/厚紙 フォルチュニ美術館
© Fondazione Musei Civici di Venezia - Museo Fortuny
    




照明デザイナーフォルチュニがデザインした照明器具、


マリアノ・フォルチュニ 《デスクランプ》 1925年 木、金属 フォルチュニ美術館 
© Fondazione Musei Civici di Venezia - Museo Fortuny
  




写真家フォルチュニによる写真作品なども紹介されていました。


マリアノ・フォルチュニ 《雲の習作、ヴェネツィア》 1915年頃 銀塩ネガプリント 
フォルチュニ美術館 © Fondazione Musei Civici di Venezia - Museo Fortuny



ちなみに、今でこそ、雲の写真なんて、
オシャレなカメラ女子が撮る定番中の定番の写真ですが。
写真の歴史において、だいぶ早い段階で、
雲にフォーカスした写真を撮影していたのは、おそらくフォルチュニとのこと。
雲の写真のパイオニアといっても、過言ではないかもしれません。
その他にも、織機の設計図や船舶推進装置の特許書など、
フォルチュニの発明家としての一面も紹介されていました。
訪れるまでは、女性に刺さる展覧会と思い込んでいましたが。
予想に反して、男性でも十分に楽しめる間口の広い展覧会でした。
星星
「ファッションの展覧会は・・・」 と尻込みしている男性にこそ足を運んで頂きたい展覧会です。


そうそう、男性が共感できそうといえば、
フォルチュニの妻アンリエットと、母セシリアとのエピソードが印象的でした。
フォルチュニとアンリエットが結婚するまでには、なんと20年もかかったのだそう。
その理由は、母セシリアが 「息子を不幸にする女!」 と反対していたからとのこと。
フォルチュニは、えげつない嫁姑問題に苦しんでいたのですね。
ちなみに、こちらはセシリアが所蔵していたという日本の着物。




セシリアの死後、アンリエットは、
姑が大事にコレクションしていたこの着物を室内着にしていたのだとか。
・・・・・・・女、怖っ。



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特別展 三国志

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この夏、東京国立博物館では、
日中文化交流協定締結40周年を記念した特別展 “三国志” が開催中です。




展覧会のキーワードとなるのは、“リアル三国志”
実は、映画やマンガなどで僕らがよく知る三国志は、
中国の明の時代に書かれた小説 『三国志演義』 を元にしたもの。
フィクションであるため、当然、史実とはいろいろと異なる部分があります。
今回の展覧会でスポットが当てられているのは、
2~3世紀の中国の歴史書である 『三国志』 のほう。
漢王朝が衰退し、魏・蜀・呉の三国が覇権を争った三国志の時代を、
中国の国宝にあたる一級文物を多く含む貴重な歴史資料約160件で振り返ろうというものです。





・・・・・とはいっても、物語としての三国志ファンの方もご安心を。
会場には、NHKの 『人形劇 三国志』 で実際に使用された人形や、





横山光輝による漫画 『三国志』 の原画の数々も展示されています。




画期的だったのは、これらの日本人に馴染み深い 『三国志』 作品を、
展示の一部として紹介するのではなく、会場の随所に登場させていたこと。
歴史資料だけではイメージがしにくい三国志の世界ですが、
こうしたビジュアルがあることで、ぐっとイメージしやすいものになっています。
史実とフィクションが、まさに水魚の交わりのごとく密接に結びついていました。
この演出は、実に素晴らしい策!
今回の特別展 “三国志” のスタッフには、諸葛孔明的な人物がいるようです。

ちなみに。
特別展 “三国志” には、さらに画期的で大胆な策が講じられていました。
それは・・・・・




なんと会場内全作品撮影OKという策!

昨今、現代アート系の展覧会では、
会場内全作品撮影OKというのは、珍しくなくなってきましたが。
ここまで大規模な歴史系の展覧会での会場内全作品撮影OKというのは、他に記憶ありません。
おそらく初めての試みなのではないでしょうか?

なんとなく、シティボーイズのきたろうさんに似ている犬の俑 (=人形) や、




なんとなく、自民党の石破茂さんに似ている人面文瓦など、気になるものを撮るもよし。




赤壁の戦いをイメージした映える展示室を撮るもよし。




冒頭からラストまで、アトラクション感覚で楽しめる展覧会となっていました。
三国志ファンはもちろんのこと、
これを機に 『三国志』 を知ってみたいという方にもオススメの展覧会です。
星星


ちなみに、そんな特別展 “三国志” の白眉ともいえるのが、
2009年に三国志研究最大の発見として大きな話題となった墓室の再現。
三国志の奸雄として知られる曹操の墓室を実物大で再現したものです。





ピラミッドや日本の古墳などに比べると、お世辞にも豪華とは思えませんでしたが。
なんでも、曹操は 「墓は質素にするように」 と遺言で命じていたのだそう。
曹操高陵が発見されたことで、その史実が、まさしく証明された形になったのです。
なお、その再現された墓室の中心には、これまた質素な白磁の壺が置かれていました。


罐 白磁 後漢~三国時代(魏)・3世紀 2008年~2009年、河南省安陽市曹操高陵出土 河南省文物考古研究院蔵


こちらの白磁は再現ではなく、実物。
曹操高陵で出土し、初来日を果たした貴重な白磁です。
さてさて、これまで白磁は6世紀後半に出現したとされていたそうなのですが。
曹操高陵は3世紀のもの。
そこから出土したとなると、白磁誕生の歴史が大きく遡ることになります。
見た目は質素ですが、実はやきもの史におけるもっとも貴重な白磁なのです。


最後に。
展覧会で、どうしても気になってしまったことを。
それは、音声ガイドに関して。
今回の音声ガイドは、全2種類ありました。
一つは、ゲーム 『真・三國無双』 シリーズの4人の武将による音声ガイド。
そして、もう一種類の音声ガイドを担当するのは、
日本に三国志を根付かせたあの小説家の吉川英治・・・・・




と見せかけて (←?) 吉川晃司さんでした。
中国史に精通し、曹操高陵を訪ねた経験もあるとの理由で抜擢されたそうですが。
吉川英治と吉川晃司。
なんとなく名前が似ているから選ばれたのではないかと、僕は予想しています (笑)
ちなみに、そんな吉川晃司ver.の音声ガイドでは、
執拗なほどに、“吉川英治” というフレーズが登場します。
「すぐ言う~!」 状態。
吉川晃司に、何度も “吉川英治” と言わせる。
これもきっと策士のしわざ。


 ┃会期:2019年7月9日(火)〜9月16日(月・祝)
 ┃会場:東京国立博物館 平成館
 ┃
https://sangokushi2019.exhibit.jp/

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “特別展 三国志” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、7月25日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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みんなのレオ・レオーニ展

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東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館では、
現在、“みんなのレオ・レオーニ展” という展覧会が開催中。
こちらは、世界的な絵本作家レオ・レオーニにスポットを当てた展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


「レオ・レオーニって誰?? なんか野比のび太みたいな名前・・・」

という方でも、きっと人生で一度はレオ・レオーニの作品を目にしたことがあるはず。
例えば、国語の教科書でもお馴染みの 『スイミー』 。
また例えば、国語の教科書でもお馴染みの 『フレデリック』 や 『アレクサンダとぜんまいねずみ』。
これらの絵本の生みの親こそが、そう、レオ・レオーニなのです。

そんなレオ・レオーニの代表的な絵本の原画の数々が、今展のために来日中!
それらの中には、『フレデリック』 や、


「フレデリック」 1967年 水彩、パステル、コラージュ、紙 51×63.6cm
Frederick ©1967, renewed 1995 by Leo Lionni / Pantheon Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family



『アレクサンダとぜんまいねずみ』 の原画もあります。


「アレクサンダとぜんまいねずみ」 1969年 コラージュ、紙 51×63.6cm
Alexander and the Wind-up Mouse ©1969, renewed 1997 by Leo Lionni / Pantheon
Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family



「カワイイ♪」 と 「懐かしい!」。
2つの感情が同時に押し寄せてくること請け合いです。
また、展覧会の目玉は何と言っても、『スイミー』 の原画5点。


「スイミー」 1963年 水彩、モノタイプ 54.5×72.5cm スロバキア国立美術館
Swimmy ©1963 by Leo Lionni, renewed 1991/Pantheon On Loan By The Slovak National Gallery Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family



これらはスロバキア国立美術館が所蔵する貴重な原画です。
全日本人が待望だった奇跡の初来日を果たしています!
会場では、これらの原画が絵本のものと併せる形で展示されていました。
さて、その両者を見比べてみると・・・・・





あれっ??なんか微妙に違うような。。。
退色したせいなのか。はたまた、気のせいか。
と思いきや、今回の展覧会に合わせて調査したところ、
こちらの原画と絵本のイラストはそっくりだけど、同一のものではないことが判明したそうです。
とは言え、“なーんだ。本物じゃないんだ・・・” とガッカリはしないでくださいませ。
なぜ、レオーニが絵本のイラストとそっくりなこの原画を描いたのか?
なぜ、スロバキア国立美術館に所蔵されているのか?
謎はいろいろ残りますが、『スイミー』 の原画として現存しているのは、この5点のみ。
貴重であることには変わりないのです。


ちなみに、個人的に印象的だったのは、『平行植物』。
レオーニが生み出した架空の植物たちを、
学術書の体裁であたかも実在しているかのように書いた書籍です。
会場には、そんな架空の植物をモチーフにした絵画や、珍しい立体作品も紹介されていました。




その中でも特に印象に残っているのが、《緑の木》《赤い木》 の2点です。




真っ黒な画面に、くっきりとした緑。
真っ黒な画面に、くっきりとした赤。
思わずチェルシーのパッケージを連想してしまいました。
また、ひまわりをモチーフにした架空の植物が3点ほど紹介されています。




これらのレオ・レオーニ流ひまわりを観てから、
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館のマスターピース、
常設されているゴッホの 《ひまわり》 を観ると、また感慨深いものがありました。


さてさて、今回の展覧会では他にも、
絵本作家としてのレオ・レオーニだけでなく、画家としてのレオ・レオーニや、




グラフィック・デザイナーとしてのレオ・レオーニの仕事など、




あまり日本では知られていない、レオ・レオーニのマルチぶりにもスポットが当てられています。
その中でも特に印象的だったのは、《想像肖像》 シリーズ。




モデルを直接写生して描いたわけでなく、
その名の通り、想像しながら描いた肖像画シリーズです。
モデルが実在するものもあれば、架空の人物もあるのだそう。
なお、レオーニは、なんと10年もこのシリーズの製作に没頭していたのだとか。
その間に、《想像肖像》 を約300点も描いたのだそうです。
一体何が楽しくて、そもそも、何がしたくて、
こんな奇妙な絵画を約300点も制作したのでしょうか。
そんなレオーニの不思議な生き様自体が、まるで一冊の絵本であるかのようです。
星星


ちなみに、今回の展覧会で楽しめるのは、レオーニの作品だけではありません。
アートユニットplaplaxによるレオーニの作品をモチーフにした体験型作品や、




実際に手に取って絵本を読むことができるコーナーなども充実しています。




さらに充実していたのが、お土産コーナーです。
普段のミュージアムショップで、レオ・レオーニグッズが展開されていたのはもちろんのこと。




1階にも特設ショップが爆誕していました!




トートバッグやポーチ、マグカップなど、
多種多様な展覧会オリジナルグッズが販売されています。
展覧会場であんなにも童心に返っていた人たちが、
ミュージアムショップでは、カゴを片手に大人買いしているのが印象的でした。
子どもになったり大人になったり、大忙しです。


 ┃会期:2019年7月13日(土)~9月29日(日)
 ┃会場:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
 ┃
https://www.asahi.com/event/leolionni/




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新・無料で観れる 美術百選 《あいれふ(福岡県福岡市)》

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あいれふ。
字面的には、「あいみょん」 みたいな感じですが、
才気あふれる新進気鋭のシンガーソングライターではありません。
「あいれふ」 とは、福岡市健康づくりサポートセンターの愛称。
「ふれあい」 という言葉の並び替えで、
「あい」 という言葉には ”愛・出逢い” という意味が、
「れふ」 には “Reflection(反映・熟考)”、“Refine(洗練・上品)”、
そして、“Refresh(元気回復・さわやか)” という意味が込められているそうです。

さてさて、そんな 「あいれふ」 のエントランス近くには、
なんと、あの伝説のストリートアーティストの作品が設置されています!
すぐに答えをお伝えするのも何なので (←?)、少しもったいぶってみます。




では、ヒントです。
作品を真横から見ると、こんな感じです。




「わかるわけないだろ!」 とツッコまれそうな気もしますが。
ちゃんとヒントはあります。
影にご注目ください。
勘のいい人であれば、あのアーティストの作品だとわかったのではないでしょうか。
正解は・・・




新・無料で観れる 美術百選 088  キース・ヘリング 《無題》


キース・ヘリングの野外彫刻自体、世界的にも珍しいのだそうです。
こちらは、その中でも最大級の作品とのこと。
「彫刻のあるまちづくり」 を目指し、福岡市が買い受け、設置した作品なのだとか。




まさか、こんなところにキース・ヘリングの作品があるだなんて。
一瞬、ニセモノなのかと疑ってしまいましたが、
あいれふの内部には、この作品とともにキース・ヘリングが映った写真も飾られていました。




若干、合成写真感はありますが (笑)
おそらく本物なのでしょう。


ちなみに。
キース・ヘリング作品のすぐ近くには、
あの “世界のKUSAMA” こと、草間彌生さんの 《三つの帽子》 も設置されています。




合わせ鏡というわけではないのに、どういう仕組みなのか、
ガラス越しに、帽子が無限に繁殖しているのが印象的でした。




キース・ヘリングに、草間彌生に。




この2人の競演が観られるのは、あいれふか、
もしくは、ユニクロのTシャツ売り場くらいなものでしょう。


<無料で観れる美術 データ>

あいれふ (福岡市健康づくりサポートセンター)

住所:福岡県福岡市中央区舞鶴2-5-1
アクセス:○福岡市地下鉄空港線 「赤坂駅」 徒歩4分




この美術室を盛り上げるワンクリックも、無料で出来てしまいます↓
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福岡市美術館リニューアル

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西日本地区 (九州、中国、四国) を代表するミュージアムの一つ、福岡市美術館。
改修工事のため、2年ほど休館していましたが、
今年3月、ついにリニューアルオープンを果たしました!




そのタイミングに合わせて、ロゴ・シンボルマークも新たなものに。




前川國男によるモダンな福岡市美術館の建築と、
その目の前に広がる大きな池とを、シンボル化したマークなのだそうです。
・・・・・・・どちらかといえば、池のほうが目立っているような気はしますが (笑)

さてさて、そんな新生・福岡市美術館の近現代美術室では、
来年の4月19日まで、“コレクションハイライト” が開催中です。
近現代美術室Aでは、「美術史を彩った巨匠たち」 と題し、
ミロの 《ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子》 や、




ダリの 《ポルト・リガトの聖母》 といった、




福岡市美術館コレクションのマスターピースの数々が、惜しげもなく公開されています。
まさに、ハイライト。
リニューアルオープンを祝うに相応しい華やかな展覧会でした。

また、近現代美術室Cでは、「1945年以降の現代美術」 と題し、
ウォーホルや草間彌生、イヴ・クラインなど、近現代の作家の名品の数々を紹介。
福岡市美術館コレクションの柱である近現代美術コレクション、
そのエッセンスが、ギュッと凝縮されたような内容となっていました。

ちなみに、数多くの出展作品の中で特にインパクトが強かったのが、
中ハシ克シゲさんによる 《Nippon Cha Cha Cha》 という作品です。




見た目だけで充分伝わってくる圧倒的な重量感。
モデルはもちろん、小錦です。
ただし・・・




なぜか目元だけは西川きよし。
その視線の先には、西川ヘレンがいるような気がしてなりませんでした。


さてさて、2階で近現代美術室を鑑賞した後は1階へ。
その途中で目に飛び込んでくる中庭の光景も、リニューアルされていました。




手前に見えるのは、現代芸術家・李禹煥 (リー ウーファン) さんの 《関係項》
奥に見えるのは、「電力の鬼」 と言われた財界人・松永安左エ門コレクションの 《五重塔》 です。
実は、近現代美術コレクションだけでなく、
江戸時代以前の古美術コレクションも充実している福岡市美術館。
新しくなった中庭に広がっていたのは、まさにそれを象徴するような光景です。

なお、そんな古美術を展示するスペースも、大幅にリニューアルされていました。




特に驚きのビフォーアフターを遂げていたのは、
博多にある東光院からの寄贈品を常設展示する東光院仏教美術室です。




東博や京博で開催される仏像の特別展の会場くらいに造りこまれた展示室。
福岡市美術館のリニューアルの本気ぶりが伝わる展示空間でした。
360度全方向から見仏できるのも嬉しい限りです。


ちなみに、展示室や中庭といったハード面に加えて、
ソフトの面でもリニューアルした部分が垣間見えました。
それは、学芸員さんたちによるユニークなキャプション。




館長も含めて、皆さんノリが良かったです (笑)
さすが、タモさんや博多華丸大吉を生んだ福岡県。
個人的にオススメしたいキャプションは、
松永安左エ門 (号:耳庵) が所蔵していたこちらの茶碗に添えられたものです。




リニューアルによって、より親しみやすくなった福岡市美術館。
新作キャプションも含めて、今後にも期待です!
星星


最後に。
福岡市美術館の野外に設置された彫刻作品の中で、ちょっと気になったものをご紹介。
木内克の 《エーゲ海に捧ぐ》 という作品です。




色合いといい、髪の毛のウェーブ具合といい。
そこはかとなく、スターバックス感を醸し出していました。




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メスキータ

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現在、東京ステーションギャラリーが猛プッシュしているのは、
サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ (1868~1944) というアーティスト。
その日本初となる大々的な回顧展 “メスキータ” を開催しています。




東京ステーションギャラリーで、
「えっ、誰??」 というアーティストの回顧展が開催されるのは、もはやデフォルト。
そして、それらの展覧会がすこぶる面白いのも、デフォルト。
今回の “メスキータ” 展もご多分に漏れず、面白かったです。
星星
すべらんなぁ~。


さてさて、こちらの版画のモデルとなっているのが、今回の主役メスキータ。
ユダヤ系オランダ人としてアムステルダムに生まれた人物です。


《メメント・モリ(頭蓋骨と自画像)》 1926年、個人蔵 Photo: J&M Zweerts


《メメント・モリ(頭蓋骨と自画像)》 以外にも、いくつか自画像が紹介されていましたが・・・


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


どれもこれも、違う顔でした。
結局のところ、どういう顔だったのでしょう??
そんないくつもの顔を持つ (?) メスキータですが、
芸術家としても、版画家、デザイナー、美術学校での指導者と、いくつもの顔を持っていました。
生涯を通じて、多くの版画作品を残すも、
1944年に、妻と息子とともにナチスに拘束されてしまいます。
その数か月後、彼と妻はアウシュヴィッツで、息子は別の強制収容所で殺害されてしまいました。
さて、僕らが今こうしてメスキータの作品を鑑賞できるのは、
自宅に残されていた彼の作品を、ナチスから必死に守った彼の友人や教え子たちのおかげです。
その教え子たちの中の一人が、何を隠そう、だまし絵でお馴染みのM.C.エッシャー。
「エッシャーが、命懸けで守った男。」 という、
展覧会のキャッチコピーには、そういう意味が込められていたのです。


とはいえ、“あのエッシャーを指導したから”、“あのエッシャーが作品を守ったから”、
「だから、メスキータの作品は貴重なので観ておくべき!」 というわけでは決してなく。
純粋に一人の版画家として、作品が面白いのです。
むしろ、これまでフィーチャーされてこなかったのが不思議なほどに、どの作品も魅力的でした。
もしかしたら、逆にエッシャーのせいで、
これまで影に隠れてしまっていたのかもしれません。

メスキータの版画作品の魅力。
それは何と言っても、その独創性にあります。
一つとして、普通 (?) の作品がないのです。
例えば、メスキータが人物画を制作すると、こんな風に仕上がります。


《ヤープ・イェスルン・デ・メスキータの肖像》 1922年、個人蔵 Photo: J&M Zweerts


野生爆弾くっきーの白塗りモノマネのようにも見えますが、もちろんそうではありません。
実の息子ヤープを描いた肖像画なのだそう。
鼻と鼻の下の表現が、独特も独特です。
目の下には、『DEATH NOTE』 のLばりのクマがあるのかと思いきや、その正体はメガネとのこと。
この表現もまた独特です。
ついでにいえば、格子状の背景もなかなかに独特。
この1枚に、どれだけオリジナリティを詰め込んでいるのでしょう。

また例えば、メスキータがシカをモチーフに制作すると、こんな風に仕上がります。




哺乳類と鳥類の中間のような顔立ち。
2本の角は、ちょうど (?) 三角形を形づくっています。
あまりに個性的すぎるため、しばらく見ていると、
「あれっ?僕が思い浮かべているシカのほうが違っているのかな??」 と不安になってきました。

またまた例えば、メスキータが花をモチーフに制作すると、こんな風に仕上がります。




花と葉はともかくも。
その背景を謎の紋様がビッシリと埋め尽くしています。
それによる何かしらの効果があるのかと言われれば・・・・・おそらく一切無いのでしょう。
ただ単純に面白そうだから、“やってみた”。
そんな印象を受けました。

会場には、この他にも、普通じゃない作品がズラリ。
メスキータワールドにどっぷりとハマることができます。




どの作品もインパクトがありましたが、個人的に一番印象に残っているのは、
そのシチュエーションからして独創的な 《ファンタジー:稲妻を見る二人》 という作品。


《ファンタジー:稲妻を見る二人》 1914年、個人蔵 Photo: J&M Zweerts


大の大人が2人して、稲妻を無表情で見つめるって、どんな状況だよ。
それも、目ん玉ひん剥いて。
・・・・・そういえば、肝心の稲妻の表現は貧弱だな!
稲妻よりも、2人のほうがよっぽどインパクトあるわ!
と、カミナリばりにツッコミたくなる作品でした。


最後に、もう一点強く印象に残った作品を。
《母と子》 という一枚です。




白と黒のクッキリとしたコントラスト。
何より、母と子の組み合わさり方。
短絡的な発想であるのは重々承知していますが、
この一枚が、エッシャーに大きく影響を与えたのかも、と想像せずにはいられませんでした。




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みんなのレオ・レオーニ展

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東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館では、
現在、“みんなのレオ・レオーニ展” という展覧会が開催中。
こちらは、世界的な絵本作家レオ・レオーニにスポットを当てた展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


「レオ・レオーニって誰?? なんか野比のび太みたいな名前・・・」

という方でも、きっと人生で一度はレオ・レオーニの作品を目にしたことがあるはず。
例えば、国語の教科書でもお馴染みの 『スイミー』 。
また例えば、国語の教科書でもお馴染みの 『フレデリック』 や 『アレクサンダとぜんまいねずみ』。
これらの絵本の生みの親こそが、そう、レオ・レオーニなのです。

そんなレオ・レオーニの代表的な絵本の原画の数々が、今展のために来日中!
それらの中には、『フレデリック』 や、


「フレデリック」 1967年 水彩、パステル、コラージュ、紙 51×63.6cm
Frederick ©1967, renewed 1995 by Leo Lionni / Pantheon Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family



『アレクサンダとぜんまいねずみ』 の原画もあります。


「アレクサンダとぜんまいねずみ」 1969年 コラージュ、紙 51×63.6cm
Alexander and the Wind-up Mouse ©1969, renewed 1997 by Leo Lionni / Pantheon
Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family



「カワイイ♪」 と 「懐かしい!」。
2つの感情が同時に押し寄せてくること請け合いです。
また、展覧会の目玉は何と言っても、『スイミー』 の原画5点。


「スイミー」 1963年 水彩、モノタイプ 54.5×72.5cm スロバキア国立美術館
Swimmy ©1963 by Leo Lionni, renewed 1991/Pantheon On Loan By The Slovak National Gallery Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family



これらはスロバキア国立美術館が所蔵する貴重な原画です。
全日本人が待望だった奇跡の初来日を果たしています!
会場では、これらの原画が絵本のものと併せる形で展示されていました。
さて、その両者を見比べてみると・・・・・





あれっ??なんか微妙に違うような。。。
退色したせいなのか。はたまた、気のせいか。
と思いきや、今回の展覧会に合わせて調査したところ、
こちらの原画と絵本のイラストはそっくりだけど、同一のものではないことが判明したそうです。
とは言え、“なーんだ。本物じゃないんだ・・・” とガッカリはしないでくださいませ。
なぜ、レオーニが絵本のイラストとそっくりなこの原画を描いたのか?
なぜ、スロバキア国立美術館に所蔵されているのか?
謎はいろいろ残りますが、『スイミー』 の原画として現存しているのは、この5点のみ。
貴重であることには変わりないのです。


ちなみに、個人的に印象的だったのは、『平行植物』。
レオーニが生み出した架空の植物たちを、
学術書の体裁であたかも実在しているかのように書いた書籍です。
会場には、そんな架空の植物をモチーフにした絵画や、珍しい立体作品も紹介されていました。




その中でも特に印象に残っているのが、《緑の木》《赤い木》 の2点です。




真っ黒な画面に、くっきりとした緑。
真っ黒な画面に、くっきりとした赤。
思わずチェルシーのパッケージを連想してしまいました。
また、ひまわりをモチーフにした架空の植物が3点ほど紹介されています。




これらのレオ・レオーニ流ひまわりを観てから、
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館のマスターピース、
常設されているゴッホの 《ひまわり》 を観ると、また感慨深いものがありました。


さてさて、今回の展覧会では他にも、
絵本作家としてのレオ・レオーニだけでなく、画家としてのレオ・レオーニや、




グラフィック・デザイナーとしてのレオ・レオーニの仕事など、




あまり日本では知られていない、レオ・レオーニのマルチぶりにもスポットが当てられています。
その中でも特に印象的だったのは、《想像肖像》 シリーズ。




モデルを直接写生して描いたわけでなく、
その名の通り、想像しながら描いた肖像画シリーズです。
モデルが実在するものもあれば、架空の人物もあるのだそう。
なお、レオーニは、なんと10年もこのシリーズの製作に没頭していたのだとか。
その間に、《想像肖像》 を約300点も描いたのだそうです。
一体何が楽しくて、そもそも、何がしたくて、
こんな奇妙な絵画を約300点も制作したのでしょうか。
そんなレオーニの不思議な生き様自体が、まるで一冊の絵本であるかのようです。
星星


ちなみに、今回の展覧会で楽しめるのは、レオーニの作品だけではありません。
アートユニットplaplaxによるレオーニの作品をモチーフにした体験型作品や、




実際に手に取って絵本を読むことができるコーナーなども充実しています。




さらに充実していたのが、お土産コーナーです。
普段のミュージアムショップで、レオ・レオーニグッズが展開されていたのはもちろんのこと。




1階にも特設ショップが爆誕していました!




トートバッグやポーチ、マグカップなど、
多種多様な展覧会オリジナルグッズが販売されています。
展覧会場であんなにも童心に返っていた人たちが、
ミュージアムショップでは、カゴを片手に大人買いしているのが印象的でした。
子どもになったり大人になったり、大忙しです。


 ┃会期:2019年7月13日(土)~9月29日(日)
 ┃会場:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
 ┃
https://www.asahi.com/event/leolionni/

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “レオ・レオーニ展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、7月25日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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