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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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富野由悠季の世界 -ガンダム、イデオン、そして今

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2年ほどの休館期間を経て、リニューアルオープンを果たした福岡市美術館。
そんなニュータイプとなった福岡市美術館で、現在開催されているのが、
“富野由悠季の世界-ガンダム、イデオン、そして今” です。





こちらは、福岡市美術館が開館した1979年に放映が開始されたあの国民的アニメ・・・




『機動戦士ガンダム』 の総監督を務めた富野由悠季 (よしゆき) さんの初となる大回顧展です。
くしくも現在、東京国立近代美術館では、
“高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの” が開催中。
まさか同じタイミングで、日本アニメーション界のレジェンドの、
それも、「絵を描かない演出家」 として知られる2トップの展覧会が開催されているだなんて!
偶然にしてはあまりに出来すぎている気がしますが、
示し合わせたわけではなく、本当にたまたま同時に開催されているだけのようです。


展覧会は、富野氏の少年期から始まります。
まず展示されていたのは、富野氏の父が戦時中に開発していたという与圧服 (のレプリカ)。
子どものころから、そうしたものを目にしていたため、自ずと宇宙や空に興味を持つように。
そして、小学生の頃に、月世界を舞台にしたアメリカのSF映画に出会います。
その感想は、「リアルだけど話がつまらない!」 だったのだとか。
そう。ロボットアニメに人間ドラマを持ち込んだ富野イズムは、この頃にすでに芽生えていたのです。

日本大学芸術学部卒業後は、虫プロに入社。
そこで、『鉄腕アトム』 の演出や脚本に関わります。
しかし、軋轢があり虫プロを退社。
その後は、フリーのコンテマンとして、
『巨人の星』 や 『あしたのジョー』、『未来少年コナン』 など数々のアニメに関わります。
その中には、『アルプスの少女ハイジ』 も。
この時に富野氏と高畑氏は出会いを果たしていたようです。



・・・・・と、ここまでが全6部のうちの第1部、その前半部にあたります。
つまり、展覧会はこのあと、まだまだまだ続きます。
『機動戦士ガンダム』 にはじまり、『伝説巨神イデオン』 、
『機動戦士Ζガンダム』、『戦闘メカ ザブングル』、『∀ガンダム』 …etc
富野氏がこれまでに手掛けたアニメのすべてが、
セル画、原画、設定資料、初期稿など1000点を超える膨大な資料で丹念に紹介されていました。
くわえて、映像も多く紹介されています。
すべてをじっくり観ようと思ったら、半日はゆうに必要なのではないでしょうか。
富野氏は開会式で、こんな発言をしたのだそう。

「楽しんでくれとは言いません。
 かなり面倒くさい出来になっていますので、ご覧になる方は覚悟してみてください」


・・・・・・・確かに (笑)
本人が自認するように、かなり面倒くさい展覧会でした。
星
コアなファンにとっては、質、量ともに大満足な内容なのでしょうが。
ライトな層にとっては、ボリューミーすぎる気がしました。
この半分でも、十分お腹いっぱいになったと思います。


ちなみに。
今回の展覧会を通じて、初めて知ったことを箇条書きでご紹介。

・富野氏が初監督を務めた 『海のトリトン』 は、日本で始めてファンクラブが出来たアニメ




・ガンダムの初期段階での名前は、「ガンボーイ」 だった
 その後、「ガンボイ」 となり、最終的に 「ガンダム」 で落ち着いたようです。

・『機動戦士ガンダム』 は当初全52話の予定だったが、43話で終了となった
 人気が出るのは、終了後。再放送で人気が過熱し、映画化へと繋がったのだとか。

・『機動戦士ガンダム』 の主題歌 「翔べ!ガンダム」 の作詞家井荻麟は、富野氏の別名義
 他にも、井荻麟名義で多くの作詞を手掛けているそうです。




・「黒歴史」 は 『∀ガンダム』 で使われていた言葉
 物語中では、“太古に封印された宇宙戦争の歴史” のことを指していたそうです。



これほど多くのアニメーションを生み出していたとは。
そして、77歳の今もなお現役バリバリだとは。
生涯を通して、リアリズムを追求し続けている富野氏ですが、
あまりにも超人すぎて、その存在自体はもはやファンタジーのように感じられました (笑)




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室町将軍 戦乱と美の足利十五代

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新元号 『令和』 ゆかりの地として話題の大宰府。





その太宰府天満宮に隣接する長いトンネルを抜けると・・・





そこには異様に大きな建物がありました。




こちらは、九州国立博物館。
東京、京都、奈良に次いで、実に108年ぶりに新設された国内4番目の国立博物館です。
ちなみに、日本にある国立博物館の中では最大級とのこと。
建物の内部は、博物館というよりも、まるで空港のロビーのようでした。




さて、そんな九州国立博物館にて、
令和一発目に開催されているのは、“室町将軍 戦乱と美の足利十五代” という特別展。
室町の文化や美術を紹介する展覧会はこれまでにもありましたが、
こちらは、足利尊氏から15代続いた 「室町将軍」 にスポットを当てた日本初となる展覧会です。




徳川15代将軍に比べて、圧倒的に知名度が低い室町将軍。
くわえて、人気度も低い室町将軍。
そんな地味なメンバー (?) の展覧会だけに、
「歴史に興味ないんで、パス!」 と思っている方も多いかもしれません。
そういう方にこそ、是非観て頂きたいYouTube動画があります。




こちらは、なんと展覧会公式のYouTube動画(笑)
この動画を見て、室町将軍にちょっと興味が湧いてきたのではないでしょうか?

ちなみに、展覧会の入り口付近にも、
室町15代将軍をわかりやすく楽しく紹介したパネルが設置されています。




これらの動画やパネルのおかげで、なんとなく将軍15人が身近な印象に。
どんな人物なのか、もっと深く知りたくなったのはないでしょうか?

展覧会では、そんな歴代の室町将軍にゆかりのある一級の文化財が数多く出展されています。
その数、国宝14件、重要文化財71件を含む134件。
質、量ともにボリューム満点の内容です。

会場の冒頭を飾るのは、もちろんこの人。


重要文化財 《騎馬武者像》 南北朝時代・14世紀 京都国立博物館 
(注:展示期間は7/13~8/11)



初代将軍、足利尊氏です。
・・・・・・・が、僕が教科書で慣れ親しんだこのクワマンみたいな人物は、足利尊氏ではないそう。
(現在の研究では、尊氏の側近であった高師直、もしくはその子である師詮とする説が有力とのこと)
その左隣に、真の足利尊氏像が展示されていました。


広島県指定文化財 《足利尊氏像》 南北朝~室町時代・14~15世紀 広島・浄土寺


・・・・・あ、どうもはじめまして。
意外と、こざっぱりした方だったのですね。
なお、尊氏は大宰府を訪れていたことがあるのだそう。
その証拠となる書状も併せて展示されていました。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


自分が今展覧会を観ているちょうどこの場所に、
かつて足利尊氏も訪れていたのだと思うと感慨深いものがありました。
と、このように書状や日記といった歴史資料も多く展示されていましたが、
同じくらいに、東山文化に関わりの深い絵画や茶道具の名品も多く展示されています。




そういう意味では、歴史がお好きな方だけでなく、
美術がお好きな方にも、オススメしたい展覧会です。
特に日本美術ファンにオススメなのが・・・




将軍が実際に眺めていたであろう座敷飾りの再現展示。
飾り棚はさすがにレプリカですが、
中に飾ってあるものは、すべて本物です。
この豪華な再現展示を目にすることができただけでも、九州に足を運んだ甲斐がありました。
星星
展覧会は巡回の予定なし。
九州圏以外の方は、夏休み、帰省や旅行を兼ねて訪れてみるのはいかがでしょうか?


さて、もう一つ見逃せないのが、足利尊氏が創建し、
将軍家菩提所となった京都の等持院に伝わる歴代足利将軍の彫像13軀です。
寺外で一挙公開されるのは、初めてとのこと。





将軍がズラリと並ぶ様は、圧巻も圧巻!
圧迫面接よりも、圧迫感がありました (←?)。
特にインパクトが強かったのは、三代・義満の坐像。
足利義満というと、坊主でガチャピン並みにタレ目な人物という印象でしたが。


重要文化財 伝飛鳥井雅縁和歌賛 《足利義満像》 室町時代・15世紀 京都・鹿苑寺
(注:展示期間は、8/6~9/1)



坐像ver.の義満は、『アウトレイジ』 の登場人物くらいのコワモテぶり。
あご髭とほほ髭が、ポインセチアみたいな感じに生えていました。


《足利義満坐像》 室町時代・15~16世紀 京都・等持院


そんな威厳ある将軍たちに交じって、
ただ一人愛らしい存在だったのは、七代・義勝です。




わずか9歳で将軍に就任し、10歳でこの世を去った短命の足利将軍なのだそう。
近づいてよく見ると、えくぼもありました。
こんないたいけな子が将軍だったなんて。
思わず、「いい子いい子」 と頭を撫でてあげたくなります。

そうそう、今回の展覧会を通じて、
僕の中での 『好きな足利将軍ランキング』 は、七代・義勝が急上昇しましたが。
反対に、ランキングダウンしたのが、十一代・義澄です。




画面手前に見えるのは、《足利義澄願文》
義澄が石清水八幡宮に奉納した自筆の願文です。
全部で5つの願意が書かれているのですが、
その筆頭にあるのが、いとこであり前将軍でもある義材の死去。
つまり、呪いです。
そして、5番目に書かれていた願意は、無病息災。
いとこを呪いながら、ちゃっかり自分の健康もお祈りする。
何て野郎だ!
ちなみに、この呪いは不発に終わった模様。
義澄は将軍職を追われ、義材が名を義稙と改め、カムバックを果たしたのです。
呪い、ダメ。ゼッタイ。




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新・無料で観れる 美術百選 《WeBase博多(福岡県福岡市)》

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2017年に博多にオープンした九州最大級のホステル、WeBase博多。
日本最古の港湾都市・博多に合わせて、
外観、内装ともに船のイメージが追及されているのだそうです。




そんなWeBase博多のシンボルともいえるのが・・・




近未来的な潜水服に身を包んだ巨大な猫。
日本を代表する現代美術作家ヤノベケンジさんによるアート作品です。





新・無料で観れる 美術百選 089  ヤノベケンジ 《SHIP'S CAT》

「SHIP'S CAT」 とは、大航海時代にネズミから貨物や船を守り、
疫病を防ぐとともに、船員の心を癒す友として世界中を旅した猫のこと。
いうなれば、旅の守り神です。

ちなみに、WeBase博多を守る彼 (彼女?) には・・・




ニャーピーというニックネームがあるのだそう。
ニャンともカワイイ愛称です。
そんなニャーピーの姿を、岩合さんばりにパシャパシャ撮影中に、
どうしても気になってしまったのが、”尻尾や後ろ足はどうなっているのか?” ということ。




「猫は家に付く」 といいますが、
ニャーピーは完全にWeBase博多に付いています。
ニャーピーには下半身はないのか?それとも、体半分はホテルの内部にあるのでしょうか?

”宿泊客じゃないから、中に入っちゃダメだろうなァ・・・”

と悩んでいると、こんな看板を発見!




『Nyapyの見学もお気軽にどうぞ♪』 とのこと。
お言葉に甘えて、中からも見学させて頂くことに。




後ろ姿もキュートでした。
ニャーピーかわいいよニャーピー♪

さてさて、WeBase博多内で鑑賞できるのは、ニャーピーの後ろ姿だけではありません。
ホテルのスタッフさんの案内で、1階ロビーに展示された、
ヤノベさん直筆のコンセプトスケッチやドローイングも鑑賞させて頂きました。




なお、ホテルのスタッフさんの情報によると、ニャーピーは 《SHIP'S CAT》 の第一号とのこと。
鎌倉や京都など、日本各地のWeBaseにも 《SHIP'S CAT》 が設置されているのだそうです。
ポーズが違ったり、和紙で出来ていたり、一つとして同じ 《SHIP'S CAT》 はないのだとか。
機会があれば、ニャーピーの兄弟 (姉妹?) にも会ってみたいと思います。


ちなみに。
1階には、ヤノベさんによる隠れアートもありました。




ニャーピーに見つかりませんように!


<無料で観れる美術 データ>

WeBase博多

住所:福岡県福岡市博多区店屋町5−9
アクセス:○福岡市地下鉄空港線・箱崎線 「中洲川端駅」 徒歩3分




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原三溪の美術 伝説の大コレクション

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今年めでたく開館30周年を迎えた横浜美術館。
それを記念し、満を持して開催されているのが、
“原三溪の美術 伝説の大コレクション” という展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


こちらは、横浜にゆかりの深い実業家にして、
横浜を代表する観光地の一つ三渓園にその名を残す原三溪が主役の展覧会です。
今展でスポットが当てられているのは、実業家としての原三溪以外の、彼の4つの側面。
まず1つ目は、「コレクター」 としての原三溪。
原三溪がその生涯で購入した美術品は、実に5000点を超えています。
(ただし、関東大震災後は、横浜の復興に全力を注いだため、美術品の蒐集からはすっぱりと手を引きました)
しかし、その没後に、コレクションは分散してしまいました。
さて、30周年を迎えた横浜美術館。
その総力を挙げて、日本全国に散らばる原三溪の旧蔵品を可能な限り集結させています。




国宝・重要文化財を多く含む原三溪の旧蔵品が、
これほどの規模で一堂に会するのは今回が初とのこと!
おそらく、原三溪自身もこの壮観な光景は目にしたことがないはずです。
ちなみに、そんなコレクター原三溪の旧蔵品の中でも、特に今回の目玉と言えるのが・・・




現在は東京国立博物館が所蔵する 《孔雀明王像》
日本美術史上にとっても重要な逸品であり、
原三溪コレクションにとっても最も重要な作品です。
というのも、こちらの 《孔雀明王像》 には、こんなエピソードが。
「仏画は平安時代に限る!」 との持論を持っていたという若き日の原三溪。
そんなある日、政界の大物・井上馨の家で、《孔雀明王像》 を目にする機会をえました。
その時、井上馨はこう言ったのだそうです。
「1万円だったら、譲るよ」 と。
現在の価値にして、3000~5000万円。
今でこそ、美術品が〇億円で取引されることも珍しくないですが、
この当時、美術品を1万円で取引するなんて、ありえなかったそう。
つまり、井上馨は若い原三溪に無理難題をふっかけたというわけです。
しかし、昔話などでは、こういう意地悪じいさんは、たいていラストでやりこめられるもの。
井上馨も例外ではありません (←?)。
後日、マジで1万円を用意してきた原三溪に、《孔雀明王像》 を譲らざるをえなくなったのだそうです。
余計なことを言ってしまったばっかりに。
ともあれ、原三溪が 《孔雀明王像》 を1万円で購入した一件は、新聞の記事になったほど大きな話題に。
これ以来、美術コレクターとして一目を置かれるようになったのだそうです。

ちなみに、そんな 《孔雀明王像》 の右手 (・・・と言っても2本あるので、奥側ほう) にご注目。


国宝 《孔雀明王像》 平安時代後期(12世紀)、絹本着色・一幅、147.9×98.9cm  東京国立博物館蔵、Image:TNM Image Archives
(注:展示期間は7月13日~8月7日)



手にしているのは、倶縁果と呼ばれるインドの柑橘系の果物なのだそうです。
しかし、一説にはレモンという可能性もあるとのこと。
思わず 『ザテレビジョン』 の表紙を連想してしまいました。

ちなみに、類まれなる審美眼の持ち主だったという原三溪。




当時はまだ評価されていなかった琳派にも、
いち早く目を付け、コレクションに加えていたのだそうです。
値段から高いから購入する。
そんなどこぞゾの社長さんとは違って、真の美術コレクターだったようです。


さてさて、2つ目にスポットが当てられていたのは、「茶人」 としての原三溪。
実業家でもあり、茶人でもあった益田鈍翁や高橋箒庵と交流を深める中で、原三溪も茶の湯の道に。
熱心に茶道具を収集し、茶事も多く主催しています。
会場には、そんな原三溪が実際に茶事で用いた茶道具の数々が勢ぞろいしていました。




さて、それらの中には、なぜかイスラムの陶器も。




実は、茶人としてはアバンギャルドだったという原三溪。
伝統にとらわれず、斬新な感性で茶の湯を楽しんでいたようです。


続いて取り上げられていたのは、「アーティスト」 としての原三溪。
まずは、こちらをご覧くださいませ。




画面の左にあるのは、叔父に手ほどきを受け、原三溪が12歳の時に描いたとされる絵。
とても小学生が描いたとは思えない技量の一枚です。
このように元々素質があった彼がやがて、
一流の美術品を蒐集するようになり、日々それらの美術品に囲まれ、
さらには、一流の芸術家たちとも交流を深めていきます。



原三溪 《白蓮》 昭和6(1931)年、絹本淡彩・一幅、128.0×41.6cm

それゆえ、作品の出来は玄人レベル。
当然、『才能アリ』 です。


最後にスポットが当てられていたのは、「パトロン」 としての原三溪。
古美術や茶道具のコレクションだけでなく、
横山大観や今村紫紅といった当時の現代アーティストへの支援にも力を入れていたのだそう。
金銭面で援助するのはもちろんのこと、
自身のコレクションを惜しげもなく披露していたそうです。
原三溪が特に目をかけていたというのが、下村観山。


重要文化財 下村観山 《弱法師》(部分)  大正4(1915)年、絹本金地着色・六曲一双、各186.4×406.0cm 東京国立博物館蔵、Image:TNM Image Archives
(注:展示期間は8月9日~9月1日)



作品を購入するだけでなく、
本牧に土地をポーンと与え、邸宅を構えさせたそうです。
パトロンとしてのスケールが違いますね。


原三溪という名前は、かろうじて知っていましたが。
まさかこれほどまでに偉大で多彩で魅力的な人物だったとは。
横浜美術館の開館30周年に相応しい豪華な展覧会でした。
星星



ちなみに、今回の出展作の中で個人的に印象に残っているのは、伝毛益の 《蜀葵遊猫図》


重要文化財 伝毛益 《蜀葵遊猫図》 中国・南宋時代(12世紀)、絹本着色・一幅 25.3×25.8cm 大和文華館蔵
(注:展示期間は7月13日~8月7日)



小さな画面の中に、猫が5匹。
親子の猫がいたり、じゃれ合っている子猫がいたり、蝶を見上げる猫がいたり。
シチュエーションは絶対的にカワイイのですが、
なんだかどの猫も微妙に、いや、絶妙にかわいくないのです。
目が可愛くないのでしょうか。
猫の絵でこれほどまでに可愛くないのは、逆に奇跡。




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恐竜博2019 The Dinosaur Expo 2019

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恐竜の夏、日本の夏。
すっかり夏の風物詩として定着した恐竜の展覧会。
今年は、国立科学博物館を会場に、“恐竜博2019 The Dinosaur Expo 2019” が開催されています。




今年は、恐竜博の当たり年なのでしょうか。
例年よりも見どころが多かったです。
まずは何と言っても、日本初上陸となるこちらの化石。


デイノニクス後ろあし(ホロタイプ標本) イエール大学ピーボディ自然史博物館


「恐ろしい爪」 を意味するデイノ二クスのホロタイプ標本 (※) です。
(※その種の基準となる唯一の標本のこと。いうなれば、世界に一つだけの標本)
今からちょうど50年前の1969年に、アメリカで発見された肉食恐竜デイノニクス。
それまで恐竜は爬虫類のように動きが遅いと考えられていましたが、
デイノニクスの発見により、素早く活発に動く恒温動物だったと考えられるようになりました。
今ではすっかり定着した 「鳥類の祖先は恐竜」 という説。
そのきっかけとなった超重要な恐竜のホロタイプ標本なのです。




ちなみに、その近くに展示されていたのは、
2体のデイノニクスと、デイノニクスに襲われるテノントサウルスの全身復元骨格。




まるでワイヤーアクションのような感じで飛び掛かってくるのですね。
(↑再現のため、実際にワイヤーが使われていますが)
何より恐怖感を覚えるのは、やはりあの鋭い爪。
「デイノニクス...おそろしい爪!」 と思わず叫びそうになりました。

さてさて、展覧会の目玉は、まだまだあります。
その一つが、世界初公開となるデイノケイルスの実物化石です。


デイノケイルス 頭部(実物化石) © Institute of Paleontology and Geology of Mongolian Academy of Sciences


デイノケイルスが初めて発見されたのは、1965年のゴビ砂漠でのこと。




前足しか見つからなかったこともあり、
「...おそろしい手!」 という意味で、デイノケイルスと名付けられたのだそうです。
その後、しばらく他の部分が見つからず、謎の恐竜とされてきましたが、
ここ近年になってようやく、前述の頭骨や胴体などが発見され、全貌が明らかになったのだそう!
会場には、その全身復元骨格も展示されていました。




ちなみに、デイノケイルスの復元図は、こんな感じ。


デイノケイルス復元CG © NHK


意外とファンキーなヘアスタイル (?) でした。
デイノケイルスの肝となる 「...おそろしい手!」 の部分は、
マンボを踊る人の衣装のビラビラみたいになっていたのですね。


さらに、もう一つ見逃せないのが、むかわ竜の全身実物化石。
北海道のむかわ町で発掘された新種の可能性が濃厚な恐竜化石です。


「むかわ竜」 全身実物化石 北海道むかわ町穂別産 むかわ町穂別博物館所蔵


全長は、なんと8メートル以上!
しかも、その骨格の8割以上がそろっていたことで、
恐竜界隈の人の間で、大きな話題となった化石なのだそう。
人呼んで、「日本一の恐竜化石」 です。
ここ最近、ようやく日本にも世界に通用する、
100mランナーやバスケットボールの選手が登場しましたが。
恐竜の分野においても、世界に通用する化石が発掘されていたのですね。





なお、この日本が世界に誇るむかわ竜の化石が、
むかわ町以外で公開されるのは、今回が初めての機会とのこと。
見逃すと、後悔するかもしれません。


ちなみに、展覧会の見どころはまだまだありますが。




個人的に一番インパクトを感じたのは、
恐竜研究50年の変遷を標本とともに振り返るコーナーで紹介されていたコイツ。




河童かな?河童じゃないよ、ディノサウロイド。通称、恐竜人間。
“もしも、恐竜が絶滅せずに進化を続けていたなら・・・” という仮説のもと、
カナダのデール・ラッセル博士によって考えられた、人間のように2足歩行する恐竜なのだそうです。
なぜに、モデル立ち??
その顔は、恐竜人間というよりも 「宇宙人」 元総理。


恐竜人間(ディノサウロイド) 群馬県立自然史博物館所蔵




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みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ ―― 線の魔術

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現在、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されているのは、
“みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ ―― 線の魔術” という展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


日本人 “みんな” が大好きといっても過言ではないミュシャ。
これまで毎年のように、日本各地でミュシャ展が開催されていますが、
今回のミュシャ展は、その最新版にして、新感覚のミュシャ展となっています。

ミュシャの展覧会ですから、もちろん会場には、《ジスモンダ》 や、


アルフォンス・ミュシャ 《ジスモンダ》 1894年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 MuchaTrust2019


《椿姫》 を筆頭に、


アルフォンス・ミュシャ 《椿姫》 1896年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 MuchaTrust2019


ミュシャの代表作の数々が紹介されています。
しかし、今回のミュシャ展は、それだけにとどまりません。
山岸凉子さんや水野英子さんといった少女漫画界のレジェンドたちや、


山岸凉子 《真夏の夜の夢》「アラベスク」(『花とゆめ』1975年4月9号付録ポスター用イラスト) 1975年 カラーインク・紙 ©山岸凉子


『ファイナルファンタジー』 シリーズでお馴染みの天野喜孝さんをはじめとする、


天野喜孝 《ファイナルファンタジーXIV 嵐神と冒険者》  2010年 アクリル・紙 
FINAL FANTASY XIV/©SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved./IMAGE ILLUSTRATION:©YOSHITAKA AMANO



ミュシャに大きな影響を受けた日本人クリエイター、
いうなれば、ミュシャチルドレンたちの作品も併せて紹介されていました。
いかに、日本にミュシャのフォロワーが数多く存在しているのか。
そして、彼ら彼女らによって、いかに日本人は間接的にミュシャの影響を受けているのか。
日本人が 「やっぱりミュシャが好き」 である理由が、なんとなくわかる気がした展覧会でした。
星星


さてさて、そんなミュシャチルドレンの第一号ともいえるのが、
与謝野晶子の 『みだれ髪』 の表紙デザインを担当した洋画家・藤島武二です。




『みだれ髪』 の表紙に関しては、オフホワイト、
ミュシャのパクリとまでは言い切れない気もしますが。
その横でパネルで紹介されていた 『明星』 の挿絵に関しては、さすがにアウト。
完全にトレースしています。
世が世なら、確実に炎上案件でしょう。

しかしまた、どうして藤島武二は、『みだれ髪』 の表紙をミュシャ風にしたのか。
そう疑問に思いながら、ミュシャの作品を改めて観てみると・・・


アルフォンス・ミュシャ 《舞踏―連作〈四芸術〉より》  1898年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 ©Mucha Trust 2019


アルフォンス・ミュシャ 《黄道十二宮》 1896年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 MuchaTrust2019


みだれ髪の女性のなんとまぁ多いこと!
特に 《リュイナールシャンパン》《ジョブ》 の2人に関しては・・・・・




もはや、みだれ髪というレベルを通り越していました。
髪の毛が意思を持っています。
おそらく別の生命体か何かでしょう。
・・・・・それはともかく、フランス留学経験のあった藤島武二。
「みだれ髪」 というフレーズから、
フランスで目にしたであろうミュシャのみだれ髪を連想した可能性は大いにあり得ます。


ちなみに、今回の展覧会では、ミュシャと日本の関係だけでなく。
ミュシャとイギリス、ミュシャとアメリカの関係にもスポットが当てられていました。
今でこそ大人気のミュシャですが、その死後、人々の記憶から薄れていた時期があったのだそうです。
そして、ミュシャの死後から約25年。
ようやくロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館でミュシャの回顧展が開催されます。
この回顧展がきっかけとなって、
ロンドンやサンフランシスコのグラフィックアーティストたちの間で、ミュシャへの注目度がアップ。
レコードのジャケットデザインや、


ジャケット・デザイン:ボブ・マス 「ザ・コレクターズ」(ワーナー・ブラザース=セヴン・アーツ・レコード) 1968年
LPレコード・ジャケット Rhino Entertainment Company,a Warner Music Group Company



アメコミなどに、ミュシャスタイルが取り入れられるようになりました。


テリー・ムーア 『ストレインジャーズ・イン・パラダイス』(Vol.3,No52) 1996年 コミック誌
Cover art for Strangers in Paradise Volume3 #52 by Terry Moore



会場ではミュシャに影響を受けたと思われる、
さまざまなレコードのジャケットやアメコミが紹介されていましたが。
それらの中には、“そこまでミュシャかな??” と、正直ビミョーなものもありました (笑)
例えば・・・

「ミュシャは私が直接影響を受けたと言えるたった一人のアーティスト。
 そして、その影響は私の作品の中に簡単に見てとることができるだろう」

と語っているジョー・ケサダ氏。
彼の作品は、こんな感じでした。


ジョー・ケサダ 『ニンジャック』(Vol. 1,No3) 1994年 コミック誌
Artwork by Joe Quesada. NINJAK is™and©2018 Valiant Entertainment LLC.All rights reserved.www.valiantentertainment.com



ミュシャといえば、ミュシャですが。
それ以上に、ジャンプコミックスといえば、ジャンプコミックスです。
それも、80年代の。

ミュシャに影響を受けたアメコミの影響を日本の漫画が受けているのか。
それとも、ミュシャに影響を受けた日本の漫画の影響をアメコミが受けているのか。
ニワトリが先か卵が先か、といったような感じですが、
確実に言えるのは、ミュシャがその源流であるということ。
ミュシャが世界に与えた影響力のスゴさを、再認識させられました。


ちなみに。
今回の出展作品の中で強く印象に残っているのは、
ミュシャがミュシャになる前の (?) ミュシャの初期の作品群。
若き日のミュシャは、一般的な画家と同じようなスタイルで絵を描いていたのですね。




その中で特に印象に残っているのが、『ファンタス誌』 の表紙デザイン (写真右)。
若き日の作品だけに、全盛期のようなデザインの華やかさはまだそこまでありません。




「ファンタス (FANTAZ)」 のロゴは、
どことなく、「E.YAZAWA」 を彷彿とさせるものがありました。




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アートテラーじゃんけん

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名画に描かれた人物と、じゃんけんで勝負する。
それが、『アートテラーじゃんけん』 です。




まずは、練習から。
対戦相手は、東洲斎写楽が描いた 《三世大谷鬼次の奴江戸兵衛》




肝心の手の部分は、隠してあります。
グー、チョキ、パーのどれを出しているのかを予想して、

「♪アートテラーじゃんけん じゃんけんぽん!」

・・・の掛け声で、出す手を決めてくださいませ。




今回の対戦の場合、もちろんチョキを出した人の勝ち。
本家 (?) の “めざ●しじゃんけん” 同様、
勝ちで20pt、あいこで10pt、負けでも5pt獲得となります。
じゃんけんは、全部で7戦。
高得点を目指して、頑張ってくださいませ。

アートテラーじゃんけん Time Are you ready?




【1戦目】  対戦相手:岸田麗子




「♪アートテラーじゃんけん じゃんけんぽん!」








麗子は、グーを出しました。
チョキを出した人は負け。
勝った麗子が、めっちゃ喜んでいます。


【2戦目】  対戦相手:エゴン・シーレ




「♪アートテラーじゃんけん じゃんけんぽん!」








シーレは、パーを出しました。
完全に目がイっちゃってますので、
シーレ本人は、じゃんけんの勝敗なんて何ら気にしていないのでしょう。


【3戦目】  対戦相手:アンリ・ルソーが描いた裸体の女性





「♪アートテラーじゃんけん じゃんけんぽん!」








アンリ・ルソーが描いた裸体の女性は、パーを出しました。
“手の甲” 感がハンパないですが、
指の向きを見るに、おそらくこちら側に手のひらを向けているはず。
じゃんけんの勝敗よりも、どっち側が手のひらなのかが気になります。


【4戦目】  対戦相手:《岩窟の聖母》 に登場する洗礼者ヨハネ





「♪アートテラーじゃんけん じゃんけんぽん!」








《岩窟の聖母》 に登場する洗礼者ヨハネは、チョキを出しました。
ちなみに、左に描かれているキリストはパーを出しています。
キリストの負け。


【5戦目】  対戦相手:ナマズをこらしめる男性




「♪アートテラーじゃんけん じゃんけんぽん!」








ナマズをこらしめる男性は、グーを出しました。
『北斗の拳』 のラオウのごとく、天高くグーを振り上げています。
たかがナマズ相手に (←?)。


【6戦目】  対戦相手:(ウィリアム・ホガースによって描かれた)賭博場にいる男性





「♪アートテラーじゃんけん じゃんけんぽん!」








賭博場にいる男性は、グーを出しました。
というか、ジャンケンの勝敗よりも何よりも、カツラが落ちているほうが一大事。
全然グーじゃない状況です。


【7戦目】  対戦相手:中国・河南省洛陽市にある石仏




「♪アートテラーじゃんけん じゃんけんぽん!」








中国・河南省洛陽市にある石仏は、チョキを出しました。
仏像がチョキを出すわけがない。
そんな裏をかいてのチョキ。
なかなか策士な仏像です。


さて、皆さま。
結果は、何勝何敗だったでしょうか?
リベンジを希望される方が多かったら、いつか第2弾をお届けいたします。




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没後50年 坂本繁二郎展

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現在、練馬区立美術館で開催されているのは、“没後50年 坂本繁二郎展”
福岡県久留米市出身の洋画家・坂本繁二郎の大々的な回顧展です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


馬をモチーフにした作品を多く描いたことから、「馬の画家」 の異名を持つ坂本繁二郎。
しかし、意外にも初期の頃は、馬ではなく、
牛をモチーフにした作品を多く描いていたようです。
展覧会の冒頭を飾るのは、牛。




さらに、牛。




時に、豚 (なぜか目元が隠されています。身元バレしたくない豚?)。




ようやく、馬が登場したと思ったら・・・




その隣に、またしても牛。




馬は、なかなか登場しません。
あまりに焦らされ過ぎたため (←?)、
馬の絵がまとまって登場した時には、「ついに馬だ!」 と謎の感動を覚えてしまったほどです。




とは言え、今回の坂本繁二郎展では、
馬の作品はそこまでフィーチャーされていません。
今展が特にフィーチャーしていたのは、坂本繁二郎の静物画です。
坂本繁二郎=静物画家というイメージは無かったのですが、
実は、フランス帰国後から晩年まで、生涯に渡って静物画を描き続けていたのだとか。




一般的に静物画というと、果物や野菜、食器や楽器などがモチーフに選ばれがちです。
もちろん、坂本繁二郎の静物画の中にも、
林檎や柿、瓶などをモチーフにしたものもありましたが。
その大半は、箱であったり、




何の変哲もない石であったり、




はたまた、モーターであったり、




他の画家の静物画ではほぼ見かけないモチーフが多く選ばれていました。
「描きたいものは目の前にいくらでもある」 という言葉を残したという坂本繁二郎。
身の回りにあるものを片っ端から描いていたようです。
そんな坂本繁二郎が特に気に入っていたというモチーフが、能面。
壁に掛けてみたり、本に立てかけてみたり、寝かせてみたり。




さまざまなバリエーションで能面を描いています。
能面、能面、能面。
展示室は、ある種、異様な空気が漂っていました。
日本の近代洋画家の展覧会でありながら、
どことなくシュルレアリスムの作家の展覧会のような印象も。
派手さはないですが、見れば見るほど、
ボディブローのように心にじわじわ効いてくる静物画でした。
星

また、静物画ではないですが、シュルレアリスム風味な作品をもう一点ご紹介。
坂本繁二郎が帰国後、居を構えた八女市にある鳶形山を描いた風景画です。




雲の形が、なんとも独特。
現実世界というよりも、マインクラフトの世界のようです。


ちなみに、出展されていた静物画の中で、
個人的に印象に残っているのは、《鶏卵》 という一枚。




ただの鶏卵も、坂本繁二郎の手と目を通すと、イースターエッグのような仕上がりに。
どことなく、原宿KAWAII感がありました。
もしくは、どこか懐かしい感じがするお菓子のような仕上がりに。
中に金平糖やラムネが入っていそう。
振れば、カラカラと音が鳴りそうです。




カワイイと言えば、ダルマをモチーフにした静物画も。




ダルマの背後には、『起』 の文字。
「なんとダルマが起き上がり仲間になりたそうにこちらを見ている」 状態です。
そんなダルマに、ほだされてしまったのでしょう (←?)。
練馬区立美術館のいたるところで、このダルマが活用されていました。

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嶋田忠 野生の瞬間 華麗なる鳥の世界

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現在、東京都写真美術館で開催されているのは、
“嶋田忠 野生の瞬間 華麗なる鳥の世界” という展覧会。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


こちらは、国際的にも評価が高く、
古希を迎えた現在もなお、第一線で活躍する自然写真家・嶋田忠さんの大々的な展覧会です。
カワセミの写真や、




アカショウビンの写真をはじめ、




会場には、嶋田忠さんの代表作の数々が一堂に会しています。
嶋田忠ファン、鳥好き必見の展覧会です。
嶋田さんが撮影した作品の印象は何と言っても、
被写体である鳥が、まるで俳優やモデルのようであること。
これ以上ないくらいに、ポーズが決まっているのです。





こうした決定的瞬間を撮影するために、
何十回、何百回とシャッターを押しているのかと思いきや、むしろ逆とのこと。
撮影期間中、実際にシャッターを切るのは1割程度なのだそう。
それ以外は、ひたすら鳥を観察して、鳥の行動を把握。
そして、その行動データを分析し、
どのようなイメージで撮影するのか、絵コンテや構成を考え、
あとは、ひたすら 「こう来たらこう撮ろう」 を想像した上で、撮影に臨むのだそうです。

こうして撮影された写真は、まるで映画やドラマのワンシーンのよう。
鳥たちもどこか演技をしているかのような印象を受けます。




特に印象的だったのは、《モズ アマガエルを枝に突き刺す という一枚。




モズはもちろん、アマガエルが実に絶妙な表情をしています。
「おいおい!冗談じゃねぇぜ!誰か助けてくれやい」 とでもいうような。
アマガエルにとっては、かなりシリアスなシーンなのに、
全体的には、どことなくユーモラスな空気が漂っています。
チャップリン映画のような一枚です。


また、“かわいすぎる野鳥” として、
ここ最近SNSで話題のシマエナガを嶋田さんが撮影すると、ハイこの通り。




もはや可愛さを通り越して、
あざとさを感じるレベルでした (笑)
確実に、自分のことをカワイイと自覚していますね。


さてさて、今回の展覧会の “トリ” を飾るのは、
「世界最古の熱帯雨林」 にして、「最後の秘境」 であるニューギニア島を舞台にした作品群。
展覧会初出品となる作品の数々です。




現在、ニューギニアとその周辺には、943種類の鳥が生息しているそうなのですが。
そのうちの半分にあたる456種が、この地にしかいない固有種とのこと。
中でもとりわけユニークなのが、「フウチョウ」 と呼ばれる極楽鳥の仲間です。
例えば、こちらはオジロオナガフウチョウ。




顔や首、胸元が、なんだかチームラボの作品みたいな色をしていますが、
これはもちろん合成などでなく、実際のオジロオナガフウチョウの色です。

また例えば、こちらはタンビカンザシフウチョウ。




メスに求愛するため、オスはまず落ち葉や草を掃除。
専用のダンススペースを作成します。
その上で、胸に生えている特殊な羽を広げ、
求愛のダンスをして、メスに熱烈にアピールするのだそうです。


またまた例えば、こちらはオウゴンフウチョウモドキ。




「モドキ」 という不名誉なネーミングが付けられていますが、
実は、踊る姿は研究者ですら見たことがないと言われるほどの激レアな鳥なのだそうです。
そんなオウゴンフウチョウモドキの求愛ダンスの写真を、世界で初めて撮影したという嶋田さん。
その執念と熱意には、ただただ頭が下がります。
星
彼が撮影した鳥たち以上に、嶋田さんがワイルドです。





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1933年の室内装飾 朝香宮邸をめぐる建築素材と人びと

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建物そのものが、一つの美術品と言っても過言ではない東京都庭園美術館 (旧朝香宮邸)。
その建物の魅力に迫る建物公開展が、年に1度のペースで開催されています。




今年の建物公開展は、“1933年の室内装飾 朝香宮邸をめぐる建築素材と人びと”
室内を構成する装飾をテーマとし、その素材や携わった職人や企業にスポットが当てられています。

さてさて、これまでにざっと30回以上は東京都庭園美術館を訪れている僕。
しかも、毎年開催されている建物公開展だって、ほぼ欠かさず鑑賞しています。
それゆえ、正直なところ、
“(今回の展覧会で) 今さら、新しい発見はないだろうなァ・・・” と高を括っていました。

が、しかし!

普段はあまり・・・というか、まず意識することがない、
壁紙やタイル、ガラスや石材といったややマニアックな部分が掘り下げられていたため、




「えっ、そうだったの?」「何それ知らなかった!」 を思わず連発。
むしろ新しい発見しかない展覧会でした!
まさに 『とに~の知らない世界』 状態です。




今回の展覧会で、特に驚かされたのが、
美術館のシンボルともいうべき香水塔のあるスペースの黒い柱に隠された秘密。





一見すると、何の変哲もない (?) 黒い柱ですが、
実は、コンクリート面に黒漆を塗って仕上げたものなのだとか。
これまで幾度となく目にしているのに、まったく気が付かなかったです (汗)。
なお、この塗装方法を考案したのは、遊部重二なる金沢の漆職人なのだそう。
当時としては、かなり画期的な技法だったそうで、
日本だけでなく、アメリやかイギリス、ドイツ、フランスでも特許が取得されているそうです。
展覧会では、特許証を含む関連資料の数々も展示されていました。




この他にも、「へぇー、ここにはこんな木材が使われてるんだ!」 とか、
「この部屋にかつて使われていた壁紙は水洗いできたの?!」 など、初耳情報が続々登場します。
そういう意味では、東京都庭園美術館ビギナーの方だけでなく、
東京都庭園美術館ヘビーユーザーの方にも、オススメできる展覧会です。
星星


ちなみに、ここ近年の建物公開展と同様に、本館に限り写真撮影はOK!
今展のために修復され、当時の姿を取り戻した家具や、




当時をイメージしたテーブルセットが随所に設置されているため、




映える写真がたくさん撮れること請け合いです。
どこを撮っても画になりますよ。
また、普段は非公開のウインターガーデンも、今展に限り特別公開中です。




白と黒の石が敷き詰められたチェックの空間は、今見ても十分にスタイリッシュ!
あれっ?ここは、六本木ヒルズ内のインテリアショップ??
きっと、そんな錯覚を覚えることでしょう。

個人的に特にイチオシなのは、書斎。
通常時は中に入ることは出来ない書斎が、今展に限り、入室可能となっています。




この建物が外務大臣公邸として使われていた頃は、
こちらの書斎は、あの吉田茂が執務室として使っていたのだそう。
書斎の窓から外の景色を眺めれば、少しだけ吉田茂の気分を味わうことが出来るでしょう。
さて、通常時、この書斎内に立ち入れない一番の理由は、
スペースの中央に、大きなデスクが備え付けられているから。
しかし、今回の展覧会では、そのデスクが新館へと移動。
そのため、特別に立入りが叶っているのです。
ちなみに、こちらがそのデスク。



(注:新館の写真撮影は、特別に許可を得ております)


設計したのは、アンリ・ラパン。
朝香宮邸の主要な部屋の設計も担当したフランス人装飾美術家です。
見た目からして重厚感がありますが、こう見えて、このデスクは回転するのだとか。
書斎スペースは、ドームを有した円形型。
日が差す方向に自由に向けるよう設計されたハイテクなデスクだったようです。
イトーキの学習机よりもハイテクです。




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アートテラー・とに~氏、今話題の騒動に巻き込まれる?!

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こんばんは。
ATN (=アートテラーニュース) のお時間です。

連日、ニュースやワイドショーでは、
某大手お笑い事務所の一連の騒動が話題となっていますが、
その余波が、なんとアートテラー・とに~氏のもとにも及んでいたことが発覚しました。
それは、先週のこと。
アートテラー・とに~氏のもとに、メールフォームより一通のメールが届いたそうです。
差し出し相手は、なんと朝の某ワイドショー番組 『とく●ネ!』。
インタビュー取材の依頼でした。

“何の美術展の特集なんだろう??”

と思ったとに~氏が、メールを読み進めてみたところ、そこに書かれていたのは、こんな一文。

 吉●興業社内の芸人とマネージャー、会社との関係や、
 吉●興業ホールディングスの大●洋会長と吉●興業の岡●昭彦社長の人柄などについて、
 インタビュー取材というかたちでお話をお伺いさせていただきたいです。



吉●興業には何の恨みつらみもなく
ましてや、大●会長にも岡●社長にもお会いしたことがなく、
とに~氏は、『とく●ネ!』 の出演依頼を丁重にお断りしたそうです。
なお、これ以外にも、今回の騒動のちょっとした余波があったことを、とに~氏は語っています。

「実は、来月から始まる福岡県にある九州芸文館での展覧会、
 “奇才 ダリの版画展” にて、来たる9月16日にトークショーを担当するのですが。




 そのタイトルを何の気なしに・・・




 『ダリトーーク!』 としてしまったのです。
 オファーがあったのが、4月末。
 タイトルを決めたのは、5月上旬。
 まさか、その数か月後に、こんな事態になろうとは!
 誰が予想できたでしょうか。
 
 9月16日のイベント時に、変な空気にならないためにも、
 吉●興業の騒動が、早く収束してくれることを願ってやみません!」



さて、ついでなので、とに~氏に近況もインタビューしてきました。

「え~っと、告知することといえば、そうですね。
 1年以上ぶりに 『芸術新潮』 に携わりました!




 「ゆるかわアート万博」 を特集した8月号にて、
 『とに~のミュージアムキャラ、ちょっといい話』 というミニコーナーを担当しています。




 当初は1ページの予定だったのですが。
 打ち合わせで、あのキャラも紹介したいこのキャラも紹介したいと、
 思いつくままにいろいろと話した結果、最終的に4ページの企画となりました (笑)
 太田記念美術館の虎小石や、九州国立博物館の “はらのむし”、
 展覧会は終わったのに未だに人気のタラ夫をはじめ、多くのキャラを紹介しています。
 是非、お読み頂けましたら幸いです。

 それと、読売新聞が運営する美術館・博物館情報の総合ポータルページ、
 美術展ナビ|アート・エキシビション・ジャパンにて、今月よるスタートした新連載、
 【「ポケモン」で読み解く、話題の1点!】 が、おかげさまで好評いただいております。
 今観ておくべき展覧会内の目玉作品を、ポケモンと絡めて、
 その見どころを紹介するという、実にトリッキーな連載です (笑)
 毎月、僕のもとに、お題となる作品と、
 それに関連しそうなポケモンが送られてくるのですが・・・・・マジで、ムズい!
 どうやってアートとポケモンを結びつけるか。
 しかも、どうやって面白くするか。
 いつも頭を悩ましています。
 とはいえ、ネットの情報によると、ポケモンをやっていたら頭が良くなるのだそう。
 連載が終わる頃には、頭が良くなっているかもしれませんね」





それでは、今夜のATNは、この辺りで。
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【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】

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現在募集中のアートツアーです。

アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画を心掛けております。
初参加の方も多いので、どうぞお気軽にご参加くださいませ♪
(男女比は、7:3くらいで女性が多いです。
 また、おひとりで参加される方が大半ですので、一人でもふらっと遊びにいらしてください!
 お子様とご一緒の参加も大歓迎です[お子様の参加費は基本無料])
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
参加希望の方は、お手数をおかけして恐縮ですが、
件名に希望するアートツアーを明記して、以下のメールフォームよりお申し込みくださいませ。
詳細をお知らせいたします。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
お知らせ先のメールアドレスが間違っている方が、ごくたまにいらっしゃいます。
こちらからの返信がない場合は、もう一度お送り頂けますと幸いです。


8/4(日) 浴衣で行く!納涼谷根千アートツアー

夏と言えば、浴衣。
そこで、今回は浴衣を着て、
谷根千のアートスポットを巡るアートツアーを開催いたします。

まず訪れるのは、谷中にあるお寺・全生庵。
実はこちらのお寺には、世にも珍しい幽霊画コレクションを所蔵しています。
毎年8月になると、“幽霊画展” を開催。
怖~い幽霊画からユニークな幽霊画まで、さまざまな幽霊画を目にすることができます。

全生庵で少し背筋が寒くなったところで (笑)、
谷根千エリアを、ぷらぷらと散策いたしましょう。
グルメとショッピングを楽しんだあとは、
都内屈指のレトロ美術館・弥生美術館で涼みます。
こちらでは、“アンティーク着物万華鏡 ー大正~昭和の乙女に学ぶ着こなしー” が開催中。
浴衣で見れば、より楽しめること請け合いです。

時間:13時~17時
定員:10名
参加費:1500円 (展覧会の鑑賞料を含む)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


8/10(土) 夏だ!ジブリだ!ビールだ!サマーフェスへ行こう

現在、東京国立近代美術館では、
“高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの” が絶賛開催中!
「アルプスの少女ハイジ」 や 「火垂るの墓」 など、
国民的アニメの原画や資料が大集結した日本国民必見の展覧会です!

と同時に、東京国立近代美術館では 『MOMATサマーフェス』 も開催中。
美術館の前庭に期間限定のガーデンビアバー (昼はガーデンカフェ) がオープンしています。

そこで今回のアートツアーは、いつもよりも遅めの16時半にスタートし、
まずは、みんなで “高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの” を鑑賞。
たっぷりと堪能した後は、ビアバーで夕涼みいたしましょう。
そして、その後は、MOMATコレクション (=常設展) を巡ります。
MOMATコレクションでは見どころをガイドさせて頂く予定。
・・・・・ビールで酔っていなければ (笑)

時間:16時半~20時
定員:10名
参加費:1500円 (展覧会の鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
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8/12(月・祝) すべらない展覧会の旅

「人は誰も1つはすべらない展覧会を知っており、
 そしてそれは誰が何度訪れても面白いものである。」


今回お届けするのは、僕が訪れた展覧会の中から厳選した、
“すべらない展覧会” だけを巡るというとてもシンプルなアートツアーです。

まず訪れるのは、三井記念美術館。
こちらでは、埴輪や円空仏から、江戸時代に描かれた素朴なお土産絵まで、
日本美術界のゆるキャラたちが大集合した特別展 “日本の素朴絵” を鑑賞いたします。
次々と現れるゆるキャラたちに、思わず口元がゆるむこと間違いなし!
絶対にすべらない展覧会です。

続いて訪れるのは、東京ステーションギャラリー。
過去に幾度となく、すべらない展覧会を開催している 『キングオブすべらない美術館』 です。
そんな東京ステーションギャラリーが、
この夏、満を持して開催するのが、“メスキータ”
あのM.C.エッシャーを教え子に持つオランダの版画家メスキータの日本初の回顧展です。
これまでフィーチャーされてこなかったのが不思議なほどに、その作品はどれも独創的。
この展覧会を機に、メスキータブームが起こりそうな予感です。
見逃すと、そう遠くない将来、きっと後悔することでしょう!

どちらも絶対にオススメな展覧会。
騙されたと思って (?) ご参加くださいませ!

時間:13時~17時半
定員:10名
参加費:2200円 (2つの展覧会鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
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8/17(土) すごいぞ原三溪ツアー!

横浜に縁の深い美術コレクター・原三溪 (はらさんけい)
今は散逸してしまったその伝説的な大コレクションが、現在、横浜美術館に再集結しています!
国宝や重要文化財を含む約150件が、
“原三溪の美術 伝説の大コレクション” のために、日本各地から集結。
この夏、大本命の日本美術展です。

横浜美術館でそちらの展覧会をどっぷり堪能した後は、
アーティストでもあった原三溪、その最大の作品ともいえる三渓園へ!
重要文化財10棟を含む17棟の建築物を有し、
「建築のテーマパーク」 とも称される広大な日本庭園です。
こちらをたっぷりと散策いたしましょう♪
原三溪を知っていた方も、知らなかった方も大歓迎。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

時間:12時~17時
定員:10名
参加費:2200円 (展覧会鑑賞料、三渓園入園料を含みます)

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8/24(土) 夏休みだよ!箱根アートツアー!

今回お届けするのは、夏らしく、小旅行気分が味わえるアートツアー。
訪れるのは、関東屈指のアートエリア 『箱根』 です。

まず訪れるのは、ポーラ美術館。
こちらでは、ポーラ美術館初となる現代アート展、
“シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート” が開催中です!
モネやセザンヌといった西洋画の巨匠の作品と、
現代アーティストたちの作品がコラボする新感覚な展覧会。
箱根の大自然を生かしたアート作品も登場するので、どうぞお楽しみに♪

ランチを食べた後は、箱根彫刻の森美術館へ。
今年開館50周年を迎える日本初の野外美術館 (オープンエアーミュージアム) です。
日本人にはもちろん、今や海外観光客にも人気の箱根彫刻の森美術館。
2017年度の 『外国人に人気の観光スポットランキング』 では、
金閣寺や清水寺、伏見稲荷大社と並んで、堂々ベスト10入りしているほどです。
まだ訪れたことが無い方はもちろん、
50周年を記念して、ピカソ館が大々的にリニューアルされたので、
一度訪れたことがある方も、この機会にぜひ!

時間:11時~17時
(東京からご一緒される方は、新宿8:23、代々木上原8:29の小田急小田原線快速急行・片瀬江ノ島行に乗りましょう。
ポーラ美術館に直接お越しになる方は、11時10分を目安にお越しくださいませ)

定員:10名
参加費:3200円 (2館の入場料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
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8/25(日) 塩田千春展へ行こう!

美術は、いろんな人と感想を共有することで、より楽しいものとなります。
一人で美術展を訪れても、もちろん楽しめますが、
みんなで同じ美術展を鑑賞すれば、もっともっと楽しくなるものです!

さてさて、今回みんなで訪れるのは、
森美術館で絶賛開催中の “塩田千春展:魂がふるえる” です。

ベルリンを拠点に、世界各国で精力的に活動を続けるアーティスト塩田千春さん。
その過去最大規模となる2019年大本命の現代アート展です。
早くも入場者数が、10万人を突破!
連日大盛況のため、入場まで1時間待ちという状況がデフォルトとなっています。

そんな大人気展覧会を、是非みんなで観に行きましょう!
しかも、待ち時間なしで観られるよう手配しておきます♪

時間:13時~16時
定員:12名
参加費:1600円 (展覧会鑑賞料を含みます)

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9/22(日) そうだ 江戸、行こう。【大山詣り編】

“浮世絵に描かれた街並みは、今、どのような光景になっているのでしょうか?”

浮世絵を手掛かりに、街をぶらぶら歩きながら、
江戸時代にタイムスリップする・・・気持ちになれるツアーです。
講師の太田記念美術館の渡邉晃学芸員とともに、
浮世絵に描かれた場所に実際に赴き、現在の光景と見比べてみましょう!

さてさて、今回のテーマは、『大山詣り』 です。
神奈川県伊勢原市にある霊山・大山。
江戸の町から2、3日の距離にあり、気軽に参拝できることから、
江戸の庶民や歌舞役者たちに、絶好の行楽地として愛されました。
ちなみに、江戸時代のピーク時には、年間20万の人々が来山したのだそう。
それゆえに、大山詣りを描いた浮世絵も、実にたくさん存在しているのだとか。
今回のツアーでは、それらの浮世絵を頼りに、
江戸随一の観光スポット・大山を、たっぷりと散策いたします!
令和元年の大山詣り。
どうぞご期待くださいませ♪

時間:13時~17時半 (集合は伊勢原駅となります)
定員:12名
参加費:2000円
(注:おかげさまで、“そうだ 江戸、行こう。” 企画は特に人気が集中しております。
 そこで、“そうだ 江戸、行こう。” に初参加の方、
 もしくは今年5月以降に、“そうだ 江戸、行こう。” 以外のアートツアーにご参加頂いた方のみの受付とさせて頂いております。
 何卒ご了承くださいませm(__)m)


ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


いずれのツアーも、皆様のご参加を心よりお待ちしております!!

アンティーク着物万華鏡 ー大正~昭和の乙女に学ぶ着こなしー

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夏祭りに、花火大会に。
何かと着物を着たくなるイベントが多い夏。
しかし、「着物って、いろいろ大変そう・・・」 と苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。
そんな皆様にオススメしたいのが、この夏、弥生美術館・竹久夢二美術館で開催中の展覧会。
“アンティーク着物万華鏡 ー大正~昭和の乙女に学ぶ着こなしー” です。




着物の着こなしは、かくあるべし。
ちゃんとルールに則って着こなしていないと、
和泉節子さんみたいな人 (?) に叱られてしまうような印象がありますが。
よくよく考えてみれば、もともとは普段着。
大正や昭和の抒情画を見るに、
女性たちはみな自由に、個性的に着物ファッションを楽しんでいたようです。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


そんな着物女性が描かれた抒情画の数々を紹介するだけでなく、
今回の展覧会では、そのうちの何点かを、実際にアンティーク着物で再現!
さらに、アラーキーの写真の着物スタイリストをしている岩田ちえこさんが、
それらのアンティーク着物に異なる帯や半襟などを合わせたコーディネートを作成しています。





取り合わせ方によって、同じ着物でも印象がガラリと変化する様は、まさに万華鏡のよう。
これまで数多くの着物の展覧会を観てきましたが、
この展覧会ほど、純粋に着物って美しいゾ、楽しいゾと感じられたことは無かった気がします。




どのアンティーク着物、どのコーディネートも素敵でしたが。
個人的に一番印象に残っているのは、
やはりポスターのメインビジュアルにも使われているこちらの着物でしょうか。




めちゃめちゃ斬新。
めちゃめちゃアヴァンギャルド。
『夏祭り』 の時のWhiteberryくらい、裾をたくし上げています。
さすがにこれは、岩田さんによる令和スタイルの冒険的なコーディネートなのかと思いきや・・・


高畠華宵 《ニューファッション》 大正末~昭和初期


大正から昭和にかけて一世風靡した人気挿絵画家・高畠華宵によって提案されたものとのこと。
今から約100年前のセンスとは、到底思えませんでした。
着物に苦手意識を持っていた方も、
この着物なら、「着てみたい♪」 と思えるのではないでしょうか。

それから、もう一点印象的だったのが、こちらの夏着物です。




夏着物なのに、柄はススキ。
帯には赤トンボが飛んでいます。
7月発売なのに9月号。
そんなファッション雑誌のように、
季節を少し先取りする文化は昔から日本に根付いていたのですね。


さてさて、普段はそれぞれ別の展覧会を開催している弥生美術館と竹久夢二美術館ですが。
今展覧会は両館を使っての合同企画。
それゆえ、竹久夢二美術館のほうでは、
夢二式着物美人のアンティーク着物の再現&岩田氏によるコーディネートが紹介されています。
中でも印象的だったのは、こちらのパウル・クレー風な着物と、




晩年の夢二がドイツで描いた美人画 《水竹居》 をもとにした着物です。




特に、《水竹居》 の着物のコーディネートが強烈。
黒の帽子に黒のレースを併せたことで・・・




実にコケティッシュでミステリアスな印象に!
中森明菜感 (?) が醸し出されていました。


展覧会では他にも、見どころが満載。
今回が初公開となる、とある呉服屋のお嬢さんが実際に着ていた着物を紹介していたり、




着物ファッションには欠かせない装飾品をズラリと並べていたり、




菊池寛や吉屋信子らの文学と着物の関係を掘り下げたコーナーがあったり。




今すぐにでも、着物が着たくなること請け合いの展覧会でした。
袖振り合うも多生の縁。
この記事を読んで、ちょっとでも気になった方は、
きっと何かの縁でしょうから、足を運ばれてみてはいかがでしょうか?
星星


ちなみに。
弥生美術館の3階展示スペースでは、
日本初・・・たぶん世界でも初となるミニ企画展が同時開催されています。




ズラリと並べて展示されているのは、その派手な柄から法被かと思いましたが。
実は、これらはすべて長襦袢。
今では無地や単色が多く、すっかり下着のようなポジションとなっていますが、
かつて長襦袢は、地味な着物に華やかさを添えるためのオシャレアイテムだったそう。
袖口や振りから、その文様や柄をチラリと見せ、オシャレを楽しんでいたのだとか。


高畠華宵 《紅梅白梅》 昭和初期


そんな意外と知られていない長襦袢に焦点を当てたのが、
“長襦袢の魅力 ~着物の下の遊び心、女心~” という展覧会。
実際に使われていた長襦袢の数々や長襦袢が描き込まれた挿絵の数々が展示されています。




長襦袢が、こんなにもポップだったとは。
そして、ちょっとダサいデザインのものもあったとは。
男物のトランクスのデザインに通ずるものがありました。




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見えているのに見えていない!立体錯視の最前線

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皆さまは、錯覚美術館をご存じでしょうか?

錯覚美術館とは、明治大学研究・知財戦略機構特任教授にして、
日本を代表する “錯視” のスペシャリスト・杉原厚吉氏が館長を務める美術館。
錯視の最先端が無料で楽しめると人気を博していましたが、
プロジェクトの終了に伴い、惜しまれつつも、2015年12月に閉館してしまいました。

そんな錯覚美術館の流れを汲んだ最新展覧会が、
この夏、期間限定で明治大学博物館にて開催されています。
その名も、“見えているのに見えていない!立体錯視の最前線” です。



会場には、杉原厚吉氏が生み出したさまざまな立体錯視作品が展示されています。
例えば、《へそ曲がりの窓》




四角い窓が開いた高さが異なる壁が並んでいます。
それらの窓に、なぜか棒が貫通しているという摩訶不思議な作品です。
ちなみに、上から見ると、その秘密が発覚。




なるほど。2つの壁はそれぞれ別方向に傾いていたのですね。


また例えば、《反重力2面屋根》《落ちない円管》 という作品。




それぞれの立体の上に乗った木の玉は、
どうして、落ちずに安定しているのでしょうか?
その理由は、真横から見ると判明します。




続いて紹介するのは、さらに複雑な立体錯視作品。
《なんでも反発3方向すべり台と階段》 です。




上から覗くと、底に向かって奥行きがあるように見えますが。
横から見ると、この通り。




実は、ほとんど奥行きはありません。
こういった摩訶不思議な立体錯視作品は、どうやって生み出されているのでしょうか??
作品を作るためのその方程式が、パネルでご丁寧にも紹介されていました。




・・・・・・・・・・・・・・・・。

僕の錯覚なのかもしれませんが、数式がすべて同じ式に見えました。


また、今回の展覧会では、こうした立体錯視作品だけでなく、
明治大学博物館のコレクションを使って、有名な錯視を紹介するコーナーも設けられていました。




イラストや模型でなく、実用品を使って検証しているのが、なんともユニークです。
特に印象的だったのは、「ジャストロー錯視」。
接した部分の長短が大きさの認知に影響を与えていると考えられているのだそう。




確かに、錯視だとわかっていても、
赤いグラスのほうが大きく感じられました。
人間の脳って不思議なものです。


さてさて、今回の展覧会のメインといえば、
やはり錯覚美術館が閉館して以降に生み出された立体錯視作品の数々でしょう。
まず何と言っても衝撃的だったのが、鏡を使った立体錯視作品。
その名も、「変身立体」 です。




立体錯視作品の近くに鏡を置くと、
その鏡に映っているのは、まったく別の像。
これまでの立体錯視作品と違って、
見る角度を変えたら秘密がわかるという類のものではありません。
何がどうなってどうなっているのか。
ただただ頭が混乱するばかりです。




どうして魚が蝶に見えるのか。
どうして4つあるダイヤのうちの3つが、ハート、スペード、クローバーに形を変えるのか。
もはや何かの魔法を見せられているかのようでした。

さらに鏡を使う立体錯視作品には、「トポロジー攪乱立体」 なるものも。
こちらは、変身立体のようには形は変わらないのですが、
複数の立体の繋がり方が変わって見えるという作品シリーズです。




心の底からリアルな 「なんでそうなるの?」 が飛び出しました。

また、鏡を使う立体錯視作品の派生版として、上下でモチーフが浮かび上がるというものも。
真横から見たら、普通に鏡合わせの像なのですが。




少し上から見ると、あら不思議!




左からクローバー、ハート、スペード、ダイヤとなっています。
立体錯視の最前線。
予想以上に、スゴいことになっていました。
星星


ちなみに。
会場のラストには、こんな作品も。
その名も、《右を向きたがる矢印》 です。




この右を向いた矢印を、くるっと180度回転させてみます。
普通に考えれば、左を向くはずなのですが、
なぜか、この矢印はまた右を向いてしまうのです。
その不思議な現象を捉えた映像が、こちら↓




もう一つおまけに、鳥ver.も。




自分の目の前で起きている現実を、にわかには受け入れられませんでした。


なお、人をこれだけ騙しておきながら (←?)、入場料は無料!
お金は一切取られませんので、安心して騙されてみてください。




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ピカソ館リニューアル

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こちらの彫刻作品でお馴染みの・・・・・




箱根にある彫刻の森美術館。
国内初にして、国内屈指の野外美術館 (オープンエアーミュージアム) です。
家族連れやカップルといった日本人にはもちろん、今や外国人にも人気の彫刻の森美術館。
2017年度の 『外国人に人気の観光スポットランキング』 では、
金閣寺や清水寺、伏見稲荷大社と並んで、堂々ベスト10入りしているほどです。




そんな彫刻の森美術館は、令和元年の今年、
めでたくオープン50周年を迎えることとなりました。
(↑おめでとうございます!)
それを記念して、あのピカソ館が大々的にリニューアル!
先日7月27日より一般お披露目がスタートしました。




ピカソ館は、1984年に開館した彫刻の森美術館内の人気施設。
ピカソの娘であるマヤ・ピカソから購入した陶芸作品188点を中心に、
彫刻はもちろん、絵画やタピスリー、オブジェなど多様なジャンルのピカソ作品を所蔵しています。
その数、実に300点余り。
ピカソ館だけでも十分お金を払って観る価値があるほど、
国内でも指折りの質と量を誇るピカソコレクションを有しています。




さてさて、今回のリニューアルにあたり、
その特徴的な外観は、ほとんど変わっていませんでしたが。
やや薄暗く古臭い印象だったあの展示室が・・・


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


開放的で鑑賞しやすい空間へと劇的に大変身!
木目を生かした床が、実にイイ感じでした。
今回リニューアルされた中で、個人的にお気に入りなのは、
上窓が取り付けられ部分的に外の景色が見えるこちらの展示スペース。




大自然の中でアートを楽しめるのが、彫刻の森美術館の最大の魅力。
そのエッセンスが、生まれ変わったピカソ館にも取り入れられたようです。


かねてより、そのポテンシャルには一目を置いていましたが、
彫刻の森美術館全体が楽し過ぎて、なかなか日の目を見なかった感のあるピカソ館。
今回のリニューアルを機に、千鳥のようにブレイクすることでしょう!
星星
「彫刻の森美術館にあるピカソ館」 から 「ピカソ館のある彫刻の森美術館」 へ。
そんな風に認識が改められる日も、そう遠くないかもしれません。


ちなみに、リニューアルを記念して、
現在は、コレクションの中でも珠玉の作品がの数々が常設されていますが。




その中でも特にお気に入りなのは、《猫のいる静物》 という一枚です。


《猫のいる静物》 10月23日 - 11月1日 油彩、キャンヴァス
©2019 - Succession Pablo Picasso - BCF(JAPAN)



ある日、ブイヤベースの準備をしていたというジャクリーヌ。
そこに一匹の猫がエビや魚を狙ってやってきたのだとか。
その話を聞いて面白がったピカソが、この絵を描いたのだそうです。
仮に、その時に、エビや魚を猫に食べられてしまっていたとしても、
ピカソがこの絵を描いたことで、そのマイナス分は帳消し、いやむしろプラスになったはず。
この絵画一枚で、何百食分のブイヤベースが作れるのでしょうか。


ちなみに、そんなジャクリーヌをモデルにした版画作品も紹介されていました。
壁一面にズラリと並ぶ 《花嫁衣裳のジャクリーヌ》




全18枚同じものではなく、よく見ると一部がちょっとずつ違っています。
実はこちらは、第1ステートから第18ステートまで、それぞれ試し刷りをしたもの。
右から左へ、段階を追って順番に並べて展示されていました。
影が足されたかと思ったら外され、やっぱりまたその後のステートで足されたり。
途中で一部が腐食してしまっていたり。
最終版である第18ステートに辿り着くまで、



《花嫁衣裳のジャクリーヌ(第18ステート)》 1961年 研磨、スクレイパー
©2019 - Succession Pablo Picasso - BCF(JAPAN)



なんとも紆余曲折、波乱万丈な道のりでした。
あの天才ピカソも、こうして悩むことがあっただなんて。
ある意味、新鮮な感動がありました。




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負けるな!ヤコブ

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本日の主役は、旧約聖書に登場するヤコブです。

 ある日、カナンの地へと向かっていたヤコブとその家族たち。
 ヤボクという名の川に差し掛かると、ヤコブは家族たちを先に渡らせました。
 そして、彼は一人、その場で野宿することに。
 すると、いきなり闇の中から、何者かがヤコブに襲い掛かってきたのです!
 何者かvsヤコブ。
 激しい格闘は夜明けまで続けられました。
 徐々に劣勢になる何者か。
 ヤコブの腿を打ち、関節を外し反撃するも、ヤコブは怯まずに闘い続けます。
 何物かが、「さすがに、もう去らせてくれ・・・」 と懇願するも、
 ヤコブは 「いいえ、祝福してくださるまでは離しません!」 と、その手を止めません。
 遂に何者かはギブアップ。
 「お前は以後、新たな名を名乗るがいい。なぜなら、お前は神と闘って勝ったのだから。
  つまり、『イシャラー (勝つ者)』 と 『エル (神)』 で “イスラエル” だ」 と告げました。
 こうしてヤコブは、イスラエルの民族の始祖となったのです。
 めでたしめでたし。



そんなヤコブと何物か (=天使) との格闘シーンは、
美術の世界において、何度もモチーフとして描かれてきました。
その中でも代表的なものが、ドラクロワの 《ヤコブと天使の戦い》 であり、




ゴーギャンの 《説教のあとの幻影(ヤコブと天使の闘い)》 であるのです。




さてさて、ストーリー的には、最終的にヤコブが勝つことが決まっているからでしょうか。
絵画の世界には、逆に、ヤコブが天使に追い詰められているバージョンも多く見受けられます。
今回は、そんなちょっと変わった “ヤコブと天使の格闘シーン” の数々をご紹介いたします。

●レンブラント・ファン・レインの場合




「おい、こらヤコブ。
人間ごときが、調子乗ってんじゃねーよ。腰折んぞ。あっ?」
完全に腰に膝を入れています。
天使なんかじゃない。


●ギュスターヴ・ドレの場合




ヤコブ、絶体絶命!
涼しい顔でヤコブを崖から突き落とそうとしています。
天使なんかじゃないPart2。


●ポール・ボードリーの場合




天使なんかじゃないPart3。
「お遊びはここまでだ」 と言わんばかりの表情で、喉輪を決める天使。
攻撃がエグいです。


●ギュスターヴ・モローの場合




なぜか、ゾンビと化すヤコブ (?) 。
視点は定まらず、明後日の方向に向かおうとしています。
それを片手で押さえつける天使も、困惑の表情を浮かべているようです。
この後何がどうなって、ヤコブが勝つシーンに繋がるのか。
謎多き一枚です。


●モーリス・ドニの場合




こちらも謎多き一枚。
これは、格闘シーンなのだろうか?
なぜ、ヤコブも天使も、ナウシカみたいな服を着ているのか?
というか、そもそもどっちがヤコブで、どっちが天使なのだろうか?


●マルク・シャガールの場合




ヤコブ 「このこのこの!」
天使 「はっはっはっ。そんな攻撃じゃ、全然効かないぞー」
ヤコブ 「くっそー!大きさ2倍なんて、卑怯じゃないかっ!」


●クロード・ロランの場合




ヤコブ 「天使さん!もう1軒行きましょう!ねっ、もう1軒だけ!」
天使 「いや、そろそろ終電が・・・」
ヤコブ 「終電が何だっていうんです。
    天使なんだから、パーッと飛んでいけばいいんですよ。だから、あと1杯だけ!」
天使 「いやぁ、本当に明日朝早いんで・・・」
・・・・・って、ヤコブと天使の戦いは、こういう攻防ではないはず。




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伊庭靖子展 まなざしのあわい

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現在、東京都美術館のギャラリーA・B・Cでは、
“伊庭靖子展 まなざしのあわい” という展覧会が開催されています。




こちらは、美術界の第一線で活躍する伊庭靖子さんの、
美術館では10年ぶりとなる、東京では初となる個展です。
伊庭さんといえば、自ら撮影した写真をもとに写実的な絵画を制作するアーティスト。
作品のモチーフとして選ばれているのは、クッションや陶磁器といった身近なアイテム、
それも、ニトリや東急ハンズで売っていそうな、ごくごくありふれたタイプのアイテムです。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


そんなクッションが、ただクローズアップして描かれているだけなのに。




そんな陶磁器が、ただ大きな画面に描かれているだけなのに。




実物の作品を前にすると、胸を打つほどの感動を覚えます。
それは、「クッションや陶器が本物そっくりでビックリ!」 という単純な感動ではありません。
おそらく伊庭さんはもととなる写真を哲学者なみに、来る日も来る日も見つめているのでしょう。
そうして掴み取ったモチーフの本質や存在感、
モチーフと光や空気との関係性といったものまでを、作品に描き込んでいるのではなかろうか。
少し大袈裟にいえば、彼女の眼を通した “この世界のあり方” が描かれているように思えるのです。
伊庭さんの作品と向き合った際に湧きおこる 「この世界はこんな風に見えるんだ!」 という感覚。
それは、初めてコンタクトレンズを目に入れたときの感激、
「この世界はこんなにもクッキリしてたんだ!」 という感覚に近いものがあります。
伊庭さんの作品を観れば、心も眼も晴れること請け合いです。
星


さてさて、今回の最新個展には、新作も数多く出展されていました。
その一つが、こちらのシリーズ。




伊庭靖子 《Untitled 2018-02》 油彩・カンヴァス 作家蔵(協力:MA2 Gallery) 撮影:木奥惠三 Keizo Kioku


これらは東京都美術館の中で撮影した写真をもとに描いたシリーズだそうで、
モチーフとなっている壺には、透明なアクリルボックスが被せられています。
アクリルボックスが加わったことで、光が反射したり、
周囲の風景が写り込んだり、なんとも複雑なことになっていました。
また、アクリルボックスというヴェールに包まれたことで、
モチーフの壺は、その本質が掴めそうで掴めず、どこかミステリアスな雰囲気を醸し出しています。
そんなモデル (?) のミステリアスな雰囲気と、全体を包みこみ柔らかな光の加減と。
あくま僕の中での勝手なイメージですが、
なんとなくマキアージュのCMっぽい印象を受けました。


また、展覧会のラストで発表されていたのは、
伊庭さん初めて取り組んだという映像作品 《depth #2019》




大きなスクリーンに映し出されているのは、テレビの砂嵐・・・・・ではなく、
ステレオグラム (立体視)、いわゆる、『目が良くなるマジカルアイ』 の映像版です。




じーっと見つめ続けていると、何やら映像が浮かび上がってきます。
作品を鑑賞している間、視力もアップするというお得な作品です (←?)。
なお、僕は小学生の頃から、なぜか異常に立体視が得意なので、一発で見えましたが。
世の中には、立体視が苦手という方も・・・。
しかし、どうぞご安心くださいませ。
反対側のスクリーンには、立体視の映像をつくる過程の映像も。
一部は、「こう見えますよ」 という同じ場面が映し出されています。
これまでの作風とはあきらかに違うので、若干戸惑いはありましたが。
よくよく考えると、“見つめ続けることで新たなイメージが浮かび上がる” という意味では、
これまでの絵画作品も、こちらの映像作品も、スタンスは共通しているのかもしれませんね。


ちなみに、どの作品もじーっと見つめ続けたくなるものばかりでしたが、
とりわけ長い時間、じーっと見つめ続けてしまったのは、《Untitled 2015-01》 という一枚です。




さまざまな陶磁器やガラス瓶が、不思議なフォーメーションで描かれています。
背景は、まるでNHKの体操番組のセットのよう (←?)。
そのため、今にも陶磁器やガラス瓶が動き出しそうな予感があります。
“静” 物画でありながら、“動” を感じる一枚でした。

それと、展示された場所も含めて、
じーっと見つめ続けてしまったのが、《Untitled 2018-04》




絵に描かれた陶器のつるつるしっとりした触感と、
展示室内のゴツゴツザラザラした壁が、実に対照的です。
というか、これまでに何度も東京都美術館を訪れていますが、
このときほど、展示室の壁を意識的に眺めたことはありませんでした。
伊庭さんの作品の数々に触れたおかげで、
どうやらモノをじーっと見つめる癖が付いてしまったようです。


 ┃会期:2019年7月20日(土)~10月9日(水)
 ┃会場:東京都美術館 ギャラリーA・B・C
 ┃
https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/19/190706/index.html

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “伊庭靖子展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、8月13日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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虫展 −デザインのお手本−

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21_21 DESIGN SIGHTで開催中の展覧会、
“虫展 −デザインのお手本−” に行ってきました。




こちらは、著書 『バカの壁』 でお馴染みの解剖学者で、
無類の虫好きとしても知られる養老孟司さんが企画監修を務める展覧会です。
テーマは、ズバリ 「虫」。
デザイナーや建築家、アーティストたちが、
虫から着想を得て制作した作品が展示されています。

さてさて、会場に入ってまず目に飛び込んできたのは・・・




壁からニョキッと飛び出した超巨大な虫の脚。
だいぶインパクトの強い作品です。
虫が苦手な方にとっては、悪夢のような光景でしょう。
その正体は・・・




シロモンクモゾウムシの左側の中足。
実際は5㎜ほどの大きさですが、700倍に拡大されているそうです。

続いて展示されていたのは、珍しい姿をした昆虫たちの標本。




もしかしたら、デザイナーやアーティストによって造形されたのではないか?
そう本気で思ってしまうくらいに、
独創的なカラーリングやフォルムの虫たちが多く紹介されていました。




・・・・・・・と、いきなりの2連発。
とても興味深い展示ではありましたが、
どちらかといえば虫が苦手なため、早くも戦意喪失気味です。
こんな感じの展示が続くとなると、最後まで耐えられる気がしません。。。

しかし、メインの展示スペースに足を踏み入れた瞬間、ホッと一安心。




そこまでビジュアル的に虫は前面に押し出されていませんでした。
虫が嫌いな人でも、なんとかギリギリ楽しめる展覧会となっています。
星
こちらで紹介されている作品の中で特に興味深かったのは、
プロダクトデザイナーの鈴木啓太さんによる 《道具の標本箱》




虫の生態とそれに対応する人間の道具が併せて紹介されています。
(例:腹部の空洞構造で音を反響させるアブラゼミとギター。
   カタツムリを捕食するため頭部と胸部を伸長させながら殻の奥に侵入するマイマイカブリとパイプブラシ)

さらに、そこから派生して、昆虫の体の工夫から着想した新たな道具も紹介されていました。
例えばこちらは、カブトムシからインスピレーションを得たという栓抜き。




自分よりも重たいものを投げ飛ばすカブトムシのように、
ボトルの栓を3点でしっかりホールドすることで、軽々と栓を開けることができるのだそう。
見た目も洗練されているので、普通に商品として販売して欲しいです。

また例えばこちらは、とある虫の性質を応用したという絶対に滑らない定規。




何の虫かは、知らぬが仏。
・・・ただ、定規の下から触覚が見えてしまっています。


続いて興味深かったのは、アートユニット・パーフェクトロンの 《キレイとゾゾゾの覗き穴》 です。
展示台に乗っていたのは、謎のアイテム。




恐る恐る手に取り、穴を覗いてみると・・・




虫の姿が万華鏡の要領で映し出されていました。
普通に目に入った時にはゾゾゾな虫も、
万華鏡スタイルならキレイに感じられます。
むしろ、いつまでも眺めていたくなる作品でした。

他にも、アメンボの構造や虫の巣にインスパイアされた作品が興味深かったですが。
個人的にハマってしまったのは、
虫の名前に着目した、その名も 《虫のなまえ》 という作品です。




展示台の上にズラリと並んでいるのは、さまざまなワードのスタンプ。




これらを自由に組み合わせて、




新しい虫の名前を考えようというもの。
高いお笑いスキルが求められる作品でした (←?)。

また、作品の中には、「虫」 が付いた漢字に注目したものも。





虫は虫でも、漢字の 「虫」 ではあるのですが、
これだけビッシリひしめいていると、さすがにゾゾゾっとするものがあります (笑)
なお、指でそっと押せば、その漢字の読みが分かる仕組みになっていました。


ちなみに。
ゾゾゾっとしたといえば、こんな展示も。




狭い通路の両側にパネルで展示されていたのは、いわゆる眼状紋。
虫の体にある目のように見える紋様です。




まさか展覧会のラストに、こんなトラップが仕掛けられているとは。
思いっきり足が竦みました。




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大竹伸朗 ビル景 1978-2019

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現在、水戸芸術館の現代美術ギャラリーでは、
“大竹伸朗 ビル景 1978-2019” という展覧会が開催されています。




こちらは、関東では実に13年ぶりとなる現代美術界のカリスマ大竹伸朗さんの大々的な個展です。
前回2006年に東京都現代美術館で開催された個展は、“全景 1955-2006”。
そして、今回は、“ビル景 1978-2019”。
1970年代から現在まで継続して、
大竹さんが描き続けている “ビル景” という絵画シリーズに注目した展覧会です。
“ビル景” と一口に言っても、その種類は多種多様。
一目でモチーフがビルとわかる作品もあれば、




パッと見ただけではビルが描かれているようには思えない作品もあります。




また、思わずバスキアを連想してしまった若き日の作品や、




思わず映画 『バックドラフト』 を連想してしまった作品もありました。




ちなみに、9・11のあの事件にインスパイアされたと思われる作品のように、




特定のビルをモチーフにした作品も一部にはあるのですが、
基本的に “ビル景” とは、現実の風景をそのまま描いたものではないとのこと。
大竹さんの記憶の中にある東京や香港、ロンドンなど、
さまざまな都市のイメージをごちゃ混ぜにし、ビルのある景色として描いているのだそうです。
これまで約40年にわたり、描かれた “ビル景” は、なんと800点以上!
今展では、そのうちの実に600点近く (!) が出展されています。

それらの作品が特に時系列に沿って展示されているわけでなく、
イメージが近い作品同士で、まるで一つの都市を形成するかのように展示されていました。
NYのセントラルパークのようにビルに囲まれた都会の公園を彷彿とさせる展示室もあれば、




大通り (アベニュー) に見立てた細く (?) 長い展示空間や、




都市のはずれにある巨大な工場をイメージしたという展示空間もあります。




さまざまな都市のイメージをミックスしたという “ビル景” 。
それらが林立する展覧会の会場も、
さまざまな都市のイメージがミックスされていました。
まさに、会場そのものが、一つの “ビル景” という印象を受けました。
星星


さてさて、今回の展覧会で何よりも印象的だったのが、
「キャプションに記載された素材が、いちいち詳しすぎる!」 というもの。
例えば、画面手前の 《アヴェニューZ》 という立体作品。




この作品の素材は、以下のように表記されています。




「ミクストメディア」 の一言で済ましてしまうのが一般的ですが、
今展では、その素材が食品のラベルくらいに詳細に明記されていました。
どうやら大竹さんには、新たな技法を次々に試してみたいという実験好きな一面がある模様。
作品に何の素材に使ったのか、正確に把握しておきたい欲求があるようなのです。
それゆえ、展覧会の作品リストが大変なことになっていました・・・。




約600作品すべての素材が正確に記載されている作品リストは、なんと全16ページ。
しかも、作品リストでは見かけたことがない (図録ではよく見る)、正誤表も挟まっていました。

そんな学芸員さん力作の作品リストだけに、
ちゃんと目を通してみると、いろんな気づきがあります。
一見すると、普通の油彩画に見えるこれらの作品。




しかし、その素材欄には、油彩だけでなく、砂や大理石の文字がありました。
そう。実はこれらの作品には、砂や細かく砕いた大理石が塗り籠められているのだとか。
(担当学芸員さん曰く、絵とは思えないくらいズッシリ重いのだそう)
中には、建築用のニスでコーティングされているものも。
もはやビル景というか、この作品自体がビルの建材に成り得るレベルです。


ちなみに。
展覧会場も、大竹伸朗作品で溢れていましたが、
ミュージアムショップも、大竹伸朗グッズで溢れていました。




Tシャツやガチャガチャ、書籍などが大充実。
グッズ景。




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素晴らしきミュージアムショップの世界 商品番号126

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注:この記事には一部グロテスクな表現が含まれています

皆さまは覚えているだろうか。
昨年、一人の男がコオロギとの不毛な戦いを繰り広げたことを。
(参考→素晴らしきミュージアムショップの世界 商品番号120

そして、その男は、今宵も後悔している。
何故、再びこんなものを買ってしまったのだろうか、と。




遡ること、半日前。
男は、六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催中の展覧会、
“虫展 −デザインのお手本−” を見終え、お土産コーナーを物色している。
すると、ある商品に思わず目が留まった。
その時、男の頭に瞬時に過ったのは、昨年の悪夢。

“あんな想いはもう二度としたくない!”

・・・・・・・そう思ったはずなのに、
気づけば、その商品をレジで購入していた。
あぁ、これが芸人の性。アートテラーの性。

そんなわけで、今、男の目の前には、スーパーコオロギおつまみ (¥345) がある。




前回食べたのは、スナックであったが、今回のはおつまみ。
大人向けの商品である。
パッケージの上部にも、「OTONA NO OYATSU」 と記載されていた。




お土産コーナーには、他にカレー味も販売されていたが、男が購入したのは、ピザ味。
なお、調べてみると、さらにガーリック味とワサビ味も存在していることが判明した。
コオロギをいろんな味で楽しみたい。
一体どんな大人たちに、そんな需要があるのだろうか。

それはさておき、早速、開封してみる。
すると、中から大量のコオロギがこんばんは。




しかも、すべて干からびている。
その衝撃的なビジュアルに、男は思わず息を呑んだ。
・・・・・そもそも、これは食べ物なのだろうか。




記事のために食べなくては!
そう頭で理解しているものの、無意識的な何かが反応しているのであろう。
男はコオロギ (ピザ味)を、なかなか口に運ぶことが出来ない。
ただ、このままコオロギ (ピザ味) を手に持ち続けているのも、それはそれで辛いものがある。
悩んだ挙句、手にしたコオロギ (ピザ味) を食べてみることにした。




“・・・・・おや?”

男は、思った。
意外とマズくないぞ。
決して美味しくはないが、食べられなくはない。
キツネにつままれたような気分で、おそるおそる2匹目を食べてみる。
食感こそゾリゾリしているが、確かに味はピザ。
マルゲリータピザの焦げ目を食べているような感じである。

かくして、男はコオロギを克服した。
大人への階段を一つ登ったのである。


めでたしめでたし・・・・・・・と話を結びたいところであるが。
実は、男はもう一つ商品を購入していた。




その名も、幼虫ミックス (¥1180)。
このパッケージの中に、ミールワーム、スーパーワーム、
サゴワーム、カイコの4種類がミックスされているのだそうだ。




むしろ、こちらのほうが今宵の最大の敵である。
さて、男はかれこれ10分ほど、パッケージを見つめている。
ある意味で、「開けたら最後」。
なかなかその踏ん切りがつかずにいたが、意を決して開封してみた。
すると、中から出てきたのは・・・




在りし日の姿がきちんと想像できるくらいに原形が残った大量の虫たち。
それらが、およそ食品を入れるとは思えない小袋、
怪しげな粉を入れるための小袋 (←?) にギッシリと詰められている。




ひとまず、お皿に開けてみるが、
だからといって現状は何も変わらない。
食べる気がしない。
食べれる奴の気が知れない。




ミルワームを手に取り、震えが止まらない男。
その震えは絶望感からくるものだろうか。
はたまた、ノリで購入した過去の自分に対する怒りからくるものだろうか。
何はともあれ、男が震えるたびに、ふるふると動くミルワーム。
まるで生きているかのようで、気持ちが悪さが倍増する。
そんな姿を見るくらいなら、と、勇気を振り絞って口にした。
ええいままよ!




男は、ミルワームの味をこう表現した。
「食感は、ポスポスしてました。
 一口目はほぼ無味無臭なんですが、食べ続けると妙なクセが現れます・・・。
 その味に近いものを強いて挙げるとするなら、
 ローファーの甲の部分に付いているボンボンでしょうか。
 ・・・・・いや、ローファーの甲の部分に付いているボンボンを食べたことはないですが」

さらに男曰く、スーパーワームとカイコは、





「10年くらい賞味期限が切れたいかり豆のような味」 が。
見た目はヒジキみたいなサゴワームは、




「えぐ味というえぐ味を凝縮させた味」 がするのだそう。
どうやら幼虫ミックスは、男の口に合わなかったようだ。

そして、男は口直しとして、
無意識のうちにピザ味のコオロギをポリポリと食べていた。
慣れとは、恐ろしい。




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