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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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日日是アート ニューヨーク、依田家の50年展

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現在、三鷹市美術ギャラリーで開催されているのは、
“日日是アート ニューヨーク、依田家の50年展” という展覧会です。




写真に写る革ジャン3人組が、今回の主役である依田家。
右から、父の依田寿久さん (1940~)、母の順子さん (1943~)、息子の洋一朗さん (1972~) です。

実は、2012年に三鷹市美術ギャラリーにて、
ニューヨーク在住の画家・依田洋一朗さんの日本初の回顧展が開催されています。
今回の展覧会は、その続編にして進化版。
洋一朗さんだけでなく、同じくニューヨーク在住の画家である両親も参加しています。
洋一朗さんといえば、古い映画や劇場をモチーフに、
どこか孤独や狂気を感じる独特な世界観を描くアーティストですが。





父である寿久さんも同じような作風かと思いきや、
息子とは対照的に、抽象画を中心に制作しているようです。




また、母の順子さんは、抽象画も描いていますが、
具象画やコラージュ作品なども制作しており、自由度が高い印象を受けました。





さてさて、そんな依田家の3人は、今なお同居しているとのこと。
ニューヨークにある倉庫のように広いワンルームの空間を、
自宅兼アトリエとして、日々制作に励んでいるのだそうです。
今回の展覧会では、依田家3人それぞれの作品以上に、
そんな依田家の暮らしぶりにスポットが当てられていました。
三鷹市美術ギャラリーの展示室内に、
依田家のニューヨークの自宅兼アトリエが、なんとほぼ完ぺきに再現されているのです。




家具だけでなく、小物類が再現されているのはもちろんのこと、




作品がその辺に直置きされていたり、作品が梱包されたままだったり。
そんな依田家アトリエあるある (?) までもが完全再現されています。




なお、これら無造作に置かれている作品は、レプリカではなく本物。
正式に展示されている作品の数は、約100点となっていましたが、
おそらく、それと同じくらいか、それ以上の数の作品が、会場内に散らばっていました。
この状況をもったいないと感じるか、贅沢と感じるか。

ちなみに、展示室内にあるソファや椅子は座ってOK!




つまり、依田家に招かれたような気分で・・・




依田家の面々の作品を鑑賞することができるのです。




なお、7月いっぱいまでは、依田家の3人が実際にこの展示室内で、
本を読んだり、ギターを弾いたりして、思い思いに過ごしていたとのこと。




それは、もはや普通に依田家です。
アーティスト自身による行動展示。
展覧会全体が、究極のインスタレーション作品といっても過言ではありません。
星


ちなみに。
自宅兼アトリエの再現度があまりにも高いため・・・




成島さんという方の名刺も、普通に棚の上に置かれていました。
個人情報ダダ洩れでしたよ。




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もののけの夏―江戸文化の中の幽霊・妖怪―

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この夏、国立歴史民俗博物館の企画展示室Bでは、特集展示として、
“もののけの夏―江戸文化の中の幽霊・妖怪―” が開催されています。




「夏」 を前面に押し出したそのメインビジュアルは、
なぜか、TUBEのアルバムジャケットみたいな仕上がりとなっていました。

と、それはさておきまして。
実は、国内有数の怪談・妖怪コレクションを所蔵している国立歴史民俗博物館。
今回の展示では、その珠玉のコレクションの中から厳選された100点が紹介されています。
それらの中には、美術史的にも民俗学的にも価値の高い狩野益信の 《百鬼夜行図》 や、


狩野洞雲益信 《百鬼夜行図》(部分) 紙本着色一巻 貞享元年(1684)以前 国立歴史民俗博物館蔵


歌川国芳や月岡芳年ら人気浮世絵師による妖怪をモチーフにした作品の数々も。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


特集展示という扱いではあるものの、
一般的な展覧会と同じくらいに見ごたえのある内容となっていました。
星


ところで、「もののけの夏」 とありますが、
どうして、夏といえば怪談なのでしょうか?
『チコちゃんに叱られる』 で出題されそうな素朴な疑問ですよね。
その答えは、この企画展示の会場にありました。
ちなみに、チコちゃん風に回答するなら、こうなります。

「夏が怪談の季節となったのは、人気の歌舞伎役者は夏休みを取っていたから」

クーラーなど冷房のない江戸時代。
夏の芝居小屋は、それはそれは暑かったそうです。
そのため夏の期間は、人気の歌舞伎者は夏休みを取ってバカンスに出かけていたのだとか。
当然、その期間中に舞台に上がるのは、人気がパッとしない歌舞伎役者たち。
そんな彼らが演じても盛り上がる演目とは何なのか。
試行錯誤の末に生まれたのが、怪談物でした。




背筋がヒンヤリする怪談物は、江戸の庶民に大ウケ!
こうして、毎年夏になると怪談物が上演されるようになり、
いつしか、「夏といえば怪談」 が定着していったのだそうです。
そんな怪談物の最大のヒット作が、『四谷怪談』。
それゆえ、『四谷怪談』 にちなんだ浮世絵は数多く紹介されていました。


三代歌川豊国 《東海道四谷怪談 蛇山庵室の場》 国立歴史民俗博物館蔵


また、それと同じくらいに紹介されていたのが、『東山桜荘子』 にちなんだ浮世絵。
『東山桜荘子』 は、歴博のある千葉県佐倉市に関わりの深い義民、
佐倉惣五郎を主人公とした講釈 『佐倉義民伝』 をもとにした演目です。
領主・織越政知の圧政に苦しんでいた農民のために将軍に直訴した結果、
織越政知により、妻子ともども拷問の末に惨殺されてしまった佐倉惣五郎 (演目では朝倉当吾)。
しかし、その死後、亡霊となった当吾は、政知を徹底的に苦しめるのです。
歌川国芳の 《東山桜荘子 織越館の場》 は、そのクライマックスシーンを描いたもの。


歌川国芳 《東山桜荘子 織越館の場》 大判錦絵2枚続 嘉永4(1851) 国立歴史民俗博物館蔵


画面左には茶坊主に変身する当吾。
画面右には腰元に変身する当吾。
よくみれば、襖にも当吾の姿が浮かび上がっています。
いくらなんでも、当吾、登場しすぎなような・・・。
なお、他の 『東山桜荘子』 を描いた浮世絵では、
当吾が天からビョーンと降りてきていたり、脇息 (肘掛) の影から当吾がヌ~ッと登場したり。
さまざまな登場パターンを見せています。
当吾がどう登場すると、怖いのか (面白いのか?) 。
ちょっとした大喜利状態となっていました。


ちなみに。
こちらの企画展示と連動して、総合展示第4展示室 「民俗」 内の、
宮城県気仙沼市にある築200年の古民家・尾形家を復元したコーナーでは・・・




“気仙沼のカミと妖怪” のパネル展示が行われています。
気仙沼市に妖怪というイメージは無かったのですが、
なんとあのケサランパサランは、気仙沼が発祥なのだとか!





市内の旧家に伝わるケサランパサランの写真もパネルで紹介されています。
どう見ても、ただの毛玉にしか思えませんでしたが・・・。

なお、第4展示室 「民俗」 では、妖怪に関する展示が常設されています。
その一角には、河童を特集したコーナーも。




河童のイメージ像や河童が描かれた絵画や、
水木しげるの 『河童の三平』 など、河童に関する資料がたくさん紹介されています。
それらの中に、なんとも気になる展示品がありました。




ミュウジカルコメディ 『河童』 って・・・。
駄作の匂いがプンプンしています。
こんな緑の全身タイツを着て、
笑顔で踊らされている女性たちには同情を禁じ得ません。




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MAY I START? 計良宏文の越境するヘアメイク

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この夏、埼玉県立近代美術館で開催されているのは、
“MAY I START? 計良宏文の越境するヘアメイク” という展覧会。
こちらは、今大注目のヘアメイクアップアーティスト、
計良宏文 (けら ひろふみ) さんの仕事にスポットを当てた展覧会です。
なお、ヘアメイクアップアーティストによる展覧会が、日本の公立美術館で開催されるのは初めて。
そういう意味でも、大注目の展覧会です。




さてさて、展覧会入り口の文字の色から、
ピンと来た方もいらっしゃるかもしれませんが。
計良さんは、わずか8名しかいない資生堂トップヘアメイクアップアーティスト。
展覧会の冒頭では、TSUBAKIの広告や 『花椿』 の仕事を含む、
これまでの計良さんのヘアメイクアップアーティストとしての主な仕事が紹介されています。




モデルたちのヘアスタイルが、あまりにも個性的かつ造形的すぎて。
もはやCGなのかと疑ってしまったほどでした (笑)
もちろん計良さんの才能が一番スゴいのですが、
それに応える人間の髪の毛のポテンシャルも、なかなかにスゴいものがあります。

とそれはさておき。
計良さんは、資生堂の仕事以外にも、
アイドルグループ・でんぱ組.incの衣装やウィッグを手掛けたり、




文楽人形のかしら (頭部) を制作したり、




と、実に幅広く活動を展開させています。
その中には、現代美術家・森村泰昌さんとの仕事も。
さすが “越境する” ヘアメイクアップアーティストです。

さてさて、展覧会のメインとなるのは、ファッションとのコラボを紹介するコーナー。
ファッションショーの会場を彷彿とさせる広い空間で、
計良さんがこれまでに携わった国内外のブランドとの仕事が紹介されています。
例えば、こちらは、2009年春夏コレクションでのLIMI feuのショーのために計良さん制作したもの。




その名も、ヘアフォン。
「ヘアと一体化するようなヘッドフォン」 としてオーダーされたものなのだそうです。
そのショーでのモデルは、会場のBGMとは関係なく、
このヘアフォンで自分の好きな音楽を聴きながら、ランウェイを歩いていたのだとか。

また例えば、こちらは、ANREALAGEの2017年の秋冬コレクションのために制作されたウィッグ。




コレクションのテーマは、「ROLL」。
それゆえ、髪のあちこちで渦を巻いています。
前髪の一部がクルンとしているヘアスタイルはよく目にしますが、
これほどまでにクルンクルンしていると、何やら寄生獣のようで、恐ろしさすら感じました。

他にも、いろいろ斬新なヘアスタイルが紹介されていましたが。





個人的に一番衝撃的だったのは、
SOMARTAの今年の春夏コレクションのために考案されたというヘアスタイルです。
デザイナーからの 「縄文フューチャー」 という謎すぎるオーダーを、見事にビジュアル化。




確かに、縄文な部分もありますし、
縄文土器の把手のような部分もあります。
日本人でこの髪型が似合うのは、MISIAくらいなものではないでしょうか。


ところで、これらの独創的なヘアスタイルは、
一体、どうやって形作られているのでしょうか。
展示スペースの中央には、計良さんが使用しているアイテムがズラッと並べて展示されていました。
もちろん櫛やブラシ、ヘアアイロンがたくさんあります。




もちろん資生堂の商品もたくさんあります。




ところが、アイテムの中には、
ラジコン用の塗料やら木工ボンドやら、およそヘアメイク用のものとは思えないものも。




中でももっとも驚かされたのが、ドリルです。




頭蓋骨に穴でも開けて、そこに髪を差し込むのでしょうか (←んなわけない!)。
何はともあれ、ヘアメイクに対する固定概念に風穴を開けるような展覧会でした。
星


ちなみに、今回の出展作品の中で、
特に印象的だったのが、新作映像インスタレーションの 《FACE》 です。




こちらは、ファッションデザイナーの坂部三樹郎氏とのコラボレーションによる作品で、
ディスプレイに映る女性のヘアメイクを計良さんが、スタイリングを坂部さんが担当しています。
驚くべきは、ディスプレイに映る女性がすべて同一人物だということ。




もし、計良さんが本気出したら、
指名手配犯は逃げ通せるのではなかろうか (←?)。




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抜き打ち!芸術家の名前 漢字書き取りテスト

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突然ですが、「かつ飾北斎」「かつ」 って漢字で書けますか?
もしくは、「竹内せい鳳」「せい」 って漢字で書けますか?
正解は、飾北斎」 に、「竹内鳳」 です。
これまでに美術館や画集などで、何度も目にしている漢字でしょうが。
改めて思い出そうとしてみると、なかなかパッとはその姿が浮かび上がらないものです。

そこで、今回は、何度も目にしているはずなのに、
いざとなると書けない漢字を持つ芸術家の名前を、書き取りテスト形式で出題します。
問題は全部で10問。
1問に付き10点です。
100点目指して、頑張ってみてください!


【問1】 






正解は・・・・・

















『嗣』 という漢字には、「あとをつぐ。家のあとつぎ」 という意味があるそうです。
藤田嗣治は、4人兄弟の末っ子なのに。
この一字を使ってる人として、パッと思いつくのは、藤田嗣治と落合福嗣くらいなものです。


【問2】






正解は・・・・・

















あれっ?金偏でしたっけ??
そして、右側の部分は 『商』 じゃなかったでしたっけ??
この字を見れば見るほど、ゲシュタルト崩壊を起こしそうです。


【問3】






正解は・・・・・


















『魯』 は間抜け、鈍感の意とのこと。
魯山人は、この字が好きだったようで、自ら、「魯山人」 と名乗ったのだそうです。
ちなみに、現在ロシアを表す漢字1字は 『露』 ですが、かつては 『魯』 だったのだとか。


【問4】






正解は・・・・・

















水玉に、網目模様に、モチーフを無限に増殖させることでお馴染みの草間彌生。
その漢字にも、「メ」 が増殖しています。
名は体を表す、とはこのことです。


【問5】






正解は・・・・・

















雅号かと思いきや、意外にも本名。
ということは、子ども時代の劉生は、
テストや習字のときに、自分の名を書くのに苦労したに違いありません。


【問6】






正解は・・・・・

















よくよく考えてみたら、蜷川実花さんの父である蜷川幸雄、
その通り名は 「世界のニナガワ」 は、カタカナで表記されることがデフォルト。
世の中の人は、そもそも 『蜷』 と書く気がないのかもしれません。


【問7】






正解は・・・・・

















幸彦?行彦?雪彦?
シンプルな名前と見せかけて (←?)、
実は難易度の高い漢字という、質の悪いパターンです (←??)。


【問8】






正解は・・・・・

















ぼんやりと形を思い出すことはできるのですが、細部までクッキリとは思い出せず。
特に下半分の 「片」 という字の鏡合わせみたいな部分に関しては、覚えられる気がしません。。。
ちなみに、『蕭』 の一文字で、「ヨモギ」 と読むそうです。


【問9】






正解は・・・・・

















日本美術界No.1の難読漢字の持ち主、中村彝。本名です。
ちなみに、兄が2人いるのですが、それぞれ 「直」 と 「中」 とのこと。
なぜ末っ子だけ、難易度が異様に高いのでしょうか。


【問10】






正解は・・・・・

















現代アート展で、何度もその字面を目にしているはずなのに、『禹』 も 『煥』 も書けません。
そもそも、『禹』 も 『煥』 も李禹煥の名前以外で見かけたことがありません。
電話口で自分の漢字を説明する時、李禹煥さんはどうやって説明しているのでしょうか。



さてさて、皆さまは何問正解できたでしょうか?
100点満点だった方は、本当に素晴らしい。
漢検1級なんて余裕で受かる才能の持ち主です。


ちなみに。
日本の芸術家の中で最も漢字の難易度が低いのは、この方でしょう。






言わずもがなですが、正解は・・・・・



















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円山応挙から近代京都画壇へ

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この夏、東京藝術大学大学美術館では、
“円山応挙から近代京都画壇へ” という展覧会が開催されています。




こちらは、江戸中期から近代にいたるまで、
京都画壇に大きな影響を及ぼした 「円山・四条派」 にスポットを当てた展覧会です。

“・・・・・円山・四条派って何?”

という方も、どうぞご安心を。
展覧会場に入ってすぐの場所に、円山・四条派について、
『スターウォーズ』 のオープニング・クロール風に紹介したものが設置されていました。



(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


 250年ほどの昔、京都で・・・
 応挙と名乗る絵師が彗星のごとく現れた。
 堅苦しい狩野派の絵に不満を覚え始めていた都の人々は、写生による新しい画風に魅了された。
 多くの絵師たちが応挙に続いたが、中でも呉春は四条派と呼ばれる一派を生み出した。
 二派を合わせた円山・四条派は、京都の画壇に大きな影響を示すようになる。
 近代に至るまで、円山・四条派を水脈とする画家たちが多く輩出した。
 そして竹内栖鳳、上村松園もその伝統を受け継いで活躍したのである・・・



この説明文を読んでいたら、
「狩野派=帝国軍」「円山・四条派=反乱同盟軍」 のように思えてきました (笑)


・・・と、それはさておきまして。
今回の展覧会のハイライトは何と言っても、兵庫県にある大乗寺の襖絵群。
応挙が息子や門人たちとともに制作した襖絵群は、彼の最高傑作の一つに数えられています。
全165面からなる障壁画の中でとりわけ傑出しているのが、応挙が最晩年に描いた 《松に孔雀図》
応挙が描く孔雀といえば、色鮮やかでビビットなイメージがありますが。




大乗寺の 《松に孔雀図》 に関しては・・・


重要文化財 円山応挙 《松に孔雀図》(全16面のうち4面) 寛政7年(1795) 兵庫・大乗寺蔵 東京展のみ・通期展示


金地に墨一色で描かれています。
モノトーンでシック、かつラグジュアリー。
グランドハイアットやザ・リッツ・カールトンにあっても、違和感はないでしょう (←?)。
そんな 《松に孔雀図》 を含む32面の襖絵が、特別に大乗寺より上京中。
大乗寺での配置を再現するため、十字 (X字) 型で展示されています。




一室をまるまる再現した展示は、これまで何度か目にしていますが、
4室の中心 (角?) を再現するという斬新な展示方法は、初めて目にしました。
まるで大乗寺の一部をゴソッと抜き出して、そのまま持ってきたかのよう。
実にダイナミックな印象を受けました。

さてさて、そんな大乗寺の襖絵にも圧倒されましたが、
それ以上に、展覧会を通じて見えてくる円山・四条派の系譜のうねり、グルーヴ感に圧倒されました。
展覧会では、応挙や呉春の作品を中心に、
円山・四条派の流れを汲む絵師の作品が、動物や風景、人物などテーマごとに展示されています。




特に時系列に沿って並べられているわけではないため、
パッと見ただけでは、江戸時代の作品なのか明治・大正期の作品なのか判別できません。
下手すると、どれが応挙の作品であるかも判別できませんでした。
しかし、これは、たった一人の絵師が生んだスタイルが、京都の多くの画家にフォローされ、
なおかつ100年以上もの長い間、大きくスタイルを変えることなく受け継がれたという何よりもの証拠。
円山応挙という一滴の水が、やがて円山・四条派という大河に。
壮大なドラマを感じる展覧会でした。
星星


なお、展覧会は前期と後期で、ほぼガラッと出展作品が変わるとのこと。
後期では、応挙の代表作の一つで、重要文化財の 《保津川図》 が出展されるそうです。


重要文化財 円山応挙 《保津川図》 寛政7年(1795) 株式会社 千總蔵  東京展:後期展示、京都展:後期展示


そういう意味では、後期のほうが、より大河感 (?) を味わえるかもしれませんね。
なお、11月2日よりスタートする京都展にしか出展されない作品も多いのだそう。
東京藝術大学大学美術館から京都国立近代美術館へ。
両方あっての “円山応挙から近代京都画壇へ” です。

ちなみに。
応挙といえば、もちろん写生を得意とした絵師ではありますが。


重要文化財 円山応挙 《写生図巻 乙巻》(部分) 明和7年~安永元年(1770~72) 株式会社 千總蔵  東京展:前期展示、京都展:前期展示


LINEスタンプにありそうな、いわゆる “応挙犬” のように、


円山応挙 《狗子図》 安永7年(1778) 敦賀市立博物館蔵  東京展:後期展示、京都展:前期展示


デフォルメチックなキャラクターも少なからず残しています。
今回の出展作で特に印象的だったのが、《江口君図》 に描かれた象。


重要美術品 円山応挙 《江口君図》 寛政6年(1794) 静嘉堂文庫美術館蔵  東京展のみ・前期展示


江口君が艶めかしい表情で描かれているのは、わかるのですが。
なぜか、彼女が乗る象も、艶っぽい表情で描かれています。
象の目元は、どこか永作博美に似ていました。





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これまでの企画展みんな見せます! 前期/岡本太郎・縄文から現代へ

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岡本太郎本人から主要作品約2000点の寄贈を受け、
1999年10月30日に川崎市に誕生した岡本太郎美術館。
今年でめでたく開館20周年を迎えることとなりました。




それを記念して、現在開催されているのが、
“これまでの企画展みんな見せます! 前期/岡本太郎・縄文から現代へ” という展覧会です。
川崎市岡本太郎美術館で、これまで20年の間に開催された企画展は約60本。
それらすべてを前期と後期に分けて振り返ろうという展覧会です。




会場には、歴代の企画展のポスターが勢ぞろい。




そして、それらの企画展で紹介された太郎作品も勢ぞろいしています。




さらに、岡本太郎美術館が所蔵する太郎作品だけではなく、
過去の企画展で太郎作品とコラボした作家たちの作品も招集されています。
もちろん本物です。




ゆかりのゲストが再集結。
まさに20周年を祝うに相応しい豪華総集編な展覧会でした。
これまで岡本太郎美術館を訪れたことがある人も、
これまで岡本太郎美術館を訪れたことがなかった人も、“みんな楽しめます!” な展覧会です。
星星


さてさて、今回の展覧会を通じて、
何よりも強く実感させられたのは、岡本太郎の引き出しの多さです。
例えば、活動の幅があまりにも広い岡本太郎。
絵画やパブリックアートの企画展だけでなく、
これまでには太郎さんの書や建築、写真に注目した企画展も開催されています。




また、興味の幅もあまりにも広い岡本太郎。
縄文土器や沖縄、東北といった日本文化から、
パプアニューギニアやアフリカといった海外の文化まで。
それぞれの文化と太郎作品の関係性に迫る展覧会も、これまでに幾度となく開催されています。




20年間で約60本。
それだけの数の岡本太郎関連の企画展を行えば、
さすがにそろそろネタ切れになるのではなかろうか、と、軽く心配していましたが。
展覧会場で太郎さんの引き出しの多さの目の当たりにして、
この先20年は・・・いや、30年、40年とネタ切れしないだろうと確信しました。
21年目からの企画展も楽しみにしています。


ちなみに。
今回出展されていた数多くの作品の中で、
個人的に地味に印象に残っているのが、都築響一さんによる 《大観音寺》 という写真作品。
三重県のとあるお寺を撮影したものなのだそうですが、
目にした瞬間、思わず 「何だこれは!」 と声に出してしまいそうになりました。




『立入禁止』 とありますが、
そもそも立入る勇気が湧きません。

それから、もう一つ地味に印象に残っているのが、こちらの太郎さんの立体作品。




どことなく加藤諒に似ていました。




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5億年後の生命体 河口洋一郎:beyond AI

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久しぶりに岡本太郎記念館に行ってきました。
夏到来ということで、先日はスーツ姿だった岡本太郎の等身大リアル人形は・・・




サマースタイルに衣替え。
確実に気のせいなのですが、顔がオネエ化していました。




・・・・・とそれはさておき。
2階の展示室では、“5億年後の生命体 河口洋一郎:beyond AI” が開催されています。




生命の誕生とエネルギーを表現した作品を多く遺した岡本太郎。
そんな彼と同様に、CGアーティストの草分け的存在として、
生命の誕生とエネルギーを表現し続けてきたアーティスト、河口洋一郎さんを紹介する展覧会です。




展覧会のテーマは、“人類が存在しないかもしれない5億年後の未来”
河口氏が想像する (創造する) 遠い遠い未来の静物が紹介されていました。
その中でも特にインパクトが大きかったのが、シザーズフィッコ。




こちらは河口さんが考案した、数億年後の地球を生き延びる最強の魚です。
固い鎧で身を纏い、ザリガニような強力なハサミを身につけているのだとか。




展示されていた作品は、人工感丸出しですが・・・。
確かに、この魚が数億年後に海を泳いでいると想像してみると、なかなか興味深いものがありました。
また、そんなシザーズフィッコの向かいに展示されていたのは、
5億年後・・・ではなく、5億年前の地球に登場した (というていの) 海の生物。




その名も、ジェッコです。
5億年前が、ジェッコ。
5億年後が、フィッコ。
10億年分の差が、僕のような素人にはイマイチよくわからなかったのですが。
10億年という長い年月が経ったとしても、
ネーミングセンスはそこまで変わらないということは、わかりました。


ちなみに、もう一つの展示室では、
宇宙の卵を語源とするというエギーちゃんなる生命体が紹介されています。




「5億年後の生命体」 であるのでしょうが、
正直なところ、むしろ遠い未来とうよりも、ノスタルジックな印象を受けました。
おそらく、その理由は、どことなく 『ウゴウゴルーガ』 を彷彿とさせるからでしょう。
一昔前。いや、二昔前のCGといった印象がありました




さてさて、会場には他にも、5億年後の貝や、




それ自身が増殖するという5億年後の生物も展示されていたのですが・・・。




僕が岡本太郎記念館を訪れたのは、休日の午前。
当然、庭園や1階の常設展示スペースは、
平日以上にお客さんで賑わっていたのですが、
なぜか2階で展開されている河口洋一郎展には、一人もお客さんの姿がなく。。。
しかも、その僕一人しかいない状態が15分以上続くという。。。
「5億年後の未来」 どころか 「現時点」 で、人類が存在していないかのような有様でした。
河口さんの作品には、人類 (観客) を寄せ付けない何かがあるのかもしれません。
星




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【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】

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現在募集中のアートツアーです。

アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画を心掛けております。
初参加の方も多いので、どうぞお気軽にご参加くださいませ♪
(男女比は、7:3くらいで女性が多いです。
 また、おひとりで参加される方が大半ですので、一人でもふらっと遊びにいらしてください!
 お子様とご一緒の参加も大歓迎です[お子様の参加費は基本無料])
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
参加希望の方は、お手数をおかけして恐縮ですが、
件名に希望するアートツアーを明記して、以下のメールフォームよりお申し込みくださいませ。
詳細をお知らせいたします。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
お知らせ先のメールアドレスが間違っている方が、ごくたまにいらっしゃいます。
こちらからの返信がない場合は、もう一度お送り頂けますと幸いです。


8/17(土) すごいぞ原三溪ツアー!

横浜に縁の深い美術コレクター・原三溪 (はらさんけい)
今は散逸してしまったその伝説的な大コレクションが、現在、横浜美術館に再集結しています!
国宝や重要文化財を含む約150件が、
“原三溪の美術 伝説の大コレクション” のために、日本各地から集結。
この夏、大本命の日本美術展です。

横浜美術館でそちらの展覧会をどっぷり堪能した後は、
アーティストでもあった原三溪、その最大の作品ともいえる三渓園へ!
重要文化財10棟を含む17棟の建築物を有し、
「建築のテーマパーク」 とも称される広大な日本庭園です。
こちらをたっぷりと散策いたしましょう♪
原三溪を知っていた方も、知らなかった方も大歓迎。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

時間:12時~17時
定員:10名
参加費:2200円 (展覧会鑑賞料、三渓園入園料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


8/24(土) 夏休みだよ!箱根アートツアー!

今回お届けするのは、夏らしく、小旅行気分が味わえるアートツアー。
訪れるのは、関東屈指のアートエリア 『箱根』 です。

まず訪れるのは、ポーラ美術館。
こちらでは、ポーラ美術館初となる現代アート展、
“シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート” が開催中です!
モネやセザンヌといった西洋画の巨匠の作品と、
現代アーティストたちの作品がコラボする新感覚な展覧会。
箱根の大自然を生かしたアート作品も登場するので、どうぞお楽しみに♪

ランチを食べた後は、箱根彫刻の森美術館へ。
今年開館50周年を迎える日本初の野外美術館 (オープンエアーミュージアム) です。
日本人にはもちろん、今や海外観光客にも人気の箱根彫刻の森美術館。
2017年度の 『外国人に人気の観光スポットランキング』 では、
金閣寺や清水寺、伏見稲荷大社と並んで、堂々ベスト10入りしているほどです。
まだ訪れたことが無い方はもちろん、
50周年を記念して、ピカソ館が大々的にリニューアルされたので、
一度訪れたことがある方も、この機会にぜひ!

時間:11時~17時
(東京からご一緒される方は、新宿8:23、代々木上原8:29の小田急小田原線快速急行・片瀬江ノ島行に乗りましょう。
ポーラ美術館に直接お越しになる方は、11時10分を目安にお越しくださいませ)

定員:10名
参加費:3200円 (2館の入場料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


8/25(日) 塩田千春展へ行こう!

美術は、いろんな人と感想を共有することで、より楽しいものとなります。
一人で美術展を訪れても、もちろん楽しめますが、
みんなで同じ美術展を鑑賞すれば、もっともっと楽しくなるものです!

さてさて、今回みんなで訪れるのは、
森美術館で絶賛開催中の “塩田千春展:魂がふるえる” です。

ベルリンを拠点に、世界各国で精力的に活動を続けるアーティスト塩田千春さん。
その過去最大規模となる2019年大本命の現代アート展です。
早くも入場者数が、10万人を突破!
連日大盛況のため、入場まで1時間待ちという状況がデフォルトとなっています。

そんな大人気展覧会を、是非みんなで観に行きましょう!
しかも、待ち時間なしで観られるよう手配しておきます♪

時間:13時~16時
定員:12名
参加費:1600円 (展覧会鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


8/31(土) 史上最強の銀座ギャラリーツアー!! ~2019夏~

「銀座のギャラリーを巡ってみたい!」


・・・・・でも。

“たくさんありすぎて、どこに行けばいいのかな?”
“敷居が高そうだし・・・(´・ω・`)”
“無理やり買わされたら、どうしよう・・・(´□`。)”


と、不安いっぱいな皆様、お待たせいたしました!
こちらは、アートテラーとして自信を持って、
『これぞ、銀座のギャラリー巡りの決定版!』 とお届けするツアーです。

今回のツアーでは、普段から仲良くさせて頂いているギャラリーから、
銀座に行ったら絶対に訪れておきたい老舗ギャラリーに、 有名ブランドのギャラリーなど、
時間の許す限り、たくさんのギャラリーをご紹介いたします。

さまざまなジャンルのアートに出逢えるのは、もちろんのこと。
キャラの濃いギャラリストさんにも、続々登場いたします。
まだまだ暑さが残るでしょうから、
ギャラリーやカフェで涼を取りながら、銀ブラいたしましょう。

時間:13時~17時
定員:10名
参加費:1000円

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


9/1(日) 今こそ代官山アートツアー

今回のアートツアーの舞台は、『代官山』。
都内屈指のアートと文化の街です。
しかし、意外にも、これまでアートツアーで訪れたことはありませんでした。
(建築ツアーでは何度か訪れていますが)

史上初となる代官山のアートツアーでは、
代官山で抑えておきたいギャラリーやアートスポットを紹介するのはもちろんのこと。
知る人ぞ知る重要文化財建築や古墳といった隠れスポットにもご案内いたします!

ちなみに、ツアーのメインとなるのは、
いよいよ8月21日よりスタートする “Fumiyart 2019 デジタルとアナログで創造する 藤井フミヤ展”
あの藤井フミヤさんの16年ぶりとなる大規模な個展です。
ミュージシャンのフミヤさんが、その片手間に制作したアート作品と思っていたら大間違い!
どの作品も、”天はフミヤさんに何物を与えたんだ?!” と驚かされるほどのクオリティ。
純粋に現代美術展として観ておくべきレベルの展覧会です。
特に今展で初公開される絵筆やペンを駆使したアナログ作品は、必見!
「現代アーティスト・藤井フミヤ」 の真骨頂が発揮されています。

当日は、カフェ休憩等を挟みながら、代官山を散策いたします。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております!

時間:13時~17時
定員:10名
参加費:1000円(鑑賞料や施設入場料を含む)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


9/7(土) 五味文彦とアートテラーとに~がサンドルフィの作品を語る!

9月5日より、千葉県にある “写実の殿堂” ことホキ美術館にて、
“ハンガリーの写実画家 サンドルフィ展 -魂と肉体のリアリズム” がスタートします。




こちらは、ここ近年世界的にも人気が高まるハンガリーの超写実画家、
イシュトヴァーン・サンドルフィ (1948~2007) の日本初となる展覧会。
出展作のすべてが日本初公開という実に貴重な展覧会です。
その関連イベントとして、人気写実画家の五味文彦さんと、
サンドルフィの魅力を語り合うトーク企画が開催されることとなりました。
予測不能?アドリブ満載?の1時間。
どうぞお楽しみに!

時間:15時~16時
定員:先着40名様
参加費:2300円(入館料+ショップ・カフェ8%引き券)

ご参加希望の方は、ホキ美術館のHPよりお願いいたします↓
https://www.hoki-museum.jp/event/index.html#event20190907


9/16(月・祝) ダリトーーク

福岡県筑後市にある九州芸文館にて、
現在、“奇才 ダリの版画展” が絶賛開催中です。
その関連イベントの一つとして、『スペシャルトーク!「ダリトーーク」』 が行われます。

「ダリは芸人だった?シュルレアリスム絵画は大喜利のようなもの?
 奇抜で難解なイメージがあるダリやシュルレアリスムの魅力を、
 わたくしアートテラー・とに~が芸人ならではの視点でわかりやすく、オモシロく紹介いたします。
 美術ってよくわからないゾという方も大歓迎!
 ダリがもっと身近に感じられるトークライブです。」


時間:13時半~15時
定員:80名(要申込・応募多数の場合は抽選)
参加費:1000円(本展招待券つき)

ご参加希望の方は、九州芸文館のHPよりお願いいたします↓
http://www.kyushu-geibun.jp/main/4554.html


9/22(日) そうだ 江戸、行こう。【大山詣り編】

“浮世絵に描かれた街並みは、今、どのような光景になっているのでしょうか?”

浮世絵を手掛かりに、街をぶらぶら歩きながら、
江戸時代にタイムスリップする・・・気持ちになれるツアーです。
講師の太田記念美術館の渡邉晃学芸員とともに、
浮世絵に描かれた場所に実際に赴き、現在の光景と見比べてみましょう!

さてさて、今回のテーマは、『大山詣り』 です。
神奈川県伊勢原市にある霊山・大山。
江戸の町から2、3日の距離にあり、気軽に参拝できることから、
江戸の庶民や歌舞役者たちに、絶好の行楽地として愛されました。
ちなみに、江戸時代のピーク時には、年間20万の人々が来山したのだそう。
それゆえに、大山詣りを描いた浮世絵も、実にたくさん存在しているのだとか。
今回のツアーでは、それらの浮世絵を頼りに、
江戸随一の観光スポット・大山を、たっぷりと散策いたします!
令和元年の大山詣り。
どうぞご期待くださいませ♪

時間:13時~17時半 (集合は伊勢原駅となります)
定員:12名
参加費:2000円
(注:おかげさまで、“そうだ 江戸、行こう。” 企画は特に人気が集中しております。
 そこで、“そうだ 江戸、行こう。” に初参加の方、
 もしくは今年5月以降に、“そうだ 江戸、行こう。” 以外のアートツアーにご参加頂いた方のみの受付とさせて頂いております。
 何卒ご了承くださいませm(__)m)


ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


いずれのツアーも、皆様のご参加を心よりお待ちしております!!

こっちみんな

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こっちみんな・・・ネットでよく使われる言葉。
           物欲しげな目で見つめていたり、強烈な視線だったり、
           思わず 「こっちみんな!」 と言いたくなるような画像に使われる。


さて、「こっちみんな」 とネットで検索すると、
さまざまな “こっちみんな” な画像がヒットします。
ところが、不思議と絵画作品は、ヒットしません。
フェルメールの 《手紙を書く女》 や、




フォンテーヌブロー派の 《ガブリエル・デストレとその妹》 など、




“こっちみんな” な美術作品は、数多く存在しているというのに。
そこで今回は、美術史に残る (?) “こっちみんな” な絵画を一挙大公開!
“こっちみんな” の世界をお楽しみください。


●ヘラルト・ダウ 《田舎の料理人の女》




水を注いでいる時に、こっちみんな!
特に呼んでないから、料理に集中してください。


●麻生三郎 《男》




皿を舐めながら、こっちみんな!
お代わりが欲しいなら、そう口に出しなさい。


●ハンス・バルドゥング・グリーン 《聖母子》




授乳中に、こっちみんな!
する方もされる方も、どっちもカメラ目線。
どっちもドヤ顔です。


●ルーカス・クラーナハ(父) 《ホロフェルネスの首を持つユディト》




ユディトはまだしも、ホロフェルネスはこっちみんな!
「いやぁ、お恥ずかしながら、首だけになってしまいまして」 的な感じで訴えかけてくるなよ。


●フレデリック・バジール 《家族の集い》





家族全員で、こっちみんな!
特に右の3人の感じの悪さたるや。


●アンリ・ルソー 《フットボールをする人々》




こっちみんな!そんで、ボールみろ!
あと、フットボール中に堂々とパンチ入れるな!


●サルバドール・ダリ 《戦争の顔》




こっちみんな!×13
目の中の “こっちみんな” も怖いですが、それ以上に、口の中の “こっちみんな” のほうが怖い。


●歌川国芳 《義勇八犬伝 犬江親兵衞》





犬江親兵衞ではなく、服の柄の犬よ、こっちみんな!
てか、こんな服着んな!


●歌川広重 《雪中椿に雀》





飛んでる最中に、こっちみんな!
「ボク、飛べるよ♪」 じゃねーよ。
ちなみに、どうでもいいですけど、顔の輪郭がハリウッドザコシショウ。



さてさて、本日の記事の中では、“こっちみんな” を連呼しましたが。
決して、読者の皆さまに言っているわけではありません。
明日からも、ブログを見て頂けると幸いです。




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うんこ展 うんこ学園の夏合宿 ㏌ 池袋

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21_21 DESIGN SIGHTで開催中の “虫展” に、
国立科学博物館で開催中の “大恐竜博2019” に。
夏休み期間は、子ども向けの展覧会が多く開催されています。
そんな子ども向けの展覧会の数々の中で、
この夏、最も子どもに刺さりそうなのが、池袋のパルコミュージアムで開催中のこちらの展覧会。




その名も、“うんこ展 うんこ学園の夏合宿 ㏌ 池袋”
累計490万部の大ヒットを記録したあの 『うんこドリル』 の初となる展覧会です。




うんこには、そんなに興味はないのですが、
アートテラーとして一応押さえておかねば、と訪問。
しかし、19時だったこともあり、お客さんは僕一人でした。
日中は、子どもたちで賑わっているのでしょうか。

展覧会のコンセプトは、学園。
それゆえ、冒頭では校則と校歌が紹介されていました。




さてさて、まず紹介されていたのは、『うんこ漢字ドリル』 の例文あれこれ。
壁に、床に、天井から、と、うんこを使った例文が溢れるように展示されています。




思わずププッと笑ってしまう秀逸な文章が多々ありました。
なるほど、子どもたちに大人気なのも納得です。




ちなみに、小学生たちが考えた 「うんこ例文コンテスト」 の優秀作も紹介されていました。




特に、7歳の子どもが考えた・・・




『うんこをしていたらが来ました。』 は秀逸 (笑)!
長い冬が終わって、季節はいよいよ春へ。
希望が感じられるフレーズです。


・・・・・・と個人的に楽しめたのは、正直なところ、ここまで。
星
今回は、学園ということで、国語以外にも、
算数や理科、音楽、部活といったジャンルも展開されていました。
うんこのことしか歌わない 「ジ・ウンコーズ」 の紹介とか。。。





ピクソなる現代アーティストが描いた巨大なうんこの絵とか。。。




それらを前にするたびに、
“俺は一体、何を見させられているんだろう・・・” と、虚しくなってきました。
36歳にもなって、いつまでも子どもっぽい人間だと自覚していましたが。
どうやら、うんこで笑わない程度には、大人になっていたようです。

なお、展覧会はこの後、さらにエスカレート。
うんこの窓を覗いて、街にあるうんこを探すよう指示されたり、




日本に古くから伝わるという 「うんこけり」 をするよう勧められたり。




大人としては苦笑いせざるをえない展示が続きました。
これまで数多くの展覧会を鑑賞していますが、
これほどまでに、「早く出たい!」 と思った展覧会はありません (笑)

ちなみに、国語以外で、唯一興味を示せたのは、課外授業のコーナー。
名古屋にある東山動植物園とコラボしたコーナーで、
さまざまな動物の本物のうんこが、詳しい解説とともに展示されています。




それらの中には、忠実に再現した匂いを実際に嗅げるものもありました。
なお、こちらのうんこは・・・




イケメンゴリラとして話題となったシャバーニがした本物とのこと。




嗅いでみたい人は、是非会場へ足を運ばれてみてください。
ちなみに、今回紹介されていた中で、もっとも臭いうんこの持ち主は、ライオン。
トラも同じくらいに臭いのだとか。
やはり肉食だと臭くなるようです。


さてさて、展覧会のラストに待っていたのは、教室のセット。




よく見ると、机の上にテストが乗っています。
“えっ?何これ??” と戸惑っていると、
スタッフのお姉さんに、「最終試験にチャレンジしてください♪」 と促されました。
「いや・・・・・僕は・・・・・」 とやんわり断ったのですが、
「お好きな席に座ってください」 と、有無を言わせないお姉さん。

ガッデム (訳:くそっ)!!

とりあえず、やらねば会場からは出られないようです。
覚悟を決めて、試験にチャレンジしてみることに。
どうせ子ども向けだろうと高を括っていたのですが・・・・・意外と難しかったです。
記憶や知識を手繰り寄せながら、数分ウンウン唸って、テストを提出。
その結果・・・




まさかの10点満点でした!

逆に、恥ずかしかったです。
しかも、お姉さんよりご褒美にキラキラしたシールをプレゼントされました。
その瞬間は、クソ恥ずかしかったです。


ちなみに、こちらの展覧会は、池袋のサンシャイン水族館と相互割引を実施中とのこと。
サンシャイン水族館では、現在、“へんないきもの展3+うんこ” が開催されているのだとか。




どんだけうんこが好きなんだ、池袋・・・。




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生誕100年 藤本能道 生命を描いた陶芸家

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今年2019年は、戦後日本の陶芸界を牽引した陶芸家の一人で、
東京芸術大学学長も務めた藤本能道 よしみちのうどうとも) の生誕100年に当たる節目の年。
それを記念して、藤本能道と最も関わりの深い美術館、
菊池寛実記念 智美術館では、“生誕100年 藤本能道 生命を描いた陶芸家” が開催されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


藤本能道は、「色絵磁器」 の重要無形文化財保持者 (=人間国宝)。
それまでの色絵は、あくまで磁器を飾るデザインとしての絵でしたが。
写生に基づいた写実的な描写を目指した藤本能道は、
技術や釉薬の改良を続け、「色絵磁器」 を新たなステージへと引き上げました。
その全盛期、油が乗った時代に作られたのが、以下のような作品です。




いい意味で、「もう普通に絵でよくない?」 とツッコミたくなるほどの写実性。
しかも、ただ鳥が写実的で巧く描かれているだけでなく、
その背景はぼんやりとした空気感を漂わせており、奥行きまでも表現されています。
それも含めて絵画的。
平面なのに、立体的な空間性が感じられます。
いや、正確に言えば、立体である磁器の表面 (平面部分) に立体的な空間性が感じられます。
・・・・・う~ん。何かややこしいですね。
とりあえず、1つだけ言えるのは、
こうした表現をモノにしているのは、藤本能道ただ一人。
唯一無二の世界観です。
星星


さてさて、今回の回顧展にはもちろん、
そんな藤本能道の全盛期の作品も多く出展されていましたが。
若手時代のアヴァンギャルドなオブジェ (ゆるキャラ?) や、




コーヒーカップやお皿、向付などのテーブルウェアにもスポットが当てられていました。




そんな数あるテーブルウェアの中で、
特に見逃せないのが、10年ぶりの公開となるこちらのテーブルセット。
そんじょそこらのテーブルセットではありません。
通称、「幻の食器」。
昭和天皇皇后両陛下のために制作されたというテーブルセットです。


「幻の食器」(1976年作) のテーブルセッティング 菊池寛実記念 智美術館蔵 (撮影:尾見重治、大塚敏幸)
※美術館敷地内の西洋館 (非公開) にて撮影



1976年に茨城県下で行われた植樹祭の折、
昭和天皇皇后両陛下が、菊池家の施設に宿泊されることになりました。
そこで、伝説の現代陶芸コレクターにして智美術館創始者である菊池智は、
その時の晩餐で使用するテーブルセットを、藤本能道にフルオーダーしたのだそう。
究極のおもてなしエピソードです。
製作期間は、およそ2年。
試作を重ねること5回。
それまでに廃棄した試作品は、700点を超えていたとのこと。
かくして1点1点デザインが異なった、
総数230ピースからなる藤本渾身のテーブルセットは完成しました。
ちなみに、このテーブルセットが実際に使われたのは、その晩餐の一夜のみ。
まさしく、「幻の食器」 です。


また、今回の展覧会の後半では、
藤本能道のラストワークである 「陶火窯焔」 の作品群が紹介されています。


《霜白釉釉描色絵金彩焰と蛾図扁壺》 1990年 菊池寛実記念 智美術館蔵 (撮影:田中良)


これら赤い炎が象徴的な作品の数々は、
藤本の生前最後の個展 “陶火窯焔 藤本能道新作展” で発表されたもの。
病気と闘いながら、まさに命を燃やして制作した作品群だそうです。




写実であることを通り越して、
もはや情念や業といったものまでが表現されているよう。
五社英雄の世界感を彷彿とさせるものがあります。


ちなみに、今展の出展作の中で、
個人的に一番印象に残っているのは、《雪白釉釉描色絵金銀彩花鳥図八角大筥》 という作品。




色合いや雰囲気が、萩尾望都チック。
なんとなく 『ポーの一族』 感がありました。

それから、ある意味で印象的だったのが、《染付鵜之図長四角皿》 という作品。




他の写実的な絵付とは違って、
なんともホンニャラとしたテイストでした。
こちらは、植田まさしチック。




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ジュリアン・オピー

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現在、東京オペラシティアートギャラリーでは、
イギリスを代表するアーティスト、ジュリアン・オピーの大型個展が開催されています。




もし、ジュリアン・オピーの名前は知らずとも、
対象物を太い輪郭線でミニマムに表現する、その独特的な作風は、
ユニクロのTシャツやCDジャケットなどで、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。





日本でも人気の高い現代アーティストの一人ではありますが、
意外にも、彼の個展が日本で開催されるのは、2009年に水戸芸術館以来なのだそう。
しかも、東京の美術館で開催されるのは、なんと今回が初めてなのだとか。
そんなファン待望のジュリアン・オピー展のタイトルは、ズバリ “ジュリアン・オピー”
彼の作風同様、めちゃめちゃシンプルです。

さてさて、展覧会そのものも、めちゃめちゃシンプルでした。
出展作は、オール新作。キャプションなし。

まず、最初の展示室は、高さ約6mの巨大な作品をはじめとする、
オピーの代名詞ともいうべき行き交う人々をモチーフとした作品で構成されています。




続く広大な展示スペースでは、行き交う人々はもちろんのこと、
カラスや羊といった動物、田園都市やビル群といった風景をモチーフにした作品が一堂に。




そこを抜けると、長い一直線の通路スペースがあります。
そちらには、20台のLEDスクリーンに、
鯉がゆったりと泳ぐ 《Carp》 という作品が展示されていました。




・・・・・展覧会は以上。
出展作数は、25点(+会場内に流れるサウンド作品が2点) 。
シンプルかつ明快なオピーの作品は、特にじっくり眺めるタイプの作風ではないので、
基本的には、パッと見て 「おっ!」 と思ってハイ次の作品、といった鑑賞スタイルとなります。
それゆえ、展覧会全てを観終えるのに、20分とかかりませんでした。
おそらく、僕史上、展覧会鑑賞時間最短記録です。
とは言え、鑑賞時間が短い=物足りない、ということではないので、そこは誤解のなきように。
星新一の良質のショートショートと通ずるところのある展覧会です。
星


とは言え、さすがにこのまますぐに帰るのも何なので、会場の冒頭に戻ることにました。
2周目は、もう少しじっくり作品と向き合ってみることに。
その中で特に印象に残ったのは、《Jada Teresa Yasmin teresa Julian 2》 という作品です。




LEDのスクリーンに、ループで映し出されていたのは、
左から右へ、右から左へと、人々が走り抜けるというシンプルなアニメーション。
人々の顔は〇で表現されているので、特定の人物とは結び付かないはずなのですが。
皆一様に、曲げた肘を固定するスタイルで走っているため、
どうしても、かつてのビートたけしの走り方を連想せざるを得ませんでした。


ちなみに、じっくりと鑑賞した2周目での話。




どこかチチヤスヨーグルトのキャラクターを彷彿とさせる、
オピーのシンプルな人々を見過ぎてしまったからでしょうか。




一瞬、非常口のマークを、オピーの作品かと思ってしまいました。
だいぶ非常事態。




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東海道五十三次 今も宿場町として栄えているのはどこなのか?!ランキング

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歌川広重の浮世絵シリーズでもお馴染みの東海道五十三次。




東海道にある53の宿場町の総称です。
かつては、東海道五十三次全体で、旅籠が3000軒近くあったのだそう。
特に旅籠の数が多かった宿場は、宮宿。その数は、約250軒。
宮宿の対岸にあった桑名宿にも、120軒ほどの旅籠が存在していたそうです。
しかし、調べてみると、現在、宮宿にも桑名宿にも、
それぞれわずか1、2軒の宿があるに過ぎませんでした。
また、旅人留女の強引な客引きで知られた御油宿の近辺には今・・・




なんと1軒も宿泊施設がない模様。
浮世絵でお馴染みの宿場町の数々は、もう宿場町で無いのですね。
そこで、今回改めて、全53の宿場町をリサーチ。
かつて本陣 (=大名以上の高官が泊まるための旅籠) があった場所から、
徒歩15分で行ける圏内にある宿泊施設の数で、ランキングを作成いたしました。
果たして、今も宿が多い宿場町はどこなのでしょうか?


☆ Ranking ランキング

第7位  江尻宿 (静岡県静岡市)  14軒




江尻という地名には、いまいちピンと来ないかもしれませんが。
最寄り駅が、JR東海道本線の清水駅ということもあり、
ホテルマイステイズや東横INNなど、ビジネスホテルが多く存在しています。


第5位  掛川宿 (静岡県静岡市)  15軒




山内一豊が改修したことで知られる掛川城の城下町。
現在は、JR東海道新幹線掛川駅が最寄ということで、
やはり江尻宿同様、ドーミーインや東横INNなど、ビジネスホテルが多く存在していました。


第5位  大津宿 (滋賀県大津市)  15軒




東海道53番目の宿場町、大津が5位にランクイン。
琵琶湖のほとりということもあって、レイクビューが楽しめるオシャレなホテルも多いようです。
東横INN京都琵琶湖大津を含むビジネスホテルも数軒ありました。


第4位  沼津宿 (静岡県沼津市)  16軒




沼津宿高田本陣跡のすぐ近くには、
現在、沼津リバーサイドホテルが建っていました。
その他、JR沼津駅周辺にビジネスホテルが密集。
ちなみに、東横INNは、富士山沼津駅北口1と北口2の2軒あるようです。


第3位  四日市宿 (三重県四日市市)  17軒




全国平均のホテルの客室稼働率が75~80%程度であるのに対し、
四日市市のホテル客室稼働率は、2018年に84.2%と高水準を記録しているのだそう。
まさに、現代の宿場町といえそうです。
もちろん、東横INN近鉄四日市駅北口もあります。


第2位  小田原宿 (神奈川県小田原市)  18軒




2位にランクインしたのは、近年、海外の観光客からも人気の高い小田原。
外国人にもウケそうな御部屋 小田原ゲストハウス「侍御宿」 という宿泊施設もあるようです。
そして、期待を裏切らないのが東横INN (←?)。
東横INN小田原駅東口があります。


第1位  川崎宿 (神奈川県川崎市)  30軒




2位に大差をつけて、堂々1位に輝いた現代のNo.1宿場町は、川崎。
ハイクラスなホテルからカプセルホテルまで、数多くの宿泊施設が存在しています。
かつて宿場町だったエリアにも、万遍なく宿泊施設があるようです。
そして、気になる東横INNにいたっては (←??)、
川崎駅前市役所通、京浜急行川崎駅前、川崎駅前砂子と3軒もありました。


さて、皆さまの予想は当たっていたでしょうか?
品川や箱根が上位に入るかと思いきや、
ホテルが多く密集しているのは、かつて宿場町だった場所から離れたエリア。
品川宿は10軒、箱根宿は4軒と、ふるわない結果に終わりました。

とはいえ、今回の調査に当たって、
何よりも驚かされたのが、東横INNの繁殖ぶり。
宿場町ランキングがメインの記事だったはずですが、
途中から東横INNがメインに取って代わっていたような・・・。

現代の宿場町には、必ず東横INNあり。




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あそびのじかん

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先日、東京都現代美術館を訪れた時のこと。
「えっ?キッザニア?!」 と、
勘違いしそうになるほどに、館内が家族連れで賑わっていました。
夏休み期間の真っ最中であるとはいえ、想定外のファミリーの多さにビックリです。
どうやら皆さまのお目当ては、企画展示室で開催中の “あそびのじかん” である模様。




こちらは、タイトルずばり、「遊び」 をテーマにした展覧会で、
6組のアーティストによる子どもも大人も楽しめる作品が紹介されています。
星
まず最初に紹介されていたのは、開発好明さんによるこちらの作品です。




全3段。壁のように積み上げられたタンス・タンス・タンス。
その表面をよく見ると、ボルダリングのホールドが取り付けられています。




こちらの作品は、実際に登って楽しむことも可能です。
(ただし、安全面のため、登ってよいのは1段目のみ)
実は、この作品は、市原湖畔美術館での開発好明さんの個展でも展示されていました。
その際も登ってオッケーだったのですが、
やはり僕を含めた大人の観客は、基本的に観ているだけ。
実際に遊ぶ人の姿は、ほとんどありませんでした。
が、今展では、会場がマックスに混んでいた14時ごろは、壁一面にビッシリと子どもたちの姿が。
どの子も全力でこの壁に挑んでいました。
まさか、こんなにも子どもたちに刺さる作品だったとは。
ちなみに、作品のタイトルは、《受験の壁》
何も知らず (?) 無邪気に、《受験の壁》 に挑む子どもたちと、それを見つめる親たち。
その様を見ていたら、なんとも複雑な気持ちになりました (笑)

なお、システム上、《受験の壁》 を超えることはできません。
会場の先に進むには、壁に一か所だけ空いている扉をくぐって行かなくてはなりません。
ちなみに、その扉の名は、「裏口入学の扉」。
いたいけな子どもたちが親とともに、次々と 「裏口入学の扉」 を通っていく。
その様を見て、再びなんとも複雑な気持ちになりました (笑)


さてさて、続いて展示されていたのは、野村和弘さんの 《笑う祭壇》 という作品。
森美術館での “六本木クロッシング2016展” でも出展されていた観客参加型の作品です。




ルールは、シンプル。
一般の方から無償で提供してもらったボタンを投げ、
床に設置された祭壇を思わせるオブジェの上に乗せるという作品です。
しかし、ボタンをオブジェの上に乗せるのは至難の業。
当然、ボタンは床に散らばり、刻一刻と変化するその様子を楽しむというものです。
大人はボタンを2、3個投げたら、飽きてしまうのでしょう。
森美術館で展示されていた際は、ボタンはそんなに散乱していませんでしたが。
子どもは祭壇にボタンが乗るまで、何度もチャレンジしたくなるのでしょう。





床がとんでもないことになっていました (笑)
子どもにとって遊びは、真剣そのもの。
それは大いに素晴らしいことですが、
後片付けするスタッフさんは、大変でしょうねぇ。。。


ちなみに。
今回出展されていた作品の中で、個人的に一番あそべたのは、
ヴァーバル・アート・ユニットTOLTAによる 《ポジティブな呪いのつみき》




さまざまなフレーズが書かれた積み重ねて、
オリジナルの文章を作るというシンプルな作品です。




組み合わせを自分で作り出すのも楽しいですが、
すでに積みあがっている文章を読むのも楽しかったです。
お気に入りは、こちら↓




かつての 『発掘!あるある大事典』 のように、信じてしまう人がいるかもしれません。
たい焼きには、そんな効果は無いですよ。念のため。

あと、おそらく子どもではなく、
お母さんが作成したと思われるこちらのフレーズがグッときました。




最後に。
もっともインパクトがあった作品をご紹介。
タノタイガによる 《タノニマス》 という作品です。




壁一面に展示されているのは、大量のお面。
これらのお面を手に取って実際に被ることが可能。
さらに、お面に自由にカスタマイズすることも可能です。




しかし、これらのお面、どう見てもバイきんぐの小峠。

なんて面だ!!




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MOTサテライト2019 ひろがる地図

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現在、東京都現代美術館では、“あそびのじかん” が絶賛開催中ですが。
地下2Fの企画展示室では、ひっそりと (?)、
“MOTサテライト2019 ひろがる地図” が開催されています。




“MOTサテライト” とは、東京都現代美術館の休館中に始動したシリーズ企画。
美術館と街とを繋げ、街の魅力をもっと掘り起こそうというものです。
休館中は、清澄白河エリアの工場跡地や店舗、
図書館などを活用して展示を行なっていたそうですが。
今年はリニューアルオープンしたばかりの美術館がメイン会場となっています。
展覧会のテーマは、街を散策する時の強い味方である 『地図』。
地図をモチーフにした作品や世界の変わった地図などが紹介されていました。

まずはじめに紹介されていたのは、こちらの地図。




一見すると、何の変哲もない地方都市の地図のように見えますが・・・。




実は、こちらは、今和泉隆行さん (通称、地理人) が制作した架空の都市の地図。
今和泉さんの頭の中にしか存在しない架空の都市、
中村市 (“なかむらし” と書いて、“なごむるし” と読むのだそう) の地図です。
街の区画も地形も交通網の配置も、すべて今和泉さんが創造 (想像?) したもの。
中村市にあるコンビニやスーパーなどのお店も、今和泉さんの創造 (想像?) の産物です。
しかし、会場には、それらの中村市の架空のコンビニやスーパーのレジ袋も展示されていました。




さらには、中村市のゴミ袋や粗大ごみの収集券も!




ここまで徹底して作り込まれていると、
中村市が実際に存在しているような気がしてきました。
なお、これらの中村市のスーパーの袋や粗大ごみの収集券は、
東京都現代美術館のミュージアムショップでも販売されています。




どこまでがフィクションで、どこまでが現実なのか。
もはや何が何だかよくわからなくなってきました。
ちなみに、中村市の人口は156万人。
その市民一人一人の生活にリアリティを与えるべく、
今和泉さんは、こんなものまで制作してしまったようです。




意外と、掘り出し物の物件もありましたよ (笑)


・・・と、そんな冒頭の今和泉さんの作品が、
がっつり地図 (or間取り図) をモチーフにしているため、
地図好き (or間取り図好き) 向けのマニアックな展覧会かと思いきや。
布や糸を使った参加型インスタレーションに定評のあるマリー・コリー・マーチの作品や、


(↑参加者が毛糸を選び、一方を自分の生まれた土地に結ぶ。
 そして、壁に散りばめられたプレートの中で、自分に当てはまると思うものに毛糸をかけていく。
 最終的には壁面全体が大きな織物のようになるのだそう)



10歳の頃に失明し、30歳を越えた頃から、
「触る絵画」 を発表している光島貴之さんの新作など、


(↑こちらは、清澄白河駅から東京都現代美術館までの道のりをモチーフにした作品。
 木製パネルに打たれた釘の間隔や傾きが、光島さんが実際に歩いた感じや道すがらで聴いた音なを表しているのだそう。
 作品に実際に触ってみることも可能です)



広い意味で、「地図」 を連想させるアート作品も紹介されていました。
“地図が読めない” という方もどうぞご安心くださいませ。

また、展覧会には、参加作家の作品だけでなく、
「地図」 というキーワードでセレクトされた現美の所蔵品も紹介されていました。




その中で特に印象的だったのが、ナイジェル・ホールの 《無名の土地への入口》 です。




ナイジェル・ホールは、イギリスの現代アーティスト。
抽象的な彫刻作品で知られる作家です。
こちらの作品も特に何か特定のモチーフは無いのでしょうが、
この作品に出会うまで、さまざまな地図を観てきたので、どうにも地図に見えてきました。
地図をくまなく探せば、どこかにこういうルートがありそうです。
・・・・・なんて思っていたら、作品の近くに、こんなハンドアウトが。




こちらは、浜元信行さん (浜ちゃん) とやっさんの2人が作成した、
《無名の土地への入口》 と全く同じ形を、GPS絵画で描くための指示書です。
東京都現代美術館を出発して、この指示書通りに進み、
その軌跡をGPSに記録しておけば、《無名の土地への入口》 がマップ上に現れるのだとか。
よくぞ、こんなルートを見つけたものです。
ちなみに、全行程は17㎞以上!
さすがの僕でも、チャレンジする気が起きません(笑)

が、世の中には物好きはいるそうで、実際にチャレンジした方もすでにいる模様。
そして、その方は、指示に一か所間違いがあったのを見つけてしまったそうです。




ご指摘は大変ありがたいのですが、
一体、あと何人がこんな不毛な (?) チャレンジに挑むのでしょうか (笑)


そうそう。街でのチャレンジといえば、こんな作品もありました。




壁一面に、センテンスがビッシリと書かれています。
センテンスを読み進めると、文末に選択肢が提示されていました。
どの選択肢を選ぶかで、次に読むセンテンスが決まります。
こちらはいわゆるゲームブックをモチーフにした、
orangcosong+進士遙さんによる 《演劇クエスト》 という作品です。
しばらく読み進めていると、中央に置かれた・・・




こちらの本を手に取るように指示されました。
パラパラとめくってみるとその中には、
清澄白河の街を舞台にした様々な指示が書かれています。
なるほど。脱出ゲームのように、実際に街を巡って冒険できるようです。
実によくできています。

“この本を持って、街を旅したら楽しいだろうなァ♪”

と思いつつ、本を戻したところ、「持って行っていいですよ」 とのこと。
展覧会の鑑賞者へのプレゼントなのだそうです。
えっ、この展覧会、鑑賞料無料なのに?!
《演劇クエスト》 をプレイするだけでも、訪れる価値のある展覧会ですよ。
星




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シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート

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現在、ポーラ美術館では、開館以来初となる現代アート展、
“シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート” が開催されています。




「えー・・・モネとかピカソとか、ポーラ美術館コレクションは観れないの?!」

と不安になった方もいらっしゃるでしょうが、どうぞご安心くださいませ。
今回の展覧会では、国内外の現代美術家が、
ポーラ美術館コレクションにインスパイアされ制作した新作と、
そのもととなったモネやピカソといった巨匠たちの作品と、が併せて展示されています。
なお、タイトルにある “シンコペーション”(切分法) とは、
あえてリズムをズラすことで、楽曲に表情や緊張感を与える音楽の手法のこと。
ポーラ美術館が収蔵するお馴染みの名画たちには、
いい意味で心地よいマンネリ感を覚えていましたが。
今回、あえて現代アート作品と並べられたことで、また新鮮な気持ちで鑑賞することができました。

ちなみに、今回参加している現代美術家は、12組。
しかし、蜷●実花さんとか名●晃平さんとか、
現代美術展や芸術祭の常連の作家は、ほぼ選ばれていません。
日本での知名度が高く、確実に注目されそうなアーティストではなく、
あえて実力重視で作家を選んだ “シンコペーション” な人選に、ポーラ美術館の本気を見ました。
これまでポーラ美術館を訪れたことがある方も、
まだ訪れたことがなかった現代アートファンも、新鮮に感じられること請け合いの展覧会です。
星星


さてさて、今回出展されていた中で、
特に印象的だった作品をいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、モネの 《睡蓮》 とペアリングされていた・・・


クロード・モネ 《睡蓮》 1907年 油彩/カンヴァス ポーラ美術館蔵


フランス人作家セレスト・ブルシエ=ムジュノの 《クリナメン v.7》 という作品から。


©Céleste Boursier-Mougenot


眼にも涼やかなプールの水面に大量に浮かんでいるのは、
思わず 『ヤマザキ春のパンまつり』 を連想してしまう (←?) 白い陶磁器。


©Céleste Boursier-Mougenot


プールは常に水の流れがあり、その流れに乗った陶磁器たちが、
時おり、ぶつかっては 「カン!」 という綺麗な音を響かせます。
ただそれだけのシンプルな作品なのですが、
不思議なほどに、ズーッとボーッと見ていられました。
眼と耳、両方で楽しむ作品です。
これの卓上版があったら (?) 、家に欲しいほどでした。


目と耳で楽しむと言えば、マティスの 《リュート》 と同じ空間で展示されていた・・・


アンリ・マティス 《リュート》 1943年 油彩/カンヴァス ポーラ美術館蔵


イギリスの作家オリヴァー・ビアの 《悪魔たち》 という作品も。


©Oliver Beer


古代から現代まで古今東西のさまざまな器にマイクを当て、
それらの器の内部で反響する音を増幅させているという作品です。


©Oliver Beer


展示空間では、「ボワーンボワーン」 というハウリングのような音が響き渡り続けています。
他に特に動きや展開はなく、ただそれだけのシンプルな作品ではあるのですが、
セレストの 《クリナメン v.7》 同様に、この展示空間でズーッとボーッとしていられました。
もし壺の中に入ったとしたら、おそらくこんな感じになるのではないでしょうか。
壺中天の仙人の気分を味わえました。


音に関するアート作品をもう一つ。
2010年のターナー賞を受賞した女性作家スーザン・フィリップスの 《ウインド・ウッド》 という作品です。
その作品が設置されているのは、ポーラ美術館内ではなく、森の遊歩道。




森のあちこちに11個のスピーカーが設置されています。
そして、そのスピーカーから断片的に聞こえてくるのは、
“音の印象派” ともいわれるラヴェルが作曲した、
『シェヘラザード』 「魔法の笛」 のフルートの旋律です。
そんなフルートの旋律にセッションするかのように、時おり、鳥のさえずりが聞こえてきます。
(↑こちらはスピーカーからではなく、本物の鳥の鳴き声)
それらの音が森全体で響き渡る様子は、実に感動体験。
まさに大自然のサラウンドシステム状態です。


他にも印象的な作品は多々ありましたが、



©Abdelkader Benchamma, Courtesy of Galerie Templon, Paris


最後に紹介したいのは、渡辺豊さん (1981~) の新作群。




ここ近年、渡辺さんは、人の名前をインターネット上で検索し、
ヒットしたイメージの要素を組み合わせながらポートレートを描いているのだそう。
今展では、ピカソ、セザンヌ、フジタとそのモデルたちを検索。
そして、どこかキュビスムを思わせる新作のポートレートを約50点 (!) も制作しました。




1点1点の力はピカソやセザンヌらの作品に及ばずとも、
数が集まれば、美術界の巨匠の作品にも匹敵するパワーを持つ。
まるで 『スイミー』 のような新作群でした。


 ┃会期:2019年8月10日(土)~12月1日(日)
 ┃会場:ポーラ美術館
 ┃
https://www.polamuseum.or.jp/sp/syncopation/

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “シンコペーション” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、8月25日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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美女に関する説 第2弾

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アートテラー・とに~が信じる美術に関するを検証していく企画。
それが、『水曜日のアートテラー』 です。

水曜日



さて、まずは皆さま、昨年紹介したこの説は覚えていらっしゃいますか?




名画に登場する美女にメガネをかけ、
美人度がアップするかどうかを検証しました。




確かに、メガネをかけたら美人度が増したのですが。
このたび、名画の美女の美人度が増す新たな方法を見つけてしまいました。
今回僕が提唱したいのは、こんな説です。




名画に登場する美女は、基本的に澄ました表情か穏やかな表情です。
もし、ナチュラルな笑顔になったら、もっと魅力が増すのでは?
それを検証するべく、今話題のアプリ 「FaceApp」 をダウンロードしてみました。




「FaceApp」 とは、写真の中の人物の顔を、




ボタン一つクリックするだけで、老け顔にしたり、


(↑武田鉄矢みたいになりましたw)


笑顔に変えたり、




さまざまな加工をすることができるアプリです。
そんな 「FaceApp」 を使って、名画の美女を笑顔にしてみましょう。
まずは、フェルメールの 《真珠の耳飾りの少女》 から。




笑顔になると、ご覧の通り。




美人度が3割増しになりました!
ただ、その分、ミステリアス度は3割減になった気がします。


続いては、ボッティチェリの 《ヴィーナスの誕生》 で検証。




表情がおぼろげだったヴィーナスが、笑顔になると・・・




やはり美人度は3割増しに!!
どことなく原沙知絵さんにも似ている気がします。


お次は、ロシアの画家クラムスコイによる 《忘れえぬ女》 です。




威圧感満載のこちらの女性も、笑顔になると、ハイこの通り。




美人度もアップしましたが、
恋人とのプライベート写真感 (?) もアップしました。


続いては、こんなパターンでも検証。




モディリアーニの 《おさげ髪の少女》 です。
これまで検証してきた絵画に比べて、写実感は薄め。
「FaceApp」 では加工できないかと思いきや・・・




見事に、ナチュラルな笑顔に!
モディリアーニっぽさは減ってしまいましたが、女の子の魅力は確実に増しています。

ならば、こちらの女性でも検証。




フリーダ・カーロの 《いばらの首飾りとハチドリの自画像》 です。
正直なところ、この時点では、女性らしい魅力はほとんど感じられません。
しかし、笑顔になると・・・




一気に魅力的がアップ。
親しみやすも一気にアップしました。
真木よう子とよゐこ濱口を足して、2で割ったような顔をしています。

個人的に推したいのは、ドミニク・アングルの 《ドーソンヴィル伯爵夫人》




澄ました表情でも、十分に美人ですが。
笑顔になるだけで・・・




より若々しい印象に。
「伯爵夫人」 という肩書とは裏腹に親密さが増しました。
そして、どことなくオフショットっぽい印象に。


では、いよいよ真打登場。
レオナルド・ダ・ヴィンチの 《モナリザ》 で検証です。




この時点でも微笑は浮かべていますが、もう一段階、笑顔にしてみました。
すると・・・




あれっ??特に美人度はアップしていないような。。。
彼女は、きっと笑顔が苦手なのでしょう。
むしろ作り笑い感が3割増してしまいました。
『笑顔』 の加工の種類の中には、
「動揺」 というものもあるので、あえてそれを適用してみることに。




いつも微笑を浮かべているので、
逆に真顔のほうが魅力が増したような気がします。

微笑といえば、この女性を忘れてはいけません。
岸田劉生の 《麗子微笑》 です。




笑顔になると、この通り。




少女っぽさが、かなりアップしました。
スタジオアリスで撮った写真といった印象です。


せっかくなので、男性でも検証してみました。
まずは、ゴッホの 《自画像》 から。




何かを訴えかけてくるような表情。
危ないヤツにも見えますが、笑顔になると、この通り。




危ない雰囲気は、きれいサッパリ無くなります。
笑顔って大事ですね。
特にイケメン度は増していませんが。

イケメンといえば、クールベの 《絶望(自画像)》 です。
この作品を加工してみましたが、イケメンは何をしてもイケメン。
顔の印象に大きな変化は見られませんでした。




ちなみに、アテレコしてみたら、
そんな風にしか見えなくなってきたので、それをお楽しみください。




「えっ・・・俺、もしかしてハゲてきた (汗)??
 前よりも生え際が上がってない?上がったか。上がったなぁ。確実に上がって・・・




無い!!
 上がってないな!うん!気のせいだったよ!良かったー!!」
絶望からの希望です。


最後は、こちらの絵画で検証。
中野京子さんの 『怖い絵』 でもお馴染みの名画、
ポール・ドラローシュの 《レディ・ジェーン・グレイの処刑》 です。




今まさに処刑される寸前のジェーン・グレイ。
その彼女が笑顔を浮かべると。。。




検証結果

確かに、たいていの名画の美女は笑顔になると、魅力度が3割増しする。
怖さが増すパターンもある。





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藤井フミヤ展 多様な想像新世界 The Diversity

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現在、代官山のヒルサイドフォーラムでは、
“藤井フミヤ展 多様な想像新世界 The Diversity” という展覧会が開催中。
あの藤井フミヤさんによる大規模な美術展です。


(注:展覧会は一部を除いて撮影不可。記事に使用している写真は、特別に許可を得て撮影したものです)


ミュージシャンとしてのイメージが強すぎるがあまり、
「えっ?藤井フミヤさんって、絵も描くの??」 と思われた方もいらっしゃるでしょうが。
実は、1993年に開催した初個展 “Fumiyart-Take a break” で、
当時はまだ珍しかったCGアーティストとして衝撃的なデビューを果たしています。
その後、ミュージシャンとしての活動と並行して、国内外で個展を何度も開催。
しかし、2003年に全国巡回した “Fumiyart” を最後に、アート活動を休止していたのです。
実に16年ぶりの開催となる今展では、
過去の展覧会で発表された作品はもちろんのこと、
沈黙期間中に黙々と制作していたという未発表作も数多く出展されています。
総作品数は、約100点。
美術家としての藤井フミヤさんの四半世紀を総覧できる内容となっています。


さてさて、このブログの読者さんの中には、

“・・・・・そうは言っても、芸能人が片手間でやってる展覧会なんじゃないの??”

と、あまり食指が動いていない方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、その手の展覧会は、往々にしてあります (笑)
しかし、フミヤさんの展覧会を、そうした展覧会と一緒にしてはいけません!!
世の中には稀に、天の発注ミス (?) で、
二物も三物も与えられる人物がいるものです。
それが、まさにフミヤさん。
ミュージシャンとしてのあの才能と同じくらいの芸術の才能を持ち合わせているのです。

フミヤさんの芸術の才能の中で、まず一番に驚かされたのが、
展覧会のタイトルにもあるように “Diversity” 、つまり、その多様性です。
会場には、かねてより発表してきたCGアートはもちろんのこと、




水彩や油彩、シルクスクリーンをはじめ、実に多彩なジャンルの作品が展示されています。





ジャンルの幅があまりにも広すぎて、
とても一人の人間がすべて制作したとは思えないほど。
個展というよりも、グループ展のような印象を受けました。

また、文房具屋やホームセンターを訪れては、
ピンと来た画材で、思いつくままに制作しているというフミヤさん。
どのジャンルにも属さない新たなスタイルの作品も数多く制作しています。
例えば、こちらのキラキラとした作品。




何で描かれているのかと思えば・・・その正体は、昔懐かしのファンシーシール。




あのファンシーシールが、こんな素敵なアート作品になるだなんて。
まさしく、コロンブスの卵的な発見です。


また例えば、こちらのウッディな作品。




こちらは、木材をカッティングし、貼り付けて制作したものです。




ただカットしただけかと思いきや、
それぞれのピースを染めているとのこと。
しかも、木目の向きもすべて意図しているというこだわりよう。
フミヤさん本人に伺える機会があったので、
「正直、面倒くさくないですか??」 と尋ねてみたところ、「面倒くさいよ(笑)」 と即答。
この作品を制作した頃、ウッディな家具にハマっていたそうで、
それで、なんとなく作ってみようと思った、と教えてくれました。
“なんとなく” で、このクオリティ。
恐るべしです。


さて、ジャンルの幅広さもさることながら、
やはり何と言っても驚かされるのは、画力の高さ。
絵画を描けば、ご覧の通り。




切り絵に挑んでみれば、ご覧の通り。




才能が圧倒的すぎて、ミュージシャンと芸術家、
むしろどっちが本業かわからなくなってきました。
そんなフミヤさんが最近取り組んでいるというのが、ボールペンで描く絵画。
と言っても、いわゆる普通のボールペン画ではありません。




ボールペンをグルグルグリグリすることで、立体感や陰影を表現しているのです。
これまたありそうでなかった新世界のスタイルです。
ちなみに、今展に合わせて、このスタイルで模写したルネサンスの絵画も発表されていました。




画面中央の 《ボッティチェリへのオマージュ『Venus and Mars』の模写》 は・・・




完成までに1か月半かかったとのこと。
その間、作品は自宅のダイニングテーブルの上に置かれていたため、
フミヤさん一家は、キッチンのカウンターで食事を取らざるをえなかったそうです。
大作の影には、家族の支えありですね。





「あの藤井フミヤさんの展覧会だから」 ではなく、
一人の現代アーティストの展覧会として、オススメの展覧会。
この展覧会を機に、改めて芸術家としての評価が高まるのは間違いなし。
15で不良と呼ばれたフミヤさんが、50を超えて巨匠と呼ばれるのも時間の問題でしょう。
星星
訪れるものみな感動させる展覧会です。




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さかなクンの描く ギョギョ魚(ぎょ)!!! 展

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日本初の洋画商として、90年以上の歴史を誇る銀座の日動画廊。
あの藤田嗣治やアンディ・ウォーホルも生前に訪れたこともある日本を代表する画廊です。




・・・と、それだけに、敷居の高さを感じてしまい、
足を踏み入れるのに躊躇している方は少なくないでしょう。
(実際は、気軽に入れる画廊なのですが。マンツーマンで接客されることなんて無いですよw)
そんな気後れしていた皆さまにとっては、今が日動画廊デビューする大チャンスです!
この夏、日動画廊で開催されているのは、
“さかなクンの描く ギョギョ魚(ぎょ)!!! 展” という展覧会。
あのさかなクンの初となる個展です。





画廊の壁を飾るのは、さかなクンが今展のために描いた新作約50点。
どの絵も、さかなクンの人柄がそのままキャンバスに現れた明るくて朗らかな魅力に満ちています。
アクリル絵の具で描いたものもあれば、
筆ペンやマーカーといった身近な素材を用いて描かれたものもありました。
また、モチーフとなっている魚もさまざまなら、作品の大きさもさまざま。




普段はオーセンティックな日動画廊の内部が、
まるで水族館かのように楽しげで、かつ涼しげな空間に変貌を遂げていました。
残暑厳しいこの時期にピッタリの展覧会です。


さてさて、さかなクンが描く魚の絵の特徴は、
まず何と言っても、その多くが正面を向いていること。


(注:展覧会は会場風景のみ撮影可能。記事に使用している写真は、特別に許可を得て撮影したものです)


どんなに絵の巧い画家でも、魚を描くと、基本的には横向きになります。
しかし、360度どんな角度からも魚が描けるさかなクンの手にかかれば、正面向きもなんのその。
つぶらな瞳で、こちらをじーっと見つめています。




中でも特に印象的だったのが、
《マンボウちゃんとアカマンボウちゃん》 という一枚。




この角度からのマンボウを初めて目にした気がします。
両目が見えるだけで、途端にキュートに感じられますね。
キュートといえば、作品の縁もソーキュートでした。




さかなクンのポップな世界観に合わせて、
いわゆる額装ではなく、マスキングテープで縁取られています。
マステにこんな使い道があったとは!
思わずギョギョギョと驚かされました。


ちなみに、皆さまご存じ・・・いや、ギョ存じの通り、
タレントやイラストレーターとしての活動のほか、魚博士としても活動しているさかなクン。
それだけに、ただ可愛いだけの作品ではなく、
作品のいたるところに魚に対する深い知識が投影されています。
先ほどの 《マンボウちゃんとアカマンボウちゃん》 を例にすると、この通り。





楽しくて、かつタメにもなる。
さかなクンにしか描けない唯一無二の絵画です。

そうそう。魚の知識といえば、今回の展覧会では、
QRコード読み取りによる 「おさかな解説」 も用意されています。




さらに、会場には、さかなクンの絵をもとにした塗り絵を使った参加型のコーナーや、





海洋写真の第一人者・中村征夫さんによる写真と、
さかなクンが監修した魚のぬいぐるみがコラボしたフォトブースも設置されていました。




大人から子どもまで、ギョ家族揃って楽しめる展覧会。
夏休みも残りあとわずか。
銀座に立ち寄るギョ予定がある方は、
是非、日動画廊にフラッと立ち寄って、ギョ覧くださいませ!
星


ちなみに。
カラフルでポップな作品も良かったのですが、
個人的には、黒一色の迫力ある作品に惹かれました。





普段のさかなクンのイメージとは違い、シックでダンディな雰囲気もありました。
さかなクンではなく、さかなサン。
もしくは、さかなシと呼びたくなる作風です。




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原田治 展 「かわいい」の発見

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現在、世田谷文学館で開催されているのは、
“原田治 展 「かわいい」の発見” という展覧会です。




1970年代後半から90年代にかけて、
女子中高生を中心に爆発的な人気を博した 「OSAMU GOODS」 の生みの親・原田治。
その没後初となる大規模な展覧会です。

世代によっては、原田治という名前にピンとこないかもしれませんが、
彼が手掛けたイラストは、人生の中で一度は必ずやどこかで目にしているはず。




例えば、ミスドの景品で。




例えば、ECCジュニアの看板で。




また、例えば、東急電鉄のドア付近で。




他にも、カルビーのポテトチップスのマスコットキャラや、
今何かと話題の崎陽軒のシウマイ弁当のひょうちゃん (2代目) も原田さんによるものです。




まさに国民的イラストレーターといっても過言ではありません。
今回の展覧会では、そんな原田さんが手掛けた 「OSAMU GOODS」 だけでなく、




デビューのきっかけとなった 『アンアン(an・an)』 での仕事や、




還暦を迎えたあとにプライベートで制作していたという抽象作品など、




これまであまりスポットが当てられていなかった一面も紹介されていました。
原田治の全貌が初めて明かされた展覧会です。
個人的に興味深かったのは、原田さんの画風の引き出しの多さ。




原田さん曰く、レパートリーは10種類くらいあったそうです。
カワイイ絵を描くだけのイラストレーターではなかったのですね。
今日の今日まで、完全に誤解していました。

誤解していたといえば、「かわいい」 の概念に関しても。
ただ可愛く描けば、かわいいキャラが生まれるのかと思いきや・・・




“淋しさ” や “切なさ” が5%ほど絶妙にブレンドされているとのこと。
そういう視点で改めて、彼の絵を見てみると、
確かに、ほんのりと淋しさや切なさが感じられるような。




原田さんの絵を見ると、どこかノスタルジックな気持ちになります。
それは、単純にかつて流行ったイラストだから、だと思っていましたが。
隠し味に使われた “淋しさ” や “切なさ” によるものなのかも。
流行していた当時も、人は原田さんの絵にノスタルジーを感じていたのでしょうか。


さてさて、展覧会では、他にも原田さんが手掛けた装丁や、




原田さんが描いた絵本 (中には、あののっぽさんとの共作も!) 、





さらには、美術をテーマにした原田さんのエッセイも紹介されていました。




見応えがあり、楽しい展覧会であったことは間違いないのですが。
果たして、文学館で開催するべき展覧会だったのか?
その意図が、最後までよく伝わってきませんでした。
「文学って何かね?」
世田谷文学館に対して、そう問いかけたくなりました。
星
そんな “淋しさ” や “切なさ” も加味された展覧会です。




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