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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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箱根の山の金太郎

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現在、箱根ラリック美術館では、
夏休み特別イベントとして、“箱根の山の金太郎” が開催中。
昔話でお馴染みのあの 『金太郎』 をテーマにした展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


“ラリックと金太郎って、何か関係あったっけ??”

おそらく、そう疑問に思われた方が、大半でしょう。
正直なところ、ラリックと金太郎は、ほぼ何の関係もありません!
しかし、箱根ラリック美術館と金太郎は、意外な関係性があるのです。

まず、箱根ラリック美術館が位置する箱根町・仙石原は、金太郎とゆかりが深い地域。
美術館からも、金太郎伝説の舞台として知られる金時山を見渡すことができます。
(ちなみに、童謡 『金太郎』 の歌詞には、「あしがらやまの やまおくで」 とありますが、“足柄山” という名の山はないのだとか)
また、なぜか、美術館のコレクションの中には、ラリックの作品に交じって、
金太郎をモチーフにした浮世絵、月岡芳年の 《月百姿 金時山の月》 があったのだそう。




さらに、箱根ラリック美術館の会長は、その昔、
母熊とはぐれてしまった仔熊に 「ハナコ」 という名を付けて飼っていたのだそうです。
何を隠そう、展覧会の入り口に飾られていた熊の剥製が、そのハナコ。




足柄山もある。金太郎の浮世絵もある。熊もある。
ということで、満を持して、
『金太郎』 をテーマにした展覧会が開催するに至ったのだそうです。




ちなみに、箱根ラリック美術館が、この展覧会にかける意気込みは並々ならぬものがあり、
その成功を願って、広報担当の杉山茜さんは、雨にも風にも負けず、連日金時山を登頂しています。




令和初日の5月1日よりスタートし、8月8日に100日達成!
現在もなお、登頂を続けているそうです。
僕もこれまで様々な企画にチャレンジしてきましたが、毎日登山は絶対に無理。。。
杉山さんの頑張りには、素直に頭が下がります。
それも含めたら、星2つ!
星星


さてさて、展覧会では、大きく分けて2つの金太郎が取り上げられています。
まず1つ目は、浮世絵です。
月岡芳年の 《月百姿 金時山の月》 以外にも、
浮世絵の世界には、金太郎をモチーフにした作品は多数存在しています。
桃太郎や浦島太郎をモチーフにした浮世絵と比べると、その数は圧倒的。
子どもに力強く育って欲しいという願いを込めて、
金太郎の浮世絵は、多く制作されていたのでしょうね。
ちなみに、金太郎といえば、『金』 の字が書かれた腹掛けでお馴染みですが、
どうやら江戸時代や明治時代の金太郎には、そのようなパブリックイメージは無かったようです。
むしろ桃太郎風だったり、




全裸だったり、




さまざまなバリエーションの金太郎が存在しています。
まさに、“金ちゃんの仮装大賞” 状態です。
また、展覧会では、幼少期の金太郎を描いた浮世絵だけでなく、
大人になった金太郎、源頼光の四天王の一人である坂田金時を描いた浮世絵も紹介されています。




金太郎の浮世絵も多かったですが、
坂田金時が登場する浮世絵も、同じくらい多かったです。
こんなに多数の浮世絵に登場していただなんて。
まさに、“欽ちゃんのどこまでやるの!?” 状態です。


さて、浮世絵にくわえて、
もう1つ取り上げられていたのが、全国各地で制作された金太郎の土人形。





浮世絵の金太郎もバリエーション豊かでしたが、
土人形の金太郎は、それに輪をかけてバリエーションが豊かでした。
中でも特に代表的なのは、おかっぱに皿 (?) があるスタイルの博多人形の金太郎と、




真っ赤な身体に隈取がビッシリ、坊主頭に鉢巻きスタイルの伏見人形の金太郎とのこと。




この2大スタイルが、それぞれ各地に広まっていったのだそうです。
現在の状況を考えると、おそらく伏見人形の金太郎は全国区とならなかった模様。
まぁ、力強さはありますが、可愛げはないですよね・・・うん。


ちなみに。
熊とセットの金太郎が主流派でしたが、
別の方法で力強さアピールする金太郎も数多く存在していました。




中には、《熊乗り鯛担ぎ金太郎》 なる欲張り (?) な金太郎も。




アピール必死か。


また、会場には浮世絵と土人形以外にも、
金太郎にまつわる品々も紹介されています。




さらに、さすがにラリックの美術館なので、
ラリックの作品も数点ほど紹介されていました。




展示されていたのは、金太郎にちなんで、
子どもをモチーフにしたラリック作品です。
う~ん。近からず遠からず。
強引に結び付けている感は否めなかったです (笑)


ちなみに。
箱根ラリック美術館といえば、前回訪れた際に、
学芸員さんに乗せられ、フォトスポットで妙な写真を撮らされましたっけ。
もちろん今回も金太郎ver.のフォトスポットが用意されていました。




しかも、腹掛けだけでなく、カツラもある本格派。
例によって学芸員さんに乗せられましたが、断固拒否しました。
「撮りましょう」「イヤです (キッパリ)!」 のラリーを数回続けた結果・・・・・・・




こうなりました。
あの押しの強さは、金太郎なみ。




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コートールド美術館展 魅惑の印象派

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この秋、東京都美術館で開催されているのは、
“コートールド美術館展 魅惑の印象派” という展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


レーヨン産業で莫大な富を築き上げたイギリスの実業家サミュエル・コートールド。
美術コレクターでもあった彼が熱心にコレクションしたのは、
当時のイギリスでまだあまり評価されていなかった印象派、およびポスト印象派の作品でした。
そんなコートールドの美術コレクションの寄贈を受けて、
1932年にロンドンに開館したのが、コートールド美術館です。

“・・・・・・こぉとぉるど??”

もし、その名前にピンとこなくとも、
コートールド美術館が所蔵する作品は、一度くらいは目にしていることがあるはずです。
例えば、セザンヌの代表作の一つ 《カード遊びをする人々》


ポール・セザンヌ 《カード遊びをする人々》 1892-96年頃 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)



また例えば、ルノワールが第一回印象派展に出品した記念碑的作品 《桟敷席》


ピエール=オーギュスト・ルノワール 《桟敷席》 1874年 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)



またまた例えば、マネの晩年の傑作として名高い 《フォリー=ベルジェールのバー》


エドゥアール・マネ 《フォリー=ベルジェールのバー》 1882年 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)



驚くなかれ、実は、これらはすべてコートールド美術館のコレクション作品なのです。
さらに、もう一つ驚くなかれ、今回の展覧会には、それら3点が揃って来日しています!
あの名画の実物に逢える貴重な機会。
芸術の秋2019、抑えておくべき展覧会の一つです。
星星


ちなみに、日本でコートールド美術館の展覧会が開催されるのは、約20年ぶりとのこと。
セザンヌの 《カード遊びをする人々》 も、ルノワールの 《桟敷席》 も、
マネの 《フォリー=ベルジェールのバー》 も、今展で初めて対面しました。
その率直でシンプルな感想は、以下の通りです。
《カード遊びをする人々》 は、想像していた以上に、カード遊びが盛り上がっていませんでした。
(☝そんなにつまらないなら、やめればいいのに)
《桟敷席》 で描かれている女性は、想像していた以上に、色白でした。
(☝もはや色白というより、白塗り。平野ノラ?)
《フォリー=ベルジェールのバー》 は、想像していた以上に、大きかったです。
(☝描かれたバーテンダーの女性の存在感たるや!「オーダーするの?しないの?」 と問われているような気になりました)


さて、今展には他にも、ゴッホやモネ、ゴーガン、モディリアーニなど、
コートールド美術館コレクションから選りすぐられた約60点が来日しています。
その中で、個人的に強く印象に残っているのは、
ロートレックの 《ジャヌ・アヴリル、ムーラン・ルージュの入口にて》 です。


アンリ・ド・トゥールズ₌ロートレック 《ジャヌ・アヴリル、ムーラン・ルージュの入口にて》 1892年頃 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)



モデルは、ジャヌ・アヴリル。
当時、ムーラン・ルージュで大人気だったダンサーです。
その顔は、完全にオフのもの。
まるで、『FRIDAY』 の隠し撮り写真のようです。
なお、研ナオコにちょっと似ているアヴリルですが、
この絵が描かれた時、彼女はなんと20代前半だったそう!
ロートレック、容赦がありません。

それから、コートールドが唯一購入したというアンリ・ルソーの作品も印象的でした。


アンリ・ルソー 《税関》 1890年頃 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)



20年以上も税関に務めていたため、
『税関吏ルソー』 とも呼ばれる彼が、その生涯で唯一、税関を描いた作品なのだとか。
・・・・・が。
肝心の税関がちょこんとしか描かれていないわ。
門の開き方が妙なことになっているわ。
税関の職員が変なところに立っているわ。
「20年以上働いて、それかい!」 な仕上がりになっています。
ある意味、期待を裏切らない作品でした。

また、今展には絵画作品だけでなく、
ロダンやドガらの彫刻作品も数点ほど出展されています。




その中でも特に目が釘付けとなったのは、
ドガの 《右の足裏を見る踊り子》 という作品。


エドガー・ドガ 《右の足裏を見る踊り子》 蝋による制作:1890年代/ブロンズに鋳造:1923年頃 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)



左足1本で立ち、右手で右足を持ち、足裏を見る。
なんとも難易度の高いポーズです。
実際、このポーズにモデルも苦心したのだそう。
「このポーズを保つことに苦労した」 とのモデルの告白が残っているそうです。
ただ、苦労も何も、普通の人にとっては、保つことそのものが無理。
試しに僕も家で何度かチャレンジしてみましたが、平均8秒でした (笑)
制作したドガよりも、モデルに感銘を受けました。

ちなみに。
構成はもちろん、内装にも随所にこだわりが見られる今回の展覧会。





図録にも画期的な工夫が施されていました。
作品の図版が掲載されたこちらのページ。
一見すると、いつもと変わらない図録の中の1ページです。




しかし、その1ページ前の透明なページを戻して上に重ねてみると、ご覧の通り。




作品内の見どころや解説が現れる仕掛けになっています。
この発想はなかった!
美術も図録も、日々、進化しています。




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【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】

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現在募集中のアートツアーです。

アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画を心掛けております。
初参加の方も多いので、どうぞお気軽にご参加くださいませ♪
(男女比は、7:3くらいで女性が多いです。
 また、おひとりで参加される方が大半ですので、一人でもふらっと遊びにいらしてください!
 お子様とご一緒の参加も大歓迎です[お子様の参加費は基本無料])
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
参加希望の方は、お手数をおかけして恐縮ですが、
件名に希望するアートツアーを明記して、以下のメールフォームよりお申し込みくださいませ。
詳細をお知らせいたします。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
お知らせ先のメールアドレスが間違っている方が、ごくたまにいらっしゃいます。
こちらからの返信がない場合は、もう一度お送り頂けますと幸いです。


9/16(月・祝) ダリトーーク

福岡県筑後市にある九州芸文館にて、
現在、“奇才 ダリの版画展” が絶賛開催中です。
その関連イベントの一つとして、『スペシャルトーク!「ダリトーーク」』 が行われます。

「ダリは芸人だった?シュルレアリスム絵画は大喜利のようなもの?
 奇抜で難解なイメージがあるダリやシュルレアリスムの魅力を、
 わたくしアートテラー・とに~が芸人ならではの視点でわかりやすく、オモシロく紹介いたします。
 美術ってよくわからないゾという方も大歓迎!
 ダリがもっと身近に感じられるトークライブです。」


時間:13時半~15時
定員:80名(要申込・応募多数の場合は抽選)
参加費:1000円(本展招待券つき)

ご参加希望の方は、九州芸文館のHPよりお願いいたします↓
http://www.kyushu-geibun.jp/main/4554.html


9/22(日) そうだ 江戸、行こう。【大山詣り編】

“浮世絵に描かれた街並みは、今、どのような光景になっているのでしょうか?”

浮世絵を手掛かりに、街をぶらぶら歩きながら、
江戸時代にタイムスリップする・・・気持ちになれるツアーです。
講師の太田記念美術館の渡邉晃学芸員とともに、
浮世絵に描かれた場所に実際に赴き、現在の光景と見比べてみましょう!

さてさて、今回のテーマは、『大山詣り』 です。
神奈川県伊勢原市にある霊山・大山。
江戸の町から2、3日の距離にあり、気軽に参拝できることから、
江戸の庶民や歌舞役者たちに、絶好の行楽地として愛されました。
ちなみに、江戸時代のピーク時には、年間20万の人々が来山したのだそう。
それゆえに、大山詣りを描いた浮世絵も、実にたくさん存在しているのだとか。
今回のツアーでは、それらの浮世絵を頼りに、
江戸随一の観光スポット・大山を、たっぷりと散策いたします!
令和元年の大山詣り。
どうぞご期待くださいませ♪

時間:13時~17時半 (集合は伊勢原駅となります)
定員:12名
参加費:2000円
(注:おかげさまで、“そうだ 江戸、行こう。” 企画は特に人気が集中しております。
 そこで、“そうだ 江戸、行こう。” に初参加の方、
 もしくは今年5月以降に、“そうだ 江戸、行こう。” 以外のアートツアーにご参加頂いた方のみの受付とさせて頂いております。
 何卒ご了承くださいませm(__)m)


ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


9/23(月・祝) コートールド美術館展へ行こう!

美術は、いろんな人と感想を共有することで、より楽しいものとなります。
一人で美術展を訪れても、もちろん楽しめますが、
みんなで同じ美術展を鑑賞すれば、もっともっと楽しくなるものです!

さてさて、今回みんなで訪れるのは、
この秋、東京都美術館で開催される “コートールド美術館展 魅惑の印象派” です。

コートールド美術館??
その名前にピンとこない方が大半だとは思いますが、
ゴッホの 《花咲く桃の木々》、ルノワールの 《桟敷席》、セザンヌの 《カード遊びをする人々》
そして、マネの代表作中の代表作 《フォリー=ベルジェールのバー》 などなど、
一度は目にしたことがある名画を多く所蔵しているロンドンの美術館です。
今展では、上に挙げた名画を含む選りすぐりの約60点が出展されています!

コートールド美術館って知らないから、パスでいいや。
・・・・・なんて言って、見逃してしまうと、のちのち絶対に後悔する展覧会ですよ。

展覧会を鑑賞したあとは、近くのカフェでまったりいたしましょう♪
図録を持参しますので、展覧会の感想などを中心に楽しくワイワイ話せたらと思っております。
もちろん美術の知識は不要!
美術マニアの集いではないので、どなた様も気軽な気持ちで遊びにいらしてくださいませ。

時間:13時~16時半
定員:12名
参加費:1500円 (展覧会鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


10/12(土) みんなの大東京建築ツアー【築地の・・・今 編】

世界中の建築ファンが憧れる街・東京。

この街には、たくさんの名建築が存在しています。
そんな東京で生活をしていながら、建築に興味が無いなんて。
何ともったいないことでしょう!

「・・・・でも、“建築”って何をどう観たらいいの?? 」

そんな皆様にお送りするのが、みんなの大東京建築ツアー。
実際に東京の街をぶらぶらしながら名建築を巡り、
進行役の僕と講師の建築家が掛け合いをしながら、その魅力をたっぷりお伝えするツアーです。

世界最大級の魚市場を有し、83年にわたって、「日本の台所」 として親しまれてきた築地。
しかし、昨年、市場が豊洲に移転して以来、
すっかり足が遠のいている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、そんな築地をあえてフィーチャー!
築地の顔ともいうべき名建築から、
築地の新たな人気スポットや間もなく取り壊されそうな昭和の名建築などを巡ります。
さらに、せっかくなので、築地場外市場も訪れましょう♪
皆さまのご参加を心よりお待ちしております!

時間:13時~17時半
定員:15名
参加費:1500円

ご参加希望の方は、みんなの大東京建築ツアーの公式HPからお願いいたします↓
https://arc-tour.org/


10/13(日) バスキア展へ行こう!

美術は、いろんな人と感想を共有することで、より楽しいものとなります。
一人で美術展を訪れても、もちろん楽しめますが、
みんなで同じ美術展を鑑賞すれば、もっともっと楽しくなるものです!

さてさて、今回みんなで訪れるのは、
この秋、大注目の展覧会 “バスキア展 メイド・イン・ジャパン” です。

今何かと話題のジャン=ミシェル・バスキア。
その日本初となる本格的な回顧展にして、
世界各地から約130点の絵画やオブジェが集結する最大規模の展覧会です。
展覧会の目玉は、やはり何と言っても、
今何かと話題の前澤さんが約123億円で落札したバスキア作品。
究極の個人蔵作品を目にすることができる貴重な機会です。

展覧会を鑑賞したあとは、近くのカフェでまったりいたしましょう♪
図録を持参しますので、展覧会の感想などを中心に楽しくワイワイ話せたらと思っております。
もちろん美術の知識は不要!
美術マニアの集いではないので、どなた様も気軽な気持ちで遊びにいらしてくださいませ。

時間:12時半~15時半
定員:12名
参加費:2000円 (展覧会鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


いずれのツアーも、皆様のご参加を心よりお待ちしております!!

新・無料で観れる 美術百選 《名古屋大学東山キャンパス(愛知県名古屋市)》

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野依良治さんや小林誠さん、益川敏英さん、下村脩さん、
最近では、赤崎勇さんと天野浩さんと、ノーベル賞受賞者を6人も輩出している名古屋大学。




その東山キャンパスの一角に、
「ナニコレ!?」 と思わず口をついてしまうアートな光景があるのだとか。
その作品が設置されているのは、全学教育棟。




見た感じ、普通の建物です。
「ナニコレ!?」 の 「ナ」 の字も口をつきません。
しばらく、周囲を歩いていると、建物の一部に何やら赤い落書きのようなものを発見。




さらに進むと、またもや赤い落書きが!
しかも、その量は尋常ではありません。





さらには、木を支える支柱やモニュメントなど、建物以外にもその被害が及んでいます。




名古屋大学は今、かなり荒れているのかもしれません。
おそらく、ヤンキーが多数いるのでしょう。
その疑いが確信に変わったのは、こちらの落書きです。




日章旗?!

カツアゲされたら、どうしよう・・・??
不安は募ります。

なるべく名古屋大学の学生たちと目を合わさないように。

そう思い、目線を下げて歩いていたのですが、
ふと、ある地点で目を上げた瞬間、自然と自分の口から、「ナニコレ!?」 が飛び出しました。







新・無料で観れる 美術百選 090  
フェリチェ・ヴァリーニ 《20の点と10の直線》



作者は、フェリチェ・ヴァリーニ。
スイス生まれ、フランス在住の現代アーティストです。
ある特定の位置から見た時にだけ、建物の内や外の壁に描かれた幾何学模様が現れる。
そんな作品を世界中で制作している人物です。


落書きではなく、立派なアート作品でした。
名古屋大学の皆さま、ヤンキーの存在を疑ってしまって申し訳ありません。


<無料で観れる美術 データ>

名古屋大学 東山キャンパス

住所:愛知県名古屋市千種区不老町1
アクセス:○地下鉄名城線 「名古屋大学駅」 下車すぐ




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対決!アジアの肉体派

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福岡市博多区にある大型商業施設・博多リバレインモール。
その7階・8階に位置するのが、福岡アジア美術館です。通称、アジ美。
日本で・・・いや、世界でも唯一の 「アジア美術」 を専門とする美術館です。




今年でちょうど開館20周年。
そのコレクション数は、約3000点を数えます。
現在は、ちょうどコレクション展が開催中。
出展作家の中には、火薬を用いたアート作品でお馴染みの蔡國強 (さい こっきょう) や、




2012年に森美術館で大々的な個展が開催された韓国の女性芸術家イ・ブル、




出身のシンガポールのみならず、東南アジアの現代美術を牽引してきた美術作家タン・ダウなど、




アジア各国を代表する現代アーティストたちも、もちろん名を連ねていますが。
そこは、さすが世界唯一のアジア美術専門美術館。
初めてその名を知るアジアの現代アーティストの作品が数多く紹介されていました。
特に印象的だったのは、シュ・ビン (徐冰)《析世鑑 解字卷一》





一見すると、何の変哲もない中国の古文書です。
登場するどの漢字も、義務教育で習った記憶がないため、
《析世鑑 解字卷一》 の文字は難しすぎて、読めないっ!」
と、手にしていたものをブチまけそうになりましたが、
実は、この中に登場する漢字は、すべて “偽漢字” とのこと。
まず作者は、世の中には存在しない “偽漢字” をいくつも生み出し、
そして、膨大な時間と労力をかけ、一つひとつの “偽漢字” を版木に彫ったのだそうです。
漢字圏である日本人には、それなりに面白く感じられますが、
漢字に馴染みのない欧米の人々にとっては、いまいちピンとこないはず。
コスパが相当悪い作品です。

また、作者不明のこちらの作品も印象的な一枚。




とりあえずは、広東で制作されていることはわかっているのだとか。
しかし、広東は暖かな地域で、雪は降らないのだそうです。
ということは、おそらく作者は他の人が描いた絵画と想像だけで、この絵を制作したことになります。
なるほど。どうりで不思議な違和感を覚えるはずです。
画中の人物がもう少し着込んでいるほうが、リアリティがあるような。


さてさて、開催中のコレクション展は、3本立てだったのですが。




とりわけインパクトがあったのは、“対決!アジアの肉体派”




こちらは、筋骨隆々からムチムチまで、
さまざまな肉体派アートを紹介した展覧会です。
なお、『筋肉体操』 ブームに乗っかって開催されているのかと思いきや、
福岡も会場地の一つであるラグビーワールドカップ2019にちなんだものとのこと。
出展作品には、ラグビーのラの字も感じられませんでしたが、
そんな強引さも含めて、“肉体派” な展覧会という印象を受けました。
星


さてさて、トップバッターを飾っていたのは、
タイのタゥイーサック・シートンディーの 《力》 という一枚。




間違いなく、あのキャラクターをモチーフにしているのでしょうが。
腹筋と胸筋がとんでもないことになっています。
シックスパックを越えて、テンパック。
超人です。

個人的にツボだったのは、中国のプロパガンダ・ポスター。
中華人民共和国の建国後、共和党の政治的スローガンを、
民衆に分かりやすく伝えるため、政府主導で制作されたポスターの数々です。




「健全な国家を目指すからには、国民も健全な体型に。」




そういうことなのでしょうか?
因果関係は不明ですが、描かれている人物は皆一様に、良い身体をしていました。
ただ、どうしても気になってしまったのが、こちらのポスター。




描かれているのは、明らかに中国人ではありません。
「欧米かっ!」 とツッコまざるを得ないポスターです。

ポスターと言えば、バングラディシュ (当時は英領インド) の映画ポスターもツボでした。





中でも気になったのが、こちらの映画ポスターです。




映画のタイトルは、『これも人生』。
飛び降りたり、銃を構えたり、
ガスバーナーみたいなのを手にしたり、女性に関節技を決められたり。
まさに、これも人生。
駄作の匂いしかしないですが、それでも観てみたくなります。
それも人生。

ちなみに、その向かいには、
パキスタンの映画ポスターも展示されていました。




映画のタイトルは、『鞭をもつ女』 とのこと。
・・・・・・・いや、鞭を持つだけかーい!!
鞭で戦う女であれ。


最後に、今回もっともインパクトがあった作品をご紹介。
ラヴィンダル・レッディなるインドを代表する彫刻家の作品です。




タイトルは、ズバリ 《胸を持ち上げる女》
キャプションには、このようにありました。
「おおらかで通俗的でありながらも、
どこか冒しがたい神聖な母性も兼ねそなえている。」
・・・・・・・・神聖なのか??
美術館というより、秘宝館にありそうな作品なのに。




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奇才 ダリの版画展

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博多駅から九州新幹線で3駅。
筑後船小屋駅の目と鼻の先に、
シルバーに光り輝く、メカニカルで巨大な建物があります。




その名も、九州芸文館。




九州 “文芸” 館ではなく、九州 “芸文” 館。
2013年にオープンしたばかりの福岡県が運営する化複合施設です。

ちなみに、建物の設計に協力したのは、今を時めく建築家、隈研吾さん。




根津美術館やサントリー美術館、富山市ガラス美術館をはじめ、
隈さんが設計したミュージアムは、これまで数多く訪れていますが。
どのミュージアムも、良くも悪くも、ワンアイディア勝負な印象があります。
しかし、打って変わって九州芸文館は・・・





これでもかというくらいに、さまざまな要素が盛り込まれていました。
なるほど、芸術文化 “複合施設” といった印象です。

ちなみに。
九州芸文館の建物のすぐ目の前に、謎の何やら石製の馬が埋まっていました。




こちらは、博多人形づくりの名工・中村信喬さんが、
八女の岩戸山古墳から出土した石馬からインスピレーションを得て制作した作品とのこと。
なかなかシュールな作品です。


さて、シュールと言えば、現在、九州芸文館では、
“奇才 ダリの版画展” という展覧会が開催されています。




出展作品は一切掲載されておらず、
ダリの顔写真だけが、ドーンと掲載されている。
超、不可思議な展覧会ポスターです (笑)
と、それはさておき、絵画や彫刻、オブジェなどのイメージが強いダリですが、
意外にも、後半生では版画も多く手掛けており、生涯で約1600点もの版画作品を残しています。
そんなダリの版画をフィーチャーしたのが、こちらの展覧会。
約200点のダリの版画作品が、展示室の壁一面に飾られています。


(注:会場は撮影禁止です。記事に使用している画像は、九州芸文館より特別に提供して頂いたものです)


見どころは何と言っても、展覧会の冒頭を飾る 《ダンテ『神曲』》
全100点からなる超大作です。




1950年、イタリア政府からダリのもとに、
ダンテの生誕700年を記念して発行する出版物の挿絵のオファーが舞い込みます。
あまりの大仕事に気合いを入れて水彩画を制作するも、
なんやかんやあって、発行計画は中断してしまいました。
そんな一旦ボツになりかけた水彩原画をもとに、
パリのとある出版社が出版したのが、版画作品集 《ダンテ『神曲』》 なのです。
キャプションがあるおかげで、『神曲』 の一場面であろうことは、うっすら理解できましたが。
キャプションがなかったら、ただのダリ作品 (←?)。
溶ける時計や蟻、卵、引き出しといった、
ダリの世界でおなじみのモチーフがガンガン登場します。
さすがは、ダリ。
ダンテの文学世界に寄せる気は、ほぼほぼ感じられませんでした (笑)

さてさて、そんな謎多きダリの版画の世界。
じーっと観ていると、頭の中がこんがらがってしまいそうになりますが、
それを絶妙にほぐしてくれるのが、会場内のあちこちに貼ってあるパネルです。




完成度の高さにはムラがありましたが、
ほぼすべてのパネルの中に、ダジャレが織り込まれていました (笑)
こちらのパネルを制作した人もまた奇才です。
星


ちなみに。
この展覧会の関連トークイベントとして、




つい先日、『ダリトーーク』 を行ってきました。




本人的に一番頑張ったのは、パロディのロゴの作成。
あの騒動のせいで、本家が終了してなくて本当に良かったです (笑)




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北斎没後170年記念 茂木本家美術館の北斎名品展

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現在、両国にあるすみだ北斎美術館では、
“北斎没後170年記念 茂木本家美術館の北斎名品展” という展覧会が開催されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


茂木本家美術館。通称、MOMOA (モモア)。
桃屋・・・ではなく、キッコーマン創業家の一つである茂木本家、
その12代当主茂木七左衞門氏が収集した美術品を展示公開する千葉県野田市にある美術館です。
近世から現代まで、日本の美術を幅広く揃えていますが、中でも見逃せないのが浮世絵コレクション。
そのうちの北斎作品&北斎の門人たちの作品が、
今回、すみだ北斎美術館にて、初めてまとまった形で公開されています。
星


さてさて、展覧会の冒頭を飾るのは、
北斎の代表作中の代表作 「冨嶽三十六景」 シリーズです。




前後期通じて、シリーズ46図すべてが一挙大公開されています。
ん?冨嶽 “三十六” 景なのに、46図??
そう疑問に思われた方もいらっしゃることでしょう。
実は、シリーズがヒットしたため、36図販売されたのちに、10図が追加されたのです。
いつの時代も人気作品は、続編が作られるものなのですね。
こちらの 《冨嶽三十六景 本所立川》 もそのうちの1つです。




ただ、これまたいつの時代にも通じますが、
続編が本編の人気を上回るということは、そうありません。
《冨嶽三十六景 本所立川》 もご多分に漏れず、
あまり売れなかったのでしょうか、現存している数が少ないのだそう。
ましてや、状態の良いものは極めてレアなのだそうです。

しかし、茂木本家美術館は、これ以上にレアな 「冨嶽三十六景」 シリーズ作品も所有しています。
それは、《冨嶽三十六景 凱風快晴(藍摺版)》
通称、『青富士』 です。


葛飾北斎 《冨嶽三十六景 凱風快晴(藍摺版)》 茂木本家美術館蔵 (注:展示は、9/10~10/6)


・・・・・・・・いや、『青富士』 って。富士山は、普通青いでしょ?!
実は、こちらの 『青富士』 は、「冨嶽三十六景」 シリーズでも特に人気の高い・・・




《冨嶽三十六景 凱風快晴》、通称 『赤富士』 の別ver.なのです。
『赤富士』 に対しての 『青富士』。
なんだか一周回って戻ってきた感じです。
ちなみに、現時点で世界で確認されているのは、わずか6点のみ。
そんな超希少な 『青富士』 が、今展に出展されています。




まさに、“激レアさんを連れてきた。” といったところ。
茂木本家美術館でも常設されてはいないので、是非この機会をお見逃しなく!
星星


ちなみに、「冨嶽三十六景」 シリーズの中で、
個人的に気になったのは、《冨嶽三十六景 諸人登山》
富士山がある光景ではなく、富士山での光景を描いたシリーズでも異色の1枚です。




画面内には、富士登山をする人々が多数描かれています。
気になったのは、画面左の人物たち。




揃いも揃って、落ち武者みたいな髪型になっていました。
やはり富士登山はキツいので、いつのまにか髷が緩んでしまったのでしょうか。
もしくは、皆さま休憩中のご様子。
サラリーマンがネクタイを外すように、髷を自ら緩めたのかもしれませんね。


さてさて、展覧会には、「冨嶽三十六景」 シリーズ以外にも、
日本各地のさまざまな滝を描いた 「諸国瀧廻り」 シリーズや、




日本各地の珍しい橋を描いた 「諸国名橋奇覧」 シリーズなども紹介されています。




さらに、昇亭北寿や魚屋北溪など、師匠である北斎が偉大過ぎて、
たけし軍団ばりに印象が薄れがちな北斎の弟子たちの作品も展示されていました。




そんな弟子たちの作品の中で、
特に印象に残ったのが、魚屋北溪の 《坂田金時と鬼》 という一枚です。




描かれているのは、鬼と坂田金時。
あの金太郎が大人になった姿です。
ただ、パッと見、どっちも鬼のよう。
いや、もはや坂田金時は、進撃の巨人のようです。


ちなみに。
茂木本家美術館コレクションには、北斎に関するちょっと変わった作品も。





その名も、《画狂老人卍(北斎)》
「せんとくん」 の生みの親として、お馴染みの彫刻家・籔内佐斗司さんによる北斎像です。
ガラスケースに上手いこと、自分の姿が反射するので、
作品の正面に立ち、顔の位置をピンポイントに合わせれば、自分の顔が北斎の顔に大変身!
そんなある意味で、貴重な体験ができます。


┃会期:2019年9月10日(火)~11月4日(月・振替休日)
 ┃会場:すみだ北斎美術館
 ┃
https://hokusai-museum.jp/mogihonke

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “茂木本家美術館の北斎名品展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、9月18日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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新・無料で観れる 美術百選 《日本特殊陶業市民会館(愛知県名古屋市)》

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名古屋市の金山駅に隣接する名古屋市民会館。




その愛称に関しては、2007年より、
命名権 (ネーミングライツ) が導入されたそうで。
同年には 「中京大学文化市民会館」 に、
2012年からは 「日本特殊陶業市民会館」 という愛称で呼ばれているそうです。

そんな日本特殊陶業市民会館の1階ロビーには、
おそらく、たまたまなのでしょうが、20世紀を代表する陶芸家の作品があります。
その陶芸家の名は、加藤唐九郎。
いわゆる永仁の壺事件 (※) を起こしたせいで、
人間国宝の中で唯一取り消しを喰らったことでも知られる人物です。

 永仁の壺事件とは?
  昭和34年。『永仁二年』 の銘をもつ瓶子が、鎌倉時代の名品として重要文化財に指定される。
  しかし、その直後から、ニセモノなのではないかという声が一部であがっていたのだそう。
  疑念はくすぶり続け、2年後に事態は急展開を迎える。
  当時人間国宝であった陶芸界の重鎮・加藤唐九郎が、
  「あの瓶子は、正真正銘、私が昭和12年ごろに制作したものだ」 とカミングアウトしたのである。
  これにより、重文指定を推薦していた文部技官は引責辞任。
  加藤唐九郎も人間国宝を解除されることとなった。
  日本美術史に残る “加藤の乱” である。



そんな加藤唐九郎による作品が、こちら↓




この壁一面が、なんと陶芸作品です。
陶芸と建築の融合を目指した加藤唐九郎。
彼は自身で “陶壁” と命名したこのような作品を、いくつか制作しているようです。




新・無料で観れる 美術百選 091  加藤唐九郎 《蓬ヶ原》


大きさはもちろん、表面の荒々しさも加わって、実にダイナミックな作品です。
・・・・・・・が、そんな作品の印象とは対照的に、キャプションは超控えめ。




定礎の文字よりも小さかったです。
《蓬ヶ原》 が制作されたのは、昭和47年。
永仁の壺事件の後です。
どうやら日本は一度罪を犯した人に厳しい国なのかもしれません。


ちなみに、日本特殊陶業市民会館の外観を飾る志野の陶壁。




実は、これらも加藤唐九郎の作なのだそうです。
しかし、探せども探せども、キャプションは見つからず。

・・・・・・・・・・・・。

やはり日本は一度罪を犯した人に厳しい国なのかもしれません。


<無料で観れる美術 データ>

日本特殊陶業市民会館

住所:愛知県名古屋市中区金山1-5-1
アクセス:○JR、名鉄、名古屋市営地下鉄 「金山駅」 より徒歩5分




この美術室を盛り上げるワンクリックも、無料で出来てしまいます↓
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竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション

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今、日本を代表するクールな工芸品として、
世界中から熱い注目を集めているのが、竹工芸です。
2017年には、あのメトロポリタン美術館で、
NY在住のアビー夫妻が収集した世界屈指の竹工芸コレクション、
通称アビー・コレクションを紹介する展覧会が開催され、47万人以上を動員したそう。
竹工芸は今、まさに破竹の勢いで世界的なムーブメントとなっているのです。

そんなメトロポリタン美術館で大きな話題となった展覧会、
“Japanese Bamboo Art: The Abbey Collection” が、なんと東京国立近代美術館工芸館に凱旋中。
その名も、“竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション―メトロポリタン美術館所蔵 です。




ちなみに、東京国立近代美術館工芸館は、
来年に金沢へ移転することが決定しています。
つまり、この展覧会が、東京でのラストを飾る企画展です。


出展されている竹工芸品は、75点。
アビー・コレクションの中から厳選された名品ばかりが、初の里帰りを果たしています。





生野祥雲斎や初代田辺竹雲斎、飯塚琅玕斎らといった人間国宝の作品もあれば、




現在第一線で活躍するトップランナーたちの作品も。




竹工芸界を代表する作家が揃い踏み。
言うなれば、竹工芸界のFNS歌謡祭のような展覧会です。
さらに、今回は、東京ver.として、
東京国立近代美術館工芸館のコレクションと併せて展示されています。





思わずハッとさせられたり、ニヤッとさせられたり。
そんな意外なコラボレーションも楽しめる内容となっていました。
さすが、竹工芸界のFNS歌謡祭です。
星星


さてさて、今回出展されていた竹工芸作品のすべてに言えるのですが。




作品をどれだけマジマジと見つめても、
何がどうなって、何をどうしたら、このような造形が完成するのか、まったく想像がつきません。
もはや手品を見させられているような心境になります。

阪口宗雲斎の 《果物籃 水月》 は、特に理解不能 (←誉め言葉です!) な作品。




両側に節があるので、おそらく節と節の間を細かく裂いているのでしょう。
で、そこに織物の要領で、別の竹を織り込んで模様を作っている・・・・・はず。
僕の頭では、それ以上何もわかりません。
超絶的な技巧を駆使して、作品を完成させてしまったことも驚きですが、
そもそも、こうしたらこういう作品が作れると、発想できること自体が驚きです。
竹工芸の作家のIQは、どうなっているのでしょうか??


ちなみに、どの作品も印象的だったのですが、
今回の展覧会を通じて、何よりも印象的だったのは、竹工芸作家の名前。
田辺竹雲斎、前田竹房斎、山本竹龍斎、植松竹邑さん、藤塚竹星さん… etc
「竹」 が付く人が多かったです。
さらに、「竹」 の一字ではなくても、
門田二篁、塩月寿籃、末村笙文、岐部笙芳さんのように、竹冠の漢字が付いたパターンも。
竹工芸作家は、やっぱり竹が好きなのかもしれません。




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士 サムライ―天下太平を支えた人びと―

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現在、江戸東京博物館で開催されているのは、
“士 サムライ―天下太平を支えた人びと―” という展覧会。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


本名、大山敦士。
武士の 『士』 の一字を名付けられた身としては、行かないわけにいかない展覧会です。


さてさて、展覧会で焦点が当てられているのは、
鎌倉時代でも戦国時代でもなく、江戸時代のサムライ。
戦乱の世が終わった江戸時代、サムライたちは一体どのような生活をしていたのでしょうか?
知ってるようで知らない江戸時代のサムライの日常を紹介するものです。




展覧会で紹介されている歴史資料は、約200点。
マイナーな武士の家に伝来した所要品もあれば、




勝海舟のようなビッグネームにまつわる展示品も数多く出展されていました。




こちらの火鉢や孔雀石も、ある有名なサムライにまつわる展示品です。




そのサムライの名は、大岡忠相。
『大岡裁き』 で知られる江戸時代の名奉行です。
ちなみに、もはやトングのようにも見える大きな毛抜も大岡忠相の所用品。
大岡忠相は採決を行う時、髭を抜きながら思考したと伝えられているのだそうです。

意外なところでは、歌川広重の所用品の数々も紹介されていました。




江戸を代表する浮世絵師として知られる広重ですが、
実は、幕府定火消同心の家に生まれた、れっきとしたサムライです。
展覧会では、晩年に所持していたという骨製の脇差も展示されていました。
サムライとしての広重の一面が垣間見える貴重な機会です。
星


さてさて、戦がほとんど無かったこの時代、
サムライたちの最も重要な任務だったのが、災害対応。
家事が発生すれば、火消しの統率にあたり、
河川の氾濫や浸水が発生すれば、現場に急行し、復興に尽力したそうです。
こちらは、対馬藩宗家に伝来する火事装束。




江戸時代のサムライは、天災と戦っていたのですね。
とはいっても、もちろん来たるべき戦に備えて、
戦国時代までのサムライ同様、日々の鍛錬は怠っていなかった模様。
特筆すべきは、刀だけでなく鉄砲の鍛錬も行っていたことです。


《調練足並略図》 安政年間 国立歴史民俗博物館蔵


懐かしのスーファミのゲーム 『レミングス』 をどこか彷彿とさせるものがありますが。
こちらは、幕末の銃隊調練の様子を描いたもの。
よく見ると、全員腰にはちゃんと2本の刀を差しています。
刀も装備して、銃も装備して。
幕末のサムライは大変だったのですね。

ちなみに。
鉄砲関連として、幕末期の青銅製の大砲も特別に展示されていました。




こちらの大砲は、明治維新後、皇居内に設置されたそう。
そして、正午を知らせる時報として、
毎日空砲を一発ずつ発射していたのだそうです。
お昼12時になるたびに、東京に大砲の音が響き渡っていただなんて。
今日の今日まで知りませんでした。


展覧会では、さまざまな資料が紹介されていましたが、
やはり印象に残っているのは、サムライたちを映した写真です。


フェリーチェ・ベアト 《薩摩藩の役人》 1863~1870年頃 個人蔵


当たり前ですが、本物のサムライを見たことがないため、
結局のところ、どこかファンタジーのような存在でしかありませんが。
写真として像が残っているサムライの姿を目にすると、
日本にかつてサムライと呼ばれた人々がいたことを実感せざるを得ませんでした。
個人的に一番印象に残っているのは、《役人と従者》 (画面手前) という一枚。




センターのサムライだけ、がっつりカメラ目線。
しかも、口元がややほころんでいます。
写真に写るのが嬉し過ぎて、どうしても我慢できなかったのでしょう。
サムライもまた普通の人間だったのですね。


最後に、もう一つ個人的に印象に残った展示品をご紹介。
大奥の警備や監察を務めたとあるサムライに、皇后和宮が下賜したとされる御所人形です。




顔が、レイザーラモンRGそっくり。
髪型もなんか雑なことになっていて、
細川たかしの真似をするレイザーラモンRGみたいなことになっています。
もし、皇后和宮から下賜されたものでなかったら、
おそらく現代まで残されることはなかったでしょう。




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描く、そして現れる―画家が彫刻を作るとき

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現在、DIC川村記念美術館で開催されているのは、
“描く、そして現れる―画家が彫刻を作るとき” という展覧会。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


20世紀の前衛画家たちが制作した彫刻作品、
つまり平面ではなく立体作品にスポットを当てた展覧会です。
画家が彫刻を作るイメージはあまり無いかもしれませんが。
実は、ルネサンス時代まで遡れば、ミケランジェロを筆頭に、
画家でもあり彫刻家でもある芸術家はたくさん存在していました。
その後、分業化が進み、画家は平面作品を、
彫刻家は立体作品を、と棲み分けられるようになりますが。
写真が誕生する印象派の時代あたりから、
ルノワールやドガなど、また画家が立体作品を制作するようになります。
そして、20世紀に突入すると、その傾向はますます強まっていくのです。

なぜ、彼らは画家なのに立体作品を制作するのか?
果たして、彼らの立体作品と絵画作品には、何か関係があるのか?

それらを検証しようというのが、今回の展覧会。
会場には、ピカソやマグリット、草間彌生といった、
20世紀を代表する前衛画家25名の平面作品と立体作品が並べて展示されています。





展覧会の第1章では、『絵画の実験から彫刻へ』 と題し、
ピカソやマグリット、ミロといった画家たちの作品が紹介されていました。
この章で何より感じたのは、
画家として偉大であればあるほど、立体作品がそこまで得意ではないということ。




自立させるために、少しでも重さを減らすべく、内部が妙な具合にくり抜かれていたり。
そもそも、自立させることに興味がないのか、支柱のようなもので支えられていたり。
岡本太郎の立体作品に関しては・・・




床にそのまま寝かせられて (?) いました。
どう見たって立てる気がしません。

改めて考えてみると、彫刻家や建築家など、立体を制作している芸術家は、
まずは、デッサンやスケッチ、図面など平面を制作するところから始めます。
しかし、画家の場合、先に立体を作って、
それから平面を制作するということは、まずありえません。
なるほど。画家が立体を作るのが得意ではないはずです。
短距離走と長距離走の選手が使っている筋肉がそれぞれ違うように、
画家と彫刻家では使っている芸術家筋肉 (?) が違うということを実感させられました。


続く第2章では、『反絵画としてのオブジェ、あるいは彫刻』 と題し、
そもそも絵画に疑問を抱き、「絵画って何かね?」 と考えたタイプの画家の作品が紹介されています。
例えば、画面中央に見えるのは、高松次郎の 《布の弛み》 という作品。




床に直置きされているのは、正方形の帆布。
つまり、絵が描かれていないカンヴァスです。
よく見ると、布のセンターが弛んで、少し立体的になっています。
実は、そうなるように計算して、複数の布を縫合している作品なのだとか。
平面作品に欠かせないカンヴァスが立体作品に。
考えてみると、面白いような気がしないでもない作品です。

また例えば、画面中央のアクリルケースに入っている筒状の作品。




こちらは、イタリアの芸術家ピエロ・マンゾーニによる 《5.1メートルの線》 という作品です。
マンゾーニは、長いロール紙に、1本の黒い線を引きました。
その長さ、実に5.1メートル。
そんな長い黒い線が引かれたロール紙をくるくる丸め、筒へと入れます。
果たして、それは平面作品なのでしょうか?それとも立体作品なのでしょうか?
これもまた、そう考えてみると、面白いような気がしないでもない作品です。


・・・・・と、第2章では、このように頭を使って鑑賞する作品が続々登場。
そして、その流れは、第3章、第4章にも引き継がれていきます。




第4章の 『絵画の向こう側:映像と空間』 にいたっては、
正直なところ、“ちょっと何言ってるかわからない” 状態。。。
脳みそをフル回転させすぎたため、危うく向こう側の世界へと行ってしまうところでした。


今回の展覧会を通じて、平面と立体とは何なのか、
むしろその根本のところから、よくわからなくなってしまった気がします (笑)
ただ、答えを教えてもらうことよりも、考えることに意義があるのです。
たまには、このように “自分が頭脳を使うとき” を設けるのも悪くないのかもしれません。
星


ちなみに。
DIC川村記念美術館の魅力の一つと言えば、自然豊かな庭園。
オーバーヒートしてしまった脳をリフレッシュさせようと、
庭園へと向かって歩みを進めたところ、こんな張り紙がしてありました。




先日の台風の影響が、DIC川村記念美術館にも。
台風が直撃した日から約2週間が経ちますが、
地元の千葉は、まだまだ大変なことになっています。
がんばれ千葉県!




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TT美術

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今、世の中にある 「T」 を探すTT兄弟 (=チョコレートプラネット) がブレイクしています。
ということで、今回は、美術界にある 「T」 を探してみました。

美術界でもっともよく登場する 「T」 といえば、こちら↓




そう、イエス・キリス (ティ) の磔刑図です。
救世主であるイエスが、磔にされ (ティ)
処刑され (ティ) しまう場面を表し (ティ) いるものであり、
キリス (ティ) 教の中でも、もっとも重要なシーンといっ (ティ) も過言ではありません。

続い (ティ) 見つけた 「T」 は、こちら。




処刑され (ティ) から40日後、
キリス (ティ) は、見ごとに復活を果たします。
きっと、それゆえの (?)、全力の のポーズ!


そんなキリス (ティ) のDNAを受け継いだ、
キリス (ティ) 教公認のある聖人の のポーズがこちら。




これ以上ないくらいに完璧な ポーズを決め (ティ) いるのは、
13世紀ごろに生きたベルギー出身のクリス (ティー) ナという女性です。
彼女は20歳頃に発作で死んでしまうものの、葬儀中に復活したのだとか。
復活すると、やはり全力で ポーズを決めたくなるのでしょう。


「T」 といえば、「万能の (ティ) ん才」 こと、
レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた、この有名な一枚を忘れ (ティ) はいけません。




《ウィトルウィウス (ティ) き人 (ティー) 図 》 (=ウィトルウィウス的人体図) です。
古代ローマ時代の建 (ティ) く家・ウィトルウィウス。
彼が書いた 『建 (ティ) くについて』 の記述をもとに、
レオナルド・ダ・ヴィンチが、1485~1490年頃に描いたとされるドローイングです。
真顔での のポーズ。


続い (ティ) 紹介するのは、
ラファエル前派の女流画家イーヴリン・ド・モーガンによる 《S.O.S.》 です。




GLAYのERUばりに両 (ティ) を広げ、 (ティ)んを仰ぐ一人の女性。
よく見れば、尋常でない数のモンスターに囲まれ (ティ) います。
何でこうなったし!
S.O.S.中のS.O.S.です。


ところで、日本美術には 「T」 は無いのでしょうか?
懸命に探し (ティ) みた結果、縄文時代の 「T」 に辿り着きました。




こちらは長野県の井戸尻遺跡群で発掘された土偶です。
2015年に重要文化財に指 (テイ) されているとのこと。
TT兄弟がブレイクするよりも先に、こちらの土偶のが日の目を見 (ティ) いたのですね。


最後に紹介する 「T」 は、世界一有名な 「T」




ルーブル美術館が誇る 《サモ (ティ) ラケのニケ》 です。
ヘレニズム期を代表する大理石彫刻で、
映画 『タイタニック』 のあのポーズの元ネタとしても知られ (ティ) います。
翼を使っ (ティ)
実に高度な (ティ) クニックです。


(ティ) (ティ)、他にも紹介したい 「T」 (ティ) はありますが。




今日はこのあたりで。
またの機会に皆様にご紹介できるのを楽しみにし (ティ) います。
TTT!TTTT!




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美しきいのち 日本・東洋の花鳥表現

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現在、根津美術館では、新創開館10周年記念して、
“美しきいのち 日本・東洋の花鳥表現” という企画展が開催されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


こちらは、根津美術館の所蔵品の中から厳選された、
花や鳥をモチーフにした作品の数々を紹介する展覧会です。




正直なところ、「花鳥」 というテーマ自体は、
王道も王道であるため、そこまで目新しさは感じませんでしたが。
そこはさすが、国宝7件重要文化財87件を含む約7500件のコレクションを誇る根津美術館。
質・量ともに、充実度の高い展覧会となっていました。

また、日本美術における花鳥表現だけでなく、
翼の硬い羽毛と胸元のフワフワした羽毛が、超絶的な筆遣いで描き分けられた国宝の 《鶉図》 や、


国宝 伝李安忠筆 《鶉図》 絹本着色 中国・南宋時代 12~13世紀 根津美術館蔵 (注:出展は9/7~10/6)


日本でも指折りの青銅鏡コレクションなど、




中国美術における花鳥表現も併せて紹介されているのは、特筆すべき点。
日本の花鳥画のルーツが辿れるような内容となっていました。
いかに日本が中国の文化に憧れ、その影響を受けてきたのかがわかる展覧会です。
星星


さてさて、今回出展されていた作品の中で、
特に印象的だったものを、いくつかご紹介いたしましょう。
まずは、《染付白鷺文皿》


《染付白鷺文皿》 施釉磁器 日本・江戸時代 17~18世紀 根津美術館蔵


シンプルに表現された白鷺が、なんとも微笑ましいお皿です。
何よりも、気になるのはその頭の羽。
いくらなんでも長すぎはしませんか?
逆リーゼント (?) 状態です。
よく見れば、3羽はそれぞれ別の方向を向いていますね。
可愛い顔して、意外とオラオラ系なのかもしれません。


続いては、室町時代後期の水墨画家・式部輝忠による 《花鳥図》 です。


式部輝忠 《花鳥図》 紙本墨画淡彩 日本・室町時代 16世紀 根津美術館蔵 (注:出展は9/7~10/6)


2枚1セットの作品。
その右側では、雛に餌を与える雀の姿が描かれていました。
いち早く、雛の元へ。
そんな母雀の必死さが如実に伝わってきます。




・・・・・が、さすがに必死すぎるような。
飛び方があり得ないことになっていました。
垂直落下。
シャチホコみたいなポーズになっています。


展覧会のラストで紹介されていたのは、円山四条派の絵画。
その中でも特に目を惹かれたのが、呉春の 《南天双鳩図》 です。


呉春筆 日野資枝・烏丸光祖賛 《南天双鳩図》 絹本着色 日本・江戸時代 18−19世紀 根津美術館蔵 (注:出展は9/7~10/6)


鳩が描かれた絵画は、数多く目にしていますが。
これほどまでにリアルに描かれたものは、意外とそうそう無いような気がします。
おそらく、その理由は色が地味だから。
写実的で素晴らしい絵なのですが、
あまりにリアルであるがゆえに、家に飾りたいかといえば・・・う~ん。
なるほど。リアルな鳩の絵が少ないわけです。


ちなみに、“美しきいのち” の会場は展示室1、2ですが、
茶道具のコレクションを展示する展示室6にも、見逃せない鳥がいました。


《染付水鳥文盃》 漳州窯系 1口 施釉磁器 中国・明時代 17世紀 根津美術館蔵


・・・・・・・たぶん鳥。
かろうじて鳥。




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柳宗悦と古丹波

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瀬戸、常滑、信楽、備前、越前と並んで、
中世から現在まで生産が続く代表的な6つの窯、いわゆる日本六古窯に数えられる丹波焼。
その丹波焼に美を見出し、いち早く正しい評価の光を当てたのが、日本民藝館の創始者・柳宗悦です。
彼は、丹波焼に関して、こんな言葉を残しています。

「最も日本らしき品、渋さの極みを語る品、貧しさの冨を示す品」

丹波焼に魅入られた柳は、その生涯で多くの丹波焼を、
それも、粗雑な品と思われていた丹波焼の日常の器を蒐集しました。
今展では、そんな丹波焼コレクションの中から選りすぐられた約100点と、
そのコレクションの形成に大きな影響を与えたという丹波篠山にある道具商・尚古堂、
その店主が開設した丹波古陶館の名品約50点も併せて展示されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


丹波焼コレクションの日本2トップ・・・、
いや、世界2トップが誇る名品の数々が惜しげもなく展示された展覧会。
まず間違いなく、丹波焼の展覧会としては、世界最高水準の内容でしょう。
星


さてさて、数ある丹波焼の名品の中で、
特に名品中の名品とされるのが、日本民藝館が所蔵する 《自然釉甕》




初期の丹波焼の特徴は、人工的な釉薬を使わないこと。
穴窯の中で長時間焼かれることによって、
器に燃えた薪の灰が降りかかり、原料となる土の中に含まれた鉄分と融け合います。
すると、鳶色や緑色に発色するのです。
これを、自然釉と呼ぶのだそう。
さて、日本民藝館所蔵の 《自然釉甕》 は、
さらにその表面に溶岩のようにゴツゴツボコボコしたものが見て取れます。
この正体は、窯で焼いている際に、薪木の灰が焼物の上に降りかかり、それが固まってしまったもの。
狙って作れるものではなく、まったくの偶然の産物です。
それゆえに、「灰被」 (はいかつぎ) と呼ばれ、珍重されているのだとか。
表面がゴツゴツボコボコしているよりも、ツルツルしているほうが美的な気がしますが。
確かに、改めて、《自然釉甕》 と向き合ってみると、何ともいえない渋さを感じました。
焼き物を鑑賞しているというよりは、
奇岩や鍾乳洞など、自然の景色を眺めている感覚に近いものがあります。

なお、こちらの 《自然釉甕》 は、鎌倉時代に作られたもの。
さすが、日本六 “古” 窯。
鎌倉時代にまで遡るなんて、そんなに歴史が古いのか!
・・・・・と驚いていたら、なんと平安時代末期に作られた丹波焼も展示されていました。




丹波焼の歴史の古さ、どんだけ。
焼き物としての歴史の深さもさることながら、
それだけの歴史を乗り越えて、今に伝わっていることに静かな感動を覚えました。

ちなみに、そんな長い歴史を持つ丹波焼。
江戸時代に入ると、登り窯が導入され、大量生産が可能に。
バリエーションも多種多様になります。




中には、絵付けが施されたものも。




こちらは、《白地鉄絵草花文蝋徳利》 という一品です。
草花文とはありますが、花は咲いておらず、まさかの蕾。
まったく華はありません。
せっかく絵付けがあっても、やはり渋い。
それが、丹波焼なのかもしれません。

個人的には、《魚文壺》 がツボでした。




丹波は山々と水田に囲まれたエリア。
おそらく絵付けした職人は、海で泳ぐ魚の姿を見たことがなかったのかも。
そんな魚の素朴さも愛らしいですが、
とってつけたように描かれた2本の波も愛らしかったです。

また、やはり丹波の職人さんは、魚介系が苦手だったのでしょう。
《筒描海老文皿》も、やはりユルい仕上がりとなっていました。




殻の感じとか、髭や脚の生え方の感じとか。
全体的に、なんとも雑いです。
なのに、目だけは妙にリアル。
懐かしのおもちゃ・モーラーみたいな目をしていました。


今回出展されている中で、もし1点もらえるとするならば、
迷わず選ぶのは、こちらの 《赤土部釉船徳利》 でしょうか。




徳利としては、大きすぎる感は否めませんが。
パッと見た瞬間に、頭に浮かんだのは、
「キレイ!」 でも 「美しい!」 でもなく、「美味そう!」。
美味しそうなブリの照り焼きを連想させる (←?)、
その艶やかな肌合いに、思わず唾を飲み込んでしまいました。


ちなみに、今展に特別協力している丹波古陶館は、なんと開館50周年を迎えるとのこと。
それを記念して、来年の5月から7月にかけて、
“丹波 —いきる力が美をつくる” という特別展が開催されるそうです。
来年そのタイミングで、兵庫県に行かれる予定の方は是非。




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住友財団修復助成30年記念「文化財よ、永遠に」

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この秋、住友家が蒐集した美術品を保存、展示する泉屋博古館分館では、
“住友財団修復助成30年記念「文化財よ、永遠に」” という展覧会が開催されています。




普段当たり前のように展示され、何気なく鑑賞している文化財。
しかし、それらは何もせず、ただ受け継がれてきたわけではありません。
その時代の修復や保存技術によって、
天災や人災による損傷や劣化などのピンチを何度もくぐり抜けてきたのです。
さてさて、泉屋博古館分館とも関連が深い公益財団法人住友財団は、
これまでに1000件 (!) を超える国内外の文化財修復事業に対し助成を行ってきました。
そして、再来年2021年には、創立30周年を迎えるそうです。
それを記念して開催されているのが、こちらの展覧会。
これまでに助成によって修復された文化財の数々が展示されています。




また、修復前はどのような状態だったのか、
具体的にどのようにして修復作業を行ったのか、
その辺りの詳細も、パネルで紹介されていました。




ちなみに、上のパネルで紹介されている木島櫻谷の 《かりくら》 という作品。
修復前の姿はご覧のように、汚れているわ、シミがあるわ、
ボロボロでヨレヨレだわ、目も当てられないような惨状でしたが・・・・・・・・




まぁなんということでしょう!

修復によって、もとの美しい姿を完璧に取り戻していました。
まさに劇的ビフォーアフターです。
これまで当たり前のように、何気なく鑑賞してきた文化財。
その裏側には修復してきた職人の皆さまがいらっしゃったことを、強く実感させられました。
これからは、もっと有難がって鑑賞したいと思います。


さてさて、記事の冒頭からずっと、『修復』 という言葉を使ってきましたが。
実は、現在、文化財が修復されることは、あまり無いのだそう。
正確には、『修復』 ではなく、『修理』 されているのだそうです。
『修復』 と 『修理』。
同じように感じられますが、意味合いは全然違います。
こちらの池大雅 《比叡山真景図》 をご覧ください。


池大雅 《比叡山真景図》 修理前 1762年 練馬区立美術館


こちらは、修理前の状態です。
左上には雨垂れのような水染みが、
全体的にも折れや汚れが、かなり目立っています。
そんな 《比叡山真景図》 を修理すると、こうなります。


池大雅 《比叡山真景図》 修理前 1762年 練馬区立美術館


確かに、左上にあったヒドい染みは無くなりましたし、
全体的にも折れや汚れがなく、だいぶすっきりした印象になっています。
ところが、完全にキレイさっぱりした状態に戻ったわけではありません。
もし、元の姿に戻そうとするのであれば、それは 『修復』。
しかし、長年伝えられてきた文化財は、その風合いの変化も含めて魅力的なもの。
そこは残しつつ、直すべきところだけを直し、
基本的には現状維持しようとするのが、『修理』 なのです。
『修復』 に比べて、『修理』 のほうが、文化財に対するダメージは少なくて済むのだとか。
それにより、少しでも長く先の世代へ伝えることができるのだそうです。

文化財を守るだけでなく、未来へと繋ぐ。
それって、素敵やん。
島田紳助さんみたいなセリフが思わず口をつく。
そんな展覧会でした。
星星


ちなみに。
前後期で入替えはありますが、
国宝や重要文化財も数多く出展されています。


国宝 《法華経一品経のうち授学無学人記品第九》(部分) 鎌倉時代13世紀 慈光寺(後期展示)


純粋に、日本美術展としても、見ごたえあり。
しかも、どの文化財も修理仕立てホヤホヤなので、
ベストコンディションの姿で楽しむことができるのです。

個人的にイチオシなのは、重要文化財の 《長谷雄草紙》
平安初期の文化人、紀長谷雄にまつわる絵巻物です。
内容をまとめると、ざっとこんな感じでしょうか。

 ある日、双六の名手でもある長谷雄のもとに妙な男が現れ、双六の勝負を申し込んできました。
 実は何を隠そう、この男の正体は、朱雀門の鬼。
 勝負を受けた長谷雄は全財産を賭けることに、鬼は絶世の美女を賭けました。
 双六は長谷雄の勝利。
 勝負に敗れた鬼は約束を守り、後日、美しい女性を連れて長谷雄のもとを訪れます。 
 そして、「絶対この女に100日間に触れてはならない!」 と言い残し、去って行きました。
 最初は言いつけを守っていた長谷雄。
 しかし、とうとう80日目で我慢できなくなり、その女を抱いてしまいました。
 すると、女の体は、水に変化し、流れ去ってしまったのです・・・。



重要文化財 《長谷雄草紙》(部分) 鎌倉~南北朝時代14世紀 永青文庫(前後期で巻替)


ちなみに、その女は、数々の人間の死体から、
良いパーツばかりを集めて、鬼が作り上げたものとのこと。
平安時代のウォーキング・デッドです。
100日経てば、本当の人間になるはずだったそう。
あと20日我慢しろよ、長谷雄!
しかし、よくよく考えたら、あと20日って。
普通こういうストーリーだと、99日、せめて95日くらいまでは我慢しそうなものです。
もう少しくらい、忍耐力あれよ!




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アートテラー・とに~氏、3泊4日の過酷なチャレンジに挑む!?

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こんばんは。
ATN (=アートテラーニュース) のお時間です。

この秋、アートテラー・とに~氏が、
前代未聞のチャレンジに挑むことが、『芸術新潮』 10月号の誌面にて発表されました。




その名も 「芸術祭トライアスロン」。





昨年の 『芸術新潮』 4月号で12ページにわたって特集された、
「美術館トライアスロン (※)」 の進化版というべき企画です。
(※「1館につき、滞在時間は30分」「移動は公共の交通機関を利用しなければならない」 というルールのもと、
  “人は一日で、いくつの美術展をハシゴすることができるのか?” を体を張って検証するチャレンジ企画)

今年2019年は、芸術祭の当たり年。
いろんな意味で話題となったあいちトリエンナーレを筆頭に、
すっかり定番となった瀬戸内国際芸術祭や個性派芸術祭である岡山芸術交流が開催されています。

「その3つの芸術祭を全部巡ったら面白くね?」
「しかも、3泊4日で巡れたらスゴくね?」
「てか、そんなの誰もやらなくね?」
「とに~なら、やるんじゃね?」

おそらく、そんなようなノリで、編集会議で決まった企画かと思われます。
ちなみに、とに~氏曰く、オファーがあった際、
引き受ける前提で話が進んでいたため、とても断れる空気では無かったとのこと。
アートテラーには、働き方改革は適用されないようです。

チャレンジを前日に控えたとに~氏より、以下のコメントが届いております。

「前回の 「美術館トライアスロン」 もだいぶハードでしたが。
 今回は3泊4日。
 単純に考えて、その4倍ハードです。
 果たして、最終日まで体力と気力を保ち続けられるか、もはや未知の領域。
 編集部の皆さまが (脳内だけで) シミュレーションし、
 組み上げたスケジュールが送られてきましたが、いろいろとツッコミどころ満載でした。
 まさに、“やれんのか!” 状態。
 その辺りの顛末は、『芸術新潮』に記載されていますので、どうぞお手に取ってご覧くださいませ。

 さてさて、そんな過去最大級のチャレンジ企画に挑むにあたり、
 いつもブログを楽しんでくださっている皆さまに一つ謝らないといけないことがあります。
 3泊4日まるまるチャレンジ企画に専念するため、
 普段のように、ブログを書いている時間が取れません (泣)
 2009年より基本的に毎日休まず、そこそこの分量の記事を書いてきたのですが。
 この3泊4日のチャレンジ期間に関しては、
 現状報告を1枚の写真で紹介するだけのシンプルな記事とさせて頂ければ幸いです。

 何はともあれ、チャレンジは成功させなくてはなりません。
 皆さまの声援や応援が励みとなります。

 ♪君の声が力になる~!君の笑顔が力になる~!

 ・・・・・・・・・・。

 たぶん、今一番歌っちゃいけない歌でしたね」



なお、とに~氏のチャレンジ初日である明日の午後15時半より、
とに~氏がナビゲーター役で出演するフジテレビの特番がオンエアされるそうです。
番組名は、『ノンストップ!SP 123億円の男バスキア~世界に衝撃をあたえた落書き~』
とに~氏曰く、その時間、愛知県をノンストップで走り回っているとのこと。
もしご都合があえば、代わりに、ご視聴くださいませ、とのことです。




それでは、今夜のATNは、この辺りで。
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芸術祭トライアスロン1日目

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あいちトリエンナーレの全会場を無事に制覇しました。
今日一日の総距離数は、現時点で約19km。
うち、走った距離は、4.8kmです。

さすがに、ウーゴ・ロンディーネの 《孤独のボキャブラリー》 状態です。




と、かなりグロッキーなのですが、1日目はまだ終わっていません。



信じられないだろ、これから香川に向かうんだぜ。


2日目に続けよ。

芸術祭トライアスロン2日目

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本日は、いりこの産地である伊吹島と、
日本初の海員養成学校があった粟島を巡りました。




いろいろステキな作品がありましたが、
一番グッときたのは、観音寺港でのスタッフさんのお見送り。



大勢の人が、港で手を振ってくれています。
白鶴 「まる」 のCMの矢崎滋になった気分でした。

今日一日で何度も船を乗る機会があり、さすがに最後のほうは、、、

船酔いもするけど、私は元気です。


3日目に続けよ。



芸術祭トライアスロン3日目

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チャレンジは、折り返しの3日目。
昨夜は早めに就寝できたので、気力はすっかり回復しました。しかし、体力はあまり回復せず。
お金は溜まらないのに、疲れは余裕で溜るようです。

本日は、高見島と本島、そして、ラストに宇野港と3カ所を巡りました。



もちろんアート作品に触れて癒される瞬間も多々ありましたが。
それ以上に、僕を癒してくれたのは・・・



島の猫たちでした。
心がアートよりも猫を欲していたのでしょう。
アートレーダーがほとんど発動せず、
代わりに猫レーダーがずっと発動していました。

人間追い込まれたら、アートよりも猫。


最終日に続けよ。


芸術祭トライアスロン4日目

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いよいよ最終日。
普段から歩き回っているため、足には自信のある僕ですが、
朝起きたら、足の薬指の裏にマメが出来てしまっていました。
身体は、こうしてSOSサインを発信しているのですね。

さて、最終日に訪れたのは、岡山芸術交流です。
世の中にたくさんの芸術祭がありますが、
こちらはコンセプチュアルアートに的を絞ったニッチな芸術祭。
2016年に第一弾が開催され、
“あまりにも独自路線” と評された芸術祭です。
それだけに・・・・・・



4日目の頭には、ほとんど何も入ってきません (汗)
あまりに難解すぎて、むしろ、自分の頭がバグってしまったのか、と不安になってしまったほど。これは現実なのか?
はたまた、疲れで熟睡中の夢なのか?

夢なら早く醒めてください。
ついでに、税率10%っていうのも夢であってください。


とは言え、3日間の修練の賜物で、
芸術祭を効率よく巡るスキルは確実にアップしていた模様。
編集部の皆様が立てたスケジュールよりも、
なんと2時間も早く、13時にはすべての行程を終えることが出来たのです!

「これにて、ミッションクリア!」

と、ガッツポーズをあげた次の瞬間、
編集長よりスマホに連絡がありました。
そして、思わず耳を疑う発言が飛び出したのです。

「正気ですか!!」


一体、編集長より何が告げられたのか。
最後の最後に待ち受けていた 『電波少年』 的展開とはいかに。
この模様を含め、この3泊4日の詳細は、
次回の 『芸術新潮』 で明らかになります。


とりあえず、ただ一つ言えるのは、
この記事は、東京に向かう新幹線の中で書いているということ。

まだ旅の途中。



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