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茶の湯の名碗「高麗茶碗」

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この秋、三井記念美術館では、
“茶の湯の名碗「高麗茶碗」” という展覧会が開催中。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


こちらは、和物茶碗の上に位置づけられるものとして、
茶の湯の世界で古くより珍重されてきた 「高麗茶碗」 にスポットを当てた展覧会で、
名品と名高い 「高麗茶碗」 の数々が、日本全国より大集結しているものです。




出展数は、実に約120点。
その中には、重要文化財に指定されている高麗茶碗や、
個人蔵のため、これまで一般公開されることがなかった貴重な高麗茶碗も。
いうなれば、高麗茶碗のアベンジャーズ状態!
茶道具好きならば、絶対に見逃せない展覧会です。
星


さてさて、高麗茶碗とは、その名の通り、高麗つまり朝鮮半島で焼かれた茶碗です。
今回の展覧会では、そんな高麗茶碗を大きく2つに分けて紹介しています。

まず紹介されていたのは、『茶の湯が見立てた高麗茶碗』
喫茶が中国から日本に伝わった当初は、唐物つまり中国の茶碗が主流でしたが、
時が経ち、侘茶の時代になると、唐物茶碗に替わって、素朴で大らかな作風の高麗茶碗がブームに。
茶人たちは、こぞって高麗茶碗を欲しがるようになります。


《大井戸茶碗 上林井戸》 16世紀 三井記念美術館蔵


とは言え、これらの高麗茶碗は、もともと茶道具として制作されたものではありません。
名もなき職人が普段使い用の器として作った、いわゆる雑器です。
そこに美を見出しのが、日本の茶人たち。
それらの雑器を、茶道具として見立てて使用したのです。
当時の朝鮮の人々の目には、雑器を有難がる日本人がさぞかし不思議に映ったことでしょう。


続いて紹介されていたのは、『日本向けに焼かれた茶の湯の茶碗』
高麗茶碗の中には、普段使いの器とは、やや毛色の違うものが一定数あるのだそうです。
例えば、こちらの 《彫三島茶碗》


《彫三島茶碗》 16〜17世紀 三井記念美術館蔵


パッと見の渋さは、他の高麗茶碗と変わりませんが。
幾何学的な紋様が彫り込まれていたり、
花型のスタンプが施されていたりと、朝鮮の伝統から離れた斬新なスタイルで制作されています。
おそらく、当時の日本の茶の湯のトレンドに合わせて制作された茶碗とのこと。
日本人が朝鮮に特別オーダーした茶碗もあったでしょうし、
「これなら日本人が欲しがるゾ」 と思って、朝鮮の人が制作した茶碗もあったのでしょう。
何はともあれ、日本向けに作られている分、どちらかといえば、
こちらで紹介されている高麗茶碗のほうが、自分の好みにあうものが多かった気がします。


ちなみに、今回出展されていた中で、
個人的に惹かれたのは、《粉引茶碗 三好粉引》 です。


【重要文化財】《粉引茶碗 三好粉引》 16世紀 三井記念美術館蔵


こちらは、かつて三好長慶や豊臣秀吉が所持していた茶碗で、
「津田粉引」「松平粉引」 と並んで、粉引茶碗の代表作とされているものなのだとか。
表面の黒い紋様は、釉薬が掛からなかった部分で、「火間」 と呼ばれているそうです。
高麗茶碗という目で見ると、渋いものに感じられますが、
先入観なしで観たら、火間がロシアアヴァンギャルドの抽象絵画のようにも感じられました。
もしくは、北欧デザインのようにも。
意外と、カフェオレボウルとしても使えそうな気がします。


また、《伊羅保片身替茶碗 銘両国》 も印象的な一碗でした。


《伊羅保片身替茶碗 銘両国》 16~17世紀 個人蔵


片身替とは、茶碗の景色が半分ずつ異なるように作られているものを指すそうです。
確かに、この茶碗も左右で表情が全く違います。
2つの茶碗を半分に割って、それを繋ぎ合わせたかのような。
いい意味で、違和感を覚えました。
「両国」 という銘が付けられていましたが、
僕が連想したのは、某ロボットアニメの敵キャラかものまね四天王のあの人。
僕だったら、「銘阿修羅」 。
もしくは、「銘清水」 と名付けたでしょう (←?)。


さてさて、他にもお気に入りの高麗茶碗はありましたが、キリが無いのでこの辺で。




展覧会を通じて何よりも感じたのは、
この当時、日本と朝鮮が相思相愛な関係性であったということ。
両国の関係が妙にギスギスしている今だからこそ、
高麗茶碗を愛でて、気持ちを一服させたいところです。


 ┃会期:2019年9月14日(土)~12月1日(日)
 ┃会場:三井記念美術館
 ┃
http://www.mitsui-museum.jp/index.html

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “高麗茶碗展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、10月15日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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バスキア展 メイド・イン・ジャパン

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ジャン=ミシェル・バスキア
©Roland Hagenberg



1980年代に、彗星のごとく現れ、
わずか27歳でこの世を去った天才画家ジャン=ミシェル・バスキア。
生前からカリスマ的人気を誇っていましたが、
ここ近年、ロンドンやパリで回顧展が開催されるなど、世界規模でその人気が高まっています。

そんなバスキアの日本初となる大規模な展覧会が、
森アーツセンターギャラリー (六本木ヒルズ森タワー52階) で開催中です。
その名も、“バスキア展 メイド・イン・ジャパン”
今年の芸術の秋、もっとも話題の展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。なお、数点の作品に限り、写真撮影は可能です)


こちらは、ロンドンやパリで開催されたものとは一味も二味も違う日本オリジナルの展覧会。
「日本とバスキアのつながり」 に焦点が当てられています。
日本とバスキア。
何も接点が無いような印象がありますが、実はバスキアは3度ほど来日しています。
さらに、自身の作品の中に、日本のモチーフを多く取り入れているのです。
例えば、こちらの 《炭素/酸素》 という一枚。


ジャン=ミシェル・バスキア
Carbon/Oxygen, 1984
acrylic, oilstick and silkscreen on canvas
224 x 196 cm
Hall Collection
Photo: Raul Valverde / onwhitewall.com
Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat.
Licensed by Artestar, New York



画面の右上に、明らかに五重塔的なものが描かれています。
(画面の中央には、『名探偵コナン』 の犯人的なものが描かれていますが、それはきっと関係ありません!)


また例えば、こちらの 《プラスティックのサックス》 という一枚。


ジャン=ミシェル・バスキア
Plastic Sax, 1984
agnès b collection
Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat.
Licensed by Artestar, New York



よく見ると、画面のあちこちに、「おりがみ」 の文字が見て取れます。
しかも、右下には、昔懐かしのトーヨーの折り紙のパッケージも描かれています。
日本のテクノロジーや文化に、大いに感銘を受けたというバスキア。
中でも特に感銘を受けたのが、日本の折り紙だったのだとか。
そう聞いて、急にバスキアが身近に感じられました (笑)

日本のモチーフが取り入れられた作品がいくつもある中で、
個人的に印象に残っているのは、こちらのよく似た2点の作品です。


Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat.
Licensed by Artestar, New York



どちらの作品にも、『200YEN』 の文字が書き込まれていました。
バスキア作品なのに、だいぶリーズナブルです(笑)
なお、左側の作品のタイトルは、《偽り》 とのこと。
危うく騙されて買ってしまうところでした (←?)。


さてさて、今回のバスキア展。
当初、出品数は80点と予告されていましたが、
蓋を開けてみれば大幅に増えて、なんと1.5倍以上の約130点に!
その中には、日本各地の公立美術館が所蔵するバスキア作品や、


Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat.
Licensed by Artestar, New York



株式会社ZOZOの創立者の前澤さんが約123億円で購入して話題となったあの作品も。


ジャン=ミシェル・バスキア
Untitled, 1982
Yusaku Maezawa collectionyusaku,Chiba
Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat.
Licensed by Artestar, New York



さらには、国内外のアートコレクターが所有する貴重なコレクションも数多く含まれています。
美術館が所蔵している作品は、仮に見逃したとしても、
その美術館を訪れれば、観られる可能性は大いにありますが。
個人蔵の作品に関しては、よほどのコネクションが無い限り、まず目にすることは出来ません。
これだけのバスキア作品を集めるのは、おそらく二度と実現不可能。
そういう意味でも、この秋必見の展覧会です。
星星星
ただし、会期はわずか2ヶ月ほど。
バスキアの人生並みに駆け抜けてしまうので、ご注意を!

ちなみに。
今回の展覧会を通じて、何よりも感じたのは、バスキアのスピード感。


ジャン=ミシェル・バスキア
Fooey, 1982
The Museum of art,Kochi
Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat.
Licensed by Artestar, New York



バスキアの作品には、まったく迷いが感じられません。
おそらくアドリブで楽しみながら、サササッと制作していたのでしょう。
実際はそんなことはないのでしょうが、
作品によっては、「秒で完成させた?」 と思わせるものもありました。
これまでは、アクションペインティングのポロックの作品にスピードを感じていましたが、
バスキア作品と比べてしまうと、ポロックのストロークは、まるでハエが止まってるかのよう。
それくらいに、バスキアの作品には圧倒的なスピード感があります。
おそらく、このスピード感が、スマホ社会のスピーディーな現代人にマッチしているのでは?
ここ近年改めてバスキアの評価が高まっているのには、そんな理由もあるのかもしれません。


さてさて、バスキアのパワーにすっかり当てられ、
展覧会を観終える頃には、バスキア熱は最高潮に!
バスキアの絵画が欲しいところですが、さすがに買えません (泣)。
せめてグッズコーナーで、バスキアグッズを。


(注:数に限りあり。完売次第、販売終了となるそうです)


キャップ、フーディ、リュック、ベアブリック…etc
中にはヨガマットもありました。
前澤さんにあやかって、バスキアのある生活を送ってみようと思います。




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オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち

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現在、横浜美術館では、開館30周年記念として、
オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち” が開催されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


こちらは、1998年に東京を含む全国5会場で開催され、
計100万人以上を動員した伝説の展覧会 “パリ・オランジュリー美術館展” 以来、
実に21年ぶりとなるオランジュリー美術館コレクションです。
今回来日を果たしているのは、ルノワールを筆頭に、
モネやピカソ、セザンヌやユトリロ、モディリアーニなど13人の画家たち。
いずれも、西洋美術界のスーパースターばかりです。
言うなれば、『オーシャンズ13』 ならぬ 『オランジュリー13』 。
ハリウッド映画並みの豪華共演が楽しめる展覧会です。
星星


展覧会の目玉は何と言っても、《ピアノを弾く少女たち》
言わずもがな、ルノワールの代表作中の代表作です。


オーギュスト・ルノワール 《ピアノを弾く少女たち》 1892年頃
Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF



こんなメジャークラスの作品が1点来日するだけでも奇跡的なことですが。
今展ではさらに、ルノワールによるもう1組のピアノを弾く少女たち、
《ピアノを弾くイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル》 も併せて来日しています。




2組の演奏を同時に聴ける (?) 貴重な機会といえましょう。
どちらも名作だけあって華がありますが、個人的には、
より優しく親密な印象の 《ピアノを弾く少女たち》 のほうがお気に入りです。
なお、ここだけの情報ですが、《ピアノを弾く少女たち》 の2人は、
「オラン」 と 「ジュリ姉」 の名前で、それぞれTwitterアカウントを持っている模様。




その正体は、まだ明らかにされていませんが (笑)。
ユルいやり取りを不定期に行っているそうです。
気になる方は、是非、フォローしてみてくださいませ。


また、今回の展覧会のもう一組の主役といえるのが、こちらのご夫妻。




ポール・ギヨームとドメニカ夫人です。
ポール・ギヨームは、元自動車の修理工という異色の経歴を持つ画商。
彼は、当時無名だった若い作家たちも、画商として積極的に支援したのだそう。
また自身でも作品を収集し、いずれは美術館を設立することを夢見ていました。
しかし、残念ながら、ポールは若くして亡くなります。
その遺志を妻のドメニカが受け継ぎ、最終的には、
「ジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨーム コレクション」 としてフランス国家に譲渡しました。
そのコレクションが、オランジュリー美術館コレクションの中核となっているのです。
(ジャン・ヴァルテルは、ドメニカの2番目の夫)

つまり、この2人がいなければ、今回の展覧会は無かったといっても過言ではないのです。
会場には、そんな夫妻の邸宅を再現した模型も展示されていました。




壁という壁に絵がビッチリ。
まさに、売るほど絵を持っていたのですね。


さてさて、今回紹介されていた13人の画家の中で、
個人的にオススメなのは、やはりアンリ・ルソーでしょうか。
基本的にもれなくユルいアンリ・ルソーの作品ですが、
オランジュリー美術館が所蔵するアンリ・ルソー作品は、ユルさが3割増し。
来日した作品のどれもが強烈なユルさを放っていました。
例えば、こちらの 《婚礼》


アンリ・ルソー 《婚礼》 1905年頃
Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF



花嫁が完全に宙を浮いています。
まるで心霊写真のような仕上がりです。
そして、それ以上に異彩を放っているのが、手前の犬。
いや、正確には、犬のような生き物です。
一体どんな座り方をしているのか。
その構造が謎すぎます。

犬といえば、《ジュニエ爺さんの二輪馬車》 もかなりのインパクトがあります。


アンリ・ルソー 《ジュニエ爺さんの二輪馬車》 1908年


なぜか馬車の死角の位置に黒い犬が一匹。
画面の右には、蟻くらいのサイズの犬が描かれています。
そして、よく見ると、馬車の中にも犬みたいな生物が。
しかも、画面のこっちを見ています。こっち見んな!
他にも、馬車のサイズとか馬の立ち方とか、
大きさといい表情、ポーズといい人形にしか見えない女の子とか、ツッコミどころが満載です。
ツッコミ気質の人は、体力を消耗しますので、ご注意を。


なお、そんなアンリ・ルソーに負けず劣らず、
ツッコミどころの多い絵を発表していたのが、意外にも、アンリ・マティスでした。
こっちの 「アンリ」 もかい!
中でも、《三姉妹》 はじわじわ衝撃的。


アンリ・マティス 《三姉妹》 1917年


3姉妹とも、髪型が変なことになっています。
特に緑色の服の女性!
前髪の下、おでこからもビッシリと毛が生えています。
『子連れ狼』 の大五郎スタイルです。


ちなみに、アンリ・ルソーやマティスの作品以外にも、
今回来日していた作品は、ユルめのタッチの絵画が多かったように思います。
おそらく、ポール&ドメニカ夫妻の好みなのでしょうね。
そんな2人のテイストが反映されたのでしょうか、展覧会オリジナルグッズにもユルいものが。
それは、マリー・ローランサン 《マドモアゼル・シャネルの肖像》 をモチーフにしたグッズです。


マリー・ローランサン 《マドモアゼル・シャネルの肖像》 1923年
Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF



シャネルが抱いている犬が、クッションとなっていました。




税抜き3000円。
お値段は、そこまでユルくありませんでした。




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【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】

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現在募集中のアートツアーです。

アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画を心掛けております。
初参加の方も多いので、どうぞお気軽にご参加くださいませ♪
(男女比は、7:3くらいで女性が多いです。
 また、おひとりで参加される方が大半ですので、一人でもふらっと遊びにいらしてください!
 お子様とご一緒の参加も大歓迎です[お子様の参加費は基本無料])
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
参加希望の方は、お手数をおかけして恐縮ですが、
件名に希望するアートツアーを明記して、以下のメールフォームよりお申し込みくださいませ。
詳細をお知らせいたします。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
お知らせ先のメールアドレスが間違っている方が、ごくたまにいらっしゃいます。
こちらからの返信がない場合は、もう一度お送り頂けますと幸いです。


10/12(土) みんなの大東京建築ツアー【築地の・・・今 編】

世界中の建築ファンが憧れる街・東京。

この街には、たくさんの名建築が存在しています。
そんな東京で生活をしていながら、建築に興味が無いなんて。
何ともったいないことでしょう!

「・・・・でも、“建築”って何をどう観たらいいの?? 」

そんな皆様にお送りするのが、みんなの大東京建築ツアー。
実際に東京の街をぶらぶらしながら名建築を巡り、
進行役の僕と講師の建築家が掛け合いをしながら、その魅力をたっぷりお伝えするツアーです。

世界最大級の魚市場を有し、83年にわたって、「日本の台所」 として親しまれてきた築地。
しかし、昨年、市場が豊洲に移転して以来、
すっかり足が遠のいている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、そんな築地をあえてフィーチャー!
築地の顔ともいうべき名建築から、
築地の新たな人気スポットや間もなく取り壊されそうな昭和の名建築などを巡ります。
さらに、せっかくなので、築地場外市場も訪れましょう♪
皆さまのご参加を心よりお待ちしております!

時間:13時~17時半
定員:15名
参加費:1500円

ご参加希望の方は、みんなの大東京建築ツアーの公式HPからお願いいたします↓
https://arc-tour.org/


10/26(土) バスキア展へ行こう!

美術は、いろんな人と感想を共有することで、より楽しいものとなります。
一人で美術展を訪れても、もちろん楽しめますが、
みんなで同じ美術展を鑑賞すれば、もっともっと楽しくなるものです!

さてさて、今回みんなで訪れるのは、
この秋、大注目の展覧会 “バスキア展 メイド・イン・ジャパン” です。

今何かと話題のジャン=ミシェル・バスキア。
その日本初となる本格的な回顧展にして、
世界各地から約130点の絵画やオブジェが集結する最大規模の展覧会です。
展覧会の目玉は、やはり何と言っても、
今何かと話題の前澤さんが約123億円で落札したバスキア作品。
究極の個人蔵作品を目にすることができる貴重な機会です。

展覧会を鑑賞したあとは、近くのカフェでまったりいたしましょう♪
図録を持参しますので、展覧会の感想などを中心に楽しくワイワイ話せたらと思っております。
もちろん美術の知識は不要!
美術マニアの集いではないので、どなた様も気軽な気持ちで遊びにいらしてくださいませ。

時間:13時半~16時
定員:10名
参加費:2000円 (展覧会鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


10/26(土) “カルティエ、時の結晶”ナイトツアー

国立新美術館で開催される “カルティエ、時の結晶”
この秋、個人的にもっとも注目している展覧会の一つです。

エルメスやショーメ、ヴァンクリーフ&アーペルなど、
これまでにも、ハイブランドの展覧会は開催されてきましたが。
今展が画期的なのは、会場構成を新素材研究所 (杉本博司+榊田倫之) が手掛けていること。
カルティエと新素材研究所による夢のコラボ。
一体どんな空間が誕生するのか、今からワクワクが止まりません!

今回は、普段のアートツアーとは違い、あえて夕方にスタート。
ナイトミュージアムで、“カルティエ、時の結晶” の世界を楽しみます。
みんなで展覧会をたっぷり堪能した後は、カフェで余韻に浸りましょう。

時間:17時~20時
定員:10名
参加費:1500円 (展覧会鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


11/10(日) そうだ 江戸、行こう。【大山詣り編】

“浮世絵に描かれた街並みは、今、どのような光景になっているのでしょうか?”

浮世絵を手掛かりに、街をぶらぶら歩きながら、
江戸時代にタイムスリップする・・・気持ちになれるツアーです。
講師の太田記念美術館の渡邉晃学芸員とともに、
浮世絵に描かれた場所に実際に赴き、現在の光景と見比べてみましょう!

さてさて、今回のテーマは、『大山詣り』 です。
神奈川県伊勢原市にある霊山・大山。
江戸の町から2、3日の距離にあり、気軽に参拝できることから、
江戸の庶民や歌舞役者たちに、絶好の行楽地として愛されました。
ちなみに、江戸時代のピーク時には、年間20万の人々が来山したのだそう。
それゆえに、大山詣りを描いた浮世絵も、実にたくさん存在しているのだとか。
今回のツアーでは、それらの浮世絵を頼りに、
江戸随一の観光スポット・大山を、たっぷりと散策いたします!
令和元年の大山詣り。
どうぞご期待くださいませ♪

時間:13時~17時半 (集合は伊勢原駅となります)
定員:12名
参加費:2000円
(注:おかげさまで、“そうだ 江戸、行こう。” 企画は特に人気が集中しております。
 そこで、“そうだ 江戸、行こう。” に初参加の方、
 もしくは今年5月以降に、“そうだ 江戸、行こう。” 以外のアートツアーにご参加頂いた方のみの受付とさせて頂いております。
 何卒ご了承くださいませm(__)m)


ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


11/3(日) みんなで並ぼう正倉院展!

今年の芸術の秋の大本命展覧会の一つ、
“正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―”

毎年、奈良国立博物館で開催され、
1日1万人以上を動員する人気コンテンツ正倉院展が、30数年ぶりに東京にやってきます。

前回、トーハクで開催された際は、行列が美術館の外周を1周したそう。
その盛況ぶりは、もはや伝説と化しています。
今回もおそらく、それくらいの行列が発生する可能性が大です。

「観たい!でも、一人で並ぶのはなぁ・・・。」

そんな皆様のために、一緒に並ぼうという企画を開催いたします。
みんなで並べば、行列もまた楽しい想い出になるはず。

待ち時間を飽きずに過ごせるよう、図録を持参します。
どうぞ楽しい待ち時間をお過ごしくださいませ (笑)
また、当日の待ち時間にもよりますが、
鑑賞後、希望者でカフェで感想をおしゃべりする時間も設ける予定です。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

時間:13時~17時
定員:12名
参加費:1600円 (展覧会鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


11/4(月・祝) ゴッホ展へ行こう!

美術は、いろんな人と感想を共有することで、より楽しいものとなります。
一人で美術展を訪れても、もちろん楽しめますが、
みんなで同じ美術展を鑑賞すれば、もっともっと楽しくなるものです!

さてさて、今回みんなで訪れるのは、この秋大本命の展覧会、
上野の森美術館で開催される “ゴッホ展” です。

ゴッホの代表作の 《糸杉》 が7年ぶりの来日!
他にも、「ゴッホの静物画の中で最も美しい作品の一つ」 と称される 《薔薇》
さらに、《ジャガイモを食べる人々》 をはじめ、初期の傑作も多く来日しています。

展覧会を鑑賞したあとは、近くのカフェでまったりいたしましょう♪
図録を持参しますので、展覧会の感想などを中心に楽しくワイワイ話せたらと思っております。
もちろん美術の知識は不要!
美術マニアの集いではないので、どなた様も気軽な気持ちで遊びにいらしてくださいませ。

時間:13時~16時半
定員:12名
参加費:1600円 (展覧会鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


いずれのツアーも、皆様のご参加を心よりお待ちしております!!

Book:32 『ボッティチェッリの裏庭』

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■ボッティチェッリの裏庭

 作者:梶村啓二
 出版社:筑摩書房
 発売日:2019/8/30
 ページ数:253ページ

「折り入って相談したいことがある。できるだけ早く会いたい」
親友フランツがスイスで謎の死を遂げて三カ月、
未亡人となったカオルからのメールには言いよどむ気配があった。
駆けつけるとそこには幼い娘が一人きり。いぶかるタカオの携帯に見知らぬ男から電話が入る。
「奥さんの身柄は、フランツさんが所有していた絵と交換としましょう」
その絵とは、ルネサンスの巨匠が遺した未発見の真筆。
やむなくタカオは少女を連れて、
まだ見ぬ名画の捜索に乗り出した―罪なき一枚の絵画が、
時を超え、土地を変え、罪なき人々の運命を狂わせる。
(Amazonより)


《ヴィーナスの誕生》《プリマヴェーラ(春)》 で知られるルネサンスの画家ボッティチェッリ。
 彼をモデルにした小説や映画はこれまで目にしたことがなったので、
 彼がどんな風な人物として描かれているのか気になり、手に取ってみました。

 結論からいえば、ボッティチェリはほとんど登場しませんでした。
 物語のメインとなるのは、ボッティチェリ本人ではなく、彼の未発表の作品。
 主人公のタカオは、謎の男からその作品を見つけるように要求される。
 その作品はタカオの友人であるフランツが祖父の代から受け継いでいるものらしい。
 もし、見つけなければ、フランツの妻カオルの安全は保障できない。
 カオルにほのかな恋心を抱いていたタカオは、彼女を救うため、
 ボッティチェリの作品を見つけるべく、フランツの娘カサネとともに駆け巡ります。
 
 と、あらすじをまとめると、サスペンスフルな感じですが、
 『ダ・ヴィンチ・コード』 のようにハラハラドキドキな展開はなし。
 カサネの一言により、思いのほか、目的の品があっさり見つかってしまいます (笑)
 2時間ドラマかと思いきや、30分ドラマくらいの分量でした。
 しかも、シリアスな展開がずっと続いてきたのに、
 最後の最後で、いきなりファンタジーな展開が訪れます。

 えっ、どういうこと?!
 
 一瞬何が起きたのか理解できず、
 “頭の中がプリマヴェーラ(春)” となりました。


 さてさて、そんなメインストーリーとは別に、小説内では、
 フランツの祖父がその妻に宛てた手紙が2回ほど挟まれます。
 その手紙で語られるのは、ナチスの絵画略奪について。
 詳細がこと細かく記載され過ぎていて、とても手紙とは思えません。
 手紙というよりは短編小説です。
 それだけに、手紙というていを取る必要があったのか、ちょっと疑問でした。
 いや、というか、そもそもこのくだりが必要だったのか、かなり疑問でした。

 さらに、手紙と言えば、あるメディチ家の奴隷が、
 晩年のボッティチェッリに宛てた手紙のパートも、計4回ほど挿入されています。
 こちらも手紙というより短編小説。
 《ヴィーナスの誕生》 の秘密やボッティチェッリが凋落した理由などが、綴られています。
 とは言え、ボッティチェッリの未発表作を巡る物語よりも、
 よほどこの手紙のパートのほうが読み応えがあったので、こっちをメインにして欲しいほどでした。


 ちなみに。
 この小説に対して何よりも言いたいことは、
 「ボッティチェッリの未発表作である必然性がなかったじゃん!」 ということ。
 フェルメールの未発表作でもゴッホの未発表作でも、
 もしくは、バンクシーの未発表作でも良かったような。。。

 そして、軽くネタバレになりますが。
 ラストでは、ボッティチェッリや美術ではなく、
 いつの間にやら、レモンの農業の話になっていました。
 ・・・・・あれっ、何でこの本を読んでいたんだっけ?
 朝方、この本を読んでいたのですが、
 本心から、「夢ならばどれほどよかったでしょう」 と思いました。  
 スター スター ほし ほし ほし(星2つ)」


~小説に登場する名画~

《ヴィーナス》

あいちトリエンナーレ2019

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2019年のアート界一番の問題作 (?)、
何かと話題の “あいちトリエンナーレ2019” に行ってきました。

連日、イヤというくらいに報道されているので、
詳細はここでは記しませんが、騒動の発端となった例の展示室は・・・・・




こんな感じで封鎖されていました。
ちなみに、壁一面に貼られている紙は、
YOur Freedom Projectなる団体による一種の抗議活動によるもの。





自由を奪われた経験や日常で見つけた差別や偏見を、
来場者が指定の紙に書いて、それを貼ろうというものです。
そもそもは慰安婦像や昭和天皇の写真を燃やす映像の是非が問題となっていたはずなのに。
論点がどんどんとズレ、大きくボヤけているような・・・・・。

また、その一件を受けて、抗議をするアーティストが多く、
出展作家の全体の約4分の1が、展示の一部または全体を取りやめていました。




抗議するのは、自由だと思いますが、
観客からすると、「3000円 (フリーパス) 払って、これかい!」 と言いたくなります。
そもそも、気に入らないことがあるから出展しない、というのは、
どこかのSAとやってることが、まったく変わらない気がしました。
いくら一流のアーティストとはいえども、本気で何かを訴える際には、
アート活動ではなく、ボイコットという一番オーソドックスなスタイルを選択するのですね。
そう考えると、「アートって結局不自由なんじゃん!」 と、やるせない気持ちになりました。


・・・・・・・と、この話はそれくらいにしておきまして。
“あいちトリエンナーレ2019” 全体としては、ちゃんと面白い作品も数多くありました。
星星
メディアも、こういう作品のことも取り上げてくれたらいいのに。

まず何と言ってもインパクトがあったのは、豊田市エリアで観られるこちらの作品。
高嶺格さんの 《反歌:見上げたる 空を悲しも その色に 染まり果てにき 我ならぬまで》 です。




廃校となった高校のプールの底面の一部がめくれ、聳え立つ壁のように直立しています。
その高さは、9m。
実はこの高さは、あの大統領がメキシコとの国境に設置しようとしている壁と同じ高さなのだとか。
ニュースや新聞で、その数値を見知ってもピンと来ませんでしたが、
こうして物理的に目の前に9mの壁が現れると、否が応でも実感させられました。


続いては、豊田市美術館で展示中のスタジオ・ドリフトによる 《Shylight》 という作品。




天井から吊るされた白い布が、
後楽園遊園地にあるアトラクションのように (?)、フワッと上下します。
横から見てるだけでは、それの何が面白いのかよくわかりませんでしたが。
どうやら下から上を見上げている人は、とっても楽しんでいるご様子。
僕もすぐさま下の階に降りて、作品を見上げてみました。




お~~~、これはキレイ!

しかも、いつまでもボーっと見ていられます。
そして、そのまま・・・・・ムニャムニャムニャ・・・・・Zzz・・・・・
実は、こちらの作品の動きには、植物の花や葉が開閉する就眠運動が取り入れられているとのこと。
なるほど。どうりで見つめていたら、眠たくなってくるはずです。


眠たくなってくると言えば、
愛知県美術館に展示中のウーゴ・ロンディーネの 《孤独のボキャブラリー》 も。




45体のリアルなピエロの彫刻たちが、
思い思いにポーズを取っているのですが、基本的に脱力系。
三次会の後みたいなことになっています。
真剣に見ていると、こちらの気力まで削がれていくよう。


最後に、今回イチオシの作家の作品をご紹介。
ありそうでなかった発想の陶芸作品を作る桝本佳子さんです。




五重塔が壺にめり込んでいたり、
埴輪が圧縮されて壺になっていたり、
メロンやイカをモチーフにした壺だったり。
どの作品もユニークながら、技巧も兼ねそなえており、ちゃんと完成度が高いのです。
中でも個人的に気に入ったのは、こちらの対の壺。




この壺を飾っても違和感がないのは、
おそらく松方弘樹の家くらいなものです。




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瀬戸内国際芸術祭2019

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3年に1度。
瀬戸内海の12の島と2つの港を舞台に開催される現代アートの祭典。
それが、“瀬戸内国際芸術祭” です。




すべての島と港を巡りたかったところですが、
スケジュール的に難しかったので、今回は、秋会期のみ会場となる4つの島を巡ってきました。

まず訪れたのは、原付が異様に多い島、伊吹島。
こちらは、良質な煮干しとして知られる伊吹いりこが特産の島です。




この島で特に観ておくべき作品は、
何と言っても、栗林隆さんの新作 《伊吹の樹》 でしょうか。




モチーフは、「生命の樹」 とのこと。
青い海、青い空、そして、Instagramにも映える作品でした。
ちなみに、内部はこんな感じになっていました↓




ここから見上げた青空の美しさといったら!
この作品のおかげで、“空の青さを知る人” になれました。


続いて、訪れたのは粟島。
浦島太郎伝説の残る島です。




粟島で展開されていた作品の中で特に印象的だったのは、
世界で最も活躍するベトナム人アーティスト、ディン・Q・レによる 《PhoUdon&COFFEE》




かつてうどん屋さんだった建物を使い、
ディン・Q・レが考案した食べ物 「PhoUdon(フォー+うどん)」 を提供するという作品です。
「PhoUdon」 は実際にお金を払って実際に食べることが可能。
粟島を訪れる前にご飯を食べてしまったため、泣く泣く 「PhoUdon」 は諦めました。
柔らかいのかい?コシがあるのかい?どっちなんだい?
その食感が気になっていますので、もし食べた方がいらっしゃいましたら、完走をお待ちしております。

ちなみに。
《PhoUdon&COFFEE》 の裏手には、そのうどん屋さんの住居だった建物がありました。
そちらも、ディン・Q・レによって、
《この家の貴女へ贈る花束》 というインスタレーション作品に生まれ変わっています。




床一面に広がるカラフルでファンシーなモノの正体は、
ベトナムの紡績工場で廃棄された端切れを再利用したラグです。
座り心地も寝心地もグッドでした。

また、かつて幼稚園だった建物を利用したインスタレーション作品、
エステル・ストッカーの 《思考の輪郭》 も、シンプルな仕掛けながらインパクトは十分。





どれが描かれた線で、どれが立体物なのか、混乱すること必至です。
足元をひっかけないよう要注意。


2日目。
この日は、2つの島を訪れました。
1つは、本島 (ほんじま)
今回訪れた島の中では最も大きな島です。




それだけに、作品数も他の島よりも多かったですが、
特にピクチャレスクだったのが、五十嵐靖晃さんによる 《そらあみ<島巡り>》 という作品。





全長120メートルにわたって、カラフルな網が続いています。
カラフルな網越しの海。
カラフルな網越しの島。
カラフルな網越しの橋。
どこを切り取っても画になる作品でした。


もう一つ訪れたのは、高見島。
かつては除虫菊 (蚊取り線香の原料となる菊) の生産で栄えたという島です。
「金鳥の夏、日本の夏」 を支えた島と言っても過言ではありません。




そんな高見島で特に印象的だった作品が、
アートユニットPARANOID ANDERSONSによる 《Long time no see》




こちらは、高見島にあった1軒の空き家をまるまる解体し、
そこにあったすべての建材や家財道具を素材にし、彫刻作品として生まれ変わらせたという作品です。
これまで数多くの匠が、さまざまな家を劇的ビフォーアフターさせてきましたが。
その何十倍も劇的なビフォーアフターを実現させていました。


ちなみに、それ以上 (?) に高見島で衝撃だったのは、こちらの看板。




うどん屋が、タピってました。
タピオカブームは、瀬戸内の島にまで広がっているようです。




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岡山芸術交流2019

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岡山市で3年ごとに開催される芸術祭、岡山芸術交流。
2回目となる “岡山芸術交流2019” に行ってきました。




岡山芸術交流は、岡山市内中心部を舞台にした芸術祭。
烏城の異名を持つ岡山城や、




後楽園と川を挟んだ位置にある岡山神社など、




岡山市を代表するような場所も、その会場となっています。
また、基本的にはすべて徒歩で移動が可能です。
それだけに、お散歩気分で巡れる楽しい芸術祭なのかと思いきや、
岡山芸術交流は、ゴリゴリのコンセプチュアルアートに特化した異色の芸術祭。
基本的には、出展されている作品はすべて、
「私にゃあそういう難しいことはよくわからないのですが・・・」 と言いたくなるものばかりです。

例えば、旧内山下小学校の校庭にポツンと置かれていたのは・・・





エティエンヌ・シャンボーの 《微積分/石》 という作品 (←タイトルからしてムズい・・・)。
こちらは、ロダンの 《考える人》 の台座部分とのこと。
なぜ、台座だけ置かれているのか?
校庭と 《考える人》 の関係性は??
いろいろと謎ですが、作品は何も語ってくれません。
キャプション (解説) も特にありません。
どういう作品なのか?
強制的に 「考える人」 にならざるを得ない作品でした。


また、岡山市内のシンボル的な建物である旧福岡醤油建物。




その地下空間で展示されていたのは、
ベルギーのエヴァ・ロエストの 《自動制御下》 なるVR作品です。




映し出されるのは、太平洋を横断する飛行機内の映像。
右を見ても、左を見ても、乗客たちが眠りについています。
ただ、それだけ。
そんな文字通り眠くなる映像が10分も続きます。
僕は岡山まで来て何を見させられているのか?
軽く拷問のような作品でした。


・・・・・と、これはほんの一例。
このようなテイストの作品が、続々登場します。
なお、今回の岡山芸術交流のテーマは、『IF THE SNAKE もし蛇が』 とのこと。
もし蛇が・・・・・なんだというのでしょう??
テーマからして、クセがすごい。
それが岡山芸術交流です。
星


ちなみに。
岡山市内のさまざまな場所に、コンセプチュアルな作品が設置されているため、
しばらくすると、あらゆるものがアートに見えてくるという症状が発生してしまいました。




『出会頭』 とだけ道路に書かれた注意書。
本気で、これもアート作品なのかと思ってしまったほどです (笑)


さてさて、今回特に印象に残ったのは、林原美術館での一連。




普段、林原美術館は、刀剣や絵画などの収蔵品を中心に、
渋めの日本美術の展覧会を開催していますが、岡山芸術交流の期間中は、その会場の一つに。
展示室を広々と贅沢に使って、現代アート作品、それも4点だけを展示しています。




こちらは、ピエール・ユイグの 《2分、時を離れて》 という映像作品。




例によって、内容はムズかしいので、ざっくりとした紹介しませんが。
このアン・リーという女の子のキャラの権利をピエール・ユイグらが購入し、
映像作品として命を吹き込み、その権利をアン・リー本人に譲渡したのだそうです。
キャラクター自身が、自分の権利を持つということはどういうことなのか?
いろいろと考えさせられる作品です。
それは、置いておきまして。
会場では、この映像作品が再生し終わるタイミングで、
展示ケースの前のスペースに、一人の女のコが現れます。
アン・リーが実体化した・・・という設定の女のコです。
こちらは、ティノ・セーガルによる 《アン・リー》 という作品。
《2分、時を離れて》 から派生したパフォーマンス作品です。
演劇部の子なのか、はたまた劇団の子なのか。
何はともあれ、歳は18歳頃の美しい少女による一人芝居が始まりました。
しばらく見入っていると、いきなりアン・リー役の子から観客に対して、
「忙しすぎるのと、忙しくなさすぎるのと、どっちを選ぶ」 という質問が投げかけられます。
僕ではない他の観客が回答していましたが、
こういう風にパフォーマンスに参加させられるパターンもあるのかと、急に冷や汗が。
(↑意外に思われるのですが、実は人見知りなものでして)
“どうか僕に質問が来ませんように!” と内心で必死に祈り、なんとか事なきを得ました。

さて、そんな 《アン・リー》 を鑑賞後、他の作品も鑑賞し、何気なく会場を回遊していたところ、
タイミング悪く、《アン・リー》 の次回公演 (?) が始まってしまいました。
気付けば、その会場にいたのは僕一人です。
アン・リーを真剣に演じてる女のコの手前、逃げるに逃げられません (汗)。
アン・リーvs僕。
マンツーマンの気まずい公演が強制的にスタートします
しばらくすると、例の質問が飛び出しました。
「え、え~っと、忙しすぎるほうがいいですかね・・・」 と、無難に回答。
どうにか危機を回避できたと思った次の瞬間、
先ほど観た際にはなかった質問が、アン・リーから浴びせられたのです。

「最後にあなたに質問してもいい?記号と憂欝の関係って何?」

“え~~~~~~っっ!!!
何その激ムズな質問!!!!!”


記号??憂鬱??関係性???
想定外の角度からの質問に、完全にパニック状態に。
口をパクパクさせていると、アン・リーは、

「さようなら・・・」

と一言だけ言い残して、去って行ってしまいました。

・・・・・・・・・・・。

アン・リーに失望され、心はズタズタになりました。
何で岡山県まで来て、こんな目に遭わなくちゃならないんだ。




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名画IPPONグランプリ 第18問

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名画IPPONグランプリ 第18問

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ippon



出張授業などでお世話になった小学生たちに、
名画に関する大喜利に挑んでもらい、その中から厳選されたオモシロ回答だけを紹介していく企画。
それが、名画IPPONグランプリです。


今回お題となるのは、昨年、国立新美術館で開催された、
“ルーヴル美術館展 肖像芸術” で来日を果たしたこちらの名画。




フランス王ルイ16世の宮廷肖像画家として、
そして、フランス革命後も成功を収めたジョセフ・デュクルーによる自画像です。
その名も、《嘲笑の表情をした自画像》
見れば見るほど、じわじわイラっとくる表情とポーズ。
この設定をどう巧く活かすかが、面白い回答を導き出す最大の鍵となりそうです。




まずは、ポーズに注目してくれた子どもの回答をご紹介。




シンプルではありますが、しっくりくる回答です。
確かに、「ゲッツ」 って言っていますね。

しっくりくると言えば、こんな回答も。




まさしく、「それな!」 な回答です。
「パンがなければケーキを食べればいいじゃない。」「それな!」


ここからはイラっとくる回答を連続でご紹介いたしましょう。
まずは、こちらの回答から。




ちょっと動いたのを見つけただけで、このドヤ顔。
二度とこいつとは、だるまさんがころんだはしたくないです。


続いての回答は、こちら。




こいてないわ!
きっと真犯人は、こいつ。
罪を擦り付けようとしているのです。


さらに、イラっとさせられたのは、こんな回答。




人の過去にズケズケと入ってくる。
デリカリーのかけらもない発言です。
思ったとしても、口にするなよ。


ある意味で、タイムリーな回答もありました。
小学生たちも、ちゃんとニュースやワイドショーをチェックしているのですね。




おそらく、元ネタは、Y興行のO社長でしょう。
立場的に、いろいろ差しさわりがありそうなので、
この回答には、これ以上触れないようにしたいと思います (笑)


最後に、個人的に一番お気に入りの回答をご紹介。
回答してくれたのは、小学校の低学年の女の子です。




実に可愛らしい回答。
急にこの男性が愛らしく思えてきました。


・・・・・・・・・以上、名画IPPONグランプリでした。




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桃源郷展―蕪村・呉春が夢みたもの―

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日本初の私立美術館とされる大倉集古館。
一代で大倉財閥を作り上げた大倉喜八郎が、
大正6年に自邸の敷地の一角に創設した東洋美術を専門とする美術館です。

そんな大倉集古館は、2014年より増改築工事のため休館していました。
以降、5年半にも及ぶ長い休館期間を経て、今年9月。
ホテルオークラ東京本館が、The Okura Tokyoへと生まれ変わった、
そのほぼ同じタイミングで、大倉集古館もついにリニューアルオープンしたのです!





・・・・・とはいえ、伊東忠太が設計した独特な建築の外観は、ほぼ昔のまま。
美術館の周囲の雰囲気も、リニューアル前と何ら変わりないように思えます。

image


ちなみに、建物前に設置されていた・・・・・




大倉喜八郎の立派なブロンズ像も健在。
入り口脇にベンチに座ったマスコットキャラ (?) がいるのは、
世界広しといえど、大倉集古館かマクドナルドくらいなものでしょう。


と、ほとんど何も変化していないだけに、
「何でリニューアルに5年半もかかったんだろう?」 と、はなはだ疑問だったのですが。
中に入ってみて、その理由が判明しました。
かつては地上2階建ての建物でしたが、
リニューアルにより、地上2階地下1階の建物に!
そう、地下1階分まるまる新たなスペースが生まれていたのです。
また、実は曳家工事により、以前の位置から少しだけ場所が移動しているのだそう。
こう見えて (?)、かなりの大工事だったのですね。
そりゃ5年半もかかるのも納得です。


そんな大倉集古館のリニューアルを記念して、
1階展示室で開催されていたのが、“大倉集古館名品展” という展覧会。
国宝の 《古今和歌集序》 や、


国宝 《古今和歌集序》(部分) 平安時代・12世紀 (注:展示期間は9/12~10/14)


横山大観の大作 《夜桜》 を筆頭に、


横山大観 《夜桜》(左隻) 昭和4年(1929)


大倉集古館コレクションを代表する作品の数々を、
惜しげもなく一挙大公開した、大盤振る舞いな展覧会です。
5年半待った甲斐がありました。
さらに、2階の展示室では、リニューアル1発目として、
大倉集古館リニューアル記念特別展 桃源郷展―蕪村・呉春が夢みたもの―” という特別展が開催中。

image


こちらは、桃源郷をテーマにした展覧会で、
師弟関係にある与謝蕪村と呉春の2人が描いた作品を中心に紹介するものです。
「桃源郷=ユートピア」 なのかと思いきや、どうやらそう単純ではない様子。
似てはいるもの、厳密にいえば、単なる理想郷とは違うようです。
桃源郷が登場するのは、中国の詩人・陶淵明が記した 『桃花源記』。


趙伯駒(款) 《武陵桃源図巻》(部分) 明末~清初・17世紀 林原美術館蔵


 時は10世紀。武陵という土地に、とある漁師がいました。
 ある日、彼は道に迷ってしまいます。
 すると、桃花の林が現れました。
 さらに、彼は進むと、豊かな集落へとたどり着きました。
 そこの住民たちに、漁師は何日も手厚い歓待を受けたのです。
 岐路に着く際、彼は村人から、
 「この場所のことは、くれぐれも語らないように!」 と念を押されました。
 帰宅後、結局のところ、漁師は他の人に、その場所の情報を漏らしてしまいます (←口、軽っ!)
 しかし、誰一人として、その地を訪れることは出来なかったのだそうな。



二度と訪れることができなかった不思議な土地。
それが、桃源郷の最大のポイントであろうそうです。
さてさて、この題材を与謝蕪村は妙に気に入っていたようで、
晩年に何点も桃源郷をモチーフにした作品に残しているのだとか。


与謝蕪村 《武陵桃源図》左幅(2幅のうち) 江戸・安永10年(1781)個人蔵


さらに、弟子である呉春もまた、
桃源郷をモチーフにした作品をいくつも残しているそうです。
こちらの 《武陵桃源図屏風》 も、そのうちの一つ。


呉春 《武陵桃源図屏風》(左隻部分) 江戸時代・18世紀 大倉集古館蔵


こちらは、休館期間中に大倉集古館が、
ポップアートコレクションで知られるキミコ・パワーズさんから購入したという作品で、
日本で公開されるのは今回が初、いうなれば今展の目玉作品です。
桃のピンク色はうっすらと残っていましたが、全体的には薄茶色。
色味が地味すぎて、桃源郷感はそれほど感じられませんでした。
星
この絵を含め、全体艇に色味が茶系。
リニューアルオープンの特別展としては、やや地味な印象でした。


ちなみに。
”桃源郷展” の作品よりもインパクトがあったのは、
呉春繋がりで地下通路に貼られていた逸翁美術館での展覧会ポスターです。




完全に 『ゴジラ』 を意識したポスター。
公式が病気です (笑)
逸翁美術館にめちゃめちゃ行ってみたくなりました。




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カルティエ、時の結晶

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この秋、国立新美術館で開催されているのは、“カルティエ、時の結晶” という展覧会。
2009年以来10年ぶり、日本では4回目となるカルティエの展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。会場は一部撮影可)


今回のカルティエ展は史上初の試みとして、
1970年代以降、つまり現代のカルティエの作品にフォーカスが当てられています。
(もちろん、歴史ある作品も展示されています)
なお、出展作品は、実に300点 。
総額おいくら万円なのでしょう??
と、それはさておき、出展作品のうちのほぼ半数が・・・


《ブレスレット》 カルティエ、2014年
ゴールド、ダイヤモンド、オニキス、エメラルド 個人蔵 Vincent Wulveryck © Cartier



《ネックレス》 カルティエ、2018年
ゴールド、ダイヤモンド、エメラルド、スピネル、ガーネット、ターコイズ、オニキス 個人蔵 Vincent Wulveryck © Cartier



個人コレクターの所蔵品とのこと。
この機会を逃すと、二度とお目にかかれない作品ばかりです。


さてさて、今回のカルティエ展の最大の特徴は何と言っても、
現代美術家の杉本博司さんが、建築家の榊⽥倫之とともに立ち上げた建築設計事務所、
新素材研究所が、その会場デザインを担当しているということ。
当然、よくあるジュエリーの展覧会とは、一線も二線も画しています。
繊維会社川島織物セルコンに特別に制作させた布を天井が吊るされていたり、




宇都宮市の特産品である大谷石を飾り台として大胆に用いられていたり、




これまでに観たことがない、でも、奇を衒ったわけでない展示空間が次々に現れます。
まさに、会場全体が一つのインスタレーション作品といった印象でした。
また、会場デザインだけでなく、
展示ケース内にも、杉本さん流の様々なこだわりが。
例えば、カルティエの作品の魅力を引き立てるべく、
屋久杉や光学ガラスといった展示ケースでは一般的に使われない素材をあえて使用しています。




また、ネックレスを飾るトルソーには、
神代欅や屋久杉など、長い樹齢を誇る貴重な古木を使用。
しかも、一つ一つ仏師が丹精に彫り上げた特注品なのだそうです。




さらに、章と章の幕間のような空間では、
杉本さんによるカルティエの作品と日本の古美術の取り合わせた展示も。




国や時代、素材やジャンルは違えども、
一流品同士は、響き合うものがあるのでしょう。
不思議なほどに、違和感なく競演していました。
特に印象深かったのは、《「2本のフェーン(シダ)の葉」ブローチ》 と、


《「2本のフェーン(シダ)の葉」ブローチ》 カルティエ パリ、1903年
プラチナ、ダイヤモンド カルティエ コレクション Nils Herrmann, Cartier Collection © Cartier



《春日曼荼羅》 との組み合わせ。




一見しただけでは、特に何も関係がないように思えましたが、
よく見ると、《春日曼荼羅》 に描かれている榊 (サカキ) が、
《「2本のフェーン(シダ)の葉」ブローチ》 の形と似ています。
こうした見立てに、思わずニヤリとさせられました。


“ジュエリーには興味がなくて・・・” とか、
“カルティエには縁がないから・・・” とか、
そういう理由で、展覧会をスルーしようとしていた方もいらっしゃるかもしれませんが。
現代アート好き、日本美術好きな方にも、自信を持ってオススメできる展覧会です。
星星


ちなみに、個人的には、男ゆえ、
ジュエリーよりも、時計のほうに興味を引かれました。




中でも、カルティエが生み出した奇跡の時計 「ミステリークロック」 に目が釘付け。


《大型の「ポルティコ」ミステリークロック》 カルティエ パリ、1923年
ゴールド、プラチナ、ロッククリスタル、ダイヤモンド、コーラル、オニキス、ブラックエナメル
カルティエ コレクション Marian Gérard, Cartier Collection © Cartier



時計の針が、宙に浮いているように見える摩訶不思議な時計です。
そのトリック (?) を考案したのは、
なんとジャン・ウジューヌ・ロベール=ウーダンとのこと。
「近代マジックの父」 と讃えられる伝説のマジシャンです。
会場で来場者全員に配られるデバイスの中で、
ミステリークロックの仕組みについての種明かしはありましたが。
理屈がわかった上でじっくり見てみても、
やはりミステリークロックはミステリアスなままでした。


最後に。
今展では、さまざまなタイプのジュエリーが紹介されていましたが、
意外にも、パンテール (豹) や虎をモチーフにしたものが数多くありました。





現代アート好き、日本美術好きな方だけでなく、
大阪のマダムたちにも、自自信を持ってオススメできる展覧会です。




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齋藤芽生とフローラの神殿

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昨日は、目黒区美術館で開催中の展覧会、
”線の迷宮〈ラビリンス〉Ⅲ 齋藤芽生とフローラの神殿” に行ってきました。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。会場は一部撮影可)


今年2019年の芸術の秋に開催される数多くの展覧会の中で、
実は、個人的にもっとも楽しみにしていた展覧会のうちの一つです。
というのも、何を隠そう、齋藤芽生さんの大ファンでして。
2009年に国立新美術館で初めて彼女の作品を観て以来、ずっと新作をチェックしていました。
今回の目黒区美術館での展覧会は、齋藤さんにとって、公立美術館では初となる個展。
初期の作品から最新作まで、約100点が紹介される現時点での集大成的な展覧会なのです。
これは行かないわけにいきません!


まず初めに展示されていたのは、
10年前の僕が齋藤さんにハマるきっかけとなった 《徒花図鑑》 というシリーズ。




巻いてはもらえぬマフラーを編むかのように、
2本の針状のめしべで長いおしべを編み続ける花 「不捧草 (ささげずそう)」 や、




ヒマワリと違い、窓際族のデスクなど影のある方向に向かって咲く 「斜陽葵 (かげまわり)」 など、




齋藤芽生さんが想像 (妄想?) で生み出した植物を図鑑形式で描くシリーズです。
もちろん、これらの植物は現実世界には存在しないのですが。
設定が作りこまれていることにくわえ、あまりに細密な描写のため、
「ひょっとしたら、あるのか?」 と思わせる妙なリアリティがあります。
このシリーズの作品はどれも好きなのですが、
中でも個人的にお気に入りなのは、「脂百合 (やにゆり)」 という植物。




純潔の象徴であるユリとは対照的に、
煙草を養分とし、白い花びらが脂色に染まっています。
吸っているのは、おそらくマールボロ。
1日何箱、吸うのでしょう??
育てる費用が、バカにならなさそうです。

なお、《徒花図鑑》 から派生した 《徒花園》 も出展されていました。




こちらは、毒々しいくらいにビビッドな裂に軸装されたシリーズ。
どれもインパクト抜群なビジュアルをしていますが、
やはり特に強烈なのは、向かって左に飾られている 《剃刀撫子》 ではないでしょうか。




キャプションには、こう記載されていました。
「触れるもの皆傷つける刃の撫子。
 母の日のカーネーション代わりにこの花を子供からもらったら要注意。」
切れ味鋭いブラックジョークです。


続いて紹介されていたのは、《毒花図鑑》
こちらは、《徒花図鑑》 の前身となるシリーズで、
当時大学2年生 (20歳) であった齋藤さんが制作した14点組のシリーズです。




《徒花図鑑》 よりも、図鑑感 (?) があります。
植物の説明だけでなく、花言葉まで記載されていて、見応え (読み応え?) は十分。
1点1点鑑賞するたびに、一つの短編小説、
それもイヤミス (=読後にイヤな気持ちになる後味が悪いミステリ) を読んだような気分になりました。




ちなみに、今回の展覧会では、齋藤さんに大きな刺激を与えたという、
R・J・ソーントンによる19世紀の植物図鑑の名作 《フローラの神殿》 も特別出展されています。




こちらは、れっきとした植物図鑑ゆえ、
描かれているのはすべて実在している植物なのですが・・・




不思議とどれも現実感がなく、どこか不穏で毒々しい雰囲気を放っていました。
こんな植物図鑑と多感な時期に出合ったら、
それは齋藤芽生さんというアーティストが出来上がるわけだ、と納得するものがありました (笑)


さてさて、展覧会は全部で3章仕立てです。
ここまで紹介したのが、『花の迷宮』 の章。
この他に、団地をテーマにした 《晒野団地四畳半詣》 シリーズを含む 『窓の光景』 、




齋藤さん自身が日本中を旅し、そこで採集したイメージを作品に取り込んだ近作、
《密愛村Ⅲ・Ⅳ》《暗紅街道》 シリーズを紹介する 『旅をする魂』 が展開されています。




さらに、齋藤さんの “四畳半” の仕事場も館内に完全再現 (?) されていました。


(↑出来たてホヤホヤなのでしょう。新しい畳の匂い、新築の家の匂いがしていました)


本音を言えば、これらすべての詳細を紹介したいところですが、
それだと3日分くらいの記事になってしまいそうなので、涙を吞んで自粛。
是非、実際に足を運んで、その目で齋藤芽生ワールドをご確認くださいませ。
星星
観るだけで心が洗われる美しい美術作品もイイですが、
たまには、ちょっと毒のあるビターなテイストの美術作品も味わってみては?


ちなみに。
展覧会では、齋藤さん作の 《四畳半みくじ》 を引くこともできます。




せっかくなので、100円をお支払いしてチャレンジしてみることに。
すると、恐ろしい結果が出てしまいました。




台風九号と十号が絡み合う・・・はっ?!
もしや、台風19号のことを暗示しているのでは!!
あまりにタイムリーな内容すぎて、ビックリしました。
なお、僕以上に、「そんなの書いたっけ?」 と齋藤さん自身もビックリされていました。

齋藤さん曰く、意外と当たるという 《四畳半みくじ》
僕が引いたおみくじには、『嵐吉』 と書かれています。
どうか日本に甚大な被害が起こりませんように!




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おばちゃんファッションっぽい絵画コレクション

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絵画を見ている時、ごくたまに、こんな風に思うことがあります。

“この絵画、おばちゃんファッションっぽいなァ”

と。


例えば、モネの 《睡蓮》




印象派を代表する画家クロード・モネの傑作のひとつです。
知られているだけでも、モネは200点以上の 《睡蓮》 を描いていますが、
その中でも特にこの国立西洋美術館が所蔵する 《睡蓮》 は、おばちゃんファッションっぽいですよね。



・・・・・・・・えっ、ちょっと何言ってるかわからない?
それは、大変失礼いたしました。
おばちゃんファッションっぽいことが伝わるように、こんなものを用意してみました。




で、コレを先ほどの絵に重ねてみます。
すると・・・・・




おばちゃんファッションっぽくなりましたよね。
スナック 『睡蓮』 のママが着ていそうな感じがします。
おそらく、生地は別珍でしょう。


また例えば、カンディンスキーによる 《コンポジションVII》




抽象画の生みの親ワシリー・カンディンスキーによる抽象画の名作です。
時々、美術館の中で、抽象画の前に立って、
「抽象画ってよくわからないわ」 と嘆いているおばちゃんを見かけますが。




「いやいや、そういう服を着てますよ!」 と声をかけたくなります。
抽象画を着こなせるなんて、大したものです。

ちなみに、カンディンスキーと同時代の画家で、
“熱い抽象画” とされるカンディンスキーに対し、“冷たい抽象画” とされるピエト・モンドリアン。




彼のスタイルは、まったくおばちゃんファッションっぽくありません。
むしろ、その逆。
現在でも、たびたびモードとして取り入れられています。
ところが、意外と知られていませんが、
このスタイルに辿り着く前のモンドリアンの作風は、かなり地味。




だいぶおばちゃんファッション感があります。




色味的にはおばちゃんというよりも、おばあちゃんファッションです。
巣鴨感 (?) が醸し出されています。


さてさて、ここからはテンポよく紹介していきましょう。
まずは、戦後を代表するフランスの画家ベルナール・ビュフェ。




鋭くとげとげしい黒い線が特徴的です。
絵として観る分には、その黒い線がカッコイイのですが。




服の柄になると、途端になんかダサくなってしまいます。
ベルナール・ビュフェというサインが、
そういうブランドのロゴに見えてきました。


続いて、元祖ヘタウマ画家として知られるアンリ・ルソー。





そのシュールな作風といい、色合いといい、要素が渋滞してる感じといい。
トータル的に見て、おばちゃんファッション以外の何者でもありません。
もはや、もともとこういうおばちゃんファッションがあって、
それをアンリ・ルソーが絵画化したような気さえしてきました。


1960年代に一世を風靡したオプ・アート。
こちらも、おばちゃんファッションっぽい絵画です。




オプ・アートとは、錯視や視覚の原理を利用し、
立体的に見えたり、チカチカしたり、動いたりしているように感じられる絵画のことです。




誰も着ていない状態なのに、立体感が感じられます。
しかも、着ているのは、モデルではなく、きっとおばちゃん。
オプ・アート効果、恐るべしです。


・・・・・と、ここまで西洋の絵画ばかり紹介してきたので、
最後は、おばちゃんファッションっぽい日本画も紹介いたしましょう。
おばちゃんファッションといえば、
ゴールドではなく、シルバーでキラキラとしているイメージ (※個人の感想です)。
そういう意味では、銀箔を駆使した酒井抱一の 《夏秋草図屏風》 なんか、それっぽいです。




今はだいぶ落ち着いてしまっていますが、もともとは、もっとキラキラ。
そう想像すると、ただのおばちゃんではなく、
ハイソなマダムが着ていそうな感じがしてきました。
もしくは、美川憲一とか。
肩に流れる水流が、普通にオシャレです。


ちなみに、これまで数多くの絵画を目にしてきましたが、
その中で僕がもっともおばちゃんファッションっぽいと思った、
『King of おばちゃんファッションっぽい絵画』 が、こちら↓




戦前の京都画壇を代表する大家・竹内栖鳳の 《大獅子図》 です。
もうこの時点で、おばちゃんファッションっぽく見えていると思うのですが、念のため。




たぶん気のせいなのでしょうが。
どこかの商店街で、この服がディスプレイされていたような記憶があります。
しかも、上の方に吊されていたような。


美術界には、まだまだおばちゃんファッションっぽい絵画はあります。
もし美術館でおばちゃんファッションっぽい絵画に出合ったら、是非、ご一報くださいませ。




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ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン

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パナソニック汐留美術館で開催中の展覧会、
“ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン” に行ってきました。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


こちらは、20世紀を代表するフランスの画家で、
『色彩の魔術師』 と呼ばれたラウル・デュフィが主役の展覧会です。




僕が思うデュフィの絵画作品の魅力は、
その画面から溢れんばかりに湧き出ている幸福感。
これに尽きます。
ゆるやかで、のびやかな線。
透明感があり、艶やかな色彩。
時に、輪郭線から色彩がはみ出てしまう自由さ。
眺めているだけで、なんとも幸福な気持ちになれるのです。


《黄色いコンソール》 1949年頃 油彩/キャンバス 大谷コレクション


ちなみに、デュフィの絵をじっと眺めていると、
なぜか僕は小沢健二の曲を鼻歌で演奏したくなります。





ゆるやかで、のびやかな曲調。
透明感があり、艶やかな声。
時に、メロディラインから歌詞がはみ出てしまう自由さ。
デュフィの絵から溢れる幸福感と小沢健二の曲から溢れる幸福感。
両者には、通ずるものを感じるのです。


と、そんな余談は置いておきまして。
今回のデュフィ展の最大の特徴は、デュフィの絵画作品以上に、
デュフィが手掛けたテキスタイル・デザインがフォーカスされていること。




あの 「モードの帝王」 ことポール・ポワレとコラボを果たしていたり、
リヨンの絹織物製造業ビアンキーニ=フェリエ社にテキスタイルのデザインを提供していたり。
実は、ファッションの世界でも、デュフィはその才能をいかんなく発揮していたのです。
会場では、そんな彼がデザインした原画や下絵、版木、
そして、それを基にしたテキスタイルやドレスなどが多数展示されています。





どの作品も華やか、かつ現代的。
デザインがまったく古くさくなく、とても100年前の作品とは思えません。
絵画だけでなく、テキスタイルデザインもまた、眺めているだけで幸せな気分になれました。
デュフィの新たな魅力に気づかされる展覧会です。
星星


ちなみに、バラや牡丹といった花や鳥など、
オーソドックスなモチーフも、もちろんありましたが。
デュフィは、よほどチャレンジ精神が強い人物だったのでしょう。
ヴァイオリンをモチーフにしたテキスタイルや、


《ヴァイオリン》 1989年(デザイン1914-20年頃) 毛織物 デュフィ・ビアンキーニ蔵


ダンスホールをモチーフにしたテキスタイルをはじめ、


《ダンスホール〔紙の試し刷り〕》 1920年頃 木版/紙 デュフィ・ビアンキーニ蔵


カイコや象、闘牛など、珍しいモチーフのテキスタイルを多く制作しています。
その中でも印象的だったのが・・・




テニスをモチーフにしたテキスタイル。
テニスの躍動感は全く伝わってきませんし、
テニスコートも4畳半くらいのスペースしかなさそうですし。
いろいろツッコミどころはありましたが、斬新なデザインであることは確かでした。


最後に、個人的に気になったドレスをご紹介いたしましょう。




赤とピンクとオレンジと華やかな色合いと、黒の対比。
このドレスが目に飛び込んできた瞬間に、
“このカラーリング、どこかで目にしたことがあるような・・・” と、
デジャヴを感じてしまいました。
しばらくして、その理由が判明。

「あっ、チェルシーのバタースカッチだ!」

チェルシーも幸福感がある味ですよね。





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ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯爵家の至宝

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現在、世界で唯一、家名がそのまま国名となっている一族。
それが、リヒテンシュタイン侯爵家。

「美しい美術品を集めることにこそお金を使うべき」

というカール・オイゼンビウス侯の家訓を守り、
リヒテンシュタイン侯爵家は代々、500年もの長きに渡って美術品を蒐集し続けています。
その数、なんと3万点 (!)。
これは、英国王室に次ぐ世界最大規模の個人コレクションなのだとか。


そんなリヒテンシュタイン侯爵家秘蔵の名品のうち約130点を紹介する展覧会が、
“ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯爵家の至宝” が開幕しました。
普段公開されていない名品の数々が観られる貴重な機会です。
星星
Bunkamuraザ・ミュージアムにて、ほぼ休みなく開催されています (休館日は、10/15、11/12、12/3のみ)


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


展覧会は、全部で7章仕立て。
侯爵家にまつわる人々の肖像画にはじまり、




ルネサンスやバロックの宗教画の名品が揃うコーナーや、




花をモチーフにした作品が集められたコーナーなど、




リヒテンシュタイン侯爵家ご自慢の名品が、ジャンルごとに紹介されています。
その中でもとりわけ印象的だったのは、
“西洋と東洋の出会い” が感じられる磁器を紹介する第4章です。




中央の展示ケース内の磁器にご注目。
パッと見は、西洋風の磁器に思えますが。
実は、これらの磁器は・・・


景徳鎮窯 《染付花鳥文金具付壺》   
金属装飾:イグナーツ・ヨーゼフ・ヴュルト 磁器:青の下絵付、順治~康煕年間(1644-1723) 金具:鍍金されたブロンズ 1775/1785年
所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ=ウィーン © LIECHTENSTEIN. The Princely Collections,Vaduz-Vienna



当時、金と等価とされるほど高価だった東洋の磁器を、
さらにゴージャスにするために、金具をカスタムしたものです。
さすが侯爵家。
庶民とは考えることが違います。

庶民とは発想が違うといえば、こちらの 「トランブルーズ」 も。




普通のソーサーと違って、ガードのようなものが取り付けられています。
このトランブルーズが作られるようになった当時、ホットチョコレートが大流行していたのだそう。
それも、朝目覚めた時に飲む習慣があったそうです。
ところが、普通のカップとソーサーでは、
チョコをベッドやシーツにこぼしてしまうかもしれません。
そこで、揺れを防止するためのガードが付いたトランブルーズが誕生したのです。

・・・・・・・・・・だったら、ベッドから出て、飲めばいいじゃん!

そう思ってしまうのが庶民。
自分のライフスタイルに合わせた磁器を作らせてしまうのが侯爵家なのでしょう。


さてさて、ヤン・ブリューゲル(父) やルーカス・クラーナハ(父)、
グイド・レーニをはじめ、著名な画家の作品も、もちろん取り揃えられていましたが。
個人的に今回一番感銘を受けたのは、こちらの風景画を描いた画家。




ウィーン生まれのフェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラーです。


フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー 《イシュル近くのヒュッテンエック高原からのハルシュタット湖の眺望》 1840年、油彩・板 
所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン © LIECHTENSTEIN. The Princely Collections,Vaduz-Vienna



名前を覚えられる気はまったくしないので、きっと3日後には忘れているでしょうが (笑)
小品ながらも、自然の雄大さをしっかりと感じる。
その唯一無二な作風は、確かに胸に刻み込まれました。
久しぶりに、いつまでも観ていたいと素直に思える作品に出会った気がします。

ちなみに、展覧会ポスターに使われている花の絵も、
フェルディ・・・ナントかという画家による作品です (←もう忘れた)


フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー 《磁器の花瓶の花、燭台、銀器》 1839年、油彩・板 
所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン © LIECHTENSTEIN. The Princely Collections,Vaduz-Vienna



花びらの質感、布の質感、磁器や金属の質感。
鑞や大理石、宝石の質感にいたるまで、すべてがパーフェクトです。
こちらもまた、いつまでも観ていたくなる作品でした。

それから、僕には決してそういう趣味はないですが、
ヨーゼフ・ノイゲバウアーによる肖像画も、いつまでも観ていたくなる作品でした。




描かれているのは、リヒテンシュタイン侯フランツ1世。
8歳の時の肖像画だそうです。
まさに、絵に描いたような美少年。
「YOU、事務所入っちゃいなよ!」 と思わず声をかけたくなる作品です。


最後に、印象に残った画家をもう一人。
画面右の 《花と果物の静物とカケス》 を描いた人物です。




通称ビンビ。
その本名は、バルトロメオ・デル・ビンボだそうです。
何だその微妙な通称は!
ビンビでもビンボでも、どっちでもいいわ!
もはや絵そっちのけで、そこばかりが気になって仕方がありませんでした。


 ┃会期:2019年10月12日(土)~12月23日(月・祝)
 ┃会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
 ┃
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_liechtenstein/

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “リヒテンシュタイン侯爵家展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、10月25日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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ゴッホ展

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日本人は、ラッセンより普通にゴッホが好き。

だからでしょうか。
毎年のように、日本のどこかしらで、
ゴッホを取り上げた展覧会が開催されています。
今年2019年もまた然り。
10月11日。上野の森美術館にて、“ゴッホ展” が開幕しました。




こちらは、“ゴッホがゴッホになるまで” に迫った展覧会。
27歳で画家を目指したゴッホが、37歳で亡くなるまでの約10年間で、
いかにして、ゴッホ風ともいうべき独自のスタイルに辿り着いたのかを紹介するものです。

展覧会は、2部構成。
ゴッホに大きな影響を与えたハーグ派と印象派、
それぞれを代表する巨匠たちの作品計約30点とともに、ゴッホの作品約40点が展示されています。

まず第1部で紹介されていたのが、ハーグ派。
ハーグ派とは、オランダのハーグで活動した画家たちの総称で、
17世紀のオランダ黄金時代の伝統的な絵画のエッセンスを受け継ぎつつ、
当時フランスで一時代を築いたバルビゾン派の影響を大きく受けているのが最大の特徴です。
伝統的なオランダの風景画っぽくもあり、バルビゾン派の絵画っぽくもあり。
まさに両者をイイとこどりしたハイブリッドな作風です。
そんなハーグ派の主要画家の一人で、
ゴッホの親戚であり最初の師匠でもあったのが、アントン・マウフェ。


アントン・マウフェ 《4頭の曳き馬》 制作年不詳 油彩、板 19.5×32cm ハーグ美術館 © Kunstmuseum Den Haag


マウフェは、ゴッホに画家としての基礎を叩き込みました。
彼がいなかったら、画家ゴッホは誕生していなかったかも。
そういう意味では、ゴッホにとって超重要な人物です。
もし、ゴッホが 『うちくる!?』 のゲストだったら、
確実に、どこかのお店でマウフェが登場することでしょう。

さてさて、そんなマウフェに限らず、
ハーグ派の画家の作品は、全体的にトーンが暗め。
それに合わせて、壁の色も蛭子能収が着る服くらいに地味な色調となっていました。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


当然、この頃のゴッホの絵の色合いも、かなり暗めです。
のちに、《ひまわり》《アルルの寝室》 のようなカラフルな絵画を描く人物とは、この段階では到底思えません。




ちなみに、ゴッホの初期の傑作 《ジャガイモを食べる人々》 が描かれたのも、この時代。
さすがにゴッホ美術館が所蔵する油彩画は来日していませんでしたが。
代わりに、ハーグ美術館所蔵のリトグラフ版の 《ジャガイモを食べる人々》 が来日していました。


フィンセント・ファン・ゴッホ 《ジャガイモを食べる人々》 1885年4-5月 リトグラフ(インク・紙) 26.4×32.1cm ハーグ美術館 © Kunstmuseum Den Haag


こちらの 《ジャガイモを食べる人々》 リトグラフver.は、元となる油彩画と図柄が反転しています。
また、それにくわえて、コントラストや人物の描写が甘くなっているのだそうです。
そんな作品のクオリティの低さに対して、当時ゴッホの友人だった画家ファン・ラッパルトは、

「もっと熱くなれよ!もっと本気出せよ!」

と、松岡修造ばりに (←?) に大激怒したそうな。
それにカチンと来たゴッホは、手紙で反論したのだとか。
その応酬が原因で、5年に及ぶ2人の友情にピリオドが打たれることになったのです。
ハーグ派の画家にまつわるゴッホのエピソードもまた、絵のトーンと同様に暗めでした。


続く第2部では、印象派や新印象派の画家たちの作品が登場します。
それゆえ、第1部とは打って変わって、会場は明るく華やかな雰囲気に。




ピサロやシニャック、ゴーギャンらの作品とともに、
モネやルノワールといった画家たちの作品も紹介されていました。




まさか、“ゴッホ展” の会場で、
モネやルノワールの作品までもが観られるだなんて。
何だか得した気分です。

そんな華やかな印象派の作品と出合ったことで、
ゴッホの作品も明るく華やかな雰囲気に様変わりしていきます。




そのスタイルを経て、やがて色彩や筆致はより大胆に。
そして、いよいよ僕らがイメージするゴッホのスタイルに到達するのです。




展示室のラストで待ち構えていたのは、
メトロポリタン美術館が所蔵する傑作 《糸杉》




2012年の “メトロポリタン美術館展” での日本初公開以来、7年ぶりの再来日です。


フィンセント・ファン・ゴッホ 《糸杉》 1889年6月 油彩、カンヴァス 93.4×74cm メトロポリタン美術館
Image copyright © The Metropolitan Museum of Art.  Image source: Art Resource, NY



この絵に渦巻いているパワーは、それはそれは強烈でした。
空がうねる。雲がうねる。糸杉がうねる。山がうねる。
アニメーションのように、絶えず絵が動いている感じがするのです。
そのため、どう頑張っても、絵をじっと見続けることはできず。。。
あちらに目がいったり、こちらに目がいったり、とにかく目線が定まりませんでした。
ゴッホvs鑑賞者。
そんな真剣勝負を突きつけられているような印象を受けました。
この絵を観るためだけに展覧会を訪れる価値は大いにアリです。


正直なところ、展覧会を訪れるまでは、
“ゴッホ展” という展覧会タイトルが、あまりにシンプルすぎると感じていたのですが。
なるほど、シンプルなのも納得でした。
これぞゴッホ展。これがゴッホ展。
王道にして最強のゴッホ展です。
星星星


ちなみに、今回出展されていたゴッホの作品の中で、
個人的に一番印象に残っているのは、《ぼさぼさ頭の娘》 という一枚。




モデルは、若き日のミック・ジャガー、
もしくは、若き日のかまやつひろしかと思いきや、ぼさぼさ頭の娘とのこと。
この展覧会では随所でゴッホの手紙も紹介されているのですが、
こちらの作品にまつわる手紙の一文も、作品横で紹介されていました。
手紙には、こう綴られています。

「さて、手紙を書き続けるかわりに小汚い娘の頭部を書き始めたよ。」

いやいや、お前が言うなよ!




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不思議な鹿に出会うという奇跡。

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美術の世界には、奇跡を起こしたヒーローが数多く存在する。
もしも、そんな彼らにヒーローインタビューを行ったなら・・・?



インタビュアー (以下:イ) 「放送席、放送席。
                 こちらには、エウスタキウスさんにお越し頂いております」

エウスタキウス (以下:エ) 「はじめまして。プラキドゥス・・・じゃなかった。エウスタキウスです」

イ 「あ、確か、奇跡を起こした後に、改名されたんでしたよね」

エ 「はい。そうなんです」

イ 「それでは、エウスタキウスさんのほうから、
  改めまして、今回の奇跡について教えて頂いてよろしいでしょうか?」

エ 「そうですね。あれは、私がローマ帝国の将軍だった時の話です。
  その日は、犬を連れて、狩りをしていました。しばらくすると、鹿が現れまして。
  これは大物だとばかりに、その鹿を追ったところ、なんとその鹿の頭に・・・


ルーカス・クラーナハ (父) 《聖エウスタキウス》


  十字架に磔にされたキリスト様の姿があったのです。
  で、それを観て、私はすぐにキリスト教に改心し、
  家族とともに洗礼を受け、エウスタキウスを名乗るようになったのです」

イ 「え~。え~っと、ちょっと整理させてくださいね。
  奇跡ってそれだけですか?」

エ 「それだけとは?」

イ 「何だか奇跡としてはショボいといいますか・・・。
  角と見間違えたって可能性はないんですか?」

エ 「いえ、あれは、確かにキリスト様でした!ほら、こちらを観てください!」


アルブレヒト・デューラー 《聖エウスタキウス》


イ 「遠いんですよね・・・。あのもっとハッキリ映ってるのはないんですか?」

エ 「ルネサンス画家のピサネロが描いたものでは、ハッキリとその姿が確認できます」


ピサネロ 《聖エウスタキウスの幻影》


イ 「まぁ、確かに」

エ 「こっちの中世に描かれた挿絵なんて、
  もっとハッキリとキリスト様が現れていますよ」




イ 「顔だけじゃないですか!十字架、どこ行ったんですか?!
  まぁ仮に、鹿の頭にキリストの姿が見えたとしまして、
  それだけで改宗してしまうのが、エウスタキウスさんのスゴいところですよね」

エ 「ありがとうございます」

イ 「ちなみに。キリスト教に改宗して良かったですか?」

エ 「そうですね。改宗した途端に、いきなり貧乏になってしまいまして・・・。
  それと、妻を、とある船長に誘拐されまして、
  2人の息子はそれぞれ、ライオンと狼に攫われてしまいました」

イ 「めちゃめちゃ最悪じゃないですか!」

エ「ただ、それでもキリスト教を信じ続けた結果、
  15年後に家族と無事に再会することが出来たのです」

イ 「長かったですね・・・」

エ 「そういう意味ではやはり、
  あの日あの時あの場所で鹿に会えなかったら、
  僕はいつまでもただの将軍のまま、だったと思いますよ」


アルブレヒト・デューラー 《聖エウスタキウス》


イ 「なるほど。エウスタキウスさんにとっては、運命の出逢いだったのですね。
  そんな旗まで作ってしまうだなんて!
  こちらからは以上です。放送席にお返しいたします」




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日本・東洋 美のたからばこ~和泉市久保惣記念美術館の名品

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大阪府和泉市にある和泉市久保惣記念美術館。
和泉市で綿業を長年営んでいた久保惣株式会社と、
創業者一族である久保家のコレクションを中心とした美術館です。

この秋、渋谷区立松濤美術館で開催されているのは、
そんな和泉市久保惣記念美術館が所蔵する名品の数々を紹介する展覧会。
その名も、“日本・東洋 美のたからばこ~和泉市久保惣記念美術館の名品” です。




「美の宝箱や~」

と、彦摩呂ばりに声を張り上げたくなる気持ちはわかります。
というのも、和泉市久保惣記念美術館が所蔵するコレクション、
約11000点の中から、コレクションの白眉ともいえる絵巻の名品の数々や、


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


東洲斎写楽や葛飾北斎といった浮世絵の名品の数々、




さらには、あの宮本武蔵がモズをモチーフに描いた 《枯木鳴鵙図》 などなど、


(注:展示は10/5~10/27)


選りすぐりの約90点が、惜しげもなく出展されているのです。
しかも、所蔵する国宝2点、重要文化財29点のうち、
なんと国宝は2点とも、重要文化財は23点 (!) が出展されています。
ほぼほぼオールキャスト総出演!
現在、和泉市久保惣記念美術館は特に休館しているわけではないので、
むしろ、こんなに一軍選手が館を離れてしまって大丈夫なのか、と心配になるレベルでした。
なお、和泉市久保惣記念美術館のコレクションが他館でまとまった形で紹介されるのは、
東京国立博物館と大阪市立美術館で開催されたコレクション展以来、実に37年ぶりとのこと。
正倉院展の陰に隠れてしまっている感はありますが、
今年の芸術の秋 “日本美術部門” のダークホース的展覧会です。
星星


さてさて、そんな名品揃いの展覧会の中で、
特に見逃せないのが、《青磁 鳳凰耳花生 銘「万声」》




日本に伝わる青磁の中でも最高峰とされる逸品で、国宝にも指定されています。
何といっても目を引くのが、その淡く絶妙な色合い。
ペパーミントカラーに近い色のため、爽やかさも感じられます。
また、カラーと同じくらいに美しいのが、目に吸い付くようなきめ細やかな肌合いです。
その磁肌をじーっと眺めていたら、なんだか甘味が感じられました。
おそらく、マーブルチョコやM&M'Sのコーティング部分、
もしくは正露丸糖衣Aの糖衣の部分にどこか質感が似ているからでしょう。


また、同じく国宝の 《歌仙歌合》 も見逃せない逸品です。




《歌仙歌合》 とは、柿本人麻呂や小野小町といった、
代表的な歌人30人の秀歌が書き記された、いわばコンピレーションアルバムのようなもの。
かなの名品とされるだけあって、書に疎い僕でも、
この文字が美しいことは、ちゃんと理解することができました。
ところで、妙に気になるのが、紙のあちこちに登場する青あざみたいなヤツ。
こちらは、飛雲 (とびくも) という紙の装飾の一種です。
藍と紫の繊維を漉き込み、まるで雲が飛んでいるように散らしたもの。
今は内出血しているような色合いですが、
平安時代の当時はもっと美しい色合いだったのかもしれませんね。


この他にも、伊藤若冲の 《乗興舟》 や、


(注:展示は10/5~10/27)


黄瀬戸の名品として名高い重要文化財の 《黄瀬戸 立鼓花入 銘「旅枕」》 をはじめ、




一度は観ておきたい名品は多々ありましたが。
個人的に一番印象に残っているのは、《名物裂集古鑑》 です。




こちらは、いわゆる名物とされる裂 (きれ) を蒐集して、折帖に貼ったもの。
つまりは、名物裂のスクラップブックです。
現代よりも布が貴重だった時代、切れ端もこのようにして大切に集められていたのですね。
それらの裂ももちろん美しかったのですが、
それ以上に美を感じたのが、その配置の仕方です。
まるでタングラムのように、正方形のスペースにぴたっと納められていました。
いかに無駄なスペースを生まないか。
もはや執念のようなものすら感じました。
この 《名物裂集古鑑》 を作った人は、きっと荷造りも得意だったことでしょう。




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アジアのイメージ 日本美術の「東洋憧憬」

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現在、東京都庭園美術館で開催されているのは、
“アジアのイメージ 日本美術の「東洋憧憬」” という展覧会です。




現在でこそ、関係性はややギスギスしていますが、
長い歴史で見れば、日本人は、美術品を通じて、中国や朝鮮半島に憧れを抱いてきました。
中でもとりわけアジア熱が高かったとされるのが、1910年から60年頃にかけて。
日本の知識人や美術コレクターが、こぞってアジアの古典美術を蒐集したのだそうです。
さらに、アジアの古典美術にインスパイアされて、作品を制作して芸術家も多かったのだとか。
今展では、そんな空前のアジアフィーバーの中で生まれた美術品にスポットが当てられています。

例えば、こちらの岡部嶺男の陶芸作品。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


3本足が特徴的なこの2点の作品は、中国の青銅器の形がモチーフとなっています。
青銅器自体は、何千年も前のものですが、日本で紹介されるようになったのは、
大正から昭和にかけて、住友家によって本格的に蒐集されてからのことなのだそう。
岡部嶺男をはじめとする当時の日本人は、新鮮な驚きをもって青銅器を目にしていたのです。
とはいえ、ただ形や色合いを真似しただけではなく、
大胆にデフォルメしているあたりに、岡部嶺男のセンスが感じられました。




また例えば、こちらの石黒宗麿の陶芸作品。




パッと見は何柄かよくわかりませんが、その正体はあじさい柄。
あじさいを黒一色で表現するという、実に斬新なセンスの作品です。
この作品のイメージソースとなっているのは、中国の磁州窯と呼ばれるやきもの。




かつて日本人が珍重してきた天目茶碗や青磁といった官窯のやきものとは違い、磁州窯は民窯。
つまりは、日用品の器です。
20世紀初頭、中国で大規模な鉄道工事がスタートし、
その作業中に、磁州窯のやきものが大量に発見されたのだとか。
これにより、世界的に中国陶磁に一気に注目が集まりました。
もちろん日本でも、中国陶磁への関心が高まったのは言わずもがな。
もし、磁州窯が見つかっていなかったら、
きっと石黒宗麿のこの作品は生まれていなかったことでしょう。


さて、そんなアジア旋風が吹き荒れていたのは、陶芸界だけではありません。
当時流行していたチャイナドレスを描いたり、




明治以降に日本人によって発見された雲岡石仏を題材にしたり、




洋画、日本画問わず、絵画の世界でもアジアの影響を見て取ることができます。
また、梅原龍三郎や岸田劉生によって描かれた、
一見すると西洋画っぽいこれらの静物画も、実はアジアの影響が見て取れるのだとか。




ポイントは、花ではなく、その器。
先ほど登場した磁州窯や中国製の籐籠 (もしくは竹籠) が描き込まれています。
スタイルは西洋画、モチーフはアジア。
まさに、さまざまな文化のミックスを得意とする日本ならではの静物画です。


さてさて、展覧会では他にも、金工作家や竹工芸家の作品も紹介されています。
それぞれの作品数はそう多くはないですが、
やきものも日本画も洋画も金工も竹工芸も、そして、アジアの名品も、
いいとこ取りで楽しめるオムニバス形式の展覧会でした。
星星

なお、展覧会のラストを飾る新館ギャラリーでは、




画家の岡村桂三郎さん、漆芸家の田中信行さん、デザイナーの山縣良和さん、
3人の現代アーティストによる “アジアへの憧れ” をテーマにした新作が発表されています。
さらには、現代アートも楽しめる、なんとも欲張りな展覧会です。


ちなみに、今回出展されていた作品の中で、
個人的にお気に入りなのは、香取秀眞 (ほつま) による 《鳩香炉》 (写真右)。




鳩かと言われれば、鳩ではない気もしますし。
立ち姿は、中に人が入ったゆるキャラの着ぐるみのようですし。


香取秀眞 《鳩香炉》 1949年 千葉県立美術館所蔵


いろいろとツッコミたくなりますが、
妙に愛嬌があるので、不思議とすべてを許せてしまいそうです (笑)
かわいいは正義。




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