Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all 5005 articles
Browse latest View live

第40回 港区新橋でガウディ

$
0
0
ルノアールを筆頭に、モネ、ゴッホ、シャガール…と、
街を歩いていると、時に、美術界の巨匠たちと同じ名前のお店に出くわします。
果たして、それらのお店と巨匠との間に関係はあるのか??

気になるようで気にならない。
でも、気にしてしまったら、気になって仕方がない。
そんな疑問を解消すべく、アートテラーは今日も店へと赴く!!



今回は、サラリーマンの聖地、新橋へとやってきました。
こちらの居酒屋が密集したエリアに、
建築界のあの巨匠と同じ名前のお店があります。




その巨匠とは、アントニ・ガウディ。
スペイン・バルセロナが生んだ稀代の建築家です。
当然、ガウディの名を付けるわけですから、
お店はきっとスペインバル・・・・・




と思いきや。
意表を大きく突いて、まさかの餃子屋。
それも、餃子や ガウでぃと、
なぜか、カタカナとひらがなが入り交じっています。

ちなみに、外観はガウディらしい要素は無し。




内部にいたっては、それ以上にガウディらしい要素がありません!




強いて挙げるなら、店内に飾ってあった熊手。
それが一番ガウディ感があったような・・・。




とりあえず、餃子屋に来たので、餃子を注文してみることに。




↑こちらの定番メニューとは別に、
季節限定の餃子も多数取り揃えられていました。
いろいろと目移りしてしまいましたが、
まずはお店の看板である 「にんニラ」 と 「特製」 をオーダー。




ガウディ建築の曲線を彷彿とさせる、
謎のお通しを食べながら、餃子が焼き上がるのを待ちます。
数分後、食欲を誘う匂いとともに、餃子が運ばれてきました。




まずは、「にんニラ」 を一口。

”!!!”

にんにくとニラの風味が、ガツンと来ます。
ガウディの建築くらいに強烈な風味がありました。
インパクトがあって美味しいですが、
間違いなく、仕事の前に食べちゃ絶対にダメなヤツです。

続いて、にんにくを使ってない 「特製」 を食べてみます。
こちらは、普通に美味しい餃子。
「にんニラ」 の後に食べると、やや物足りない感じがしました。

他の変わり種の餃子も気になったので、
いろいろ悩んだ挙げ句、「しそ」 と 「長芋」 を追加オーダー。




どちらも特製の和風だれで食べるよう勧められました。
長芋餃子はさらに、ワサビを付けるのもオススメとのことです。
しそ入りの餃子のほうは、予想通り、サッパリした味わい。
長芋入りの餃子のほうは、餡がねっとりサックリとしていて、これまでにない食感。
ワサビを付けて食べるというのも新鮮でした。
4種類の餃子の中では、ダントツで 「長芋」 がお気に入りです。


・・・・・・・・と、すっかり単なる餃子レポートになってしまいました。
肝心のガウディに話を戻しましょう。
つまるところ、どのあたりがガウディなのか、お店の方に聞いてみました。
すると、こんな答えが返ってきました。

「ガウディの死後も建設工事が続くサグラダ・ファミリアのように、
 食べるたびに少しずつ味や見た目が進化していく餃子を提供したいという願いを込めました」

う~ん。わかったようなわからないような。


ちなみに、たまたまなのでしょうが。
お店のすぐ近くには、サグラダではなく、桜田公園がありました。

imageimage



<お店情報>
餃子や ガウでぃ
住所:東京都港区新橋3-16-11 中桜ビル1F
定休日:日曜・祝日
営業時間:[月~金]15:00~23:30  [土]16:00~ 餃子なくなり次第終了
 



美術ブログ界の巨匠になるべく、ランキングに挑戦しています
Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

ラスト・ウキヨエ 浮世絵を継ぐ者たち

$
0
0
現在、太田記念美術館では、
トム・クルーズ主演のあの映画を彷彿とさせるタイトルの展覧会が開催されています。
その名も、“ラスト・ウキヨエ 浮世絵を継ぐ者たち”




浮世絵の全盛期であった江戸時代以降、
つまり明治時代の浮世絵、「最後の浮世絵師」 たちの作品を紹介する展覧会です。
これまで、「最後の浮世絵師」 というと、
月岡芳年や小林清親、河鍋暁斎あたりが紹介されるのみでしたが。
今回の展覧会では、彼らの作品はもちろんのこと、


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


その弟子たちを含む次の世代の浮世絵師、
いうなれば、「本当の最後の浮世絵師」 の作品にもスポットが当てられています。

二代歌川芳宗、右田年英、山田敬中、尾形月耕、山本昇雲、宮川春汀…etc

正直なところ、“はじめまして” な浮世絵師のオンパレードでしたが。
マイナーだからと言って、作品に魅力が無いということは決してなく。
現代の目で見ても十分にカッコよく感じられる、
ドラマチックでスタイリッシュな作風の浮世絵が多々ありました。




これまで、漠然と浮世絵文化に対して、
明治になって、尻つぼみ的に衰退したような印象を抱いていましたが。
この展覧会を通じて、そのイメージが一新。
明治時代に突入しても、浮世絵は変わらず華々しいままだったようです。
また、「最後の浮世絵師」 とは言うものの、彼らの多くは、
浮世絵師として殉職 (?) したわけではなく、日本画家へとシフトチェンジしています。
彼らこそ、浮世絵界と明治大正の日本画界を繋ぐ重要な存在だったのですね。
星


さてさて、ここからは、今回の出展作の中で気になったものをピックアップしてご紹介。
まずは、山村耕花の 《梨園の華 七代目坂東三津五郎の唖・次郎助》 (画面右) です。




どこを見ているのか、よくわからない視線。
何を考えているのか、よくわからない表情。
そして、『しお』 と書かれたプレートを首から下げ、それを無言でスッと強調する。
そんなよくわからないパフォーマンスをする感じ。
う~ん。彼から発せられる空気感は、誰かに似ているような・・・・・・あっ!
芥川賞作家の羽田圭介だ!


続いては、山田敬中の 《洗馬図》 (画面右)




青く塗られたいっぱいの画面の中に、丸い窓。
う~ん、このテイストも、やはり何かに似ているような・・・・・・あっ!
『ドラえもん』 とか 『キテレツ大百科』 とか、藤子・F・不二雄アニメのラストシーンだ!

ちなみに、山田敬中の 《洗馬図》 が、藤子・F・不二雄なら、
生没年不明の謎の絵師・安田蕉堂の 《神泉花に小野小町雨乞》 は、新海誠アニメでした (←?)。




モチーフとなっているのは、小野小町が歌の力で雨を降らせたという故事。
しかも、雨雲の一部からスポットライトのような強烈な晴れ間がのぞいています。
天気を自在に操る小野小町。
いうなれば、平安時代の 『天気の子』 です。

最後に紹介したいのは、安田蕉堂と同じく、
生没年不明の謎の絵師・市川甘斎の 《蛙》 という一枚。




蛙が擬人化されていて、一見すると、ユーモラスな印象なのですが。
顔つきや全体的な質感は、むしろ不気味。
カワイイのか。キモイのか。
見れば見るほど、どっちかわからなくなってくる。
これまでに味わったことのない不思議なテイストの浮世絵でした。
とりあえず、こっち来んな!




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ

特別展 ミイラ ~「永遠の命」を求めて

$
0
0
現在、国立科学博物館で開催されているのは、
“特別展 ミイラ ~「永遠の命」を求めて” という展覧会です。




こちらは、ミイラにスポットを当てた展覧会で、
世界各地から集められたミイラが一堂に会しています。
これまでにも、主にエジプト考古学系の展覧会で、ミイラを目にする機会はありましたが。
それでも、せいぜい多くて2ミイラか、3ミイラなものでした。
しかし、世界最大規模の今回のミイラ展で目にすることができるのは、なんと43ミイラ!
人が一生で見る分のミイラの数 (←?) を遥かに超えるレベルです。
星


さてさて、ミイラと言えば、エジプトの専売特許のようなイメージがありますが。
実は、世界各地でミイラは発見されているのだそうです。
展覧会の第1章で紹介されていたのは、南北アメリカのミイラ。




冒頭で出迎えてくれるのは、《チンチョーロ文化のミイラ》 です。




南米チリに栄えたチンチョーロ文化のミイラは、
エジプトのよりも1000年も早く、今現在わかっている中で、世界最古の人工ミイラなのだそう。
ちなみに、展覧会で日本初公開されていたのは、
チンチョーロ文化の遺跡から発見された子供のミイラ。
放射性炭素年代測定により、約5200年前のものであることが判明しているそうです。


また、南米最大の文明であったインカ帝国にもミイラの文化はあったとのこと。
今展では、ペルー北部の高地にあるチャチャポヤス地方で発見されたミイラ6体が来日しています。



チャチャポヤのミイラ包み6体 ミイラ、布 ペルー 先コロンブス期、チャチャポヤ=インカ文化 ペルー文化省・レイメバンバ博物館所蔵 ©義井豊


パッと見は、新手のゆるキャラのようですが。
この中には、人ではなく、ミイラが入っています。
思わず抱き着いてしまわないよう要注意です。


続く第2章では、いよいよ古代エジプトのミイラが登場。
ミイラそのものだけでなく、ミイラを入れるための棺や、




ミイラをグルグル巻きにしていた包帯なども紹介されていました。
(表面には、「死者の書」 が描かれています)




特に印象的だったのは、《中王国時代のミイラマスク》 です。




基本的に、ミイラマスクは、亡くなった人の肖像が描かれているのだそう。
ということは、この人物は相当に髭が濃かったのでしょうね。
髭が青々としています。

それと、もう一つ印象的だったのが、動物のミイラです。
さすがミイラ大国、エジプト。
イヌやヒヒ、ワニなど、さまざまな動物のミイラが出土しているのだそうです。
今展には、ネコのミイラが来日中。


ネコのミイラ 動物のミイラ、リネン エジプト グレコ・ローマン時代(紀元前2世紀か前1世紀頃) レーマー・ペリツェウス博物館所蔵
ROEMER- UND PELIZAEUS-MUSEUM HILDESHEIM



猫耳が付いているので、なんともキュートでした。
ミイラのくせに。
なお、余談ですが、古代エジプトでは、ネコは非常に可愛がられていたのだそう。
飼いネコが死んだ際には、喪に服すため、家族全員が眉を剃ったのだそうです。


ちなみに、ある意味で印象的だったのが、こちら↓




リネンで作られた男性生殖器、つまり、お〇んちんです。
これをミイラに取り付けていたのだとか。
やや大きめに作られているのが、なんとも (笑)
いつの時代も、男性は、「大きなイチモツをください」 と思っていたのかもしれません。


・・・・・と、それはさておき。
第3章で紹介されているのは、ヨーロッパのミイラ。
この章で特に見逃せないのが、《ウィーリンゲメン》 です。


ウェーリンゲメン ミイラ オランダ、ドレンテ州、ブールタング湿原 紀元前40年頃~紀元後50年頃 ドレンテ博物館所蔵
Collection Drents Museum, Assen, The Netherlands.



こちらは、オランダの湿地帯から発見された2体のミイラ。
日本初公開となる貴重なミイラです。
1904年に発見された当初は、大きいミイラが男性で、
小さいミイラが女性と、男女のカップルと考えられていたとのこと。
しかし、1988年に分析した結果、小さいミイラから顎髭が見つかったのだとか。
つまり、どちらも男。
ポーズから察するに、もしかしたら、漫才コンビだったのかも。


さてさて、最後の第4章では、オセアニアと東アジアのミイラが紹介されています。
その中には、1683年に即身仏となった真言宗の高僧の入定ミイラをはじめ、日本のミイラも。




とりわけインパクトがあったのは、
国立科学博物館が所蔵する 《本草学者のミイラ》
学問的な探求心から自ら望んでミイラとなったとされる日本唯一のミイラです。
長年の研究の末、遺体を保存する方法を編み出した彼は、
「後世に機会があれば掘り出してみよ」 という伝承を残して亡くなったのだそう。
(↑なんちゅう遺言だ!)
それから約100年、昭和になって彼の子孫がお墓を発掘したところ・・・・・




なんと、本当にミイラになっていたのです!!

ただし、彼はミイラ化する方法に関しては、
まったく伝承を残していなかったのだそう (←何でだよ!)。
ミイラ化する方法も、謎ですが、
結局、子孫に対して何をしたかったのかも、謎です。


ちなみに。
内容が内容なだけに、全体的にはシリアスなムードが漂っていますが。
その反動なのでしょうか、お土産コーナーは、かなりはっちゃけていました (笑)。




個人的には、PARCOとのオリジナルコラボ商品に興味津々。
世界から注目されるブランドANREALAGEが手掛けたTシャツを購入してしまいました。
一見すると、ただの白いTシャツなのですが。




スマートフォンでフラッシュ撮影すると・・・・・




なんと、色が変化するのです。
デザインやギミックが気に入ったので、別に構わないのですが、一言だけ。
これって、ミイラじゃなくて、ガイコツですよね?


 ┃会期:2019年11月2日(土)~2020年2月24日(月・休)
 ┃会場:国立科学博物館
 ┃
https://www.tbs.co.jp/miira2019/

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “ミイラ展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、11月15日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ

Sense Island -感覚の島- 暗闇の美術島

$
0
0
東京湾最大の自然島で、横須賀市の沖合に位置し、
かつてショッカーのアジトとして劇中に何度も登場した無人島。
それが、猿島です。
バーベキューや海水浴、海釣りも楽しめるとあって、
日中は大人気の猿島ですが、17時には最終の直行便が出航してしまいます。
つまり、それ以降、猿島は、完全に無人島と化すのです。

そんな無人島なった日没後の猿島で、11月いっぱい開催されるのが、
“Sense Island -感覚の島- 暗闇の美術島” というアートイベント。
暗闇に包まれた猿島の自然とアートが融合したナイトイベントとのことです。
島でのアートイベントといえば、瀬戸内国際芸術祭がパッと思い浮かびますが。
テイストとしては同じようなものなのでしょうか。
はたまた、まったく違うものなのでしょうか。
気になるので、早速訪れてみました。

さて、舞台となる猿島には、当然、船で向かいます。




日中は、こんな感じで見えている猿島ですが。




日没後の姿は・・・・・




ただの黒い塊です (←?)。
これから、あの島で何が待っているのか。
船上で、だんだんと不安になってきました。
頭の中で流れるのは、『金田一少年の事件簿』 のBGM。




この島から、絶対に生きて帰ってきてみせる!
じっちゃんの名にかけて!



・・・・・・・・・とかなんとか。
くだらないことを妄想しているうちに、猿島に到着しました。
(所要時間は約10分)




まず出迎えてくれたのは、
博展による 《prism》 という作品です。




砂浜にたくさん置かれているのは、プリズム。
そこにスポットライトを当てることで、
無数のカラフルな光が反射するという作品です。





なんというか、エイベックス感 (?) のある作品でした。
倖田來未とかAAAとかのライブで、こういう演出してそう。
(↑あくまで勝手なイメージですw)

ちなみに、船上からも見えていた島から伸びる一筋のサーチライト。




あれもアート作品でした。
齋藤精一さんによる 《JIKU #004 SARUSHIMA》 という作品です。
齋藤精一さんは、リオ五輪の閉会式やPerfumeの舞台演出でも知られる、
クリエイティブ集団ライゾマティクス・アーキテクチャーの代表取締役社長。
今回のアートイベントのプロデューサーも務めています。


ということは、これ以外の作品も、
暗闇に浮かび上がる光を使った近未来感溢れる作風のものなのでしょうか?!
期待に胸を膨らませつつ、いざ暗闇の島へ上陸・・・・・・・と、その前に。




何やら、このテントである儀式を行わないといけないようです。
その儀式とは、スマホを封印すること。




ここは、猿島改め、感覚の島。
感覚を研ぎ澄ますため、スマホは使えないのです。
写真撮影も出来なければ、検索も出来ません。
そして、灯りとしても使用できません。
代わりに、支給されたのは、小さなライトが1本のみ。
しかも、4~5人のグループに一つだけです。


(注:スマホを封印されてしまったので、ここからは画像がありません)

さて、その心許ない灯りだけを頼りに、真っ暗闇の島を散策します。
闇、闇、闇、波の音、虫の声、闇、そして、ときどきアート。
鈴木康弘さんの 《遊具の透視性》 や、
後藤映則さんの 《逸話》 など、素敵な作品も、ままありましたが。
全体的には、アートよりも暗闇の島の雰囲気のほうが強く印象に残るイベントでした。

・・・・・ん、ということは、
猿島に限らず、普通に夜の島を訪れても、あまり変わりが無いのでは?!
スマホを封印され、感覚が研ぎ澄まされた分、そんなことを考えていました。
星

とはいえ、シチュエーションや試みは、
他にはない個性があって、興味深かったので。
また来年以降も開催されるようであれば、
ブラッシュアップしたものを期待しています!




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ

【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】

$
0
0
現在募集中のアートツアーです。

アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画を心掛けております。
初参加の方も多いので、どうぞお気軽にご参加くださいませ♪
(男女比は、7:3くらいで女性が多いです。
 また、おひとりで参加される方が大半ですので、一人でもふらっと遊びにいらしてください!
 お子様とご一緒の参加も大歓迎です[お子様の参加費は基本無料])
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
参加希望の方は、お手数をおかけして恐縮ですが、
件名に希望するアートツアーを明記して、以下のメールフォームよりお申し込みくださいませ。
詳細をお知らせいたします。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
お知らせ先のメールアドレスが間違っている方が、ごくたまにいらっしゃいます。
こちらからの返信がない場合は、もう一度お送り頂けますと幸いです。


11/16(土) みんなの大東京建築ツアー【築地の・・・今 編】

世界中の建築ファンが憧れる街・東京。

この街には、たくさんの名建築が存在しています。
そんな東京で生活をしていながら、建築に興味が無いなんて。
何ともったいないことでしょう!

「・・・・でも、“建築”って何をどう観たらいいの?? 」

そんな皆様にお送りするのが、みんなの大東京建築ツアー。
実際に東京の街をぶらぶらしながら名建築を巡り、
進行役の僕と講師の建築家が掛け合いをしながら、その魅力をたっぷりお伝えするツアーです。

世界最大級の魚市場を有し、83年にわたって、「日本の台所」 として親しまれてきた築地。
しかし、昨年、市場が豊洲に移転して以来、
すっかり足が遠のいている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、そんな築地をあえてフィーチャー!
築地の顔ともいうべき名建築から、
築地の新たな人気スポットや間もなく取り壊されそうな昭和の名建築などを巡ります。
さらに、せっかくなので、築地場外市場も訪れましょう♪
皆さまのご参加を心よりお待ちしております!

時間:13時~17時半
定員:15名
参加費:1500円

ご参加希望の方は、みんなの大東京建築ツアーの公式HPからお願いいたします↓
https://arc-tour.org/


11/17(日) 「ハプス展はいいぞ」 の旅。

現在、国立西洋美術館にて、“ハプスブルク展” が絶賛開催中です。

約600年間にわたって世界最高峰の美術コレクションを築いたハプスブルク家。
そのコレクションの中から選りすぐられた名品の数々が来日した、この秋大本命の展覧会です。
ベラスケス、レンブラント、ブリューゲル (父) といった巨匠たちの名画に、
マリー・アントワネットやナポレオンの肖像画、西洋の甲冑など、貴重そうな奴は大体揃っています。
この展覧会を是非、みんなで観に行きましょう♪
展覧会をたっぷり堪能した後は、カフェに移動し、みんなでワイワイと感想を共有できればと。
美術マニアの集いではないので、小難しい感想は必要なし!
気軽にご参加くださいませ。

時間:13時~16時
定員:12名
参加費:1600円 (展覧会鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


11/23(土) アートでオシャレな街 “丸の内” 徹底解剖ツアー

上野に、六本木に、銀座に。
東京には、さまざまなアートなエリアがありますが。
その中でも特に押さえておきたいエリアが、丸の内です。

今回のアートツアーでは、そんな丸の内のアートな魅力を徹底解剖!
知的好奇心が刺激されるミュージアムやインスタ映えするパブリックアート、
レトロな名建築など、丸の内ならではのアートスポットを余すことなくご紹介いたします。

もちろん、そんなアートタウン “丸の内” の顔ともいうべき、三菱一号館美術館も訪問!
こちらでは、今年の芸術の秋大注目の展覧会 “印象派からその先へ―” を観賞いたします。
展覧会の見どころや裏話もお届けしますので、どうぞお楽しみに♪

時間:13時~17時半
定員:12名
参加費:1600円 (展覧会鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


11/30(土) みんなの大東京建築ツアー【千住編】

世界中の建築ファンが憧れる街・東京。

この街には、たくさんの名建築が存在しています。
そんな東京で生活をしていながら、建築に興味が無いなんて。
何ともったいないことでしょう!

「・・・・でも、“建築”って何をどう観たらいいの?? 」

そんな皆様にお送りするのが、みんなの大東京建築ツアー。
実際に東京の街をぶらぶらしながら名建築を巡り、
進行役の僕と講師の建築家が掛け合いをしながら、その魅力をたっぷりお伝えするツアーです。

今回のツアーの舞台は、千住。
講師を務める建築家・伊藤嘉朗氏のホームタウンともいうべきエリアです。
江戸時代、日光道中と奥州道中など、
主要な交通路の宿場町として栄えた歴史の深い街として知られる千住ですが、
ここ近年、大学のキャンパスが多く新設され、街の新陳代謝が進んでいるそうです。
「穴場だと思う街ランキング」 4年連続1位の北千住を中心に、新旧の名建築を巡る今回のツアー。
伊藤氏の設計した建築も登場予定です。
どうぞお楽しみに♪

時間:13時~17時
定員:15名
参加費:1500円

ご参加希望の方は、みんなの大東京建築ツアーの公式HPからお願いいたします↓
https://arc-tour.org/


12/7(土) “Xmas Art Festa” 史上最強の銀座ギャラリーツアー!!

「銀座のギャラリーを巡ってみたい!」

・・・・・でも。

“たくさんありすぎて、どこに行けばいいのかな?”
“敷居が高そうだし・・・(´・ω・`)”
“無理やり買わされたら、どうしよう・・・(´□`。)”

そんな不安を抱える皆様、お待たせいたしました!
こちらは、アートテラーとして自信を持って、
「これぞ、銀座のギャラリー巡りの決定版!」 とお送りするツアーです。

ツアー日の12月7日は、クリスマスシーズン恒例のXmas Art Festaが開催中!
銀座のギャラリーが、1年で1番ワクワクウキウキしている日と言っても過言ではありません♪

ツアーでは、普段から仲良くさせて頂いているギャラリーから、
銀座に行ったら絶対に訪れておきたい老舗ギャラリー、 有名ブランドのギャラリーなど、
時間の許す限り、たくさんのギャラリーをご案内させて頂きます。

さまざまなジャンルのアートに出逢えるのは、もちろんのこと。
キャラの濃いギャラリストさんも続々登場予定ですので、いろいろと楽しい話も聞けちゃいます。
楽しい上に、ギャラリーでのhow toも身に付く一石三鳥なアートツアーです。

時間:13時~16時
定員:10名
参加費:1000円

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


12/7(土) 今夜は“Xmas Art Festa”スペシャル・パーティー

クリスマスシーズン恒例。
銀座を代表するギャラリーの数々が主催する特別なアートイベント。
それが、Xmas Art Festaです。
華やかなイルミネーションに彩られた銀座の街で、
カジュアルにギャラリー巡りを楽しむことができます。

その2日目の夜を飾る特別イベントとして、
今年もパークホテル東京のアートラウンジにて、スペシャル・パーティーが開催されますクリスマスツリー
美味しいお酒と軽食を楽しみながら、
銀座を代表するギャラリストやアーティストの皆様と交流できる一夜限りのパーティーです!

宿泊券や銀座のギャラリーで使える商品券など、
豪華景品がもれなく当たる抽選会は、今年も健在!
さらに、エキシビションとして、アートテラー・とに~プロデュースのバラエティ企画、
ギャラリストたちの熱きプレゼンバトル 『どっちのアートショー2019』 も開催いたします。
1年を締めくくるに相応しい企画となっております。
どうぞお楽しみに!

時間:17時~19時
参加費:4000円
(本来なら5000円なのですが、僕の紹介であれば特別価格にしてくださるそうです)

<スペシャル・パーティー申し込み方法>
以下のメールの件名またはFAXに 「Xmasスペシャル・パーティー申し込み」 と明記の上、
◎氏名 ◎人数  ◎電話番号 (日中に繋がる番号) ◎メールアドレス (FAX番号)
を送信してください。
折り返し、ご連絡をさせていただきます、とのこと。
(特別価格での参加を希望の方は、
 「アートテラー・とに~のブログから申し込みました」 という旨も忘れずお書き添えください)

銀座ギャラリーズ事務局/斉藤
 ● Mail/info@ginza-galleries.com
 ● FAX/03-3991-8806



12/8(日) “目 非常にはっきりとわからない” へ行こう!

現在、千葉市美術館にて、
今最も人気の現代芸術活動チーム目【mé】 による大々的な初個展が開催されています。
その名も、“目 非常にはっきりとわからない”

「ネタバレ絶対禁止!」 という前代未聞の展覧会。
すでに観賞した僕がただ一つ言えるのは、
千葉市美術館全体を使って、とんでもないことが起こっているということ!
おそらく美術史に残るであろうエポックメイキングな展覧会です。

そんな “目 非常にはっきりとわからない” を、
みんなで一緒に観に行こうというのが、今回の企画。
目【mé】 がこの展覧会に込めた仕掛けは、
もしかしたら、自分一人では、非常にはっきりとよくわからないかもしれないですが。
みんなで観に行けば、きっと仕掛けに気づけるはずですよ!

時間:13時~17時
(東京方面からご一緒を希望の方は、13時にJR東京駅にお願いいたします。
 千葉市美術館で直接合流希望の方は、お申し込み時にその旨お伝えくださいませ)

定員:10名
参加費:1200円 (展覧会鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


12/14(土) 大浮世絵アートツアー

今回お届けするのは、『浮世絵』 をテーマにしたアートツアーです。

はじめに訪れるのは、江戸東京博物館。
こちらでは、浮世絵界のスーパースター勢揃いの展覧会、
“大浮世絵展 〜歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の共演〜” が開催されています。
まずこの展覧会で、たっぷりどっぷりと浮世絵の世界に浸りましょう。

その後、カフェ休憩を挟んで、
江戸東京博物館から東に進むエリアへ。
実は、かつて、この一帯に葛飾北斎が住んでいたのだそう。
そんな北斎ゆかりの街を散策しつつ、
2016年にオープンしたすみだ北斎美術館にも訪れます。

浮世絵が好きな人はもちろん、
これを機に好きになってみたい方も大歓迎です♪

時間:13時~17時半
定員:10名
参加費:2500円 (2つの展覧会鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


いずれのツアーも、皆様のご参加を心よりお待ちしております!!

Book:33 『線は、僕を描く』

$
0
0



■線は、僕を描く

 作者:砥上裕將
 出版社:講談社
 発売日:2019/6/27
 ページ数:322ページ

両親を交通事故で失い、喪失感の中にあった大学生の青山霜介は、
アルバイト先の展覧会場で水墨画の巨匠・篠田湖山と出会う。
なぜか湖山に気に入られ、その場で内弟子にされてしまう霜介。
それに反発した湖山の孫・千瑛は、翌年の 「湖山賞」 をかけて霜介と勝負すると宣言する。
水墨画とは、筆先から生みだされる 「線」 の芸術。
描くのは 「命」。
はじめての水墨画に戸惑いながらも魅了されていく霜介は、線を描くことで次第に恢復していく。
(Amazonより)


「これまで、このコーナーでは、
 実在の芸術家をモチーフにした映画や小説を取り上げてきました。
 しかし、こちらの 『線は、僕を描く』 は、完全なるフィクション。
 青山霜介という若手水墨画家は存在しませんし、
 水墨画の巨匠・篠田湖山なる人物も存在していません。
 ついでに、「湖山賞」 もありません。

 それでもあえて紹介したのは、
 作者の砥上裕將さんが、なんと水墨画家だから。
 そう、こちらは、現役の水墨画家が、水墨画の世界をテーマに描いた小説なのです。

 水墨画に触れたことがない、ましてや、まったく筆を持ったことがない、
 そんな大学生の主人公が、ひょんなことから、水墨画界の重鎮と出逢い、
 ひょんなことから、その水墨画の巨匠に、才能を見いだされ、教えを受けることに。 
 そして、才能がめきめきと開花する。
 まるで 『ガラスの仮面』 や 『ヒカルの碁』 のような、漫画的な展開です。

 さらに、主人公のライバルには、美人水墨画家 (二人の関係性はやがて・・・)。
 主人公の親友 (悪友) には、ちょっと変わった野郎。
 と、キャラクター造形も、まさに漫画チックです。

 
 それなのに、内容が薄っぺらく感じられないのは、
 何といっても、肝心の水墨画の描写にリアリティがあるからに他なりません。
 さすがプロ。さすが本職。
 説得力ありありでした。
 なるほど。水墨画って、そういうところが見どころなのか!
 そういう風に楽しむのか!その表現って、実は難易度が高いのか!
 知らないことだらけで、読めば読むほど勉強になりました。
 読み終わった後、無性に水墨画を観に行きたくなります。
 (その欲は、富山県水墨美術館で満たしました)
 そして、無性に水墨画を描きたくなります。
 試しに、家にあった墨と筆で蘭を描いてみましたが、
 主人公と違って、僕には水墨画の才能が全く無かったようです。
 でしょうね。


 なお、砥上裕將さんは、この小説がデビュー作とのこと。 
 しかも、森博嗣さんや西尾維新さん、辻村深月さんなど、
 そうそうたる人気小説家を輩出してきた 『メフィスト賞』 を今作で受賞したのだそう。
 30歳半ばにして小説を書いてみたら、いきなり名誉ある賞を受賞してしまうだなんて。
 事実は小説よりも奇なり。
 主人公よりも、とんでもない才能の持ち主です。

 ちなみに。
 漫画みたいな設定の小説だと思っていたら・・・

 


 実際に、漫画化もされているそうです。
 小説では、イケメン設定はなかったのに、
 漫画では、だいぶ主人公がイケメンに描かれています。
 才能もあって、フェイスも良くて・・・・・チッ(・д・)
 
 僕は、漫画よりも断然、小説派です。
 スター スター スター スター ほし(星4つ)」


~小説に登場する名画~

紅ミュージアム リニューアル

$
0
0
文政8年 (1825年) に創業した老舗中の老舗、
現在は日本で唯一の紅屋である伊勢半本店が運営するミュージアム。
それが、紅ミュージアム。
創業時から守り続けている紅作りの技や、
近世の化粧道具などを中心に紹介するミュージアムです。




そんな紅ミュージアムは、館内改修工事のため、
今年の夏より長きにわたって、休館をしていました。
そして、先日、ついにリニューアルオープン!
展示スペースが拡張した・・・・・・・わけではなかったのですが。
リニューアル以前よりも内容が濃く、かつスッキリ見やすい展示になっていました。




リニューアルの目玉の一つは、
かつて日本橋小舟町にあったという伊勢半の店頭風景の再現模型です。




これまでは資料の挿絵が紹介されているだけでしたので、
紅屋がどんなところだったのか、今一つイメージしづらかったのですが。
模型が誕生したことで、圧倒的に理解しやすくなりました。
また、理解しやすくなったといえば、紅作りの行程も。




展示室では、紅ができるまでの職人技のあれこれが、
約3分にまとめた新撮の映像がループで再生されていました。
こんなにも手間ひまをかけているからこそ、
あの玉虫色の神秘的な輝きが生まれていたのですね!


(玉虫色ではありますが、水に溶くと、ちゃんと紅になるのでご心配なく!
 なお、伊勢半の純度の高い紅が、なぜ玉虫色となるのかは、現在の科学を持ってしても未だ解決されていないのだそう)



ちなみに、とても希少な紅だけに、
購入するとなると、それなりのお値段がします。
そんな貴重な紅が、なんと無料で体験できてしまうのが、紅ミュージアムの売りの一つ。
嬉しいことに、リニューアル後も紅の無料体験は健在です。
日本でも、いや、世界でも、おそらくここでしか出来ない体験ですよ!




さてさて、紅作りの工程が紹介されている一方で、
「化粧」 の歩みについても、たっぷりと紹介されていました。
展示ケースには、江戸時代の化粧道具の数々がディスプレイされています。




おしろいや紅といったベタな (?) 化粧品には、そこまで心が動かされなかった僕ですが。
サラッと展示された地味な展示品、《房楊枝》 には興味津々でした。





房状になっている部分は、今でいう歯ブラシ。
反対側の尖っている部分は、歯間ブラシ的に使われていたのだとか。
また、柄の部分がやや不思議な形をしていますが、
こちらは、「舌こき」 と呼ばれており、舌の汚れを取るためのものだったのだそう。
江戸時代の人々は、現代よりもオーラルケアをしっかりとしていたのですね。

また、江戸時代ならではの化粧であるお歯黒の道具一式も紹介されていました。




葉を黒く染めるお歯黒。
正直なところ、現代人からすると、「何それ?!」 という印象はありますが。
当時、日本を訪れた外国人も、同じような感想を抱いていた模様。




あのペリーも、こんな発言をしていたようです。




お歯黒は、さておきまして、
「日本女性の容姿は悪くない」 って、どの立場で評価しているのでしょうか。
ペリーの上から目線ぶりが、なんだか気になりました。


さて、そんなペリーの発言が引き金になったわけではないでしょうが、
明治時代に入ると、西洋式の化粧が取り入れられるようになったそうです。




と言っても、明治の初期の頃の香粧品は、
容器はガラスと西洋風ながらも、ラベルは江戸時代風。




そこから、どのようにパッケージが変遷していったのか。
伊勢半本店の商品だけでなく、
資生堂をはじめとする他企業の商品とともに紹介されていました。




普段、化粧をしない男の僕ですら、眺めていて普通に楽しかったので。
女性の方なら、おそらく一層楽しめるのではないでしょうか。
星


ちなみに。
点数は多くはないですが、化粧に関する浮世絵も展示されています。
化粧には全く興味がなくとも、
浮世絵好きであれば、紅ミュージアムは抑えておきたいところです。




最後に。
今回のリニューアルを経て、新たに加わった展示品の中で、
個人的にどうしても気になってしまったものをご紹介いたします。
それは、京都のとある紅屋の明治時代の紙看板 (ポスター) です。




紅のポスターなのに・・・・・




紅、小っちゃ!
むしろ紅よりも衣装や扇子の方が目立っています。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ

窓展:窓をめぐるアートと建築の旅

$
0
0
この秋、東京国立近代美術館でスタートしたのは、
“窓展:窓をめぐるアートと建築の旅” という展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


展覧会のテーマは、ズバリ 「窓」。
YKK AP株式会社が設立した一般財団法人 窓研究所と、
東京国立近代美術館とがタッグを組んで実現した展覧会です。
会場では、アンリ・マティスの絵画作品を筆頭に、


アンリ・マティス 《待つ》 1921-22年 愛知県美術館


デュシャンやリキテンシュタインといった20世紀美術の巨匠の作品や、




さらには、ル・コルビュジエやルイス・カーンら世界的建築家が描いた窓のスケッチなど、



ピーター・アイゼンマン 《住宅第4号》(コネチカット州フォールズ・ビレッジ)アクソノメトリック図
1970-71年頃 インク・紙 61 x 61 cm カナダ建築センター
© CCA Peter Eisenman fonds Collection Centre Canadien d'Architecture/ Canadian Centre for Architecture, Montréal



アートや建築におけるさまざまな窓が紹介されています。
一口に 「窓」 といっても、そのタイプは多種多様。
採光や換気のための一般的な窓もあれば、




ショッピングのためのウインドウ、




さらには、パソコン画面のウインドウもあります。




中には、「こころの窓を開くアート」 やら 「窓はスクリーン」 やら、
比喩がすぎるものもあり、“それも窓??” と惑 (まど) ってしまうことも、ままありましたが。
これまでにない新鮮な切り口ではあるので、
全体的には、“次にどんな作品が紹介されるのだろう?!” と楽しめました。
終始ワクワクする展覧会でした。窓だけに。
星星


今回出展されている作品は、58作家による117点。
その中で個人的に印象に残っている作品をいくつかご紹介いたします。
まずは、《8枚のガラス》
「ドイツ最高峰の画家」 と称されるゲルハルト・リヒターの珍しい立体作品です。


ゲルハルト・リヒター 《8枚のガラス》


約35%は鏡のように像を映し、65%は向こう側が透けて見える。
そんな特殊なガラス8枚が、ランダムな角度で設置されています。
それだけといえばそれだけの実にシンプルな作品なのですが。
これまでに見たことない不思議な光景が目の前に広がり、
しばらくの間、飽きることなくボーっと眺めていられました。
作品の反対側に誰かがいてくれると、より楽しくなります。
普段は、同じ展示室にいる見知らぬオジサンなんて気にも留めませんが (←?)。
《8枚のガラス》 越しに眺めると、ちょっとだけ素敵に感じられました。
世界がちょっとだけ素敵に見える作品です。


続いて紹介したいのは、スイス出身のローマン・シグネールの 《よろい戸》


ローマン・シグネール 《よろい戸》 ©Roman Signer


木造の構造物の中央に観音開きの戸があります。
その後ろ側には扇風機が1台あり、
それが起動すると、当然風の力で戸が開きます。
すると、今度は手前の2台の扇風機が起動します。


ローマン・シグネール 《よろい戸》 ©Roman Signer


そして、戸はパタンと閉まります。
・・・・・・が延々と繰り返すだけの作品です。
次に何が起こるのか、わかってはいるのに、
戸が開いたり、閉じたりするたびに、思わずニヤッとさせられます。
まるでベテランのトリオ芸を見ているかのよう。
段々と、この3台の扇風機が、ダチョウ倶楽部に見えてきました。


陳劭雄 (チェン・シャオション)、ギムホンソック、小沢剛さんによるアートユニット
「西京人」 による 《第3章:ようこそ西京に―西京入国管理局》 は、今展でも最も要注意な作品。


西京人 (小沢剛、チェン・シャオション、ギムホンソック) 《第3章:ようこそ西京に―西京入国管理局》


こちらは、「西京国」 という架空の国の空港の入国管理局をモチーフにした作品です。
来場者が、西京国に入国するためには、
つまり、その先の展示室に進むには、とある行為を係員に披露しなければいけません。




何故、美術館でこんな無茶ぶりを要求されなくちゃならないのか?!
最強に、この場から逃げ出したくなりました。


ちなみに、《第3章:ようこそ西京に~》 も、かなり大がかりなインスタレーション作品でしたが。
それ以上に大きいのが、美術館の前庭に出現中のこちらの作品。


藤本壮介 《窓に住む家/窓のない家》


気鋭の建築家・藤本壮介さんによる 《窓に住む家/窓のない家》 です。
この展覧会のためのアート作品かと思いきや、
実際に藤本さんが大分に設計した 「House N」 という住宅のコンセプトモデルなのだそう。
こんなスカスカ (スケスケ?) な家が、現実にあるのですね。
ここまでオープンだと、住んでいる人よりも、
むしろ周りに住んでいる人のほうが、気になってしまうような。
見ているこちらが恥ずかしくなってしまうパターンです。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ

人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-

$
0
0
現在、“正倉院の世界” が絶賛開催中の東京国立博物館ですが、
平成館ではなく、本館の向かって右にある東洋館の3室でも特別展が開催されています。
その名も、“人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-”



(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


カタール国の王族シェイク・ハマド・ビン・アブドラ・アール・サーニ殿下が、
長年かけて収集したアジアや中南米など世界各地の古代文化が生み出した工芸品コレクション、
通称ザ・アール・サーニ・コレクションの中から、117件を厳選して紹介する展覧会です。
ちなみに、来年2020年春より、ザ・アール・サーニ・コレクションは、
パリのコンコルド広場に面したホテルに特設されるミュージアムスペースで公開されるのだそう。
つまり、フランスの皆様に先駆けての日本公開。
実は、かなり貴重な機会なのです!
正倉院のコレクションもいいけど、“ザ・アール・サーニ・コレクション” もね。
星


さてさて、そんなザ・アール・サーニ・コレクションですが、
今展では、「人」、「神」、そして、「自然」 と3つのテーマで紹介されています。
まずは、「人」。
こちらのゾーンでは、古代社会を統治していた王や有力者に関する工芸品が紹介されています。
特に印象深かったのは、日本ではこれまでほぼ紹介されたことが無いという、
ナイジェリア北部の古代文化、ノク文化のものと思われる粘土製の 《男性像頭部》




メガネをかけたら、完全におぎやはぎの矢作さん。
期間中に、『ぶらぶら美術・博物館』 で対面を果たす機会はあるのでしょうか。

他にも、絶対に 悔しいです! と言ってるオルテカ文化の 《ペンダント》 や、




黄桜のカッパのCMくらいに無駄にエロティックなエジプトの 《化粧用匙》 が印象的でした。




ちなみに。
《化粧用匙》 の後ろに見える、『ウルトラQ』 の怪獣みたいなヤツは、
実は、こう見えて、2人の人物が抱き合っている姿を様式化したものとのこと。


《飾り板》 金、カーネリアン、瑪瑙  中央アジア 前2千年紀中頃


・・・・・え~っと、どこが!?

と、ツッコみたいところですが。
それはそれとして、れっきとした純金製。
貴重な品であることだけは、確かです。


さて、続いてのテーマは、「神」。
古代社会を形成する上では欠くことが出来なかった、
人智を越えた神という存在を表現したものの数々が紹介されていました。




特に印象的だったのは、紀元前3300~2500年に、
トルコのアナトリア半島にて作られたとされる不思議な彫像です。


《女性像「スターゲイザー」》 大理石ほか アナトリア半島西部 前3300~前2500年頃


通称、スターゲイザー。
スピッツの曲を連想せずにはいられない彫像です。
なんでも張り出した頭が、少し後ろに反らされていて、
まるで星を見上げているかのように感じられるため、スターゲイザーと呼ばれているとのこと。
グレイタイプの宇宙人にも、クリオネにも見える不思議な彫像です。

また、こちらのゾーンでは、エジプトから出土した 《クラッパー》 なる楽器も紹介されていました。




どこからどう観ても、「友達の輪!」。
昭和時代の 『笑っていいとも!』 を彷彿とさせるものがありました。


最後のテーマは、「自然」。
自然というと、ジャンルはかなり幅広いですが、
本展では、主に “自然=動物” に絞って紹介されていました。




ペルーで出土した 《鼻飾り》 を筆頭に、


《鼻飾り》 金、ラピスラズリ/ソーダ石ほか ペルー 2~4世紀


素朴で味わい深い表現の工芸品が多く、




「ゆるキャラかよ。アハハハハ」 なノリで鑑賞していましたが。
よくよく見ると、こちらに展示されていたのは、すべて純金製。
見る目が一気に変わりました。


 ┃会期:2019年11月6日(水) ~ 2020年2月9日(日)
 ┃会場:東京国立博物館 東洋館
 ┃
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1979

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “ザ・アール・サーニ・コレクション展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、11月25日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ

第百七十九話 国宝ハンター、煽られる!

$
0
0
前回までのあらすじ~

日本全国にある国宝をすべて目にしたい!
そんな “こくほうずラブ” な男・とに~。
2011年より国宝ハンターとしての活動をスタートし、
つい先月には、1019件目の国宝をゲットするにいたった。
その活動が地味に認められ、これまでに国宝に関する本を出版。
さらに、テレビ出演や雑誌への寄稿、
先日も、『ノジュール』 という雑誌で国宝特集の監修を務めた。
それもこれも国宝のおかげ。
「国宝が俺をシンデレラにしたんだ。」



今回の旅の舞台は、高知県。
日本で初めて、かつ日本で唯一、
“人名を愛称にした空港” 高知龍馬空港から旅はスタートしました。




高知県にある国宝は、全部で2つ。
今回はその両方を狙います。
まず向かうのは、豊楽寺 (ぶらくじ) です。

「高知県は、電車の本数が少ない!」 ということと、
スケジュールの都合で、今回は泣く泣くレンタカーを使いました。
(ヒーヒー歩いたり、ヒーヒー自転車を漕ぐのを楽しみにされていた方、申し訳ありません!)

が、しかし。

車だから余裕だろうと思いきや。。。
事件は豊楽寺まで残り3kmの道中で発生しました。




これまで訪れてきた国宝の中でも、
5本の指には入るほど、辺鄙な場所にある豊楽寺。




1車線しかない登り道がひたすら続きます。
“対向車が来ませんように!!” と、どれほど強く願ったことでしょう。
しかも、ガードレールはほとんど無し。
上の写真では、まだ左に竹林があるだけ良いですが、
道中、コースアウトしたらただ落ちるだけの崖も何度も登場します。

とりあえず、崖からは落ちたくありません。
時速20kmくらいでゆっくり慎重に車を運転していたら、
後ろを走る車から、「もっとスピードを出せ!」 とばかりに何度もクラクションを鳴らされました。
まさか、こんなところで今流行の煽り運転を喰らうとは?!
恐る恐るバックミラーで後続車を運転する人を確認すると・・・・・

“えっ?!おばあちゃん!!”

ほっかむりにグラサンをかけた80歳くらいのおばあさんでした。
むしろ、怖い人のパターンよりも怖かったので、
道が少し広くなったところで、左に寄せて、追い抜いてもらうことに。
そのおばあちゃんは、僕の車を追い抜くやいなや、結構な速度で走り去ってゆきました。
地元の人にとっては、このコースは走り慣れたものなのでしょうね。


その後、ようやく豊楽寺に到着。
そこから見える景色は、まるでペルーのようでした (←行ったことないけど)。




さて、そんな豊楽寺の境内にあるのが、
国宝の 《豊楽寺薬師堂》 (ジャンル:建造物) です。





創建は、12世紀。
四国最古の建造物です。
案内板の解説によれば、

『鳳凰の飛翔せる形に以て古雅優美その洗練された美しさは奈良・京都にもひけをとらない』

とのこと。
確かに厳かで風格漂う佇まいでしたので、そこにはまったく異論はないのですが。
『四国の法隆寺と言われている』 という記述に関しては、、、、、

いや、どこが法隆寺だよ!

ナチュラルにツッコんでしまいました。

ちなみに。
もし、正規のルートで参拝していたら、どんな感じだったのでしょう?
豊楽寺へと続く石段を降りてみました。




で、そこを振り返ると・・・・・




完全なる山道!

勇気を出して、もう少し先に進んでみましたが。




まだまだ山道は続くようでした。
車で良かった。
今回ばかりは、心底そう思いました。


続いてやって来たのは、小村神社。
587年に創建されたという歴史の深い神社です。





さて、この日は11月15日。
1年に1度の秋例大祭の日です。
実は、秋例大祭の日だけ、『尚徳館』 という扁額が掲げられたこの建物にて、




国宝の 《{金銅荘環頭大刀拵/大刀身}》 (ジャンル:工芸品) が一般公開されるのです。




《{金銅荘環頭大刀拵/大刀身}》 は、古墳時代末頃の製作と考えられている刀。
つまり、国宝の刀剣の中で、もっとも古い刀です。
ちなみに、《{金銅荘環頭大刀拵/大刀身}》 が、何を隠そう、小村神社の御神体。
1400年近く、この地を守ってきた刀なのです。
それだけに全体からは、ただの刀とは思えない神聖なオーラが放たれていました。

しかし、一カ所だけ妙に気になってしま部分が。
それは、《{金銅荘環頭大刀拵/大刀身}》 のメインともいうべき 「金銅荘環頭」 の部分。
珠を双龍 (2匹の龍) がくわえている様子を表現しているとのことなのですが・・・




観る方向によっては・・・




抱っこちゃん人形の顔にも見えました。
可愛いゾ。


今現在の国宝ハンティング数 1021/1120




1位を目指して、ランキングに挑戦中!
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると

$
0
0
現在、ワタリウム美術館で開催されているのは、
“フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると” という展覧会。
フランスを代表する現代アーティスト、フィリップ・パレーノの大々的な個展です。




ヴェネチア・ビエンナーレや岡山芸術交流など、
世界各地の芸術祭からオファーが多いというフィリップ・パレーノ。
近年は、パリやロンドン、ニューヨークをはじめ、個展が立て続けに開催されています。
しかし、意外にも、日本の美術館での本格的な個展は、今回が初めてなのだそうです。

そんな日本初のフィリップ・パレーノ展の会場で展示されているのは、
1994年から2006年にかけて彼が生み出したオブジェを再制作したもの。

例えば、こちらの一見、何の変哲もない石もアート作品です。




この石に人が近寄ると、その動きを感知。
内部に仕込まれたワイヤレススピーカーから女性の声が聞こえてくるという作品です。
その名も、ズバリ 《しゃべる石》

そんな 《しゃべる石》 の声に反応して、
明滅を繰り返していたのは、《ハッピー・エンディング》 という作品です。




こちらも、一見すると、ただのランプなのですが・・・・・




実は、注意深く見てみると、ランプから繋がる黒いコードは、そのまま台座の下へ。
特に白いコードとは繋がっていないようです。
・・・・・えっ?ということは、何で光ってるんだ??


では、この白いコードは一体どこに繋がっているのでしょうか?




明らかに数が多すぎるコードの行方を目で辿っていくと・・・・・




どうやら、上のフロアの展示室へと繋がっているようです。
というわけで、エレベーターで一つ上のフロアに移動。
そこには、白熱電球やネオン管といったレトロな照明が、
最新のコンピュータープログラミング技術により激しく点滅を繰り返すという、
フィリップ・パレーノの代名詞ともいうべき作品 《マーキー》 がありました。



(注:館内は写真撮影可能ですが、動画の撮影は禁止です。こちらの動画の撮影は、特別に許可を得ております。)




と、このように、今回の出展作品は、すべて繋がっています。
さらに言えば、人間の動きや太陽光、風向、気圧といった外部環境とも繋がっているとのこと。
それらの影響により、作品が発する音や光が変化するのだそうです。
つまり、展覧会場の光景は、絶えず変化を続けているのです。
一つとして同じ瞬間がない。
まさに、一期一会な展覧会でした。
星


そうそう、一期一会と言えば。
展覧会のメインビジュアルにも使われている 《リアリティー・パークの雪だるま》 という作品。
会場をパッと見た限りでは、それらしき作品は見つけられませんでした。
ということは、たぶんこれが・・・・・




《リアリティー・パークの雪だるま》 なのでしょう (笑)
氷が溶けた水滴が、ポタポタと下に落ち、
まるで水琴窟のような音を響かせていました。
正直なところ、最初目に飛び込んできたときは、
「完璧な姿の 《リアリティー・パークの雪だるま》 が見たかった!」 と思いましたが。
しばらく、その ‘なれの果て’ の姿を眺めていると、
むしろ一部しか無いからこそ、不思議と雪だるまを感じられるような心境になってきました。
千利休の朝顔のエピソードと、どことなく通ずるところがあるようです。
そんな風に思い至った瞬間、展覧会場が茶の湯の世界のように思えてきました。




《リアリティー・パークの雪だるま》 は、つくばい。
《しゃべる石》 は庭石、《ハッピー・エンディング》 は石灯籠、
《マーキー》 は、わびさび感こそないですが (笑)、明り障子でしょうか。
そんなことを考えていたら、
ワタリウム美術館のエレベーターが、にじり口のように見えてきました。




ちなみに、4階の展示室が茶室。




薄暗い空間だったのが、茶室っぽさをより強めていました。
まぁ、フィリップは茶の湯を意識しているわけではなく、すべては僕の妄想に過ぎないのですが。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ

東山魁夷の青・奥田元宋の赤 -色で読み解く日本画-

$
0
0
フェルメールブルーに、シャガールみたいな青い夜に、
ゴッホのイエローに、マティスの赤、“黒の魔術師” マネ・・・etc、
自分色というべき独自の色を持つ西洋の画家は、多数存在していますが。
実は、日本画の世界にも、「東山魁夷の青」 や、


東山魁夷 《年暮る》 1968(昭和43)年 紙本・彩色 山種美術館 


「奥田元宋の赤」 をはじめ、独自の色を持つ画家は存在しています。


奥田元宋 《奥入瀬(秋)》 1983(昭和58)年 紙本・彩色 山種美術館 


そんな日本画における “色” に注目した展覧会が、
現在、山種美術館にて、広尾開館10周年記念特別展として開催中。
その名も、“東山魁夷の青・奥田元宋の赤 -色で読み解く日本画-” です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


色をテーマにした展覧会であるため、
山種美術館の会場は、いつも以上にカラフル!
通常の展覧会に輪をかけて、目にも鮮やかな展覧会となっていました。





さて、今展の出展作品は、約50点。
モチーフや作家、年代などは特に関係なしに、
青、緑、赤、黄、黒、白、銀、金と8色にわけてカテゴライズされています。
もちろん大半の作品は、「青っ!!」 とか、




「白っ!!」 とか、一つの色が際立っていましたが。




中には、「何で、この作品が、この色のコーナーに?」 というものも。
例えば、田渕俊夫さんの 《輪中の村》 という一枚。


田渕俊夫 《輪中の村》 1979(昭和54)年 紙本・彩色 山種美術館


こちらの作品は、銀のコーナーにて紹介されていました。
実は、これまで、この絵を目にしても、
“曇り空を描いた冴えない絵だなァ。。。” くらいにしか感じていなかったのですが。
今回の展覧会を通じて初めて、灰色ではなく、銀色で描かれていたことを認識。
単なる地味な絵というイメージから、むしろ華やかで幽玄の美のイメージへ一新しました。
『アグリー・ベティ』 状態です。

また例えば、柿の木を描いた小林古径の 《秌采》


小林古径 《秌采》 1934(昭和9)年 紙本・彩色 山種美術館


こちらは、金のコーナーで紹介されていました。
「柿の木なのに、金?」 と思いつつ、よくよく葉っぱを観てみると・・・




確かに、金で表現されているではないですか!
これまでに何度か、この絵を山種美術館で目にしているはずなのですが、
柿にばかり目が行ってしまい、この葉が金であることにまったく気がついていませんでした。

と、これらはほんの一例です。
色に注目することで、日本画はもっと楽しくなる。
そんなことを教えてくれる展覧会でした。
星星


ちなみに、今回の出展作品の中で、
個人的に印象に残っているのは、奥田元宋の 《湖畔春耀》 です。




奥田元宋作品の特徴は、その独特のふわふわとした印象の絵肌。
ただ、こちらの 《湖畔春耀》 にいたっては、“ふわふわ” というよりも、“ふわっふわっ”。
アクロンで洗ったニットのような質感が感じられました。
たぶん、首元に巻いても (←?)、チクチクしないくらいに “ふわっふわっ”。


それから、もう一点印象的だったのが、安田靫彦の 《観世音菩薩像》 です。




観世音菩薩が、なんとも言えないような微妙な表情を浮かべていました。




バチェラーから手渡されたのは、薔薇じゃなくて、この草。
・・・・・的な表情を浮かべています。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ

金文―中国古代の文字―

$
0
0
2002年に六本木一丁目の地に、
京都の⿅ヶ⾕にある泉屋博古館の東京館として開館した泉屋博古館分館。
2020年1月より、増改築の改修工事のため、
約2年間にも及ぶ長期休館期間に突入してしまいます。

そんな休館前ラストを飾るのは、泉屋博古館の所蔵品の中でも、
特に世界的にも名高い中国古代青銅器コレクションが一堂に会した展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


さらに、黒川古文化研究所と台東区立書道博物館の中国古代青銅器の名品も集結!
休館前ラストの展覧会に華を添えています。


ただし、今回の展覧会。
中国古代青銅器の名品がズラリと並んではいるものの・・・・・


《宰椃角》 商後期(前11世紀) 泉屋博古館


一般的な中国古代青銅器の展覧会とは違い、その個性的なフォルムや、
表面全体をびっしり緻密に埋め尽くす紋様には、まったく触れられていません。
“金文―中国古代の文字―” と題された、
今回の展覧会でスポットが当てられているのは・・・・・


《宰椃角(部分)》 商後期(前11世紀) 泉屋博古館


表面に見える中国の古代文字、金文です。
青銅 (=金) に鋳込まれた文字だから、金文。
「かなぶん」 でなく、「きんぶん」 です (←一応、念のため)。

三千年以上前に誕生したとう金文は、
言うなれば、 “漢字の祖先” とも言うべき文字。
金属に鋳込まれているがゆえ、紙に書かれたものと比べて、
ほぼ100%そのままの形で、古代人が書いた文字が現代に伝わっています。
それゆえ、極めて貴重な資料とされているのだそうです。




さてさて、長い年月の間に、全体がほぼ緑色に変色してしまった青銅器。
どのあたりに、どんな金文が鋳込まれているのか、素人目にはイマイチよくわかりません。
でも、どうぞご安心を。




ちゃんと写真パネルにて、金文が目立つように紹介されています。




青銅器そのものも、もちろん美術品ですが、
写真家によって撮影されたこれらの写真パネルもまた美術品でした。


さてさて、金文で使われている文字の中には、
現代は使われていないものもあるのだそうです。
それだけに、キャプションには、
《亞𡩜夫鼎》「𡩜」 (げん) であるとか、


《亞𡩜夫鼎》 商後期(前12~前11世紀) 泉屋博古館


《虢叔旅鐘》「虢」 (かく) であるとか、


《虢叔旅鐘》 西周後期(前9~前8世紀) 泉屋博古館


人生において一度も目にしたことがない漢字が多く登場しました。
特に印象的だったのは、《ヒョウ羌鐘(第一器)》 の 「ヒョウ」 という一字。


《ヒョウ羌鐘(第一器)》 戦国前期(前5~前4世紀) 泉屋博古館


難しすぎて、パソコンでは変換できないようです (汗)
漢字にすると、以下のようになります。




『广』 、家屋の中に、馬がギッチギチ。
一体どんな状況なのでしょう。。。


字として認識できない字は、もはや絵 (←?)。
いわゆる書や古文書の展覧会とは違って、
字を読んで楽しむのではなく、字の形を眺めて楽しむタイプの展覧会です。
また、全体像よりも、金文が主役の展覧会であるため・・・・・




普段の展示では閉められている蓋が、パカッと開けられていました。
中国古代青銅器の中が見られるまたとない機会ですよ。


ちなみに、古代青銅器といえば、
泉屋博古館コレクションでも屈指の人気を誇る青銅器 《虎卣》
それをモチーフにした和三盆製の干菓子が、ミュージアムショップで販売されていました。




館の人の話によると、なんでも本館である泉屋博古館で2年前より販売され、
大人気の商品とのことで、ついに今回から分館でも販売されるようになったのだそうです!
なのに、来月からしばらく休館という。。。
展覧会もしばらく見納め。
干菓子もしばらく買い納め。
皆様、ラストチャンスを逃しませぬよう。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ

新・無料で観れる 美術百選 《桂浜公園(高知県高知市)》

$
0
0
先日、高知県を訪れました。
訪問のメインは国宝でしたが、
やはり高知県に来たからには、あの彫刻作品は目にしておきたいところ。
日本人なら誰もが知るであろう有名な彫刻作品。
そう、坂本龍馬像です。


写真や映像などでは何度も目にしていますが、
実際の坂本龍馬像は、一体どんな感じなのでしょう?!
高知県に着く前から、かなりワクワクしていました。

で、いざ高知龍馬空港へと到着。
すると、そこにいきなり坂本龍馬像が現れました。




さらにもう一つ、フルカラーの坂本龍馬像もありました。




また、JR高知駅前でも坂本龍馬像に出逢いました。




さすがに、多すぎぜよ (笑)


もうこの時点で、坂本龍馬像に関しては、
正直なところ、十分お腹いっぱいになってしまいましたが。
気持ちを今一度、洗濯し、JR高知駅から30分ほどバスに乗って、桂浜へと向かいます。
そして、念願の坂本龍馬像と対面を果たしました!






新・無料で観れる 美術百選 093  本山白雲 《坂本龍馬像》

実物と対面したその率直な第一印象は、「台座、でかっ!」 でした。
その高さは、実に8m。
一般的なビルで言えば、3階建てほどの大きさです。
高知の人は、こんなにも龍馬を仰ぎ見ているのですね。




とはいえ、願いが叶うならば、もっと間近で目にしたいもの。
そんな僕のリクエストに答えるかのように、なんと奇跡的に、
期間限定で龍馬と同じ目線で観賞するための足場が組まれていました!




ということで、ここからは無料ではないですが、
特別に100円支払って、坂本龍馬像に接近してみることに。




足場は、仮設感がハンパありません。
歩くたびに、ミシッギシッと音がしました。
高所恐怖症の僕には、かなりの試練でしたが、
坂本龍馬と同じ目線に立つために、勇気を振り絞って足場を登り切りました。




なるほど。これが龍馬像が目にしていた光景なのですね。





太平洋の水平線が一望できたぜよ。


ちなみに。
モデルである坂本龍馬とは対照的に、
この像の作者の名前は、ほとんどの人に知られていないことでしょう。
作者は、本山白雲。
その圧倒的な腕前から、「土佐のミケランジェロ」 と呼ばれた人物です。
『雲』 の一字からピンときた方もいらっしゃるかもしれませんが、
何を隠そう、近代日本彫刻を代表する彫刻家・高村光雲の門弟の一人です。
東京美術学校在学中には、師である光雲の助手として、
《楠正成像》《西郷隆盛像》 の木型制作にも携わったのだとか。

さて、「維新の元勲の銅像で彼の手にかからなかったものはほとんどいない」 と言わしめた白雲。
かつては、彼の作品約300体が全国各地に広がっていたそうですが、
残念ながら、現在は、数えるほどしか白雲の作品は残っていません。
その一番の要因となったのが、第二次世界大戦時。
彼の作品だけでなく、多くの銅像が金属供出で撤去されたのだそうです。




では、なぜ昭和3年に制作されたこの 《坂本龍馬像》 は残っているのでしょうか?
それは、坂本龍馬が 「海軍の創始者」 だったから。
おかげで、壊されることはなかったのだそうです。
史実の坂本龍馬と違って、《坂本龍馬像》 はピンチを免れ、その一命を取り留めていました。


<無料で観れる美術 データ>

桂浜公園

住所:高知県高知市浦戸
アクセス:○J R高知駅より高知県交通バス桂浜行きで約30分




この美術室を盛り上げるワンクリックも、無料で出来てしまいます↓
Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

石内都展 都とちひろ ふたりの女の物語

$
0
0



現在、ちひろ美術館・東京で開催されているのは、
“石内都展 都とちひろ ふたりの女の物語” という展覧会。
2014年に 『写真界のノーベル賞』 と言われるハッセルブラッド国際写真賞を、
アジア人女性として初めて受賞した国際的な写真家・石内都さんの最新個展です。
タイトルにある 「都とちひろ」 。
「ちひろ」 はもちろん、いわさきちひろのことですが、
「都」 とは、石内都さんを指しているのではありません。
藤倉都の 「都」 です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


“藤倉都?誰?!”

と思われた方も多いことでしょう。
ご安心ください。それが正しい反応です。
藤倉都は、石内都さんの実のお母様。
言ってしまえば、名もなき人物です。
とは言え、さすが石内さんの母、ただものではありません。
両親の反対を押し切って、18歳で車の免許を取得。
当時まだまだ珍しかった女性ドライバーとして、
バスやタクシー、トラックなど自分よりも大きな車を乗りこなしていたそうです。

“・・・・・あれ?親子で同じ名前なの?!”

と思われた方も多いことでしょう。
ご安心ください。それも正しい反応です。
実は、石内都は、本名ではなく作家名。
28歳で写真を始めた時から、
母である藤倉都の旧姓 「石内都」 を名乗っているのだそうです。


さてさて、石内さん曰く、
いわさきちひろと母・藤倉都には、多くの共通点があるのだとか。
どちらも戦時中に旧満州に渡っていたこと。
お見合いが主流だった時代に、どちらも7歳年下の男性と恋愛し再婚したこと。
女性がまだ自由でなかった時代に、どちらも手に職を持って家族を支えていたこと。
それに加えて、年齢も2歳しか違わないのだそうです。

そんな通ずるところの多い ‘ふたり’ の人生を、
石内都というファインダーを通じて紹介しようというのが、今回の展覧会。
まず展示室1で紹介されていたのは、《1974. chihiro》 シリーズです。




こちらは、今回初公開となる新作のシリーズ。
被写体となっているのは、すべていわさきちひろの遺品です。




なお、これらの撮影は、冬期休館中に、
安曇野ちひろ美術館の館内で、それも自然光のみで行われたとのこと。
画面から感じる独特のぬくもり、温かさは、
太陽の光を浴びたゆえのものなのかもしれませんね。


続く展示室2で紹介されていたのは、石内さんの出世作ともいうべき記念的な作品で、
ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表に選出されるきっかけとなった 《Mother’s》 シリーズです。





こちらのシリーズの被写体は、Mother、つまり、石内さんの母である藤倉都。
彼女の身体を接写した作品や彼女の遺品を撮影した作品で構成されています。
基本的にモノクロであるため、死をよりダイレクトに連想させるものがありました。
“展示室1と、重力が違わない?”
そう疑ってしまうほどに、展示室2は重たい空気が漂っていました。


展示室3では、いよいよちひろ作品が登場します。




・・・・・といっても。
彼女のパブリックイメージともいうべき、
“やさしい色彩でかわいらしい絵” の作品は1点もありません。
壁一面に飾られていたのは、ちひろの素描。
どの素描も線が力強く、硬派な印象がありました。
いい意味で、ちひろのイメージが変わります。


展覧会のラスト、展示室4では、
2人の生前の写真や資料などが併せて展示されていました。




2人に直接の接点は無いそうなのですが、
まるで示し合わせたかのように、似たような空気感を出していました。
そう遠くない未来に、このような展覧会が開催されることを2人は知っていたのかも。
そして、この展覧会を通じて、2人はようやく出会うことに。
もちろん、そんなわけないのですが。
そう想像せずにはいられない不思議な縁を感じる展覧会でした。
星


ちなみに。
展覧会で一番印象に残っているのは、83歳頃の藤倉都の運転免許証です。




普通免許ではなく、大型二種免許。
思わず二度見してしまいました。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ

北斎 視覚のマジック 小布施・北斎館名品展

$
0
0
現在、すみだ北斎美術館では、北斎没後170年を記念して、
“北斎 視覚のマジック 小布施・北斎館名品展” という展覧会が開催されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


こちらは、前回の “茂木本家美術館の北斎名品展” に次ぐ、他館とのコラボ展。
長野県小布施町にある北斎館の名品の数々を一挙公開するものです。
「栗と北斎と花のまち」 として親しまれているほどに、北斎との縁が深い小布施町。
83歳の時に初めて小布施を訪れて以来、
北斎は晩年までたびたび、その地を訪れていたのだそうです。
車や新幹線がない時代、ましてや当時の80代の人間が、
たびたび東京から小布施まで足を運んでいたという事実には驚きを隠せません。
北斎館を訪れてみたいとは思っているものの、
つい億劫がってしまい、まだ一度も足を運べていませんでしたが。
北斎のバイタリティを見習わなくては、と反省。
近いうちに訪れようと思います。


とはいえ、その前に、今回、北斎館のほうから、
名品の数々が上京してくれいるので、まずはこの展覧会を存分に楽しむことに。





《冨嶽三十六景》 シリーズや 《諸国名橋奇覧》 シリーズなど、
北斎の浮世絵の代表作の数々ももちろん紹介されていましたが、
今展の見どころは、やはり北斎の肉筆画コレクションでしょう。




「画狂人葛飾北斎の肉筆画美術館」 を自称するほどに、
北斎の肉筆画のコレクションが充実している北斎館。
中でも見逃せないのが、前期 (11月19日~12月15日) に出展中の 《富士越龍》 です。


葛飾北斎筆 《富士越龍》 北斎館蔵 (前期)


縦長の画面に納めるためでしょうか、
少しスリムになった富士山と、天に昇る龍が描かれた一枚です。
黒い雲は、まるで富士山に絡みついているかのよう。
どことなく不穏な印象がありますが、なんとお正月に描かれた作品なのだとか。
ちなみに、この絵を描いた約3ヶ月後に、北斎はこの世を去っています。
もしかしたら、龍は北斎自身を、
黒い雲はこの世への未練を表しているのかもしれません!。

また、肉筆画といえば、こんな作品も。



葛飾北斎筆 《「日新除魔」 霜月十三日》 北斎館蔵 (後期)


《日新除魔》 は、83歳頃の北斎がプライベートで毎日描いていたという獅子や獅子舞の絵の総称。
「除魔」 、つまり、魔を払うために、
毎日、北斎は獅子や獅子舞の絵を描いていたのだそうです。
そして、書き終わるや否や、丸めてポイッと家の外に捨てていたのだとか。
さてさて、そんな北斎を悩ませる魔の正体は、
エクソシスト的な悪魔でもなければ、病魔でもありません。
その正体は、なんと北斎の実の孫とのこと。
放蕩を繰り返す素行不良な孫だったようで、
一説には、孫が作った借金を北斎が肩代わりしていたと言われています。
『画狂老人卍』 を名乗るおじいちゃんから、
“魔” 呼ばわりされるだなんて、よっぽどヤバい孫だったのでしょうね。


さらに、今展の目玉作品は、何といっても祭屋台天井絵。
コレを目当てに北斎館を訪れる人も多いという、まさに北斎館の至宝ともいうべき逸品です。
祭屋台は、北斎唯一の立体造形物とされる作品で、
その天井部分に、北斎が肉筆で描いた絵が2面飾られています。
今展では、北斎館で常設されている東町祭屋台と上町祭屋台、
2つの祭屋台からそれぞれ1面ずつ、《鳳凰》《男浪》 が特別に上京中です。


葛飾北斎筆 《東町祭屋台天井絵 鳳凰》 小布施町東町自治会所蔵 北斎館寄託 (通期)


葛飾北斎筆 《上町祭屋台天井絵 男浪》 小布施町東町自治会所蔵 北斎館寄託 (通期)


しかも、目線と同じ高さで観賞することが出来るように展示されていました。




《鳳凰》《男浪》 も、どちらもスゴい迫力がありましたが、
目を背けたくなるような圧迫感はなく、むしろ視線が引き込まれるよう。
特に、《男浪》 にいたっては、
目がグルングルンしそうなものなのに、思わずボーッと見続けてしまいました。
しかも、観れば観るほど、妙に心がスーッと落ち着いてくるものがあります。
あれっ?この感覚、どこかでも経験したような・・・・・はっ!!
コインランドリーやドラム式洗濯機で、
グルグル回る洗濯物をじーっとボーッと眺めてしまう。
あの感覚に近いものがありました。


北斎の名品の数々そのものにも、もちろん感銘を受けましたが。
それと同じくらいに、貴重な肉筆画コレクションにくわえ、
館の目玉である祭屋台天井絵4面のうち2面を貸し出してくれた北斎館、
その出し惜しみしない姿勢にも感銘を受けました。
星星
やはり何が何でも、訪れなくては!
ただ、せっかくであれば、祭屋台は完璧な状態で観たいので、
今回のすみだ北斎美術館での展覧会が終わってから、訪れたいと思います。


ちなみに。
今回の出展作品の中で他に印象的だったのは、《白拍子》 という肉筆画 (画面手前) です。




表装が完全にポール・スミス。
江戸時代にも、ポール・スミスはあったのですね (←?)。







1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ

カラヴァッジョ展

$
0
0
西洋美術史上もっとも偉大な芸術家の一人で、
もっとも破天荒な人生を送った芸術家カラヴァッジョ。
その代表作の数々が来日した大々的な “カラヴァッジョ展” が、
先月まで、札幌にある北海道立近代美術館で開催されていました。
その後、展覧会は、名古屋市美術館、あべのハルカス美術館へと巡回。

残念ながら、東京は会場に選ばれていません。。。(悲)

東京の代わりに札幌だなんて。
まるで、来年の東京オリンピックのマラソンの悲劇を暗示しているようです (←?)。


とはいえ、よくよく考えてみれば、
東京の美術館が巡回会場に選ばれて当然というのは、思い上がりも甚だしい考え方。
ちゃんと心を入れ直して、2番目の巡回先である名古屋市美術館に足を運んできました。




38歳という若さでこの世を去ったため、
現存作品はわずか60点ほどしかないカラヴァッジョ。
2016年に国立西洋美術館で開催された “カラヴァッジョ展” では、
そのうちの実に11点 (!) が来日したことで、大きな話題となりました。
今回の “カラヴァッジョ展” では、日本初公開となる 《リュート弾き》 や、




カラヴァッジョが死ぬ間際に携えていた3点の絵画のうちの1点 《法悦のマグダラのマリア》




矢が刺さっても死なない男を描いた 《聖セバスティアヌス》 をはじめ、




10点のカラヴァッジョ作品が来日しています。
11点に1点及ばなかったものの、ほぼ同等な “カラヴァッジョ展” といえましょう。
名古屋まで足を伸ばした甲斐がありました。
さらに、展覧会では、カラヴァッジョと同時代に活躍した画家の作品や、

  アンニバーレ・カラッチ 《笑う若者の頭部》


カラヴァッジョに大きな影響を受けた画家の作品など、

  
バルトロメオ・マンフレーディ 《カインとアベル》


カラヴァッジョと関わりの深い周辺の画家の作品も紹介されています。
ちなみに、こちらの 《聖ペテロの改悛》 を描いた・・・・・




ジョヴァンニ・バリオーネも、カラヴァッジョとは深い関わりを持つ人物。
ある時、ローマで 「バリオーネの絵、酷すぎwww」 的な歌が流行したそうです。
ぶち切れるバリオーネ。
そこで、その歌を作ったと思われる4人組を名誉毀損の罪で訴えました。
その4人組の1人が、カラヴァッジョ。
カラヴァッジョは、裁判所で無関係であることを主張しています。
なお、真相は闇の中ですが、
結果、カラヴァッジョはこの一件で2週間ほど牢獄に入っていたそうです。


さてさて、ここからは、カラヴァッジョ作品の中で印象的だったものをご紹介していきましょう。
まずは、《歯を抜く人》




麻酔がなかった当時、歯を抜くのは、
ちょっとしたエンタテインメントだったようです。
歯が抜けるシーンを見逃してはならないと、皆一様にガン見しています。
特に右のおばあちゃん。
その視線には鬼気迫るものがあります。
どうでもいいのですが、それだったら、
タイトルは、《歯を抜く人》 ではなく、《歯を抜かれる人》 のがいいのでは?


続いては、《聖アガピトゥスの殉教》




キリスト教の棄教を断固拒否し、
15歳という若さで処刑された聖アガピトゥスを描いた一枚です。
切られた首からピューッと血が噴き出しています。
写実的なカラヴァッジョにしては珍しく、なんとも漫画的な表現でした。
本当にカラヴァッジョが描いたのか怪しい気がします。
ちなみに、吹き出した血の先に目線をやると、そこには2つのグラスがありました。
まるでトマトジュースのように、グラスに血が溜まっていってます。
なんだそれw


個人的に対面がもっとも楽しみだったのは、《洗礼者聖ヨハネ》




絵の前に立った瞬間、このボディを目指して、
ダイエットに挑んだ35日間が、走馬灯のように駆け巡りました。
(参考:ヨハネへの道
やはり実物は美ボディですね。
改めて、この体型をキープしなくては、と心に誓いました。


ちなみに、今展の目玉作品は何といっても、
名古屋会場でしか出展されない 《ゴリアテの首を持つダヴィデ》 です。
日本初公開。




描かれているゴリアテのモデルは、カラヴァッジョ本人なのだそうです。
本人もそうだったのでしょうか、乱杭歯の表現が妙にリアルでした。
また、そんなゴリアテを汚物を持つかのように掲げているダヴィデ。
そのモデルも、なんとカラヴァッジョ本人、若き日の姿なのだそうです。
この絵が描かれたのは、1609年頃。
カラヴァッジョが殺人を起こし、死刑宣告されてから3年後、逃亡中に描いたものです。
なぜ、俺は逃亡犯となってしまったのか?
そんな今の俺を、きっと昔の俺は許さないだろう。
そういう葛藤を表現した絵にも見えてきました。


さてさて、実は、札幌で始まったこの展覧会、
来日予定だった8点の作品 (うち2点はカラヴァッジョ作品) が、
会期が始まってもイタリアから届かないというハプニングに見舞われました。
そして、届かないまま、札幌での展覧会は終幕。
結局、出展自体が取りやめとなってしまいました。
さらに、最終の大阪会場の展示の目玉であった・・・




《ホロフェルネスの首を斬るユディト》 も出展不可が決定してしまったそうです。
破天荒な人生を送ったカラヴァッジョの呪いなのかもしれません。
星星




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ

Mission21 《明日の神話》をすす払いせよ!

$
0
0
《太陽の塔》 と同時期に制作され、“塔と対をなす” といわれる岡本太郎の最高傑作の一つ。
それが、《明日の神話》




2008年より、渋谷マークシティー連絡通路内に恒久設置されています。
JRと京王井の頭線の渋谷駅を結ぶこの通路は、
なんと、1日30万人以上が行き来しているのだそう。
それだけに、《明日の神話》 の表面には、
多くの歩行者の衣類から出た化学繊維が、ホコリとなって付着しているとのこと。
そこで、毎年、公開記念日である11月17日に合わせて、
NPO法人 『明日の神話保全継承機構』 を中心とするボランティアが掃除をしているのだとか。
さてさて、今回縁あって、その “すす払い” 作業を手伝わせて頂くことになりました。
いつも 《明日の神話》 からパワーをもらっているので、少しでも恩返ししたいと思います!


11月某日。
時刻は0時30分。
渋谷マークシティーに到着しました。
作業は、終電後の深夜から始発前にかけて行われます。

通路が完全に無人になるまでは、渋谷マークシティーの休憩スペースで待機。
しばらくすると、作業可能との連絡が入り、現場へと向かいます。




すると、まずは職人さんたちが、
慣れたスピードで足場を組んでいました。
なるほど。
このファミコン時代のドンキーコングのステージみたいな足場で作業をするのですね。




自慢ではないですが、かなりの高所恐怖症。
なんとなく嫌な予感がしてきました。

そして、作業する前に、装備品が支給されます。
軍手。マスク。ヘルメット。
そして、安全帯。
だいぶ嫌な予感がしてきました。


さて、いよいよ “すす払い” 作業に取り掛かります。
「せっかくなので、一番上の段で作業してみませんか?」 と勧められましたが、断固として拒否。
上から3段目の足場の担当にしてもらいました。
“3段目なんて全然大したことないのでは?” と思っている方もいらっしゃるでしょうが。
いやいや、3段目からでもこの光景ですよ (汗)




しかも、人が何人も乗っているので、
常にギシギシミシミシと足場は揺れています。
「恐怖心は爆発だ!」 状態ですが、
必死に抑えて、ホコリと向き合うことに。




遠目からではまったく気がつきませんでしたが、
確かに表面には、ホコリが相当に溜まっていました。
そのホコリを、専用の刷毛を使って払っていきます。
そして、のちほど、剥がれた絵の具が混ざっていないか、
そのチェックをするため、掃除機でホコリを吸い取っていくのです。





下を見るたびに湧き上がる恐怖感。
大事な作品を傷つけてしまわないようにという緊張感。
決して心臓にはよくない作業でしたが、
《明日の神話》 をこれ以上ないくらいに間近で観られるのは、超貴重な体験でした。


そうそう。
超貴重な体験といえば、作業の合間に、《明日の神話》 の裏側を見せて頂きました。
てっきり元からあった壁にピタッと貼り付けているのかと思っていたのですが。
なんでも、上と下をそれぞれレールに固定しているだけとのこと。




この扉をくぐれば、裏側のスペースに行けるのです。
で、裏側のスペースはこんな感じ↓




そして、《明日の神話》 の裏側はこんな感じでした。





ちなみに、僕が参加したのは1日だけでしたが、
今年のすす払いは、4日間にわたって、延べ56人のボランティアが参加したそう。
11月17日未明に全作業が終了。
ホコリが取り除かれ、本来の色鮮やかさを取り戻しました。
なお、僕が担当したのは、こちらの赤い四角で囲んだ部分。




《明日の神話》 を通る際は、是非注目してみてくださいませ。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

大浮世絵展―歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演

$
0
0
この秋、江戸東京博物館で開催されているのは、
“大浮世絵展―歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演” という展覧会。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


こちらは、2014年に同じく江戸東京博物館で開催された “大浮世絵展” に続く第2弾で、
歌麿、写楽、北斎、広重、国芳という 「浮世絵界のビッグ5」 をフィーチャーした展覧会です。

会場では、5人の浮世絵師の作品がそれぞれ紹介されています。





北斎のコーナーには、もちろんあの波の絵やあの富士山の絵が、




広重のコーナーには、もちろんあの橋の絵が展示されていました。




写楽のコーナーには、もちろんあの役者の絵が展示されています。
それも、ダブルで。




それぞれの代表作の数々が、きちんと余すことなく網羅されている。
まさに、ベスト盤な浮世絵展です。
しかも、ラインナップだけでなく、保存状態もベストofベストでした!


東洲斎写楽 《市川鰕蔵の竹村定之進》 江戸時代/寛政6年(1794)、大判錦絵 ボストン美術館蔵
Photograph © 2019 Museum of Fine Arts, Boston
展示期間:2019年12月3日~12月22日(東京会場)



それもそのはず、この展覧会のためだけに、国内の各館だけでなく、
ボストン美術館をはじめ、メトロポリタン美術館、大英博物館、ベルギー王立美術歴史博物館など、
世界各国の錚々たる美術館から、保存状態の良い浮世絵が大集結しているのです。
浮世絵展” と大きく出るのも納得。
見逃すと大きく後悔することになる展覧会といえましょう。
星星


さてさて、基本的には、浮世絵界を代表する5人の浮世絵師の、
代表的な浮世絵の数々が展示されていたため、目新しさは余りなかった気がしますが。
もちろんベタな作品だけでなく、レアな作品もちらほらありました。
その中から印象的だった作品を、いくつかご紹介させて頂きます。
まずは、喜多川歌麿の 《錦織歌麿形新模様 白うちかけ》(写真手前)




一瞬、ウエストがあまりにも細くて、
『アラジン』 でいうジーニー的なものなのかと思ったのですが。
どうやら着物の線をあえて描かないという表現に挑んだ珍しい作品とのこと。
チャレンジ担当 (?) は、北斎や国芳とばかり思っていましたが、
喜多川歌麿も、いろいろとチャレンジングな浮世絵師だったのですね。


続いては、写楽の 《天王子屋里虹 (2代目山下金作の仲居ゑび蔵おかね実は貞任女房岩手)(写真手前)




描かれているのは、ホンジャマカの石塚さん・・・・・ではなく、2代目山下金作。
上方で女形として活躍していた歌舞伎役者です。
『男山御江戸盤石』 という演目を取材した作品とのこと。
大内屋で仲居として働くおかねなる人物の正体は、実は安部貞任の女房・岩手なのだとか。
って、その正体が、ネットニュース並に、タイトルでネタバレしていますよね。


それと、もう一つ印象的だったのが、
歌川国芳の 《列猛伝 宮本武三四》(写真右) です。




国芳は宮本武蔵が好きなのでしょう。
展覧会では他にも、大蝙蝠と格闘する武蔵や、
大鯨を退治する武蔵の作品も紹介されていました。
そんなスペクタクルなアクションが繰り広げられる作品とは対照的に、
《列猛伝 宮本武三四》 の武蔵が格闘しているのは、向かってくる焚き火の煙です。
何と闘ってんだよ!


また、個人的にタイムリーだったのは、
北斎の 《諸国瀧廻り 相州大山ろうべんの瀧》(写真右) という一枚です。




描かれているのは、伊勢原市の大山にある良弁の滝。
滝の水が勢いよく落ちている様子が、実に印象的な一枚です。
さて、何を隠そう、つい先日、この良弁の滝に実際に行ってきました。
その時に撮影した滝の写真が、こちらです。




盛ったな、北斎!


ちなみに、今回の “大浮世絵展” は、
展覧会オリジナルグッズも、充実しています。




特に物欲を駆り立てられたのは、国芳の 《其まヽ地口猫飼好五十三疋》 をモチーフにした・・・


歌川国芳 《其まヽ地口猫飼好五十三疋》 江戸時代/嘉永元年(1848)頃、大判錦絵3枚続
展示期間:2019年11月19日~12月15日(東京会場)



プチ絵馬とアクリルキーホルダー。




アクリルキーホルダーにいたっては、
描かれているすべての猫がデザインされているそうです。
つまり、全55種。




残り54種。
コンプリートできる自信が全くありません!




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ

未来と芸術展

$
0
0
2009年の “医学と芸術展”、2016年の “宇宙と芸術展” 。
それに続く第3弾として、現在、
森美術館で開催されているのが、“未来と芸術展” です。




AI、バイオ技術、ロボット工学、AR (拡張現実) といった最先端のテクノロジー。
その影響を受けて生まれたアートや建築、デザインを紹介する展覧会です。
なお、展覧会の正式名称は、
“未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか” 。
実は、この展覧会のタイトルは、
IBMが開発したAIによって生成された候補の中から選ばれたものなのだそうです。

そんなタイトルの決め方からして未来的な展覧会では、
全部で100を越える作品やプロジェクトが紹介されています。
例えば、ネバダ州の荒野に直径30mの鏡張りの球体を浮かべるプロジェクト。



ビャルケ・インゲルスとヤコブ・ランゲ 《球体》 2018年


また例えば、蚕の遺伝子を組み換えることで生まれた光る糸で作られた能の衣装。




またまた例えば、SF映画に登場するような可愛らしい家族型ロボット。





“未来と芸術展” とあるので、当然未来の話、
まだ現実には実現化されていない作品やプロジェクトなのかと思っていたのですが、
なんと、これらはすべて2019年現在の段階で、実現化しているようでした。
もちろん紹介されていた中には、まだ実現化していないものもありましたが、
とは言っても、決して荒唐無稽な夢物語なんかではなく、どれも実現可能なものばかり。
未来は想像していたよりも、ずっと近くにあるようです。


ちなみに、展覧会では、

「こんなモノがあったらいいのになァ~」

というようなドラえもんのひみつ道具的なものは、あまり紹介されていません。
紹介されていたのは、都市や医療、食糧問題といった、
課題を解決するために開発されている作品やプロジェクトです。
それだけに、逆説的に、人類の未来には問題が山積みであることを実感させられました。
未来に対して希望が感じられる展覧会というよりは、
来る未来に対して、現状を把握しておくための展覧会。
そんな印象を受けました。
星星


さてさて、ここからは気になった出展作品をいくつか。
まずは、《ヒューマン・スタディ#1、5 RNP》 という作品です。




壁一面に貼られた似顔絵のようなスケッチ。
何を隠そう、これらはすべてロボットによって描かれたものなのです。
作者は、元画家のパトリック・トレセ。
写生の動作をプログラミングされた5台のロボットがササッとモデルを描いていきます。




ロボットゆえ、5台とも寸分違わず同じ似顔絵が出来るのかと思いきや。
それぞれ微妙に違っていました。
ロボットにも個性はあるのですね。


続いては、ディムート・シュトレーペの 《シュガーベイブ》


ディムート・シュトレーベ 《シュガーベイブ》 2014


こちらは、ゴッホが切り落とした左耳を、
その末裔から採取したDNAによって再現したというプロジェクトです。
現在の再生医療技術を応用すれば、
こんなフィクションみたいなことも可能となるのですね!
失われた体の一部を再現できるということは、安部定事件の被害者の・・・(以下自粛)


ドローンによってレンガを積み上げる新たな工法技術や、
コンピューターによるシミュレーションで生み出された構造物など、




予想していたよりも、建築関連のプロジェクトが多目に紹介されていましたが。
中でも印象的だったのは、
エコ・ロジック・スタジオの 《H.O.R.T.U.S XL アスタキサンチン g》 です。




こちらは、独自のアルゴリズムによって、
サンゴの形態を模したという複雑怪奇な構造物。
ところどころに、緑色の何やらが見て取れます。
なんとその正体は、ユーグレナ (ミドリムシ)。
ユーグレナが埋め込まれことで、
この構造物自体が、光合成により酸素を生成するのだとか。
実にエコロジーな構造物です。
近い将来、この構造物を応用した○○ヒルズが誕生するかもしれませんね。


ちなみに。
個人的に最も印象に残った作品は、長谷川愛さんの 《ポップ・ローチ》 です。




人口増加による食糧不足が危惧されています。
その危機を救うかもしれないのが、ゴキブリ。
過酷な環境にも適応し、かつ、メスが単独でも数十匹の子を産むことが出来るのだとか。
でも、見た目がアレなので、遺伝子を組み換え、
ポップな色に変化させ、味も変えてみようというもの。

“近い将来、そんな時代がやってくるのか・・・”

とビビったのですが、どうやら架空の広告という体の作品でした。
ホッと一安心。
でも、もしかしたら、もしかするのかもしれないですね。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ
Viewing all 5005 articles
Browse latest View live