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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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小さなデザイン 駒形克己展

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今年6月にリニューアルオープンを果たした板橋区立美術館 (略して、板美)。




外観や内部の雰囲気も一新しましたが、
実は、このタイミングで、ロゴマークも一新していました。
長年使われていたカラフルなロゴマークから、




板美の外観をモチーフにしたシンプルなロゴマークへとリニューアル!




シンプルながら、オリジナリティのある素敵なロゴマークです。
さてさて、リニューアル後、リニューアル前、
その両方のロゴマークのデザインを手がけたのが、駒形克己さん。
『Little Tree』『Little Eyes』 といった絵本で知られる造本作家、デザイナーです。

そんな板美と関わりの深い駒形克己さんの回顧展が、現在、板美にて開催されています。
その名も、“小さなデザイン 駒形克己展”
タイトルにこそ、『小さな』 とは付いていますが、
これまでの駒形作品約300点 (!) が一堂に会した大々的な展覧会です。


まず最初の展示室では、単身アメリカに乗り込んだ初期の作品から、
帰国後~現在まで駒形さんの作品や、そのスケッチなどが紹介されていました。
それらの中には、NBAのオールスターゲーム案内状や、


NBA オールスターゲーム案内状 1982年


コムデギャルソンなどのファッションブランドの招待状、


コムデギャルソン オム メッセージカード 1988年


『マツコの知らない世界』 でも紹介された絵本もあります。


『ごぶごぶ ごぼごぼ』 福音館書店 1999年


さらには、タバコのパッケージのデザインや、
オフコースや安全地帯のアルバムジャケットも。
とても一人の人間のとは思えないほどの仕事量でした。
星
しかも、作風の幅が広い!
そんな “技のデパート” ぶりにも驚かされましたが、
それ以上に驚かされたのは、駒形さんの物持ちの良さ。
展示されていた作品のほとんどが、なんと駒形さんの私物とのこと。
手元に置いておくのが、なんとなく恥ずかしくて、
仕事で作ったモノをポイポイ捨ててしまう自分とは大違いです。


さて、もう一つの展示室では、駒形さんの数々の絵本が、
駒形さん自身の手によって、インスタレーション作品のように展示されていました。





絵本の展示というと、普通は展示ケースや展示棚で並べられていますが。




こちらの展示室では、立ち上げてみたり、同じ絵本を何冊も組み合わせてみたり、




まるでおもちゃのような感じで楽しげに展示されていました。
なお、これらの本は、特に展示台と固定はしていないのだそう。
そのため、展示室の入り口には、こんな注意書きが。





こちらの展示室は、写真撮影も可能なので、
ギリギリまで近づきたいところでしょうが、くれぐれも風圧にお気を付けくださいませ。

ちなみに、中央の展示台では、
駒形さんの代表作 『Little Tree』 が紹介されていました。




1冊をただ展示するのではなく、
『Little Tree』 を何冊も用意し、全ページを並べて展示しています。




ありそうでなかった展示スタイル。
本というよりも、繊細なオブジェのようでした。


さてさて、展示室で数々の絵本を目にして、
実際に手に取って読んでみたくなった方も多いことでしょう。
ご安心ください。ちゃんと絵本を読めるコーナーが用意されていました。




また、実際に絵本を買いたくなった方も多いことでしょう。
ご安心ください。ちゃんと小さな特設ミュージアムショップがオープンしていました。




1冊と言わず、4、5冊買えば、
自分の家でも、インスタレーションが楽しめますよ。




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坂田一男 捲土重来

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現在、東京ステーションギャラリーでは、
“坂田一男 捲土重来” という展覧会が開催中です。
日本の前衛美術の先駆者、坂田一男にスポットを当てた展覧会です。




“・・・・・坂田一男?誰??”

そう思われた方は、少なくないはず。
とりあえず、その名前からは、彼が長男であることくらいしかわかりません。
もし、坂田一男の名前を知らなかったとしても、どうぞご安心を。
おそらく美術関係者でも、彼の名前を知らない人がほとんどでしょう。


ということで、まずは坂田一男の紹介を。
坂田一男 (1889~1956) は、医学者・坂田快太郎の長男として、岡山市に生まれました。
若き日は岡田三郎助や藤島武二に師事した坂田。
30歳を過ぎてからパリに渡り、本格的に画業をスタートさせました。
パリで当時最先端だった芸術運動キュビスムに出合った坂田は、
フェルナン・レジェの助手を務めながら、前衛の画家としてパリの第一線で活躍します。
ちなみに、展覧会の冒頭では、師匠のレジェの作品とともに、
そんなパリ時代の坂田が描いたキュビスム風の作品が紹介されていました。


《キュビスム的人物像》 1925年 岡山県立美術館


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


ここまでは順風満帆、華やかな画家人生のように思えますが。
1933年に帰国した後、故郷の岡山に戻ってからは、
一貫して中央画壇から距離を置いていたため、知名度はパッとせず、フェードアウト気味。
生前も没後も岡山以外で大きく紹介されることは、ほぼありませんでした。


今展は、そんな “This is 知る人ぞ知る画家” 坂田一男、
彼の知られざる画業の全貌を明らかにしようと試みた初の展覧会です。
タイトルに付けられた “捲土重来” なる聞きなれない言葉は、
「一度敗れたり、失敗した人がまた盛り返すこと」 を表す四字熟語。
最近の例でいえば、アンタッチャブルが捲土重来を果たしましたね。
と、それはさておき。
坂田自身は、知名度がパッとしないだけで、
特に負けもしくじりもしていない気がしますが (笑)
今展を機に、坂田の時代が 「来るぅ~」 かもしれません。
星


さて、展覧会のメインとなるのは、
これまであまり大々的に紹介されてこなかった岡山時代の坂田一男作品です。




中でも特に興味深かったのは、仲良く並んだ 《静物I》《静物II》 という作品。




近づいてみると、どちらもその表面に剥落が見て取れます。


《静物I》 1934年 大原美術館


《静物Ⅱ》 1934年 大原美術館


実は、1944年と1954年の二度にわたり、
アトリエが水害に遭ってしまった坂田一男。
多くの作品が冠水で破損、あるいは消失の憂き目にあったのだとか。
坂田は、被害に遭った作品を自らの手で修復したそうですが、
完全に元の姿に戻すのではなく、《静物I》《静物II》 のように、あえてその剥落を残したままのものも。
そうすることで、水害前と水害後、異なる時間を1枚の絵画の中に共存させたのです。
転んでもただは起きない。
まさに、捲土重来な絵画作品です。


ちなみに、今回の展覧会を監修したのは、造形作家の岡﨑乾二郎さん。
《静物I》《静物II》 の絵の中に、
異なる時間が共存しているうんぬんかんぬんは、岡崎さんによる見解です。
他にも、坂田が何度も絵画のモチーフにした手榴弾に対する見解や、


《コンポジション》 1936年 個人蔵


スリット状の形が横縞模様のように配置された絵画に対する見解などが、


《コンポジション(メカニック・エレメント)》 1955年 岡山県立美術館


モランディやジャスパー・ジョーンズ、坂本繁二郎ら、
坂田が影響を受けたであろう画家や同時代の画家の作品と比較しつつ紹介されていました。




正直なところ、内容が高度すぎて、
岡崎さんが言わんとすることの3割も理解できた気がしませんが (笑)
大事な真相が明らかになったことは、ニュアンスでわかるので、
本格推理小説の解決編を読んでいるようなワクワク感はありました。
一般的には、抽象画はフィーリングで観るものと思われていますが、
この展覧会に関しては、フィーリングタイプよりもロジックタイプの人のほうが楽しめそうです。
・・・・・・・たぶんですけど (←フィーリング)。


 ┃会期:2019年12月7日(土)~2020年1月26日(日)
 ┃会場:東京ステーションギャラリー
 ┃
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201912_sakata.html

~読者の皆様へのプレゼント~
“坂田一男展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、12月25日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】

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現在募集中のアートツアーです。

アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画を心掛けております。
初参加の方も多いので、どうぞお気軽にご参加くださいませ♪
(男女比は、7:3くらいで女性が多いです。
 また、おひとりで参加される方が大半ですので、一人でもふらっと遊びにいらしてください!
 お子様とご一緒の参加も大歓迎です[お子様の参加費は基本無料])
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
参加希望の方は、お手数をおかけして恐縮ですが、
件名に希望するアートツアーを明記して、以下のメールフォームよりお申し込みくださいませ。
詳細をお知らせいたします。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
お知らせ先のメールアドレスが間違っている方が、ごくたまにいらっしゃいます。
こちらからの返信がない場合は、もう一度お送り頂けますと幸いです。


12/21(土) 2019年のアートシーンを振り返る会

早いもので、今年もこの季節がやってきました!
毎年恒例、1年間のアートシーンを振り返って、
ただただ語るだけというフリートーク企画です。

僕が2019年に訪れた400を超える展覧会から選んだ、
本当に本当に素晴らしかった美術展ベスト10を中心にトークを繰り広げます。
それらの美術展や、今年話題となった美術展の図録を、
なるべく多く持参しますので、図録をもとにトークをしましょう!

アートツアー中には話し切れなかった2019年のアート事情から、
アートツアーでは話すのを自粛したアートの話まで、包み隠さず話す予定です (笑)
2019年を振り返るべく、皆で語り合いましょう。

場所は、渋谷駅近辺のカフェです。
ご参加頂く方に、お店のURLをお送りいたします。

時間:14時~17時
定員:12名
参加費:1000円(飲食代は各自負担となります)

ご参加希望の方は、イベント名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


12/21(土) 2019年のアートシーンを振り返る忘年会

早いもので、今年もこの季節がやってきました!
毎年恒例、1年間のアートシーンを振り返る忘年会企画です。

当日は、僕が2019年に訪れた400を超える展覧会から選んだベスト10の美術展や、
話題となった美術展の図録をなるべく多く持参しますので、図録をもとにお酒を楽しみましょう!

また、当日はお酒のせいにして、
その日のお昼に開催される会以上に、アートシーンについて包み隠さず話す予定です (笑)
さらに、忘年会らしく抽選会も予定していますので、お楽しみに♪
いつになく豪華な景品を用意いたしましたチョキ

場所は、渋谷駅近辺の居酒屋です。
ご参加頂く方に、お店のURLをお送りいたします。

時間:18時~20時半
定員:10名
参加費:5000円(飲み放題のコースを予約します)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


1/4(土) 新春企画!トーハクに初もうで

もはや、すっかりお正月の定番企画となった “博物館に初もうで”
令和初となる今年のお正月も、もちろん開催されます。
国宝の 《古今和歌集(元永本) 上帖》《松林図屛風》 をはじめ、
日本美術の一級品の数々が大盤振る舞いされる、新春にふさわしい初夢企画。
是非、この機会に、みんなでトーハクを訪れ、2020年の美術鑑賞初めをしましょう!

ちなみに、当日は、東京国立博物館の見どころを、徹底的にガイドさせて頂きます。
さらに、美術鑑賞をより楽しんで頂けるよう、1人1台ずつ単眼鏡をお貸しいたします!
どうぞお楽しみに♪

時間:13時~17時
定員:12名
参加費:1500円 (観賞料を含む)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


1/5(日) “第二弾 日本画解放区” 特別トークショー

昨年末、Bunkamura Galleryで開催され、好評を博した “日本画解放区”。
その第2弾が、2019/12/28 (土) ~2020/1/8 (水) の日程で開催されます。
こちらは、個性豊かな若き日本画家7名によるグループ展。
今後の日本画界を盛り上げていく新世代の画家たちの競演です。

その期間中、1/5(日) に特別トークショーが開催されることとなりました。
MCは、私アートテラー・とに~。
出演は、出展作家の皆さまです。
『アメトーーク』 形式で、日本画と出展作家の魅力を引き出します。
楽しい1時間にしますので、ご期待くださいませ。
日本画がお好きな方も、好きになってみたい方も是非この機会に!

時間:14時~15時
参加費:無料
事前予約不要 ※直接 Bunkamura Galleryまでお越しください


1/12(日) 新春!大浮世絵アートツアー

今回お届けするのは、『浮世絵』 をテーマにしたアートツアーです。

はじめに訪れるのは、江戸東京博物館。
こちらでは、浮世絵界のスーパースター勢揃いの展覧会、
“大浮世絵展 〜歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の共演〜” が開催されています。
まずこの展覧会で、たっぷりどっぷりと浮世絵の世界に浸りましょう。

その後、カフェ休憩を挟んで、
江戸東京博物館から東に進むエリアへ。
実は、かつて、この一帯に葛飾北斎が住んでいたのだそう。
そんな北斎ゆかりの街を散策しつつ、
2016年にオープンしたすみだ北斎美術館にも訪れます。

浮世絵が好きな人はもちろん、
これを機に好きになってみたい方も大歓迎です♪

時間:13時~17時半
定員:10名
参加費:2500円 (2つの展覧会鑑賞料を含みます)

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1/13(月・祝) ブダペスト展へ行こう!

美術は、いろんな人と感想を共有することで、より楽しいものとなります。
一人で美術展を訪れても、もちろん楽しめますが、
みんなで同じ美術展を鑑賞すれば、もっともっと楽しくなるものです!

さてさて、今回みんなで訪れるのは、2019年度のダークホース的展覧会。
国立新美術館で開催中の “ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年” です。

国立西洋美術館で開催中の “ハプスブルク展” の影に隠れて (?) 、
開幕前は、そこまで・・・というか、ほとんど話題になっていませんでしたが。
いざ開幕してみたら、クラーナハを筆頭に、
エル・グレコ、ティツィアーノ、モネ、ルノワール…etc、とその充実ぶりが話題に。
さらに、シニェイ・メルシェ・パールによる 《紫のドレスの婦人》 も来日!
こちらは、『ハンガリーのモナ・リザ』 と称されるハンガリーの国民的絵画です。
ハンガリーの至宝がまとまった形で来日するのは、実に25年ぶり!
「行かないという選択肢はないやろ」 な展覧会です。

展覧会を鑑賞したあとは、カフェでまったりいたしましょう♪
図録を持参しますので、展覧会の感想などを中心に楽しくワイワイ話せたらと思っております。
もちろん美術の知識は不要!
美術マニアの集いではないので、どなた様も気軽な気持ちで遊びにいらしてくださいませ。

時間:13時半~16時半
定員:10名
参加費:1600円 (展覧会鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


1/18(土) 現代アートの街“六本木”を巡る旅

都内屈指の “現代アートの街” 六本木。
その顔とも言うべき、六本木ヒルズの森美術館で開催中の展覧会、
“未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか” を中心に、
六本木エリアで抑えておきたい美術館や現代アートのギャラリーの数々を巡ります。
最先端アートや今一番ノッてるアート作品が続々登場しますので、どうぞご期待くださいませ!

現代アートがお好きな方はもちろん、
これを機にお好きになってみたい方も大歓迎です。

時間:13時~17時半
定員:12名
参加費:1800円 (各展覧会鑑賞料を含みます。カフェ休憩時の飲食代は各自負担)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
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1/19(日) そうだ 江戸、行こう。~川崎編~

“浮世絵に描かれた街並みは、今、どのような光景になっているのでしょうか?”

浮世絵を手掛かりに、街をぶらぶら歩きながら、
江戸時代にタイムスリップする・・・気持ちになれるツアーです。
講師を務める太田記念美術館の渡邉晃学芸員とともに、
浮世絵に描かれた場所に実際に赴き、現在の光景と見比べてみましょう!

さて、新年1発目は、毎年恒例の初もうで企画。
2017年は成田山、2018年は明治神宮、2019年は柴又帝釈天を訪れましたが、
2020年は、成田山、明治神宮と並んで、初詣の人出全国ベスト3入りの川崎大師を訪れます。
もろもろの災厄を消除する厄除け大師として、
古くから庶民の信仰を集めていたという川崎大師。
江戸時代、あることがきっかけで、大師参りブームが起こったのだそうです。

さらに、今回のツアーでは、
東海道五十三次の2番目の宿場、川崎宿のあたりもぶらぶらします。

新春1発目に相応しいスペシャルなツアーです。
どうぞご期待くださいませ!

時間:12時~16時半
定員:12名
(おかげさまで、“そうだ 江戸、行こう。” 企画は特に人気が集中しております。
 そこで今回は、誠に勝手ながら、先着順ではなく、抽選制を採らせて頂きます。
 ご参加希望の方は1/7までにお申込みくださいませ。参加頂ける方には、1/8中に直接ご連絡差し上げます)
参加費:2000円 (交通費は各自負担)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


いずれのツアーも、皆様のご参加を心よりお待ちしております!!

Film:49 『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』

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■しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス

  監督:アシュリング・ウォルシュ
  出演:サリー・ホーキンス、イーサン・ホーク
  2016年/カナダ・アイルランド/116分

カナダ東部の小さな町で叔母と暮らすモードは、
買い物中に見かけた家政婦募集の広告を貼り出したエベレットに興味を抱き、
彼が暮らす町外れの小屋に押しかける。
子どもの頃から重度のリウマチを患っているモード。
孤児院育ちで学もないエベレット。
そんな2人の同居生活はトラブルの連続だったが、はみ出し者の2人は互いを認め合い、結婚する。
そしてある時、魚の行商を営むエベレットの顧客であるサンドラが2人の家を訪れる。
モードが部屋の壁に描いたニワトリの絵を見て、
モードの絵の才能を見抜いたサンドラは、絵の制作を依頼。
やがてモードの絵は評判を呼び、アメリカのニクソン大統領から依頼が来るまでになるが……。
(「映画.com」より)


「モード・ルイス (1903~1970)
 カナダで最も有名な画家の一人だそうですが、
 正直なところ、この映画を通じて初めて知りました。
 美術教育を特に受けたことはなく、
 独学で絵を描き続けたというその作風は、まさに素朴派そのもの。
 グランマ・モーゼスに通ずるものがありました。
 
 
 
 
 
 そんな彼女の生涯を描いた映画ではありますが、
 物語のメインとなるのは、アーティストとしての一面にあらず。
 (その証拠に、彼女が絵を描くシーンは、映画が始まって約40分後にようやく訪れます)
 モード・ルイスとその夫であるエベレットの不思議な夫婦生活を丹念に描いた映画でした。

 魚の行商や自身が育った孤児院の手伝いなど、
 多数の仕事をこなしながらも、決して裕福ではないエベレット。
 家事をする暇もないため、彼は思い切って家政婦を雇うことに。
 そこに応募してきたのが、叔母の家で厄介者扱いされていたモード。
 エベレットとは、雇用主と従業員という関係で、
 ひとつ屋根の下での暮らしを始めることとなるのです。
 まるで、『逃げ恥』 状態です。

 最初は衝突しあっていた2人ですが、
 年月が経つとともに、次第とお互いを理解し合うように。
 モードが画家として注目されるようになってからは、 
 なんだかんだ文句や不満もありながらも、モードの分まで家事をこなすエベレット。
 その不器用な優しさに、思わずキュンとしました。
 この映画を観ると、きっとどんな人でも、“結婚っていいなァ” と強く実感するはず。
 結婚願望が高まること請け合いの映画です。

 いやぁ、僕もエベレットみたいな人と結婚したい!

 ・・・・・・・ん?あれっ??モードじゃなくて??
 冷静に考えると、エベレットと比べてしまうと、
 主人公であるモードは、そこまで魅力的な人物に描かれていなかった気がします。
 正直なところ、モードとの結婚は無いなぁ。
 容姿がガッキーだったら別ですが (←?)。
 
 
 ちなみに。
 『しあわせの絵の具』、『愛を描く人』 と、
 タイトルにあるので、終始ハッピーなタッチの映画なのかと思いきや。
 ほっこりするシーンもあるものの、全体的にはトーンが暗め。
 物語も 『ザ・ノンフィクション』 ばりに淡々と進んでいきます。
 だいぶ “盛った” タイトルです。
 なお、調べてみると、どうやら原題は、『Maudie(モード)』 とのこと。
 盛りに盛った邦題と比べて、びっくりするくらいにシンプルでした。 
 素朴派にもほどがあるタイトルです。
 スター スター 半分星 ほし ほし (星2.5つ)」


~映画に登場する名画~

モード・ルイス 《アメリカコガラ》

貝の建築学

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小石川植物園の一角にある東京大学総合研究博物館小石川分館。
またの名を、建築ミュージアム。




ガウディのカサ・ミラや丹下健三の東京カテドラル聖マリア大聖堂をはじめ、
東大の学生たちが作成した国内外の有名建築の模型の数々を中心に展示するミュージアムです。




そんな東京大学総合研究博物館小石川分館で、
現在開催されているのが、“貝の建築学” という展覧会。
「貝殻=貝の建築物」。
建築という視点から、貝殻標本を紹介するユニークな展覧会です。




貝と建築。
正直なところ、あまり関係ないような気がしましたが。
よくよく考えてみれば、東京カテドラル聖マリア大聖堂はシェル構造ですし、
ル・コルビュジエによる国立西洋美術館の回廊型ギャラリーは巻貝を想起させるものがあります。
ちなみに、東京大学総合研究博物館小石川分館の入り口に展示されているクルマガイ。




その学名は、Architectonica trochlearisとのこと。
建築家を表す 『Architecture』 が含まれています。
なるほど。貝と建築には深い関係があるようです。


展示ケース内では、たくさんの貝殻標本が展示されています。




カキやホタテ、アサリ、シジミといったお馴染みの貝はほとんどなく。
食べ終わった焼き魚のようなビジュアルのホネガイやら、




洗濯機の排水ホースを彷彿とさせるオオイトカケなど、




世界各地から収集された珍しい貝殻標本の数々が紹介されていました。
中でも印象的だったのは、フィリピンのキリガイダマシです。




パッと見は、完全にコロネ。
ある意味、美味しそうな貝でした。

また、ある意味で美味しそうといえば、コチョウイモとオトギイモという貝も。




これらは、芋に似た形のイモガイの仲間なのだそう。
ただ、イモガイから “ガイ” を取ったらダメでしょ。
一番肝心の部分なのですから。
字面だけ見たら、貝ではなく芋の仲間です。


とそれはさておき、今展の目玉は何といっても、
ダイヤモンドカッターを使って作成されたという貝殻の内部構造を示す切断標本です。
例えば、こちらのベニシリダカという貝。




見た目はそれほどパッとしませんが (←?)。
切断してみると、ご覧の通り。




外観からは想像が付かないほどに、
美しい内部構造を持っていることがわかります。

もちろん、ベニシリダカに限らず、
他の貝も負けず劣らず美しい内部構造を持っています。




今まで意識したことは無かったのですが、
貝の内部って、こんなにもアーティスティックだったのですね。




なお、今回紹介されている貝の切断標本は、なんと100種類以上!
その造形美に魅了されること必至。
思わず言葉を失ってしまうことでしょう。
私は貝になりました。
星


ちなみに。
貝の構造に焦点を当てた展覧会だけに・・・・・




展示ケースの形が、ちゃんと巻貝風となっていました。
芸が細かいです。




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D&AD Awards 2019

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日本で唯一の広告のミュージアム、アド・ミュージアム東京にて、
現在開催されているのは、“D&AD Awards 2019” という展覧会。
D&AD賞の最新受賞作品の数々を紹介する展覧会です。




D&AD賞とは、世界で最も厳しい審査によって選考される国際的なデザイン・広告賞。
それゆえ、世界中のクリエーターが、最も憧れる賞でといっても過言ではありません。
特に、最高賞に当たるブラック・ペンシルは、
該当作品がない年もあるほどに、最難関の賞として知られています。




今年2019年は、そんなブラック・ペンシルの当たり年。




実に6作品が、ブラック・ペンシルを受賞しています。
その中には、今年2月に行われたアカデミー賞授賞式の間にCMとして放送され、
SNS上でも大いに話題になったNIKEのキャンペーン動画 「Dream Crazier」 も。




こちらは、“クレイジー” と呼ばれながら、
スポーツ界で大きな偉業を成し遂げた女性アスリートたちを紹介する動画です。
ナレーションを務めるのは、プロテニス選手のセリーナ・ウィリアムズ。
大坂なおみ選手に暴言を浴びせたことでもお馴染みの選手です。
しかし、冷静に考えたら、動画でも言及されているように、
男性のアスリートだって女性と同様に、暴言を吐くことがあります。
スポーツマンシップに乗っ取っているはずのスポーツ界にも男女差が存在している。
そんな事実をストレートに伝える動画です。

また、男女差といえば、こんな動画も受賞していました。




こちらは、北欧の生理用品ブランド 「リブレス」 のキャンペーン動画。
なんとなくタブー視されている女性器をポジティブに表現した動画です。
裁判沙汰になった日本のろくでもない女性アーティストとはひと味もふた味も違う仕上がり。
クリエイティブとは、こういう動画のことを言うのですね。
D&AD賞の最高賞を、こちらの動画が受賞した今年2019年。
キングオブコントのグランプリは、
どぶろっくの “大きなイチモツ” のネタが受賞していましたっけ。
偶然しては、何か出来すぎているような (←?)。
そういう年だろ!
星


さてさて、会場では、ブラック・ペンシル受賞作以外にも・・・・・




金賞に当たるイエローペンシルや、
銀賞に当たるグラファイト・ペンシルなどの受賞作が43点紹介されています。
その中で特に印象的だった作品をいくつかご紹介いたしましょう。

まずは、ネットでバズったオーストリアのマクドナルドの広告から。




もちろん元ネタは、バンクシーのあの一件。
シュレッダー事件が報じられるや否や、
すぐさまこの画像を作り、Facebookに投稿したのだそうです。
さすが、ファーストフード企業。
対応が迅速です。
思わずスマイルになる作品でした。


続いてご紹介したいのは、イギリスの肺財団が大気汚染問題を提唱したポスターです。





画面全体に、文字がちょっと薄めに書かれていますね。
実は、このポスターはもともとは、
現行の大気汚染防止法を透明な接着剤の上に印刷したものだったそう。
それをロンドンの路上に掛けることで、大気中の汚染物質が付着。
その結果、条文の文字とともに、
現行の法律では大気汚染対策が出来ていない事実が浮かび上がったというわけです。
ユニークでスマートなアイディア。
これぞまさに “ファンでクールでセクシー” です。


ビジュアル的にインパクトがあったのは、
香港バレエ団の 「決して立ち止まらない」 というキャンペーン。
新しいバレエファンを開拓するための取り組みです。




日本もそうですが、香港でも、
“バレエって庶民には敷居が高くって・・・” と思われているのだとか。
そのイメージをこの新たなブランドビジュアルで一新したそうです。
美しく伝統的でありながら、新しさも感じられます。
確かに、このビジュアルを目にしたら、バレエを観に行きたくなるのも納得。
日本のバレエ団も、こういう取り組みをしたらいいのに。


ちなみに。
資生堂や神戸新聞、日清食品など、日本の企業や団体もD&AD賞を受賞しています。




その中で特に印象的だったのは、
WWFジャパンが行った 「#ANIMAL_SELFIE」 キャンペーン。




世界中に点在する32種の動物たちが、
セルフィーをInstagramに投稿したという (ていの) キャンペーンです。
パッと見はユニークで愛らしい写真ですが、
よく見ると、その背景に彼らを取り巻く悲惨な現状が映り込んでいます。
なお、Instagramのショッピング機能を利用し、
写真を見た人が簡単に寄付できるような仕組みも。
実によく考えられたキャンペーンです。


さて、展覧会では、まだまだハッとさせられるアイディアが多数紹介されています。
たくさんの刺激を受けたので、
普段よりもクリエイティブな記事が書ける気がしたのですが・・・。
そんなことは、なかったです (笑)
クリエイティブは一日にしてならず。




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シュルレアリスムと絵画

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今年2019年は、シュルレアリスムが誕生してから、ちょうど100年目。
そんなシュルレアリスムの記念すべき年に、ポーラ美術館で開幕したのが、
“シュルレアリスムと絵画―ダリ、エルンストと日本の「シュール」” という展覧会です。




もともとフランスで誕生した際には、
無意識の世界を表現する試みであったシュルレアリスム。
しかし、現在の日本では、一般的に、『シュール=無意識』 ではなく、
『シュール=不条理』 『シュール=意味不明』 というイメージが定着しています。
一体、何がどうなって、日本ではシュルレアリスムの意味合いが変化してしまったのか??
その100年の伝言ゲーム (?) の変遷をたどる展覧会です。
星星


さてさて、展覧会の会場に入ると、
いきなりエルンストの 『博物誌』 に描かれた目の巨大パネルが現れました。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


よく見れば、瞳孔の部分に穴が開いています。
それゆえ、顔嵌めパネルのごとく、
反対側から顔を出して楽しんでいるカップルや家族連れのお客さんがチラホラ。
なかなかシュール (←日本的な意味での) な光景でした。

と、それはさておき。
展覧会の冒頭で紹介されていたのは、
シュルレアリスムの創始者アンドレ・ブルトン関連の資料や、
実物の 『博物誌』 をはじめとするコラージュ作品や油彩画といったエルンストの作品群。
続いて、“シュルレアリスムのスーパースター” ダリの作品群が紹介されていまスケジュール。


Photo: Ken Kato


展覧会のポスターやメインビジュアルに、
ポーラ美術館所蔵の 《姿の見えない眠る人、馬、獅子》 が使われているので、
てっきりダリの出展作品は、この1点のみかと思い込んでいたのですが。
諸橋近代美術館や横浜美術館、富山県美術館など、
日本各地の美術館が所蔵するダリ作品が集結していました。
その数、計11点。
ダリ好きの皆様、ダリをまとめて見られるチャンスですよ。

また、会場には、エルンストやダリだけでなく、
マグリットやミロ、デルヴォーら、シュルレアリスムを代表する画家の作品もありました。

それらの西洋のシュルレアリスム作品を前半でたっぷりと堪能した後は、
いよいよ本題となる日本のシュルレアリスム作品を紹介するコーナーに突入します。
まず紹介されていたのは、1930年代の作品の数々でした。
中には、シュルレアリスムを日本に本格的に紹介した福沢一郎や、
晩年にはシュルレアリスムに移行し、31歳という若さで夭逝した三岸好太郎の作品も。


三岸好太郎 《海と射光》  1934年(昭和9) 油彩/カンヴァス 名古屋市美術館蔵


さらには、日本の初期のシュルレアリスムの代表的な画家、古賀春江の作品もありました。


古賀春江 《白い貝殻》 1932年(昭和7) 油彩/カンヴァス ポーラ美術館蔵


ちなみに、この作品のタイトルは、《白い貝殻》
なのに、画面のどこにも白い貝殻は見当たりません。
まさに、シュール。
もしかしたら、この謎のタイトルが、
日本的シュールのきっかけとなったのかもしれませんね。
なお、“春江” という名前ですが、彼はれっきとした男性です。念のため。
小野妹子と同じパターンです (←?)。


さて、展覧会はその後、北脇昇や吉原治良と続き・・・




第2会場では、瑛九や岡上淑子さんの作品が紹介されていました。


Photo: Ken Kato


また、シュールな漫画 『ねじ式』 や、
ダダやブルトンといった怪獣が登場するウルトラマンの原画も展示されています。
漫画や特撮を通して、日本独自の 「シュール」 が広がっていったのですね。


Photo: Ken Kato


ちなみに、展覧会のラストを締めくくるのは・・・




シュールな作風で人気の現代アーティスト束芋さんによるインスタレーションです。
エルンストやダリといった初期のシュルレアリスムに通ずるところもあり、
もちろん、いわゆる日本的な 「シュール」 な世界観も感じられる作品でした。
見れば見るほど、考えれば考えるほど、
“結局のところ、シュールって何なんだろう??” と不安になってきます。

それだけに、シュルレアリスム展の会場を抜けて、
ポーラ美術館の常設展コーナーが始まった時には・・・・・




まるで白昼夢から目覚めたかのようで、心底ホッとしました (笑)
ポーラ美術館にはかれこれ30回以上は訪れているので、
さすがに、ルノワールやモネの作品に新鮮味を感じなくなっていましたが。
束芋ワールドからのルノワール、束芋ワールドからのモネは、まさに 『地獄に仏』!
実に新鮮な印象を覚えました。
(注:いや、決して、束芋さんの作品が地獄のようだというわけではありません。くれぐれも誤解のなきように


さてさて、最後に一つ告知を。
この展覧会の関連イベントとして、来る1月11日に、
「新春!シュルレアリスム ヒットパレード ―シュールの笑いを分析する―」 が開催されます。
こちらは、私アートテラー・とに~と、
担当学芸員の東海林洋さんによる対談形式のトークイベントです。
『シュール』 な笑いとは何か、その定義やメカニズムについて、
芸人として、真面目にかつアカデミックに、考察・分析いたします。
とはいえ、新春らしく、楽しいコーナーも用意していますので、どうぞお楽しみに♪
詳細は、こちらに↓
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000026617.html




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第41回 世田谷区弦巻でアンリ・ルソー

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ルノアールを筆頭に、モネ、ゴッホ、シャガール…と、
街を歩いていると、時に、美術界の巨匠たちと同じ名前のお店に出くわします。
果たして、それらのお店と巨匠との間に関係はあるのか??

気になるようで気にならない。
でも、気にしてしまったら、気になって仕方がない。
そんな疑問を解消すべく、アートテラーは今日も店へと赴く!!



サザエさんの街、桜新町へとやってきました。




桜新町駅から歩くこと約10分。
図書館やプラネタリウムが併設された世田谷区立教育センターに到着しました。




この施設内に唯一ある喫茶店。
それが、ルソー弦巻です。





ただの “ルソー” ではなく、ルソー弦巻。
売れない芸人、もしくは、売れないマジシャンみたいな名前です。


さてさて、ルソーという名前を聞いて、パッと思い浮かぶのは、
やはり、《夢》 などの作品で知られる元祖ヘタウマ画家アンリ・ルソーでしょう。




が、しかし、美術界には他にも、
バルビゾン派の画家テオドール・ルソーが存在しています。
さらに、哲学界には、「自然に還れ」 でお馴染みのジャン=ジャック・ルソーがいます。
果たして、店名の由来は、どのルソーなのでしょう??
何かヒントはないかと、お店の周りをうろうろしていたところ、
おそらく以前使われていたであろうお店のロゴを発見いたしました。




この字体は、まさしくアンリ・ルソーのサインです!!




自分の中でスッキリ解決したところで、いよいよ店内に入ってみることに。
店内のその率直な第一印象は、なんというか・・・・・老人ホームのようでした。




“あれっ?間違えてデイケアの施設に入っちゃった (汗)??”

と、軽く焦ってしまったほどです。
図書館やプラネタリウムがすぐ近くにあるので、
家族連れのお客さんが多いのかと思いきや、先客は、おじいちゃんおばあちゃんだけ。
後から入ってくるお客さんも、おじいちゃんおばあちゃんだけでした。
それから、座面の色味!
喫茶店やレストランでは、まず見かけないカラーリングです。
老人ホームっぽさを増長させています。


さてさて、気を取り直して、何かオーダーを。
事前情報として、洋食が美味しいと聞いていたので、
洋食の定番、オムライスを頼もうとしたところ、まさかの土日限定でした。




周りを見渡せば、店内にいたお客さん全員が、日替わりランチを注文しています。
郷に入っては郷に従え。
僕も日替わりランチを注文することにしました。


さて、メニューが運ばれてくるまで、恒例の店内チェック。
ただ、残念ながら、アンリ・ルソーの絵は飾ってありませんでした。
強いてアンリ・ルソーっぽい部分をを挙げるとするならば・・・・・




座面も含めて、店内に緑が多いことでしょうか。
なんとなく、アンリ・ルソーが描くジャングルっぽいような。


と、そうこうしているうちに、日替わりランチが運ばれてきました。
本日は、天丼です。




見た目はややベチャっとしていますが、
実際のところは、一体どうなのでしょうか。
おそるおそる口に運んでみました。




・・・・・・・うん。ややベチャですね。

油っぽさ、食感こそアレでしたが、
タレの味はちゃんと美味しかったです。
この完璧じゃない感じが、アンリ・ルソーに通ずるところがありました。
(↑無理やりまとめてみました)


ちなみに、アンリ・ルソーといえば、
モデルの人物の体のパーツ (鼻や口、目など) の寸法を測った上で描いたり、
遠近法を完全に無視して好きなものを大きく、そうでないものは小さく描いたり、
と、独自のスタイルを貫き通した画家です。
そのイズムを受け継いだのでしょう (?)。
紙ナプキン入れの使い方が、だいぶ独自スタイルでした。




紙ナプキンだけでなく、
スティックシュガーもつま楊枝も入れちゃう。
それが、ルソー弦巻です。


<お店情報>
ルソー弦巻
住所:東京都世田谷区弦巻3-16-8 世田谷区立教育センター内
定休日:最終木曜日、年末年始
営業時間:10:00~17:00
 



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たば塩コレクションに見る ポスター黄金時代

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現在、たばこと塩の博物館 (通称:たば塩) では、
“たば塩コレクションに見る ポスター黄金時代” が開催されています。




こちらは、たば塩が所蔵するポスターコレクションの中から、
ポスターが広告メディアの花形だった1890年代から1960年代のものを一挙展示する展覧会です。
出展されているのはすべて、たばこのポスター。
それだけに、正直なところ、会場を訪れるまで、
“たばこのポスターなんて、たばこを吸う人しか楽しめないのでは?” と思っていましたが。

初期は石版画でシンプルに作られていたポスターに、




やがて 「図案」 という概念が導入されるようになり、




さらに、時代が進むと、写真をメインビジュアルにしたものへと変化。




たばこ関係なしに、単純にポスターのデザインの変遷が辿れる展覧会として面白かったです。
また、会場には、興味深いポスターが多数ありました。
まずは、1897年頃のTHE AMERICAN TOBACCO CO.のポスター。




たばこのポスターなのに、たばこは隅っこのほうにそれぞれ描かれているだけ。
画面の多くを占める中央の女性は、どう見てもたばこを吸うタイプには見えません。
むしろ、副流煙に苦しんでいそうな表情です。
このポスターを見て、誰がたばこを買おうと思うのか。


続いては、村井兄弟商会の 「ピーコック」 のポスター。




パッケージのピーコックよりも、
たばこを咥えて天を駆ける馬のほうが完全に目立っています。
ペガサスのイメージなのでしょうが、翼が鳥のものではなく、コウモリのそれ。
キメラ感が半端ではありません。
もはや、このインパクト絶大のモンスターをパッケージにした方がよいのでは?


現在ではすっかり世間から白い眼で見られているたばこですが・・・・・




かつては贈答用として贈られていた模様。
もし今、たばこを贈答したなら、贈った人間まで白い眼で見られかねません。
時代は変わったのですね。

そうそう、時代が変わったといえば、
現在は、たばこのCMやポスターに有名人が起用されることはまずありませんが。
昭和30年代は、当時の人気女優が起用されていたのだとか。
展覧会では、若き日の八千草薫さんのたばこのポスターも紹介されていました。




よく見ると、たばこを直接吸うのではなく、
パイプ的なギミックに装着して吸っているようです。
当時のご婦人は、こうして吸うのがポピュラーだったのでしょうか。


個人的に一番印象に残ったのは、終戦直後のポスター。




この当時、闇たばこが横行していたようで、
それを防止するポスターが多数制作されたのだそうです。
たばこも、営業も、やっぱり “闇” はよくないですよね。


他にも、レイモン・サヴィニャックら海外のポスターや、




岡田三郎助や堂本印象といった芸術家がデザインしたたばこのパッケージ、




アールヌーヴォーの影響を受けた秀逸なデザインのたばこのパッケージなど、




アート的な見どころは多々ありました。
たばこのことは嫌いでも、たばこのポスターのことは嫌いにならないでください。
星


ちなみに。
僕はまったくたばこを吸わないのですが。




美味しそうにたばこを吸う人たちのポスターを眺めていたら、
さすがにちょっとくらい吸ってみたい気持ちになってしまいました (結局、吸ってないですが)。
そういう意味では、今禁煙中の方にはオススメできない展覧会です (笑)




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国宝 雪松図と明治天皇への献茶

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三井記念美術館で開催中の展覧会、
”国宝 雪松図と明治天皇への献茶” に行ってきました。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


こちらは、忠臣蔵の映画、ケンタッキーのパーティバーレルと並んで (?)、
すっかり年末年始の風物詩として定着した国宝 《雪松図屏風》 を公開する展覧会です。




例年はたいてい、前期後期のいずれかで公開されていましたが、
令和初となる今回の年始年末は、なんと会期中ずっと公開されています。
また、もう一つの風物詩である国宝の 《志野茶碗 銘卯花墻》 ももちろん公開中。
今年は、通常の展示ケース内ではなく・・・・・




三井家にゆかりのある国宝の茶室・如庵を再現した室内で公開されていました。
国宝&国宝×国宝。
年始年末の特番ばりに、豪華な展覧会です。
星星


さらに、今回の展覧会では、令和改元を記念して、
三井家のコレクションの中から、天皇や皇室に関する作品が紹介されていました。
その中心となるのは、明治20年に開催された京都博覧会において、
三井家が明治天皇への献茶を行った際に、実際に使われた茶道具の展示です。




実は、その際、六畳の囲い屏風として用いられたのが、《雪松図屏風》
確かに、献茶の席図に 《雪松図屏風》 の一部が描かれています。




《雪松図屏風》 を、美術品としてではなく、
屏風として使用するだなんて、なんと贅沢な!
まさに、最高峰の 「お・も・て・な・し」 です。


展覧会では他にも、1890年に京都高等女学校で行われた皇后への献茶にまつわる茶道具や、




天皇の宸翰 (天皇自筆の文書) が多く貼り付けられた重要文化財の古筆手鑑 《たかまつ帖》




天皇家にちなんで菊をモチーフにした工芸品や茶道具なども紹介されていました。




また、三井記念美術館には珍しく、
横山大観や竹内栖鳳、安田靫彦といった近代日本画の巨匠の作品も展示されています。




彼らはみな、帝室技芸員に任命された人物。
小品ながらも、その実力はいかんなく発揮されていました。


ちなみに。
展覧会のラストを飾るのは、三井家の歴代当主が描いた絵画の数々です。
いくら絵師の師匠に習ったとはいえ、本業は越後屋の経営。

“どうせ素人に毛が生えたようなものでしょw”

と高を括っていたら・・・・・





普通にお上手でした!
越後屋、お主もやるよのぅ。




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所蔵作品展 パッション20 今みておきたい工芸の想い

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東京国立近代美術館のちょっと先にある東京国立近代美術館工芸館。




1977年に東京国立近代美術館の分館として、現在の場所に開館しましたが、
来年2020年に金沢へと移転し、夏に国立工芸館 (仮称) としてリニューアルオープンします。
つまり、この赤煉瓦の建物での展覧会は見納め。
このレトロな雰囲気も見納めです。




そんな東京国立近代美術館工芸館のフィナーレを飾るのは・・・・・




“所蔵作品展 パッション20 今みておきたい工芸の想い” という展覧会。
「モダンvs古典」 や 「オブジェも器も関係ない」 といった20のキーワードで、
明治時代の超絶技巧から現代工芸家の作品まで、工芸の100年をイッキ観する展覧会です。




出展作品は、約150点。
それらの中には、民藝の名品の数々や、




人間国宝による名品の数々、




さらには、今年の春に重要文化財に指定されたばかりの鈴木長吉の 《十二の鷹》 や、
これまでに何度も展示されてきた、もはや工芸館の顔ともいうべき巨大な赤い手袋も。




まさに、工芸館オールスターズ大集結!
「最後だから、全部見せちゃおうぜ!」 というような、
東京国立近代美術館工芸館のパッションが伝わってくる展覧会でした。
星星
『笑っていいとも!』 のグランドフィナーレに匹敵するフィナーレっぷりです (←?)。


さてさて、人間国宝・平田郷陽によるイケメンすぎる人形 《桜梅の少将》 や、




メインであるはずの陶芸作品よりも目立ってしまっている川口淳さんの箱、




どことなく世紀末感 (北斗の拳?) が漂う関谷四郎の 《赤銅銀十字線花器》 など、




個人的に強く印象に残った作品は数多くありましたが、
もっとも印象に残ったのは、加藤土師萌の 《緑地釉裏金彩飾壺》 でした。




色合いといい、フォルムといい、なんと美しい飾壺なのでしょう!
古代の文明によって作られた作品のようでもあり、
近未来からタイムスリップしてきた作品のようでもあり。
その不思議な佇まいに、吸い寄せられるように見惚れてしまいました。

あぁ、これらの作品は、来年には金沢へ引っ越してしまうのですね。。。

そう考えると、改めて、寂しさが込み上げてきました。
後悔しないためにも、何度も訪れるほうが良いかもしれません。

ちなみに。
東京での最終日は、2020年の3月8日です。
レミオロメンの1日前、と覚えましょう (←?)。









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図録・オブ・ザ・イヤー2019

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さぁ、今年もこの季節がやってまいりました!
展覧会そのものは一切関係なし。
ただただ素晴らしかった図録を、
アートテラー・とに~が独断と偏見で評価する “図録の祭典” 。
それが・・・・・

キラキラ図録・オブ・ザ・イヤーキラキラ

です。
アート業界のごくごく一部の人から熱い視線を集めるこの企画。
今年2019年、その栄冠に輝いたのは、一体どの図録なのでしょうか?!


第10位 カルティエ、時の結晶





さすがカルティエといった感じのエレガントな図録。
図録というよりも、もはや “読むジュエリー”。
一冊置いておくだけで、部屋の雰囲気が華やぎます。


第9位 日本の素朴絵 ―ゆるい、かわいい、たのしい美術―




日本美術史に残るゆるキャラ大集合の展覧会の図録。
表紙からすでに楽しげですが、中身も楽しさいっぱい。
小ネタが満載です。
本の角が丸いのもグッド!


第8位 人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-




“人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-” は、
東京国立博物館の平成館でも本館でもなく、東洋館の一室でややひっそりと開催中の展覧会。
それゆえ、正直なところ、展覧会はそこまで大きく印象には残っていないのですが (笑)
その図録はビックリするくらいにクオリティが高かったです。
「この図録をゲットするために、展覧会を訪れた方がいいですよ」 と薦めたいレベル。


第7位 ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン




帯で “色彩の巨人” と紹介しながらも、
あえて白一色の特殊加工の表紙にしたセンスに脱帽しました。
絵画やテキスタイル・デザインを紹介するページの周囲を黒で囲むというデザインも素敵。


第6位 クマのプーさん展




ディズニーのキャラクターとしての “クマのプーさん” ではなく、
イギリスの国民的絵本としての “クマのプーさん” の魅力に焦点を当てた展覧会。
表紙のカラーを黄色にしなかったところに好感を覚えました。
また、図録の中には、作家A.A.ミルンの文章の魅力をビジュアルで紹介したページも。




展覧会では、どうしてもE.H.シェパードの挿絵に注目してしまいましたが、
この図録のおかげで、A.A.ミルンの文章の魅力にも気づくことが出来ました。


第5位 藤井フミヤ展 多様な想像新世界 The Diversity




“アーティスト・藤井フミヤ” の全貌が詰まった1冊。
装丁はもちろん、作品の配置、印刷、紙の質感など、細部に至るまでこだわり抜かれています。
また、どのページも、手で押さえなくても、
180度開いたままの状態を保つことが出来るのも嬉しい限り。




ちなみに、図録の中には、自宅で制作中のフミヤさんのショットも収められています。
これらの写真を撮影したのは、フミヤさんの実の娘さんだそうです。


第4位 ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道




ゴージャスな装丁。
図版もたくさん掲載。
「これぞ図録!」 というような、王道にして究極の図録でした。


第3位 メスキータ





日本初となるメスキータの回顧展の図録。
何と言っても印象的なのは、その手触り。
画像を印刷した上から、目の粗いクロスを貼っているのだそう。
他の図録とは一線も二線も画す、実に凝った作りです。




なお、メスキータ作品の迫力を存分に伝えるため、あえて大判の判型を採用したとのこと。
そのせいで、本棚に入らなかったのが、玉に瑕です (笑)。


第2位 コートールド美術館展 魅惑の印象派




全体の雰囲気、サイズ感、内容。
すべてがパーフェクト。
そういう五角形のグラフみたいなヤツがあったら、綺麗な五角形を描くことでしょう。




何よりも、透明なフィルムのページを重ねることで、
作品の各見どころが浮かび上がるという仕掛けが画期的でした。
新時代の図録。


第1位 ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュ





この春、DIC川村記念美術館で開催された、
“箱のアーティスト” ことジョゼフ・コーネルの大規模展覧会の図録。
もちろん、箱入り。
まるで、この図録自体がコーネルの作品のようです。




作品の図版だけでなく、会場風景も収録されていました。
展覧会の思い出も閉じ込めたかのような一冊です。


ちなみに、2018年2019年と連覇を果たした東京都庭園美術館。
“岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟” の図録も、
とても素晴らしかったのですが、惜しくも入賞ならず。
それくらいに、今年は全体的に図録のレベルが高かったです。
果たして、来年2020年は、どんな図録が登場するのか?
また来年の図録・オブ・ザ・イヤーでお会いいたしましょう!




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伊豆をめぐる絵画―横山大観、安田靫彦を中心に―

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先日は、伊豆半島の南部にある上原美術館へ行ってきました。




東京から、まずは熱海駅へ。
そこから伊東線・伊豆急行に乗り越えて、伊豆急下田駅へ。
さらに、伊豆急下田からバスで約20分。
「ナゼそこに?美術館」 という立地にある美術館です。
ちなみに、もともとは、上原仏教美術館と上原近代美術館と、別の美術館だったのだそう。
2017年に、その2館が合体し、上原美術館としてリニューアルオープンしました。

さて、まず美術館について、
何と言っても目を惹かれたのは、2館の間にドーンと聳える銅像。




モデルは、大正製薬をトップ企業へと成長させた3代目社長、上原正吉・小枝夫妻です。
彼らの寄付による仏教美術コレクションと、
その長男である昭二氏が収蔵した印象派や安井曾太郎などの国内外の近代絵画が、
上原美術館コレクションの中核となっているとのこと。
上原美術館にとって最重要人物といっても過言ではありません。
なお、この銅像のすぐ隣には・・・・・




ワシをモチーフにした銅像が設置されていました。
さすがは、ワシのマークの大正製薬です。


上原美術館には近代館と仏教館がありますが、まずは仏教館から。
入り口に入ると、いきなり仁王像がありました。




不意打ちだったので、ちょっと・・・というか、だいぶビックリ!
護るのであれば、入り口の外側でお願いいたします。




さて、そんな仁王像を含め約130体の木彫の仏が安置されているのが、
今回リニューアルされた仏教館の最大の見どころの一つ、仏像ギャラリーです。




公民館のようなスペースに、仏像がギッシリ。
ビジュアルとしては圧巻ですが、
やや残念なのは、近現代の仏像しか展示されていないこと。




もちろん、立派な仏師さんが制作したものなのでしょうが、
展覧会や寺院巡りで平安時代や鎌倉時代の仏像に見慣れてしまっているので、
重厚さがあまり感じられず、美術品としては物足りなさを覚えてしまいました。
美術館というよりも、お仏壇のはせがわに来ているかのような。

とはいえ、いろんなタイプの仏像が安置されているので、仏像の勉強にはなります。




ちなみに、個人的にお気に入りは、
八大童子のうちの制多迦童子 (せいたかどうじ)




“・・・・・何でこんな髪型にされたんだろう、俺?”
そんな彼の悲痛な叫びが聞こえてきそうです。


さて、こちらの仏教ギャラリーの先には、
今回、増築・新設された仏教館展示室があります。
普段は仏教美術コレクションを展示しているそうですが、
現在は、そちらと近代館の一部を使って、伊豆市との共同企画展、
“伊豆をめぐる絵画―横山大観、安田靫彦を中心に―” が開催されていました。




伊豆市が所蔵する日本画コレクションを中心に紹介する展覧会です。
あまり知られていませんが、実は、伊豆市は日本画界にとって重要な地。
というのも、戦前、横山大観や安田靫彦、川端龍子らが、
静養や療養のため、たびたび訪れていた場所が、伊豆の修善寺温泉だったのです。
彼らを修善寺に引き寄せたのは、老舗の新井旅館の三代目当主・相原沐芳。
もともと彼は、東京で美術を学んでいましたが、
新井旅館の一人娘と結婚したのを機に画家の道をスッパリ諦め、旅館の経営に専念したのだそう。
しかし、美術界と縁を切ったわけではなく、
むしろパトロンとして、横山大観や安田靫彦らの療養をサポートしました。
(大観のためには、敷地内に特別に客室兼画室を建設したそうです!)
さらには、彼らの作品を購入し、支援を続けたのだとか。
そんな相原沐芳のコレクションは、のちに子孫により伊豆市に一括して寄贈されたとのこと。


横山大観 《神州第一峰》


安田靫彦 《鴨川夜情》


そう、つまり、今回出展されている作品はすべて、
相原沐芳と日本美術の巨匠との絆から生まれた作品なのです。
出展数はそこまで多くなかったですが、
伊豆で生まれた絵画を伊豆で観るというのは、贅沢な体験だったように思います。
星星


ちなみに、個人的に印象に一番残っているのは、
横山大観のダイナミックな金屏風作品 《松竹遊禽》 の左隻です。




カササギの飛び方が、変。
ペットボトルロケットみたいな飛び方をしています。
もしかしたら、療養中の際の作品だったのかもしれないですね。


さてさて、展覧会を見終わった後は、
近代館にある休憩室で一休みすることにしました。




「飲み物はセルフサービスです」 とのこと。




コーヒーや紅茶、緑茶などが取り揃えられていました。
無料で頂けてありがたい限りなのですが、
ワシの像を目にしてからというもの、口が完全にリポビタンDの口になっていたので、
出来れば、リポビタンDの自動販売機も設置して欲しかったです (笑)




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伊豆の長八美術館

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上原美術館を堪能した後は、西伊豆方面へ。
目地を漆喰でかまぼこ型に塗り重ねたなまこ壁が街のあちこちに残る松崎町へとやってきました。




実は、その昔、大学時代にサークルの夏合宿で松崎町を訪れたことがあります。
ふらっと入った街の本屋さんのベストセラーコーナーに、
『ウォーリーをさがせ!』 の黄色い表紙のが置かれていたり (2002年だったのに!)。
町のお祭りでライブをしていたのが、
魚肉コンビーフという名前のバンドだったり (しかも、アン・ルイスのコピーバンド!)。
あまりにツッコミどころが多かったことを、今でも鮮明に覚えています。
そんな松崎町のツッコミどころの多さは、令和の今も健在でした。
まず目に飛び込んできたのは、こちらのスーパーの看板↓




「ウチには無いものなんて無い!」 という自信の現れなのか、
はたまた、「何と言われようが、無いものは無い!」 という開き直りなのか。
気になったので、入ってみましたが、
とりあえず、お酒を含め、売っていないものがいろいろありました。
どうやら後者のようです。

また、そのすぐ近くにあったこちらの神社。




一見したところは、普通の神社ですが、
近づいてみたところ、鳥居の下にこんな案内がありました。




・・・・・・・・・・・。

変わってると自分でアピールするのは、本当にヤバいヤツです。
この時点で、絶対に面白くない気がプンプンしていますが。
目にしてしまったからには、一応、境内に入ってみることにしました。




・・・・・・・・・・・。

あっ、これは関わらないほうがいいヤツだ。
すぐさま引き返しました。


さてさて、そんなツッコミどころの多い松崎町にあるのが、
他のどの美術館とも被らない、強烈なビジュアルをした美術館。
その名も、伊豆の長八美術館です。




松崎町出身で、幕末から明治にかけて活躍した左官の神様、
“伊豆の長八” こと入江長八 (1815~1889) の作品を展示する美術館。
日本唯一の漆喰芸術の美術館です。

このクセが強い美術館を設計したのは、鬼才の建築家・石山修武さん。
「左官の神様の美術館であれば、現在の左官の技術の粋を尽くすべき!」
という考えから、腕の良い左官職人延べ2000人を日本中から松崎町に集結させたのだとか。
外壁はもちろん、内部の壁や天井にいたるまで、
すべて当時最高の左官技術で仕上げられているそうです。

ではでは、時が経てば経つほど、白く輝き強度が増す、
そんな土佐漆喰の美しい壁が特徴的なエントランスを抜けて、館内へ。




展示室は、2つ。
どちらもそれほど大きくはありませんでした。
外観から想像していたよりも、だいぶコンパクトな展示スペース。
どうやら着ぶくれするタイプのようです (←?)。
ちなみに、2つの展示室の間には、のぼりとくだりの階段がありました。
つまり、1つ目の展示室を観て、階段をのぼって、
で、すぐに階段をくだって、2つ目の展示室に入ることになります。
・・・・・・・何のための階段だったんだろう??
このあたりが、松崎町クオリティです。


なお、肝心の伊豆の長八作品ですが、約50点ほど展示されていました。
そのうちの1部は、写真撮影が可能となっています。




西洋の漆喰芸術・フレスコ画 (ミケランジェロの 《最後の審判》 など) と違い、
伊豆の長八の漆喰芸術・鏝絵は、立体的かつリアルなのが大きな特徴です。





漆喰と鏝で、これほどまでに繊細な作品を生み出せるとは!
まさに超絶技巧!
さすがは 『左官の神様』 です。
星

どの作品も見ごたえがありましたが、
個人的に一番印象に残っているのは、《寒梅の塗り掛け軸》 という作品です。




水墨画のタッチで描かれた寒梅の部分は、もちろん鏝絵。
しかし、よく見ると、実はそれだけでなく、軸装の部分も漆喰で再現されていました。




左官の神様のいたずら
遊び心のある作品でした。


ちなみに、伊豆の長八美術館に隣接する建物・・・




松崎町営民芸館カサ・エストレリータも、石山修武さんによる設計とのこと。




伊豆の長八美術館に輪をかけて、ぶっ飛んだ建築です。
なお、地方のパチンコ屋のような見た目ですが、
中は、松崎町特産の桜葉を使った桜葉餅や桜葉クッキーなどを販売するお土産屋さんでした。
人は見かけによらない、と言いますが、建物も見かけによらないようです。




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2019年アートテラーどうでもいい事件簿

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今年も残すところ、あとわずか。
明日は、令和最初の大晦日ですね。

そんな2019年最後にお届けするのは、
昨年同様に、今年1年を振り返る企画です。
アートテラー・とに~の身に今年起きた事件の数々を発表しようと思います。
僕にとっては大きな事件ですが、人類にとってはごくごく小さな事件。
どうでもいいエピソードばかりですが、
時間に余裕のある方は、どうぞお付き合いくださいませ。


File.01  大人のセンチメンタリズム事件

今年3月、バカリズムさんの 『大人のたしなみズム』 という番組に、
画廊の魅力を紹介する “たしなみスト” として出演させて頂きました。




日動画廊さんをはじめ、東京画廊さん、靖山画廊さん、至峰堂画廊さんなど、
銀座を代表する画廊の皆さまが全面協力をしてくださったおかげで、充実した内容となりました。
さてさて、画廊を巡るロケで、陶芸を専門に扱う黒田陶苑に訪れた時のこと。
その日たまたま、僕が個人的に作品のファンであった、
北海道在住の陶芸家・増原嘉央理さんが、黒田陶苑にいらっしゃいました。
突然の美人陶芸家出現に色めき立つ撮影スタッフの皆さま。
そこでノリで、「増原さんにも出演してもらっちゃいましょうよ!」 と提案したところ、
増原さんも突然のことながら承諾してくれ、その出演シーンがオンエアされることになりました。

さて、後日、黒田陶苑のギャラリストさんから、こんな報告がありました。
「番組のおかげで、増原さんの作品への問い合わせが増えたんですよ!
それと、増原さんのInstagramのフォロワーもたくさん増えたみたいです」

それは、良かったですね!
アートテラーとしてお役に立てて何よりです。

・・・・・とは返したものの、心では切ない気気持ちになっていました。
というのも、あの番組を通じて、僕のフォロワーが増えた数は、たった2人。
増原さんと違って、全編通して番組に出演していたはずなのに。
この差って何ですか (笑)?


File.02  子どもが教えてくれたこと事件

今年も、小学校や学童保育の教室などで、
おかげさまでたくさんの出張授業を担当させて頂きました。
一人でも多くの子が、アートに興味を持ってくれたなら、アートテラー冥利に尽きます。
ちなみに、こちらは、愛知県のとある小学校へ出張授業に訪れた際に用意されていた張り紙。




表記が、「トニーさん 様」 となっていました。
「さかなクン 様」 みたいな感じでしょうか??
思わずギョギョッとして、二度見してしまいました。

そんな子ども向けの仕事の中で、今年もっとも印象に残っているのは、
国立市で開催された 『アートテラー・とに~の親子で楽しむ美術トークショー』 での出来事です。

2時間という長丁場でしたが、最初から最後まで、
参加者がダレることなく、トークを終えることが出来ました。
講演後、主催者さんからアンケート用紙を見せて頂いたのですが、反応はおおむね好評。
ホクホクした気分で用紙をめくっていたところ、
とある小学生男子のアンケート用紙で指が止まりました。
そこには、ただ一言、こんな一文がありました。

「それなりにおもしろかったです。」

彼なりに褒めてくれてはいるのでしょうが。
なんとも複雑な気分に・・・。
それなりにショックでした。


File.03  過大評価され過ぎ事件

今年の一番のトピックといえば、
やはり何といっても藤井フミヤさんとの出会いでしょう。
1度とならず、2度3度4度とお会いする機会に恵まれました。
来年も2月には、フミヤさんさんとのトークショーも予定されています (詳細はまたいずれ)。

ちなみに、その初対面は、国立新美術館の “ウィーン・モダン展” の関連イベントとして開催されたトークショー。
当初のタイトルは、『藤井フミヤ×とに~ クリムト、シーレ ウィーン芸術の魅力』 だったのですが。
藤井フミヤさんサイドからの申し出で、最終的にタイトルは以下に変更となりました。

『とに~with藤井フミヤ クリムト、シーレ、ウィーン芸術の魅力

いやいやいや!
フミヤさんがwithっておかしいでしょ!
どっちが安室ちゃんで、どっちがSUPER MONKEY'Sかって話ですよ。
あまりにも荷が重かったので、自作したパワポでは、
『とに~』 の字を小さく、『藤井フミヤ』 の字を大きくすることにしました (笑)
その写真も含めて、トークショーの様子は、こちらの記事にまとめられています↓

クリムト、シーレの魅力語る「ウィーン・モダン」展 トークショーに藤井フミヤさんが登場

さて、この時のトークショーが好評だったこともあり、
なんと今年8月に代官山で開催されたフミヤさんの個展
そのオープニングレセプションの司会に抜擢して頂きました。

藤井フミヤとアートテラー・とに~によるトークセッション=『デジタルとアナログで想像する 藤井フミヤ展「THE DIVERSITY 多様な想像新世界」』

1つ返事で快諾したものの、当日気軽に引き受けたことを大きく後悔することに!
司会台に上がった瞬間、卒倒しそうになったのです。
というのも、目の前にフミヤさんがいらっしゃるのはもちろんですが、
オーディエンスに目を向けるとそこには、ヒロミさんや木梨憲武さん、
さらには、木梨さんがよくモノマネをする港さん (※) など、そうそうたる顔ぶれが!
(※『とんねるずのみなさんのおかげです』 の初代演出。現在は共同テレビの社長さん)

“これだけ大物が勢ぞろいしている中で、何で僕が司会をしているんだろう??”

パニックになりそうでした。
いや、なりそうではなく、完全にパニックでした。
それでも一応トークセッションを終えることが出来たのは、きっとフミヤさんのおかげです。




他にもいろいろあった今年2019年。
年始から毎日1日も休むことなく、記事をお届けすることが出来ました。
最後に、自分で選んだ今年のお気に入りブログ記事ベスト5をご紹介したいと思います。

第5位  新・無料で観れる 美術百選 《小田急線下北沢駅(東京都世田谷区)》 (5/20)

小田急線下北沢駅の新駅舎に設置された陶板レリーフが、ネットでちょっと話題に。
ネタになるかと思い、急行したものの、そこまで面白い作品ではありませんでした (笑)
ボツにしようかとも思っていたのですが、
うんうん唸りながらパソコンに向き合っていたら、思いがけないオチが閃きました。
粘ってみるものですね。


第4位  クリーニング屋アートの世界2 (6/1)

クリーニング屋さんに描かれているイラストを紹介するというイレギュラーな企画。
「これはアートではない!」 と非難されるかと思いきや、
意外と好評だったので、調子に乗って第2弾もお届けしました。
第3弾に向けて、今もひそかに収集中です。


第3位  こっちみんな (8/13)

「こっちみんな」 というキーワードだけで絵画を紹介する。
シンプルな発想だけに、記事として面白くまとまるか不安でしたが。
結果的には、バリエーションがいろいろあって楽しい記事になったかと。


第2位  “お~いお茶”の俳句査定 (1/27)

単独トークショーが開催できないのは残念でしたが。
改めて自分で読んでも、このネタはよく出来ているなぁと思います (←自画自賛w)。
お茶を口に含んだ状態で読むと、より面白さが増しますよ。


第1位  ヨハネへの道~1週目~ (2/28)

今年一番、体を張った企画はこれでした。
好きなお酒もお菓子も経って、ストイックにダイエットに挑んだ35日間。
自分で自分をほめたいと思います。
ちなみに、あれから今もトレーニングは毎日続けています。
腕立て伏せが全く出来なかったこの時代が懐かしい!


というわけで、本年もお付き合い頂きまして、ありがとうございました。
2020年もアートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】をどうぞよろしくお願いいたします。
それでは皆様、良いお年を!




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【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】

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現在募集中のアートツアーです。

アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画を心掛けております。
初参加の方も多いので、どうぞお気軽にご参加くださいませ♪
(男女比は、7:3くらいで女性が多いです。
 また、おひとりで参加される方が大半ですので、一人でもふらっと遊びにいらしてください!
 お子様とご一緒の参加も大歓迎です[お子様の参加費は基本無料])
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
参加希望の方は、お手数をおかけして恐縮ですが、
件名に希望するアートツアーを明記して、以下のメールフォームよりお申し込みくださいませ。
詳細をお知らせいたします。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
お知らせ先のメールアドレスが間違っている方が、ごくたまにいらっしゃいます。
こちらからの返信がない場合は、もう一度お送り頂けますと幸いです。


1/5(日) “第二弾 日本画解放区” 特別トークショー

昨年末、Bunkamura Galleryで開催され、好評を博した “日本画解放区”。
その第2弾が、2019/12/28 (土) ~2020/1/8 (水) の日程で開催されます。
こちらは、個性豊かな若き日本画家7名によるグループ展。
今後の日本画界を盛り上げていく新世代の画家たちの競演です。

その期間中、1/5(日) に特別トークショーが開催されることとなりました。
MCは、私アートテラー・とに~。
出演は、出展作家の皆さまです。
『アメトーーク』 形式で、日本画と出展作家の魅力を引き出します。
楽しい1時間にしますので、ご期待くださいませ。
日本画がお好きな方も、好きになってみたい方も是非この機会に!

時間:14時~15時
参加費:無料
事前予約不要 ※直接 Bunkamura Galleryまでお越しください


1/12(日) 新春!大浮世絵アートツアー
(おかげさまで定員に達しております。現在はキャンセル待ちでの受付となります)

今回お届けするのは、『浮世絵』 をテーマにしたアートツアーです。

はじめに訪れるのは、江戸東京博物館。
こちらでは、浮世絵界のスーパースター勢揃いの展覧会、
“大浮世絵展 〜歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の共演〜” が開催されています。
まずこの展覧会で、たっぷりどっぷりと浮世絵の世界に浸りましょう。

その後、カフェ休憩を挟んで、
江戸東京博物館から東に進むエリアへ。
実は、かつて、この一帯に葛飾北斎が住んでいたのだそう。
そんな北斎ゆかりの街を散策しつつ、
2016年にオープンしたすみだ北斎美術館にも訪れます。

浮世絵が好きな人はもちろん、
これを機に好きになってみたい方も大歓迎です♪

時間:13時~17時半
定員:10名
参加費:2500円 (2つの展覧会鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


1/13(月・祝) ブダペスト展へ行こう!

美術は、いろんな人と感想を共有することで、より楽しいものとなります。
一人で美術展を訪れても、もちろん楽しめますが、
みんなで同じ美術展を鑑賞すれば、もっともっと楽しくなるものです!

さてさて、今回みんなで訪れるのは、2019年度のダークホース的展覧会。
国立新美術館で開催中の “ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年” です。

国立西洋美術館で開催中の “ハプスブルク展” の影に隠れて (?) 、
開幕前は、そこまで・・・というか、ほとんど話題になっていませんでしたが。
いざ開幕してみたら、クラーナハを筆頭に、
エル・グレコ、ティツィアーノ、モネ、ルノワール…etc、とその充実ぶりが話題に。
さらに、シニェイ・メルシェ・パールによる 《紫のドレスの婦人》 も来日!
こちらは、『ハンガリーのモナ・リザ』 と称されるハンガリーの国民的絵画です。
ハンガリーの至宝がまとまった形で来日するのは、実に25年ぶり!
「行かないという選択肢はないやろ」 な展覧会です。

展覧会を鑑賞したあとは、カフェでまったりいたしましょう♪
図録を持参しますので、展覧会の感想などを中心に楽しくワイワイ話せたらと思っております。
もちろん美術の知識は不要!
美術マニアの集いではないので、どなた様も気軽な気持ちで遊びにいらしてくださいませ。

時間:13時半~16時半
定員:10名
参加費:1600円 (展覧会鑑賞料を含みます)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


1/18(土) 現代アートの街“六本木”を巡る旅

都内屈指の “現代アートの街” 六本木。
その顔とも言うべき、六本木ヒルズの森美術館で開催中の展覧会、
“未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか” を中心に、
六本木エリアで抑えておきたい美術館や現代アートのギャラリーの数々を巡ります。
最先端アートや今一番ノッてるアート作品が続々登場しますので、どうぞご期待くださいませ!

現代アートがお好きな方はもちろん、
これを機にお好きになってみたい方も大歓迎です。

時間:13時~17時半
定員:12名
参加費:1800円 (各展覧会鑑賞料を含みます。カフェ休憩時の飲食代は各自負担)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


1/19(日) そうだ 江戸、行こう。~川崎編~

“浮世絵に描かれた街並みは、今、どのような光景になっているのでしょうか?”

浮世絵を手掛かりに、街をぶらぶら歩きながら、
江戸時代にタイムスリップする・・・気持ちになれるツアーです。
講師を務める太田記念美術館の渡邉晃学芸員とともに、
浮世絵に描かれた場所に実際に赴き、現在の光景と見比べてみましょう!

さて、新年1発目は、毎年恒例の初もうで企画。
2017年は成田山、2018年は明治神宮、2019年は柴又帝釈天を訪れましたが、
2020年は、成田山、明治神宮と並んで、初詣の人出全国ベスト3入りの川崎大師を訪れます。
もろもろの災厄を消除する厄除け大師として、
古くから庶民の信仰を集めていたという川崎大師。
江戸時代、あることがきっかけで、大師参りブームが起こったのだそうです。

さらに、今回のツアーでは、
東海道五十三次の2番目の宿場、川崎宿のあたりもぶらぶらします。

新春1発目に相応しいスペシャルなツアーです。
どうぞご期待くださいませ!

時間:12時~16時半
定員:12名
(おかげさまで、“そうだ 江戸、行こう。” 企画は特に人気が集中しております。
 そこで今回は、誠に勝手ながら、先着順ではなく、抽選制を採らせて頂きます。
 ご参加希望の方は1/7までにお申込みくださいませ。参加頂ける方には、1/8中に直接ご連絡差し上げます)
参加費:2000円 (交通費は各自負担)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
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1/26(日) アートでイイ女になる・・・かもしれないの旅。

今回のテーマは、『イイ女』。
行くだけで、イイ女になれる (・・・かもしれない)ミュージアムを巡る旅です。

まず訪れるのは、山種美術館。
こちらでは、広尾開館10周年を記念して、
“上村松園と美人画の世界” という特別展が開催されています。
山種美術館が所蔵するコレクションの中から、
女性で初めて文化勲章を受章した絵師、上村松園がイイ女を描いたすべての作品を公開、
さらには、鏑木清方や伊東深水、橋本明治といった美人画の名手の名品を公開する展覧会です。

こちらの展覧会で、たっぷり美人画を堪能した後は、
山種美術館内にあるカフェ 「Cafe 椿」 でカフェタイムコーヒー
オススメは、展覧会出展作品をモチーフにしたオリジナル和菓子。
目と舌で “美” を味わいましょう。

その後は、先日リニューアルオープンしたばかりの紅ミュージアムへ!
こちらでは、日本が誇るコスメ・紅の魅力を、
学芸員さんの特別ガイドでたっぷり伝授頂きます。
さらに、ラストは貴重な紅差し体験も。

イイ女になりたい方も、もうすでにイイ女である方も大歓迎!
もちろん、男性の方も大歓迎のアートツアーです。

時間:13時~17時半
定員:10名
参加費:1200円 (各展覧会鑑賞料を含みます。カフェ休憩時の飲食代は各自負担)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


2/2(日) 東京のレトロ美術館を巡ろう!

1月31日に発売予定の書籍 『東京のレトロ美術館』。
その出版を記念して、書籍内で取り上げた美術館を巡るツアーを開催いたします。
今回訪れるのは、2つのレトロ美術館です。

まず訪れるのは、表紙にも登場している原美術館。
原美術館は、年内での閉館が決定!
実は今年が訪問できるラストイヤーです。
まだ訪れていない方、訪れる予定がなかった方、是非見納めしに行きましょう。

そして、もう1つは、弥生美術館&竹久夢二美術館。
美術館の建物も展覧会の内容もカフェも、すべてがレトロな “king of レトロ美術館” 。
大正浪漫の雰囲気に浸れること請け合いです。

令和になったばかりなのに、あえてレトロな旅。
皆様のご参加をお待ちしております。

時間:12時半~17時
定員:10名
参加費:2000円 (観賞料を含みます)

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2/8(土) ハマスホイの魅力にハマる旅

2008年、デンマークの画家ハンマースホイの日本初個展が、
国立西洋美術館で開催され、美術ファンを中心に大きな話題となりました。

あれから、12年―。
その名を、ハマスホイと変え (?)、
『北欧のフェルメール』 という新たなあだ名とともに、彼の作品が再び来日。
日本では2度目となる大々的な個展が開催されます。
タイトルは、 “ハマスホイとデンマーク絵画”
注目の展覧会が今年も目白押しの東京都美術館、そのスタートを飾る展覧会です。
是非、この展覧会を訪れ、鑑賞後にみんなで感想を共有しあいましょう!

「ハマスホイって誰?」 という方でもご安心を。
当日は、ハマスホイの魅力をたっぷりお伝えいたします。
ハマスホイワールドにハマること間違いなしのアートツアーです。

時間:13時~16時
定員:12名
参加費:1500円 (観賞料を含みます。カフェ代は別途)

ご参加希望の方は、ツアー名を書き添えて、こちらの応募フォームからお願いいたします↓
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/


いずれのツアーも、皆様のご参加を心よりお待ちしております!!

新・無料で観れる 美術百選 《日の出ふ頭2号船客待合所 (東京都港区)》

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あけましておめでとうございます。

旧年中は大変お世話になりました。
本年も、皆様のアートライフのお役に立てますよう、
たくさんの記事をお届けしてまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


さてさて。
本日ご紹介するのは、2020年一発目を飾るにもっとも相応しいあの美術作品です。
やってきたのは、ゆりかもめ日の出駅のすぐそばにある・・・・・




日の出ふ頭2号船客待合所。
東京湾のクルーズ船シンフォニーの乗り場です。
実は、この場所に昨年話題となったあの美術作品が飾られています。
その作品とは、こちら↓




新・無料で観れる 美術百選 095
バンクシー? 《バンクシー作品らしきネズミの絵》



2018年末、東京・日の出駅付近にある防潮扉に描かれているのが発見され、
ホンモノのバンクシーか、はたまたニセモノか、議論が巻き起こったあのネズミの絵。
小池都知事が記念撮影して、プチ炎上したあの絵です。




昨年1月に、バンクシーの絵と思われる部分が防潮扉から外され、東京都が調査を開始。
結局、真偽の結論は出ませんでしたが、
一般公開を求める声が多かったため、期間限定で東京都庁のロビーに展示されました。
そして、昨年11月25日からは、日の出の地に戻り、常設展示されています。




日の出ネズミ
さらに、今年2020年は、“BANKSY展(仮称)” と、
“バンクシー展 天才か反逆者か” の2つのバンクシー展が控えるバンクシーイヤー。
これほど、2020年一発目を飾るに相応しい美術作品が他にあるでしょうか?!


ちなみに。
昨年あんなに話題となった絵なのに、
まさかこんなところにバンクシーがあるだなんて、誰も思っていないのでしょう。




近寄って見学している人は僕以外誰もいませんでした。
あの騒動はいずこへ??
大山鳴動して鼠一匹とは、まさにこのこと。


<無料で観れる美術 データ>

日の出ふ頭2号船客待合所

住所:東京都港区海岸2-7
アクセス:○ゆりかもめ「日の出駅」より徒歩1分
     ○JR山手線・京浜東北線「浜松町駅」より徒歩約12分




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博物館に初もうで

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もはや毎年恒例となった東京国立博物館の新年企画 “博物館に初もうで”
令和初のお正月も、もちろん開催されています。




ほぼ毎年のように出展されている長谷川等伯の 《松林図屛風》 も、もちろん健在。
(注:展示は1/13日まで)
例年同様、多くの人が詰めかけていました。




『芸能人格付けチェック』 のGACKT様と、
長谷川等伯の国宝 《松林図屛風》 を観ないと、1年が始まった気がしない。
そんな人はきっと僕だけではないのでかもしれません。


さてさて、本館の特別1室、2室では、“博物館に初もうで” の一企画として、
こちらもすっかり恒例となった干支をテーマにした特集展示が開催されています。
今年の干支は、ネズミ。
ネズミをモチーフにした水滴や根付なども紹介はされていましたが・・・。




ネズミが主役となった美術品は、出展作品の2割ほどに過ぎませんでした。
古来よりねずみ返しが作られるほど、日本人には好かれていないネズミ。
その不人気ぶりを実感させられる展示でした。
ちなみに、出展作の中には、こんなものも。




こちらは、歌川国芳による 《鼠よけの猫》 という浮世絵。
江戸の人々はこの浮世絵を家に置いて、鼠除けをしていたのだそうです。
渋谷のファミマにも、この浮世絵があれば!


ネズミをモチーフにした美術品が少ないとはいえども、そこは毎年恒例の企画。
なんとか成立させるために、袋の鼠に追い込まれた担当学芸員さんは、





十二支をモチーフにした作品を展示し、
そのうちの1メンバーとして紹介していたり。





もはやネズミそのものではなく、
鼠色の着物や鼠色の茶碗を紹介していたり。
あの手この手を使って、このピンチ (?) を乗り切っていました。
新年早々、頑張りました
星星


なお、10数点ほどあるネズミが主役の作品の中で、
特に印象に残っているのは、《染付大根鼠図大皿》 というお皿です。




実は、大黒様の使いでもあるネズミ。
大黒様とはセットで描かれることが多いのですが、
このお皿では、大黒様ではなく、なぜか大根と描かれています。
よく見ると、このネズミは大根を食べていますね。
つまり、「大根を食う」 ネズミというわけです。
大根食う・・・だいこんくう・・・だいこくう・・・だいこく・・・大黒!

・・・・・・・・・・・・・・・・。

言っておきますが、僕が考えたダジャレではありません。
スベったとしたら、全部ネズミのせいです。


それから、個人的に印象に残ったのが、《隼人石像碑拓本》 (写真左)
こちらは、聖武天皇の皇太子墓を守るために置かれていたという奈良時代の十二支像。
それを拓本にしたものです。




どう見ても、パンイチ。
しかも、ブリーフを履いているように見えます。
ナイスですね。


最後に、干支の特集展示に限らず、
本館全体で印象的だった作品をご紹介いたしましょう。
まずは、明治時代の木彫家、竹内久一による 《執金剛神立像》 です。




一般的に仏像において、邪鬼は踏みつけられているもの。
本館11室で展示中の 《四天王立像》




その足元でも、邪鬼はちゃんと踏みつけられています。




若干グラビアポーズみたくなっていて、
なぜか可愛さアピールをしていますが・・・。
しかし、竹内久一は斬新なスタイルで、邪鬼を懲らしめていました。




まさかのサザエさんスタイル。
「ひどいよ、姉さん!」
そんな声が聞こえてきそうです。


また、本館14室では、“伝説の面打たち” と題して、
伝説の能面の職人たちが制作した能面の数々を紹介する特集展示が組まれていました。




当然、展示室内には能面がいっぱい。
なかなか圧巻の光景です。
その中の1点、《能面 増髪女》 の造形に惹かれるものがあったので、シャッターを押しました。




家に帰り、写真を見返していたところ、
フォルダの中に、なぜかピンボケした写真が。。。




撮った記憶がまったくありません。
新年早々ちょっとしたホラー体験。
こいつは春から縁起が悪いわい。




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利休のかたち 継承されるデザインと心展

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現在、松屋銀座で開催されているのは、
“利休のかたち 継承されるデザインと心展” という展覧会。




こちらは、『Mr.茶の湯』 こと (?)、千利休にまつわる茶道具や資料を通じて、
彼が見出した 「かたち」 が、戦国から現在まで脈々と受け継がれてきたことを紹介する展覧会です。

展覧会は、2章構成。
まず第一章で紹介されているのは、利休にゆかりの深い茶道具の数々です。
利休が秀吉から賜ったとされる 《唐物円座肩衝茶入 銘 利休円座》 や、




利休が堺の魚屋 (ととや) で見つけたことからその名が付いたという 《本手利休斗々屋茶碗》 など、




茶の湯好きには滅茶苦茶たまらない茶道具が取り揃えられていました。
特に必見なのは、樂美術館が所蔵する 《黒樂茶碗 銘 万代屋黒》 です。




こちらは、利休が所持し、その後、娘の手を経て娘婿である万代屋宗安の所持となった茶碗。
“長次郎の中で最も美しい茶碗” とされ、近年までは千家秘蔵の品であったのだそうです。
ようやく一般の方の目に触れるようになったのは、2012年のこと。
京都の樂美術館で初公開され、話題となりました。
確かに、無駄のないシンプルなデザイン。
それでいて、温かみも感じられる 「かたち」 です。
茶道をするしないに関わらず、
この 「かたち」 が嫌いな日本人はいないのではないだろうか。
そう思わせるほど、しっくりと馴染む 「かたち」 をしていました。

ちなみに、1月11日からは、期間限定で、
利休が北野大茶会で使用したとされる 《唐物尻膨茶入 利休尻膨》 も公開されるそうです。




尻の部分が膨れているから、“尻ふくら”。
そのまんまにもほどがあるネーミングですが、
細川三斎が 「一国に代えても所望したし!」 と求めたとされる名品中の名品です。
せっかく訪れるのであれば、11日以降に訪れるのがベターかもしれませんね。


また、第1章のラストでは、利休が設計し現存する唯一の茶室で、
国宝の待庵を、図面をに記された通りに実物大で再現したセットが紹介されていました。




どことなくニコラ ビュフの作品っぽくて、
これはこれでアリな気はしましたが、わびさび感はほぼ無かったです(笑)
なお、床の間に掛けられている花は、本物ではなく木彫。
現代彫刻家の須田悦弘さんによる作品です。




なお、続く第2章では、利休の跡を継いだ二代少庵、三代宗旦の道具や、




千家の茶の湯の道具を代々にわたって制作する職家、その歴代当主の作品が紹介されていました。




千利休というたった一人の茶人から生まれた、
二代、三代を通じて、表千家、裏千家、武者小路瀬千家の三千家。
さらには、その千家の道具を制作する10の職家、通称 「千家十職」 も生まれています。
そんな数多くの家系によって、
現代まで脈々と利休の精神と美意識を受け継がれている。
改めて、千利休という人物の存在の大きさを実感する展覧会でした。
星
千利休は、千の風になって大きな空を吹きわたっていたのですね。


ちなみに、展覧会の最後に飾ってあったのは、《赤樂茶碗 銘 白鷺》




長次郎の初期の作で、なかなか一般公開されない激レアな茶碗なのだそうです。
「白鷺」 という銘ですが、まったく白鷺っぽくはありませんでした。
サギのようなネーミングです。




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天皇陛下御即位奉祝 明治神宮ミュージアム開館記念展

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初詣の参拝者数日本第1位でお馴染みの明治神宮に行ってきました!
(と言っても、混雑を避けるべく、取材は昨年末に行っております)




訪問の目的は、参拝でも、清正井でもなく、
昨年10月26日に明治神宮内苑にオープンしたばかりのこちらのミュージアムです。




その名も、明治神宮ミュージアム。
鎮座百年祭記念事業の一環として開館したもので、
明治天皇と昭憲皇太后にゆかりのある品々を展示するミュージアムです。

設計を手がけたのは、新国立競技場の設計でもお馴染みの隈研吾さん。
隈さん曰く、「100年以上の歳月をかけ、
整備してきた緑の景観を損ねることなく、そこに溶け込むような建築を模索した」 とのこと。
確かに、明治神宮の森に溶け込んでいました。
というか、あまりに溶け込んでいるので、
参拝に向かう大半の人に気づかれていなかったほど。
ステルスタイプのミュージアムです。


ちなみに。
ミュージアムの内部は、こんな感じになっていました。




かなり開放感のある空間!
むしろ開放感がありすぎて、
“あんな細い木材で支えられるのかな?” と不安になりましたが。
どうやら木材に見えて、鉄骨の柱とのこと。
四方に板材が貼られているのだそうです。
ホッとしたような。それはそれで、ガッカリしたような。

なお、すべてが鉄製というわけではありません。




1階2階それぞれのロビーに設置されたベンチは、
明治神宮で役割を終えた木を再利用したものなのだそう。
座ると、ほのかに歴史が感じられました。




さてさて、現在、そんな明治神宮ミュージアムでは、
“天皇陛下御即位奉祝 明治神宮ミュージアム開館記念展” が開催されています。




展覧会は、前後期制。
1月25日から始まる後期展では、
明治神宮の内陣に安置されていた屏風が中心に展示されるそうですが。
1月19日までの前期展では、装束や箪笥、衝立など、
明治天皇と昭憲皇太后が使われた品々が10数点ほど展示されています。
中でも特に印象に残った展示品は、《御玩具》




キャプションには、「毛植の犬」 とあったので、
犬の毛もしくは人毛が植えられているのかと、一瞬ゾッとしましたが。
なんでも、この毛の正体は、絹糸とのこと。
張子状の本体に絹糸を1本1本丁寧に貼り付けて制作されているそうです。
なお、あまりの超絶技巧ゆえ、現在はこの毛植職人の技は途絶えてしまったのだそう。
絶滅危惧種。
最後の 「毛植の犬」 なのかもしれません。


また、明治神宮ミュージアムの目玉ともいうべき展示品が、
企画展示室に隣接した常設展示室の中央に展示された 《六頭曳儀装車》 です。




こちらは、明治22年の憲法発布式の日に、
明治天皇が実際にお乗りになったとされる馬車。
屋根の上には黄金の鳳凰、車体や車輪は漆塗りで仕上げられています。
まさに豪華絢爛。
この馬車と比べてしまうと、
先日のパレードのセンチュリーは、地味に思えて仕方ありません。
これくらい派手でも良かったような。

また、常設展示室には他にも、
キヨッソーネの描いた御尊影や、《黄櫨染御袍》 なども展示されていましたが。
個人的に一番気になった展示品は、《御鉛筆》 です。




ただの鉛筆なのに、展示ケース内でスポットライトを浴びていました。
あっ、“鉛筆” ではなく、“御鉛筆” でしたね。
1本短くなった鉛筆に対して、「明治天皇は質実剛健の方だったから…」 と説明がありましたが。
そのすぐ近くにゴージャス極まりない 《六頭曳儀装車》 があるので複雑な気持ちになりました (笑)


ちなみに。
入館料は1階スペースだけなら、300円。
2階の常設展示室や企画展示室も鑑賞するのであれば、1000円となっています。
展示品の数や展示スペースに対しては、やや割高な印象を受けました。

・・・・・・・・。

明治神宮に奉納したと思うことにしましょう。うん。
きっと御利益があるはずです。
星




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