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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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衝動美術館・新館

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美術の名作を画集などで、じーっと眺めていると、
時々、どうでもいいことを思いついてしまうことがあります。
そして、その “どうでもいいこと” を形にしてみたくなる衝動に駆られます。

そんな衝動で作ってしまった画像を所蔵しているのが、衝動美術館 (という名のパソコン内のファイル)
衝動美術館衝動美術館・分館と過去2回にわたって、
その “どうでもいい画像” コレクションを紹介いたしました。
今回はその最新版!
新規収蔵作品 (?) の数々をお届けいたします。


【ゴヤの 《カルロス4世の家族》 を正月っぽくしてみた】

スペインの巨匠フランシスコ・デ・ゴヤ。
彼が宮廷画家になってすぐに描いたとされるのが、こちらの 《カルロス4世の家族》




王族だからと言って、特に美化することもなく、
老いや締まりのない表情などもリアルに描いた一枚です。
一家全員が大集合。
そんな光景を眺めていたら、お正月に届くアレを連想してしまいました。




【ゴヤの 《裸のマハ》 をドキドキさせてみた】




こちらもゴヤの代表作。
美術史で初めてヘアヌードを描いたとされる 《裸のマハ》 です。

そんな 《裸のマハ》 に対し、
よりドキドキさせるべく、のちに描かれたのが、《着衣のマハ》




普段は、こちらの着衣ver.で隠しておいて、
ここぞという時には、その後ろから 《裸のマハ》 が現れる。
そんなムフフな仕掛けです。

しかし、現状の 《着衣のマハ》 では、煽りが弱い!
もっとこれくらい煽らないと!




【北斎の晩年の名前をあのアニメっぽくしてみた】

日本が世界に誇る絵師、葛飾北斎。
しかし、その名を名乗っていたのは、一時のこと。
勝川春朗、二代目俵屋宗理、為一、戴斗…etc
その生涯で、30回も画号を変えたことでもお馴染みです。




そんな彼が晩年の頃に名乗っていたのが、画狂老人卍。
中年期には、画狂人を名乗っていたこともあったそうですが、
その末尾に、『卍』 を付けてしまうあたりに、戦闘力の高さを感じます。
ということで、いっちょ作ってみました。




《ダヴィデ像》の大切な部分を隠してみた】

年々、コンプライアンスが厳しくなってきています。
テレビや映画の表現に対する規制だけでなく、TwitterやFacebookの投稿もその対象に。
特にそんな意図はなくアップした画像でも、
「センシティブな内容が含まれている可能性があるため表示できません」 となってしまうことも。
このまま規制が進んでいけば、
ミケランジェロの 《ダヴィデ像》 の全身像が画集やネットで観られなくなるかもしれません!




その時は、きっと大切な部分は隠されていることでしょう。
でも、どうやって?
モザイク?それとも、葉っぱ?
もしくは、バラエティ番組でよく見かけるこんなスタイルが採用されたりして。




ついカッとなって作ってしまいました。
今は反省しています。




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ダ・ヴィンチ没後500年 「夢の実現」展

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現在、代官山ヒルサイドフォーラムでは、
東京造形大学が主催する入場無料 (!) の展覧会、
“ダ・ヴィンチ没後500年 「夢の実現」展” が開催されています。




こちらは、万能の天才ことレオナルド・ダ・ヴィンチ (1452〜1519) の作品を、
最新の研究や技術を駆使して現代に復元し、展示する世界初の試みとなる展覧会です。
監修を務めたのは、ダ・ヴィンチ研究の第一人者である東京造形大学教授の池上英洋氏。
池上氏を中心に、同教員や大学生、大学院生ら計約100名が、
ダ・ヴィンチがかつて抱いた夢を実現させるという前代未聞のプロジェクトに挑んだそうです。

展覧会のメインとなるのは、現存するすべてのダ・ヴィンチの絵画の完全復元。
実は、全16点あるダ・ヴィンチの現存作品のうち、
もともとの色が残っているのは、たった2点だけなのだとか。




残り14点は、表面が劣化していたり、
そもそも、当初から色が塗られていなかったり。
そんな絵画の数々が、最新の研究や技術により、当初の姿を取り戻していました。
例えば、お馴染みの 《ラ・ジョコンダ(モナ・リザ)》 は、ご覧の通り。




僕らがイメージする 《ラ・ジョコンダ(モナ・リザ)》 は曇り空の下でポーズを決めている印象がありますが。
あれは、決して天気が悪いのではなく、
表面のニスが退色してしまっているだけとのこと。
本来は、背景にこんな青空が広がっていたのだそうです。

さらに、《ラ・ジョコンダ(モナ・リザ)》 といえば、
その表面が薬物乱用防止ポスターの人みたいにボロッボロになっている印象がありますが。




復元された作品では、すべすべの肌を取り戻していました。
本当の彼女は、こんなにももち肌だったのですね!
亀裂、ダメ。ゼッタイ。


また例えば、《聖ヒエロニムス》
こちらは、ダ・ヴィンチが下絵を完成させながらも、着色することなく放置したという作品です。




そんな 《聖ヒエロニムス》 を、ダ・ヴィンチの他の絵画や、
同時代の画家たちによる聖ヒエロニムスの絵画などを参考にし、
“たぶんこうだったんじゃないか” と再現したのが、こちらの一枚。




確かに、ダ・ヴィンチっぽいです。
もともとこういう色だったと言われても、全然信じてしまうレベルの復元っぷり。
むしろ、着色がない方が不自然に見えてきました。




さてさて、どの絵画の復元も興味深かったですが、
個人的に一番興味深かったのは、《最後の晩餐》 の復元です。




まず何より、キリストと十二使徒の服装のカラフルさにビックリしました!
笑点のメンバーくらいにカラフルです。
また、それ以上に、ビックリしたのが、テーブルの上の状態。




まさかパンがクロスの上に直置きだったとは。
しかも、ワイングラスでなく、タンブラーだったとは。
大変勉強になりました。


なお、展覧会では、ダ・ヴィンチの絵画以外にも、
ダ・ヴィンチが構想していたという巨大建築物の模型や、




何度かチャレンジするも、実現できなかった2本足で立つ騎馬像の模型も再現展示されています。




さらには、ダ・ヴィンチによる発明品の再現模型も展示されています。




今でこそ芸術家としてお馴染みのダ・ヴィンチですが、
当時、ミラノ宮廷へ就職する際には、軍事技師として自分を売り込んだのだそうです。
ところが、それは完全なるハッタリ。
それまで軍事技師としての経歴は一切ありませんでした。
しかし、軍事技師となった以上、何か作らねばなりません。
そうして慌てて開発に取り組んのだ兵器のうちの1つが、こちらの二頭立て馬車。




馬車が進むと、取り付けられた刀が回転するそうです。


・・・・・・・・・・・・で??
単純に近寄らなければいいだけでは?
兵器としては、ほとんど役に立ちそうもありません。
万能の天才にも、たまには “万能” ではなかったのですね。


ちなみに、続く第2会場では、




《最後の晩餐》 の世界をVRで体験できるコーナーや、




ダ・ヴィンチの発明品をモチーフにしたファミコン風のゲームなどで遊びことが出来ます。




もちろん、これらもすべて無料!
ダ・ヴィンチも万能ですが、東京造形大学も万能です。
星





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〈対〉で見る絵画

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現在、根津美術館で開催されているのは、“〈対〉で見る絵画” という展覧会。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


2幅がペアとなる二幅対の掛け軸や、




右隻と左隻で1セットの屏風絵、


《吉野龍田図屏風》 紙本金地着色 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵


さらには、ニコイチの工芸品など、




〈対〉 で成り立っている日本や中国の美術品に焦点を当てた展覧会です。
普段あまり意識したことはありませんでしたが、
こうして並べられてみると、西洋と比べて、確かに、日本には対の作品が多いですね。
そういえば、海外のコメディアンは基本的にピンであるのに対し、日本の芸人はコンビが主流。
もしかしたら、日本人には “対” に惹かれるDNAがあるのかもしれません。
星


さてさて、今回紹介されていた対の作品の中で、
特に印象に残ったのは、雪村周継の 《龍虎図屏風》 です。


雪村周継 《龍虎図屏風》 紙本墨画 日本・室町時代 16世紀 根津美術館蔵


迫力はあるっちゃありますが、
よく見ると、足は短いし、胴は長いし、尻尾は長いし。
いろいろとツッコミどころの多い虎でした。
果たして、龍に勝てるのか?
そもそも勝つ気があるのか?


そうそう、龍虎図と言えば、
江戸時代後期の金工家、船田一琴の作品も印象的でした。
キャプションには、《龍虎図縁頭》 とありますが・・・・・


船田一琴 《龍虎図縁頭》 彫金・朧銀地 日本・江戸時代 19世紀 根津美術館蔵


どこをどう見ても、龍や虎の姿が確認できません。
モチーフとなっているのは、何らかの植物。
“もしかして、キャプションのミス?” と思いきや。
実は、モチーフとなっているのはリンドウとユキノシタとのこと。
そして、それらを漢字にすると、
「龍胆」 と 「虎耳草」 となるのだそうです。
東大王レベルの博学の人だけがニヤリとできるギャグ。
IQ高すぎなギャグです。


さてさて、展覧会では、コンビだけでなく、
トリオ (=3幅対) の作品も紹介されていました。


楊月 《太公望・花鳥図》 紙本墨画 日本・室町時代 15世紀 小林中氏寄贈 根津美術館蔵


コント赤信号の渡辺正行しかり、
ダチョウ倶楽部の肥後克広しかり。
たいていのトリオにはリーダーが存在しています。
3幅対にもリーダー的な存在はあるようで、
基本的に中央に掛けられているのが、格上なのだとか。


森狙仙 《龍・鹿図》 絹本墨画淡彩 日本・江戸時代 19世紀 根津美術館蔵


注意深く見てみると・・・・・




普通は絵の上下に付けられる一文字が、
格上の掛け軸の場合は、左右にも細く付けられています。
これを、「小筋回し(一文字回し)」 と呼ぶのだそう。
格上なのか格下なのか悩んだら (←?)、
これからは、小筋回しをチェックしたいと思います。


なお、展示室5では、可愛いネズミの絵画の数々とともに、


河鍋暁斎 《鼠獅子舞図》 紙本墨画淡彩 日本・江戸時代 19世紀 個人蔵


金島桂華 《夜の梅に鼠》 絹本着色 日本・昭和時代 20世紀 虎屋蔵


根津美術館新春恒例の 《百椿図》 (※) が公開チュウねずみ
(※江戸時代初頭の空前の椿ブームの際に制作された、2巻合わせて約24mなる超大作。100種類以上もの椿が描かれている)


伝 狩野山楽 《百椿図》 紙本着色 日本・江戸時代 17世紀 茂木克己氏寄贈 根津美術館蔵


“〈対〉で見る絵画” を鑑賞した後、
そのついでに、お楽しみくださいませ。




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もうひとつの歌川派?! 国芳・芳年・年英・英朋・朋世

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歌川広重や歌川国貞、歌川国芳・・・といった、
数々の浮世絵師を輩出した浮世絵界の最大派閥 “歌川派” 。
その知られざる系譜にスポットを当てた展覧会が、現在、弥生美術館で開催されています。
その名も、“もうひとつの歌川派?! 国芳・芳年・年英・英朋・朋世” です。




歌川派の系譜として、一般的に知られているのは、
「歌川国芳→月岡芳年→水野年方→鏑木清方→伊東深水」 というライン。
しかし、今回の展覧会が注目したのは・・・


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


「歌川国芳→月岡芳年→右田年英→鰭崎英朋→神保朋世」 というラインです。
師匠の名前の1字をちゃんと弟子が受け継いでいるため、
名前を並べると、「国芳→芳年→年英→英朋→朋世」 と、まるでしりとりのようになっています。


さて、展覧会の冒頭を飾るのは、もちろん歌川国芳と月岡芳年。


(注:浮世絵作品は、期間中、展示替えがあります)


弥生美術館で浮世絵が展示されるのは、かなりのレアケース。
それだけに、ちょっとしか展示されていないだろうと決めつけていたのですが (←?)。
代表作や他では珍しい作品などが取り揃えられており、意外と充実したラインナップでした。
浮世絵ファンの皆さま、要チェックですよ。

続いて紹介されていたのは、右田年英。




月岡芳年門下の四天王の一人で、
同じく四天王の水野年方と双璧をなす実力の持ち主です。





確かに、どの作品も国芳や芳年と比べても遜色の無い出来映え。
浮世絵が衰退してしまった明治・大正時代ではなく、
もう少し早い時代に生まれていたら、もっと有名な浮世絵師になっていたかもしれません。
ちなみに、展覧会では、年英一門の集合写真も紹介されていました。




童顔だったのでしょう。
良い意味で、師匠感がまったく感じられませんでした。
師匠と弟子、というよりも、サークルの集合写真のよう。
さらに、弟子たちとともに侍のコスプレをした写真も紹介されていました。




一番右の下っ端みたいな格好をしているのが年英。
武将の格好しないんかい!
その偉ぶらない姿に、右田年英の好感度が爆上がりしました。

そんな年英の弟子たちの中でエース的存在だったのが、鰭崎英朋です。




読み方は、ひれざきえいほう。
彼の 「鰭崎」 という変わった名字には、こんな由来があるのだそう。
その昔、先祖が源頼朝にご馳走を振る舞ったところ、
あろうことか、頼朝の喉に魚の鰭が刺さってしまったのだそうです。
それゆえに、鰭崎。
鰭崎一族は、一生その時の失敗を背負って生きていかねばならないのですね。

と、それはさておきまして。
鰭崎英朋といえば、明治から大正にかけて活躍した挿絵界のスーパースターです。




一見、浮世絵とはまったく関係ないような印象を受けますが、
彼の代表作として知られる、泉鏡花 『続風流線』 の口絵の一部にご注目。




明治末期の作品なのに、国芳が使用していた芳桐印が見て取れます。
当時、まだ若手だった英朋。
売れっ子・泉鏡花の口絵に抜擢されたその大仕事に、
テンションが上がり、並々ならぬ決意を込めて、芳桐印を刻み込んだのかもしれません。
とにかく、系譜はきちんと受け継がれていたようです。
ちなみに、会場では数多くの鰭崎英朋作品が紹介されていますが、
中でも特に見逃せないのは、《焼けあと》 という日本画作品。
こちらは、長らく行方不明で、つい先日新発見されたばかり。
実に115年ぶりの公開となる作品です!




↑あまりにも貴重なので、煽ることにしました (笑)
100年以上も前の作品とは思えないほど、綺麗な状態です。
気になる方は、是非、弥生美術館へ!


さて、展覧会のラストを飾るのは、神保朋世 (じんぼともよ)
『銭形平次捕物控』 の挿絵でも知られる挿絵画家です。




明治34年生まれで、平成6年にお亡くなりになったのだそう。
国芳から続く系譜は、なんと平成まで続いていたのですね。


なお、展覧会では、彼ら以外にも、
国芳、芳年の遺伝子を引き継いだ挿絵画家の作品も紹介されています。




最中の先祖はマカロンですが、挿絵の先祖は浮世絵だった?!
そんな新たな事実を発見できる展覧会でした。
星星


ちなみに。
弥生美術館に併設された竹久夢二美術館では、
“はいからモダン袴スタイル展” という展覧会が開催中です。




こちらは、女性の袴スタイルをテーマにした展覧会。
いつ頃から女性が袴を履くようになったのか?
タカラジェンヌの袴はなぜ緑なのか?
卒業式に袴を着るようになった意外な理由とは?
袴についてのあれこれがよくわかる展覧会です。
“もうひとつの歌川派?!” と同じチケットで鑑賞できるので、併せてお楽しみくださいませ。


 ┃会期:2020年1月7日(火)~3月29日(日)
 ┃会場:弥生美術館
 ┃
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/index.html

~読者の皆様へのプレゼント~
“もうひとつの歌川派?!展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、1月15日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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まもって守護聖人!

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新成人の皆様、おめでとうございます。

ということで、本日は成人・・・ではなく、聖人のお話。
キリスト教、主にカトリックに、守護聖人という信仰があります。
守護聖人とは、特定の職業や地域に、それぞれ担当の聖人をつけたもの。

例えば、キリストの父ヨセフ。


ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 《大工の聖ヨセフ》


彼はもともと大工であったことから、
大工や建築家の守護聖人とされています。

また例えば、絵画の世界ではライオンとセットで描かれることの多い聖ヒエロニムス。

荒野の聖ヒエロニムス
アルブレヒト・デューラー 《荒野の聖ヒエロニムス》


彼は神学者として聖書をラテン語に翻訳したことから、通訳の守護聖人とされています。


さてさて、そんな数多くの守護聖人の中には、
「えっ?そんな理由で??」 と、思わず首を傾げたくなるものも。
どうやら聖人と言えども、希望の職種に就けるとは限らないようです。
本日は、そんな悲しき守護聖人をフィーチャーしてみたいと思います。


歯科医の守護聖人 アポロニア


カルロ・ドルチ 《聖アポロニア》


歯を抜くペンチを手にする姿で描かれることが多い聖女アポロニア。
それなら確かに、歯科医の守護聖人じゃん・・・と思いきや。
実は、彼女は、歯を全て乱暴に引き抜かれる、
もしくは、粉々にされるという拷問を受けて殉死しているのです。
つまり、歯を抜かれる側。
どんなモチベーションで、抜く側の守護聖人をしているのでしょう??


車輪工の守護聖人 カタリナ


カラヴァッジョ 《聖カテリーナ》


美人で頭も良かったというカタリナ。
時のローマ皇帝に言い寄られるも、それを拒否したため、
大きな釘の付いた車輪に縛り付けるという拷問が命じられてしまいます。
しかし、彼女が祈ったところ、奇跡が起こり、歯車に雷が落ち、バラバラに壊れたのでした。
めでたしめでたし。
・・・・・・・って、車輪壊してるじゃん!
車輪工の守護聖人にもっとも向いてない人物であるような。


革職人の守護聖人 バルトロマイ


コンラート・ヴィッツ 《聖バルトロマイ》


新約聖書に登場するイエスの使徒の一人、バルトロマイ。
彼は布教先のアルメリアで、生きたまま皮を剥がれるという残虐な方法で殉職しています。
ちなみに、システィーナ礼拝堂の 《最後の審判》 で、
ミケランジェロ自身の姿とも言われているこちらの人物もバルトロマイ。




自分で自分の皮を持つ、というとんでもない姿で描かれています。
しかし、皮を剥がれたから、革職人の聖人って。。。
どういう人事をしているのでしょう。


クリーニング屋の守護聖人 ヴェロニカ


シモン・ブーエ 《聖ヴェロニカ》


以前、『ヴェロニカを掘り下げることにした』 の記事でも取り上げた聖ヴェロニカ。
彼女は、クリーニング屋の守護聖人なのだそう。

・・・・・・・・・・・。

綺麗だったはずのヴェールに、キリストの顔が浮かび上がる。
むしろクリーニング屋としては、何か致命的な気が。。。


パン屋の守護聖人 アガタ


フランシスコ・デ・スルバラン 《聖アガタ》


彼女が手にしたお皿の上に乗っているのは・・・・・




なんと、彼女のおっぱいです。
当時のシチリアの提督に言い寄られるも、
それを拒否したため、両方の乳房を切り取られるという拷問に遭ったのだそう。
だからって、切り取られたものを銀のお皿に乗せなくても。
そして、こちらに見せなくても。
なお、「おっぱいとパンは似てるから」 というとんでもない理由で、彼女はパン屋の守護聖人に。
誰だ、最初に似てるなんて思いついたヤツは?!


コメディアンの守護聖人 ラウレンティウス


アーニョロ・ブロンズィーノ 《聖ラウレンティウスの殉教》


ラウレンティウスは、3世紀にスペインで生まれたキリスト教の聖人。
彼は生きながら熱した鉄格子の上で、
火あぶりにされるという拷問を受けます。
その際に、拷問する兵士に対し、こんな一言を放ったそうな。




「こっち側はもう焼けたんで、
 そろそろひっくり返していいよ」

この体を張ったユーモアが認められ (?)、コメディアンの守護聖人となっています。
もし、この拷問の際、必要以上に熱がっていたら、
リアクション芸人の守護聖人となっていたかもしれませんね。


他にも気になる守護聖人はまだ存在していますが、今日はこの辺で。
ところで、アートテラーの守護聖人は存在しているのでしょうか?
情報お待ちしております。




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開館40周年記念 太田記念美術館所蔵 肉筆浮世絵名品展

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1980年1月、ラフォーレ原宿の裏側に、
都内でも数少ない浮世絵専門美術館としてオープンした太田記念美術館。
今年2020年1月で、めでたく開館40周年を迎えました。
それを記念して、現在開催されているのが、
“開館40周年記念 太田記念美術館所蔵 肉筆浮世絵名品展” という展覧会。




約14000点の太田記念美術館の所蔵品の中から、
肉筆画の名品の数々を一挙大公開する展覧会です。
普段は浮世絵が展示されているケースに、肉筆浮世絵の掛け軸がズラリ。




浮世絵の祖とされる絵師・岩佐又兵衛の肉筆画に始まり、




北斎や広重といった浮世絵界の2代巨頭による肉筆画、




さらには、「最後の浮世絵師」 と称される月岡芳年や小林清親の肉筆画まで。




浮世絵界のレジェンドたちの珠玉の肉筆画の数々が惜しげも無く展示されていました。
肉肉しさ、ハンパなし!
やはり普通の浮世絵と比べると、1点モノである肉筆画ではパワーが違います。
そんな肉筆画100%の展覧会。
太田記念美術館には何十回と訪れていますが、
これまでに味わったことがないくらいの圧を感じました。
まさに、40周年を祝うに相応しいスペシャルな展覧会です。
星星
改めまして、開館40周年おめでとうございます!


ちなみに、今展の目玉は何と言っても、
北斎と応為、葛飾父娘による肉筆画の競演。




左に展示されているのが、葛飾北斎の 《雨中の虎》
北斎の没年 (数え年で90歳) に描かれた一枚です。




雨の中、鋭すぎる爪を持つ虎が、
上空に向かって吠えかかっています。
長い間、単品と思われていたそうですが、
2005年に、この肉筆画と対となる絵があることが判明しました。
それは、 フランスのギメ美術館が所蔵する 《龍図》
実は、この虎は龍に対して吠えていたのです。

また、右に展示されているのが、葛飾応為の 《吉原格子先之図》
世界に現存する応為作品はフェルメールやダ・ヴィンチよりも少なく、たったの10点余り。
そのうちの貴重な1点で、傑作中の傑作とされる逸品です。




いい意味で、全然浮世絵っぽくありません。
まるでレンブラントの絵画を観ているかのような錯覚に陥ります。
西洋画のような陰影技法が確立していなかった江戸に、
こんな突然変異のような美術作品が生まれていただなんて!
大きな驚きと感動、そして、若干のSF感を覚えずにはいられません。
なお、2年前にこの作品が公開された際、
一目見ようと多くの人が詰めかけ、会期の終盤頃には、入場待ちが発生したそうな。
現時点で次回の公開予定は未定とのこと。
《吉原格子先之図》 を観るためだけでも訪れる価値は十分にありますよ。


さて、ここからは、今回出展されていた作品の中で、
個人的に印象に残っているものをいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、鈴木春信の 《二世瀬川菊之丞図》 から。




細長っ!!

一般的にこういう細長い浮世絵を柱絵といいますが。
それにしても、細長すぎる気がします。
これまで数多くの掛け軸を鑑賞してきましたが、もっとも細長い掛け軸でした。
ヒョロヒョロにもほどがあります。


続いては、喜多川月麿の 《美人花見の図》
こちらは、軸装が実に印象的。




軸装が、完全にバーバリーでした。
江戸時代にも、このチェック柄はあったのですね。


最後に紹介したいのは、勝川春章による 《桜下詠歌の図》




桜の下で和歌を詠むイケメンの姿を一目見ようと、女性たちが群がっています。
いやいや、いくらなんでも群がりすぎですよ。
今も昔も女性は、イケメンがお好きなようです。




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DOMANI・明日展2020

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将来の日本の芸術界を支える人材の育成のため、
若手芸術家が海外の関係機関等で行う研修を支援する文化庁の制度。
それが、新進芸術家海外研修制度です。

その制度により過去に海外派遣された芸術家たちが、
研修生活で得た成果を発表する展覧会 “DOMANI・明日展” 。
国立新美術館の年明けの風物詩として、すっかり定着した展覧会です。
例年は、若手や中堅の芸術家を紹介する場も兼ねていますが、
オリンピックイヤーである今年2020年の “DOMANI・明日展” は、これまでとはちょっと違う内容に。




“傷ついた風景の向こうに” をサブタイトルに、
自然災害や戦争などにより生じた 「傷痕」 を独自に表現する芸術家をピックアップ。
現在、ちひろ美術館・東京で新作展が開催中の写真家の石内都さんや、




ロンドンを拠点に活動している米田知子など、




国内外のアートシーンの第一線で活躍中のベテラン芸術家が出展作家に名を連ねています。
また、日本を代表する彫刻家の一人である若林奮や、




昨年惜しまれつつ、45歳という若さで逝去した佐藤雅晴といった、




鬼籍に入られた芸術家の作品も紹介されていました。
いうなれば、“DOMANI・明日展” の特別版といったところ。
例年のようなフレッシュ感はありませんが、
現代アートのグループ展としては見応えがありました。
星


唯一フレッシュだったのが、栗林隆さんのコーナー。
現代美術家として国際的に活躍するお馴染みの栗林隆さんですが、
今回は、実の父で、世界的な昆虫写真家として知られる栗林慧さんとコラボ。





父の写真を映像化したり、和紙にプリントしたり、
一つのインスタレーション作品として仕上げています。
こういう親子競演はあまり目にしたことがないので新鮮でした。
内覧会には、お父様の慧さんもいらっしゃったのですが、
終始どこか照れくさいような、誇らしいような表情を浮かべていました。
こういう親孝行の形もあるのですね。


ちなみに、出展作品の中で、特に強く印象に残ったのは、
宮永愛子さんの 《景色のはじまり》 という作品です。




全長30メートルにも及ぶ、この布のようなモノの正体は、キンモクセイの葉っぱ。




使われているキンモクセイの葉っぱは、なんと12万枚!
日本中から集めたキンモクセイの葉の葉肉を、
すべて取って脱色し、繋げ合わせたものなのだとか。
小さなモノが繋がり合うことで、一つの世界ができている。
そんなことを連想させる作品です。


また、1980年代より一貫して、日本画の画材を用い、
空を見上げる視点で樹々を描き続けてきた日高理恵子さんの作品群も印象的でした。




初めて目にする絵画のはずなのに、どこかで見たことがあるような。
それも、ここ最近ではなく、遠い昔、子どもの頃に見たことがあるような。
不思議なデジャヴ感を覚えました。
さらに不思議だったのは、モノクロなのに、どの絵も色が感じられたこと。
なんなら、空気感や匂い、温度、
木の枝がそよ風に揺られる音や鳥の鳴き声も感じられました。
見れば見るほど、五感が研ぎ澄まされる作品です。


そうそう、木と言えば、畠山直哉さんの新シリーズ、
《untitled(tsunami trees)》 も非常に印象的でした。




2011年の東日本大震災で実家や家族を失った畠山さん。
そんな畠山さんが、2018年から約1年半かけて、
宮城県や岩手県、福島県を巡り、大地に根を張る樹木の姿を捉えたシリーズです。




震災の悲惨さ、復興の大変さも伝わってきましたが、
それ以上に、自然の力強さがダイレクトに伝わってきます。
ゴッホの 《糸杉》 を観て美しいと感じるように、
この写真に映し出された木の造形に、純粋に美を感じました。


とはいえ、令和最初の “DOMANI・明日展” 。
個人的には、こんな重いテーマではなく、
もっと明るいテーマにして欲しかったです。
日本に明日はないのでしょうか。




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【山種美術館 広尾開館10周年記念特別展】 上村松園と美人画の世界

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“近現代日本画の殿堂” こと山種美術館が、
千鳥ヶ淵から、現在の広尾の地に移転して早10周年。
それを記念して、昨年2月より1年にわたって、
【山種美術館 広尾開館10周年記念特別展】 が、次々と開催されてきました。
その大トリを飾るのが、“上村松園と美人画の世界” という展覧会。
ドキッ!丸ごと美人画!女だらけの展覧会です (←?)。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


会場に一歩足を踏み入れると、左から、べっぴんさん、
べっぴんさん、べっぴんさん、べっぴんさん、べっぴんさん・・・


服部有恒 《淀殿》 1954(昭和29)年 紙本・彩色 山種美術館


左)橋本明治 《秋意》 19776(昭和51)年 紙本・彩色 山種美術館
右)橋本明治 《舞》 1966(昭和41)年 紙本・彩色 山種美術館



一つも飛ばすことなく、べっぴんさん (=美人画) 。
心なしか、いつもよりイイ匂いがしたような。
実に華やかな展覧会でした。
美人が好きな人は当然として、美人になりたい人にもオススメの展覧会です。
星星


さて、展覧会の見どころは何と言っても、
山種美術館が誇る日本屈指の上村松園コレクション。
今回のメインビジュアルにも使われている 《牡丹雪》 や、


上村松園 《牡丹雪》 1944(昭和19)年 絹本・彩色 山種美術館


京都に行った夫の帰りを待ちわびる妻を描いたという 《砧》 など、


上村松園 《砧》 1938(昭和13)年 絹本・彩色 山種美術館


その18点すべてが、3年ぶりに一挙公開されていました。





上村松園以外の日本画家による美人画も、もちろん美しかったですが。
着物の柄の取り合わせ、指先の美しさ、
気品溢れる凜とした佇まい、表具の美しさ・・・etc
上村松園の美人画は、そのすべてがパーフェクト!
もはや別格でした。


上村松園 《杜鵑を聴く》 1948(昭和23)年 絹本・彩色 山種美術館


上村松園 《庭の雪》 1948(昭和23)年 絹本・彩色 山種美術館


それゆえに、展覧会場は、まさに上村松園無双状態。
松園以外の美人画が、萎縮してしまっているような印象を受けたほどです。
唯一萎縮せず (?)、我が道を進んでいたように感じられたのは、片岡球子による美人画。



片岡球子 《むすめ》 1982(昭和57)年 紙本金地・彩色 山種美術館


美人・・・というか、なんというか、
まぁ、いわゆる一つの個性的な顔立ちをしていました。
描かれているのは、舞妓だそうですが、どこかベテラン感があり・・・。
なんとなく、志村けんと柄本明の芸者コントを彷彿とさせるものがありました。

また、舞妓を描いた作品と言えば、
森田曠平の 《投扇興》 も個性が強すぎる作品でした。


森田曠平 《投扇興》 1968(昭和43)年 紙本金地・彩色 山種美術館


投扇興とは、お座敷遊びの一種で、
扇を的に向かって投げ、投げたあとにできた形で点数を競うゲーム。
右側の女性は、おそらく扇をちょうど投げたところなのでしょうが。




見ようによっては、右手がミョーンと伸びているようにも見えます。
Mr.インクレディブル的な。
もしくは、ゴムゴムの実的な。


ちなみに。
今展のもうひとつの目玉といえるのが、
修復後初披露となる池田輝方の 《夕立》 です。


池田輝方 《夕立》 1916(大正5)年 絹本・彩色 山種美術館


こちらは、山種美術館の隠れた人気作品。
特に、右隻に描かれた男性のイケメンぶりが話題になっています。




美人だらけの展覧会の中の黒一点 (逆紅一点)だけに、
通常時よりも、イケメン度がさらに3割アップしていたような気がしました。




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芸術家!検索ワード連想クイズ

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「芸術家!検索ワード連想クイズ」 とは、インターネットで、
ある芸術家の名前と同時に検索されている関連ワードから、検索された人物を当てるクイズです。

まずは、例題。

















[ヒント]
ドンキは、あの “激安の殿堂” ドン・キホーテのこと。ドンキと関係が深い芸術家とは?
わざわざフルネームが検索されているのは、
世界一フルネームが覚えられない芸術家だからです。















正解は、こちらの人物↓




パブロ・ピカソ

ドンキの新業態店舗の名前が、ピカソ。
中国のコスメブランドのZEESEAがピカソの絵画とコラボしたことから、口紅が、
芸術家史上最も本名が長いことから、フルネームがそれぞれ検索されている模様です。
また、アニメ 「めぞん一刻」 のED曲 『シ・ネ・マ』 を担当した3人組ユニットの名前が、ピカソとのこと。
昨年放送された 『新美の巨人たち』 にて、
ピカソで人生が変わったとして、爆笑問題の太田光さんが出演していました。


と、このように想像力をフルに駆使して、
検索ワードから、一体どの芸術家が検索されたのかを導き出してください。
目指せ、全問制覇!



【第1問】

















[ヒント]
ゆずは、アーティストのゆずではなく、果物の柚子です。
パスポートと一緒に検索されるようになったのは、昨年から。ニュースで目にした方も多いのでは?















正解は、こちらの人物↓




葛飾北斎

北斎が長生きできた理由の一つに、ゆずを食べていたということがあるようです。
漫画は、ほぼ間違いなく 『北斎漫画』 との関連でしょう。
2020年からのパスポートの新デザインに、
《冨嶽三十六景》 が採用されたことで、検索ワードが急上昇。
昨年、九谷焼や丸皿といった北陸の伝統工芸品で、
北斎とガンダムが異色のコラボを果たしたことも、話題となっています。
また、《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》 が大きく描かれたマンションが、
突如としてモスクワに出現したことで、ロシアマンションという謎のワードが検索されているようです。



【第2問】

















[ヒント]
靴下着物以外に、ワンピースやシャツ、トートといったワードがよく検索されている様子。
つまり、ファッションに関わりの深い芸術家ですよ。














正解は、こちらの人物↓




ピエト・モンドリアン

モンドリアン柄のテキスタイルが人気が高いことから、
靴下着物など、ファッションに関するワードが多く検索されているようです。
ミッフィーの作者ディック・ブルーナは、モンドリアンの影響を受けた1人。
ブギウギと検索されているのは、代表作の一つ 《ブロードウェイ・ブギウギ》 を調べるためでしょうか。
また、モンドリアンという名前のボードゲームがあるようです。





【第3問】

















[ヒント]
他の用語に惑わされることなく、筋肉から連想すると閃くかも。















正解は、こちらの人物↓




ミケランジェロ・ブオナローティ

のごとき」 ミケランジェロ。
筋骨隆々な人物像を多く残していることから、筋肉というワードとともに検索されている模様です。
バチカンのスイス衛兵のコスチュームをデザインしたのが、ミケランジェロという説も。
高須クリニックには、ダヴィデ像のような身体にするミケランジェロ手術法があるとのこと。
ドイツの高級キッチンブランド・ミケランジェロとの関連から、フライパンが検索されているようです。



【第4問】

















[ヒント]
タモリ空耳という2つのキーワードで、
イラストレーターの安斎肇さんが頭に浮かんだかもしれませんが、それは捨ててください(笑)
鯉のぼりをデザインしたことがある芸術家といえば?















正解は、こちらの人物↓




岡本太郎

岡本太郎は70歳の時に、鯉のぼりをデザインしています。
また、あいみょんは、岡本太郎ファンを公言。
タモリさんと岡本太郎は、『今夜は最高』 という番組で共演しています。
エヴァンゲリオンに登場する使徒のデザインが、
岡本太郎の作品に似ているのでは?」 という理由で検索している人が多い模様です。
「岡本太郎 空耳」 と検索すると、『Calvo Sotelo』 という曲がヒット。
どうやら、『空耳アワー』 で紹介されたよう。0:49で一発目の 「岡本太郎」 が飛び出します。






【第5問】

















[ヒント]
実は、この5つのキーワードのうち、
芸術家自身と関わりが深いワードは、ダンスだけ。
おかわりフレンチトーストは、その芸術家の名前が付いたお店に関係あるワードです。














正解は、こちらの人物↓




ピエール=オーギュスト・ルノワール

《田舎のダンス》《都会のダンス》《ブージヴァルのダンス》 と、「ダンス3部作」 が有名ですね。
森田まさのりの漫画 『べしゃり暮らし』 に、
“あるあるあーるのるのあーる” というギャグを放つるのあーるというコンビが登場します。
先日まで横浜美術館で開催されていた “オランジュリー美術館コレクション展” の限定グッズ、
ロルバーン×ルノワール」 が在庫切れになるほど大ヒットしたことで検索ワードが急上昇した模様。
おかわりフレンチトーストは、間違いなく喫茶室ルノアールに関する検索です。


さて、本日の出題はここまで。
5問全問正解できた方はいらっしゃいますか?
次回はさらに難易度の高い上級編をお届けいたします。




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ヤコポ バボーニ スキリンジ展 Bodyscore–the soul signature

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現在、銀座にあるシャネル・ネクサス・ホールでは、
“ヤコポ バボーニ スキリンジ展 Bodyscore–the soul signature” が開催されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


パリを創作の拠点とする気鋭の現代音楽家、
ヤコポ・バボーニ・スキリンジの日本初となる展覧会です。
出展されているのは、写真作品30点。
迷路のような空間に、浮かび上がるように人物写真が展示されていました。





写真のモデルは、性別も人種もさまざま。
ポーズも一つとして同じものはありません。
しかし、モデルの身体をよく見ると、
全体にビッシリと楽譜が書き込まれています。




まるで耳なし芳一状態!
ちょっとしたホラーのようです。


楽譜を全身に書いたモデルの写真を撮る。
そういうコンセプトの写真作品のようにも思えますが、さにあらず。
メインは、あくまで楽譜。
これらの写真は、音楽家である彼が生み出した楽譜を記録したものに過ぎません。

というのも、ヤコポ・バボーニ・スキリンジは、
俳優やダンサーなどの裸の人体に楽譜を書くという独特すぎる手法で作曲をする音楽家。
2007年よりずっと、この手法を採用しているそうです。
その独特すぎる作曲法が生まれたのは、
彼があるリハーサルで、自身が作曲した弦楽四重奏の演奏を聴いた際のこと。
まるで自分で作曲した曲ではないような違和感を覚えたのだそうです。
その理由を、彼はこう分析しました。
「それまでの手書き譜面から、パソコンでの楽譜制作に変わったからだ!」 と。
パソコンでは、楽譜を消したり戻したりが簡単に出来てしまいます。
それでは、時間の積み重ねも消えてしまう。
そう考えた彼は、それ以来、モデルをアトリエに招き、
その身体に楽譜を書いて、作曲をするようになったのだとか。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


いや、何で身体なの?
元どおり、普通に紙に書けばいいじゃん!
と思いましたが、それはきっと凡人の発想。
鬼才の音楽家だからこそ、こんな突拍子もない作曲法を編み出すことが出来たのでしょう。


さてさて、ヤコポ・バボーニ・スキリンジは、
背中や腕、足、胸、首といったあらゆる場所に楽譜を書き込んでいますが。




彼曰く、「人間のアイデンティティを最も表すのは、顔」 とのこと。
それゆえ、曲の最も大切な部分を顔に書き込んでいるのだそうです。
楽譜が読める人は、それを踏まえた上で写真を鑑賞してみてくださいませ。
星


ちなみに。
会場では、30点ある写真作品のうち4点が、鏡張りの壁に展示されていました。




実は、これらの作品に描かれている楽譜は、
とある弦楽四重奏曲を構成するヴァイオリンやヴィオラ、チェロの楽譜になっているのだそう。
そして、それぞれの写真の前に人が立つと、センサーが感知し・・・




頭上に設置されたスピーカーから、その音楽が流れてくるという仕掛け。
ということは、弦楽四重奏曲の完璧な演奏を聞きたければ、
すべての作品の前に、それぞれ鑑賞者が立たなければならないのです。
なお、その弦楽四重奏曲は、ヤコポ・バボーニ・スキリンジにとって5番目に作曲したもの。
つまり、No.5。
シャネルだけに。






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日本の宝 浮世絵名品展―墨摺絵から錦絵誕生まで―

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JR川崎駅と京急川崎駅。
ちょうどその中間あたりに位置する川崎駅前タワー・リバーク。




その3階部分に、昨年12月新たなアートスポットが誕生しました。
川崎浮世絵ギャラリー~斎藤文夫コレクション~です。




斎藤文夫さんは、元参議院議員で川崎市観光協会会長を務めるエラい人。
日本を代表する浮世絵コレクターでもあり、
そのコレクション数は、実に4000点 (!) にも及ぶそうです。
2001年からは、そんな浮世絵コレクションを、
自宅を改造して開設した川崎・砂子の里資料館で公開していましたが、
同館は、2016年に惜しまれつつ閉館。
以後、その浮世絵コレクションがまとまった形で展示される機会がありませんでした。

が、このたび、斎藤文夫さんは太っ腹にも、
川崎市に浮世絵コレクションを無償で貸し出すことにしたのだそう。
それを受けて爆誕したのが、川崎浮世絵ギャラリー~斎藤文夫コレクション~というわけです。
(↑施設名に斎藤さんのフルネームが付いているのも納得です)




さてさて、そんな川崎浮世絵ギャラリー~斎藤文夫コレクション~で、
現在開催されているのが、“日本の宝 浮世絵名品展―墨摺絵から錦絵誕生まで―” という展覧会。




まだ浮世絵がモノクロだった時代の作品から、


菱川師宣 《仁王 小天狗の争い》


1枚1枚手仕事で彩色していた時代の作品、


西村重長 《げんじ五十四まいのうち 第二十番 朝顔》


そして、ようやく錦絵と呼ばれる多色摺りの技法が確立した時代の作品まで。


鈴木春信 《風俗四季四季哥仙》


17世紀後期から18世紀後期までの、
いわゆる初期浮世絵の名品をまとめて紹介する展覧会です。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

いや、もちろん展示されていた浮世絵は、
どれも質の高い作品ばかりだったのですが。




日本の宝、これぞ 浮世絵! と、
あんなに強調しているわりには、そこまで 「これぞ 浮世絵!」 ではなかったです (笑)
北斎の 《富嶽三十六景》 や広重の 《東海道五十三次》 といった、
日本人の誰もが 「これぞ 浮世絵!」 と思い浮かべる作品は一切展示ナシ!
“・・・・・誰ぞ?” と思わず聞きたくなる、
お初にお目にかかるマイナーな浮世絵ばかりでした。
一体誰にとっての 「これぞ 浮世絵!」 なのでしょう??

また、60数点ある展示作品のうち、
作品の解説があったのは、たったの8点のみ。
ただでさえ馴染みの薄い初期浮世絵だけに、
漆絵や紅摺絵といった用語の説明や、作品に描かれた風俗の説明が欲しかったところです。
星


ちなみに。




・・・・・と言ってはいますが。
初代歌川豊国の 《花魁立姿図 江戸》 をはじめ、




肉筆画も少なくない数、出展されていました。
その中には、菱川師宣の 《道中図》 も。




共通点がまったく見当たらない謎の4人グループです。
よくよく見ると、先頭をいく女性が一番背が高いよう。
手元が妙な位置にありますね。
もしかしたら、着物の中で誰かが肩車をしていて、それを抑えているのかも。
ということは、5人?




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日本書紀成立1300年 特別展 出雲と大和

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今年2020年は、『日本書紀』 が編纂されてからちょうど1300年となる節目の年。
それを記念して、現在、東京国立博物館では、
“日本書紀成立1300年 特別展 出雲と大和” が開催されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


こちらは、日本の古代を知る上でもっとも重要な2つのエリア、
出雲と大和に焦点を当てた展覧会で、島根県と奈良県の全面協力のもと、
出雲と大和の貴重な文化財が一堂に会した展覧会です。

会場に入ってまず目に飛び込んでくるのは、巨大な木の塊。




実は、これらは、《心御柱(しんのみはしら)《宇豆柱(うづばしら) と呼ばれる巨大な柱の一部。
2000年に出雲大社の境内から発掘されたばかりのもので、
鎌倉時代に出雲大社の本殿を支えていたと考えられている柱なのだそうです。
なお、この2つの柱が同時に公開されるのは、今回が初めてとのこと。
鎌倉時代以来といっても過言ではありません。

ちなみに、この2つの柱が展示されている間隔は、
実際の出雲大社本殿の柱の間隔と併せてあるのだとか。
柱から想像するに、「かつての出雲大社、どんだけ大きかったんだよ?!」 と思ったら・・・・・




すぐ近くに、平安時代の出雲大社の本殿を再現した模型が展示されていました。
さすが縁がありますね (←?)
この再現模型でも十分大きさが伝わってきましたが、
こちらは、約10分の1のサイズで再現したものとのこと。
つまり、実際は10倍大きかったわけです。
高さに驚くととともに、階段の長さに驚きました。
入り口まで、遠っ!


出雲からの出展作品の中で特に見応えがあるのが、荒神谷遺跡で出土した銅剣です。
1984年に荒神谷遺跡から一挙に出土し、
考古界に大きな衝撃を与えたという銅剣168本がズラリと並ぶ様はまさに圧巻!




その物量に衝撃を受けましたが、
それ以上にほぼすべてが同じ形、大きさであることに衝撃を受けました。
前2〜1世紀の日本で、このような大量生産を実現していただなんて!
当時の出雲は、間違いなく日本で最もイケてるエリアだったのですね。
まさか、その2000年後に、「島根と鳥取、どっちでもよくない?」 なんて扱いを受けているとは。
この頃の出雲の人々は夢にも思っていなかったことでしょう。

また、大量生産といえば、加茂岩倉遺跡から出土した国宝の銅鐸も公開されていました。


国宝 《銅鐸》 島根県雲南市 加茂岩倉遺跡出土 弥生時代・前2~前1世紀 文化庁蔵(島根県立古代出雲歴史博物館保管)


その数、実に17個。




1,2点展示されている際は、銅鐸についてそこまでなんとも感じるものはなかったですが。
こうして大量の銅鐸が列をなしてディスプレイされると、実に壮観な印象に。
カーテンコールを彷彿とさせるものがあります。

なお、加茂岩倉遺跡から発見された銅鐸に関しては、
その埋納状況を忠実に復元した模型も紹介されていました。




興味深いのは、大きな銅鐸の中に、
一回り小さな銅鐸が収められていたこと。
その理由はいまだわかっていないのだとか。
さらに、この中に、小さな銅鐸が収められていたら、
「銅鐸のマトリョーシカを作ろうとしたから」 で決まりだったのですが (←?)。


さてさて、ここまで出雲の文化財ばかりを紹介してきましたが。
もちろん大和だって負けてはいません!
4世紀に百済の王から倭の王に送られたものと考えられていて、
『日本書記』 にもその名が登場するという国宝の 《七支刀》 や、


国宝 《七支刀》 古墳時代・4世紀 奈良・石上神宮蔵


それまでに知られていた三角縁神獣鏡のおよそ1割に近い、
33面が一度に出土したことで話題となった黒塚古墳の三角縁神獣鏡など、


重要文化財 《画文帯神獣鏡・三角縁神獣鏡》(部分) 奈良県天理市 黒塚古墳出土 古墳時代・3世紀 文化庁蔵(奈良県立橿原考古学研究所保管)


次にいつ東京に来るかわからない貴重な文化財が数多く紹介されていました。
この展覧会にすべてを賭ける。
そんな大和魂すら感じられました。

個人的に一番印象に残っているのは、
メスリ山古墳から出土したという円筒埴輪です。




中央の円筒埴輪の大きさは、なんと約2m40cm!
これほど大きい円筒埴輪はほかに例はなく、唯一無二のものとのこと。
スーパーマリオに出てくる土管かと思いました。
たぶん入ったら、コインがたくさんある部屋に通じているかもしれません。

なお、埴輪と言えば、こちらの出雲の埴輪もオススメです。


重要文化財 《埴輪 見返りの鹿》 島根県松江市 平所遺跡出土 古墳時代・5~6世紀 島根県教育委員会蔵


見返り美人ならぬ、見返りの鹿。
ツンと澄ました表情を浮かべつつ、お尻をアピール。
セクシーにもほどがある鹿です。
僕が牡鹿だったら、黙ってはいなかったことでしょう (←?)。


ちなみに、考古に焦点を当てた展覧会かと思いきや。
今回が寺外初公開となる1300年前の日本最古の石仏や、

重要文化財 《浮彫伝薬師三尊像》 飛鳥~奈良時代・7~8世紀 奈良・石位寺蔵


国宝に指定されている唐招提寺の四天王像をはじめ、




出雲と大和の仏像も充実していました。
これは嬉しいサプライズ!
新年早々、絶対に見逃せない展覧会です。
星星星




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芸術家!検索ワード連想クイズ上級編

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「芸術家!検索ワード連想クイズ」 とは、インターネットで、
ある芸術家の名前と同時に検索されている関連ワードから、検索された人物を当てるクイズです。
前回お届けしたのも、なかなかの難問揃いだったと思いますが。
今回お届けするのは、さらに難易度が高い上級編。
1問でも正解できたら、人に自慢してもいいレベルです。
是非、脳みそをフル回転させ、連想から芸術家の名前を導き出してくださいませ。


【第1問】

















[ヒント]
六日町自動車学校から導き出せるのは、六日町自動車学校に通っていた生徒だけでしょう!
他のキーワードに惑わされることなく、の一点突破をオススメします。















正解は、こちらの人物↓




マルク・シャガール

シャガールといえば、。ということで、とセットで多く検索されている模様。
ちびまる子ちゃん』 に登場する花輪君の家にシャガールの絵が飾ってあるそうです。
魔女の宅急便』 に出てくる画家の少女ウルスラが描いた絵が、
シャガールの絵に似ているため、検索している人が多いものと思われます。
テイジンが販売しているテント生地の名前が、シャガールとのこと。
新潟県の六日町自動車学校の女性専用宿泊施設の名前も、シャガール。
・・・・・ “車ガール” と掛けているのだとか。



【第2問】

















[ヒント]
正解の芸術家は、おそらく日本で最も映画化されている人物。
かつて沢田研二は、その芸術家を演じています。
美術に詳しい方なら、楽譜というキーワードでピンと来るかも。















正解は、こちらの人物↓




竹久夢二

セノオ楽譜の装画を多く手がけたことから、楽譜が検索されている模様です。
1991年公開の映画 『夢二』 で竹久夢二役を演じたのが、沢田研二



淡谷のり子は、生前の夢二と深い親交があったそうです。
水曜のカンパネラは、『羅生門』 というアルバムの中で 『竹久夢二』 という曲を発表。
セシールは、昨年より夢二の描いた図案をモチーフにしたファッションを展開しています。



【第3問】

















[ヒント]
サンデーモーニングは、張本勲がやたらと 「喝だ!」 を連発するあの番組ではありません。
この芸術家が、世界的に有名なのは、言わずもがな。
では、なぜ、有名というワードと検索されているのか。そこがポイントです。















正解は、こちらの人物↓




アンディ・ウォーホル

「将来、誰でも15分は世界的に有名になれるだろう」 という言葉を残したウォーホル。
2018年にZoffより、ウォーホルからインスパイアされたという、
アイウェアのシリーズ “I'M ANDY WARHOL”(全47種) が販売されています。
『ONE PIECE』 の作者・尾田栄一郎さんは、とある雑誌の対談で、
「ウォーホルの作品って何が良いの?コピーしてるだけじゃん」 と発言し、話題となった模様。
サンデーモーニングは、ウォーホルがプロデュースしたバンド、
ヴェルベット・アンダーグラウンドのアルバムに収録された曲名です。
シャネルズからラッツ&スターに改名した際、
その記念すべき第1弾のアルバムのアートワークを担当したのが、実はウォーホルでした。
まさか、マーシーがあんなことで有名になるとは!
きっとウォーホルも想像がつかなかったことでしょう。

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【第4問】

















[ヒント]
ピアノとセットで検索されるようになったのは、去年から。
そんなニュースがありましたよね?頑張って、思い出してみてください。
若い頃が検索されているのは、おそらく今の姿から若い時が想像できないからなのでは・・・?















正解は、こちらの人物↓




草間彌生

ビバリーヒルズにあるビバリー・ガーデンズ・パークには、草間彌生作品が設置されています。
アメリカのファッション誌 『W Magazine』 の表紙と特集ページで、
ジョージ・クルーニーが全身草間彌生ファッションを披露し、話題になった模様。
2019年、都庁に草間さんがデザインしたピアノが設置されたのは記憶に新しいところ。
香川県直島のふるさと納税の返礼品の中に、草間さんのかぼちゃのオブジェがあるそうです。



【第5問】

















[ヒント]
映画 『シンゴジラ』 を観たことがある人ならわかるかも。
桜島大雪山、他にもいろんな火山を描いています。















正解は、こちらの人物↓




片岡球子

富士山だけでなく、北は大雪山から南は桜島まで日本中の山を描いた片岡球子。
サンシャインシティに 《江戸の四季》 という陶板レリーフが設置されています。
のび太の母・玉子の旧姓が 「片岡」 であり、
かつ、のび太の父の学生時代の夢が画家になることだったことから、
その関連性を探るため、ドラえもんと検索される方が多くいる模様です。
シン・ゴジラの首相官邸での緊急会議シーンに、片岡球子の絵画が登場しています。
詳しくは、「片岡球子 シン・ゴジラ」 と検索すると、
僕が以前SPICEというwebメディアに寄稿した記事がヒットするので、そちらで。


といったところで、本日の出題はここまで。
いずれかの問題に正解できた方はいらっしゃいますか?
さらに難易度が高い問題を希望する声があれば、
そのうち、超上級編をお届けしたいと思います (笑)




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見えてくる光景 コレクションの現在地

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ブリヂストン美術館改め、
アーティゾン美術館がついにオープンいたしました!




「ART(アート)」 と 「HORIZON(ホライゾン=地平)」 。
その2つの言葉を組み合わせて、「ARTIZON(アーティゾン)」。
正直なところ、今はまだその名前にしっくりきませんが、
『さまぁ~ず』 や 『くりぃむしちゅー』 のように、そのうちしっくりくるのでしょう。


さてさて、変わったのはもちろん館名だけではありません。
ブリヂストン美術館時代は2フロアでしたが、
アーティゾン美術館は、なんと3倍の6フロアになりました!
1階から6階までが、アーティゾン美術館です。




さらに大きく変わったのが、チケットの購入方法。
混雑を緩和するべく、チケットの日時指定予約制が導入されました。
ウェブ予約チケットが完売していない場合に限っては、当日券 (窓口販売) もあるそうですが。
ウェブ予約チケットなら1100円。当日券は1500円。
事前にウェブ予約チケットを購入するほうが、ベターです。

また、展示室への入り方もリニューアル。
飛行機の保安検査場のようなゲートをくぐってから展示室に向かうことになります。




ブリヂストン美術館時代と違って、
危険物は持ち込めなくなりましたのでご注意くださいませ。
(↑そもそも危険物を持ち歩きませんように!)


そんなセキュリティ対策もバッチリなアーティゾン美術館、
そのオープニングを飾るのが、開館記念展 “見えてくる光景 コレクションの現在地”
こちらは、約2800点にも及ぶ石橋財団コレクションの中から、
選りすぐりの206点を紹介する開館記念に相応しいスペシャルな展覧会です!




展覧会は、まず6階の展示室からスタートします。
こちらでは、「アートをひろげる」 と題して、
印象派の時代から2000年代までの約140年間の東西の名品を一挙大公開。




マネ、セザンヌ、青木繁…etc
ブリヂストン美術館時代に何度も目にしていたあの作品たちが、そこに!
彼らとの5年ぶりの再会に、感極まるものがありました。
もちろんコレクションの中でも特に人気の高かったあの作品もあります。




美術館のマスコットともいうべき存在の作品で、
ルノワールの 《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》 です。
自然と心の中で、「おかえりなさい」 と声を上げてしまいました。
そして、その隣のアンリ・ファンタン=ラトゥールの静物画にも、おかえりなさ・・・・・ん?
あれっ?ブリヂストン美術館時代に逢ったことありましたっけ??
と戸惑っていたら、なんと新収蔵品とのこと。
なんでも、休館中も石橋財団は収蔵品を着実に増やしていたのだそうです。
今展のメインビジュアルに使われているカンディンスキーの 《自らが輝く》 も、そのうちの1つ。




展覧会では、実に31点の新収蔵品が紹介されていました。
「おかえりなさい」 と 「はじめまして」。
その両方が交互にやってくる展覧会です。


さて、続く5階と4階の展示室では、「アートをさぐる」 と題し、
『装飾』 や 『異界』 、『幸福』 といった7つのテーマに分けてコレクションを紹介しています。




古代ギリシャの壺と佐伯祐三。モネとデ・キリコ。
意外なアートの組み合わせが楽しめる展示になっていました。
特に圧巻だったのは、『聖俗』 のコーナー。




古代エジプトの猫やハヤブサの像もあれば、ジャコメッティの彫刻も。
さらに、古代ギリシャのヴィーナス像に、ピカソやヘンリー・ムアの彫刻作品もあります。
さらにさらに、奥に進むと、江戸時代の 《洛中洛外図屏風》 もありました。




いい意味で、ごちゃ混ぜ感。
聖もあれば俗もある。
そんなお祭りのような展示空間に酔いしれると同時に、
改めて、石橋財団コレクションの幅広さに驚かされました。


ちなみに。5階の展示室の中央には、
他の美術館ではあまり見かけないちょっと不思議なスペースがあります。




「何だろう?」 と思って近づいてみると・・・




そこから4階の展示室が覗けました。
そう、こちらは吹き抜け空間。
美術館の中で思いっきり開放感が味わえます。
ただ、僕のように高所恐怖症の方は、
開放感よりも恐怖感が勝つ恐れが・・・。
どうぞお気を付けくださいませ。


さてさて、他にも館内のサインがリニューアルされたことや、
ミュージアムショップ、カフェもリニューアルされたことなど、
いろいろと紹介したいトピックはありますが、キリがないのでこの辺で。
以前のブリヂストン美術館も東京を代表する素敵な美術館でしたが、
アーティゾン美術館は、さらにその何倍も素敵な美術館にパワーアップしていました。
星星星
文句なしに3つ星!
絶対に訪れるべき美術館です。


本当に非の打ち所がない素敵な美術館なのですが、
褒めすぎていて、ステマ記事と勘違いされるのも何なので。
あえて1つだけ気になったことを。
今回のリニューアルで、新たにVIEW DECKなるスペースが誕生していました。




果たして、どんなVIEWが楽しめるのか?!
ワクワクしながら窓の外に目をやると・・・・・




ビルの解体工事の現場が飛び込んできました。

・・・・・・・・・。

一体何を見させられているのだろう。
想定外すぎるVIEWでした。




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ニューヨークが生んだ伝説の写真家 永遠のソール・ライター

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皆さまは、ソール・ライターはご存じでしょうか?
“ソール・ライター?ソウルイーター??” という人のために、まずは彼の紹介を。


ソール・ライター 《セルフ・ポートレート》 1950年代、ゼラチン・シルバー・プリント ©Saul Leiter Foundation


若き日は、『ハーパーズ・バザー』 や 『エル』 といった、
一流ファッション雑誌のカメラマンとして、第一線で活躍していたソール・ライター (1923~2013)
しかし、その約30年後には、突如として自身の写真スタジオを閉鎖してしまいます。
そして、そのまま隠遁生活へ。
世間からその姿を完全に消したあとは、
ただひたすら、ニューヨークの日常を写真に撮り続けました。
それから、さらに約30年の月日が流れた2006年。
ドイツのとある出版社から、ソール・ライターの写真集が出版されます。
その写真集 『Early Color』 は、田中みな実の写真集ばりに (?) 大ヒット!
一躍、世界的にソール・ライター熱が高まりました。
その時、なんとソール・ライターは83歳!
そう、美術史上でも類を見ないほどの遅咲きデビューを果たしたのです。


世界を魅了したソール・ライターの写真の魅力は何と言っても、
日本の琳派や浮世絵にも影響を受けたともいわれるその斬新な構図。


ソール・ライター 《高架鉄道から》 1955年頃、発色現像方式印画 ©Saul Leiter Foundation


ソール・ライター 《薄紅色の傘》 1950年代、発色現像方式印画 ⒸSaul Leiter Foundation


なんでもない日常のワンシーンながらも、
ソール・ライターの手にかかると、不思議なほどにオシャレな光景に生まれ変わります。
元祖インスタ映えといった感じでしょうか。


さてさて、そんなソール・ライターの日本初個展が、
Bunkamura ザ・ミュージアムで開催されたのは、2017年のこと。
日本ではほぼ無名の写真家の展覧会ながらも、
口コミでスマッシュヒットしたのは記憶に新しいところです。
展覧会を訪れた人も、残念ながら訪れられなかった人も、
「またソール・ライターの展覧会が開催されないかなァ」 と願ったことでしょう。
皆さま、その夢が早くも実現しましたよ。
先日より、Bunkamura ザ・ミュージアムにて、
“ニューヨークが生んだ伝説の写真家 永遠のソール・ライター” が開幕しました!


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


出展作は、実に200点以上。
モノクロ写真時代の代表作や、





ソール・ライターの真骨頂とも言うべきカラー作品の数々が、





彼の言葉とともに、ところ狭しと並べられています。




見応えたっぷり。
質、量ともに前回を上回っていました!
映画にしてもドラマにしても、
続編モノは、「『1』 のほうが良かったよなァ」 となりがちですが。
ソール・ライター展に関しては、『2』 も良いです。
星星
前回見逃した皆さま、今回は見逃しませんように。


ちなみに、ソール・ライターは、こんな言葉を残しています。




「神秘的なことは馴染み深い場所で起こる。
 なにも、世界の裏側まで行く必要はないのだ。」



その予言が当たったというわけではありませんが、こんなことがありました。
ソール・ライターのセルフ・ポートレートを紹介するコーナーを鑑賞したあとのこと。




一瞬、どこに彼がいるのかわかりませんでしたが。
よく見たら、ガラスにソール・ライターの姿がうっすらと映っていました。
なんともオシャレなセルフポートレートだなァと感じながら、
もともとは画家を目指していた彼の絵画作品を紹介するコーナーへ。




すると、そこにもガラスに映ったソウル・ライターがいました。
・・・・・と思ったら、自分でした (笑)

ともあれ、ソール・ライターの写真を見れば、
皆さまも、こんな風に (?)、見慣れた日常がちょっと新鮮に感じられるかもしれません。




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白髪一雄 展

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東京オペラシティ アートギャラリーで開催中の “白髪一雄 展” に行ってきました。




近年、NYのグッゲンハイム美術館で特別展が開催され、
世界的に注目を集めている具体美術協会 (通称、GUTAI) の中心メンバーであった白髪一雄。
その東京では初となる大規模な回顧展です。

さてさて、初期の白髪一雄作品には、


白髪一雄 《難航》 1949年 尼崎市蔵


モチーフが具体的にハッキリとわかるように描かれていますが。
彼が具体美術協会に参加する前年の作品からは、


白髪一雄 《無題》 1959年 豊田市美術館蔵


白髪一雄 《天空星急先鋒》 1962年 兵庫県立美術館蔵


具体的なモチーフが完全に消えてしまっています。
「だったら、具体じゃないじゃん!」 と、ツッコみたくなるところですが。
具体美術協会の “具体” とは、そういう意味ではありません。

具体美術協会のリーダーとして、立ち上げから最後まで、
メンバーを引っ張っていったのが、関西の抽象美術の先駆者・吉原治良。
人呼んで、『ミスターグタイ』 です。
そんな吉原を慕って、関西在住の若きアーティストたちが集いはじめました。
そこで、彼はこう宣言するのです。

「われわれの精神が自由であるという証を具体的に提示したい!」

こうして、具体美術協会という名前のグループが結成されました。
そして、吉原リーダーは、若手メンバーに対して、

「人の真似をするな!これまでになかったものを作れ!」

と、檄を飛ばします。
それを受けて、ある若手メンバーは、電気で洋服を作りました。
また、ある若手メンバーは、手作りの機械に絵を描かせました。
そう、若手メンバーたちは、吉原の無茶ブリに見事に応え、
それまでの美術の歴史には無かった作品を、次々に生み出していったのです。
白髪一雄も、その一人。
彼もまた、それまでの美術の歴史には無かった画期的な画法を編み出したのです。


白髪一雄 《天慧星拚命三郎(水滸伝豪傑の内)》 1964年 東京国立近代美術館


白髪一雄 《無題》 1967年 豊田市美術館蔵


画像データで観る分には、他の画家が描いた抽象画と、
そこまで大差がないように感じる人も多いことでしょう。




実際の作品にググッと近づいてみたり、
横から下から斜めから、あらゆる角度から観てみてくださいませ。
そうすれば、白髪一雄が編み出した独特の画法がわかるはず。




正解は、「足で描く」。
その名も、フット・ペインティングです。




絵を注意深く見てみれば・・・・・




足の指の跡が確認できますね。
よっぽど、このあたりで踏ん張ったのでしょう。


会場には、そんな白髪のフッド・ペインティングの作品を中心に、
日本各地から集められた初期から晩年までの絵画約60点が一堂に会しています。




足で踏んだうどんに、強烈なコシが生まれるように。
足で踏むマッサージによって、大きな圧がかかるように。
もちろん足で描かれた絵は、手で描かれた絵以上のパワーを宿していました。
こんなにも圧迫感を覚えた展覧会は初めてかもしれません (笑)
星


ちなみに。
数点の作品は、絵画展には珍しく、床に展示されています。




もともと、そう描かれていたので、
当たり前と言えば当たり前なのですが、めちゃめちゃしっくりきました。
もし白髪一雄展の続編があるのなら、
むしろ、すべてを床に置いて欲しいほど。




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エントリーNo.0005 慶派ボーイ(運慶 快慶)

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もしも、芸術家たちが漫才をしたら・・・

こんな感じのネタを披露するのかもしれません。
それでは、皆様、どうぞ芸術漫才をお楽しみください!




運慶 「運慶 [1] です」

快慶 「快慶 [2] です」

2人 「2人合わせて、慶派ボーイです。お願いします」

運慶 「あー、ありがとうございます!」

快慶 「(客席から何かを受け取る)」

運慶 「今、客席にいる師匠から 『慶』 の一字を頂きましたけどもね [3]
   ありがとうございますね。こんなんなんぼあってもいいですからね」

快慶 「一番いいですからね」

運慶 「ゆうとりますけどね」

快慶 「うちのおかんがね、好きな像があるらしいんやけど」

運慶 「そうなんや」

快慶 「その名前をちょっと忘れたらしくてね」

運慶 「ほー、好きな像の名前忘れてまうって、どうなってんねん」

快慶 「いろいろ聞くんやけどな。全然わからへんねん」

運慶 「ほんなら俺がね。
   おかんの好きな像を一緒に考えてあげるから、どんな特徴言うてたかとか教えてみてよ」

快慶 「コンビしてものすごく怒った表情を浮かべてる寄木造 [4] のやつやって言うてた」

運慶 「金剛力士像 [5] やないかい。
   その特徴はもう完全に俺らが作った金剛力士像やがな。すぐわかったよ、こんなもん」




快慶 「いや、俺も金剛力士像やと思てんけどな。
   おかんが言うには、それをいつか家に飾ってみたいって言うねんな」

運慶 「ほな、金剛力士像と違うか!
   あんな8mもある像なんか家に入らへんからね。
   2部屋ぶち抜いて横にして飾るしかないもんね。ものすごい邪魔やがな。
   かといって、外に置いとったら、ご近所さんから、
   お宅の前通るたびに睨まれて怖いわ、ってクレームが入るもんね。
   ほな、金剛力士像ちゃうがなそれ。もうちょっと詳しく教えてくれる?」

快慶 「なんであんなに狭いところに入ってるんかわからんらしい」

運慶 「金剛力士像やないかい!
   金剛力士像は、門の中のめちゃくちゃ狭いスペースに押し込められてるんやから!
   花火大会の仮設トイレくらい狭いスペースに安置されてるのは、世界中であの像だけ。
   金剛力士像やそんなもんは!」

快慶 「わかれへんねん、でも」

運慶 「何がわかれへんねん」

快慶 「俺も金剛力士像や思てんけどな。
   おかんが言うには、あんな筋肉に憧れるって言っててん」

運慶 「ほな、金剛力士像ちゃうやないか!
   一見、筋骨隆々でカッコ良く見えるけどな。
   よう見ると、筋肉の付き方が、『幽遊白書』 の戸愚呂弟ばりに変やねん!
   腹筋は全然割れてへんのに、胸筋と腹筋の間が割れてんねん。
   どこをシックスパックにしとんねん!
   金剛力士像ちゃうがな。もうちょっとなんか言ってなかったか?」

快慶 「よくわからん布みたいなのが巻き付いてるらしい」

運慶 「金剛力士像や!
   どこで売ってるかわからん無駄に長い布を、たすき掛けするわけでもなく、
   ストールみたく首に巻くわけでもなく、ふわっと浮かせ続けて身に纏ってるわけや。
   そんな近未来すぎるファッション、他の像は誰もしてへんねん!
   金剛力士像やん絶対!」

快慶 「わからへんねん、でも」

運慶 「なんでわからへんのこれで」

快慶 「おかんが言うには、パート先のスーパーで働いて欲しいって言うねん」

運慶 「ほな金剛力士像ちゃうやないかい!
   あいつの本来の仕事は、ガードマンやねん。
   寺に入ろうとする悪い奴を排除しようと、門に立って怖い顔で睨んどるわけや。
   でも、実際、東大寺の境内を見てみい。
   見るからにガラの悪い修学旅行生が、いっぱい入ってるやないか!
   なんなら、鹿も入りたい放題や!
   あんなんスーパーで働かせてもな、万引き犯の一人も捕まえられんからね。
   金剛力士像ちゃうやないか。もうちょっとなんか言ってなかった?」

快慶 「結局、大仏を観てしまうと印象が薄れるらしい」

運慶 「金剛力士像やないか!
   東大寺に入るときに、金剛力士像観て、まず 「おー!」 と感動すんねん。
   でもな、その後に、めっちゃでっかい大仏観るやろ。
   そうすると、その時点で、もう頭の中から金剛力士像のことはすっかり消えてまうねん!
   ほんでな、お寺を出る時にな、もう一回、門通るやろ?
   そん時なんか、誰一人、金剛力士像なんて観てないねんから。
   金剛力士像のブームなんて、秒で終わんねん。
   金剛力士像に決まり!」

快慶 「わからへん」

運慶 「わからへんことない!おかんの好きな像は金剛力士像」

快慶 「おかんが言うには、金剛力士像ではないって言うてた」

運慶 「ほな、金剛力士像ちゃうやないか!
   おかんが金剛力士像ではないと言えば、金剛力士像ちゃうがな!」

快慶 「そうやねん」

運慶 「先言えよ!俺が東大寺に入る時と出る時の違いを力説してる時どう思てたん?」

快慶 「申し訳ないなと思って」

運慶 「ほんまにわかれへんがな。それどうなってんねん」

快慶 「おとんが言うには、モアイ像ちゃうかって」

運慶 「いや、絶対ちゃうやろ!もうええわ」

2人 「どうもありがとうございました」


[1] 運慶 (生年不詳~1224)
言わずと知れた日本一有名な仏師。
20代のデビュー作で国宝の 《大日如来坐像》 (奈良・円成寺)の台座の天板の裏に、運慶の花押 (サイン) がある。
実は、このサインは、現在確認されている中で最も古い仏師のサインとのこと。
アーティスト気質の強い仏師であったようです。

[2] 快慶 (生没年不詳)
運慶の父である康慶 (生没年不詳) の弟子。
運慶より腕が一歩劣るとされるが、作品は運慶よりも数多く制作している。

[3] 運慶と快慶は、康慶より 「慶」 の一字をもらった。
なお、慶派の仏師に、「慶」 の一字が受け継がれることが多いのは、南北朝時代まで。
それ以降は、「康」 の一字が受け継がれることが多くなる。

[4] 正式には、《木造金剛力士立像(所在南大門)》
日本最大の山門といわれる東大寺の南大門に安置されている。
向かって右側にあるのが、口を開けた阿形。左側が口を閉じた吽形。
運慶、快慶率いる慶派の仏師がワンチームで制作。わずか70日余りで造成された。

[5] 一本の大木が必要な一木造とは違って、寄木造はいくつかの木材をはぎ合せて仕上げる。





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モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展

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今年2020年は、東京オリンピック・パラリンピック開催年。
それにちなんで、今年、パナソニック汐留美術館では、
1年にわたって、日本をテーマにした4つの展覧会が開催されるようです。
そのトップバッターを飾るのが、“モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展” という展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


1930~60年代にかけて、世界中でモダンデザインが普及しました。
日本もまた然り。
特に、5人の外国人と2人の日本人の尽力によって、
日本人のライフスタイルに、モダンデザインが定着したのでした。
そんな日本モダンデザイン界における神7 (?) にスポットを当てた展覧会です。

まず第1章で紹介されていたのは、ドイツ建築家ブルーノ・タウト。
一般的には、京都の桂離宮を訪れた際に、
「泣きたくなるほど美しい」 と発言した感動屋さんと思われていますが (←?)。
実は、日本初の国立デザイン指導機関であった、
仙台の工芸指導所に顧問として招かれ、日本にモダンデザインを指導した立役者でもあります。
実際に指導した期間は4ヶ月ほどだったそうですが、その影響は絶大。
会場には、そんなタウトがデザインした工芸品や、


ブルーノ・タウト 《卵殻螺鈿角形シガレット入れ》 1935年 群馬県立歴史博物館蔵


椅子をはじめとする家具の数々が紹介されていました。




タウトの椅子といえば、『半落ち』 や 『64』 でお馴染みの小説家、
横山秀夫さんの6年ぶりの最新作として話題になった 『ノースライト』 に登場。
物語の大きな鍵を握るアイテムです。

ノースライトノースライト
1,944円
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『ノースライト』 を読まれた方は、
間違いなく、テンションがあがるはず。
『ノースライト』 にも登場した日向邸に関する展示品もありますよ。

同じく第1章では、タウトの日本でのパトロンとなった井上房一郎も紹介。
彼はタウトと組んで、「タウト井上」 というブランドを生み出し、
品質を保証したプロダクトを、銀座にあったミラテスという店舗で販売しました。




そのミテラスをたびたび訪れており、
高崎にある旧井上房一郎邸の設計を担当したのが、続く第2章の主役。
建築家のアントニン&ノエミ・レーモンド夫妻です。




こちらのコーナーでは、彼らが手がけた建築や家具の数々を紹介。
さらに、珍しいところでは、レーモンドが描いた絵画作品も紹介されています。




アントニン・レーモンドといえば、フランク・ロイド・ライトの弟子ですが、
描いた絵に関しては、別の世界的建築家ル・コルビュジエのピュリスム風のスタイルでした。

さて、第3章で紹介されているのは、剣持勇。
『金田一少年の事件簿』 に同姓同名の刑事が登場しますが、もちろん彼ではありません。
仙台の工芸指導所時代には、タウトの助手を務め、
ヤクルトの容器から家具まで幅広いジャンルを手がけた日本を代表するデザイナーです。





代表作は何と言っても、《丸椅子C-315-E》 (写真奥)




こちらは、籐を手作業で編んで形作られているそうで、
形を維持するためには、制作途中で手を止めることはできないのだそうです。
手慣れた職人でも、制作には約10時間かかるとのこと。
一度編み始めたら最後、ぶっ通しで編み続けないといけません。
1日の労働時間が8時間まで、となった現在は、どうやって制作しているのでしょうか??


第4章で紹介されているのは、日系アメリカ人二世ジョージ・ナカシマ。
戦前はアントニン・レーモンド建築事務所で働き、
建築家を目指していましたが、日系人であるために大戦中に収容所に収監されてしまいます。
しかし、捨てる神あれば拾う神あり。
収容所の中で出会った日系人大工から、
木工技術の基礎を学んだことで、世界的な木工家具作家になったのです。




そんな彼の代表作は、《コノイドチェア》


ジョージ・ナカシマ 《コノイドチェア》 1960(1992)年 武蔵野美術大学 美術館・図書館蔵




2本足で立つ姿は、まるでペリカンかガチョウのよう。
なんとも愛らしく、座るのが忍びなくなる椅子です。
眺めているだけで癒やされました。


さてさて、最後の第5章で紹介されているのは、20世紀を代表する彫刻家イサム・ノグチ。

今展では、彫刻家や造園家・作庭家としての彼の一面よりも、
慶應義塾大学の三田キャンパス内にあったラウンジ萬來舎 (通称ノグチルーム) や、




岐阜の伝統工芸産業である提灯にインスピレーションを受けた 「あかり」 シリーズなど、




インテリアデザイナーとしての彼の一面がフィーチャーされていました。
ちなみに、イサム・ノグチは、レーモンドや剣持と交流があったのだそう。
紹介されていた7人の作品自体も興味深かったですが、
それと同じくらいに、緩やかに繋がった7人の関係性も興味深かったです。
星星


最後に。
7人とは別に、この展覧会で注目したいもう1人をご紹介いたしましょう。
それは、前田尚武さん。
元森美術館の建築・デザインプログラムマネージャーで、
2018年に話題となった “建築の日本展” のキュレーションを担当した人物です。
そんな前田さんが、今回の展覧会の会場構成を担当しています。




日本の数寄屋建築の雰囲気をイメージし、
展示パネルを白木の柱と梁で組んだのだそう。
斜め斜めへと進んでいく、これまでにありそうでなかった会場構成。
斜め上をいく会場です。


 ┃会期:2020年1月11日(土)~3月22日(日)
 ┃会場:パナソニック汐留美術館
 ┃
https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/20/200111/

~読者の皆様へのプレゼント~
“モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、1月25日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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ハマスホイとデンマーク絵画

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東京都美術館で開催中の話題の展覧会、
“ハマスホイとデンマーク絵画” に行ってきました。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


2008年に国立西洋美術館にて初個展が開催され、
美術ファンに大きな衝撃を与えたデンマークの画家ヴィルヘルム・ハマスホイ (1864~1916)
その日本での12年ぶりとなる大々的な展覧会です。

展覧会の冒頭にこそ、若き日の彼と妻との2ショット作品が展示されていましたが。


ヴィルヘルム・ハマスホイ 《画家と妻の肖像、パリ》 1892年 デーヴィズ・コレクション蔵 The David Collection, Copenhagen


そこからしばらくは、ハマスホイはお休み。
ハマスホイ展以外のデンマークの画家たちのターンが続きます。
どこかオランダ絵画を彷彿とさせる “デンマーク絵画の黄金期” と呼ばれる時代の絵画から、




デンマーク最北端の漁村・スケーインに移り住んで、
芸術村を形成した、いわゆるスケーイン派の画家たちの絵画、




さらに、ハマスホイと同時代に活躍した19世紀のデンマークの画家たちの絵画など、




デンマーク絵画の名品の数々が一堂に会していました。
日本で本格的にデンマーク絵画が紹介される初めての機会です。
クレステン・クプゲにコスタンティーン・ハンスンにクレスティアン・クローグに。
その作家名は耳馴染みないものばかりだったのですが、
どの絵も、不思議と前から見知っていたかのような安堵感、心地よさを覚えました。
さすが、“ヒュゲ(hygge:くつろいだ、心地よい雰囲気)” を大切にする国デンマーク。
絵画の中にも、“ヒュゲ” の精神が宿っているようでした。
どの作品も目にも心地よいものでしたが、
中でも印象的だったのは、ヴィゴ・ヨハンスンの 《きよしこの夜》 です。


ヴィゴ・ヨハンスン 《きよしこの夜》 1891年 ヒアシュプロング・コレクション蔵 © The Hirschsprung Collection


まるで、コカコーラのCMの一場面のような、
これ以上無いくらいに、幸せなクリスマスの光景が描かれています。
まさに、“ヒュゲ” な一枚。
しかし、よく見ると、ツリーに飾られているのは、電飾ではなく蝋燭なのですね。
ツリーに火が燃え移らないか、やや心配になってきました。

また、もう一枚、特に印象に残っているのが、
ユーリウス・ポウルスンの 《夕暮れ》 という作品です。




こちらの画像、撮影の際に手ブレしたわけではありません。
《夕暮れ》 という作品自体が、このようにピンボケしたような表現で描かれているのです。
ありそうでなかった絵画表現。
もっと彼の作品を観てみたくなりました。



・・・・・と、デンマーク絵画の魅力にハマってしまい、
肝心の主役のことを、すっかり忘れてしまった頃、目の前に突如として扉が現れました。




そう。ここから先が、ハマスホイのパート。
約40点のハマスホイ作品が、僕らを待ち受けていました。




室内画をとりわけ多く描いたことから、
「北欧のフェルメール」 とも称されるハマスホイ。
今展でも、多数の室内画が展示されています。




もちろん、ハマスホイ以外のデンマークの画家も、室内画は描いています。


ピーダ・イルステズ 《ピアノに向かう少女》 1897年 アロス・オーフース美術館蔵
ARoS Aarhus Kunstmuseum / © Photo: Ole Hein Pedersen



しかし、見比べてみることで、
彼らの穏やかな室内画とは、ハマスホイの室内画の特殊さが浮き彫りになります。


ヴィルヘルム・ハマスホイ 《ピアノを弾く妻イーダのいる室内》 1910年 国立西洋美術館蔵 (注:東京展のみ出品)


ハマスホイの室内が、そこに ”ヒュゲ” は感じられません (注:個人の感想です)
温かみというよりも、寒々しさ、もっと言えば、サスペンス感すら漂っていました。
テーブルの上の灰皿が、凶器にしか見えません。
きっとあの灰皿で何も気づかずピアノを弾いている妻の後頭部を・・・ (注:あくまで個人の感想です)

そんなハマスホイの独特な不穏感は、
室内画以外でもいかんなく発揮されていました。
例えば、後ろ姿で描かれることの多い妻イーダを真っ正面から描いた肖像画。




顔色の悪さがハンパではありません。
土気色を通り越して、緑色になっています。
よく見れば、手も緑色。
これではイーダではなく、ヨーダです。

また例えば、ブナの森を描いた一枚。


ヴィルヘルム・ハマスホイ 《若いブナの森、フレズレクスヴェアク》 1904年 デーヴィズ・コレクション蔵 The David Collection, Copenhagen


何の変哲も無い森のはずなのですが。
絵の画面全体に漂う空気感のせいなのでしょうか。
はたまた、ローアングルで描かれているからなのでしょうか。
なんともいえない不穏な感じが漂っています。
観れば観るほど、何かの犯行現場にしか思えなくなってきました。
耳を澄ませば、シャベルで土を掘る音が聞こえてくるようです。




ハマスホイが描く作品はどれも、
心をゾワゾワザワザワさせるものがあります。
心地よいか心地よくないかでいえば、後者ですが、
そのミステリアスさが、じわじわとクセになってくるのです。
観れば観るほど、その独特な世界観にハマり、
家に帰ってからもなお、そのジワジワは継続。
現時点で、もうすでに展覧会に行きたくて仕方なくなっています。
完全なるハマスホイ中毒。
星星星
確実に、これまでにない鑑賞体験が出来る展覧会です。


ちなみに、数あるハマスホイ作品の中で、
是非注目して頂きたいのが、《背を向けた若い女性のいる室内》 という一枚です。




こちらの作品に描かれているパンチボウルは、
ハマスホイの子孫に受け継がれ、今なお大切にされているとのこと。
そして、その実物がなんと来日しているのです。




さて、その蓋の部分に、ご注目。
一度壊れたため、鎹で止められているそうです。
なお、その修理の際に少し歪みが生じたため、
蓋と胴の間に微妙に隙間が空いているのも見て取れます。
実は、《背を向けた若い女性のいる室内》 に描かれているパンチボウルにも同じ隙間が!
どうやら、ハマスホイは壊れた部分も忠実に描いていたようです。
会場で是非、見比べてみてくださいませ。


さてさて、展覧会の最後には、
《室内—陽光習作、ストランゲーゼ30番地》 をモチーフにした撮影スポットがあります。




この絵の前で写真撮影する時に、一つご注意を。
一見すると、普通の室内画のようですが、
注意深く見てみると、扉にドアノブがありません。
アナタはすでにこの室内に閉じ込められているのかも。
もしかしたら、知らない間に奇妙な扉を開けてしまっていたのかもしれません。






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うんことくらし-便所から肥やしまで-

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注:お食事中の皆様ごめんなさいm(__)m


川崎市内に建てられていた民家を中心に、
おもに東日本の茅葺屋根の民家が20棟以上も展示されている川崎市立日本民家園。
現在、こちらの本館企画展示室では、あまりにストレートすぎて、
思わず二度見してしまう衝撃的なタイトルの企画展が開催されています。
その名も、“うんことくらし-便所から肥やしまで-”




文字通り、「うんこ」 や 「便所」 をテーマにした展覧会です。
もちろん、展覧会はいたって真面目なもの。




“「うんこ」 の話をしましょう” という、
冒頭の真摯な呼びかけに、思わずミが引き締まりました。

展覧会の冒頭に展示されていたのは、
かつて日本各地の便所で使われていた道具の数々。
染付で作られた豪華な便器や、




現在の歩行するためのトイレ用スリッパとは違い、
小便器の立ち位置を示すために設置された足置 (または、厠下駄) など、




珍しい品々が紹介されています。
ちなみに、何も言われなければ、
北欧デザインの食器にも見えなくもない (?) こちらの容器の正体は・・・・・




尿瓶 (しびん) とのこと。
ガラス製のイメージが強いですが、昔は陶製だったのですね。


なお、展覧会では他にも、「うんこ」 から肥料を作る庶民の知恵や、




昭和時代の川崎市のバキュームカー事情なども紹介されていましたが。




個人的に興味深かったのは、おしりを拭くものを紹介する展示です。




トイレットペーパーが一般家庭で使われるようになったのは、昭和中期とのこと。
それまでは、使い終わった新聞紙や障子紙を使用していたのだそうです。




想像するに、それでもかなり堅そうですが、
当時は紙そのものが贅沢品で、一般庶民は紙は使っていなかったそう。
代わりに使っていたのは、葉っぱや藁、イタドリの茎や竹べらだったそうです。




この時代に生まれなくて良かったー!!

今まで当たり前に思っていましたが、
初めてトイレットペーパーのあるくらしに感謝したくなりました。
ありがとう、エリエール。ありがとう、ネピア。
なんでもないようなことが、幸せだったと思える展覧会です。
星


さてさて、この展覧会と連動して、
園内にある民家のトイレにも、解説パネルが設置されていました。




日本民家園には、何度も訪れていますが、
これまで人様ん家の便所に注目したkとおはなし。
しかし、改めて意識してみると、
家ごとに個性があるものなのですね。
特に印象的だったのは、かつては富山県南砺市にあったという山田さんの家の便所。




家のすぐ近くにあるこの納屋みたいな建物が、便所です。




当時は、主屋とは屋根付きの橋で繋がっていたそうで、
雪の日もその橋を渡って、用を足しに行っていたのだとか。
何でわざわざ外に・・・・・と不思議に思ったのですが。
よくよく考えたら、今と違って、部屋に換気扇や空調がなかったわけで。
それは、便所を主屋と切り離したかったのも納得です。


そんな山田さん家に対して、佐々木さん家の便所は・・・・・




なんと入り口のすぐ脇に設置されていました。
こちらは小便用とのことでしたが、
とはいえ、かなりトリッキーな気はします。
佐々木さん家の子じゃなくて良かった。
心からそう思いました。


ちなみに、展覧会の関連イベントとして、
3月29日に閉館後の18時より園内便所を巡るイベントが開催されるとのこと。
その名も、「マジで怖い!夜のお便所たんけん」。
興味がある方は、懐中電灯持参で是非!




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