渋谷区立松濤美術館で開催中の “藤田嗣治と愛書都市パリ ―花ひらく挿絵本の世紀―” に行ってきました。
「これまでに、どれだけの藤田嗣治作品を観てきたことでしょうか?!」
というくらいに、藤田嗣治の作品は目にしてきた気がします。
あまりに目にしているので、
もはや藤田嗣治の作品には、有難味が感じられないほどです (笑)
それだけに。
今回の渋谷区立松濤美術館での美術展も、
“あぁ、はいはい。また藤田さんね(;^□^)”
というくらいのノリで訪れました。
(↑だったら、行かなきゃいいのに!)
・・・ところが。
今回の美術展で紹介されているのは、
藤田嗣治の作品は、藤田嗣治の作品でも。
絵画作品ではなく、藤田嗣治が手がけた挿絵本の数々。
《朝日の中の黒鳥》 に、
(表紙です)
《芭蕉とその弟子のハイカイ》 など。
(「古池や蛙飛びこむ水の音」 の挿絵です)
藤田嗣治っぽい挿絵本から、藤田嗣治っぽくない挿絵本 (←?) まで。
これまで見たことのない藤田嗣治の挿絵本が、数多く展示されています。
今回の美術では、全点は紹介されていませんでしたが、
実は、藤田嗣治が生涯で手がけた挿絵本は、30点以上にも及ぶそうで、
その数は、あのピカソでも半数に及ばなかったのだとか。
そんなブックデザイナーとしての藤田嗣治の一面に、
初めてスポットを当てた美術展だけに、藤田嗣治に食指気味の僕でも、十分に楽しむことが出来ました。
ただ、王道ではなく、マニアックな美術展である感じは否めないので、
一般の人向けいうよりは、ある程度、美術が好きな玄人向けな美術展といった印象です。
個人的に、一番印象に残っているのは、
ジャン・コクトーのテキストと藤田嗣治のイラストからなる挿絵本 《海龍》 。
175部しか刷られなかったという超レアな限定本です。
他の挿絵本にも美しい挿絵はありましたが、
この挿絵本に登場する挿絵に関しては、どれもズバ抜けて美しい!
むしろ、今まで目にした藤田嗣治の油彩画よりも、僕は、こっちの挿絵のが好きかも。
藤田嗣治というと、 『乳白色の画家』 というイメージばかりが先行していますが。
この挿絵を観ると、藤田嗣治の描く線の美しさが、よくわかります。
これら以外にも、会場では、
《海龍》 の挿絵をまだまだ目にすることが出来ますので、気になった方は是非!
あまりに 《海龍》 が、自分的にツボすぎて、
正直なところ、他の作品の印象は、すべて吹っ飛んでしまいました (笑)
藤田嗣治の挿絵本だけでなく、他の同時代の画家の挿絵本も紹介されていたのですが。
やはり、それらも吹っ飛んでしまいました (笑)
強いて他に挙げるならば、 《突風》 という挿絵本に関して。
藤田嗣治によって描かれているのは、
この本の著者でもあるジュオザス・ティスリャヴァ。
“ここ最近、彼の顔を、どこかで目にしたような・・・”
と、長いことデジャヴに悩まされた末に、その答えに思い至りました。
「あっ、サカナクションのヴォーカルに似てるんだ」
最近、この曲をヘビーローテーションで視聴しているのです↓
美術館には、おそらく1時間ほど滞在したはずですが、
《海龍》 とサカナクションの印象しか残っていません。
自分の好みにバチッとハマる作品に出会うと、こういう弊害もあるのですね。
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藤田嗣治と愛書都市パリ ―花ひらく挿絵本の世紀―
国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展
2009年に開催された “国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア” に引き続きまして。
現在、Bunkamuraザ・ミュージアムでは、国立トレチャコフ美術館展vol.2となる…
“国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展” が開催されています。
10月8日まで。
ロシア絵画の巨匠中の巨匠イリヤ・レーピン (1844~1930)
そんなレーピンの日本における過去最大にして、
過去最高の回顧展が、このBunkamuraザ・ミュージアムで開催中のレーピン展なのです!
・・・・・・・が。
世の大半の方には、 「レーピン?誰??」 なのでしょうか。
現在、上野で開催中のフェルメール展やツタンカーメン展に人気が集中し、
Bunkamuraザ・ミュージアムにしては珍しく、レーピン展には、あまりお客さんが入っていない模様。
おそらく本国ロシアで開催されていたら、激混み必至の美術展なのに、
ゆったりたっぷりのんびり、ストレスフリーな状態で観賞出来てしまいました。
一観客としては嬉しいような、一アートテラーとしては悲しいような。。。
というわけで。
アートテラーとして、なんとかレーピン展を盛り上げてみたいと思います。
「レーピン?誰??」 という皆様、どうぞ最後までお付き合いくださいませ。
イリヤ・レーピンの魅力は、何と言っても、
ロシア・リアリズムの頂点を極めたとされる、その筆の巧みさ。
《思いがけなく》
《トルコのスルタンに手紙を書くザポロージャのコサック(習作)》
まるでドラマや映画のワンシーンと錯覚してしまうほどに。
登場人物たちの感情や性格、関係性、現在の状況などが、
この一枚の絵だけで、バチッと伝わってきます。
こんなにも複数の登場人物をドラマチックに描ける画家は、
美術史上で探しても、そうそう他にいないのではないでしょうか。
個人的に一番印象に残ったドラマチックな一枚は、 《手術室の外科医エヴゲーニー・パーヴロフ》
ロシア版 『救命病棟24時』 です。
・・・若干、医療スタッフの数が多すぎる気はしましたが (笑)
ちなみに、描かれている外科医エヴゲーニー・パーヴロフとは、
条件反射の実験 “パブロフの犬” でお馴染みのパブロフさんです。
さてさて、人物をドラマチックに描くことに長けているレーピン。
その才能は、一人の人物を描く肖像画においても、遺憾なく発揮しています。
『戦争と平和』 でお馴染みの文豪を描いた 《文豪レフ・トルストイの肖像》 に、
トレチャコフ美術館にその名を残す 《パーヴェル・トレチャコフの肖像》 に。
本人にお会いしたことはないですが (←当たり前!)
描かれている人物像から、なんとなく人柄がわかってしまう気がします。
肖像画の作品も数多く展示されていましたが、
その中でも、一番印象に残っているのが・・・
『展覧会の絵』 でお馴染みの 《作曲家モデスト・ムソルグスキーの肖像》
・・・・・あれ?
あの荘厳な 『展覧会の絵』 を作曲した方とは到底思えない、なんとも草臥れたオッサンです。。。
髪はボサボサだし、目はトロンとしてるし、鼻は赤いし。
キャプションを読んでみると、ムソルグスキーはアル中で、
しかも、この絵が描かれた10日後に、お亡くなりになっているとのこと。
まさに迫真のリアリティの肖像画です。
リアリティ重視 (?) のレーピンは、
『外套』 や 『狂人日記』 でお馴染みのロシアの作家・ゴーゴリも描いているのですが。
そちらは、ムソルグスキーの肖像画以上に容赦なく描いていました。
『死せる魂』 の第二部の執筆中に原稿を火中に投じたというエピソードに着想を得て描かれたのだとか。
完全に、ゴーゴリの目がイっちゃっています(>_<)
極めつけは、 《皇女ソフィア》 を描いた一枚。
皇女ソフィアは、異母弟であるピョートル (後のピョートル1世) の摂政を務めるも、
のちに修道院に幽閉されてしまった人物。
確かに、ティム・バートンの映画に登場する悪役のようなビジュアル (←僕の勝手なイメージ) の女性は、
どこかに幽閉したくなる気持ちは分からなくもないです (笑)
このソフィアのビジュアルも相当怖いですが、もっと怖いものが、この絵には描かれています。
おわかりになりましたか??
画面右側の窓にご注目くださいませ。
そこに描かれているのは、何と吊るされている死体なのです。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
これは、ソフィアを擁立し反乱を起こすものの、鎮圧され処刑されてしまった兵士の死体。
その死体を、よりによって、ソフィアが幽閉されている修道院の窓に吊るすって。。。
しかも、死体が吊るされているにも関わらず、普通にプリプリ怒っているソフィアって。。。
暑い夏にピッタリ (?) の背筋が凍る一枚です。
・・・と、レーピン展の魅力を伝えるはずが、
気づけば、怖い絵を中心に紹介してしまっていました (汗)
そこで、レーピンが自分の家族を描いた心温まるような絵もご紹介いたしましょう。
まずは、3年前の “国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア” でも出展されていた・・・
《あぜ道にて―畝を歩くヴェーラ・レーピナと子どもたち》 という一枚。
これでもかというくらいに、家族の幸福感に満ちている作品です。
そして、ポスターにも使われている 《休息-妻・ヴェーラ・レーピナの肖像》
妻がモデルを務めているので、ついつい油断して眠ってしまったのでしょうね。
プロのモデルならば、失格です。
しかも、椅子と衣装の色が、どん被りしてしまっています (笑)
重ね重ね、プロのモデルならば、失格です。
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ロバート・メイプルソープ FLOWERS 写真展
本日は、西武渋谷店に行ってきました。
・・・と言っても、もちろんショッピングではなく、アートの話題。
現在、西武渋谷店のA館7階にある特設会場では、
“ロバート・メイプルソープ FLOWERS 写真展” が開催されているのです。
こちらは、エイズのため42歳で亡くなった伝説の写真家ロバート・メイプルソープ (1946~1989) の写真展。
ちなみに、彼の個展が開催されるのは、国内では、実に10年ぶりのことなのだそうです。
ロバート・メイプルソープと言えば、官能的な作風でお馴染み (?) の人物。
実は、メイプルソープの死後、彼の写真集を巡って、
日本で、裁判の歴史に残る訴訟事件が起こっているほど。
(その “メイプルソープ事件” の概要を知りたい方は、こちらを参照)
さすがに、西武渋谷店では、官能的な写真展を開催するわけにはいかないでしょうから・・・。
今回の写真展では、メイプルソープが撮影した約50点の “FLOWERS” が展示されていました。
メイプルソープの名前は、一応知っていたものの、
彼の作品をまとめて観るのは、今回が初めての機会でした。
Calla Lily,1986 copyright (c)Robert Mapplethorpe Foundation.
そんなメイプルソープの “FLOWERS” を観た率直な感想は・・・
「花なのに、なんかエロい!」
“エロい” とは言っても、決して下品なエロさではなく、官能的でセクシーな上品なエロス。
アンジェリーナ・ジョリーやペネロペ・クルスのようなエロスです。
今回紹介されていたどの花の写真にも、ドキッとさせられましたが、
特にドキッとさせられたのが、上で一部を紹介した 《Calla Lily》 のシリーズ。
もはや花の写真という感じがせず、
白いドレスを身にまとった妖艶なダンサーを被写体にした写真のように感じられました。
冷静に考えれば、ただの花なのに、
そこに、しなやかな動きや、女性性を感じてしまうから不思議なものです。
これまで、あまり写真作品で感動をしたことはないですが、
ロバート・メイプルソープの写真には、ドキドキさせられっぱなしでした。
僕の心のやわらかい部分を、撫でつけられるような。
そんな不思議な官能性を持った写真作品です。
ちなみに、 《Calla Lily》 のシリーズ以外で印象に残っているのが、下の2点。
こちらは、そこまで官能的というわけではないですが。
構図や余白のバランスに、どことなく “わびさび” を感じました。
『メイプルソープ=官能的』 という色眼鏡で観始めた写真展でしたが、
メイプルソープの写真に、このような日本的な美の要素もあるのを知って、新鮮に驚きました。
作品数は、約50点と、そう広いスペースではない写真展でしたが。
メイプルソープの作品を際立たせるために、
壁紙を黒で統一するなど、シンプルながらこだわりのある会場だったのも印象的。
しかも! (はい。ここ重要です)
これで、入場料が無料なのですから、素晴らしい限り。
9月10日までに渋谷に寄る機会があったなら、絶対に足を運んで損はない写真展です。
西武渋谷店さん、ありがとう!
“国内で10年ぶり” とは、もう言わずに、
メイプルソープの個展は、是非これからも続けて開催して欲しいものです。
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無料で観れる 美術百選 《氷川神社 (東京都港区) 》
いよいよ、ゴールが見えてきた “無料で観れる 美術百選” 。
99点目の作品をもとめて、今回は、赤坂にある氷川神社にやってきました。
ミッドタウンから、5分と離れていない距離に、
こんなにもヒーリング効果がありそうな神社があったとは!
訪れた日は、うだるくらいに暑い日でしたが (この日の東京の最高気温は、32℃)
この氷川神社の境内は、驚くほどに心地よい空間でした。
境内にある天然記念物の大イチョウからも、マイナスイオンが発されていました。
・・・・・と、快適な空間に浸っている場合ではありません!
僕は、アートを探しに来たのです。
お目当てのアート作品は、
この門をくぐった先にある・・・
本殿ではなく。
門をくぐって、すぐ左手に見える額堂の中にあるのだそうです。
・・・・・・・・・・・・・。
ガラスが日差しを反射して、何も見えねぇ (泣)
ちなみに、この額堂の中には、何があるのかと言いますと。
今年没後120年を迎え、特別展が各地で開催されるホットな浮世絵師・月岡芳年による珍しい肉筆絵馬。
(太田記念美術館でも、10月11月と2カ月ブチ抜きで、特別展が開催されます)
「これは、何としても観たい!!」
しばらく、この額堂の前で、解決策を探っていたところ、あるものが目に留まりました
ガラス戸の一部に、謎の空白 (?) を発見。
この部分から、写真を撮影すれば、きっと観れるはず!
というわけで、早速チャレンジです。
気になるその結果は・・・
無料で観れる 美術百選 099 月岡芳年 《『ま』組火消し絵馬》
何とか見えました (笑)
強引ですが、これが最上にして、唯一の方法でしょう。
ちなみに、描かれているのは、
氷川神社の北東から南側一帯を受け持った火消し 『ま』 組のメンバーが、
火事場へ隊列して向かっている緊迫した場面です。
この額堂の中には、
『ま』 組の人たちが使ったと思われる纏も、納められていたぜ。まっ!
<無料で観れる美術 データ>
氷川神社
住所:東京都港区赤坂6-10-12
アクセス:○東京メトロ千代田線「赤坂駅」より徒歩6分
○東京メトロ日比谷線・大江戸線「六本木駅」より徒歩6分
○東京メトロ南北線「六本木一丁目駅」より徒歩5分
この美術室を盛り上げるワンクリックも、無料で出来てしまいます。
生誕125年 東と西の出会い バーナード・リーチ展
今年で生誕125周年を迎えるバーナード・リーチは、
その生涯において、日本と深い関わりを持ち続けたイギリス人の陶芸家です。
日本の若者に美術を教えたり、
親友である柳宗悦と共に、日本の民藝運動に深く関わったり、
6代目尾形乾山に弟子入りし、7代目・尾形乾山の名を免許されたり。
その親日家ぶりは、レディ・ガガを超えるほど。
そんな日本LOVEなバーナード・リーチだけに、
多くの日本人に愛されているようで、今回の美術展も、なかなかの盛況ぶりでした。
で、何を隠そう、僕も、バーナード・リーチのファン。
略して、B・Lのファン (←意味が変わってきますね!)
陶芸には、そこまで興味を持てていない僕ですが、
バーナード・リーチの陶芸作品だけは、妙に惹かれるのです。
僕が思うバーナード・リーチの一番の魅力は、ヘタウマなところ。
いや、 “ヘタウマ” と言ってしまうと、バーナード・リーチが可哀そうなので (←?)
“味がある” という表現に変えておきましょうか。
今回の美術展にも、そんな “味のある” 作品が、
いくつも展示されていましたので、まとめてご紹介いたしましょう。
《白地彫絵飛鳥文扁壺》
《ガレナ釉蛸文大皿》
《ガレナ釉筒描人魚文大皿》
どうですか?
どれも、ヘタウ・・・もとい、味がありますよね。
特に、人魚の絵なんて。。。
“苦手なら、無理して描かなくてもいいのに!” というレベルです (笑)
しかし、この大らかな作風こそが、バーナード・リーチの最大の魅力。
ついつい口元が緩んでしまう、ゆる~い陶芸作品なのです。
ゆる~い陶芸作品といえば、タイトルは失念してしまいましたが。
(メモするのを忘れました。すいませんm(__)m)
我孫子の風景を絵付けした作品に、
絵だけでなく、漢字で 『我孫子』 と絵付けしていたのが、
何とも外国人っぽくて、微笑ましかったです。
(外国人が、意味不明な漢字がプリントされたTシャツを着ているような感じ)
さて、この他に印象に残った作品を、数点ご紹介いたしましょう。
まずは、 《鉄絵組合陶板 生命の樹》
こちらも、バーナード・リーチらしい味がある作風の一品。
でも、この味のあるタッチが、
かえって生命の樹に宿る生命感を表現しているような気がします。
うねうねうごうごと、生命の樹が動いているような。
桜の樹の下には屍体が埋まっているそうですが、
バーナード・リーチの生命の樹の下には、なぜか魚が埋まっています (謎)
続いて、 《鉄釉蠟抜巡礼者文皿》
巡礼者をシルエットで表現するというセンスに、外国人っぽさを感じました。
まるでiPodのCMのようではないですか。
最後は、 《白地彫絵飛燕文皿》
こちらは、バーナード・リーチが大分県の小鹿田地区で作陶した作品。
バーナード・リーチが作陶したおかげで、
この小鹿田焼は、日本全国だけでなく海外にも知れ渡るようになったのだとか。
実は、この美術展が開催されているのと同じフロアで、
現在の陶芸家による小鹿田焼作品が販売されていたのですが。
それと比べると、はるかにバーナード・リーチ作品のほうが素晴らしい出来でした。
(ただし、鳥は除く)
もちろん、百貨店の売り物と陶芸作品の違いはあるでしょうが。
一子相伝でのみ受け継がれてきた小鹿田焼の技術を、
パッと来ただけで、自分のモノにしてしまったバーナード・リーチ。
やはり、ただ者ではありません。
この他にも、青磁や益子焼、楽焼など、
様々な日本の陶芸技術を、バーナード・リーチは会得してしまっています。
不器用なのか器用なのか。
よくわからない人物です。
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恐竜王国2012
2009年・・・“恐竜2009-砂漠の奇跡”
2010年・・・“地球最古の恐竜展”
2011年・・・“恐竜博2011”
もはや、毎年夏の恒例となりました恐竜展。
今年は、幕張メッセで、 “恐竜王国2012” が開催されています。
「今年は、一体、どんな恐竜に出会えるのかな♪」
あまりにワクワクしすぎて、
あっという間に、我が家から幕張メッセまで辿り着いてしまったような気がします。
入り口を抜けると、
そこには、積み上げられた木箱が!
“この木箱で、恐竜の化石が運ばれてきました” 的な演出がニクいですね。
また、この入り口部分の巨大スクリーンにて、
今回の恐竜博の見どころを紹介した映像が流されます。
その映像でも紹介されていたのですが、
今回の目玉は、何と言っても、ユティランヌス・フアリの化石の展示。
しかも、驚くなかれ、この化石が公開されるのは、この幕張メッセの恐竜展が世界初!
恐竜ファンでない方にとっては、 「・・・で?」 って感じなのでしょうが。
ユティランヌス・フアリは、今、世界中の恐竜ファンの熱い注目を浴びている恐竜なのです。
というのも、今年の4月に新発見されたばかりの恐竜で、
4月5日付英国科学雑誌 『nature』 にも掲載された、いわば “恐竜界のニューカマー”
その大きな特徴は、
全身を羽毛が覆っていたということ。
これまでにも、羽毛が生えた恐竜の化石は見つかっていましたが、それはどれも小型の恐竜ばかり。
しかし、今回、全長9メートルを超す大型恐竜で羽毛が生えているケースが見つかったことで、
「大型の恐竜には羽毛がなかった!」
という、これまでの説は、完全に覆されることになったのです。
しかも、ユティランヌス・フアリは、ティランノサウルス (※) の仲間であることがわかっているので、
ティランノサウルスにも羽毛が生えていたという可能性も浮上してきました。
(※違和感はありますが、今回の恐竜展では、こう表記されていました)
ちなみに、このユティランヌス・フアリを復元すると、こんな感じだそうです↓
さてさて、そんなわけで、
ユティランヌス・フアリに関しては、大変に満足いたしましたが。
その他の展示に関しては・・・・・・・・。
声を恐竜のように大にして言わせてもらえば、
「これで、2500円は無いわー!!!!!」
です。
ユティランヌス・フアリのおかげで、辛うじて1つ星。
会場には、 “恐竜王国” の名に恥じないくらいに、
たくさんの恐竜がいて、それはそれは、迫力があったわけですが。
実は、そのほとんどが、
複製・・・。
ユティランヌス・フアリ以外にも、
複製でないものは、無くはないのですが。
過半数の骨格模型が、複製。
「じゃあ、科博で (骨格模型を観れば) いいじゃん!」
という結論に、自分の中では落ち着きました (笑)
あんなに早く感じられた海浜幕張への道のりが、
帰りは、我が家までが、とてつもなく長~~~~く感じられました。
遠いよ、幕張メッセ!
とりあえず、ほとんど心が動かない恐竜博でしたが (凪状態)
唯一、衝撃を受けたのが、ミクロラプトルという小型羽毛恐竜に関して。
帰宅後に、ネットで見つけた復元図は、概ねこんな感じだったのですが↓
http://www.geocities.jp/zetumetudoubutu/mikuroraputoru.html
会場でパネルで紹介されていた復元図は、
それらとは掛け離れている、かなり衝撃的なビジュアルでした (笑)
「ハトじゃん!ちょっと派手なハトじゃんwww」
誰ですか?
恐竜展なのに、ハトのイラストを描いたのは。
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タイムスリップ昭和家電 ―増田健一コレクション―
SHARP LEDAQUOS 22型 ブラック系 LC-22K7-B/シャープ
¥価格不明
Amazon.co.jp
プラズマクラスターに。
SHARP プラズマクラスター搭載 加湿空気清浄機 450mL/hタイプ ホワイト系 KC-A.../シャープ
¥56,001
Amazon.co.jp
GOPANに。
Panasonic ライスブレッドクッカー ホワイト SD-RBM1000-W/パナソニック
¥価格不明
Amazon.co.jp
常に進化を続けている家電。
自分は、家電芸人というわけではないですが、
ヤマダ電機やヨドバシカメラにたまに行くと、テンションは上がってしまいます。
そんな家電好きの皆様必見の展覧会が、
なにやら足立区立郷土博物館で開催されているようです。
少々アクセスしにくい場所にあるのですが、思い切って足立区立郷土博物館に行ってみました。
足立区立郷土博物館を訪れるのは初めてなのですが。
ここだけの話・・・
「こんなに立派な建物だとは想像してませんでした (笑)」
しかも!
この博物館の裏側には、
立派な庭園が広がっていました。
ちなみに、こちらの庭園は、東渕江庭園という名だそうで、
昭和を代表する庭園設計家である小形研三氏が設計した庭なのだとか。
思いのほか、足立区立郷土博物館のロケーションが素敵で、本来の目的を忘れてしまいましたが。
今回の来訪の目的は、こちら↓
“タイムスリップ昭和家電 ―増田健一コレクション―” です。
展示されているのは、家電は家電でも、
最新家電ではなく、昭和30年代に発売された家電たち。
いわゆる三種の神器 (洗濯機・白黒テレビ・冷蔵庫) をはじめ、
当時の主婦の “睡眠時間を1時間減らした” とされる画期的家電・炊飯器など、
そう広くはない展示会場に、
ひしめき合うように、たくさんの昭和家電が展示されていました。
ちなみに、これらの昭和家電は、すべて増田健一さんが蒐集したコレクション。
レトロ家電のコレクターとして、
実に、約2000点以上 (!) に及ぶ昭和家電を持ってらっしゃるのだそうです。
さてさて、この昭和家電の展覧会。
上で紹介したような昭和史に残る家電もイイのですが、
さらに魅力的なのは、 「ナニコレwww」 と思わず笑ってしまう昭和の珍品家電たち。
今回の展覧会で、衝撃を受けた珍品家電は数知れず。
本音を言えば、全部紹介したいくらいですが、
さすがに、ブログの記事が長くなってしまいますので。
厳選に厳選して、ベスト5形式でご紹介いたしましょう!
(もちろん、このベスト5で紹介した昭和の珍品家電は、すべて展覧会で目にすることが出来ます)
第5位 岩崎通信機 ボースホーン電話機
ダイヤルは2つ。受話器は1つ。
謎すぎる電話機です。
向い合せた机の真ん中に置けば、それぞれの机に座った人間が、
ダイヤルもしくは受話器が取れるという画期的な電話機だったのだとか。
「その都度、電話の向きを変えればいいじゃんw」
第4位 早川 テレビ型ラジオ 5S-85 シャープシネマスーパー
見た目はテレビ、中身はラジオ。その名は、シャープシネマスーパー。
テレビが発売され始めた頃、
まだ高価だったテレビを買えない人向けに開発されたラジオなのだそうです。
「悲しすぎるよww」
第3位 東芝 スナック3 HTS-62
こちらは、トーストとホットミルク、目玉焼きを一度に調理出来るという超画期的な家電。
“これは、ちょっと欲しいかも♪” と思ったのですが。
キャプションを読むと、
それぞれの調理時間はバラバラなので、自分で調整しなければならないことが発覚。
「じゃあ、普通にコンロで作るよwww」
第2位 アサヒ産業 ワイドカラースコープ
(画像はありません。あしからず)
ワイドカラースコープとは、白黒テレビの白黒の画面を、カラー画面っぽくするためのフィルム。
このフィルムを、白黒テレビの画面に装着するだけで、
なんと、白黒テレビの画面がカラーになるだけではなく。
“子供のノイローゼを予防”
“肩こり・神経痛・不眠を予防”
“ブラウン管の寿命を伸ばす” のだそうです (当時の雑誌広告より)
実に、嘘っぽい (笑)
ちなみに、キャプションによると、
ワイドカラースコープを装着したからと言って、白黒テレビはカラーには見えないのだそうです。
「当時、これに騙されて買った人は何人いるのでしょうwwww」
第1位 東芝 電気缶切り CK-31A
(画像はありません。あしからず)
こちらは、文字通り、電気仕掛けの缶切りです。
缶をセットするだけで、全自動で開けてくれるという優れモノ。
それだけ聞くと、意外と売れそうな家電のような気はしますが。
驚くべきは、その値段!
なんと5980円だったのだとか。
この当時、銭湯の入浴料は、大人で19円だったそうです。
つまり、今の値段に換算すると・・・約14万円!!
「普通に、缶切りで缶開けるわwwwww」
これ以外にも爆笑モノの家電が、たくさん。
家電以外にも、昭和の雑貨やポスターも展示されています。
「懐かしい!」 と思う年代の方も、
「オモシロい!」 と思える年代の方も、みんなが楽しめる展覧会です。
足立区立郷土博物館まで足を運ぶ価値は、大いにあります♪
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PR: それは、ただのビジネスか。クオリティ・ビジネスか。
ホームアゲイン ―Japanを体験した10人のアーティスト
原美術館で開催中の “ホームアゲイン ―Japanを体験した10人のアーティスト” に行ってきました。
こちらは、アーティスト・イン・レジデンスによって、
日本に滞在した経験のある10人の若手アーティストを紹介する美術展です。
(アーティスト・イン・レジデンスとは、
海外のアーティストを一定期間ある土地に招聘し、その土地に滞在しながらの作品制作を行わせる事業のこと)
外国人アーティストが、3か月という滞在期間の中で、
日本をどのように見て、そして、その体験から、どのような作品を作り上げたのか。
『ここがヘンだよ日本人』 とか、
『COOL JAPAN 発掘!かっこいいニッポン』 とか、 『なかよしテレビ』 とか。
“海外の人から見たニッポン” に興味がある人には、大変オススメの美術展です。
そこに興味がない人にとっては・・・まぁ、フツーの美術展です (笑)
自分は、上に挙げたようなテレビ番組を、わりと見ている方なので。
わりと楽しむことが出来ました。
例えば、アメリカ人のメアリー=エリザベス・ヤーボローは、日本滞在中に、
《お目にかかれて嬉しいです》 というタイトルで、こんな作品を制作しました。
(注:今回の会場は、フラッシュ禁止ですが撮影は可です。)
そう。モデルは、お嬢です。
彼女が、日本で興味を惹かれたのは、カラオケ文化だったそうです。
アメリカでのカラオケは、バーのような場所で、見知らぬお客さんの前で歌うもの。
日本のように個室で友人たちと楽しむようなシステムではないのだとか。
そうして、カラオケ文化に興味を頂いたメアリーは、
その流れで、日本の歌謡界にも興味を広げ、辿り着いた先が、美空ひばりだったのだそうです。
1974年生まれのメアリーが、美空ひばりを称えてくれていたことで、
何か日本人として誇らしい気持ちになると同時に、
日本人のくせに、美空ひばりの曲をそんなに聴いていない自分を恥じる気持ちになりました。
日本人として、世界が認める美空ひばりの曲を聴くことにします。
ちなみに、そんなメアリーの帰国後の作品は、こちら↓
あまり日本の影響は残っていない感じです (笑)
今回の美術展では、
10人のアーティストの滞在中の作品と帰国後の作品は対比するように展示されていますが。
メアリーに限らず、どのアーティストも、
帰国後の作品には、見た目的には、あまり日本の影響が残っていないように見受けられました。
日本の影響というのは、見た目ではなく、精神的なものに現れるのかもしれません。
さて、その他の作家で気になったものをピックアップ。
まずは、ブラジル出身のエリカ・ヴェルズッティのドローイング作品から。
そのドローイングの作品群の中に・・・
東京メトロでよく見かける彫刻をモチーフにしたものを発見!
ブラジルのエリカ様は、この彫刻に興味を持たれたのですね。
インド出身のムナム・アパンは、
ハチ公物語からインスピレーションを受け、こんな作品を生み出しました↓
“・・・・・ハチ公??”
渋谷の駅前で、こんなのが待っていたら、ちょっとヒいてしまいま (笑)
インド人のアーティストの目を通すと、ハチ公が全く違うものに変身してしまうのですね。
これはこれで、非常に興味深いです。
ラストは、インドネシア出身のサウンドアーティストであるデュート・ハルドーノの作品。
オープンリールと招き猫からな、
このどシュールな作品には、 《人気批評家》 というタイトルが付けられていました。
・・・タイトルも、どシュールです。
ただ、冷静に考えると、作品そのものも、どシュールですが。
金ぴかの猫が、左手を動かしている招き猫 (電動のタイプ) そのものが、どシュールですよね。
海外の人から見れば、招き猫は奇異に見えるに違いありません。
ニッポン、不思議ナ国デスネ。
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東洋の白いやきもの ―純なる世界
海賊とよばれた男 上/講談社
¥1,680
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出光興産の創始者・出光佐三をモデルにした小説 『海賊とよばれた男』 を読み終えまして。
「何てスゴい日本人がいたんだ!!」
と、純粋に感動しました。
この小説は、今年に入って読んだ小説の中でも、1、2を争う面白さでした。
・・・・・と、いきなりブックレビューから始めてしまいましたが。
このブログは、本のブログではなく、美術のブログ。
「何で、今日のとに~さんは、小説を紹介しているの??」
と、不審に思ってしまった方もいらっしゃることでしょう。
ちゃんと美術の話に戻しますので、どうぞご安心を。
この 『海賊とよばれた男』 という小説で、
メインで描かれるのは、もちろん石油の話なのですが。
仙厓の 《指月布袋画賛》 を購入した時のエピソードをはじめ、
物語の随所で、美術コレクターとしての出光佐三も描かれています。
しかも、物語のクライマックスあたりで、
彼の念願だった出光美術館が完成したというエピソードも描かれていました。
・・・・・ということで。
『海賊とよばれた男』 を読み終わったその足で、
本日、出光さんの想いが詰まった出光美術館に行ってきました。
いや、気がついたら、出光美術館に勝手に足が向かっていた・・・という感じです。
(↑我ながら、単純ですw)
さてさて、現在、出光美術館では、
“東洋の白いやきもの ―純なる世界” という美術展が開催中。
こちらは、 《白磁壺》 や、
《白磁暗花蓮唐草文僧帽形水注》
《青白磁獅子鈕蓋水注》 など、
出光コレクションが誇る中国白磁の名品を中心に、
日本や朝鮮など、さまざまな産地や時代の白いやきものも展示する白いやきものオンリーな美術展です。
正直なところ、普段、あまりやきものに関心がない僕ですが、
“へぇ~。このほとんどが、あの出光さんが集めた美術品なのかぁ♪”
と思うと、感動もひとしお。
僕のようにやきものにあまり関心がない方は、
是非、 『海賊とよばれた男』 を読んでから行かれることをお勧めします (笑)
もちろん、読んでなくても、それなりに美術展そのものを楽しめる気はします。
シールを集めれば、もれなく “ヤマザキ春のパンまつり” で貰えてしまうこともあり、
現代では、すっかり有難味の薄れている気がする白いやきもの。
しかし、今回の美術展を通じて、白いやきものの歴史を知ってみると、
純粋に白いやきものに辿り着くまでに、意外と長い年月がかかっていたことがわかりました。
初期の白いやきものは、白というよりも、茶色っぽかったり、
青っぽかったりしていたのです。
(これは、これで綺麗でしたが)
そういう時代を経て、いろいろな人の試行錯誤があって、
現代の白いやきものがあるのかと思うと、なかなか胸に迫ってくるものがありました。
また、いつもは照明を落として、全体的に黒いイメージのある出光美術館の展示室ですが。
今回の展覧会は、いつもとは真逆で、
全体的に会場を白く明るい空間に変えていました。
その演出のおかげで、白いやきものの白さが、より映えていたような気がします。
白いやきものをリスペクトしたくなる美術展。
とりあえず、今日以降は、白い皿を洗う時には、丁寧に洗います (笑)
さてさて、約100点もの白いやきものが展示されている今回の美術展。
そのほとんどが、白くて無地のやきものということもあって。
1点1点眺めて楽しむというよりは、全体的に眺めて楽しむ美術展という印象を受けました。
が、一点だけ、抜きん出て素晴らしかったやきものがありました。
それが、こちら↓
特別出品として、9月30日まで展示されている徳川美術館所蔵の 《白天目》 です。
《白天目》 とは名がついているものの、全体的に緑がかっている茶碗です。
しかし、あまりにも素晴らしい茶碗だったので、
「《白天目》 なのに、白くないじゃん!」 というくだらないツッコミをする気は起きず。
やきものにほぼ関心のない僕ですら、無言で魅入ってしまいました。
横から観た姿も美しかったのですが、
自分的なベストアングルは、やはり斜め上から底を覗き込むアングル。
全体的に緑かかった茶碗ですが、茶碗の内底は、さらに濃い緑色になっており、
あたかも澄んだ池に、ぷかっとハスの葉が浮かんでいるかのように見えました。
そして、茶碗の口縁部にかかっている金覆輪は、水面に反射する光のよう。
『茶碗界 (←?) の印象派』 といったところでしょうか。
出光美術館のコレクションが観たくて、今日は出光美術館に足を運んだはずなのに。
結果的には、徳川美術館の 《白天目》 に一番感動してしまいました。
あれれ (笑) ?
ちなみに。
今回の美術展では、併設として、
出光佐三の一番お気に入りのコレクションである仙厓の作品も20点ほど展示されています。
いやぁ、何度観ても、 《とど画賛》 は、笑えますね。
なんだ、このフルーツみたいなとどは (笑)??
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無料で観れる 美術百選 《廣尾稲荷神社(東京都港区) 》
派遣切り問題に、内定の取消し…。
今、日本は不景気の真っ只中にある。
しかし、そんなご時勢の中、美術展の入場料は、年々上がる一方。
このままでは、ますます国民の美術離れは広がってしまう…
そこで、 “とに~のここにしかない美術室” は、
先行き不安な美術鑑賞事情を救うべく、立ち上がりました!
きっと無料でも楽しめる美術作品はあるはず。
『無料で観れる美術作品を、100点紹介しよう!』
この使命を達成するため、私、とに~は今年一年を走り抜けます!
そんな目標を掲げ、2009年の1月10日に産声を上げた企画。
それが、 “無料で観れる 美術百選” 。
美術館やギャラリー以外にある、無料で観れる美術品を探す。
単純な企画ながら、意外に、無料で観れる美術探しは難航し、
気づけば、 「一年を走り抜ける」 どころか、3年半も走り続けることになってしまいました (笑)
もしタイムスリップが出来て、3年半前に戻れるならば、あの頃の僕に会って、
「悪いことは言わんから、思いつきで企画を始めるな!」
と、注意してやりたいものです。
ともあれ、そんな長い旅路も、ようやく終わりを迎える日がやってきたようです。
ついに念願の100点目の無料で観れる美術作品を見つけることが出来ました。
その作品は、広尾にあるとのこと。
早く終わらせたい一心で (?) 、早速広尾に行ってきました。
広尾駅から歩いてすぐの場所に、お目当ての廣尾稲荷神社はありました。
広尾駅周辺の雑踏とした感じとはうって変わって、物静かな佇まいの神社です。
地味ながら (←失礼!) 、只ならぬオーラが漂っていました。
上手く言えませんが、
“何かスゴいものがある!”
直感で、そんな気がしたのです。
そのオーラは、こちらから漂ってくるようです。
発信源は、この本殿の中ですね。
参拝を済ませた後、お言葉に甘えて、
靴を脱いで本殿の中へ。
“まさか、あの奥の太鼓が、今回の目的のアート作品??”
いえいえ、違います。
最後に、僕が皆様に紹介したかったのは、こちら。
もうお分かりですね。
龍の天井画でスタートしたこの企画、
そのゴールも、やはり龍の天井画です。
描いたのは、こちらの方↓
『藍川藤原孝経拝画』 とあります。
「記念すべき最後に、誰なんだよ!」 と思った方もいらっしゃると思いますが。
実は、こちらの人物は、日本の美術史に欠かせない、超有名な絵師。
重要文化財の 《鮭》 でおなじみの高橋由一なのです。
この天井画にある 『藍川藤原孝経拝画』 とは、
日本の油彩画のパイオニアとして、その名を馳せる高橋由一が、
絵画学習の基礎として、狩野派に学んでいた時の落款を記したもの。
この落款を残すのは、高橋由一の残した数多くの作品の中でも、極めて稀なケースなのだとか。
無料で観れる 美術百選 100 高橋由一 《天井墨龍図》
100点目に相応しい、この龍の絵を見上げた時、
これまでの苦労が、走馬灯のように思い浮かびました。
そして、この本殿の中で一人、目がジンワリしてしまいました (笑)
(「あいつ、何で泣いてるの?」 って目で、他の参拝客に見られました)
さらに、次の瞬間、なぜか急にむせ始めました。
人は、本当に感動すると、むせるみたいです (笑)
ゴールできたのは、この企画を応援してくださった皆様のおかげだと思っています。
本当に長い間、ご声援ありがとうございました。
“無料で観れる 美術百選” これにて完
<無料で観れる美術 データ>
廣尾稲荷神社
住所: 東京都港区南麻布4-5-61
アクセス:○東京メトロ日比谷線「広尾駅」より徒歩2分
この美術室を盛り上げるワンクリックも、無料で出来てしまいます。
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田中一光とデザインの前後左右
NHKのカラーテレビ受信契約マークも。
石丸電気のロゴマークも。
ロフトのロゴマークも。
手がけたのは、実は、すべて同じ人物。
20世紀の日本グラフィック界を代表するデザイナー・田中一光 (1930~2002) です。
どんだけ~ (←IKKO違い!)
そんな田中一光にスポットを当てた “田中一光とデザインの前後左右” が、
デザイン専門の美術館・21_21 DESIGN SIGHTで、来年1月20日まで開催されています。
“田中一光の創作の軌跡をたどる” 展覧会と謳うだけあって、
内容もボリュームも、これ以上ないくらいに、最大の田中一光展といった感じでした。
彼が装丁を手がけた本の数々が、広いフロアにズラリと展示されていたり、
彼が手がけたロゴマークの数々がプリントされた紙袋が、大集合していたり、
彼が制作した立体作品の実物を、大日本印刷営業ビルのロビーから持って来てしまったり。
極めつけは、 《Nihon Buyo》 や、
《JAPAN》
…といった田中一光の代表作のポスターを、
展示室いっぱいの大きさに引き伸ばしての展示。
すべてにおいて圧倒的でした。
デザイン好きやデザインに携わる人間にとっては、必見の展覧会と言えましょう!
ただ、正直なところ、デザインにあまり興味のない人にとっては、疲れるだけの展覧会。。。(笑)
というのも、あまりに田中一光さんの手がけたデザインが膨大過ぎて、
それを余すことなく紹介している今回の展覧会は、インプットする量がハンパないです
途中から、じっくり解説を読むのを諦めました。
いや、リアルに、 「田中一光、どんだけ~」 です (笑)
一人で、10人分くらいの働きをした人なのではないでしょうか。
ちなみに、田中一光がデザインした作品の食べ過ぎ (?) ゆえに、
今回の展覧会で一番印象に残ったのは、一番最後に展示されていたインスタレーション作品。
(おそらく、新しい作品に出会うたびに、その前に見た作品の記憶が消えて行ったのでしょうw)
田中一光の作品ではなく、
今回の展覧会の会場構成・グラフィックデザインを担当した廣村正彰さんが、
田中一光にインスピレーションを受けて制作したインスタレーションだそうです。
(この作品だけは写真撮影可能です)
この作品に使われているのは、
すべて田中一光が製品のために色を選定した色紙なのだとか。
あの田中一光が選んだ色紙だと知ってから観ると、
単なる色紙ではなく、ものスゴくデザインセンスの高い色紙に見えてくるから不思議です。
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【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】
現在募集中のアートツアーです。
アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画となっておりますので、どうぞお気軽にご参加くださいませ
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
・10/6(土) プレミアムTOKYOアートツアー~東京横断!無料で観れる美術作品巡り~
“東京ほど、面白いアートの街はない!”
をコンセプトに、毎回いろんな切り口で、
東京ならではの特別なアートツアーを提案する企画。
それが、プレミアムTOKYOアートツアーです。
東京という街を一つの美術館に見立て、
ギャラリーツアーのようにガイドを交えながら、
アートテラーが、都内のアートスポットを数か所案内いたします。
第5弾となる今回のテーマは、
こちらのブログでの人気企画 (?) “無料で観れる美術百選” のゴールを記念して、
『都内の無料で観れる美術作品』です。
これまでに、シリーズで紹介した約100点の美術作品の中から、
選りすぐりに選りすぐった作品を中心に、都内を横断しながら巡っていくアートツアーです。
日本美術史にその名を残す超有名作家の作品や、
世界で活躍するアーティストのパブリックアート作品、
今日本で最も人気のある若手アーティストの作品に、
一年でこの日しか観れない有名絵師の作品・・・などなど。
「えっ、これも無料で観れるの?!」
と、驚きの作品が、続々登場!
美術館やギャラリーでは、決して味わえない美術作品のオンパレードです。
さらに、シリーズでも登場していない無料美術作品も登場!
なんと、一年を通して、この日しか観られないというレア度満点の作品。
作者は、世界が認めるあの人気絵師です (これ以上は、ヒミツです♪)
開始は10時、終了は17時を予定しています。
募集定員は、16名です。
今回の参加費は、ガイド代としてお一人1000円となります。
(美術作品はすべて無料で観れますので、観賞代はタダですw交通費、昼食代は各自負担)
というわけで、きっと東京が、より好きになるアートツアー。
これまでに、「プレミアムTOKYOアートツアー」にご参加された方も、
今回が初めての参加となる方も、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
・10/8(月・祝) 大東京お笑い建築ツアー【ペンさんの芝・三田編】
・10/28(日) 大東京お笑い建築ツアー【soさんの芝・三田編】
「“建築”って何をどう観たらいいの?? 」
という全ての人にお送りする“大東京お笑い建築ツアー”
建築観賞の初心者の自分を筆頭に、講師の建築家の方の話を伺いながら、
皆で、東京の色々な街を訪れ、“建築”をぶらぶらと楽しく観賞しようという企画です。
これまでに、日本橋や表参道、銀座、代官山、台場…など、
実に14ヶ所の街を舞台に、大東京お笑い建築ツアーを開催してきましたが。
記念すべき15ヶ所目の舞台となる街に選んだのは・・・
『芝・三田』
某有名私立大学でお馴染みな街でもあり、大使館や宗教施設も多い芝・三田エリア。
そんな芝・三田には、一体どんな名建築(迷建築?)が待っているのか?
乞うご期待!
時間は、両ツアーともに、13時から、およそ17時までを予定しています。
(行程次第では、12時から開始する可能性もありますので、時間には余裕を見ておいてくださいませ)
参加費は、お一人様1200円となりますので、宜しくお願いします。
今回のツアーの参加定員は、18名とさせて頂きます。
参加希望者多数の場合、9月30日までに参加表明して頂いた方の中から、抽選で決めたいと思います。
(重複でのエントリーは、ご遠慮ください。どちらか一方を選んでくださいませ)
当選された方には、10月1日に、直接その旨のメッセージを送らせて頂きます。
というわけで。
日本一楽しく、日本一わかりやすい『建築』のアートツアー!!
建築に興味がある方はもちろん、
建築は全然わかならないという方も、是非是非ご参加お待ちしています。
というわけで。
日本一楽しく、日本一わかりやすい『建築』のアートツアーの修学旅行版!!
建築に興味がある方はもちろん、
建築は全然わかならないという方も、
これまでお会いした方も、初めての方も、是非是非ご参加お待ちしています
新たなツアー企画は、内容が決まり次第、随時こちらの記事を更新してお伝えいたします。
参加希望の方は、こちらのメールフォームよりお知らせください。
http://homepage3.nifty.com/art-teller/tony_contact.htm
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銀座のカフェで、アートナイトイベントが始まる
こんばんは。
ATN (=アートテラーニュース) の時間です。
先週の金曜日より、アートテラーのとに~氏プロデュースの新型アートバラエティ企画が始動しました。
その名も、
『笑いdeアートナイト』
こちらは、アートと食が融合した新しい形のギャラリー+カフェ&バーART FOR THOUGHTを舞台に、
アートテラーのとに~氏が、 「週末にアートに触れたくなる!」 をコンセプトにお送りするアートバラエティーショーです。
思わず、美術館に足を運びたくなるようなトークショーや、
アートテラーのとに~氏渾身のネタライブなど、様々なプログラムが開催されていくそうです。
また、アートテラー氏が、今回の企画をプロデュースするに当たって、
一番こだわったのは、お客さん同士もワイワイ盛り上がれるようにすること。
「今、一番、面白い美術展は○○です」
「あの美術展には、正直ガッカリした」
「今まで行って良かった美術館は、ずばり××美術館です」
など、webや美術雑誌などの媒体では得られない生きたアート情報を、
美味しいドリンクや料理を片手に交換し合える場所を、銀座に定着させてみせるとのことです。
さて、その記念すべき第一回目として、
先週の金曜日に開催されたのが、 「アートテラーを知ってもらわナイト」
とに~氏は、アートテラーを知ってもらうため、
鉄板ネタである 『【吉本興業】でピカソがわかる!』 の2012ver.を披露したそうで。
とに~氏曰く、
「久しぶりに、ネタを人前で披露することになったので、
お笑い芸人時代に、ネタ練習をしてた場所で、今回の練習を頑張りました」
とのこと。
気になるお客さんの反応ですが、かなり好感触だったそうで、
「ネタを披露した後に飲んだビールが、とても美味しかった」
と、とに~氏は、コメントしていました。
また、イベントの舞台となるART FOR THOUGHTは、
アートだけでなく食にもこだわっているカフェだけあって、
この日限定のメニューを開発し、イベントを大いに賑わせていました。
ちなみに、この日のために開発されたのは、
喜怒哀楽すべての感情が味わえる喜怒哀楽プレート (1000円) と、
とに~氏のくだらないアイディアを、マジメに美味しくアレンジしたオリジナルカクテル2種。
自分がプロデュースしたオリジナルカクテルを飲んだとに~氏は、
「コンセプトはバカバカしいですが、味は美味しい!」
と、ご満悦。
「今後も、イベントごとに、アイディアを出していきたい」
と、オリジナルメニューの開発にも意欲を見せているそうです。
気になる今後の 『笑いdeアートナイト』 のスケジュールですが、
決まり次第、とに~氏のブログやART FOR THOUGHTのHPにて告知されるとのこと。
アートナイト文化の定着が期待されます。
それでは、今夜のATNは、この辺りで。
リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝
国立新美術館で、本日より始まりました・・・
“リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝” に行ってきました。
ルーベンスの 《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》 や、
ヴァン・ダイクの 《マリア・デ・タシスの肖像》 、
そして、 ラファエロの 《男の肖像》 。
これらの作品が出展されていることは、ポスターやHPなどで、事前に目にしていましたので。
「それなりに、満足度の得られる美術展なんだろうなァ」 とは、予想していましたが。
実際のリヒテンシュタイン展は、
僕が予想したよりも10倍、、、いや、30倍も素晴らしい美術展でした!!
これまでにも、 「良かった!」 「素晴らしかった!」 と思える美術展は、いくつもありましたが。
今回のリヒテンシュタイン展は、そんな一過性の感想に留まらず、
おそらく、向こう10年くらいは、
「○年前のリヒテンシュタイン展に行きました?」 とか。
「あの時のリヒテンシュタイン展に比べると・・・」 とか。
「この美術展は、あのリヒテンシュタイン展に匹敵するね」 とか。
一つの指標となるような美術展だったように思います。
もしかしたら、数十年後には、伝説の美術展として語り継がれているかも。
美術ファンならば、必見も必見。
これまで美術に興味がなかった人にとっては、鮮烈な美術展デビュー体験が約束された美術展。
余談ですが、今年4月の時点では、
リヒテンシュタイン展は、僕的に全くノーマークの美術展でした。
(その時の記事は、こちら)
あの時の僕に会ったなら、
「お前、半年後に、ビビるよ」
と、忠告してあげたいものです (笑)
ではでは、そこまで素晴らしかったと太鼓判を押すリヒテンシュタイン展。
その見どころを、ご紹介して参りましょう。
と、まずは、その前に。
今回の美術展で公開されているコレクションについて。
そもそも、今回来日しているのはすべて、
リヒテンシュタイン侯国の国家元首であるリヒテンシュタイン侯爵家が所蔵するコレクション。
500年もの長きに渡って、一族で集めた美術品の数は、実に3万点 (!)
その数は、英国王室に次ぐ世界最大級の個人コレクションなのだとか。
ちなみに、このリヒテンシュタイン家のコレクションは、ほとんど海外に貸し出されたことがなく。
1985年にメトロポリタン美術館で、リヒテンシュタイン展が開催されたきり。
今回の日本でのリヒテンシュタイン展は、実に25年以上ぶりという、まさに奇跡の美術展なのです。
というわけで、リヒテンシュタイン家のコレクションが、
今、日本で公開されているという事実だけでも、素晴らしいのですが。
さらに輪をかけて、素晴らしいかったのが、その演出。
“スゴいコレクションを借りてきましたよ。はい。並べときましたよ。”
というような、おざなりな展示では、決してなく。
(そういう美術展は、コレクション展に多い)
ルーベンスによる4メートルの大作 《占いの結果を問うデキウス・ムス》 に、劇的なライティングを当てたり。
名画の数々を、ゆったりとした間隔で展示したり。
リヒテンシュタイン家の素晴らしいコレクションを、
どうしたら、より素晴らしく見せられるか、随所にまで演出がこだわられていた気がします。
特に圧巻だったのは、侯爵家の華やかなバロック宮殿の雰囲気を再現したバロック・サロン。
国立新美術館の展示室内に、突如として現れるバロックの部屋。
リヒテンシュタイン家の机や、
燭台、
タペストリーなどで、
「これでもか!」 というくらいに空間が満たされており、
思わず、そこが、国立新美術館であることを忘れてしまったほどです。
さらに、こちらのバロック・サロンの最大の見せ場は、天井!
なんとなんと、日本の美術展史上初となる天井画が展示されているのです。
もちろん、本物。
アントニオ・ベルッチというイタリア人画家による1700年頃の作品です。
このバロックな空間を日本で堪能出来ただけでも、リヒテンシュタイン展に行く価値あり。
正直、僕個人の感想としては、この空間の感動が大きすぎて、
もうルーベンスとかラファエロとか、観なくてもいいくらいでした。
・・・いや、もったいないから観ましたけど (笑)
リヒテンシュタイン家の美術品のコレクションも素晴らしいのは、当然のこと。
一つ一つ紹介していたらキリがありませんので、
あえて、 “素晴らしいけど・・・あれっwww” という作品を紹介いたしましょう。
まずは、ルーカス・クラナッハ(父) の 《聖エウスタキウス》
描かれている聖エウスタキウスとは、勇猛さで知られる古代ローマの将軍なのだとか。
勇猛は勇猛だったのでしょうが。
それよりも何よりも、気になるのは、そのファッションセンス。
変な赤い服も気になりますが、頭に何を被っているのでしょう?
よく見ると、紐で頭の上に固定しています。
こんなヘンテコな恰好を人前出来るのは、確かに勇猛です。
続いて、世界一高価な象牙彫刻とされる 《豪華なジョッキ》
もはやジョッキに見えませんし、
そもそも、ビールが美味しく飲めそうな気のしないジョッキではありますが。
その精巧な細工は、見事というより他ありません。
というより、あまりに見事すぎて、言葉を失いました。
こんなに見事な彫刻作品にしてもらえるならば、象も本望でしょう (←?)
《井戸端のキリストとサマリアの女》 は、個人的にツボな作品。
これまで数多くのキリストさんの絵を観てきましたが。
こんなにも、チャラい感じのキリストさんは、初めてです。
完全に、ナンパしているように見えます (笑)
キリスト「ねぇねぇ。キリスト教って知ってる?」
女「うん」
キリスト「あれねぇ・・・俺」
↑おそらく、こんなやり取り。
最後は、純粋に、イイと思った名画をご紹介。
ヘリット・アドリアーソンスゾーン・ベルクヘイデ の《ハールレムのマルクト広場、市庁舎のある眺め》
特に、目新しい絵でも、構図やモチーフが斬新な絵でもなんでもないですが。
この絵をパッと見た瞬間に、絵の中の人々が、手前に歩いてくるような錯覚を覚えました。
こんなにも絵の中の人々が動いているように感じられる絵は、初めてです。
地味ながらも、強烈に印象的な一枚。
そして、もう1点。
フリードリヒ・フォン・アメリングの 《マリー・フランチスカ・リヒテンシュタイン侯女 2歳の肖像》
この絵を観て、 「可愛い~♪」 と思わない人は、もはや人ではないのでは (笑)
そう思ってしまうくらいに、可愛過ぎる一枚です。
絵を観賞しているというよりは、
マリー・フランチスカ・リヒテンシュタインのパパに、
iPhoneの待ち受け画面を見せられている感じに近かったです。
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古道具その行き先 -坂田和實の40年-
普通の美術展に飽き気味の皆様に、オススメの美術展があります。
それは、渋谷区立松濤美術館で開催中の “古道具その行き先 -坂田和實の40年-” 。
この美術展に展示されているのは、
普通の美術展で展示されているようなモノではありません。
昭和時代の水中メガネに、
江戸時代~明治時代の質屋包み紙に、
平成時代のコーヒー用ネル布に。
中には、紀元前3~4Cのマミーマスク(子供用) や、
室町時代の狛犬など、
歴史的な価値はありそうなモノもありましたが。
美術的には、お世辞にも、高い価値はなさそうなモノばかりです。
そんな “なんだかよくわからないモノ” ばかり約115点ほどが、
キャプションもなく、解説もなく、ただただ美術館に展示されています。
“?????”
普通の美術展に慣れてしまっている頭に、 『?』 マークが大量発生してしまいました。
この美術展は、一体どんな美術展なのかと言いますと。
1973年より古道具屋を営んでいる坂田和實さんが、
これまでの人生で関わってきた数々の古道具の中から、
渋谷区立松濤美術館の空間に合うものを選んで展示するという美術展。
いわば、期間限定で、渋谷区立松濤美術館が、
坂田和實さんのセレクトショップに様変わりしたようなもの (もちろん、すべて非売品!)
展示されているモノではなく、
古道具が置かれることで生まれる空間の面白さに焦点を合わせた画期的な美術展です。
「全然、ピンと来ない・・・」 とガッカリする人もいれば、
「うわっ、これは、今までにない空間だ!」 と絶賛する人もいることでしょう。
その平均値を取って、2ツ星。
ともあれ、このような実験的な美術展の開催に踏み切った渋谷区立松濤美術館に拍手です。
個人的には、最初に一周した時には、一点一点の作品を注目して観賞していたので。
「・・・・・・・。」
と、特にピンと来なかったのですが。
流す感じで、二周、三周と回るうちに、
「」
この展示空間の趣のようなものが感じ取れるようになってきました。
展示品一つ一つを観るのではなく、
俯瞰するように全体を眺めることで、ようやくこの美術展の面白さが感じられるようです。
また、そう思って全体を観てみると、
白井晟一設計による渋谷区立松濤美術館そのものの魅力も際立って感じられました。
おそらくこの美術展は、渋谷区立松濤美術館という建物がなければ成立していなかった気がします。
それくらいに、坂田さんのセンスと白井晟一の建物の魅力が、絶妙にマッチしていました。
もちろん、一つ一つの古道具も味があって、芸術品とはまた違った魅力がありました。
個人的に気に入ったのは、フランスのブリキの自動車と、
同じくフランスの鉄製の風見と、
らせん階段用の鉄製ガード。
もし自分がカフェを経営するとしたら、これらのものを飾ってみたいですね。
それから、展示として印象的だったのは、
おじいちゃんの封筒 (作品リストには、そうありました。誰かのおじいちゃん?) が、
壁一面に、何十枚も並べられていた光景。
これまで何百という美術展を観賞してきましたが、
何の変哲もない封筒がただただ並べられているという光景には初めて出合いました。
もはや、そんじょそこらの現代美術展よりも、尖っていた気がします (笑)
ちなみに。
本当に、何の変哲もない・・・というか、むしろ汚めの古道具なので。
こちらの革靴 (もちろん展示品) を目にした御婦人が・・・
「あら、やだ。誰かの脱ぎっぱなし?」
と、驚かれていたのが、印象的でした (笑)
こんな美術展は、きっと後にも先にもないです。
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