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【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】
現在募集中のアートツアーです。
アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画となっておりますので、どうぞお気軽にご参加くださいませ
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
・11/4(日) プレミアムTOKYOアートツアー
~はじめての東京見仏(東京文化財ウィークver.)~
“東京ほど、面白いアートの街はない!”
をコンセプトに、毎回いろんな切り口で、
東京ならではの特別なアートツアーを提案する企画。
それが、プレミアムTOKYOアートツアーです。
東京という街を一つの美術館に見立て、
ギャラリーツアーのようにガイドを交えながら、
アートテラーの僕が、都内のアートスポットを数か所案内いたします。
『プレミアムTOKYOアートツアー』 では、これまでに、
“地上最大の銀座アート巡り” や、 “東京横断!無料で観れる美術作品巡り” など、
全部で5つのツアーをお届けして参りました。
どのツアーも参加出来なかったから、増便のリクエストを頂いているのですが。
中でも群を抜いて、リクエストを頂いているのが、
『東京の仏像』をテーマにした “はじめての東京見仏” ツアーです。
“はじめての東京見仏” とは?
“国宝 阿修羅展”や“空海と密教美術展”など、
これまで様々な仏像展が都内の美術館で開催されてきましたが。
都内の神社仏閣にだって、素晴らしい仏像はたくさんあるのです。
そんな都内で観ておきたい仏像の数々を、
仏像の基礎知識のhow toを紙芝居を使ったネタで紹介しながら、楽しく巡るツアーです。
そこで、皆様の熱いリクエストにお応えして、
東京文化財ウィークの期間に合わせた “はじめての東京見仏” ツアーを催行いたします!
過去2回のツアーで反響の大きかった仏像を中心に、
この期間だけ特別に開帳されている仏像もご紹介して参ります!。
東京文化財ウィークならではの 『TOKYO仏像展』 をご堪能くださいませ。
時間は、10時から16時までを予定しています。
(途中、お昼休憩を挟みます)
人数は、15名までとさせて頂きます。
また、参加費として、お一人様1000円ほど徴収させてくださいませ
というわけで、きっと東京が、より好きになるアートツアー。
皆様のご参加を心よりお待ちしております♪
・11/17(土) 四谷をブラアキラ
「浮世絵を片手に、街を歩こう。」
をコンセプトに、某浮世絵専門美術館の学芸員さんと、
浮世絵が描かれた舞台・江戸(=東京)の街並みを、歩くツアーです。
“浮世絵に描かれた街並みは、今、どうなっているのか?”
浮世絵に描かれた場所に実際に赴き、浮世絵と見比べてみましょう!
講師は、某浮世絵専門美術館の学芸員アキラさん。
フリーダムな(?)語り口で、浮世絵の魅力を伝えてくれるホンワカ系の学芸員さんです。
今回は、江戸の “外堀” の名残が色濃く残る 『四谷』 を中心にブラブラ歩きます。
時間は13時から17時までを予定しています。
定員は、12名。
講師代として、お一人様2000円頂戴いたします。
浮世絵が好きな人も、そうでない方も楽しめる浮世絵バラエティツアー
是非、皆様のご参加をお待ちしております♪
・11/18(日) 大東京お笑い建築ツアー【皇居一周編】
「“建築”って何をどう観たらいいの?? 」
という全ての人にお送りする“大東京お笑い建築ツアー”
建築初心者の自分を筆頭に、講師の建築家の方の話を伺いながら、
皆で、東京の色々な街を訪れ、“建築”をぶらぶらと楽しく観賞しようという企画です♪
今回のツアーの舞台は、
『皇居周辺』
東京のオアシス・皇居内堀。
その周辺には、名建築が数多く存在しているのだとか。
そんな皇居の周りの名建築を、皇居内堀の外側を歩いたり、
時には、皇居内に入ったり、散歩気分で楽しみながら巡る建築ツアーです。
東京駅をスタートし、九段下、そして、国立劇場へと歩を進めてきたこのツアーですが。
(過去2回の模様は、こちら⇒皇居一周編①、皇居一周編②)
第3弾となる今回は、改装工事が終わったばかりの東京駅のゴールを目指します
(ツアーとしては独立していますので、前回参加出来なかった方でも、もちろん楽しんで頂けます!)
今回の定員は、18名となっています。(注*参加希望者が多数の場合、抽選の可能性あり)
時間は、13時から、17時までを予定しています。
参加費として、講師代をお支払いするため、お一人様1200円頂戴いたします。
というわけで。
日本一楽しく、日本一わかりやすい『建築』のアートツアー!!
建築に興味がある方はもちろん、
建築は全然わかならないという方も、是非是非ご参加お待ちしています♪
新たなツアー企画は、内容が決まり次第、随時こちらの記事を更新してお伝えいたします。
参加希望の方は、こちらのメールフォームよりお知らせください。
http://homepage3.nifty.com/art-teller/tony_contact.htm
メトロポリタン美術館展 大地、海、空4000年の美への旅
こちらは、幼少期の僕に、とんでもないトラウマを植え付けた曲。
NHKのみんなのうたで放映されていた 『メトロポリタン美術館』 です。
「大好きな絵の中に とじこめられた~♪」 というバッドエンディングのこの曲のせいで、
“美術館=怖い場所” というイメージが植え付けられてしまい、大人になるまで美術館に行けませんでした (笑)
そんな僕が、今では、アートテラーを名乗って美術に携わり、
東京都美術館での “メトロポリタン美術館展 大地、海、空4000年の美への旅” の開催を、
心から楽しみにしていたのですから、人間とはわからないものです。
さてさて、先日、そのメトロポリタン美術館展に、早速足を運んできました。
まだ始まったばかり&平日の夕方ということもあって、
覚悟していたよりも、遥かに空いていたのには、多少肩すかしを喰らいましたが。
(前回の “マウリッツハイス美術館展” ほど混雑していません)
ミレーの 《麦穂の山:秋》 や、
アンリ・ルソーの 《ピエーヴル川の堤、ビセートル付近》 などの絵画作品から、
アルフレッド・スティーグリッツの 《切妻とリンゴ》 といった写真作品、
《ライオンの頭の兜》 のような考古作品まで、
メトロポリタン美術館の17学芸部門のうち、実に12部門から、
『自然』 というキーワードで選ばれた133点の美術品が紹介されており、高い満足感を得ることが出来ました。
・・・・・が。
今年の芸術の秋の注目度を2分する美術展 “リヒテンシュタイン展” と比べてしまうと、
満足度は、やや劣るかというのが、僕の率直な感想です。
リヒテンシュタイン展は、美術展全体として満足度が高い感じで、
メトロポリタン美術館展は、個々の作品は素晴らしいものの、全体的にはボンヤリしている感じ。
『自然』 という幅の広いテーマが設けられたことで、
集められた作品それぞれの結びつきが感じられず、漠然とした印象でした。
むしろ、テーマなんか設けずに、メトロポリタン美術館展の作品を紹介した方が、
人物画や抽象画なども展示出来て、よりメトロポリタン美術館のコレクションの魅力が伝わったのでは?
ともあれ、リヒテンシュタイン展は、誰か他の人に感動を伝えたくなる美術展で、
メトロポリタン美術館は、自分の中で満足して終わりという美術展だった気がします。
満足することには変わりはないのですが…。
さてさて、133点の展示品の中で、ひときわ印象に残っているのは、
やはり今回が日本初公開となるゴッホの傑作 《糸杉》
この絵に渦巻いているパワーは、それはそれは強烈で。
絵をじっと見ていることが出来なかったほどです (こんな観賞体験は初めて…)
絵のあちらこちらから絶えずパワーが噴出しているかのようで、
その都度、あちらに目を動かしたり、こちらに目を動かしたり、とにかく目線が定まりませんでした。
僕以外にも、そういう方は何人もいらっしゃったようで、
《糸杉》 を観賞中のお客さんを、さりげな~く観察すると、皆、激しく眼球を移動させていました (笑)
そういう意味でも、この作品は、一度観賞してみる価値あり!
先日紹介したゴッホ展に展示されていたすべてのゴッホの作品が束になっても、
この 《糸杉》 には、敵わない気がします。
それくらいにスゴい逸品。
あまりにも 《糸杉》 が強烈過ぎて、他の作品が霞んでしまった気もしますが (笑)
その他に印象に残っている作品を、いくつかご紹介して参りましょう。
まず、個人的に一番好きだったのは、ホッパーの 《トゥーライツの灯台》
こちらは、 《糸杉》 とは反対に、
一目見た瞬間に、スーッと絵の世界に入ってしまい、目が絵から離せなくなってしまいました。
まさに、 「大好きな絵の中に とじこめられた~♪」 状態です (笑)
その隣に展示されていたのが、ジョージア・オキーフの 《骨盤Ⅱ》
骨盤の骨ごしに、大空を見上げる…って、なかなか無い光景ですよね。
おそらく、この絵に出会わなければ、一生縁のなかった光景だと思います。
続いて、メソポタミア文明の 《カエルの分銅》
特に語ることはないです。
単純に、カワイイ一品。
《カエルの分銅》 を筆頭に、今回の美術展は、文明系 (?) の作品に見どころが多かったような。
さすがに、コレクションの層が厚いメトロポリタン美術館だけあります。
その中で一番心を奪われたのが、こちら↓
エジプト文明の 《実った大麦のレリーフ》 です。
シンプルながら大麦が実った様子が、きちんと表現されていて、その素朴な表現にグッと来ました。
また、こちらもある意味心を奪われました↓
ギリシャのミュケナイ文明より出土した 《蛸のあぶみ壺》 です。
何故に、蛸がタツノコプロ風 (笑) ??
最後に、工芸品の部門から、ベルナール・バリッシーの 《水の生物の大皿》 を。
「何で、こんなにリアルに作った (怒) ?!」
僕の中での 『食欲の失せるお皿No.1』 に決定いたしました。
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カラフル
かなりシンプルなタイトルの “カラフル” ですが、
具体的には、どのような美術展なのでしょうか?
まずは、1つ目の展示室に入ってみましょう。
こちらでは、 「カラフル*チャイナ」 と題して、
文字通り、カラフルなチャイナ (=中国陶磁器) ばかりを展示しています。
三彩にはじまり、
青や赤のお馴染みの陶磁器に、
五彩と呼ばれる陶磁器などなど。
色とりどりの中国陶磁器たちが展示されていました。
ただ、これくらいのカラフルさ (?) は、これまでに観た中国陶磁器の展覧会にて経験済み。
“カラフル” と、わざわざ謳うくらいですから、
もっともっとカラフルな中国陶磁器を観たいものです。
・・・と、意地悪なことを思っていたら、
展示の半分を超えたあたりから、怒涛のようにカラフルなチャイナが目に飛び込んできました。
そのカラフルさ (?) は、想像していた以上です。
ブラジルっぽいカラーリングの陶磁器もあれば、
ボンタンアメのパッケージっぽい配色の陶磁器もあれば、
キャスキッドソンっぽい陶磁器もありました。
なんとなく自分の中で、中国陶磁器に対する固定概念のようなものがありましたが。
今回の展示を通じて、その固定概念が払しょくされた気がします。
ちなみに、今回展示されていた中国陶磁器の中での僕のイチオシは、 《五彩百鹿文壺》
ゆるキャラのような鹿が、壺一面にびっしり描かれています。
カラフルなチャイナを堪能した後は、
2つの展示室で展開されている 「四季の色彩」 という特集展示へ。
こちらでは、下村観山の作品や、
円山応挙の屏風絵に、
そして、現在活躍中の日本人洋画家の作品まで、
四季をテーマにした日本の絵画を展示しています。
チャイナのカラフルさのような視覚的なカラフルさとは違って、
“四季によって移り変わる日本の自然” という概念的なカラフルを紹介していたような気がします。
こちらで紹介されている作品は、
基本的に、日本の四季を感じられる落ち着いた絵ばかりでしたが。
個人的に印象に残っているのは、それとは真逆の・・・
小松均の 《赤富士図》 という一枚。
この絵からは、得体のしれないオーラが、これでもかというくらいに発せられていました。
雄大な富士山の絵は、これまでに数多く目にしてきましたが、
不穏な空気に満ちた富士山の絵は、これが初めて。
天変地異の前触れという印象を受けました。
どうか富士山が噴火しませんように。
ちなみに、 “カラフル” が開催されているのは、美術館の2階ですが。
美術館1階の常設展示室では、いつもと同様に、
エジプト美術や現代彫刻、ガンダーラ美術など、多彩な松岡コレクションが展示されています。
何よりもカラフルだったのは、松岡コレクションそのものと言えましょう (笑)
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時代の美 第1部 奈良・平安編
一昨年に開催された “国宝 源氏物語絵巻” の会期終了をもって、
2年間という長い長い改装工事期間に突入した五島美術館。
そんな五島美術館が、2012年10月20日に、完全リニューアルオープンを果たしたとのこと。
いてもたってもいられず、早速、新生五島美術館に足を運んできました。
久しぶりに降り立つ東急線上野毛駅。
その光景も懐かしいですね・・・・・・・・って、ん??
いやいやいや、こんなにぶっ飛んだ駅でしたっけ??
どうやら、こちらの上野毛駅は、昨年3月に、
五島美術館より一足早く、リニューアルオープンしたとのこと。
設計は、あの安藤忠雄さんだそうです。
離れたところから見ても、何とも存在感のある駅です。
・・・と、リニューアルした上野毛駅に、気を取られてしまいましたが。
今回の目的地は、こちら↓
2年の改装工事を経て生まれ変わったニュー五島美術館です。
屋根の緑と白い壁のコントラストが、
改装前と比べると、よりクッキリとした気がします。
・・・・・うん。
上野毛駅の改装が、あまりにも衝撃的だったため、
五島美術館の改装が、霞んでしまった感は否めません。
2年越しの対面が、あっけないもになってしまいました。
上野毛駅には、もう少し空気を読んでほしかったものです(笑)
とは言え、外装こそ、そんなに変化はないですが。
内部は、大きくリニューアルされていました。
まず何よりも特筆すべきなのは、展示スペースが拡大されたこと。
改装前は、展示室が1部屋しかありませんでしたが、
今回の改装によって、展示室が2部屋になっていました。
その分、観られる作品も増えるわけですから、これはお客さんとしては、とても嬉しいことです。
また、展示室も、黒一色のスタイリッシュな空間に大変身。
綺麗になるのは、とてもイイことだとは思うのですが。
根津美術館や出光美術館と似たりよったりな展示室なので、
個人的には、没個性な感じがしてしまい、少し寂しさも残ります。
ともあれ、今回のリニューアルは、大いに意義があるような気がします。
このリニューアルをきっかけに、新しい五島美術館ファンが増えるといいですね。
さてさて、そんな五島美術館では、
新装開館記念名品展として、 “時代の美 五島美術館・大東急記念文庫の精華” が開催中。
こちらは、五島美術館ならびに大東急記念文庫が所蔵する名品を、
半年に渡って、奈良・平安編、鎌倉・室町編、桃山・江戸編、朝鮮・中国編の4部で紹介する美術展です。
ちなみに、五島美術館も大東急記念文庫も、
ともに東急を創設した実業家・五島慶太 (1882~1959) の美術コレクション。
その充実した内容は、とても個人コレクションとは思えないレベルです。
そんな五島コレクションが誇る国宝や重要文化財を含む名品の数々を、
これからの半年間で、次々と見せて頂けると知って、思わず・・・
美の友会に入会してしまいました。
まず間違いなく、半年間で4部とも行きますし、
都合が付けば、前後期も行きますので、これで年額4000円は、お得です♪
さてさて、現在開催されているのは、 “時代の美 第1部 奈良・平安編”
展示品の多くを占めるのが、 《石山切(伊勢集)》 や、
源俊頼が書いたとされる 《東大寺切(三宝絵詞)》
をはじめとする古筆切のコレクション。
それに加えて、法華経やら久能寺経やらの経典に、国宝の 《史記 孝景本紀第十一》 などなど。
(注:展示は、11月4日まで)
総じて、字ばっかりの展示です (笑)
展示室が増えた分、字もその分だけ増えています。
絵を観たい人にとっては、物足りない美術展。
反対に、書が好きな人にとっては、絶対に見逃せない美術展。
ただ、11月6日から始まる後期では・・・
あの 《源氏物語絵巻》 も展示されるそうなので、
絵が好きな方も絶対に見逃せません!
ちなみに、いまだ書の良し悪しが、イマイチわからない僕ですが。
紀貫之の筆とされる 《高野切古今集(第一種)》 は、理屈抜きで素晴らしいと思いました。
なんとも不思議なのですが、この文字を観た瞬間、
ELTの伊藤一朗のような語り口で、語りかけられているような気がしたのです!
(なぜ、ELTの伊藤一朗なのかは不明w)
訴えかけてくるような美術品の数々は目にしてきましたが、語りかけてくるような美術品は初めて。
本当に素晴らしい書になると、文字が独りでに語りだすのですね。
(大丈夫です。気は確かです。)
書の作品が多い中で、一際異彩を放っていたのが、
《過去現在絵因果経断簡(益田家本) 耶舎長者出家願図》
下の段に書写されているのは、釈迦の物語を説いた経典 『過去現在因果経』 。
上段は、その内容を絵にして図解したものなのだそうですが・・・絵がゆるいにもほどがあります (笑)
せっかく下の段で、イイことを言っていたとしても、
上段の脱力的な絵のせいで、台無しになっちゃっているような気がします (笑)
最後に、奈良時代に描かれたとされる貴重な絵画作品をご紹介。
《麻布山水図》 です。
良く言えば、シンプルで素朴な絵画。
悪く言えば、テキトーに描いたようなヘタウマな絵。
だけど、不思議と、悠久の時のようなものを、この絵に感じるのです。
高田純次がサラッと発したテキトーな言葉が、何だか哲学的な洞察を含んだ深い言葉に思える。
その感覚に似ています。
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新・無料で観れる 美術百選 《東京デザインセンター(東京都足立区)》
五反田駅の東口にある東京デザインセンター。
この建物の顔ともいえる大階段のその先に、
今回のお目当ての無料で観れる美術作品があります。
さぁ、大階段を上っていきましょう。
登りきった先にいたのは、馬。
アルミダイキャストで製作された彫刻の馬です。
新・無料で観れる 美術百選 002 ミンモ・パラディーノ 《馬》
作者のミンモ・パラディーノは、
1980年代にイタリアで吹き荒れた芸術運動 “トランスアバンギャルド” の主要メンバーの一人。
ただ、そんなアーティストの作品にしては、
この 《馬》 という彫刻作品は、そこまでトランスでもアヴァンギャルドでもないような・・・ん??
(つд⊂)ゴシゴシ・・・ん?!
馬のたてがみ部分に、あってはならない顔のようなものが!!
もしかしたら、僕の見間違いということもありますので、おそるおそる近づいてみます。
いや、これは、もう完全に、人の顔です。
馬のたてがみに人の顔が、くっついちゃってます。
おそらく、新手の使徒ではなかろうか。
五反田に使徒、襲来。
<無料で観れる美術 データ>
東京デザインセンター
住所:東京都品川区東五反田5-25-19
アクセス:○JR山手線「五反田駅」東口より徒歩2分
○都営浅草線「五反田駅」A7出口正面
この美術室を盛り上げるワンクリックも、無料で出来てしまいます。
中国絵画―住友コレクションの白眉―
今年で開館10周年を迎える泉屋博古館。
それを記念し、今年の春の “神秘のデザイン―中国青銅芸術の粋―” より、
連続で記念展を開催していましたが、今回の “中国絵画―住友コレクションの白眉―” をもって記念展は終幕。
そのフィナーレを見届けるべく、行ってまいりました。
展示されていたのは、泉屋博古館唯一の国宝 《秋野牧牛図》 を筆頭に、
重要文化財の石濤 《黄山八勝画冊》
・・・など、泉屋博古館が誇る中国絵画コレクションたち。
正直なところ、自分は、そんなに中国絵画に明るくないので、
「10周年記念のラストが、中国絵画なんだぁ。ふ~ん」
と、反応は、かなり鈍かったのですが。
美術展会場の冒頭のキャプションに、この中国絵画コレクションが、
どんなにも素晴らしいものなのかが力説されていて、俄然興味が湧いてきました。
普段、大人しいイメージの泉屋博古館が、
キャラにもなく自慢げに力説するからには、本当に素晴らしいコレクションなのでしょう (笑)
ちなみに、泉屋博古館曰く、
これだけの中国絵画コレクションを東京で公開するのは、極めて稀なケースとのことです。
で、実際に、観てみた感想としては、
「確かに、自慢げに力説するだけはあるネ!」
です。
2つ星。
胡弓の音が、どこからともなく聞こえてくるような、
いかにも中国絵画らしい山水画の名品も、たくさん展示されていたのですが。
むしろ、僕の中で印象的だったのは、ゆる~い中国絵画。
個人的にツボだったのは、《鵬挙図》 という一枚。
描かれているのは、中国の伝説の鳥・大鵬。
この大鵬は、なんとひと飛びで9万里も移動出来るのだとか。
しかし、華嵒という清代の画家が描いた大鵬は。。。
(画像は、こちら)
「9万里どころか、1里も飛べないだろ (笑) !!」
さてさて、今回の美術展では、こんなものが配られています。
「・・・ん?バイトのシフト表??」
と、一瞬思いましたが、実は、こちらは展示替えのスケジュール表。
前後期とか、3期替えとかの美術展は、ありますが。
こんなにも展示替えが激しい美術展は、そうそうお目にかかったことはありません (笑)
何でまたこんなに展示替えが激しいのかと言えば、
今回の美術展の目玉である重要文化財である八大山人の 《安晩帖》 を全20幅すべて公開するため。
例えば、ポスターに使われている 「叭々鳥図」 が展示されるのは、
11月1日から3日まで。
たったの3日間!!
ちなみに、僕が訪れた時に展示されていたのは、
「山水図」 のページ。
(よりによって、あまり面白くないページの時に行ってしまいましたw)
10月28日~31日に展示されている 「魚図」 か、
11月8日~10日に展示されている 「猫図」 の時に行けば良かったです。
・・・ん、でも、これって猫なの (笑) ??
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お伽草子 この国は物語にあふれている
むか~しむかし、あるところで、
それはそれは、た~くさんのお伽草紙の絵を集めた美術展が開催されましたとさ。
・・・と、後世で語り継がれるかもしれない美術展が、サントリー美術館で開催されています。
その名も、 “お伽草子 この国は物語にあふれている” 。
会期は、来週の11月4日までだそうな。
展示されているのは、 《浦嶋明神縁起絵巻》(『浦島太郎』 のもととなったお話) のように、
メジャーな (?) お伽草紙の物語が描かれているものから、
人間のお姫様と結婚した鼠を主人公とした 《鼠草子絵巻》 のように、
マイナーな (?) お伽草紙の物語が描かれているものまで。
日本全国津々浦々から、集めに集めたお伽草紙作品が、会場を賑わせていました。
『この国は物語にあふれている』 というサブタイトルを、実感させられる美術展だったと言えましょう。
また、ただ集めたお伽草紙作品を、並べるだけの美術展ではなく。
お伽草紙の物語の背景に隠された当時の社会状況を浮き彫りにしてみせるなど、
知的好奇心も十分に満たす内容になっていましたし。
そういう難しいことは脇に置いておいても、
キャプションが巻物風になっていたり、百鬼夜行の影絵があったり、
と、ワクワク感を演出する仕掛けが、たくさんありました。
そういう意味で、 『この美術展自体も物語にあふれている』 と言えましょう。
さてさて、1つだけ、この素敵な美術展にクレームをつけるとするならば。
本当に、たくさんのお伽草紙作品が展示されているので、観賞時間が1時間では、全然足りないということ (笑)
最低でも、2時間くらいは欲しいところです。
楽しい作品ばかりだったので、すべてをじっくりと楽しんでいたら、3時間以上は欲しいところです。
このブログでも、あれもこれも紹介したいのですが、
紙面の関係上、泣く泣く絞って、オススメ作品を紹介していきたいと思います。
まずは、ちょっぴりドジっ娘な姫君が主人公の 《掃墨物語絵巻》
急に男性が、家にやってくることになって、大慌てで化粧をする姫君。
ところが・・・
眉墨を白粉と間違えて、顔に塗ってしまった姫君 (←シャネルズ!)
男性はビックリして、逃げて行ってしまうは、
母親には、鬼と勘違いされてしまうは、ドタバタな展開が待ち受けていました。
ちなみに、ラストは、いきなり姫君は出家してしまいます。
何てシュールな展開なんだ・・・。
続いて、南北朝時代のとある芸人を主人公にした 《福富草紙》
ひょんなことから妙音のおならを鳴らすという芸を会得した秀武という男がおりました。
(↑妙音のおならって何だよw)
彼は、ある日、中将の家に招かれます。
そこで、そのおなら芸を披露したところ、
バカウケし、褒美をたくさん貰い、お金持ちになりました。
それを羨んだ隣人の福富さんは、秀武に放屁芸を習います。
秀武に、さりげなく下剤を飲まされたことに気づかずに福富さんは、中将の家へ。
そして、満を持して、おなら芸を披露するのですが、下剤を飲まされていたために・・・
って、この後の展開は、お下劣なので自粛しますw
物語の内容よりも、絵として印象に残っているのが、 《是害坊絵巻》
“是害坊” とは、唐の天狗なのですが。
泉屋博古館が所蔵する 《是害坊絵巻》 に登場する是害坊は、天狗というよりも・・・
鳥人です。
中国と日本の文化の違いは、こんなところにも。
また、お伽草紙は、その性格ゆえ、
基本的に、絵としては、ゆるいものが多かったのですが (ヘタクソすぎるのも多数!)
美術品としても十分に素晴らしかったのは、狩野元信の手による 《酒伝童子絵巻》 でした。
色彩の鮮やかさも、酒呑童子vs武士の手に汗握るバトルの迫力も、申し分ない逸品です。
ただ、若干気になったのは、首を切り落とされたのち、
酒呑童子は源頼光に噛み付いているのですが、その噛み方が、なぜか甘噛みっぽいこと (笑)
ちょっとカワイイです。
最後に紹介したいのは、 《ささやき竹物語》
とある、とってもエラ~いお坊さんが、
美しい娘に一目惚れしてしまい、なんとか自分のものにしたいと考えたそうな。
そこで、そのお坊さんが考え抜いた末に取った行動が、コチラ↓
長い竹筒を使って、寝ている娘の両親の耳元へ、
「娘を毘沙門堂に預けよ。」 と、天の声風にささやいたのです。
おバカですね (笑)
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第三十七話 国宝ハンター、整理する!
~前回までのあらすじ~
日本全国のすべての国宝を探し求めて、旅を続ける国宝ハンター。
前回は、九州に初上陸し、長崎の国宝3件をすべてゲットし、長崎完全制覇を成し遂げる!
しかし、国宝完全制覇していない都道府県は、
国宝なし県の群馬・徳島・宮崎の3県を除いても、1都1道2府39県。
国宝をハンティングし続けるプロフェッショナルの挑戦は続く―
いきなりですが。
国宝ハンターより、重大発表があります!
「私、国宝ハンターは、本日10月28日より、
11月3日までの一週間、一日も休まずに毎日国宝を見続けることを誓います!」
文化の日を挟む、この一週間。
あちらこちらで、期間限定の国宝が公開される予定です。
そこで、 『国宝7Days』 として、今日から一週間、国宝を毎日ハンティングしてみようと決意した次第です。
さて、その模様は、次回以降の記事でお伝えすることにしまして。
本日は、長崎より帰京してから昨日までにハンティングした国宝を、一旦整理してご報告しようと思います。
まずは、毎度おなじみのトーハク詣で。
その際に、ハンティングした国宝は、2つ。
《寛平御時后宮歌合(十巻本)》(ジャンル:書跡・典籍)
《黒漆銀銅蛭巻太刀》(ジャンル:工芸品)
ちなみに、 “蛭巻” とは、
「柄や鞘などを金属の薄板で螺旋状に巻いたもの」 のこと。
まぁ、コロネみたいな感じです (←?)
続く、五島美術館では・・・
《史記〈孝景本記第十一/〉》(ジャンル:工芸品) をゲット。
国宝に指定されている 『史記』 は、全部で5件。
このうち3件をハンティングしたことになりました。
残る2つは、東北大学と石山寺の所蔵している 『史記』 です。
そして、つい先日訪れたのが、泉屋博古館分館。
《絹本著色秋野牧牛図》(ジャンル:工芸品) をハンティングしたのは、記憶に新しいところです。
泉屋博古館の所蔵する国宝は、こちらオンリー。
他にも所蔵していたりして、
泉屋博古館の本館 (鹿ケ谷) を訪れなくてはならない…なんて事態にならなくて、ラッキーもラッキーです。
というわけで、長崎から帰ってきた後も、意外と国宝をゲットしていたのですね。
では、明日は、早起きしなければならないので、この辺で。
今現在の国宝ハンティング数 258/1085
国宝ハンターは、ランキングにも挑戦中
ねむの木のこどもたちとまり子美術展
外苑前にある伊藤忠商事の東京本社。
先週金曜日、その足もとに、
新しいギャラリースペース・伊藤忠青山アートスクエアがオープンいたしました。
そのこけら落としとして開催されているのは、
“ねむの木のこどもたちとまり子美術展” という美術展です。
(注:特別に撮影の許可を頂いております)
こちらは、
『ガード下の靴磨き』 などのヒット曲で知られる宮城まり子さんが、
日本初の肢体不自由児療護施設として設立したねむの木学園の子供たちの絵画を展示する美術展。
ねむの木学園に最初に寄付をした人物が、伊藤忠商事の二代目伊藤忠兵衛だった経緯もあり、
伊藤忠青山アートスクエアのオープニングを飾る美術展として開催されることになったのだそうです。
さてさて、オープンしたばかりの伊藤忠青山アートスクエアには、興味がありましたが。
正直なところ、ねむの木学園の子供たちの絵画には、ほとんど興味がなかった僕。
というのも、どうにも昔から性格的に、
障害を持った人が制作した作品とうものが、苦手なのです。
障害を持った人が頑張って制作した作品だから、褒めなくてはいけない。
障害を持った人が頑張って制作した作品だけに、その良さがわからなかったら、心の冷たい人間だ。
そんな暗黙の了解があるような気がしてならないのです。
もし、ねむの木学園の子供たちの絵を、良かったと全く思えなかった場合、
いつものブログの記事のように本音で感想を書くべきか、
それとも、空気を読んで、当たり障りのない感想を書くべきなのか。う~ん。
しかし、いざ会場で作品を観てみると、
そんな悩みは、全くの杞憂に終わりました。
普通に、どの絵も良かったです!!
作者が障害を持っていようがいまいが、
出来上がった作品が素敵ならば、そんなことは関係がないようです。
純粋に絵の世界に没頭できたので、余計な色眼鏡をかけるタイミングがありませんでした (笑)
ちなみに、僕が今回の展示で、一番心を掴まれた作品は、
やましたゆみこさんの 《ねむの木国ねむの木県ねむの木村ねむの木》 という一枚。
一見すると、描かれているのが何なのか、よくわかりませんが。
よ~く目を凝らすと、たくさんの家や山が、ビッチリ描かれているのがわかります。
その労力を考えただけでも驚きますが。
さらに驚くのは、一つとして同じ家や山がないこと。
全部それぞれに表情を変えて描いているのです。
どれだけの労力がかかっているのでしょう。
根気が欠如気味の僕には、一生描けない作品です (笑)
さて、余談ですが。
オープン初日のセレモニーには、宮城まり子さんも出席されていました。
さすが、芸能人だけあって、
そのスピーチは、絶妙に笑いのツボを押さえた見事なものでした (笑)
いやはや勉強になります。
その後、オープニングセレモニーでは、恒例のテープカットをし、
締めくくりには、白い鳩を空へと放っていました。
飛び立つ鳩の群れを目にしたのは、ロート製薬のCM以来ですが (笑)
青い空に向かって白い鳩たちが飛び立っていく光景は、それはそれは感動的でした。
これからの伊藤忠青山アートスクエアの明るい未来を象徴していたような気がしました。
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インドへの道―美術が繋いだ日本と印度―
大倉集古館で開催中の “インドへの道―美術が繋いだ日本と印度―” へ行ってきました。
今年2012年は、日本とインドが国交を樹立して、ちょうど60年目という節目の年。
それを、 (なぜか) 大倉集古館が記念して、
日本とインドを繋いだ美術作品の数々を紹介しています。
例えば、パーラ朝時代のインドの仏像に、
『西遊記』 のもととなった 《大唐三蔵取経詩話》 のようにインドから来日した品々や、
仏涅槃図や曼荼羅、 《十六羅漢図》 のようにインドから伝来した仏教に関する日本美術のコレクション、
そして、今村紫紅の 《印度旅行スケッチ帳》 のようにインド旅行の経験をもとに描かれた近代日本画、
一口で、 “日本とインドを繋いだ美術作品” と言っても、
いろんなバリエーションがあって、なかなかに興味深かったです。
ただ、バリエーションがありすぎて、まとまりがなかったような気もしました。
今回の展覧会で、一番目を惹かれたのは、山内コレクション。
インド在勤の会社員・山内さんが、インドで集めた約90点の手のひらサイズの神像と仏像たちが、
ズラリと並んでいるその様子は、まるでフィギュアが並べられたショーケースのよう。
有難~い神像や仏像というわけではなく、
インドの家庭にあるような普通の神像や仏像ばかりとのことなので、愛でるように眺めて楽しみました♪
さて、この山内コレクションも、大倉集古館のコレクションの一つになっているそうです。
大倉集古館に、このようなコレクションもあったというのは、新鮮な驚きでした。
ただ、せっかくの芸術の秋ならば、
もっと王道の大倉集古館の名品を観たかった気もします。
国宝の 《随身庭騎絵巻》 とか、横山大観の 《夜桜》 とか。
そんなことを思っていたら、大倉集古館で、このようなチラシを発見してしまいました。。。
ぜ~んぶ山梨県立美術館に行ってるのかよ (泣)
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第三十八話 国宝ハンター、怒涛の7日間が始まる!
~前回までのあらすじ~
“文化財の日本代表” である国宝。
その全メンバーは、現時点で、1085件。
そんな国宝ジャパンをすべて招集するべく、国宝ハンターは、日々東奔西走している。
11月。
文化の日を中心に、日本の各地で、国宝の数々が限定公開される季節。
国宝ハンターにとって一番大切な季節である。
そう。絶対に見逃せない国宝が、そこにある。
~10月28日 国宝7Days 【1日目】~
「今日から、一週間、毎日休まずに国宝を観る!」
一週間、国宝ハンターに専念できるのでしたら、かなり楽に出来そうなチャレンジですが。
アートテラーとしての仕事もあるし、アルバイトの仕事もあるし、
ブログの記事も毎日書かなくてはいけないし・・・と、考えると、本当に達成できるのか一抹の不安はあります。
まぁ、そんな風に悩んでいるヒマすらありません。
本日は、午後から、自分が主催する大東京お笑い建築ツアーの予定。
それまでに、本日10月28日までしか公開されていない国宝を観に行かなくては。
というわけで、やってきたのは、トーハク。
実は、2週間前にも、トーハクを訪れていたのですが、
ここ最近の傾向から、平成館の常設展示で国宝が新たに展示されることはないので、
本館をくまなく観賞して、平成館には寄らずに、そのまま帰ってしまっていたのです。
・・・が。
現在、平成館1階では、
“尚意競艶 ―宋時代の書―” という企画展が開催されており、
智積院所蔵の 《金剛経〈張即之筆/〉》(ジャンル:書跡・典籍) が展示されているのだとか。
しかも、10月28日まで!
どうにか最終日に滑り込みで、目に焼き付けることが出来て、ホッと一安心。
これだけを観て、すぐに、この日の大東京お笑い建築ツアーの集合場所である田町駅へ。
トーハクでの滞在時間は、驚異の1分です (笑)
ちなみに、その後の調べで、 《金剛経〈張即之筆/〉》 は、
10月30日より書道博物館で展示されることがわかりました。。。
無理して、今日に観る必要は無かったのね (泣)
~10月29日 国宝7Days 【2日目】~
おはようございます。
今日は、遠出をします。
自宅を出発したのが、7時。
8時10分の浅草発の電車に乗って・・・
日光へとやってきました!!
(有料特急に乗れる身分ではないので、片道2時間かかりましたw)
日光に来るのは、小学生の時の修学旅行以来です。
本日は、関東有数の国宝の地・日光で、大量得点を狙いたいと思います。
というわけで、まずは、日光東照宮へ。
拝観料を払おうとして・・・ビックリ!!
何、1300円ですと?!
京都のお寺でも、こんなには高くないですよ。
お寺を拝観させて、1300円とは、殿様商売もいいところです。
・・・あ、殿様の商売でしたか。
もちろん、平民なので、ゴネるわけもなく、1300円払って境内へ。
秋の行楽シーズンということもあって、境内は観光客で、ごった返していました。
東照宮と言えば、三猿。
でも、こちらは、国宝ではないので、
国宝ハンター的には、テンションは上がらざる。
国宝ハンター的にテンションが上がるのは・・・
《東照宮陽明門》 です。
これまでに、 《本願寺唐門》 や 《豊国神社唐門》 など、数々の国宝の門を目にしてきましたが。
そんな国宝の門シリーズ (?) の中でも、 《東照宮陽明門》 はトップクラスではないでしょうか。
そんな 《東照宮陽明門》 をくぐれば、いよいよ東照宮の本殿とご対面です!!
・・・・・・・・・・えっ?
まさかまさかの修理中。
「こんな状態なのに、1300円も取ったのかよ!」 と、怒り再沸騰です (笑)
・・・とは言え、実は、 《東照宮本殿、石の間及び拝殿》 に関しては、
「第七話 国宝ハンター、出くわす!」 で、附の大工道具を観ているので、すでにハンティング済。
しかし、東照宮がスゴいのは、ご存じ “眠り猫” がいる 《東照宮東西廻廊》 も、
《東照宮正面及び背面唐門》 も、
そして、鳥の彫刻がカワイイ 《東照宮東西透塀》 も、
それぞれが、独立して国宝に指定されているところ。
東照宮に来るだけで、一挙に6件の国宝を目にすることが出来るのです♪
ちなみに、せっかく東照宮に来たのだからと、奥宮にも参拝してきました。
ここに上がってくるまでは、なかなかハードな道のりでしたが。
奥宮は、残念ながら重要文化財。
国宝ハンター的には、得るものがありませんでした (笑)
唯一、得たのは、奥宮にある自販機では、お~いお茶しか売っていないというトリビアです。
さて、東照宮を十分に堪能した後は、東照宮と同じ “日光山” にある輪王寺へ。
現在、輪王寺は、平成30年までの予定の平成大修理の真っ最中。
そのため、本堂である三仏堂は、まったく有難味の無い姿になっていました (笑)
もし観光として訪れていたら、これほどガッカリする光景はありませんが。
僕の旅の目当ては、あくまで国宝。
三仏堂は、正直、どうでもよくて、
徳川家光の霊廟である大猷院霊廟さえ見られれば、それでよいのです。
さて、そんな大猷院霊廟は、三仏堂から少し離れた場所にありました。
550円の拝観料を支払って、大猷院の中へ。
・・・・・・・・・・えっ?
「こちらも、もしや工事中?」 と心配になったのですが、
どうやら、工事しているのは二天門だけで、あとは通常営業中 (?) でした。
こちらの夜叉門の先に待っていたのが、
お目当ての 《輪王寺大猷院霊廟 本殿・相の間・拝殿》 でした!
「お~~~~!!」
日光で目に出来るラストの国宝建造物の登場に、テンションが上がります!!
・・・あ、すいません。静かにします。
いやぁ、しかし、今年の夏に、
“埼玉日光” と呼ばれる新国宝の 《歓喜院聖天堂》 を観ましたが。
ホンモノの (?) 日光は、格が全然違いますね。
こちらの方が、王者の風格が漂っていました。
さて、東照宮、輪王寺と続いて、お次は、二荒山神社へ。
国宝の刀を2件所蔵している二荒山神社。
そんな二荒山神社では、現在・・・
国宝の刀を2つ公開している宝刀展を開催しているとのこと。
実は、今回、このタイミングで日光に来たのは、
この宝刀展が開催されているからに他なりません。
「さぁ、あとは、この宝刀展さえ見れば、日光での国宝ハンティングは終わりだ♪」
と、ここまでの順調な国宝ハンティングぶりに、すっかり余裕をこいていたのですが・・・。
この二荒山神社にて、とんでもないことが発覚しました!!
それは、一体何なのか?
国宝ハンター曰く、 “国宝ハンター史上最悪のロケ” の全貌とは??
やはり一筋縄でいかない国宝ハンターの旅。
続きは、明日!
今現在の国宝ハンティング数 264/1085
国宝ハンターは、ランキングにも挑戦中
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第三十八話 国宝ハンター、怒涛の7日間が続く!
~前回までのあらすじ~
日本全国の国宝をすべて観るというチャレンジを、かれこれ1年以上続けている国宝ハンター。
これまでに観た国宝の数は、264。
少しでもゴールに近づけようと、
この一週間は、毎日国宝を観に行くというチャレンジを、国宝ハンターは自身に課した。
かくして、 『国宝を一週間見続ける男』 という黄金伝説のような企画は始まった―
~10月29日 国宝7Days 【2日目】の続き~
日光の二荒山神社で開催されているという “宝刀展”
なんでも、二荒山神社が所蔵する国宝の刀が公開されるのは、実に半世紀ぶりのことなのだとか。
・・・ということは。
単純計算してみると、この場合、もし見逃してしまうと、
次に観れるのは、半世紀後、つまり50年以上も先のことになってしまう可能性もあるのです。
その頃、僕は、生きていたとしても、79歳。
下手したら、それまでに目にした国宝のことを、
すっかり忘れてしまっているかもしれません (笑)
そういう意味でも、今日わざわざ日光まで足を運んだ甲斐があったというものです。
ではでは、早速、二荒山神社の境内へ。
え~と、宝刀展の会場は、どこでしょうか~??
ちょっと見当たらないので、
神社で働いているオバちゃんに、宝刀展の会場を訪ねてみることに。
すると、衝撃的な回答が返ってきました。
「宝刀展?ここじゃないよ」
「え~~~~~~~!!!!!でもでも、ここは、二荒山神社ですよね?」
「ここは二荒山神社だけど、宝刀展がやってる二荒山神社の中宮は、山の向こう」
「・・・む、 “向こう” って、どれくらい “向こう” なんですか??」
「ここから一回、日光駅に戻って、そこからバスに乗って、50分くらいよ」
ギャフン!
まさか、日光に二荒山神社が他にもあるとは?!
紛らわしいこと、この上なしです。
ここまで順調だった日光での国宝ハンティング。
いきなり雲行きが怪しくなってきました。
とりあえず、一旦、東武日光駅の方に戻って、
二荒山神社中宮に向かうバスに飛び乗りました。
ここから50分で、二荒山神社中宮。
・・・・・・・・のはずだったのですが。
二荒山神社中宮があるのは、中禅寺湖の湖畔。
日光駅からは、いろは坂を通って行かなければなりません。
そして、紅葉が見ごろのこの季節、いろは坂には、、、
大渋滞が発生していました!!!
結局、二荒山神社中宮に到着したのは、バスに乗ってから2時間30分後。。。
自宅からの所要時間を計算すると、電車とバスを合わせて片道約5時間30分!
一人で黙々と、この長時間ずーっと乗り物に乗っているのは、なかなかに過酷です。
これまでに数々の国宝の旅を経験してきましたが、
確実に、今回の旅が一番精神的にキツかったです。。。
『運気上昇のパワースポット』 とありましたが、
ここに辿り着くまでに、運気の目盛はゼロになっています (笑)
ただ、疲れたからと言って、休んでいるヒマはありません。
帰りのバスも、渋滞に巻き込まれる可能性が大ですから、
次に来るバスの時間を、予めチェックしておく必要があります。
なるほど。現在の時刻は、15時15分。15時39分には、バスが来てしまうのですね。
ということは、タイムリミットまで、あと約20分!
今度こそ、宝刀展は開催されているみたいですね。
あっ、会場、発見!
館内では、ようやく2つの国宝の刀とご対面を果たせました!
一つは、 《大太刀〈銘備州長船倫光/貞治五年二月日〉》 (ジャンル:工芸品) です。
ここまでの道のりも長かったですが、この刀も長い。
総長159.0cmという長~い刀です。
ちなみに、国宝指定されている日本刀の中で一番長いのが、この刀なのだとか。
その長さゆえ、武士が腰に差すというよりは、
ドラクエの勇者が、背中に担ぐような刀でした。
その姿は、本当に勇ましく、思わず、 「かっけぇ~♪」 を連呼してしまいました。
いやぁ、ここまで観に来て良かったです。
そして、もう一つは、 《小太刀〈銘来国俊/〉/黒漆蛭巻太刀拵》 (ジャンル:工芸品)
その総長は、71.2cm。
実は、これは、国宝指定されている日本刀の中で一番の短さ。
そう。なんと、二荒山神社は、
最長と最短の両方の国宝の方を持っている神社だったのです。
ということは、宝刀展の会場で、こんなことも出来るわけです!
♪最長の国宝の日本刀を観て~最短の国宝の日本刀を観て~
最長のと最短のを交互に観て~ 最長のと最短のを交互に観て~
・・・・・もう時間が無いので、帰ります (笑)
(注:帰宅は、5時間強かかりました)
~10月30日 国宝7Days 【3日目】~
本日は、大宮へ。
やってきたのは、埼玉県立歴史と民俗の博物館です。
現在、こちらの博物館の常設展示室では、
“特別公開 埼玉の国宝” なる展示が開催中。
なんと、この機会に、埼玉県が所蔵する国宝の美術工芸品3点すべてが勢ぞろいしているのです!
・・・と言っても、すでに、 《短刀〈銘備州長船住景光/元亨三年三月日〉》 と、
《太刀〈銘備前国長船住左兵衛尉景光、作者進士三郎景政、嘉暦二二年已巳七月日/〉》 は、ハンティング済。
今回の来訪で、残るあと一つの埼玉県の国宝 《法華経一品経》 (ジャンル:書跡・典籍) をゲット。
こちらは、平家納経、久能寺教と並んで、三大装飾経の一つに数えられる優品。
京都の九条家を中心に、後鳥羽上皇も加わって写経したものなのだとか。
ちなみに、この展示自体は、約2ヶ月ほど開催されているのですが、
10月30日から11月4日までは、国宝観賞週間として、学芸員さんによる特別解説が、各日2回開催されています。
国宝ハンターとしては、国宝観賞週間を逃す手はなく、この期間に合わせて訪れたわけですが。
意外と、あっさりとした解説で、拍子抜けしました (笑)
とは言っても、やはり解説があるのと無いのでは、大違い。
今回初めて、埼玉県が所蔵する2つの国宝刀が、兄弟であることを知りました。
オーダーした人物も、制作した人物も、それぞれ同じ。
実は、 (制作年代的に) この間に、
もう一つ兄弟の刀があるそうなのですが、それは宮内庁が所有しているとのことです。
また、 《短刀〈銘備州長船住景光/元亨三年三月日〉》 は、
もともとは、武蔵武士の大河原氏が秩父神社に奉納した刀だったのですが。
それを気に入った上杉謙信が、いつの間にか自分のものにしてしまったのだそうです (笑)
ともあれ、これにて、埼玉県が所蔵する国宝をすべてゲット!
埼玉県、完全制覇です。
今現在の国宝ハンティング数 267/1085
国宝ハンターは、ランキングにも挑戦中
ZESHIN―柴田是真の漆工・漆絵・絵画
根津美術館で開催中の “ZESHIN―柴田是真の漆工・漆絵・絵画” の内覧会に招待して頂きました。
こちらは、幕末から明治時代にかけて活躍し、
海外にもその名を轟かすスーパー蒔絵師・柴田是真 (1807~1891) をフィーチャーした美術展です。
実は、何を隠そう (←隠す必要は全くないですが!) 、僕は、柴田是真の大ファン。
2009年に三井記念美術館で開催された “柴田是真の漆×絵” で、すっかりその魅力にハマってしまいました。
(柴田是真の魅力に関しては、その時の記事にて語り尽くしていますw)
以来、次なる柴田是真展の開催を楽しみにしていたところ、
まさか、3年目にして、根津美術館で開催される運びになるとは!
しかも、今回の柴田是真展に出展されている作品は、
三井版と違って、全て国内にある是真作品なのだとか!
というわけで、これでもかというくらいに期待して、
かなりハードルを上げた状態で、根津美術館を訪れてしまったわけですが (笑)
ちゃんと、そのハードルを越えてくれました!!
「内覧会に呼んで頂いたから」 とか、そんなビジネスライクな理由ではなく、3つ星。
ただただ素晴らしかったです!
(↑ちょっと興奮していますw)
さてさて、何が、そこまで素晴らしかったのかと言いますと。
まず第一に、この美術展のために、日本全国津々浦々より、
美術館が所蔵する名品から個人蔵の貴重な作品まで、是真作品が大集合していること、
その奇跡的な光景に、是真ファンとしては、震えが止まりませんでした。
京都の鹿苑寺からは是真最大級の立体作品 《扇面蒔絵書棚》 が!
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
東京国立博物館からは、 《烏鷺蒔絵菓子器》 が!
そして、代表作の一つである板橋区立美術館の 《花瓶梅図漆絵》 も、もちろん参戦!
さらに、根津美術館が所蔵する是真作品の数々も惜しげもなく大公開中です。
三浦乾也との合作 《夕顔蒔絵板戸》 や、
ポツリと寂しそうなお内裏様とお雛様の絵…と見せかけて (?) 、
実は、表装の部分に、たくさんの雛道具を蒔絵で賑やかに描いている 《雛図》
(注:展示は、11月25日まで)
若干、蛭子さんテイストなイラストが気になる (←?) 《業平蒔絵硯箱》 は、
元となった作品と併せて展示されています。
他にも、個別に紹介したい作品が、たくさんありますが、
記事が終わらなくなってしまうので、この辺りでセーブしておきます (笑)
・・・と、日本全国から是真作品が集まっていることもポイントですが、
今回の最大のポイントは、何と言っても、是真作品が、根津美術館の内装と見事に調和していたことに尽きます。
根津美術館の黒を基調としたシックでスタイリッシュな空間と、
是真のシックでスタイリッシュな作品世界のシンクロ率の高さには、目を見張るものがあり、
「今回の是真展のために、根津美術館をリニューアルしたんだっけ?」
と思ってしまったほど。
また、小さな作品から、
大きな作品まで。
約120点の是真作品が展示されていたわけですが。
そのボリューム的に、会場となっていた根津美術館の展示室の広さが、まさにジャストサイズ。根津美術館は、そこまで特別展の会場が広くないので、
普段の美術展の場合、
“あれ、これで展示が終わりなんだ?!”
と、若干の物足りなさを感じることも、しばし。
しかし、今回は、
“もうお腹いっぱい~”
と、十二分に満足いたしました。
根津美術館がリニューアルオープンしてから、
これまでに10以上の美術展を拝見させて頂いておりますが。
間違いなく、今回の是真展が、マイNo.1美術展です。
文句なしの美術展ですが、一つだけ言わせて頂くならば。
これだけ素晴らしい美術展なのに、キャプション等から、
根津美術展側の是真熱が、ほとんど伝わってこなくて、ちょっと寂しかったです (笑)
(こちらのテンションとの温度差が・・・笑)
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巨匠たちの英国水彩画展
Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の “巨匠たちの英国水彩画展” に行ってきました。
こちらは、J.M.W.ターナーの 《ルツェルン湖の月明かり、彼方にリギ山を望む》 をはじめ、
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの 《窓辺の淑女》 に、
『英国水彩画の父』 と呼ばれるポール・サンドビーの 《南西の方角から望むコンウェイ城》 などなど。
マンチェスター大学ウィットワース美術館が誇る英国水彩画のコレクションの中から、
選りすぐりられた名品ばかり約150点を紹介している超大型の水彩画展です。
なんとなく、水彩画よりは油彩画の方を有難く思ってしまう傾向がありますが。
そんな油彩画至上主義の方でも、さすがに、この水彩画展には十分満喫できるはず。
それくらいに質、量ともに、充実した内容になっていました。
実は、僕も、今日まで、隠れ油彩画至上主義者だったのですが、
今回の美術展を通じて、油彩画とは違う水彩画の魅力に目覚めました。
油彩画は離れて観る分には楽しめますが、
近づきすぎると、何が描かれているのか判別できないことが、往々にしてあります。
しかし、水彩画は、離れて観ても、近づいて観ても、どちらの観賞にも適しています。
1粒で2度美味しい。
つまり、今回の美術展には、約150点が展示されていますから、
離れて観て、近づいて観て・・・で、約300点の作品を観られるようなものです (←?)
それだけに、さすがに、今回の美術展は、ボリューミー。
いくら水彩画は油彩画よりもあっさりしているとはいえ、かなりボリューミーです。
特に、J.M.W.ターナーの作品は、冒頭で紹介した 《ルツェルン湖の月明かり、彼方にリギ山を望む》 だけでなく、
《シャモニー渓谷、彼方にモンブランを望む》 や、
《アップナー城、ケント》 など、
計30点が出展されています。
今回の美術展の出展作品の実に5分の1が、J.M.W.ターナーの作品。
J.M.W.ターナーは好きな画家ですが、今回ばかりは、さすがに飽きてしまいました (笑)
ちなみに、その全30J.M.W.ターナー作品の中で、
僕が一番好きなのは、《旧ウェルシュ橋、シュロップシャー州シュルーズベリー》
もし、自分がこれと同じ光景を目にしたら、
間違いなく、同じ構図で写真に収めたくなるだろうなァと、共感めいたものを覚えました。
時代や国は違っても、 「カッコイイ!」 と思う構図って普遍的なのかもしれませんね。
さてさて、約150点も出展されていますので、
J.M.W.ターナーの作品以外でも、気に入った作品&インパクトが強かった作品が多数あります。
そのうちのいくつかをご紹介いたしましょう。
まずは、ジョン・エヴァレット・ミレイの 《ブラック・ブランズウィッカー》
ブラック・ブランズウィッカーとは、
ドイツを占領したナポレオン軍を撃退するために募った義勇軍の英国での呼び名なのだとか。
そんなブラック・ブランズウィッカーの恋人を案じる女性を描いた一枚。
まさに、昼ドラ。
続いて、アンドリュー・ニコルの 《北アイルランドの海岸に咲くヒナゲシとダンルース城》
ヒナゲシというと、丘の上に咲いているイメージがありますが (←アグネス・チャン?)
北アイルランドにも咲いているのですね。
ヒナゲシとイギリスの古城の組み合わせが、
合っていないようで合っているようで、不思議な魅力の一枚です。
最後は、今回の美術展で一際異彩を放っていた一枚をご紹介。
ウィリアム・ブレイクの 《日の老いたる者》 (『ヨーロッパ』図版1、口絵) です。
英国の水彩画の巨匠たちに交じって、
永井豪の作品が展示されているのかと、一瞬ビックリしてしまいました (笑)
美術ブログのランキングにご協力をお願いします。
第四十話 国宝ハンター、怒涛の7日間を折り返す!
~前回までのあらすじ~
♪日曜日にトーハクに行き~ 国宝の金剛経を観る~
テュリャテュリャテュリャテュリャテュリャテュリャリャーテュリャテュリャテュリャテュリャーリャー
月曜日に日光巡り~ 火曜日に大宮に行く~
テュリャテュリャテュリャテュリャテュリャテュリャリャーテュリャテュリャテュリャテュリャーリャー
皆様これが私の 一週間の途中経過です~
テュリャテュリャテュリャテュリャテュリャテュリャリャテュリャテュリャテュリャテュリャーリャー
・・・というわけで、この一週間休まずに、毎日国宝を観ている国宝ハンターです。
~10月31日 国宝7Days 【4日目】~
この日は、根津美術館で始まった “ZESHIN―柴田是真の漆工・漆絵・絵画” の内覧会に出席。
もちろん、展示室1・2で公開中の柴田是真の作品も大変素晴らしかったですが。
“経典をかざる ―装飾経にこめた願いー” というテーマ展示が開催中の展示室5では、
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
《観普賢経〈(裝飾経)/〉》 (ジャンル:書跡・典籍) が展示中!
こちらも素、是真作品に負けないくらい素晴らしかったです (何せ国宝ですから!)
~11月1日 国宝7Days 【5日目】~
本日は、近代で唯一の国宝建築 《旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)》 の前庭が公開される日 (3日間開催)
おそらく一生、パブリックに迎賓館に招待されることがない僕には、門をくぐる絶好のチャンス!
というわけで、午後に行ってきました。
“早速、門の中に迎賓していただこうかしら♪” と思ったその時!
「すいません。受付は15時30分までなんです」 と、警備員さんに足止めをされてしまいました。
・・・・・えっ、そうなの (汗)
時計を確認すると、時刻は、15時40分。
開放している時間は、16時まで。
「なんとかなりませんか?」 と、必死に頼み込むも、
「なんとかなりません。」 と、あっさり断られました。
国宝7Days 【5日目】 ・・・まさかの成果0で終了。
~11月2日 国宝7Days 【6日目】~
時刻は朝9時。
夜勤を終えた僕は、その足で・・・
迎賓館に、やって来ました。
そう。迎賓館リベンジです。
気合を入れまくって、開館の1時間も前に到着したのですが、すでに僕の前には3人もの人が。
この人たちも、昨日に同じ目に遭ったのでしょうか?
今年一番の冷え込みという寒さの中、ただただ門が開くのを待つ僕。
そうこうして待っている間に、僕の後ろの列が、どんどんと長くなっていきました。
10時に近づく頃には、100人近い行列が完成。
10時前に、こんなに人が並ぶだなんて、パチンコ屋といい勝負です (笑)
かくして、すっかり体が冷え切ったところで、ようやくゲートがオープンしました。
場所が場所なだけに、ガードは厳しめ。
手荷物チェックや金属探知機によるチェックをして、
いざ、迎賓館へ!
と、気づけば、行列の先頭グループの3人を抜き去って、僕が一躍トップに!
このまま先頭でゴール出来れば (←?) 、
一瞬だけでも迎賓館は僕だけのもの (←??)
自然と早歩きになってしまいます (笑)
そして・・・
トップでゴール!!
「迎賓館は、僕のものだ~~~~~!!!!」
マイベストアングルを求めて、
人があまり来ないうちに、写真をたくさん撮りました。
今回、見学できたのは外観だけでしたが。
外観だけでも十分に満足できるくらいに素晴らしい建築でした。
本当に僕のものだったら、どんなにいいことでしょうか (笑)
ひとしきり撮影した後、ふと見まわしてみると、こんなものを発見!
まさかまさかの物販コーナーです。
迎賓館の皆様も、意外と商魂が逞しくていらっしゃいます (笑)
さて、混んできましたので、僕は、ここらでお暇を。
本日は次なる国宝を観るために、鎌倉に移動しなくてはなりません。
・・・と、門を出ようとしたその時、
ふと左に目をやると、見慣れない建物の姿が飛び込んできました。
「ん?あの建物は??」
気になったので、近くの職員さんを捕まえて訪ねてみたところ、
あの建物は普段は守衛室で使っているとのこと、設計は赤坂迎賓館と同じ片山東熊であるとのこと…etc
が、判明いたしました。
ただ、屋根の上に、
妙なクジャクが乗っている理由は、職員さんでもわからないそうです。
謎のクジャクが気になって気になって、しばらく見続けてしまいました。
・・・・・・あっ、いやいや、のんびりしている暇はありません。
いざ、鎌倉。
To Be Continued
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維新の洋画家 川村清雄
“維新の洋画家 川村清雄” という美術展。
・・・・・・・・・・。
芸術の秋なのに。
開館20周年記念特別展なのに。
何ともパッとしない感じの美術展です。
そもそも、 『川村清雄』 の名を知っている人は、どれくらいいるのでしょうか?
おそらく、よほど美術に興味がある人を除いては、
「川村清雄って、誰?何している人??」
と、芸術家であることすら知られていないのではないでしょうか。
ちなみに、僕は、かろうじて・・・
(注:展示は11/13~12/2)
こちらの篤姫の肖像画としてお馴染みの 《天璋院像》 を描いた画家として知っていました。
・・・でも、所詮それくらいです。
「そんな知名度の低い画家を真っ向から取り上げた美術展に、どうして期待が出来ようか!」
と、正直、この美術展を開催する江戸東京博物館のセンスを疑っていたのですが。
実際に美術展を観賞した後の率直な感想は、
「そんな知名度の低い画家を、あえて真っ向から取り上げた美術展を開催してくれてありがとう!」
に、コペルニクス的に転回しました。
こんな素晴らしい美術展を見抜けなかった、むしろ自分のセンスを疑います。
今回の展覧会のポイントは、何と言っても、
《川村清雄の渡航安全を祈願した守札》 や、 《川村清雄印刷局辞令》 など、
川村清雄に関する歴史資料が、美術展の全出展作品の、実に半分を占めている点。
知名度が、まだまだ低い川村清雄。
そんな川村清雄だけに、多くの歴史資料を併せて展示することで、
「この美術展をきっかけに広く知ってもらいたい!」 という、江戸東京博物館の熱い想いを感じました。
川村清雄の意外な交友関係の数々や、日本の最初期の洋画家としての生きざまなど、
美術展を通して、知られざる川村清雄像が明らかになっていくさまは、単純に面白く。
「どうして、こんなにエピソードが豊富な画家が、今まで知名度が低かったのだろう?」
と、首を傾げたくなるほどでした。
個人的に印象に残っているエピソードは、徳川家派遣留学生時代に、渡欧した先で、
当時7歳の津田梅子を看病することになり、麻疹をうつされて大変だったというもの。
意外なところで、歴史上の人物同士が出会っているのですね。
また、川村清雄がヴェネチア留学時代に、もっとも感銘を受けた画家というだけで、
ティエポロの 《聖ガエタヌスに現れる聖家族》 が、ヴェネツィア・アッカデミア美術館から緊急来日!
『ウチくる!?』 の登場ゲストのような扱いで来日してもらって申し訳ないくらいです (笑)
もちろん、歴史資料やエピソードばかりが紹介されているわけではありません。
今回の川村清雄展には、彼の代表作や初公開作品を含む約100点の絵画も展示されています。
最大の恩人である勝海舟の追悼作品として描き、
終生手元に置いていたとされる 《形見の直垂(虫干)》 をはじめ、
パリ留学時に訪ねたコローの影響が見られる 《貴賤図(御所車)》
そして、この美術展のために、オルセー美術館から初里帰りを果たした 《建国》
などなど、そのラインナップの充実ぶりは、
まさに最大規模の川村清雄回顧展に名に恥じないものです。
ただ、これは、あくまで僕の個人的な感想ですが。
川村清雄の作品は、いろんな作風にチャレンジしていることもあって、
当たり外れが大きいような気がします (笑)
イイと思う作品は、いつまでも眺めていたくなるくらいに素晴らしくて、
そうでもない作品には、とことん興味が湧かないという。
全部が全部、感動する作品というわけではないのが、川村清雄美術のミソです。
ちなみに、僕が、いつまでも眺めていたくなった作品を、いくつかご紹介いたしましょう。
まずは、 《滝》
川村清雄本人曰く、
「雪舟も応挙も滝を描いているが、これは、洋画の手法ならではの滝の絵である」
とのこと。
確かに、油絵の具を力強く塗り重ねることで、滝の迫力を表現した洋画ならではの絵でした。
雪舟の滝の絵も、応挙の滝の絵も素晴らしいのですが、あちらはサイレントの世界。
一方、清雄が描いた 《滝》 には、瀑布の音が響き渡っています。
なんなら、水しぶきも感じます。
流れ落ちる滝の壮絶なパワーを、
さらに圧倒的なパワーで、無理やり絵の世界に押し込めたかのような一枚。
続いて、 《徳川家茂像》
初見は、 「なんだ徳川家茂を描いた絵か」 と、特にそれ以外の感想を持てませんでした。
しかし、背景に注目すると、
単なる肖像画とは違う独特の表現がなされているのに気づきます。
現代の作家で言うと、有本利夫のような。
古い芸術で言うと、ルネサンスの壁画のような。
ともあれ、和風ではないことは確かです。
そんな背景と徳川将軍のコラボレーション。
ある意味、シュルレアリスムな作品です。
《江戸城明渡の帰途》 は、思わず声を上げたくなる作品。
無血開城を終えて帰途に就く勝海舟の背後には、斬りかかろうとする旧幕府軍将官の姿が。
しかし、のんきな勝は、その危険には、全く気付いていません。
思わず、 「勝、うしろー!」 と叫びたくなります。
最後は、慶応義塾大学が所蔵する 《福澤諭吉肖像》
・・・・・一万円札の時よりも、ちょっと疲れていらっしゃるような。
一万円札の時を、絶好調とするならば、
この肖像画の福沢さんは、6400円くらいでしょうか。
と、いろいろな作品を紹介してきましたが。
やはり、今回のベスト1は、何と言っても、 《建国》
パリの美術館に、 “日本” を象徴する絵を納める。
そんな大事業を、川村清雄がやってのけたことに、純粋に驚きますし、
そんな大事業に挑んだ時、川村清雄は70歳後半だったということに、さらに驚かされます。
絵としても、日本代表に相応しい一枚で、
この作品がオルセー美術館に所蔵されていることは、日本人として誇らしい気持ちになります。
ただ、気になったのは、モチーフや作風は、完全に日本なのですが。
画面右上の勾玉が、トリコロールカラーだったり、
画面下に描かれている3本の紐が、イタリアの国旗の色だったり。
「あっ、ヨーロッパを、意識しちゃいましたね (笑)??」 という箇所も、チラホラ。
川村清雄のお茶目な面も垣間見える作品である。
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