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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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もうひとつの川村清雄展

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昨日は、江戸東京博物館で開催中の “川村清雄展” を紹介しましたが。
本日は、目黒区美術館で開催中の “もうひとつの川村清雄展” をご紹介いたします。

これまで、数多くの美術展を紹介してきましたが・・・

ここまで、堂々と便乗した美術展は初めてです (笑) !!


完全に、 “川村清雄展” に乗っかった形ですが、
こうもストレートなタイトルを付けられると、もはや一周回って、潔さすら感じます。

さて、こちらの “もうひとつの川村清雄展” では、
川村清雄の代表作の一つ 《村上彦四郎(村上義光 錦御旗奪還図)》 を中心に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-村上彦四郎(村上義光 錦御旗奪還図)


《ヴェネチア風景》 や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ヴェネチア風景


《梅に雀》 など、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-梅に雀


目黒区美術館所蔵の川村清雄作品が紹介されています。
これらの川村清雄作品は、その寄贈者の名前を取って、 “加島コレクション” と呼ばれているのだとか。

また、その “加島コレクション” と合わせて、
那珂川町馬頭広重美術館が所蔵する川村清雄作品の数々も展示しています。
そちらは、寄贈者の名前を取って、 “青木コレクション” と呼ばれているのだそうです。
ちなみに、今回の美術展が、“加島コレクション” と “青木コレクション” との初顔合わせ。
川村清雄ファンにとっては、2大コレクションの夢の競演というわけです。


さらに、そんな2大コレクションに加えて、
幸田露伴の 《洗心廣録》 をはじめ、川村清雄が装丁を手がけた数々の本も紹介しています。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-洗心廣録


川村清雄の装丁家としての一面も、
今回の美術展では、余すことなく紹介していました。


そういうわけで、タイトルが違うものならば、
一つの独立した川村清雄展として十分に成立していた美術展だった気がしますが。
なにぶん、ご本人 (=目黒区美術館) が、
『もうひとつの』 と言い切ってしまっているために、
「B面」 感や、 「補足」 感、 「おまけ」 感が、どうしても拭えませんでした。
星
タイトルや立ち位置って、とても大切な要素なのですね。



もちろん、美術展に、 「B面」 感や 「補足」 感を感じたからと言って、
川村清雄の作品そのものには、 「B面」 感や 「補足」 感は、ありません
江戸東京博物館に展示してある作品と同じくらいに、目を惹く作品が多数ありました。

例えば、 《なた豆に雀》 という作品。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-なた豆に雀


こちらは、黒漆の上に、なた豆と雀の姿を油彩で描いた作品です。
飛んでいる雀の一瞬の姿が、黒い背景に浮かび上がる様は、
まるで、もの凄く高性能なデジカメで撮った写真であるかのよう。
思わず息をのむ作品です。


漆の上に鳥を描いた作品シリーズ (?) として、 《鸚鵡》 も展示されていました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-鸚鵡


こちらは、朱の漆が使われていることや画題の違いからか、
《なた豆に雀》 と比べると、だいぶ華やかな印象の作品でした。
漆の上に描かれているため、絵の一部が剥がれ始めてしまっているのが残念。
このままの状態をキープしてもらいたいものです。


いや、しかし、 《鸚鵡》 よりも、状態が厳しいことになっている作品が・・・。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-題不明


《題不明》 のこちらの作品は、なんと黒繻子帯の上に油彩で描かれている作品。
まぁ、それは、絵が剥がれてくるのも当然ですよね。。。
剥がれているとは言っても、まだ十分観賞に耐えうるレベルですが、
何度も何度も洗って着続けてるプリントTシャツみたいな状態になっていました (笑)


最後は、自分的に一番好みだった作品を。
江戸東京博物館のほうの川村清雄展に出展されていた滝の絵は、かなり素晴らしかったですが。
今回の目黒区美術館で出展されていた 《瀑布(瀧)》 も、良かったです♪

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-瀑布(瀧)


サイズが2回りくらい小さいので、迫力は劣るものの。
右下に描かれた猿たちの姿が、とてもいいアクセントになっています。
滝に猿・・・もしや、日光??




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第四十一話 国宝ハンター、怒涛の7日間・・・散る。

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前回までのあらすじ~
 月月火水木金金。
 今週は、国宝を毎日見続ける生活に挑んでいる国宝ハンター。
 上野 (トーハク) に、日光に、大宮に、表参道に、赤坂に。
 さすがに毎日国宝を見続ける生活をしていると、夢の中でも国宝ハンティングする始末。
 
 「もう国宝食べられないよ~ムニャムニャ」

 ・・・って、どんな夢を見ているんだか?!



~11月2日 国宝7Days 【6日目】の続き

迎賓館を後にし、鎌倉へ向かいました。
約1時間後、JR北鎌倉駅すぐの円覚寺に到着。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-円覚寺


国宝ハンター的には、でかでかと書かれた 『宝物風入』 の文字よりも。
その脇に、小さめに書かれた 『国宝円舎利殿同時特別公開』 の文字に釘付けです。

実は、数か月前にも、円覚寺を訪れているのですが。
第ニ十九話 国宝ハンター、鐘を鳴らす?
その時には、国宝の舎利殿は公開されていなかったのです。
国宝の舎利殿の近くまで行くことが出来るのは、1年間を通じて、秋の3日間だけ。
この時期を逃すと、来年まで、チャンスが巡ってこないのです。

さて、そんなお目当ての国宝建造物 《円覚寺舎利殿》 が、こちら↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-円覚寺


・・・イマイチ、全体像が写っていない写真で、すいません。
改めまして、 《円覚寺舎利殿》 は、こちらです↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-舎利殿


・・・・・本当は、皆様に全体写真をお見せしたいのですが。
写真撮影は禁止とのこと。
これらの写真で、ご容赦くださいませm(__)m

ちなみに、こんなよくわからない写真しか紹介できなくてなんですが。
この 《円覚寺舎利殿》 を観れたことで、関東にある国宝建造物はすべて観たことになりました!
おめでとう、国宝ハンター!!


さてさて、 《円覚寺舎利殿》 も無事に観れたことですし、
今日は寝てないことですし、もう帰ろう・・・そう考えたところで、ふと閃くものがありました。

「あれっ、円覚寺で宝物風入をしているってことは、近くの建長寺でも宝物風入をしてるんじゃね??」

もし宝物風入をしているならば、あと2つの国宝を観れることになります。
眠気はピークに差し掛かっていますが、
もし国宝が公開されているのに、逃してしまったら、あとで後悔するのは必至。
(注: “公開” と “後悔” を掛けたわけではありません)

眠い目をこすりつつ、建長寺へと向かうと・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-建長寺


宝物風入が行われているようです!
無駄足にならなくて良かったです!!

ところで、先ほどから、当たり前のように使っている 『宝物風入』 という単語。
一体、どういう意味なのかは、建長寺さんが端的に解説してくれていました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-宝物風入


↑そういうことです。


こちらの建長寺が所蔵している国宝は、2件。
宝物風入では、もちろん2件とも展示されていました。

1つは、建長寺の開山である蘭渓道隆を描いた 《絹本淡彩蘭溪道隆像》 (ジャンル:絵画)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-絹本淡彩蘭溪道隆像


そして、もう1つは、その蘭渓道隆の自筆による 《大覚禅師墨蹟〈法語規則/〉》 (ジャンル:書跡・典籍)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-書跡・典籍


文字だらけで何が書かれているのか、ちんぷんかんぷんだったのですが。
建長寺の方が、解説してくれたので、助かりました。
何でも、 《大覚禅師墨蹟〈法語規則/〉》 に書かれているのは、
この建長寺で修行する僧たちへの訓示や校則 (?) のようなもの。
ざっくりと言えば、 「指示待ち人間になるな!」 という戒めが書かれているのだそうです。
また、修行生活のルールを破った場合の罰も書かれています。
一番ポピュラーな罰として、 『罰油一斤』 という単語が、たびたび登場しています。
これは、油一斤の火が燃え尽きるまで、座禅をしていなくてはならない罰なのだとか。
バケツを持って廊下に立つ代わりに、建長寺では、こんな罰が待っていたのですね。



~11月3日 国宝7Days 【7日目】~

いよいよ、国宝7Daysも最終日。
短いようで長い7日間でした。
・・・って、まだ終わっていないですね。

本日は、千葉県にある法華経寺にやって来ました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-法華経寺


こちらは、日蓮宗の大本山。
当然のように、日蓮さんもいらっしゃいます。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-日蓮


こちらの法華経寺が所有する国宝は、2件。
日蓮さんが書いた 『観心本尊抄』 と 『立正安国論』 の原本があるのです。
貴重な原本のため、公開されるのは、なんと1年を通じて、11月3日の1日だけ。
しかも、11時から13時半の間だけ。

なんとも国宝7Daysの最終日を飾るに相応しい国宝ではないですか。
そう。この超貴重な国宝を観ようと、
実は、昨年の12月から、この日を待ちわびていたのです。

では、逸る気持ちを抑えつつ、いざ国宝のもとへ・・・・・って、ん?

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-門


なんか、門に張り紙がしてありますね。
なんか、嫌な予感がしますね。
(そして、こういう予感は当たるのです!)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-中止


「オーマイゴッド!!」

何、中止ですと?
そんなバカな。

「何かの間違いであってください!」

南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏・・・
一縷の望みを込めて、国宝があるとされる聖教殿へと足を進めます。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-聖教殿


「オーマイガッド!!」
(↑意味もなく、発音を良くしてみました)

関東地方よりも先に、僕の心に木枯らし1号が吹きました木枯らし


その後、傷心のまま、法華経寺を後にし、
気づいた時には、自然と足がトーハクへと向かっていました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-トーハク


最終日に何にも国宝を観ないわけにはいきませんので、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-出雲-聖地の至宝-


開催中の特別展 “出雲-聖地の至宝-” を観賞。
こちらの展覧会で、以下の3件の国宝をゲットしました。

《秋野鹿蒔絵手箱》 (ジャンル:工芸品)

$アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-秋野鹿蒔絵手箱


《島根県加茂岩倉遺跡出土銅鐸》 (ジャンル:考古資料)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-銅鐸


《島根県荒神谷遺跡出土品》 (ジャンル:考古資料)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-島根県荒神谷遺跡出土品


どうにかこうにか、最後にトーハクに滑り込みで、
3件の国宝をゲットすることが出来たわけですが。
自分の中では、法華経寺が空振りに終わったことで、不完全燃焼な感じは否めません。
悔しいので、いつかまた国宝7Daysに挑戦したいと思います。


今現在の国宝ハンティング数 275/1085




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【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】

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現在募集中のアートツアーです。
アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画となっておりますので、どうぞお気軽にご参加くださいませ音譜
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。



・11/17(土) ぶらり浮世絵散歩~外堀編~

「浮世絵を片手に、街を歩こう。」

をコンセプトに、某浮世絵専門美術館の学芸員さんと、
浮世絵が描かれた舞台・江戸(=東京)の街並みを、歩くツアーです。

“浮世絵に描かれた街並みは、今、どうなっているのか?”

浮世絵に描かれた場所に実際に赴き、浮世絵と見比べてみましょう!

講師は、某浮世絵専門美術館の学芸員アキラさん。
フリーダムな(?)語り口で、浮世絵の魅力を伝えてくれるホンワカ系の学芸員さんです。

今回の舞台は、江戸時代の痕跡が、そのまま残っている 『外堀』 。
神楽坂・市ヶ谷・四谷と、外堀沿いを旅します。
広重や北斎は、この周辺を、どのように描いていたのでしょうか(-^□^-)

浮世絵に描かれた “坂のある風景” を、今の様子と見比べてみたり。
四谷を舞台にした、あのお馴染みの物語にまつわる場所を訪れてみたり。
いつになく、バラエティ豊かな行程になっています。
乞うご期待♪


時間は13時から17時までを予定しています。
定員は、12名。
講師代として、お一人様2000円頂戴いたします。


浮世絵が好きな人は、もちろんのこと、
そうでない方にも楽しんで頂ける世界初 (?) の浮世絵バラエティツアー!
是非、皆様のご参加をお待ちしております。




新たなツアー企画は、内容が決まり次第、随時こちらの記事を更新してお伝えいたします。


参加希望の方は、こちらのメールフォームよりお知らせください。
http://homepage3.nifty.com/art-teller/tony_contact.htm

須田悦弘展

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千葉市美術館で開催中の “須田悦弘展” に行ってきました。
こちらは、現在活躍中の彫刻家・須田悦弘さん (1971年~) の過去最大級の個展です。

須田悦弘さんは、僕の好きなアーティストの一人。
現在活躍されている彫刻家の中でも、
須田さんの実力は、頭一つ・・・いや、二つくらい飛び抜けています。
そんな彼が作り出すのは、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《泰山木:花》


こちらの 《泰山木:花》 のような超リアルな花や草の木彫作品の数々。
花弁や葉の質感が、本物そっくりなのは、当然のこととして、
息を吹きかけたら揺らいでしまいそうな、植物のはかなげな存在感までもが、完璧に再現されています。
見つめるだけで、こんなにも心を震わされる木彫作品が、他にあるでしょうか?


しかし、ただ巧いだけなら、須田さんの実力は、単なる神レベルということになります (←?)
彼の実力が、頭二つ分飛び抜けているのは、
そんな自身のリアルな木彫作品を、 「どのように見せるか。」 というところまで、こだわっていることにあります。


例えば、先ほど紹介した 《泰山木:花》
こちらの作品は、実は、インスタレーション作品の一部。
実際は、このような大きな細長い箱の中に収められています。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《泰山木:花》


正面から見ると、このような感じ↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《泰山木:花》


こちらの中には、一人ずつ入れるようになっており、
奥に設置されている 《泰山木:花》 まで近づくことが出来ます。
(靴を脱いで、入ります)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《泰山木:花》


かくして、一人だけの空間で、 《泰山木:花》 と向き合うことになります。
もし、普通に、そこら辺の展示ケースに展示されていたなら、

「あ、リアルな木彫だなァ」

としか感じなかったかもしれませんが。
須田さんの生み出した、この空間の中で、
彼の木彫を観ることにより、その作品から、より多くのことを感じ取れた気がします。

彫刻を完成させて終わり、ではなく、
完成した彫刻作品を、いかに最高の形で観賞してもらうか、そこまで考え抜かれた須田悦弘さんの世界。
これまでの “観る” だけの彫刻から、 “体感する” 彫刻へ。
須田さんの登場で、彫刻界は、一段階先にステップアップしたのではないでしょうか。


ちなみに、今回の須田悦弘展には、
《泰山木:花》 のような大型作品が、5点ほど展示されています。
作品の中で座って観賞する茶室を思わせるタイプの 《睡蓮》 という作品や、
彼の実質デビュー作である 《銀座雑草論》 も、出展されていましたが。
僕的に一番お気に入りなのが、新作の 《芙蓉》 という作品。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《芙蓉》


内部が全て漆塗りされているため、漆臭いのは、やや難ですが (笑)
その漆臭さを補って余りあるほど、幻想的な空間が広がっていました!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《芙蓉》


芙蓉の木彫作品そのものも、もちろん美しいのですが。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《芙蓉》


漆に映った芙蓉の姿も、また美しい。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《芙蓉》


いつまでも、ここに居続けたいくらいですが、
一人ずつしか入れないので、あまり長居は出来ません。
(僕が訪れた時は平日で、空いていたから、まだ良かったですが、
会期終了間近の土日に、お客さんがたくさん入った場合、どう対処するのか心配です・・・)


さてさて、こうした大型作品も、須田さんらしい作品ではあるのですが。
僕の中での須田悦弘さんのイメージは、
“超リアルな草や花の木彫作品を、超さりげな~い形で展示する作家さん” というもの。

ヴァンジ彫刻庭園美術館での展覧会 でも、超さりげな~い形で作品を展示していましたが、
今回の千葉市美術館の須田悦弘展でも、
それと同じくらいに、いや、それ以上に、超さりげな~い形で作品を展示しています。


例えば、こちらの展示室。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-須田


巨大な展示ケースの空間は、空っぽです。
しかし、美術展の冒頭で貰う展示リストを見ると、確かに、この部屋に、須田さんの作品があるはずです。

「う~ん。どこだ??」

何もない展示室を、しばらくキョロキョロと見回していると・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-須田悦弘


「!!!!!」

なんとなんと監視員さんの椅子の下に、 《雑草》 という作品が (笑)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-須田


さらに、この展示室には、もう1つ 《スミレ》 という作品があるのですが。
見つけるのに、リアルに5分もかかってしまったので、皆様にも教えません (笑)

ちなみに、この 《スミレ》 を筆頭に、
7階に展示されている 《葉》 という作品と、
今回は、特別に会場となっている1階のさや堂ホールにある・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-さや堂


《桔梗》 という作品が、 『探すの大変な作品ベスト(ワースト?)3』 です。
宝探しに自信のある方は、是非チャレンジしてみてくださいませ (笑)

探しに探しても見つからない。
そんな時は、監視員さんに尋ねてみましょう。
決して、答えは教えてくれませんでしたが (笑) 、ヒントはくれました。



・・・と、これだけでも十分すぎるほど、
千葉まで通う価値がある素晴らしい美術展なのですが。
“須田悦弘展” と同時開催中の “須田悦弘による江戸の美” が、輪をかけて、素晴らしい美術展だったのです。

こちらは、千葉市美術館のコレクションの中から、
須田さんが展示する作品を選び、なおかつ須田さんの演出で展示している美術展。
これまでの美術展の概念を覆す、アーティストならではの斬新な展示に、思わず興奮していしまいました。

例えば、こちらの展示室。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-浮世絵


一体、何が展示されているのかと言いますと・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-浮世絵  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-浮世絵


そう。浮世絵です。
一つ一つのケースに、浮世絵が1点ずつ展示されており、
上から眺めるようにして、観賞することが出来るのです。
これまでに数多くの浮世絵展を観賞してきましたが、こんな観賞スタイルは初めて。
ライティングが直接当たることで、雲母擦りのキラキラ感を、強く感じることが出来ました。
ちなみに、このケースは、今回の美術展のために作られたのだとか。
今後も、是非、活用して欲しいものです。


また、千葉市美術館のコレクションと須田作品とのコラボも。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-須田悦弘


この他にも、屏風作品と須田作品のコラボなんかもありましたが、
個人的に一番感銘を受けた 『千葉市美術館コレクション×須田悦弘の彫刻』 の組み合わせが、こちら↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-花鳥


長澤芦雪の 《花鳥蟲獣図巻》 の中で雀たちが描かれている部分に・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-花鳥蟲獣図巻


須田さんが木彫で作った米粒が (笑)!!

もはや神がかり的な演出です。
こんな斬新な演出をした須田さんも素晴らしいですが、
それに全面的に乗っかった千葉市美術館も素晴らしいと思います。
星星星
この美術展を観なかったら、絶対に後悔します!
自信を持って、3つ星。




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出雲-聖地の至宝-

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現在、出雲大社は、60年ぶりに、本殿の修復や檜皮葺の屋根の葺き替えが進められています。
また、今年は、出雲大社についても語られている 『古事記』 が編纂されて、ちょうど1300年の節目の年。

そんな奇跡的なタイミングを記念して、
現在、東京国立博物館では、 “出雲” にスポットを当てた “出雲-聖地の至宝-” が開催中!
出雲大社の宝物をはじめ、島根県を代表する文化財の数々が紹介されています。


東京展に先行して開催されていた京都展が、かなり好評だったとのことなので。
かなり期待をして訪れたのですが・・・・・。

「えっ、これで終わり??」

という感じがハンパではなく、物足りないことこの上ない展覧会でした。


重要文化財の 《鹿埴輪》 や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-鹿埴輪


国宝の 《鳥文縁方格規矩鏡》 をはじめ、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-鳥文縁方格規矩鏡


京都展では出展されていた作品の半数近くが、東京展では出展されていませんでした。
さらに、“古事記1300年 特別展” とか言いながら、
京都展では出展されていた国宝の 《古事記》 も出展されていないという現状。。。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-古事記


古事記が出展されていないのに、 “古事記1300年” の特別展とは、これいかに?!
京都展と比べて、スケールダウンしている感は否めません。

・・・と、HPを、よく観てみると、今さらながら、あることに気が付きました。
巡回展ながら、京都展と東京展では、タイトルが違うのです。

東京展のタイトルは、 “出雲-聖地の至宝-” 。
そして、京都展のタイトルは、 “大出雲展” 。

タイトルからして、スケールダウンしていました (笑)


さらに。
今回の展示の目玉の一つである出雲大社所蔵の国宝 《秋野鹿蒔絵手箱》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-秋野鹿蒔絵手箱


こちらが、東京展で展示されているのは、先週の11月4日まで。
つまり、今週からは、さらなるスケールダウンな展覧会になっています。
星


というわけで、全体的には、ガッカリな感じでしたが。
今回の展示のもう一つの目玉である出雲大社の 《宇豆柱》 は、見られて良かったです。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-宇豆柱


宇豆柱とは、出雲大社本殿の棟を支えていた柱で、
3本の杉の大木を束ねることで、直径3メートルの1本の太い柱にしたものです。
3本の大木を束ねちゃうなんて、杉だけにワイルドだぜぇ~。
たかが杉なはずなのですが、出雲大社を長年支えてきたからでしょうか。
ただの杉とは思えない神聖なパワーが発せられていました。


それと、島根県の加茂岩倉遺跡から出土した 《銅鐸》 の数々にも同じくらい感動しました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-銅鐸


長い年月を経て、銅鐸の表面は、完全に酸化してしまっていたわけですが。
その緑青の発する色合いの美しさと言ったらないです。
まるで最高峰の日本画を観ているかのような美しさでした。
(日本画の岩絵の具には、緑青が使われています)


《宇豆柱》 や加茂岩倉遺跡の 《銅鐸》 が良かっただけに。
東京に巡回して来るのを待たないで、いっそ京都へ行ってしまえば良かったなァと、今さらながらに後悔です。




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中国 王朝の至宝

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東京国立博物館で開催中の “中国 王朝の至宝” に行ってきました。

こちらの美術展には、特別出品の 《阿育王塔》 をはじめ、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-阿育王塔


四川省の成都市金沙遺跡から出土した 《金製仮面》 に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-一級文物 金製仮面


前4世紀、戦国時代に作られた高さ約1.5メートルの 《虎座鳳凰架鼓》 など、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-虎座鳳凰架鼓


中国が誇る一級文物 (=中国の国宝) の数々が出展されています。
その割合は、なんと全出展作品のうちの約60%!
つまり、出展作品の3つに2つは、一級文物ということ!!
いかに破格の美術展かということが、お分かり頂けることでしょう。


いくらか落ち着きを見せているとは言え、
まだまだ日本と中国との関係が、ビミョ~なこの現状で、
今回の美術展を無事に開催することができたのは、奇跡的なこと。
いろいろと開催まで大変だったのだろうなァと、その苦労が偲ばれます。
入場の際に、手荷物検査が義務付けられていますが、
無事に開催して頂けたのですから、それくらいの煩雑さは、なんのそのです。




・・・・・ただし。
日中関係をビミョ~にするつもりは、さらさら無いのですが。
僕的には、今回の美術展は、イマイチ乗り切れない美術展でした。
展示されているもの自体は、とっても素晴らしいのですが、
中国の歴代王朝を対決形式で紹介するという美術展のコンセプトは、とってもビミョ~。

「第一章 王朝の曙 蜀vs夏・殷」 とか 「第二章 群雄の輝き 楚vs斉・魯」 とか。
合計で、6ラウンドの対決 (?) が紹介されていたわけですが。
6×2で、全部で12の王朝が登場するので、
その都度、キャプションを通して、王朝についての知識をインプットしなくてはなりません。
そして、せっかく覚えても、1王朝につき、平均して展示品は15点くらいなので、
深い理解を得る前に、 「あ、もう次の王朝が出てきた (汗)」 となる繰り返しでした。
全体をパラパラと眺めて、なんとなく、

「中国には、こんな王朝の数々があったんだ~。ふ~ん」

というくらいに理解を留めるのが、ちょうどよい美術展だった気がします。
ディアゴス○ィーニ社あたりが、 『週刊 中国の王朝』 という雑誌を創刊したら、
1冊 (1王朝) につき、これくらいの情報量が語られるんだろうなぁという感じでした。
2つ星。
星星


さてさて、ビミョ~とは言っても、
「1級文物が60%も展示されている美術展」 というのは、ダテじゃありません。
作品1つ1つのレベルは高いので、満足度が得られるのは確かです。

個人的に印象に残っている作品を、いくつかご紹介いたしましょう。
まずは、 《跪射俑》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-跪射俑


秦の始皇帝のお墓から発見された6000体以上の兵馬俑のうちの1つ。
跪いて、石弓を構えている姿を現しているのだとか。
確かに、その眼光は鋭く、人形とは思えない威圧感がありました。
トーハクにいた警備員さんよりも、ガードする気が満々だったような (笑)


続いて、 「斉」 の都の付近で発見されたという前4~3世紀の青銅器の容器 《犠尊》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-犠尊


このフォルムは、まさにロディ!
ポップな色合いじゃないけれど、ロディです!!
ロディのルーツは、斉文明にあったのですね。


全部で12の王朝が紹介されていましたが、
個人的にツボだったのは、蜀文明の作品が多数でした。
メキシコの覆面レスラーを彷彿とさせる 《人頭像》 だったり、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-人頭像


不敵な笑みを浮かべる謎キャラ 《突目仮面》 だったり。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-突目仮面


でも、その中でも、さらに一際異彩を放っていた蜀文明の出土品が、 《人形器》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-人形器


「なんだチミは(笑)!?」




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建築家のミタ ~芝・三田編vol.1~

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大東京お笑い建築ツアーの行程を、
誰にでも楽しんで頂けるように、 『もしもの日曜日の建築ツアー』 として提案する企画。

「もしも建築ツアーズ
 ~the architecture tour makes your Sunday Happy~」


今回の舞台は、大使館や宗教施設が多く、
某有名私立大学でもお馴染みな街 “芝・三田” 。
江戸の裏鬼門に当たるこの街に、建築家たちが作った名建築の数々とは?
(現在進行形で竣工中の建築もあります)


01 SHIBAURA HOUSE/妹島和世
 東京都港区芝浦3-15-4

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-SHIBAURA HOUSE

右矢印ここに注目!
 ○“公園のような建築”という概念で建てられた7層のオフィスビル
 ○中二階や吹き抜けのよって各フロアを組み合うように構成している
 ○コーナーに面した吹き抜けはスチールネットで覆われている

[とに~の呟き]
「スケスケなビルです。
 ハロウィンの時期に訪れたので、1階部分に、いろいろと貼られちゃっていました(笑)」




02 駐日クウェート大使館 /丹下健三
 東京都港区三田4-13-12

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-駐日クウェート大使館  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-駐日クウェート大使館 横


右矢印ここに注目!
 ○日本国内には少ない70年代の丹下健三の作
 ○上層部 (大使公邸) と下層部 (大使館の事務室) とをダイナミックに構成した建築。
 ○当時は珍しかった空中庭園がアクセントになっている

[とに~の呟き]
「閑静な住宅街に突如として現れる基地のような建築!
 建物のど真ん中に抜ける空間がありました。ジェンガの途中のような感じです。」




03 蟻鱒鳶ル/岡啓輔
 東京都港区三田聖坂途中

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-蟻鱒鳶ル


右矢印ここに注目!
 ○一級建築士・岡啓輔さんが、2005年よりたった一人で製作しているビル (地下1階地上4階)
 ○コンクリートも自家製で、その耐久性は200年とされる (既存のコンクリートは、約35年)
 ○名前の由来は、地の 『蟻』+水の 『鱒』 +空の 『鳶』 +巨匠の 『ル』

[とに~の呟き]
「ツアー中に、作業をしている岡さん本人に遭遇!アポなしで、インタビューさせて頂きました。
 かれこれ7年半かけて、ここまで完成させたとのこと。
 その特異な外観と、まだ完成しなさそうな様子は、まさに、日本のサクラダ・ファミリア!
 ちなみに、最終的には、雑貨店になるみたいです (笑)」




04 普連土学園/大江宏
 東京都港区三田4-14-16

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-普連土学園  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-普連土学園


右矢印ここに注目!
 ○日本におけるDOCOMOMO100選に選定されている学校建築
 ○円柱のコロネード (列柱) と赤い方形の屋根が特徴的

[とに~の呟き]
「建物よりも何よりも。
 “普連土学園” と書いて、 “ふれんど学園” と読むことに驚きました。
 “馬路須加女学園” と書いて、 “まじすか女学園” と読むみたいなものですね。」




05 簡易保険事務センター (旧逓信省簡易保険局)/逓信省経理局営繕課
 東京都港区三田1-4

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-旧逓信省簡易保険局


右矢印ここに注目!
 ○東京都内では数少ない戦前築の逓信建築



06 綱町三井倶楽部/ジョサイア・コンドル
 東京都港区三田2-3-7

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-綱町三井倶楽部


右矢印ここに注目!
 ○現存する数少ないジョサイア・コンドル建築のうちの1つ
 ○ルネサンス様式を基調とした宮殿造りの館

[とに~の呟き]
「旧逓信省簡易保険局と綱町三井倶楽部が向かい合っていました。
 この界隈に来るのは初めてでしたが、タイムスリップした気分になりました。
 なんだか映画のようなセットのような一体です。」




07 駐日オーストラリア大使館/デントン・コーカー・マーシャル
 東京都港区三田2-1-14

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-オーストラリア大使館

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-オーストラリア大使館  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-カンガルー


右矢印ここに注目!
 ○オーストラリア一の建築会社デントン・コーカー・マーシャルによる設計
 ○オーストラリアのモダンなイメージを表現
 ○建物の外壁はPVF2コーティングのアルミ仕上げ

[とに~の呟き]
「パッと見、まったくオーストラリア感はありませんが。
 檻に入ったカンガルーがいるので、オーストラリアの大使館だとわかります (笑)」




実は、名建築の宝庫だった “芝・三田” 。
続くvol.2では、昭和を代表するあのタワーが登場します!




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没後70年 竹内栖鳳 ―京都画壇の画家たち―

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「東の大観、西の栖鳳」 と並び称された近代日本画の巨匠・竹内栖鳳。
今年2012年は、そんな竹内栖鳳の没後70年という節目の年です。
その節目の年に、近代日本画の殿堂・山種美術館では、
“没後70年 竹内栖鳳 ―京都画壇の画家たち―” という大々的な回顧展を開催しています。

山種美術館のマスターピースの1つ 《斑猫》 を筆頭に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-斑猫


初期の作品 《飼われたる猿と兎》 から、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-飼われたる猿と兎


晩年の作品 《雄風》 まで。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-雄風


まさに傑作ぞろいで、近代日本画の殿堂・山種美術館ならではの竹内栖鳳展でした。
貫禄の2つ星。
星星


さすがに竹内栖鳳の作品は何度も目にしていますが、
実は、このような回顧展という形で観賞するのは、初めてのこと。
まとまった形で、栖鳳の作品を観ると、ある意外な一面が浮かび上がってきました。
それは・・・

「竹内栖鳳の屏風作品は、わりかし気持ち悪い (笑)」

ということ。
もちろん、全部が全部というわけではありません。
京都画壇の大家である竹内栖鳳だけに、これまで、違和感なく上品な印象を抱いていましたが。
今回出展されていた 《百騒一睡》 しかり、 《雨霽》 しかり。
そして、 《若き家鴨》 しかり。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-若き家鴨
(注:展示は10月28日まで)


鳥を、なぜかワラワラと描く傾向がありました。
しかも、一隻に偏って。
特に、 《百騒一睡》 における雀のワラワラ感はハンパじゃありません!
ヒッチコックの 『鳥』 の恐怖と紙一重でした (笑)
(画像は、ありません。あしからず)


また、鳥以外の屏風作品で印象に残っているのが、 《虎・獅子図》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-虎・獅子図 l  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-虎・獅子図r


何かを話したがっているかのようなライオンと、
それをうっとうしく思っているような虎の組み合わせが、絶妙です。

 ライオン「今日さ、家族連れ多くね?」
 虎「・・・・・。(うっせーな。午後からシフト入っているんだから、休ませろよ)」


おそらく、そんなサファリパークでの1コマ。


・・・と、僕のどうでもいい妄想は、さておきまして。
今回の竹内栖鳳展で、 《絵になる最初》 を観ることが出来たのには、軽く興奮しました
(注:決して、性的な意味ではありません!!)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-絵になる最初


こちらは、竹内栖鳳の代表作の一つ。
モデルが裸体を晒す前の恥じらう姿を描いた作品です。
もし、この女性が、恥じらうことなくスパーンと脱いでいたら、
きっと、この傑作は生まれなかったことでしょう (笑)
日本の女性の皆様、恥じらいって大切ですね (←何目線での発言??)
ちなみに、この絵の隣には、当時の高島屋が、
《絵になる最初》 に描かれた女性の着物を再現して売り出した “栖鳳絣” が展示されていました。
この栖鳳絣は、爆発的にヒットしたのだとか。
う~ん、当時の女性は、どういう気持ちで、この栖鳳絣を購入していたのだろうか。


数々の栖鳳作品が展示されていましたが、
個人的に一番惹かれたのは、 《風かおる》 という作品。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-風かおる


パッと見ると、普通にイイ感じの小品にしか見えませんが。
この絵に近づいて、よ~く観てみると、葉の部分の絵具がこんもりと盛り上がっているのです。
なかなか日本画では見られないマチエール (質感) なので、
興味を惹かれて、しばらくマジマジと眺めてしまいました。
もし、この絵をくれるというのなら、貰いたいものです (←絶対に、言われるわけがない!)



さて、今回の竹内栖鳳展には、栖鳳の作品だけではなく。
栖鳳が影響を受けた京都の先人たちの作品や (例:円山応挙 《龍唫起雲図》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-龍唫起雲図


竹内栖鳳の弟子たちの作品 (例:上村松園《新蛍》) も紹介されています。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-新蛍


そんな中で印象的だったのが、
動物画に関しては師の栖鳳を超えるとも評される西村五雲の 《白熊》 という作品。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-白熊


絵から獣の匂いが漂ってきているような。
そんな迫力に満ちた作品でした。
この絵が見えるところに、 《斑猫》 が飾られていたのですが・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-斑猫


普段は愛くるしく見える 《斑猫》 の猫が、
今回だけは、白熊に怯えきっている姿のように見えてしまいました (笑)





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鎌倉興隆―金沢文庫とその時代―

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「ねーねー、口をこうやって (※下記写真) 、 『金沢文庫』 って言える?」

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-口をこう


「言えるよ!」

「じゃあ、言ってみてよ」

「いいよ。“かなざわう○こ”

「あー、こいつ、“う○こ” って言った!」

「言ってないよ!」

「じゃあ、もう一回言ってみてよ」

「うん。 “かなざわう○こ”

「やっぱり、 “う○こ” って言った」

「言ってないもん (泣) ! “かなざわうんこ (泣)” って言ったもん !!」



・・・・・でお馴染みの金沢文庫に行ってきました。
(↑そうお馴染みでもないし!前フリ長いし!!)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-金沢文庫


駅名が、 『かなざわぶんこ』 なので、 “かなざわぶんこ” と読んではいますが。
実は、 “かねさわぶんこ” と読むのが正しい金沢文庫 は、
鎌倉時代の中期に、北条実時が邸宅内に造った武家の文庫であり、日本最古の図書館の一つです。
現在は、図書館というよりは、鎌倉時代を中心とした所蔵品を展示公開する歴史博物館として運営されています。


そんな金沢文庫で、現在開催されているのが、
“鎌倉興隆―金沢文庫とその時代―” という展覧会。
こちらは、来年度に、世界遺産登録を目指す 『武家の古都・鎌倉』 を共通テーマとして、
神奈川県立金沢文庫、神奈川県立歴史博物館、鎌倉国宝館の3館連携特別展として開催されている展覧会です。
ちなみに、見事、その3館の特別展を巡れることが出来た暁には、特製クリアファイルがもらえるのだとか!
欲しい方は、是非、チャレンジしてみてくださいませ♪


さてさて、金沢文庫の収蔵品を中心に、爛熟期を迎えた鎌倉の姿を紹介する今回の展覧会。
出展作品123点のうち、実に、約100点が、国宝か重要文化財という、大変中身の濃い展覧会でした。
(国宝・重要文化財率は、80%を超えています!!)


・・・・・・が。

あまり、心に響かなかったのは、なぜでしょう(?_?)


出展作品における国宝や重要文化財の占める割合だけを見れば、
かつてトーハクで開催された “空海と密教美術展” や、 “法然と親鸞 ゆかりの名宝” などの展覧会に、
全然引けを取っていないのですが。
展覧会に対する満足度は、かなり薄め。
星
国宝や重要文化財をたくさん展示していても、
ただ並べてみているだけでは、心に響かないのですね。。。
展覧会における演出の重要性を、再認識する展覧会でした。


ただ、くどいようですが、国宝や重要文化財は、多数展示されていますので。
歴史好き、特に鎌倉時代好きには、たまらない展覧会だとは思います。

個人的に興味を持った展示品としては、
破損が痛々しいながらも、顔は穏やかな千葉の観福寺の 《十一面観音懸仏》 や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-十一面観音懸仏


目もとの涼しさが特に印象的な国宝の 《北条実時像》 でしょうか。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-北条実時像


また、衝撃的だった展示品が、金沢文庫が所蔵する重要文化財の 《日本図》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-日本図


どこが、どう日本なのか?!

鎌倉時代の人が思い浮かべる日本の形は、今とは全く違っていたのですね。
ちなみに、日本らしき島を取り囲んでいる謎のラインは、蛇の体なのだとか。
鎌倉時代の日本は、とんでもないことになっていたみたいです。。。


もう一つ、印象的だったのが、 《宋版・孫真人玉函方》 という古典籍。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-宋版・孫真人玉函方


こちらは、今年に入って館山市内で発見されたことで、学会を大いに驚かせた金沢文庫本なのだとか。
確かに、よく見ると、 『金沢文庫』 という印が書面に押されています。

・・・ん?ということは、誰かが図書館 (=金沢文庫) の本を、
今年に入るまで、ず~~~~っと借りパクしていたということなのですね。
返却期限は、守りましょう。




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建築家のミタ ~芝・三田編vol.2~

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“建築家のミタ ~芝・三田編vol.1~” の続き。


08 東京さぬき倶楽部 (旧・東京讃岐会館) /大江宏
 東京都港区三田1-11-9

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-東京さぬき倶楽部  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-東京さぬき倶楽部 横


右矢印ここに注目!
 ○PC(プレキャスト)コンクリートパネルを見事にデザインに取り入れいている
 ○列柱を縦方向に組み合わせたような外観が特徴的

[とに~の呟き]
「自分は、千葉県出身なので・・・と躊躇していたのですが。
 香川県の方でなくても、利用できるそうです。」




09 ノアビル/白井晟一
 東京都港区麻布台2-3-5

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ノアビル


右矢印ここに注目!
 ○竣工当時“現代の墓標” とも評された白井晟一の代表作の一つ
 ○楕円の円筒部分の表面は、硫酸銅により黒く処理されている
 ○レンガや赤御影石、黒御影石など、さまざまな建材が使用されている

[とに~の呟き]
「“ザ・異様” な建築です。
 このビルが建っているおかげ (?) で、飯倉交差点は、異空間のような印象です。
 ちなみに、現在、テナント募集中とのこと・・・・・・誰が、入るんだ?!」




10 聖アンデレ教会礼拝堂/香山壽夫
 東京都港区芝公園3-6-18

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-聖アンデレ教会


右矢印ここに注目!
 ○シンプルで幾何学的なファサード
 ○もともとの教会を覆う形で保存している



11 聖オルバン教会礼拝堂/アントニン・レーモンド
 東京都港区芝公園3-6-25

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-聖オルバン教会礼拝堂


右矢印ここに注目!
 ○アントニン・レーモンドによる木造平屋建ての教会建築
 ○木とレンガの温かみを活かしている

[とに~の呟き]
「教会が隣接しているという珍しい光景。
 しかも、両建築とも、建築家による作。
 個人的には、レーモンドの教会の方が好きです。」




12 東京タワー/内藤多仲
 東京都港区芝公園4-2-8

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-東京タワー


右矢印ここに注目!
 ○“塔博士”の異名を持つ内藤多仲の代表作
 ○自立式の鉄塔としては、しばらく世界一の高さ (333m) を誇った

[とに~の呟き]
「芝・三田編の建築ツアーとしては、ハズせないっしょ…というノリでセレクト。
 一応、足もとまで来て、下からも眺めてみましたが。
 ツアー中、ほとんどの場所から、東京タワーの姿は見えていました。」




13 ジー・イー・ジャパンビル(旧・船木商会社屋)/北川原温
 東京都港区芝公園1-10-15

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-F1 船木商会社屋


右矢印ここに注目!
 ○北川原作品としては、大人しい部類に属する
 ○斜線制限を超えている部分は、看板とみなされている。

[とに~の呟き]
「作品としては、大人しい感じですが。
 立地的には、路地裏にひっそりと存在しているので、
 その雰囲気が、 “静かな狂気” という感じはある。」




14 日本赤十字社本社ビル/黒川紀章
 東京都港区芝公園1-1-3

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-日本赤十字社本社


右矢印ここに注目!
 ○黒川紀章の円熟期の作品
 ○大きく張り出したキャノピー(庇)が特徴的
 ○日本赤十字本社と貸しビル(レンタルオフィス)が左右に分かれて1つの建築として計画されている

[とに~の呟き]
「シンプルかつダイナミック。
 特に面白味はないですが (笑) 、 日本赤十字社っぽくないことが面白いと言えば面白い。」





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芹沢銈介 布に寄りそえば、色と模様がうたいだす

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先週、歴史の教科書でお馴染みの登呂遺跡に行ってきました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-登呂遺跡


正直なところ、想像していたよりも “遺跡感” (←?) が無くて、拍子抜けしてしまいましたが。
そんな登呂遺跡の近くに、登呂遺跡以上に、
“遺跡感” (←??) を放っている建物がありました!!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-静岡市立芹沢銈介美術館


こちらは、登呂遺跡とは特に関係のない静岡市立芹沢銈介美術館
型絵染の人間国宝・芹沢銈介の作品約800点と世界の工芸コレクション約4500点を収蔵した美術館です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-静岡市立芹沢銈介美術館


敷地に一歩踏み入れると、そこには、登呂遺跡というよりはローマの遺跡のような光景が広がっていました!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-静岡市立芹沢銈介美術館  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-静岡市立芹沢銈介美術館


こんな異彩を放つ美術館を設計した建築家は、
同じく異彩を放つ渋谷区立松涛美術館を設計した白井晟一であることが判明。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-静岡市立芹沢銈介美術館


現在は、特別展で、館内の写真撮影は禁止のため、画像は紹介できませんが。
(通常は館内の写真撮影はOKだそうです)
美術館の内部も、白井晟一ワールドは全開!!
これまで数多くの美術館を訪れてきましたが、
ここまで個性的な美術館には、そうそう出会えるものではありません。
僕の中の 『一度は見ておきたい美術館建築リスト』 に、
静岡市立芹沢銈介美術館の名を書き加えておきたいと思います。



・・・・・・・と、あまりに美術館の印象が強烈すぎて、
開催されていた美術展の印象が薄まってしまった感は否めませんが (笑)
あくまで、美術展のガイドなので、ここからは、美術展の紹介を。

静岡市立芹沢銈介美術館で、現在開催されているのは、
“芹沢銈介 布に寄りそえば、色と模様がうたいだす” という美術展。

展示されているのは、静岡市立芹沢銈介美術館と柏市教育委員会が所蔵する選りすぐりの芹沢銈介の代表作。
芹沢銈介展の決定版と呼ぶに相応しい充実の美術展です。

《鯛泳ぐ文着物》 に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-鯛泳ぐ文着物


《丸紋いろは六曲屏風》 に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-丸紋いろは六曲屏風


《破れ格子文着物》 などなど、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-破れ格子文着物


実に、111点もの芹沢銈介作品が展示されていますので、
これまで芹沢作品に興味を持てなかったという方でも、きっと1点くらいはお気に入りの作品が見つかるはず。

ちなみに、僕が気に入った作品を挙げてみますと・・・
《貝文着物》 に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-貝文着物


《御滝図のれん》 に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-御滝図のれん


《晴雨二曲屏風》 に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-晴雨二曲屏風


《州浜形四季文屏風》 に・・・って、結構ありますね?!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-州浜形四季文屏風


意外と、自分は芹沢銈介の作品が好きなのかもしれません。
これを機に、僕の中の 『好きな工芸家リスト』 に、
芹沢銈介の名を書き加えておきたいと思います。

そんな僕の好きな工芸家・芹沢銈介 (←早速!) の作品が、数多く展示されていましたが。
今回一番のお気に入り作品が、こちら↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-甕垂文着物


“ん?ジグソーパズル柄??”

と思いきや、 《甕垂文着物》 とのこと。
甕の淵側の釉薬の垂れた部分を、
着物の紋様にしようとする人は、世界中探しても、芹沢銈介だけではないでしょうか。

オンリーワンの建築を生み出す白井晟一の空間の中で、
オンリーワンの染色作品を生み出す芹沢銈介の作品に囲まれる美術展。
星
一見の価値アリです。




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石ノ森章太郎の萬画ワールド~がんばれ石ノ森萬画館~

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先日、埼玉県立歴史と民俗の博物館を訪れたついでに、
そこから歩いて約10分ほどの距離にあるさいたま市立漫画会館に立ち寄ってみました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-さいたま市立漫画会館


“なぜ、さいたま市に、市立の漫画会館が??”

しかも・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-地図


“市の中心部からは、だいぶ離れた場所に!”


実は、こちらは、もともとは、漫画家・北沢楽天の晩年の住居があった場所。
その跡地に、彼の功績を伝える目的で、
昭和41年に開館したのが、このさいたま市立漫画会館なのです。
ちなみに、漫画に関する公立の美術館としては、この美術館が日本初なのだとか。

さて、よほど漫画に詳しい方でなければ、

「北沢楽天って誰?公立で美術館を開館するほどの漫画家??」

と、お思いになったことでしょう。

いや、しかし、北沢楽天ほど、
日本漫画界に大きな影響を与えた人物は、いないのではないでしょうか。

というわけで、まずは、簡単に、北沢楽天についてのご紹介を。

北沢楽天 (1876~1955) は、
『日本近代漫画の祖』 や 『近代漫画の父』 と称される漫画家。
日本で最初の職業漫画家でもあり、
多くの後進の漫画家の育成に努めたことでも、漫画界にその名を残しています。
そもそも、 “漫画” という言葉を、
僕らが現在使っている意味で定着させた人物こそが、北沢楽天なのだそうです。
ちなみに、あの手塚治虫も、幼少期に、北沢楽天の漫画に大きな影響を与えられたのだとか。
(もっと北沢楽天について知りたい人は、こちらをクリック)


ともあれ、北沢楽天が、漫画界に大きな影響を与えているので、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-記念スタンプ


館内に設置されている記念スタンプには、
この美術館のために、漫画界の大御所たちが寄せたものが多数ありました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-スタンプ


その中には、手塚治虫や赤塚不二夫に交じって (?) 、鈴木義司の漫画スタンプも。
『お笑いマンガ道場』 を観て育ったので、
個人的には、このスタンプが一番記念になりました (笑)


さてさて、こちらの美術館では、
年に数回のペースで、企画展も開催されているそうなのですが。
現在、開催されているのが、
“石ノ森章太郎の萬画ワールド~がんばれ石ノ森萬画館~” という展覧会。

こちらは、 『サイボーグ009』 や、




『がんばれ!!ロボコン』



他にも、 『仮面ライダー』 に、 『秘密戦隊ゴレンジャー』 に、 『さるとびエッちゃん』 に・・・
「世界一多作な漫画家」 というギネス記録を持つ漫画家・石ノ森章太郎をフィーチャーした美術展です。

展示のメインとなるのは、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-石ノ森章太郎  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-石ノ森章太郎


『サイボーグ009』 、 『佐武と市捕物控』 など8タイトル56点の複製原画。
中には、石ノ森章太郎が手がけた 『プレイコミック』 の表紙原画もあり、
ギャグ路線から、王道のヒーローもの、そして、大人向けのセクシーなイラストと、
多彩な石ノ森ワールドを堪能することが出来ました。
複製というのが、少々、腑に落ちないところですが (笑)
まぁ、無料の展示ですから、 「生原画を見せろー!」 とは言えません。
星


とりあえず、展示そのものよりも。
特別展会場に辿り着くまでの案内の方が面白かったです (笑)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-案内

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-案内  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-案内




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第四十二話 国宝ハンター、徹する!

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前回までのあらすじ~
 日本全国に散らばる国宝1085件を全て観る。
 ただ、ひたすらに、その目標を達成するために、日々奔走する国宝ハンター。
 開始から約1年でハンティングした国宝は、250件強と、そのゴールは、まだまだ果てしなく遠い。
 そこで、国宝ハンターは、少しでもゴールに近づくべく、
 「国宝を毎日見続ける一週間生活」 という試練を、自分に課した。
 その結果・・・彼は、燃え尽きた灰のようになってしまった。

 立て、立つんだとに~!!



1年に1度しか公開されない国宝を観に、千葉に足を運んだのに、
まさかまさかの国宝の公開中止という事実を突き付けられることに。
その精神的ダメージは、本人が自覚していない以上に大きく、

「もう国宝なんて、観たくない・・・」

と、国宝ブルーな状態になってしまいました。


しかし、そんな僕にお構いなく、
国宝は、そのスケジュール通りに公開され続けているのです。

這ってでも、行かねば (>_<)


まずは、とある雨の日に、 “時代の美 第1部 奈良・平安編” の後期が始まった五島美術館へ。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-五島美術館


前期では、見事、 《史記〈孝景本記第十一/〉》 をゲットしたわけですが。
後期では、2件の国宝をゲット。

一つは、 《紙本著色源氏物語絵巻〈絵四面/詞九面〉》 (ジャンル:絵画)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-紙本著色源氏物語絵巻〈絵四面/詞九面〉


徳川美術館が所蔵する国宝の 《源氏物語絵巻》 は、ハンティング済ですが (第五話参照)
ようやく、今回の機会で、五島美術館が所蔵する方をハンティング。
もとは同じ 《源氏物語絵巻》 なのに、所蔵先が違うと、別の扱いになってしまう。
国宝七不思議の一つです (←?)


そして、もう一つハンティングしたのが、 《白描絵料紙理趣経》 (ジャンル:絵画)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-目無経


お経なのに、国宝のジャンルとしては、絵画。

・・・・・なぜ?

一見すると、単なるお経にしか見えませんが。
よ~く見ると、その下地に、何か絵が描かれているのがわかります。
それも、描きかけ感が満載の。
実は、こちらは、もともとは物語絵巻になる予定だったものなのだそうですが、
作者である後白河法皇が崩御してしまったため、中途半端な状態で、制作はストップ。
そこで、その中途半端な物語絵巻の無念さ (?) を静めるために、
平頼盛の子・静遍や信西の孫・成賢らによって、その上にお経が書かれたのだそうです。
ちなみに、もとの下絵に描かれている人物が、
目鼻を描かれていない状態であることから、 『目無経』 というあだ名が付いています。



五島美術館を訪れた日から数日、
先週の11月10日には、称名寺近くの金沢文庫に行ってまいりました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-称名寺  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-金沢文庫


こちらでは、 “鎌倉興隆―金沢文庫とその時代―” という展覧会が開催されています。
会期の前半と後半で、作品が入れ替わってしまい、展示されている国宝も替わってしまうのですが。
11月10日と11日の2日間だけは、すべての国宝が観られるスペシャルDAY!
万難を排してでも、この日に行くしかないのです。

さて、その結果として、3件の国宝をハンティング。
称名寺が所蔵する 《文選集注》 (ジャンル:書跡・典籍) に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-文選集注


7年ぶりに公開されているという 《絹本著色一遍上人絵伝〈法眼円伊筆/〉 》 (ジャンル:絵画) 、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-一遍
(注:画像は一部です)


そして、 《絹本著色北条実時像》 (ジャンル:絵画) です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-北条実時像


ちなみに、この 《絹本著色北条実時像》 は、単体で国宝というわけではなく。
その息子を描いた 《絹本著色北条顕時像》 と、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-絹本著色北条顕時像


その息子の北条顕時の息子を描いた 《絹本著色金沢貞顕像》 と、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-金沢貞顕像


その息子の北条顕時の息子の金沢貞顕の息子を描いた 《絹本著色金沢貞将像》 の4点セットの国宝絵画。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-金沢貞将像


僕が訪れた日は、特別に4人がそろい踏み。
北条一族が並ぶさまは、何だか圧巻でした。


今現在の国宝ハンティング数 280/1085




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気ままにアートめぐり─印象派、エコール・ド・パリと20世紀美術

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今回、ブログで取り上げる美術展は、
ブリジストン美術館で開催中の “気ままにアートめぐり─印象派、エコール・ド・パリと20世紀美術”

マネの 《自画像》 や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-自画像


ルノワールの 《座るジョルジェット・シャルパンティエ嬢》

座るジョルジェット・シャルパンティエ嬢


ピカソの 《腕を組んで座るサルタンバンク》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-腕を組んで座るサルタンバンク


などなど、ブリヂストン美術館の誇る目玉コレクションが、
「これでもか!」 というくらいに展示されている美術展です。
まぁ、つまり、ブリヂストン美術館のコレクション展です。
それ以上でもなく、それ以下でもなく、ブリヂストン美術館のコレクション展です。
“気ままにアートめぐり” という思わせぶりなタイトルが付いているので、
気ままにアートめぐり出来るような演出があるのかと思いきや、そういうわけでもなし。
キャプションも、最小限に設置されている程度・・・。

「ブリヂストン美術館の学芸員さんが、全員、気ままにアートめぐりに行ってしまったのでは?」

と思ってしまうくらいに、何の衒いもないコレクション展でした (笑)


ブリヂストン美術館のマスターピースたちを展覧出来るので、
ブリヂストン美術館に一度も訪れたことが無いという人には、今回の美術展は、オススメ。
でも、2回以上、ブリヂストン美術館を訪れている人にとっては、特に新鮮味を感じられない美術展。
星


もう10回以上は、ブリヂストン美術館を訪れていることもあって、

「あ、ほとんど全部、見たことあるヤツだ・・・」

と、正直なところ、モチベーションが下がってしまいました。
そのため、かなりの速さで、展示室を移動したのですが。
逆に、そのように観たことで、新たな発見がありました (←これぞ、けがの功名)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《サン=マメス六月の朝》


それは、ポスターに使われているシスレーの 《サン=マメス六月の朝》 は、
近くに寄って観るよりも、遠く離れて観た方が、趣のある絵に見えるということ。
いつもは、近づいて観ていたので、あえて離れて観ることは無かったのですが。
この絵に関しては、離れて観た方が、良さが際立つような気がしました。


それ以外で、印象に残ったことと言いますと。
久しぶりに、古代美術の部屋が開いていたので、
久しぶりに、ブリヂストン美術館の古代美術コレクションが拝めたこと。

久しぶりに観る 《聖猫》 は、やっぱり可愛らしかったです♪

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-聖猫


それと、久しぶりに、ヘレニスティック期の 《ヴィーナス》 を観たのですが。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ヴィーナス


今まで、この像には、腕が無いものとばかり思っていましたが、
よく見ると、左手の手首だけは残っていたのですね!
その手元は、なんとなくマイケル・ジャクソンのようです (←?)




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宸翰 天皇の書―御手が織りなす至高の美―

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京都国立博物館で開催中の “宸翰 天皇の書―御手が織りなす至高の美―” に行ってまいりました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-京博


まずは、美術展のタイトルにある 『宸翰』 という単語を初めて耳にする方のために、簡単にご説明を。
『宸』『翰』 も、どちらも日常で使わない漢字ですよね。

『宸』 は、 “天皇の住まい。また天皇に関する物事につける言葉” で、
『翰』 は、 “書いたもの。文章。手紙” を表す漢字なのだとか。
つまり、 『宸翰』 とは、“天皇がしるした書” のこと。
天皇がしるした書なら、すべて宸翰なので、
プライベートなものから、国家の安泰を願うものまで、内容や種類は、実にバラエティ豊かです。
とは言え、時代を牽引する存在であるという自覚のもと、一流の学問を修めた天皇の書ゆえに、
どの宸翰にも、おのずと帝王としての尋常ならざる気品や風格、そして内容が備わっているそうなので。
宸翰は、 「書の王者」 として、
あらゆる書の分野の中で、歴史的にも美術的にも最高峰に君臨しているのだそうです。


さて、今回の美術展では、そんな “書の王者” 宸翰の数々が、一堂に大集結!
国宝の 《嵯峨天皇宸翰光定戒牒》 に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-国宝 嵯峨天皇宸翰光定戒牒


国宝の 《後鳥羽天皇宸翰御手印置文》 に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-国宝 後鳥羽天皇宸翰御手印置文


重要文化財の 《後深草天皇宸翰消息》 に。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-重要文化財 後深草天皇宸翰消息


奈良時代から昭和時代までの紛うことなき宸翰
および関連作品144件 (国宝17件、重要文化財66件をふくむ) が、一堂に会する前代未聞の美術展。
しかも、11月13日から25日までの2週間に関しては、
正倉院から貴重な宸翰が出品され、現在確認されている奈良時代の宸翰3件すべてが勢ぞろいするのだとか!

これだけの美術展を実現させるにあたって、京都国立博物館の方は、かなり心肝を砕かれたことでしょう。
正直に白状しますと、書に関しては、イマイチよくわからない僕ですが、
今回の美術展の奇跡的なラインナップには、思わず震撼させられました。
観賞されていた方皆様も、思わず固唾を呑んでいたのでしょう。
いつになく、森閑とした美術展会場だったことが、とても印象的でした。
星星

ちなみに、今回の美術展の会場になっているのは、新館でなく、特別展示館です。
(↑ただ単に、 “しんかん” という単語を使いたかっただけw)


さてさて、ラインナップの素晴らしさ以外で、
今回の美術展で、特に印象的だったのが、学芸員さんの熱の入りようです (笑)
僕のように、

「書なんて、基本的に、どれ観ても同じ感じだよなァ・・・」

と思いがちな人のために、いかに宸翰の世界が素晴らしいものなのか、
いつになく、丁寧で詳細な説明が、キャプションに書かれていました。

例えば、 《聖武天皇宸翰雑集》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-聖武天皇宸翰雑集


こちらのキャプションには、以下のような記述が↓

 『一点一画までも疎かにせず、どこまでも持続する緊張感に、
  「天子とはかくあるべし」という精神面での大いなる自覚を感じずにはいられない』


と、主観交じりで、その魅力を解説。
確かに、そう言われて観てみると、書に漂う緊張感を、大いに感じることが出来ました。


また、 《文覚四十五箇條起請文》 には、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-文覚四十五箇條起請文


『重厚ななかにも繊細さが漂う筆使いには、天性の叡智を垣間見る思いがする』 というキャプションが。
天性の叡智が垣間見えるのですね・・・う~ん。そうか。そうなのか~。


この後も、主観的なキャプションが多数登場 (笑)
第四章のキャプションのラストで、
『(持明院統と大覚寺統の)どれをとっても気高さと圧倒的な存在感に感動するに違いない』 と断言してみたり。
書聖と評される伏見天皇をフィーチャーした第五章のキャプションでは、
『まるで魔法使いのような変幻自在ぶりにきっと驚かれることだろう』 と妙な例えを使ってみたり。

極めつけは、北朝の天皇の書からは、 「理性の青」 が感じられ、

《後光厳天皇宸翰消息》
アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-後光厳天皇宸翰消息


南朝の天皇の書からは、 「情熱の赤」 が感じられるそうで、

《後醍醐天皇宸翰消息》
アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-後醍醐天皇宸翰消息


南北朝の対立が終わると、その赤と青がブレンドされ (←?) 、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-後小松天皇宸翰消息


《後小松天皇宸翰消息》 からは、 「高貴の紫」 が感じ取れるのだとか。
キャプションには、 『この紫をイメージできないだろうか』 とありましたが、
残念なことに、僕にはその力が備わってい無いようで、紫どころか青も赤もイメージできませんでした。
修行して、出直してきます!


最後に。個人的に、印象に残った作品を。
数々の名品に交じって出展されていた 《桜町天皇宸翰和歌懐紙》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-桜町天皇宸翰和歌懐紙


え~っと、お世辞にも、あまり上手くはないような。。。

それもそのはず (?) 、こちらは、桜町天皇が12歳の時に書かれたもの。
小6ならば、致し方なしです。

・・・と、このすぐ近くに、16歳に成長した桜町天皇の 《桜町天皇宸翰和歌懐紙》 が。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-桜町天皇宸翰和歌懐紙


ちゃんと字が上手くなっていて、安心しました。
・・・って、これ以上ないくらいの上から目線で失礼いたしましたm(__)m




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新・無料で観れる 美術百選 《アークヒルズ 仙石山森タワー(東京都港区)》

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先日、泉屋博古館を訪れた、その帰り道に、
「ギョッ?!」 とする光景に出くわしました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-無限


あのオレンジの巨大な物体は、何ぞ?!

気になったので、接近してみました。
近づいて見上げてみると、やはりデカい!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-無限


う~む。
コイツは、一体、何の形なのでしょうか?
もしかして、輪ゴム??

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-無限


しばらく、コイツを周回して眺めていたところ、
とある方向から、コイツを眺めた時に、その答えがわかりましたひらめき電球

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-無限


無限大 『∞』 の記号だったのですね。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-無限


《無限》 と名付けられた、こちらのパブリックアートは、
現代ブラジル美術界を代表する巨匠トミエ・オオタケさんの最新作。
トミエ・オオタケさんは、京都出身の日系ブラジル人1世で、
98歳を迎えた現在も、まだまだ現役で活躍しているスーパーおばあちゃんアーティストです。


ちなみに。
そんなトミエ・オオタケさんの作品が、何で、こんな場所に設置されているのかと、
ちょっと疑問に思ったので、調べてみたところ、どうやら森美術館が関係しているようでした。
こんなところにも、森美術館の力が及んでいるだなんて。


最後は、マイベストショットフォトを。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-無限 縦   アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-無限


新・無料で観れる 美術百選 003  トミエ・オオタケ 《無限》




<無料で観れる美術 データ>

アークヒルズ 仙石山森タワー

住所:東京都港区虎ノ門5丁目/六本木1丁目

アクセス:○東京メトロ南北線「六本木一丁目駅」より徒歩5分
      ○日比谷線「神谷町駅」より徒歩8分


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