この “湘南乃風” 風 (?) のインパクト満点のポスターが気になって気になって (笑)
うらわ美術館に、行ってまいりました。
美術館に向かうエレベーターの近くには、大量のポスター。
何か圧巻です (笑)
・・・と、この光景を目にした時点で、
今回の来訪の目的は達成した気もしなくはないですが (笑)
一応、訪れたからには、美術展も観ておきましょう(^_^;)
ポスターのインパクトこそ大きいですが。
美術展自体は、主に1920年~70年代の日本美術界における “オブジェ” にスポットを当てた、
わりとオーソドックスな・・・いや、どちらかと言えば、地味目な美術展でした。
展示されているのは、もちろん、様々なアーティストによるオブジェ作品ばかり。
日本に、 “オブジェ” という新しいジャンルを根付かせたと言っても過言ではない・・・
マルセル・デュシャンの 《グリーン・ボックス》 に始まり。
いけばなの世界にオブジェを取り入れた ‘いけばな界の革命児’ 勅使河原蒼風の 《機関車》 や、
もの派を代表する李禹煥の 《作品》 まで。
50年という短いスパンの中で、オブジェというアートの一ジャンルが、
実に、多種多様多分野へと広がっていったのが、よくわかりました。
ただ、あまりに広がり過ぎたため、
「で、肝心の “オブジェ” の定義って何?」
ということは、かえってわからなくなった気がします (笑)
もちろん、オブジェというアートのジャンルが曖昧なため、わかりづらくて当然なのでしょうが。
それを冗長するかのように、うらわ美術館が、
オブジェっぽい絵画作品や写真作品、オブジェを撮影した写真なども、
調子に乗って (?) 、いっぱい展示してしまったため、よりわかりづらくなっていた感は否めません。
もう少しわかりやすかったら、きっともっと面白い美術展になっただろうだけに、残念です。
ただ、今回のオブジェ展で、
なぜか、お気に入りの詩人を見つけられたのは、嬉しい誤算。
お恥ずかしながら、初めてその名を聞く方だったのですが、
世界的に重要な詩人の一人とされる新国誠一 (1925~1977) です。
彼は、日本における “具体詩” の第一人者だそうで、
《川または州》 や、
《触る》
《嘘》
…などなど、ユニークでデザインセンス溢れる斬新な “具体詩” を次々に発表したのだとか。
会場では、他にも、新国誠一の具体詩作品が多数紹介されていました。
(オブジェではないですよね・・・w)
特に、個人的にお気に入りなのが、 《淋しい》 という作品。
画像は見つからなかったのですが、なんとなくブログ上で再現してみます↓
林林林林林林林林林林林林林林林林林林
林林林林林林林林林林林林林林林林林林
林林林林林林林林林林林林林林林林林林
林林林林林林林林林林林林林林林林林林
氵林林林林林林林林林林林林林林林林林林
林林林林林林林林林林林林林林林林林林
林林林林林林林林林林林林林林林林林林
林林林林林林林林林林林林林林林林林林
林林林林林林林林林林林林林林林林林林
林林林林林林林林林林林林林林林林林林
林林林林林林林林林林林林林林林林林林
林林林林林林林林林林林林林林林林林林
林林林林林林林林林林林林林林林林林林
林林林林林林林林林林林林林林林林林林
林林林林林林林林林林林林林林林林林林
林林林林林林林林林林林林林林林林林林
たくさん 「林」 があるところに、
「氵」 の1字がポツンと加わるだけで、かくも淋しくなるものなのですね。
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日本・オブジェ 1920-70年代 断章
ベン・シャーン展 ―線の魔術師―
こちらは、埼玉県朝霞市にある丸沼芸術の森の所蔵品の中から、
ドローイング、絵画を中心とする膨大なベン・シャーン (1898~1969) のコレクションを紹介する美術展です。
ちなみに、丸沼芸術の森と埼玉県立近代美術館がタッグを組むのは、
“アンドリュー・ワイエス展 -オルソン・ハウスの物語-” 以来。
ワイエスだけでなく、ベン・シャーンのコレクションも充実しているとは。
いつか、丸沼芸術の森にも足を運んでみたいものです。
さて、ベン・シャーンと言えば、社会派な作風で知られるアメリカの画家。
ここまで、 『社会派』 という肩書が付いて回るのは、
ベン・シャーンか松本清張か、といったくらいの社会派アーティストです。
今回のベン・シャーン展でも、社会派ぶりは健在で (?)
第五福竜丸事件を取り上げた彼の代表作 「ラッキー・ドラゴン」 シリーズや、
歴史に残る冤罪事件をテーマにした 「ドレフュス事件」 シリーズなど、
実に社会派アーティストらしい作品が、多数揃い踏みです。
また、アインシュタインやサルトル、レーニン、
毛沢東、ガンジーといった同時代の偉人を描いた作品群も、たくさん紹介されていました。
それらは、 「似てる!」 というよりも 「似てるwww」 といった感じの似顔絵的な作品で。
無理無理例えるならば、針すなお風といったところでしょうか (笑)
ちなみに、アメリカの政治家ゴールドウォーターを、
ベン・シャーンが描くと、こんな風に↓
もはや悪意しか感じられません (笑)
さてさて、今回のベン・シャーン展の最大のポイントは、
上で紹介したような “社会派” な作品も多数展示されていましたが、
CBSテレビでドラマ化された 「ハムレット」 のための広告挿絵シリーズや、
《ショッピングカート》 をはじめ、街の何気ない風景を描いた作品群など、
“社会派” でないベン・シャーン作品も余すことなく紹介されていたこと。
むしろ、個人的には、 “社会派” でない作品の方に、
心が惹かれる作品が多くて、ベン・シャーンが好きになりました。
これまで、
「社会派のアートは、あまり好きじゃないんで・・・」
と、ベン・シャーンを食わず嫌いしていたのが、もったいないくらいです。
タイトルにもあるように、ベン・シャーン作品の最大の魅力は、線。
力強くて、震えているようで、ハスキーな線。
まるで、エリック・クラプトンのギターの音色のような線です。
今回のベン・シャーン展に出展されている約300点のほとんどが、
ベン・シャーンの線だけで構成されているドローイング作品です。
そのため、会場はほとんどモノクロな世界で、一見地味な気がしますが。
耳を澄ませば、エレキギターのようだったり、三味線のようだったり、
色々なサウンドが聞こえてくるようで、意外と賑やかな印象を受けました。
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第10回 昭島市松原町でクロード・モネ
ルノアールを筆頭に、モネ、ゴッホ、シャガール…と、
街を歩いていると、時に、美術界の巨匠たちと同じ名前のお店に出くわします。
果たして、それらのお店と巨匠との間に関係はあるのか??
気になるようで気にならない。
でも、気にしてしまったら、気になって仕方がない。
そんな疑問を解消すべく、アートテラーは今日も店へと赴く!!
すっかりご無沙汰していた、この企画。
お待たせしました。
半年ぶりに帰ってまいりました! (待っていた方が、いれば…の話です)
今回向かったのは、昭島市。
特に美術館があるわけでもないので、昭島駅に降り立ったのは、これが初めて。
まさか、 「巨匠と同じ名前のお店があるから。」 という理由で訪れるとは、誰が想像しましょうか。
さてさて、その昭島駅から、歩くこと約10分。
今回の目的のお店は、そこにありました。
印象派最大の巨匠クロード・モネの名前がついた洋菓子屋さんです。
お店の中に入ってみると、ディスプレイでは・・・
“スイーツ” と呼ぶよりも、
“洋菓子” と呼ぶ方がしっくりくるような、どこか懐かしい感じの洋菓子たちが、お出迎え。
その名もズバリ 『昭和のまどれーぬ』 なるマドレーヌもありましたし。
また、店内を見渡してみれば、贈答用のお菓子もいっぱい。
多作だったクロード・モネを彷彿とさせます。
(↑無理やり、結び付けてみましたw)
さてさて、店内には、イートインスペースも。
当然のように、モネの作品が飾られております。
昭島で買ったケーキを、我が家まで持って帰るのも大変なので、
こちらで、食べてしまうことにしました (イートインスペースがあって、良かった~♪)
メニューがたくさんあって、
しかも、セットにするとリーズナブルで、目移りしてしまいました。
散々悩みぬいた末に選んだのは、モネブレンドとザッハトルテのケーキセット(700円)
ちなみに、こちらのザッハトルテは、
幼い頃からモネの絵が好きで、画家になりたくてフランスに行ったのに、
フランス菓子に魅せられて帰ってきたという店主の一番の自信作とのこと。
確かに、想像力を、かなり逞しくしてみれば・・・
モネが繰り返し描いたエトルタ (ノルマンディー地方の断崖) の姿を連想させなくもありません。
では、早速、一口。
・・・・・・そう思って、フォークを振り下ろしたのですが、
意外な硬さに押し返されて、フォークが上手くザッハトルテに食い込みません (あれっ?)
さすが、エトルタ。
フォークを持つ手に、より力を込めると、
ずっしりした感触とともに、ザッハトルテが切り分けられました。
そのまま、パクリ。
「ほむほむほむ・・・これはっ!」
もっさりとした触感のスポンジの中には、ドロリとしたアンズジャムが。
そのアンズジャムの酸味が、ビターなチョコレートに、絶妙にマッチしていました。
自らザッハトルテを頼んでおきながらなんですが、
実は、あまりチョコレートケーキが得意でない僕なのですが。
(理由は、甘すぎるため)
このザッハトルテに関しては、あまりに、バランスが絶妙のため、パクパクと食べてしまいました。
食べ終わった後も、口の中が、甘々しすぎて…ということは、ありません。
こんなザッハトルテを生み出せるのですから、
店主は、画家にならなくて正解だったと思います (笑)
昭島市は、僕には、なかなか遠い地なので、
お近くにお住いの皆様は、どうぞ僕の代わりに、食べて来てくださいませ。
<お店情報>
クロードモネ
住所:東京都昭島市松原町1-11-9
営業時間:11時~19時
定休日:水曜日
http://tabelog.com/tokyo/A1329/A132902/13114750/
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東大古生物学―130年の軌跡
本日は、クリスマスイブですが。
特に、クリスマス色のない記事をお届けいたします (笑)
ご紹介させて頂きます展覧会は、
東京大学総合研究博物館で開催中の “東大古生物学―130年の軌跡” 。
何でも、従来非公開だった東大の化石コレクションを初めて公開する貴重な展覧会なのだとか。
この東大らしからぬ (?) スタイリッシュなポスターが気になって、
早速、会場に辿り着いてみますと、
入り口も、想像以上にスタイリッシュな仕様になっていました!
ただ、入り口脇に、なぜ馬がいたのかは、最後までわからないまま。
(東大式の思考には、僕は、ついていけないようですw)
とりあえず、馬は置いておきまして。
会場に入って、まず出合う化石が、こちら↓
一見しても二見しても、フツーの化石…というより石にしか見えませんが。
実は、こちらは、東京帝国大学地質学教室の初代教授ナウマンが報告したとされるナウマンゾウの化石。
この化石が無かったら、ナウマンゾウはナウマンゾウという名前では無かったはず。
そう考えると、大変、感慨深い化石です。
この化石は、だいぶ貴重な化石なのだそうですが。
これ以外にも、今回の展覧会では、
太っ腹にも、非公開だった貴重な化石が、まだまだ展示されています。
これは、東大からのクリスマスプレゼントと言えましょう (←無理無理、クリスマスと絡めてみました)
例えば、こちらの化石は、らせん状に巻いたサメの歯の化石なのだとか。
そして、こちらのウ○コにしか見えない化石は、
らせん状に巻き下がりながら成長する珍奇なアンモナイトの化石なのだとか。
こんなアンモナイトの化石は、初めて見ました。
古生物学の知識を持ち合わせていない僕ですが。
(会場ではパネルなどを使って、古生物学についての解説がなされていましたが、やや難解)
コイルみたいな化石を見たり、
魚拓みたいな化石を見たり、
スイートブール (山崎パンの菓子パン) みたいな化石を見たりするのは、
知識ナシでも、純粋に楽しかったです♪
その上、無料なので、何かと物入りの年末には嬉しい展覧会。
ちなみに、今回の展覧会に合わせて、
このような東大の古生物学の図鑑が発売されたそうなのですが。
東京大学総合研究博物館の中でも発売しているのかと思いきや・・・
東京大学総合研究博物館はおろか、
東大の構内でも売られておらず、近くの本屋さんに行かないと買えないそうです (笑)
こんな地図までプリントしてくれて、親切なのだか不親切なのだか。
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白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ
本日、12月25日は、イエス・キリストの誕生日・・・・・でもありますが。
“500年に一度の名僧” と称えられ、
数多くの禅画を残したことでも知られる白隠慧鶴 (はくいんえかく) (1685~1768) の誕生日でもあります。
というわけで、 『クリスマスなんて大嫌い!! なんちゃって♥』 な僕は、
Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の “白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ” に行ってきました。
こちらのCM映像を見た段階で、
かなり面白そうな気がしていましたが。
実際の美術展は、その期待を上回るほどの面白さでした!
おそらく、2012年ラストの3つ星美術展ではないでしょうか。
《半身達磨》 しかり、
萬壽寺蔵 (大分県)
《布袋吹於福》 しかり、
法華寺蔵 (愛媛県) 大洲市立博物館寄託
《すたすた坊主》 しかり。
早稲田大学會津八一記念博物館蔵
一目で、彼の作品だとわかるほど個性的な画風が持ち味の白隠。
そのアクの強い画風ゆえに、人によっては、
「ちょっと、この作風は苦手かも・・・」
と受け付けない方も、いらっしゃることでしょう。
実は、かくいう僕も、白隠の作風は、少し苦手でした。
しかし、画風は苦手でも、内容は面白いと感じる漫画があるように。(←僕の場合は、ジョジョです)
画風は苦手でも、内容は面白いと感じられる白隠ような作品もあるのだと、
今回の美術展を通じて、改めて実感しました。
皆様、食わず嫌いはいかんです (笑)
ちなみに、今回の白隠展には、日本各地のお寺から、約100点もの白隠作品が集結。
中には、寺外で公開されるのが初めてという貴重な白隠作品もあり、
今回の白隠展にかけるBunkamuraザ・ミュージアムの気合いが伺えました。
これだけの白隠作品が集まる機会は、この先、そうそうないはずです。
ただ、それだけ集まると、白隠好きにはたまりませんが。
白隠が苦手な人にとっては、
「え~、約100点もあるの?途中で飽きちゃいそう・・・(-ω-`;)」
と、逆効果になりかねません。
いえいえ、その辺は、ご心配いりません。
今回のBunkamuraザ・ミュージアムの気合いは、会場作りにも表れていて、
かなり変則的な六角形の展示室を繋ぎ合わせたような不思議なレイアウトになっており、
そんなこれまでにない会場のおかげで、最後まで飽きることなく、白隠展を楽しむことが出来ます。
さてさて、ここまで長いこと、肝心の白隠の作品については、あまり触れていませんでしたが (笑)
もちろん、楽しい作品、心に刺さった作品がたくさんありました。
むしろ、今回の白隠展のおかげで、苦手意識がなくなり、白隠が好きになった気がします。
印象に残った作品を、いくつか挙げますと。
百種類の 『寿』 の字に囲まれた福禄寿の姿が印象的な 《百寿福禄寿》 や、
普賢寺蔵(山口県)
なぜか、着物には、 『赤飯』 という文字が描かれている 《びゃっこらさ》 、
画像はありませんが、メビウスの輪が描かれている永青文庫蔵の 《布袋》 に、
白隠が嫌っていたという吉田兼好を猿の姿で描いたという 《吉田猿猴》 など、キリがありません。
また、2年前の “細川家の至宝” にも出展されていた 《乞食大燈像》 を筆頭に、
ロックなスタイルの白隠作品も多々展示されており、
ユルいだけじゃない白隠の作品世界を、存分に堪能することが出来ます。
1月22日からは、作品の一部を入れ替えて、後期の展示が始まるとのこと。
後期が始まったなら、またBunkamuraザ・ミュージアムに、すたすたと出向くことにいたしましょう。
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シャガールのタピスリー展 二つの才能が織りなすシンフォニー
日本全国のシャガールファンの皆様、お待たせしました!
渋谷区立松涛美術館で、シャガールの美術展が始まりました♪
・・・・・より正確に言うならば、シャガールの原画を元に、
イヴェット・コキール=プランスという女性作家の手によって制作されたタピスリーをテーマにした美術展です。
(注:タピスリーは、タペストリーのフランス語)
「な~んだ、タピスリーか・・・( ´_ゝ`)」
そう思ってスルーしようとしている、そこのシャガールファンの貴方!
本当にスルーしてしまって、良いのでしょうか?!
実は、かくいう僕も。
『原画>>タピスリー』 というイメージがあって、正直、ほとんど期待していませんでした。
(↑この一文が、渋谷区立松涛美術館の関係者に読まれないことを祈ります)
ところが。
実際に、会場で目にしたイヴェット・コキール=プランスのタピスリーの素晴らしさたるや!
《創造》
慣用表現でもなんでもなく、思わず息を呑んでしまったほどでした。
んがんぐ。
一応、形式上、タペスリーの画像を添付していますが。
残念ながら、画像では、全くもって、その素晴らしさが伝わりません。
会場でタピスリー作品を前にすれば、まず何よりも、その大きさに圧倒されます。
上で紹介した 《創造》 は、255×187cmですが、
こちらの 《平和》 というタピスリー作品は、410×620cmと、圧巻も圧巻。
それだけ大きいと、作品の印象も大味になってしまうのかと言えば、全くそんなことはなく。
並べて展示されている同じ図案のリトグラフと比べてみても、全然遜色がありません。
実に、巧みに繊細に織り上げられていました。
いや、むしろ、織物である分、タピスリー作品の方が、
リトグラフ作品よりも温かみが増している気さえしました。
よく自分よりも大きな作品を観賞すると、
「包まれてるみたい♪」
などと、感じますが。
実際は、キャンパス作品の場合、物理的に包まれることは不可能です。
(支持体である板から、キャンバス生地を外せば、出来なくはないですが)
しかし、タピスリー作品なら、リアルに包まれることが出来ます。
カーテンにくるくる包まったみたいに、
これらのタピスリー作品に、くるくる包まってみたい!
そんな想いに駆られながら、シャガールのタピスリー作品の数々を堪能しました。
ちなみに、地下1階にある松涛美術館の第一展示室は、地上1階部分からも観賞することが可能なため、
タピスリー作品を、地下1階で下から見上げることも、地上1階から見下ろすことも出来ます。
それぞれの観賞方法で、また違った表情を魅せるので、是非、両方の方法で観賞してみてくださいませ。
「シャガールのタピスリー作品、下から見るか?上から見るか?」 です。
さてさて、イヴェット・コキール=プランスのタペスリー作家としての非凡な腕も堪能出来ましたが。
もちろん、その腕を十分に発揮させたシャガールの才能も十二分に堪能することが出来ます。
というわけで、ここからは、
絵画として気に入った (気になった?) 作品を、いくつかご紹介いたしましょう。
まずは、 《天使の湾》
天使と言いながら、どうみても人魚。
この自由すぎる発想力こそが、シャガールの魅力の一つだと思います。
自由すぎる発想力と言えば、こんな作品も。
《パリの上の雄鶏》 に描かれているのは、前が人間で、後頭部が雄鶏というハイブリットな生物。
おそらく普通の人間が描いたら、恐怖しか生み出さないキャラクターになるのでしょうが。
シャガールが描くと、愛らしく感じてしまうから不思議です。
ラストは、こちらの作品↓
タイトルは、 《青い夜》 。
JITTERIN'JINNのボーカルは、 “あなた” から、これを貰ったのですね!!
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【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】
現在募集中のアートツアーです。
アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画となっておりますので、どうぞお気軽にご参加くださいませ
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
・1/12(土) 「100円あったらミュージアムへいこう!」アートツアー
“美術展の観賞料って、結構バカにならないよね・・・(苦笑)”
というすべての方に送る(?)、入館料100円のミュージアムを3館巡るお得なアートツアーを開催します
(1館だけ、110円ですがw)
「えっ、これで100円?!」
と驚くこと必至!
コスパの高いミュージアムの数々に、心も懐も満足する・・・はずです (笑)
定員は、10名。
参加費は、特にありません。
(チケット代・ランチ代、交通費を各自ご負担くださいませ)
《スケジュール(予定)》
11:00 逓信総合博物館ていぱーく集合→ “原田泰治[ふるさと心の風景]展” 観賞
12:30 ランチ
14:00 たばこと塩の博物館 “たくみのたくらみ” 観賞
16:30 武蔵野市立吉祥寺美術館 “中ザワヒデキ展 脳で視るアート” 観賞
17:30 解散
新たなツアー企画は、内容が決まり次第、随時こちらの記事を更新してお伝えいたします。
参加希望の方は、こちらのメールフォームよりお知らせください。
詳細をお知らせいたします。
http://homepage3.nifty.com/art-teller/tony_contact.htm
宴と縁と援
先週の日曜日は、閉校した中学校の校舎をリノベーションし、
“21世紀型オルタナティブ・アートスペース”として生まれ変わった3331 ARTS CHIYODAの・・・
ラウンジ (=元・給食室) を会場に。
今年、自分が主催したアートツアーでお世話になった方を招いて、
『2012年総決算! 「今年のアートを忘れない!」 パーティー』
を開催しました。
「開催しました。」 というと、いかにも “僕、頑張ってます。” 感がありますが。
開催に至った本当の動機は、世の中の皆様が、
年末に楽しんでいる忘年会なるものを経験してみたかっただけなのです (笑)
(アートテラーは自由業なので、特に忘年会など無いので)
参加を呼び掛けたところ、50名近くの方がいらしてくださって、会場は超満員。
飲み物や食べ物は、一人一品持ち寄り制にしたところ・・・
どのテーブルも賑やかになりました。
自宅から貴腐ワインを持って来てくださった人や、
手作りのクッキーやローストビーフを持って来てくださった人、
そして、なぜか柿の種や蒲焼きさん太郎など駄菓子系を持って来てくださった人などもいて、
いい意味で、個性的でアーティスティックで (カオスな) パーティーになったと思います(笑)
忘年会といえば、ビンゴ (←僕がイメージする忘年会像w)
というわけで、今回は、アート忘年会らしく、アーティストの名前でビンゴをしました。
事前に、参加者の皆様に、
「参加者の皆様が一番好きなアーティストをランキング形式で紹介しようと思っています。
なので、皆様の好きなアーティスト(画家、写真家、建築家…どのジャンルでもOK)を、5人教えてくださいませ」
というメッセージを送らせて頂きました。
実は、ランキングを作るというのは、真っ赤な嘘で (笑)
その皆様が挙げたアーティストの名前を使って、ビンゴをしたのです。
皆様には、4×4マスの何も書かれていないビンゴ用紙を、当日に配り、そこでビンゴの趣旨説明。
50人の参加者のうち1人しか挙げなかったアーティストは除外しているので、
ビンゴを揃えたければ、可能な限り、他のパーティー参加者が誰を挙げたのかを聞き出す必要があります。
さてさて、今回用意した1等景品は、アートビンゴ大会らしくアート作品。
銀座の靖山画廊さん、ギャラリー和田さんより提供頂いたものです。
(この場を借りて、ありがとうございました)
あまりに両作品とも素晴らしいため、ビンゴ大会は、かなり白熱したものに。
あんなに真剣にビンゴに取り組む大人たちを、僕はこれまでに見たことがありません (笑)
ちなみに、1等以外にも、豪華景品がたくさん。
様々な美術館やギャラリーから協賛頂けました。
このビンゴ大会のために、総額で10万以上の景品が集まって、
今回協賛頂きました関係各社の皆様には、本当に感謝してもしたりません。
景品を貰った方全員が、嬉しそうだったのが、とても印象的でした。
主催者なので、僕にはプレゼントはありませんが (笑)
その分、こうして多くの方に、
アートテラーの活動を応援・支援頂けていることを実感できたのが、何よりものプレゼントでした。
来年以降も、いろんな方との縁を大切にしていきたいものです。
最後に。
参加者の皆様が一番好きなアーティストのランキングを、こちらのブログで発表します (笑)
1位(9票) 伊藤若冲
2位(7票) 歌川国芳 サルバドール・ダリ
3位(5票) 藤田嗣治 東山魁夷
4位(4票) ミュシャ ゴッホ シャガール ピカソ
5位(3票) 山口晃 奈良美智 須田悦弘 鏑木清方 上村松園 葛飾北斎
村野藤吾 レンブラント マグリット フェルメール ルノワール
↑美術関係者の皆様、最新トレンドは、こんな感じです (笑)
美術ブログランキングへのご協力を、今年も延々とお願いしました (現在ランキング28位!)
山と森の精霊 高千穂・椎葉・米良の神楽 展
知られざる大正の家具デザイナーの展覧会に、
究極の名車模型作りに情熱を傾けるモデラーの展覧会に、
種子のデザインを取り上げた展覧会に。
毎回、意外なパンチを繰り出してくるのが、京橋にあるLIXILギャラリー (INAXギャラリー、改め)
そんなLIXILギャラリーで、現在開催されているのが・・・
“山と森の精霊 高千穂・椎葉・米良の神楽 展” という展覧会。
こちらは、宮崎県の高千穂・椎葉・米良の3地域に伝承される仮面舞踏会・・・
ではなく。
仮面を付けて夜通し舞い遊ぶ 『夜神楽』 の世界を紹介する展覧会です。
(今回の展覧会も、かなり予想外のパンチといったところ!)
3地域それぞれの夜神楽を、写真パネルを用いて紹介するだけでなく、
映像で紹介していたり、実際に夜神楽でも使われていた仮面を交えて紹介していたり。
これまで、能面をテーマにした展覧会を観賞したことは何度かありますが。
九州の民俗仮面を、このような形で、まとめて観賞したのは、初めてのこと。
能面とは違って、洗練さは、まったく無いですが (笑)
素朴で原始的な力強さが、ダイレクトに感じられました。
ピカソやモディリアーニが、アフリカの仮面を見て、
かなり衝撃を受けたというエピソードが、ありますが。
今回、僕が九州の民族仮面を見て受けた衝撃は、
ピカソやモディリアーニのそれに匹敵すると思います (笑)
さてさて、仮面の数々も衝撃的でしたが、
今回の展覧会のハイライトは、こちらの米良地区の村所神楽の舞台を再現したスペース。
(注:画像は、大阪会場のものです)
この舞台の手前に、椅子が設置されており、
その椅子に座れば、舞台越しに、プロジェクションされた米良地区の夜神楽の映像を観ることが出来ます。
正直なところ、神楽には、そんなに興味が無かったので、
ちょっと座って、ちょっと映像見たら、退散しようと思っていたのですが。
気づいたら、30分くらい、ボケ~っと映像を眺めてしまっていました。
自分でも、ビックリです。。。
実際の米良の夜神楽は、夕方から早朝まで、
完全に夜通しで、33番もの夜神楽が奉納されるとのこと。
実際に、夜神楽の映像を見るまでは、
「いやいや、途中で飽きるでしょwww」
と思っていたのですが、あの映像で見る限り、
ボ~ッと長時間、夜神楽に見入ってしまうのがわかる気がします。
夜神楽を舞う人物の不思議な動きといい、音楽といい、妙なトリップ感があるのです。
自分は、千葉県出身。
しかも、団地出身ゆえ、このような伝統的な民俗文化とは、
全く無縁に生きてきたので、全然実感がわかなかったのですが。
このような横溝正史のミステリ小説に出てくるような伝統行事が、今でも、日本でも行われているのですね。
日本のプリミティブな一面を垣間見ることが出来る興味深い展覧会でした。
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生誕100年 松本竣介展
今回は、 “まつじゅん” ではなくて、
“まつしゅん” の魅力に迫る美術展をご紹介いたします。
・・・と、いきなり “まつしゅん” と言われても、ピンと来ないことでしょうf^^;
僕の言う “まつしゅん” とは、
36年という短い人生ながらも日本美術界に鮮烈な足跡を残した松本竣介 (1912~1948) のこと。
ちなみに、松本竣介を “まつしゅん” という愛称で呼んでいるのは、現状では僕くらいなものです (笑)
(↑なんとか定着させたいと思っています)
さて、今年2012年は、松本竣介の生誕100年の節目の年。
それを記念した “生誕100年 松本竣介展” は、神奈川県立近代美術館 葉山での開催を皮切りに、
宮城県美術館、島根県立美術館と巡回し、現在、世田谷美術館で開催されています。
(2013年1月14日まで)
初期の作品から最晩年の作品まで、
もちろん代表作の数々も展示されている大型回顧展で、 『松本竣介展の決定版!』 といったところです。
出典作品数も多く、資料関連も多いため、
普段は常設展示室である2階の展示室も松本竣介展の会場に!
そのため、世田谷美術館は、まさに松本竣介一色状態!
正直、松本竣介だけで、お客さんが呼べるものなのかと、気になっていたのですが。
いざ会場に入ってみれば、平日にも関わらず、お客さんがいっぱい。
改めて、 “まつしゅん” 人気を再確認した次第です。
まだ、 “まつしゅん” を観たことがないという方は、この機会に是非!
さてさて、今回の松本竣介展の見どころは、
何と言っても、代表作中の代表作 《立てる像》 ではないでしょうか。
実は、 “まつしゅん” ファンでありながら、この作品を前にするのは、今回が初めて。
かなりミーハーな気分で、 《立てる像》 と向き合いました。
その第一印象は、
「あ、意外となで肩なんだね」
とか、
「あ、シャツインしているんだね」
とか、
「あ、インナーは、サンフレッチェ広島のユニホームみたいなんだね」
とか、結構どうでもいいことばかりでしたが (笑)
しばらく眺めているうちに、不思議なことに気が付きました。
向き合えば向き合うほど、描かれている人物が大きくなっている気がするのです。
絵のサイズを調べてみると、高さは162cm。
描かれている人物は、さらに低いはず。
にもかかわず、描かれている人物が、僕の身長よりも高いような、
しかも、どんどん高くなっているかのような不思議な感覚に襲われました。
描かれている人物と背景の縮尺が合っていないという視覚的な理由もあるのでしょうが。
それだけでは説明できないくらいに、絵の人物が、どんどん大きくなっているように感じられるのです。
おそらく、この絵で、松本竣介が表現したかったのは、 “肥大する自我” だったのではなかろうか。
僕は、それを無意識に感じ取ってしまったのではなかろうか。
一見すると普通の自画像なのに、実は、かなりシュルレアリスムな作品なのでは?
ともあれ、この不思議な自画像は、必見の一枚です!
《立てる像》 を観るだけでも、十分に、世田谷美術館まで行く価値がありますが。
他にも、 『美の巨人たち』 で取り上げられた 《Y市の橋》 も一見の価値アリ。
病気が原因で、13歳の頃に聴力を失った松本竣介。
そのため、描く世界は、 “無音の風景” と称されています。
確かに、この 《Y市の橋》 には、尋常じゃない静謐さが漂っていました。
他にも静謐な風景画を描く人はいますが (東山魁夷とか) 、
それらの風景画からは、 「シーン。」 という音が聞こえてくる気がします。
しかし、松本竣介の無音の風景画からは、 「シーン。」 という音すら聞こえず、全くの無音。
無音すぎて、自分の心拍数が聞こえてきました。
さらに、別の 『美の巨人たち』 の回で取り上げられた 《水を飲む子供》 も出展されています。
松本竣介の人物画の多くは、無表情のようで、ちょっとだけ表情を湛えているのですが。
この子供も、まさにそんな表情を湛えていました。
この絶妙な (微妙な?) 表情は、エヴァの綾波レイの表情に通ずる気がします。
他にも、初期のルオー風 (パクリ?) の風景画 (《建物》) や、
シャガール風 (パクリ??) のコラージュ画 (《都会》) 、
そして、藤田嗣治風 (パクリ???) の人物画 (《少女》) など、
多岐に渡る松本竣介ワールドを、今回の美術展では堪能出来ます。
その中でも特に印象に残ってるのが、 《象》 という作品。
こちらは、松本竣介の実の息子が描いた絵を、
松本竣介が、トレースして作品に仕上げたもの。
松本竣介のパパとしての一面が垣間見れて、ほっこりとする作品でした。
10位以内を目指して、美術ブログランキングにご協力をお願いします(現在29位)
シャルダン展―静寂の巨匠
今年も、いろいろな展覧会をご紹介してまいりましたが。
2012年ラストに紹介するのは、三菱一号館美術館で開催中の “シャルダン展―静寂の巨匠” です。
こちらの美術展の感想を、あえて一言で表すならば・・・
「地味~。」
としか言いようがありません (笑)
が、地味は地味でも、じわじわと面白さが滲み出てくるような、そんな地味さ。
地味というより、むしろ・・・
「滋味~。」
という表現のが、近い気がします。
この美術展でフィーチャーされているのは、ジャン・シメオン・シャルダン (1699~1779)
(注:こちらの 《日除けをかぶる自画像》 は出展されていません)
・・・なんだか、売れない落語家みたいな顔をしていますが、
こう見えて (←失礼!) 、フランスを代表する静物・風俗画の巨匠です。
そんなシャルダンですが、実は、意外にも、これまでに日本で個展が開催されたことはなかったのだとか。
そこで、今回、三菱一号館美術館が、満を持して、シャルダン展を開催する運びとなったのです。
出展されているシャルダン作品は、日本初公開作品26作品を含む38点。
「あ、たった38点しか来てないの?」
と思った方もいらっしゃるでしょうが、
シャルダンは、生涯に約200数点しか作品を残さなかった寡作の画家。
そのうちの38点が来日しているとは、実は奇跡的な美術展なのです。
しかも!
その38点の中には、シャルダンの最も美しい作品と言われる 《羽根をもつ少女》 に、
シャルダンが描いた唯一の花の絵 《カーネーションの花瓶》 に、
ポスターにも使われている晩年の静物画の最高傑作 《木いちごの籠》 もエントリーされています。
(《木いちごの籠》 は、個人所蔵のため普段は非公開!)
シャルダンの日本初の個展としては、これ以上ないくらいのラインナップです!
まさに、夢のシャルダン展!!
・・・・・・にも関わらず。
美術展会場では、ほとんどテンションが上がらないのは、シャルダン作品が地味だからに他なりません (笑)
《すももの鉢と水差し》 に、
《錫引きの銅鍋》 に、
《肉のある料理》 と、
シャルダン展は、静物画のオンパレードから始まります。
この頃のシャルダンは、キッチンツールを描くことに興味があったようで、
彼が描く静物画には、鍋やフライパンなど、さまざまな台所用品が登場しています。
派手さは全くないですが、シャルダンのつつましやかな性格が表れているようで、実に味わい深い絵でした。
・・・と、この初期の静物画までは、
美術展のキャッチコピーの 『やさしい沈黙に、つつまれる』 通りの作風だったのですが。
最初の奥さんが、わずか結婚4年で、病気で亡くなってしまい、
その数年後、裕福な未亡人と再婚したのをきっかけに、シャルダンの作風に大きな変化が。
新たな妻のせいで、ブルジョア志向になったシャルダンは、
得意としていた静物画を捨て、より各上のジャンルとみなされていた風俗画を描くようになってしまうのです。
《デッサンの勉強》
《買い物帰りの女中》
「あぁ、あのつつましやかだったシャルダンは、いずこへ・・・」
再婚した途端、急にセレブ志向になってしまったシャルダンには、ガッカリです。
・・・・・が、この頃のシャルダンの風俗画を、
よ~く眺めていたところ、とあることに気が付きました!
「あ、床に、台所用品が直置きされている!」
そうなのです。
シャルダンは、まだ初心を捨てていなかったのです。
だから、床に台所用品が直置きされているというヘンテコな風俗画になってしまっているのです (笑)
ちなみに、国王ルイ15世に贈呈された 《食前の祈り》 (ルーヴル美術館蔵) の隣に、
その4年後に描かれたエルミタージュ美術館が所蔵する別ver.の 《食前の祈り》 が展示されていました。
ほとんど同じ絵なのですが、よく見比べてみますと・・・
床に直置きされた台所用品が増えてる!!
4年の間に、シャルダンに、どんな心境の変化があったのでしょうか。
非常に気になるところです。
さてさて、その後、風俗画に飽きたのでしょうか。
シャルダンは、静物画に回帰し、生涯を通して静物画を描き続けたのでそうです。
《木いちごの籠》 は、その頃に描かれた一枚です。
上手いのは、言わずもがなですが。
何よりも気になったのは、
“なんとも絶妙なバランスで、木いちごが山盛りになっているなァ”
ということ。
描くよりも、このバランスで積む方が難しいのではなかろうか (笑)
ともあれ、シャルダンという地味な画家を、あえて取り上げた三菱一号館美術館に乾杯!
シャルダンの作品数が少ないながらも、
ちゃんとシャルダンの人生を追える美術展になっていたのが、何よりも素晴らしかったです。
『つつましやかな静物画を描く→一瞬、ブルジョア志向になり風俗画家に転向→やっぱり静物画を描く』
というシャルダンの人生も、あまり起伏がなくて地味でしたが (笑)
その地味な人生に (地味な作品にも) 、共感が持てました。
地味に2つ星の美術展です。
ちなみに、個人的に残念だったのは。
シャルダン展のお土産コーナーに、
エステー 消臭 芳香剤 シャルダンエース レモン230ml【HLS_DU】【RCP】
¥489
楽天
エステーの芳香消臭剤シャルダンが売ってなかったこと。
(芳香消臭剤シャルダンの名前は、画家のシャルダンに由来しています)
シャルダン展限定の芳香消臭剤シャルダンがあったら、地味に売れたと思うのですが(笑)
10位以内を目指して、ランキングにご協力をお願いします(皆様のおかげで現在22位まで上がりました!)
第3回 輝く!ここにしかない美術室大賞 『美術展賞』
今年も、残すところあとわずか。
今年一年間の美術展を振り返る “輝く!ここにしかない美術室大賞” の時間がやってまいりました!
アートテラーの僕が、今年訪れた美術展の数は、全部で262!
・・・・・・・・・・・。
我ながら、引くくらいに美術展を訪れた一年でした (笑)
さてさて、その262本の美術展の中から、ベスト10を決定する。
これは、とても難しい作業です。
ただでさえ、星の付け方で、美術館さんとの関係が、ビミョ~になるのに。
ここで、ベスト10にノミネートさせなかったなら、
来年のアートテラーの仕事は、干上がっちゃうかもしれません (笑)
が。
悩みに悩んだ末、そういうしがらみは抜きにして、
純粋に、印象に残っている美術展をベスト10形式で選びました。
ただ、言い訳でも弁明でもなんでもないですが、
今年は例年以上に、ベスト10に絞るのが難しかったです。
確実に、2012年は美術展の当たり年だった気がします。
それでは、大混戦の2012年展覧会ランキング。
まずは、10位からカウントダウン!
第10位 葛西臨海水族園 “博物画に観るエビとカニの美”
知られざる天才博物画家・杉浦千里さん (享年39歳) の描いた数々のエビやカニの絵は絶品でした!
葛西臨海水族園で開催されていたというのも良かったです♪
第9位 日本橋三井ホール “アートアクアリウム展2012”
第10位が、エビとカニなら、第9位は、金魚。
会期終盤には、2時間待ちにもなったと言われる人気の展覧会でした。
自分が訪れた会期序盤は、まだそこまで混んでおらず、
しかも、会場で、出展作家の一人である片岡鶴太郎さんにお会いするというおまけつきでした (笑)
第8位 東京国立博物館 “北京故宮博物院200選”
こちらの 《清明上河図》 を観るためだけに、行列に並ぶこと約3時間。
それだけ並んだのに、観ることが出来たのは、たったの2分。
しかし、観賞してから、ほぼ一年経っていますが、いまだに鮮烈な印象が残っています。
第7位 ヴァンジ彫刻庭園美術館 “開館10周年記念 庭をめぐれば”
今年も、関東近辺だけでなく、いろいろと地方ロケ (?) にも行かせて頂きましたが。
その中でも、特に印象深かったのが、ヴァンジ彫刻庭園美術館。
雰囲気が良かったのなんのって。
お世辞抜きで、もう一度行きたいと思っています。
第6位 MIHO MUSEUM “土偶・コスモス”
こちらも地方ロケ。
滋賀県の山奥にまで行ってまいりました。
桃源郷をイメージした建築のMIHO MUSEUMで待っていたのは、日本全国から結集した土偶たち。
難しいことは一切抜きにして、純粋に楽しい展覧会でした♪
第5位 DIC川村記念美術館 “FLOWERSCAPES フラワースケープ”
関連イベントとして、 「アートに親しむピクニック」 を担当させて頂きました。
2012年の上半期は、その準備に費やしたと言っても過言ではありません。
美術展そのものも面白く、全てが、とても良い思い出です。
第4位 国立西洋美術館 “ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年”
&東京都美術館 “マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝”
憧れの 《真珠の耳飾りの少女》 と対面した時の感動は、ひとしおでした。
そして、その数日後に、 《真珠の首飾りの少女》 と対面出来るとは。
日本って、何て素晴らしい国なんだ?!
Bunkamuraザ・ミュージアム “フェルメールからのラブレター展” も含めて、2012年は、フェルメールイヤーでした。
第3位 国立新美術館 “リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝”
今年の西洋美術の美術展では、ピカイチ。
リヒテンシュタイン侯爵家が所蔵するコレクションが公開されるのは、日本初。
そして、天井画が展示されるのは、日本の美術展初。
僕の中では、もはや “伝説の美術展” という位置づけです。
第2位 東京都現代美術館 “館長庵野秀明 特撮博物館”
文句なしで楽しかった展覧会。
ただ楽しいだけでなく、 “特撮” という映画の一ジャンルを、
日本の伝統文化の一つにまで高めた展覧会と言えるのではないでしょうか (←言い過ぎ?)
第1位 千葉市美術館 “須田悦弘展”
“館長庵野秀明 特撮博物館” とは、また違った形で楽しませて頂きました。
須田さんの作品を探して、千葉市美術館を隅々まで捜索したのは、今年一番の思い出です (笑)
これほどまでに、続編を希望している美術展はありません。
千葉市美術館さん、よろしくお願いします。
というわけで、アートテラーが選ぶ2012年の美術展ベスト10は、このようになりました。
第1位 千葉市美術館 “須田悦弘展”
第2位 東京都現代美術館 “館長庵野秀明 特撮博物館”
第3位 国立新美術館 “リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝”
第4位 国立西洋美術館 “ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年”
&東京都美術館 “マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝”
第5位 DIC川村記念美術館 “FLOWERSCAPES フラワースケープ”
第6位 MIHO MUSEUM “土偶・コスモス”
第7位 ヴァンジ彫刻庭園美術館 “開館10周年記念 庭をめぐれば”
第8位 東京国立博物館 “北京故宮博物院200選”
第9位 日本橋三井ホール “アートアクアリウム展2012”
第10位 葛西臨海水族園 “博物画に観るエビとカニの美”
「あれっ?ウチの美術展が、ベスト10に入ってないんだけど」
という関係者の皆様。
すいません。その美術展は、惜しくも11位だったのです。
来年は、どんな美術展に出会えるのか。
そして、どんな美術展を、皆様に紹介出来るのか。
今から楽しみでなりません。
今年一年、アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】blogをご愛好頂きましてありがとうございました。
来年も、笑いと本音を交えながら、
数々のオススメ美術展を紹介してまいりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、良いお年を。
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抱負と豊富
新年明けましておめでとうございます!
旧年中は、読者の皆様には、大変お世話になりました。
2012年は、
「とに~さんのblogを見て、うちの美術館に来て下さったというお客様がいらっしゃったんですよ♪」
と、blogで紹介した美術館の関係者さんに教えて頂くことが何度もありました。
正直なところ、毎日休まずブログを書いているわりには、
あまり大きなリアクションがないので (笑) 、ごくたまにですが、
「あ~・・・ブログのない国へ行きたいなァ・・・」
と、現実逃避することもあるにはあったのですがf^^;
僕のブログが、少しでも読者の皆さんと美術界の役に立っていることを実感するたびに、
新鮮な喜びを得て、気持ちもリフレッシュし、日々、ブログの画面に向き合っておりました (←我ながら、単純w)
2013年も、アートテラー・とに~ともども、
アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】blogを応援頂けますと幸いです。
まずは、美術ブログランキングで、1位を取ることが当面の目標ですので、
皆様、下のボタンをポチッと押して、具体的な応援をよろしくお願いします (笑)!
さてさて、2013年のアートテラーとしての抱負は、巳年だけに・・・
『脱皮』
昨年を冷静に振り返ってみますと・・・
J-WAVEの 『JAM The World』 に出演したり、BS朝日の 『ごごいち!ニュースキャッチ』 で特集を組まれたり、
一見すると順風満帆な一年だったような気がしますが。
おそらく、その出演のおかげで、
“アートテラー人生は順風満帆だ”
と、多少調子をこいていたような気がします。
下半期は、全然、順風満帆ではありませんでした (笑)
気持ちを入れ替えて、今年は、これまでのアートテラーとしての自分に、一度さよならをし、
一皮も二皮も剥けたNEWアートテラー・とに~になるのが、目標です。
NEWアートテラー・とに~になるために、
「アートテラーとしての引き出しを豊富にする」
これが、今年のモットーです。
具体的には、今自分が持っているアート情報を、倍以上に増やすこと。
今の自分のトークスキル、笑いのスキルを、もっとアップさせること。
そして、何より、アートテラーの新ネタを増やすこと。
今年こそは、新ネタライブを、やりましょうとも
というわけで、宣言したからには、適えてみせます。
「とに~の威勢が良かったのは、1月だけだったなぁ(苦笑)」
とならないように、温かい目で見守って頂けますと、幸いです。
最後に。
読者の皆様への感謝をこめて。
僕からのお年玉プレゼントを
現在、3ツ星を付けて絶賛オススメ中の “白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ” のペアチケットを、
5組10名様にプレゼントいたします
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
http://homepage3.nifty.com/art-teller/tony_contact.htm
(〆切は、1月14日。当選は発送をもって代えさせていただきます)
PR: フレッツ光が驚きの価格ではじめられる「思いっきり割」
ゆくとし くるとし ―茶道具と円山派の絵画―
三が日も終わりましたので、本日が今年の美術館はじめ。
2013年記念すべき一発目に訪れる美術展は、こちらに決めました↓
三井記念美術館で開催中の “ゆくとし くるとし ―茶道具と円山派の絵画―” です。
昨年12月8日より開催されていた、こちらの美術展。
“ゆくとし” に当たる12月8日から12月24日までは、
去りゆく辰年にちなんで、円山応挙の 《雲龍図》 を展示していたようなのですが。
“くるとし” に当たる今月は、
同じく円山応挙の筆による国宝 《雪松図屏風》 が展示されています。
新年早々、国宝の屏風絵が観れるだなんて、こいつは春から縁起がいいわい。
この 《雪松図屏風》 を観るだけでも、十分に行く価値アリ。
《雪松図屏風》 の魅力は、是非、その目で実感して頂くとしまして。
こちらの 《雪松図屏風》 を中心に、展示室では、
三井記念美術館のコレクションの中から他の応挙作品や応挙の弟子の作品が紹介されていました。
その中でも、特にオススメなのが、
応挙の弟子にあたる亀岡規礼 (1770~1835) が描いた 《酒呑童子絵巻》
とても100年以上も前の作品とは思えないほどの色鮮やかさもさることながら、
クライマックスである源頼光vs酒呑童子のバトルシーンが、タランティーノ映画ばりに迫力満点!
血がドバドバ出るわ、鬼の首や腕が簡単にもげるわ。
新年早々、エラいものを見た気分です (笑)
それと、個人的にツボだったのが、
酒呑童子退治の命を受けた源頼光一行のメンバー全員が同じ顔をしていたこと。
どれが源頼光なのか、正直、全く分かりませんでした (笑)
さてさて、今回の美術展では、円山派の絵画だけでなく、
三井記念美術館のコレクションの核となる茶道具の名品の数々も展示されています。
むしろ、割合としては茶道具の名品の展示の方が多いです。
《黒楽茶碗 銘 俊寛》 に、
《赤楽茶碗 銘 鵺》 に、
そして、国宝 《志野茶碗 銘 卯花墻》 までもが展示されています。
茶道具好きには、たまらない美術展と言えましょう!
僕は、どちらかと言えば、茶道具に興味がない方なのですが。
そんな僕でも、上で紹介した3点に関しては、やはり感じ入るものがありましたし。
それ以外にも、いくつか印象深い茶碗がありました。
例えば、 《黒樂茶碗 銘 雨雲》
こちらは、本阿弥光悦が手捏ねした茶碗とのこと。
雨雲という銘が、ピッタリとハマっており、
まさに、茶碗全体に雨雲が立ち込めているかのような印象でした。
どことなく、廃墟感もあり、観れば観るほど、心の中に嵐が吹き荒れるようでした。
ちなみに、 《大井戸茶碗 銘十文字井戸》 が、今回の美術展でのマイベスト茶碗。
画像は横から写したものしか見つかりませんでしたが。
上から覗き込むのが、マイベストアングル。
こちらの茶碗は、 『へうげもの』 でお馴染みの古田織部が、
大振りな大井戸茶碗を、自分の嗜好に合うように、一度十文字に割って (←!)
一回り小振りにした上で、漆を使って接いだという、超へうげものな茶碗。
だから、内部には、バッチリと十文字にヒビが入っています (お茶が漏れちゃうのでは??)
そのフリーハンドの線っぽいヒビと、アクセントになっている赤い釉薬部分の対比が、
どことなくクレーの絵画を彷彿とさせて、実に可愛らしい茶碗なのです。
お茶碗以外にも、年末年始の茶席をイメージした茶道具が、たくさん展示されていましたし。
円山派の絵画や茶道具だけでなく・・・
エリザベス女王を描いた切手なんかも展示されていました。
・・・ん?切手??
何の脈絡もなく切手が展示されていたことで、
全体的に、まとまりのない美術展だったような印象を受けてしまいました。
この何でもアリな感じは、お正月特番のような感じに近い気がしなくもないですが・・・。
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(皆様のおかげで現在7位まで上がりました!)
東洋館リニューアルオープン
今年も、東京国立博物館に初もうでに行ってまいりました。
2週間限定で特別公開されている長谷川等伯の国宝 《松林図屏風》 を愛でたり、
今年の干支にちなんで展示されているヘビたちに睨まれたり、
今年も、本館で開催中の “博物館に初もうで” を堪能させて頂きました。
・・・・・と、本館だけでも十分にお腹いっぱいになりましたが。
今年は、トーハクから、さらに、嬉しい嬉しいお年玉が!
そう。長らく耐震改修工事が行われていた東洋館が、ついにリニュアルオープンしたのです!!
ではでは、早速、中に入ってみましょう♪
「お~~~」
そこに広がっていたのは、
地味な外観からは想像できないほど (←失礼!) 、スタイリッシュな展示空間
トーハクご自慢のアジア文化コレクションたちが、
実に、カッコよくスタイリッシュに展示されていました!
正直なところ、これまで、アジア文化コレクションには、そんなに興味が湧かなかったのですが。
この新生・東洋館でのスタイリッシュな展示なら、
全6階13フロアという広大なスペースでも、最後まで興味深々でいられました。
また、スタイリッシュな展示にこだわるだけでなく。
曲線を描いた目新しい展示ケースを導入してみたり、
トランク風のケースで解説ガイドを流してみたり、
と、チャレンジ精神も溢れていました。
建物だけでなく、展示スタイルまで、ちゃんとリニューアルされているのですね。
これからの東洋館にも期待大です。
それでは、ここからは、今回展示されていたコレクションの中から、
心に刺さった作品の数々を、厳選に厳選を重ねてご紹介いたしましょう。
まずは、 “さくらももこ” 感が、ハンパじゃなかった 《聖魚オクシリンコス像》
続いて、 “エヴァ” 感が、ハンパじゃなかった 《鳥頭形石器》
そして、 “殴り書き” 感が、ハンパじゃなかった 《草書五言律詩軸》
他にも、謎キャラすぎる 《人物型土器》 がいるわ、
貫禄たっぷりなガネーシャがいるわ、
本物のミイラがいるわ。
東洋館は、大賑わい。
まさに、ごった煮なアジアの縮図といった印象です。
皆様も、是非、お気に入りの逸品と出会ってみてください。
最後に。
今回の東洋館のリニューアルの目玉の一つとして、
本館、表慶館を一望できるとっておきのビュースポットとして、テラスが作られたとのことなのですが。
テラスへと続く導線が、全くスタイリッシュではなく・・・。
しかも、いざテラスに出てみると、
ガラスが、汚れているという有様。。。
本館、表慶館とともに、ガラス汚れも一望できました (笑)
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