今回、皆様に、ご紹介したいのは、
神奈川県立歴史博物館で開催中の “かながわの遺跡展・巡回展 勝坂縄文展” という展覧会。
縄文時代中期の 『勝坂(かっさか)式土器』 を中心に、
重要文化財の 《火炎土器》 も含め、多種多様な縄文土器が紹介されている展覧会なのです!!
・・・と、いくら僕が、語尾に “!” を付けて強調してみたところで、
縄文時代に興味がない人にとっては、
「ふ~~~~ん。」
という感じなのでしょうが。
是非是非、そういう人にこそオススメしたいのが、こちらの勝坂縄文展。
意外や意外に、3つ星。
付けた自分が一番ビックリしています (笑)
この勝坂縄文展の最大のポイントは、その “ユルさ” 。
考古学の展覧会というと、何となく、お堅くてマジメなイメージがありますが。
勝坂縄文展は、その真逆!
入り口からして、ユルさ全開です!!
(注:この記事に使用している写真は、特別に主催の神奈川県埋蔵文化財センターさんより提供頂いたものです)
『こってりの縄文 めしあがれ』 とは、かなり秀逸なコピーだと思います (笑)
ではでは、早速、会場へ入ってみましょう。
まず、いきなり目に飛び込んできたのが、写真撮影のセットのようなもの。
実は、こちらは、土器と一緒に記念撮影が出来るコーナー。
僕も、せっかくなので、記念に1枚撮って頂きました。
(しかも、縄文コスプレ衣装付w)
こんな記念写真コーナーに置かれている土器なので、
当然レプリカだと思って、ペタペタ触ってしまいましたが・・・。
「もちろん本物ですよ♪」
とは、スタッフさんの談。
血の気が引いたのは、言うまでもありません (笑)
しかし、そんな僕を察して、
「その土器は、触ってOKです♪」
と、スタッフさんが、すかさずフォロー。
そう、こちらは、本物の縄文土器を触りつつ、
本格的に記念撮影まで出来てしまうという前代未聞のコーナーなのです。
皆様も、是非 (笑) !!
さてさて、記念写真を撮ったところで、いざ会場へ。
会場には、たくさんの縄文土器がズラリと勢ぞろい。
そして、展示ケースの上には、猿?!
その奥には、ムササビの姿も?!
斬新すぎる展示です (笑)
ただ、展示スタイルに負けないくらいに、紹介されている縄文土器たちも斬新です。
これまでに、あまり目にしたことがないユニークな縄文土器のオンパレード。
それらの中には、謎の生命体が描かれた縄文土器も。
縄文時代のクリエイターたちのセンスに、脱帽せざるを得ません。
実は、僕以上に、彼らのセンスにインスパイアされたのが、あの岡本太郎。
会場には、岡本太郎本人が撮影した写真と、
その被写体となった縄文土器がセットで紹介されたコーナーも。
そして、それらの前には、なぜかカメラの姿。
その置かれたカメラのファインダーを覗くと、
岡本太郎が撮影したアングルで、縄文土器が見えるという仕掛け。
これまた斬新すぎる展示です (ただ、あまり感動はなかったですがw)
岡本太郎ですら絶賛した縄文土器。
さぞかし、展示されている全てが名品なのかと思いきや・・・いえいえ、そんなことはありません。
絵が上手い人がいれば、下手な人がいるように。
土器作りが上手い縄文人がいれば、土器作りが下手な縄文人もいたはずです。
そこで、展示の一角では、
上手い土器とへたっぴな土器が、並べて展示されています (笑)
数千年の時を経て、へたっぴな土器と晒し者にされている縄文人には、同情を禁じえません。
(ただし、縄文時代の美的センスは、現代とは逆だった可能性も無きにしも非ず)
また、こちらも会場で晒し者 (?) と化した縄文土器↓
回転する土台の上で、くるくると回らされておりました。
なにゆえ、この縄文土器ばかりが、
そんな辱しめを受けているのかと言いますと・・・
土台に書かれた文字にご注目!
実は、この縄文土器。
作者が、おそらく製作途中で、やる気が無くなってしまったと思われる縄文土器なのです (笑)
こういう模様の縄文土器を作るはずが・・・。
(画像提供:神奈川県埋蔵文化財センター)
結果として、こんな状況に (笑)
(画像提供:神奈川県埋蔵文化財センター)
人生で初めて、縄文土器にめちゃくちゃ親近感が湧きました!
これを作った縄文人とは、仲良くなれそうな気がします。
この他にも、日本最大級の土偶の頭 (17.7cm) が展示されていたり、
見どころは、たくさん。
さらには、全36ページ (しかも、カラー!) の図録まで、お土産で頂いてしまいました♪
これだけ楽しめて、入館料は一般300円!
実は、この値段は、神奈川県立歴史博物館の常設展の入場料と同じ価格 (もちろん、常設展も観られます)
つまり、実質的には、無料の展覧会なのです。
事実、巡回先である相模原市立博物館 (2月16日~3月20日) では、無料で開催されるのだとか!
まさに、掘り出し物の展覧会です。
10位以内を目指して、ランキングに挑戦中!(現在13位)
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かながわの遺跡展・巡回展 勝坂縄文展
新・無料で観れる 美術百選 《新田神社(東京都大田区)》
『無料で観れる美術作品を、あと100点紹介しよう!』
をスローガンに掲げ、日々、無料で観れる美術作品を探す企画 “新・無料で観れる 美術百選” 。
2013年も、たくさんの無料で観れる美術作品と出会うことが出来ますように。
そんな願いを込めて、新年一発目は、
初詣を兼ね、大田区の新田神社に行ってまいりました。
あまりメジャーな神社ではないですが、
実は、お正月の風物詩である破魔矢は、この新田神社が発祥なのだそうです。
なんでも、平賀源内が新田神社を参拝した際に、
境内の不思議な篠竹で厄除開運・邪気退散の 「矢守(破魔矢の元祖)」 を作ったのが、その起源なのだとか。
大田区に、こんなスゴい神社があったのですね!
さてさて、さらに、新田神社の由来を知りたい方は、
新田神社が制作したアニメを見て頂くとしまして (笑) ↓
神社自体は、いたってオーソドックスな神社。
また、境内には樹齢700年のケヤキがあったり、
新田神社の祭神・新田義興を陥れた畠山家が近づくと、唸ったという伝説のある狛犬があったり、
その前で写真を撮ると、幸せが訪れるというLOVE神社があったり。
・・・・・ん?LOVE神社?!
謎のLOVE神社の出現に、戸惑う僕。
隣にあった説明を読んでみます。
イマドキのギャル風の巫女さんのイラストも気になりますが (笑)
どうやら、このLOVE神社という石の彫刻は、
日本を代表するグラフィックデザイナー浅葉克己氏の作品であることが判明!
(民主党のロゴマークをデザインしたことでも知られている方です)
浅葉克己さんと新田神社の関係は、なぜかとても深く。
新田神社の新しいロゴ (?) も考案。
そして、境内には、浅葉さんのデザインした破魔矢をイメージしたオブジェも。
さらには、境内に、こんなものまで!!
前日の雪のせいで、イマイチ何だかわかりづらくて恐縮ですが。
こちらは、なんと卓球台!
卓球6段の腕前を持つ浅葉克己さんが、
おそらく趣味全開で製作したと思われるアート作品です (笑)
新・無料で観れる 美術百選 006 浅葉克己 《石の卓球台》
ちなみに、この 《石の卓球台》 。
無料で観れるだけでなく・・・
社務所に声を掛ければ、無料でラケットと球も貸してもらえるのだとか!
無料で卓球が出来る美術作品です。
<無料で観れる美術 データ>
新田神社
住所:東京都大田区矢口1-21-23
アクセス:○東急多摩川線 「武蔵新田駅」 より徒歩3分
この美術室を盛り上げるワンクリックも、無料で出来てしまいます。
(ランキングは、現在13位)
未来を担う美術家たち DOMANI・明日展2013
国立新美術館で開催中の “未来を担う美術家たち DOMANI・明日展” 。
こちらは、文化庁の在外研修制度 (新進芸術家海外研修制度) により、
海外派遣された若手芸術家の成果発表の場として、1998年より毎年開催されている美術展です。
もはや、すっかり国立新美術館の恒例プログラムとして定着している感のある “DOMANI・明日展” ですが。
実は、意外にも (?) 、自分が訪れるのは、2009年以来。
僕の中では、恒例プログラムとしては定着していなかったようです (笑)
・・・と言いますのも、あまり足を運ぶ気になれなかったのは、
出展されているアーティストのラインナップに、そこまで魅力を感じなかったから。
ほぼ知らない人ばかりの美術展に、入場料として1000円を払うのは、少々抵抗がありました。
むしろ、彼ら (=出展アーティスト) に、在外研修制度の費用を支援するくらいなら、
僕ら (=観賞する人々) の入場料を支援して欲しい、と、文化庁に対して、思ったものです。はい。
ところが、入場料こそ変わりませんでしたが、
今年の “DOMANI・明日展” は、出展アーティストが、例年より豪華なラインナップに!
2年前に東京オペラシティアートギャラリーで個展が開催された曽根裕さんをはじめ、
超細密なペン画で知られる池田学さんや、変装写真でお馴染みの澤田知子さん、
横浜トリエンナーレや越後妻有トリエンナーレでも大活躍の塩田千春さんなどが、出展しているとのこと。
これは、現代アート好きな人にとっては、かなり魅力的なメンバーなのではないでしょうか。
というわけで、今年は、かなりの期待を込めて、 “DOMANI・明日展2013” を訪れました。
まず、会場で一番驚いたのは、一部の作品に関しては、写真撮影が可能なこと。
神彌佐子さんの作品も、
青野千穂さんの作品も、
そして、塩田千春さんのインスタレーション作品まで、写真撮影が可能!
ちなみに、今回出展されていた 《大陸を越えて》 のは、
無数の履き古された靴を、赤い糸で結ぶというインスタレーション作品。
それらの靴一つ一つに、実際に履いていた人の思い出が添えられていて、何だかジ~ンとしてしまいました。
「キレイ!」 とか 「スゴイ!」 とか、
一言では言い表し切れない、想いがずっしりと詰まった作品でした。
さてさて、今回出展されている12人のアーティストの中には、
失礼ながらも、今回初めて知ったという方も、いるのですが・・・。
その中で、自分的に気になるアーティストが3名いたので、ピックアップしてご紹介。
(これからは、その名前を覚えておきます!)
まずは、ガラスや鏡をテーマに作品を制作するという行武治美さん。
彼女の力で、あの味気ない国立新美術館の展示室が大変身!
鏡で絵を描く (形作る) というのは、これまでにありそうでなかったアート。
ミラーボールを彷彿とさせ、どこかゴージャスでバブリーな印象でした。
また、床に、このような鏡を配置することで・・・
天井のライトの光を壁に反射させてみたり、と、他の作品も非常に気になるアーティストです。
続いては、平野薫さん。
彼かつて誰かが身につけていた衣服をほどいて、
再び紡ぐように再構成するのが、平野さんのスタイル。
つまり、洋服のリメイクのアート版 (←ざっくり言ってしまえば)
例えば、こちらは、元・ワンピース。
平野さんがほどいて再び紡ぐと、こんな風になっちゃいます。
とりあえず、着れないことは確かです。
会場には、こんな作品も。
毛糸玉なのか、どうなのか。
探るようにジロジロと観た後、ふとキャプションに目をやると・・・
元・パンティーであることが判明!!
ジロジロ見ちゃって、すいません(/-\*)
もう一つ、平野さんの作品で気になったのが、この謎の細い棒。
実は、この作品の正体は、たくさんのボタン。
ありそうでなかった発想です。
3人目は、橋爪彩さん。
プロメテウスの涙 (文春文庫)/文藝春秋
¥600
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こちらの小説の表紙にも使われている 《Girls Start the Riot》 を筆頭に、
全14点の絵画作品が展示されていましたが、そのどれもに独特のエロスが漂っていました。
橋爪彩さんのエロスは、杉本彩のエロスとイイ勝負です。
これからは、勝手に、 『W“彩”』 と呼ぶことにします。
前回よりは、格段に面白かったですが、
やはり、美術展というよりも、単に発表会という印象が否めなくて、1つ星。
最後に、特筆すべきこととしましては、
なぜか、今回の “DOMANI・明日展” は、ミュージアムショップが充実していました (笑)
ちなみに、こちらの充実しすぎなミュージアムショップでは、
ミュージアムショップの定番中の定番ポストカードに、新たな革命を起こしていました。
一見、普通のこのポストカード。
裏返してみると・・・
別の図柄が!
これは、
「ポストカードを、ハガキとして使用せず、観賞用として購入する人は約30%」
という独自のアンケート調査から生み出した2WAYポストカード。
確かに、このアイディアは、素晴らしい
・・・・・が、ミュージアムグッズ開発を頑張って、どうする (笑) ?!
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徳川将軍家の器
久しぶりに、千代田区立日比谷図書文化館へ。
久しぶりに訪れたら、丸善がプロデュースしていたオシャレなカフェは、PRONTOに。
丸善がプロデュースしていたオシャレなレストランは、
PRONTOととんかつまい泉のコラボ店に、様変わりしていました。
(オシャレ感はダウンしたものの、リーズナブル感はアップ)
一体、千代田区立日比谷図書文化館に、何があったのでしょう?!
さてさて、そんな人知れず (←?) リニューアルをしていた千代田区立日比谷図書文化館では、
3月3日まで、人知れず (←??) “徳川将軍家の器” という展覧会が開催されています。
入場無料ということで、ほとんど何の期待もせず、会場を訪れたのですが。
鍋島報效会所蔵の 《色柄椿文輪花大皿》 (佐賀県重要文化財) があるわ、
大阪市立美術館の 《色絵毘沙門亀甲桐文皿》 があるわ、
出光美術館の 《青花花卉双鳥文輪花皿》 があるわ。
他にも、東京国立博物館など、さまざまなミュージアムの自慢の陶磁器たちが出展されていました。
“いやいやいや、そんな陶磁器たちが、こんな無料の展覧会で展示されているわけがない!”
と、最初は、レプリカを展示しているのではないかと疑ってみたのですが。
観れば観るほど、本物の輝きを放っていました。
まさか、こんな無料の展覧会で、出合えるだなんて!
まるで、思わぬところで、お忍びで来日中のスターに出合ってしまったような感覚です (←?)
そんなお忍び陶磁器の中には、
九州陶磁文化館の 《色絵鶺鴒文皿》 の姿も。
ちなみに、この鶺鴒柄のお皿は、
現時点で、2例しか発見されていないとう貴重なものなのだそうです。
さてさて、展覧会では、これらの陶磁器は、
徳川将軍家とゆかりのある器として、紹介されてはいるのですが。
実は、これらの陶磁器は、展覧会のメインに非ず。
この展覧会のメインは、むしろ、こちら↓
千代田区の江戸城跡から出土した陶磁器の破片。
1657年の明暦の大火で、江戸城が消失した際に、
江戸城本丸御殿で使われていた陶磁器の数々は、
このように無残な姿になってしまったのです・・・。
つまり、 《色柄椿文輪花大皿》 も、
《色絵毘沙門亀甲桐文皿》 も、 《青花花卉双鳥文輪花皿》 も、前座のようなもの。
ビフォーアフターの 『ビフォー』 に過ぎなかったのです。
素晴らしい陶磁器の数々を目にしたあとで、
それらと同じくらいのレベル、もしくは、それ以上のレベルの陶磁器のなれの果てを見る。
なんとシュールな展覧会なのでしょう (笑)
出土した陶磁器の中には、
《色絵唐花文変形皿》 のように、元々は変形皿だったものもありますが、
確実に、変形皿だった時以上に、変形していました (笑)
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筆あとの魅力─点・線・面
ブリヂストン美術館に行ってきました。
現在開催されているのは、毎度おなじみの (?) ブリヂストン美術館のコレクション展。
展示されている作品自体は、前回開催の “気ままにアートめぐり” と、ほぼ一緒でした (笑)
なので、星の数も前回と一緒で、1つ星。
前回と変わったことと言えば、第2室を使用して、
“筆あとの魅力─点・線・面” というミニ美術展が開催されているくらい。
こちらのミニ美術展では、ブリヂストン美術館コレクションの中から、
“筆あと” が特徴的な絵画として選抜された28点の作品が紹介されています。
そんな・・・
BRD28の主なメンバーをご紹介いたしましょう。
(注:名付けたのは、僕です。ブリヂストン美術館の公式見解ではありませんw)
・「点」 が特徴的なチーム点
ゴーギャン 《馬の頭部のある静物》
パウル・クレー 《島》
・「線」 が特徴的なチーム線
カンディンスキー 《二本の線》
藤田嗣治 《猫のいる静物》
・「色面」 が特徴的なチーム面
セザンヌ 《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》
藤島武二 《東海旭光》
会場では、全メンバー (?) それぞれに、キャプションが付けられており、
これらの作品が選抜された理由や作品に関する簡単な解説も、併せて紹介されています。
それらも参考にしつつ、自分が推したいBRD28メンバーを選んでみてはいかがでしょうか?
ちなみに、僕の推しメンは、ザオ・ウーキーの 《07.06.85》
青く静謐な画面が印象的な、こちらの絵は、
もちろん色面が特徴的な作品として紹介されていました。
まさに、推し面 (←結局、これが言いたかっただけw)
ただ、確かに、BRD28メンバーは、どれも線や点、色面が特徴的でしたが。
冷静に考えてみると、それは、どの絵にも言えることであるような・・・。
“筆あとの魅力─点・線・面” のコーナーではなく、
普通に常設展示されていた作品の中にも、ローランサンの 《二人の少女》 や、
デュフィの 《オーケストラ》 のように、
線や点、色面が特徴的な絵画作品は、ごろごろありました・・・。
結果として、ブリヂストン美術館が、
今回あえて “筆あとの魅力─点・線・面” という美術展を開催した理由が、イマイチわからずじまい。
僕の心の中には、モヤモヤしたあとが残っています。
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新・無料で観れる 美術百選 《下丸子駅(東京都大田区)》
前回は、ナニコレ珍百景な 「石の卓球台が境内にある神社の光景」 を紹介しましたが。
その 《石の卓球台》 は、そもそも多摩川アートラインプロジェクトの一環として制作されたものでした。
多摩川アートラインプロジェクト・・・東急多摩川線エリアの鉄道 (アートライン) ・駅 (アートステーション) ・街 (アートタウン) を舞台に、
市民と企業で取り組む、現代アートによる街づくりの活動。
せっかくならば、他の多摩川アートラインプロジェクトの作品も観たいところ。
というわけで、多摩川駅から蒲田駅まで東急多摩川線10分7駅を旅してみました。
アートプロジェクト自体は、2009年度で一度終わっていることもあって。
全作品が残っているわけではありませんでしたが。
渡辺元佳さんの 《ぽ た ん》 や、(新丸子駅)
TSAO Designによる 《ナゴリイス - made in Ota -》 (武蔵新田駅)
吉田重信さんの 《INFINITY LIGHT》 (蒲田駅)
一度、このシリーズに登場している (#82) 名和晃平さんの 《Stool》 (矢口渡駅)
・・・などなどの作品はいまだに健在で、十分に楽しむことが出来ました♪
数ある多摩川アートラインプロジェクトの作品の中で、
個人的に一番印象的だったのが、下丸子駅に設置された、こちらの作品↓
下丸子駅のホームに設置されたフレームに展示されているのは、
東急多摩川線の近隣に住む人々の笑顔が溢れた巨大ポートレート。
こちらは、なんと、尾崎豊の写真集や、
コア―尾崎豊 (My Songシリーズ)/光栄
¥1,890
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福山雅治の写真集などなど、
LEICA・LIVE・LIFE./CBSソニー出版
¥2,854
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多くのミュージシャンのCDジャケットも手掛ける人気写真家・ハービー・山口さんの撮り下ろし作品。
新・無料で観れる 美術百選 007
ハービー・山口 《多摩川の笑顔たち》
こんなところで (・・・と言っては失礼極まりすぎますがw) 、
ハービー・山口さんの撮り下ろしのポートレイト作品が観れるだなんて驚き。
ただ、
じっくり眺めていたら、電車を1本逃してしまいました・・・。
《多摩川の笑顔たち》 の前で、思わず苦笑い顔に (笑)
<無料で観れる美術 データ>
下丸子駅
住所:東京都大田区下丸子3-7-1
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二川幸夫・建築写真の原点 日本の民家一九五五年
この春、開館10周年を迎えるパナソニック 汐留ミュージアム。
その開館10周年プレ企画として開催されているのが・・・
“二川幸夫・建築写真の原点 日本の民家一九五五年” という展覧会。
大変失礼ながら、一般的には、
「・・・ど、どちら様?」
と、戸惑いは隠せない二川幸夫さん (1932~) ですが。
建築の世界では、日本を代表する建築写真家として超有名な人物。
建築デザイン専門誌として、 『新建築』 と人気を二分する 『GA JAPAN』 。
GA JAPAN 120/ADAエディタトーキョー
¥2,450
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その発行人としてもお馴染みのお方です。
ちなみに、大きな書店やオシャレな本屋さんの建築コーナーで必ず見かけるような・・・
落水荘―GAトラベラー 003 (GA TRAVELER Frank Lloyd Wright.../エーディーエー・エディタ・トーキョー
¥2,940
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伊東豊雄 最新プロジェクト(TOYO ITO RECENT PROJECT)/ADAエディタトーキョー
¥3,990
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これらの本も、実は、二川幸夫さんの著書なのです。
そんな二川幸夫さんの出世作にして、代表作が、
日本の民家一九五五年〈普及版〉/ADAエディタトーキョー
¥3,780
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全10巻からなる写真集 『日本の民家』 。
こちらの写真集に収められているのは、
《愛媛県南宇和の外泊の瓦屋根》 に、
1950年代 ©Photo:Yukio Futagawa
《能登、時国宏邸の大黒柱》 など、
1950年代 ©Photo:Yukio Futagawa
20代の頃の若き二川氏が撮影した日本各地の民家の写真。
名のある建築家が設計したわけでもない、何の変哲もない民家の写真です。
しかし、そのシンプルなモノクロ写真には、
確かに、民家の力強さや美しさ、長い年月をかけて蓄積された人々の知恵などが映し出されています。
この写真集は、当時の建築界に大きな衝撃を与え、
第一線で活躍する建築家たちからも高く評価されたこともあり、
1959年には、毎日出版文化賞を受賞したのだそうです。
そんな 『日本の民家』 に収められた写真の中から、
厳選に厳選を重ねた70点が展示されているのが、今回の展覧会。
ちなみに、これまで、二川さん自身は、
「自分は写真家ではないから。」 と展覧会を拒んできたのだそうで、
今回のパナソニック 汐留ミュージアムでの展覧会は、国内美術館では初の二川幸夫展なのだとか。
・・・さてさて、二川幸夫さんのスゴさも、わかりましたし。
『日本の民家』 が、とても素晴らしい写真集であることも、わかりました。
くわえて、この展覧会が、とても貴重な機会であることもわかりました。
とは言え、率直な意見を言わせて頂きますと、
「まぁ、ただ、こういう写真を並べて展示してあるだけだろうからなァ・・・。
じゃあ、写真集、見ればよくない??」
としか思えず、積極的に足を運ぶ気にはなりませんでした。
ところが。
何気なく展覧会のHPを見ていたら、ごくごく小さい文字で (笑) 、
『会場構成:藤本壮介』
という一文を発見してしまいました
藤本壮介さんと言えば。
一軒家を積み重ねたようなアパートメントを作ってしまったり、
本棚を組み合わせて図書館を作ってしまったり、
いろいろトリッキーな建築を発表している若手建築家です。
そんな藤本さんが会場構成を手掛けるくらいだから、
ただ写真を並べて展示しているようなフツーの写真展には、なっていないはず!
というわけで、むしろ積極的に二川幸夫展に足を運んできました (笑)
さてさて、その気になる藤本流の写真展の会場の雰囲気は・・・
(注:この記事に使用している写真は、特別にパナソニック 汐留ミュージアムさんより提供頂いたものです)
こんな風になっていました
二川幸夫さんの 『日本の民家』 の写真展と聞いて、
誰が、このようなスタイリッシュな会場風景を想像できましょうか。
天井から吊り下げるスタイルで展示された写真は、浮遊しているかのよう。
まるで深い森を彷徨うように、矢印に導かれながら、
二川さんの写真を観賞するという斬新なスタイルの写真展です。
これまでの写真展では、無意識のうちに、いくつかの写真を流し見してしまうことがありましたが。
今回の展覧会では、このユニークな会場構成のため、
さすがに流し見していしまうことはなく、一点一点足を止めて、観賞することが出来ました。
力強くてシンプルな二川さんの建築写真に感心して、
それらの建築写真の魅力を最大限に引き出す会場構成に、また感心して。
“建築” の持つ力を、強く実感した展覧会でした。
ちなみに、今回の展覧会では、開館10周年プレ企画だからでしょうか。
特製のオリジナル・ブックマークが、もれなくもらえっちゃいます♪
実際に使ってみると、このようになります↓
皆様の応援のおかげで、現在美術ブログランキング10位です!
これからも、下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!!
虹の彼方 こことどこかをつなぐ、アーティストたちとの遊飛行
“虹の彼方 こことどこかをつなぐ、アーティストたちとの遊飛行” を観賞してきました。
場所は、府中市美術館です。
こちらは、いわゆる美術家に限定せず、
デザイナーを含め、様々なジャンルのアーティストたち10組によるグループ展です。
なので、この美術展の入り口に飾ってあるポスターも・・・
(注:こちらの記事で使用している写真は、特別に会場の撮影許可を頂いたものです)
ただの美術展ポスターではなく、
実は、丸山晶崇さんというデザイナーによる一つのアート作品。
台形になっているのが、ポイントです。
ふと、そのポスターの左下に目をやると、何やら気になるものが。
こちらの紙には、作者の解説が記載されており、
それらを、10組のアーティストすべての分を集めたなら・・・
このようなミニガイドブックが完成するという仕組みに!
こういう楽しく小憎い演出は、さすが府中市美術館という感じです。
ところで、具体的に、この美術展が、どんな内容なのかと言いますと、
美術館のHPには、以下のようにありました↓
「芸術至上主義に対抗して、「芸術」と「日常」の接点を探る動きが、20世紀美術史には常に存在しました。1960年代のニューヨークを中心とするフルクサスの活動。そして、世界が再編され拡散とフラット化が進行した1990年代。ここに制作の原点を持つ美術家たちにも、同じ意図を見いだすことができます。
21世紀を迎えて、人々の日常と具体的に関わるデザインや写真、編集といった領域と、若い美術家たちの軌道が接近してきたのは、自然の流れであるのかもしれません。本展には、デザイナーを含めて、ジャンルを越えて自在に制作する美術家たち10組が参加します。
その作品には、日常の中での、私たちと物や事との関わりのあり様が、ていねいな、てらいのない手段で紡がれています。身近な物事やフェイストゥフェイスのコミュニケーションが離陸点となって、その先の想像世界への晴れやかな跳躍が生まれます。「ここ」のかけがえのなさ、豊かさは、この跳躍によって確かめられていくのではないでしょうか。
美術館を出た後に、今日という日がぐっと特別に、いとおしくなる。そんな展覧会です。」
・・・・・要するに (笑)
あえて、乱暴に一言に集約してしまうならば、
『「芸術と日常の接点」 をテーマにした美術展』 と言ったところでしょうか。
そんなテーマだけに、現代アート展ながらも、難しいという印象は全くありませんでした。
例えば、こちらは、mamoruさんの作品↓
彼は、日常生活そのものを音作品にしてしまうという少々変わったアーティスト。
テーブルの上には、たくさんのガラス容器が置かれていますが、
このままでは、もちろん音が発生しないので、音作品とは言えません。
さて、この近くに置かれていたのが、冷蔵庫。
普段、美術館の展示室では、目にしない代物です (笑)
この冷蔵庫に、お母さんのメモ書きのように、作品の説明が貼られています。
“何々、冷凍庫から氷を取り出して・・・”
“その氷を、天井から垂らされた釣り糸に掛けると・・・”
これで準備は完了。
あとは、氷が溶けて、その水滴がガラスの容器に落ちる音が聞こえてくるはずです。
冷静に考えれば、何の不思議もない事象なのですが (笑)
美術館で、耳をそばだてながら、その時を待つというのは、何かスゴく特別なことのように思えました。
これこそ、まさに、日常の向こう側にあるアートですね。
ちなみに、mamoruさんは、こんな音作品も。
扇風機の風に当てられたハンガーたちが、ぶつかり合って音を出す。
ただそれだけのことなのですが、イイ感じに爽やかな音色に聞こえてくるから不思議です (笑)
mamoruさんや、デザイナーの丸山晶崇さん以外では、
国立新美術館での“アーティストファイル2010” で紹介されていた斉藤ちさとさんや、
同じく国立新美術館での “DOMANI・明日展2009” で紹介されていた伊庭靖子さん、
そして、ポップでカラフルな型抜き作品でお馴染みの小木曽瑞枝さん…etcが参加されていました。
・・・と、今回の参加メンバーを見ていて、気になったことが。
「アラフォーorアラフィフ女子が多くない??」
そのことが、気になって気になって仕方が無かったので、担当学芸員さんに直撃したところ、
「 “日常” をテーマにしたアーティストを選んだら、自然とそうなってしまいました」
とのこと。
なるほど。確かに、考えてみると、男性作家の方が、
“美” を追求するあまり、その作品は、日常から遠く離れて行っているような。。。
女性作家の方が、日常に根付いたような作品を作る傾向が多いような気がします。
美術の世界でも、男はロマンを追いかけ、女は現実を見つめているのかもしれません。
そういった意味でも、こちらは、
アラフォーorアラフィフ女子の皆様にこそ、是非足を運んで頂きたい美術展でした。
共感を覚える作家さんに多く出会えるのではないでしょうか。
美魔女ブームは、美術界にも浸透中です (笑)
ちなみに、今回参加されていた美魔女 (美術魔女?) たちの作品の中で、
個人的に印象的だったのが、三田村光土里さんのインスタレーション作品。
展示室いっぱいに置かれた物・モノ・もの。
雑然としていて、一見すると、カオスな感じがしますが、
空間に流れるオシャレな音楽と相まって、不思議なことに、イヤな感じは全くしません。
むしろ、親しい人間の部屋に初めてお呼ばれして、
「ちょっとコーヒー入れてくるから、適当に部屋の中でくつろいでて」
と、放り出されたような心地に近いものがありました。
親密なようで、でも、他人でもあって。
その絶妙でアンニュイな空気感が、この空間に漂っていたような気がします。
また、この空間の中を、いろいろと見て回っていると、
いたるところで、三田村さんの言葉と出合います。
それらの言葉の中に、こんな一文を発見!
・・・・・不特定多数の人に紹介すべく、こんなブログを書いていて、何かすいません (笑)
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バウハウスの素材
こちらのCMでお馴染みのミサワホーム。
そのミサワホームの総合研究所には・・・
“ミサワバウハウスコレクションというギャラリーが併設されているらしい!”
そんな情報の真偽を確かめるべく、下高井戸にあるミサワホーム総合研究所へ。
(注:予約制のため、事前予約が必要です)
さてさて、来てはみたものの、
正直なところ、あまり期待はしていませんでした。
もっと意地悪なことを言えば、
「どうせ、最近のバウハウスブームに乗っかっただけじゃないの?
たぶん、ちょこちょこっとバウハウス関連の展示品が飾ってあるだけなんだろうなぁ^^;」
と、高を括っていました。
ところが!!
僕が予想していたイメージを大きく裏切って、
なかなかどうして開放的で広めの立派な展示スペース!
(注:この記事に使用している写真は、特別にミサワバウハウスコレクションさんより提供頂いたものです)
企業ギャラリーというよりも、ちょっとした企業ミュージアムといった印象です。
そんな展示スペースに、マルセル・ブロイヤーの 《クラブ・アームチェアB3(ワシリー)》 や、
《100%MADE IN ITALY》マルセル・ブロイヤー ワシリーチェア スティールライン社...
(注:画像はイメージです)
マリアンネ・ブラントの 《灰皿》 など、
【送料無料】 アレッシィ ALESSI アレッシー バウハウス BAUHAUS スタンド付き灰...
(注:画像はイメージです)
バウハウスを代表するプロダクトの数々や、
ドローイングやポスターなどバウハウス関連の展示品が広がっていました。
(ヨースト・シュミット 《バウハウス展のポスター》 1932年)
予想していたよりも、遥かに充実したバウハウスコレクションです。
「たぶん、ちょこちょこっとバウハウス関連の展示品が飾ってあるだけなんだろうなぁ^^;」
↑あの前言撤回です。申し訳ありませんでした。
ところで、一体、ミサワハウスは、どれくらいバウハウスコレクションを持っているのでしょうか。
学芸員さんを捕まえて、質問してみたところ、
「作品は約1500点、資料は約1200点。」 とのこと。
実は、バウハウスの本国ドイツ以外で、
これほど膨大でまとまったバウハウスコレクションを持っているのは、ミサワハウスだけなのだとか。
“・・・ん?それだけ膨大なコレクションということは??”
2008年の “バウハウス・デッサウ展” (東京藝術大学大学美術館) をはじめ、
ここ数年、日本各地で、バウハウス関連展が開催されているわけですが、
それらの展覧会にも、ミサワバウハウスコレクションは出展されていたりするのでしょうか。
学芸員さんによれば、もちろんその通りだそうで、
さらに、衝撃的で重要な事実を教えてくださいました。
ミサワハウスが、バウハウスコレクションを購入したのは、1989年のこと。
それを受けて、1994年に、川崎市市民ミュージアムで、
ミサワバウハウスコレクションを初めてまとめて紹介するバウハウス展が開催されました。
これをきっかけに、それまで、日本では、
ほぼ建築やデザイン界の人にしか知られていなかったバウハウスが、一般にも浸透。
『CASA BRUTUS』 や 『Pen』 などの雑誌で特集が組まれたことも、
一般的に認知されたる要因の一つですが、それにもミサワバウハウスコレクションが深く関わっているそうです。
つまり。
もし、ミサワバウハウスコレクションがなかったら、
今のように、バウハウスが日本では市民権を得ていなかったかもしれないのです。
「どうせ、最近のバウハウスブームに乗っかっただけじゃないの?」
↑激しくあの前言撤回です。重ね重ね申し訳ありませんでした。
さてさて、質問からの流れで、有難いことに、
そのバウハウス研究一筋学芸員さんに、マンツーマンでガイドして頂くことになり、
その熱くバウハウス愛に満ちた解説に、目からウロコがポロポロ。
ALESSI アレッシィ BAUHAUS バウハウス SET OF TWO TEA INFUS.../ALESSI アレッシィ
(注:画像はイメージです)
バウハウスの生徒がデザインしたという茶漉し一つで、
あれだけの深いイイ話が出来る人物は、世界中を探しても、
ミサワバウハウスコレクションの学芸員さんしか、いらっしゃらないのではないでしょうか。
(注:訪れたら、いつでも学芸員さんの解説が聞けるというわけではありせんので、あしからず)
ともあれ、これまで美術館や雑誌で紹介されていたのは、
バウハウスのほんの一面でしかなかったことが、よ~くわかりました。
バウハウスっぽいデザインを見て、
「あれって、バウハウスっぽいね。」 と発言することが、何と薄っぺらいことか。
バウハウスというのは、決して一言で言い表せないものなのです。
というわけで、僕も、この記事では、知ったかぶりすることなく、バウハウスに関しては特に語らず。
是非、バウハウスに興味を持たれた方は、ミサワバウハウスコレクションへ (←丸投げ?)
か日本にバウハウスを広めたミサワハウスは、
今でも、ここでの展示を通じて、正しいバウハウス像を伝え続けているのです。
その姿勢に、深く感銘を受けました。
ちなみに、3月1日までは・・・
“バウハウスの素材” という展覧会が開催されています。。
鉄、ガラス、アルミニウム、土、洋銀…etc、
バウハウスデザインを素材別に紹介するという、なんともニッチな展覧会ですが。
そこらへんの (?) バウハウス展よりも、充実度は高いです。
デザイン好き、建築好きな方は、是非!
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【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】
現在募集中のアートツアーです。
アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画となっておりますので、どうぞお気軽にご参加くださいませ
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
2/9(土) 都内横断!“銀座以外”のギャラリー巡り
これまで、何度も銀座を舞台にしたギャラリー巡り企画を開催してきましたが。
東京を代表するすべてのギャラリーが、銀座にあるというわけではありません。
そこで、今回は、
「今まで紹介しなくて、すいません!」
という反省も込めて(?)、白金台、浅草橋、六本木など、
銀座以外にある名ギャラリーの数々をご紹介してまいります
定員は、10名。
時間は、11時から17時を予定しております (途中ランチ休憩あり)
観賞代は、特にかかりませんが、
ツアー準備代・ガイド代として、一人1000円ほどご負担して頂けますと幸いです。
もちろん、ギャラリーでは、美術品を買わされる…なんてことはありませんので。
どうぞ安心してご参加くださいませ(笑)
皆様のご参加を心よりお待ちしております!
2/11(月・祝) 今日は一日童心に返るアートツアー
デザインを専門にした美術館・21_21 DESIGN SIGHTで、
NHK Eテレで放送中の教育番組「デザインあ」 、
その展覧会ver.である “デザインあ展” という楽しそうな展覧会が開催されます。
そんな童心に返れそうな展覧会の開催にちなみまして、
今回は、一日童心に返るアートツアーを企画してみました。
そろそろ、いい大人になる年頃だと自覚する皆様も、この日だけは関係なし(笑)
一日、童心に戻って楽しみましょう♪
《スケジュール(予定)》
9:50 四谷三丁目駅集合
10:00 東京おもちゃ美術館到着(2時間滞在)
12:10 四谷三丁目駅より高円寺駅へ移動
13:00 Baby King Kitchen~大人も子供もお子様ランチを食べれるCAFE~にてランチ
14:30 高円寺駅より六本木駅へ移動
15:00 21_21 DESIGN SIGHT到着
16:30 解散
『童心に戻る』がコンセプトのツアーのため、
わざわざランチのために高円寺まで出かけることを、どうぞご容赦くださいませf^^;
参加費は、特に必要ありません。
定員は、10名までとさせて頂きます。
2/17(日) 帰ってきた“江戸川アートミュージアムツアー”
(注:こちらのツアーは、募集定員に達しましたので、キャンセル待ちでのみの参加受付となります)
江戸川競艇場の中にある知る人ぞ知るアートスポット。
それが、江戸川アートミュージアム。
競艇の開催日だけしか開いておらず、さらに1日限定10名までという激レアなアートスポットです。
様々な現代アートや水木しげるさんの原画や昭和のレトログッズなどなどが、
優しい女性ガイドさんのアテンド付きで楽しめちゃう美術館です♪
これまで、たくさんの美術館に行ってきたアートテラーの僕が、
「一番楽しい美術館は、ココ!」 と断言出来るほどの美術館です。
どれだけ楽しい場所なのかは、こちらの記事を読んで頂ければ伝わると思います。
「競艇場って、行ったことないから…」
と、女性の方には、微妙なイメージもあるでしょうが、
むしろ女性の参加者さんのが、最終的には楽しんでいる美術館です(笑)
そんな江戸川アートミュージアムですが。
このたび、半年にも及ぶ工事が終わり、リニューアルオープンいたしました!
これまでは、江戸川競艇場内にあるアート作品の数々を、
巡るツアーを、便宜上(?)、江戸川アートミュージアムと呼んでいたのですが(笑)
今回の大々的なリニューアルによって、本当に美術館スペースが誕生してしまったのです。
競艇場内にある美術館は、日本で唯一。おそらく世界でも唯一です。
そこで、そのリニューアルオープンを記念して、
江戸川アートミュージアムさんの全面バックアップの元、
特別に45人枠での江戸川アートミュージアムツアーを開催いたします!!
それに伴い、普段でもプレミアムなツアーが、もっとプレミアムに。
『選手のユニフォームを着て記念写真を撮ってみよう!』(希望者のみ)
という超貴重な体験や、他にもコンテンツを企画してくださっているそうです。
それは、当日のお楽しみに
(通常のツアーでは、このオプションはありません!)
現代アートを楽しめ、ランチも楽しめ、
そして、超特別な競艇レースも楽しめてしまう、そんなプレミアムなアートツアー。
これで、参加費は、たったの1500円です
時間は、11時から16時までの予定です。
2/24(日) “ロバート・キャパ展”を10倍楽しむトークショー(当社比)
いよいよ1月26日より横浜美術館にて、
“ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家” がはじまりました。
写真好きの方は、おそらく大注目しているであろう美術展なのですが。
写真に興味がない人にとっては、あまり興味をそそられない美術展なのかもしれません。
しかし、そんな理由で、この貴重な美術展を見逃すのは、もったいない!
そこで、今回は特別に、横浜美術館主席学芸員の天野太郎氏直々に、
その魅力や、展覧会の裏側などをたっぷりとガイドして頂けることになりました!
しかも、その会場として、特別に横浜美術館内のギャラリーを使用させて頂けることに!!
ガイド費、イベント費のようなものは、特に必要ありません。
ただ、当日、美術館で美術展観覧チケット (1100円) を購入頂ける方を対象にさせて頂きます。
(当日、一括で購入させて頂きます。前売り券や障がい者手帳などの割引は受け付けられません。何卒ご了承くださいませ)
時間は、14時から1時間半ほど。
その後は、自由に、キャパ展を楽しんで頂く流れになります。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
新たなツアー企画は、内容が決まり次第、随時こちらの記事を更新してお伝えいたします。
参加希望の方は、こちらのメールフォームよりお知らせください。
詳細をお知らせいたします。
http://homepage3.nifty.com/art-teller/tony_contact.htm
Book:11 『死にとうない 仙厓和尚伝』
死にとうない―仙〓@45DB@和尚伝 (新潮文庫)/新潮社
¥460
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■死にとうない 仙厓和尚伝
作者:堀和久
出版社:新潮社
発売日:1996/03
ページ数:288ページ
死を前にして、すべてが見え、すべてが聞こえる。
―いかに厳しく修めても、解脱はなお遠かった。
眼裏に、無明の闇を彷徨い続け、遂には崖から身を投げた若い日の自分の姿が浮かぶ。
そして奇跡的に救われた命で得た、大悟の記憶。いま、仙厓は微笑んでいる。
死にとうない、ほんまに、死にとうないのう…。
「東の良寛・西の仙厓」と謳われた名僧・仙厓義梵、その漂泊の生涯を描く。
(「BOOK」データベースより)
「そのゆるゆるな画風がツボなので、
これまでに、何度も仙厓の美術展には足を運んでいます。
そして、仙厓の絵を観ては、
「ゆるいなぁ。アハハハハ( ´∀`)」
と、軽~い気持ちで楽しんでいました。
また、隠居後、仙厓を訪ねては、紙を持参して絵の依頼をする人間が絶えないことに、
「うらめしやわがかくれ家は雪隠か 来る人ごとに紙おいてゆく」
という嘆きの狂歌を残したなど、数々の仙厓のゆるエピソードにも楽しませて頂いていました。
とは言え。
よく考えたら、隠居生活に入る前の仙厓のことを知りません。
一体、どんな僧侶だったのでしょうか?
きっと、仙厓さんのことですから、
その半生も、ゆるくて楽しいエピソードに満ちているに違いありません♪
そう期待して、この小説を見つけ読んでみたのですが・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
想像していた以上に、ハードでヘビーな半生でした。
親に捨てられたり。
風俗にハマったり。
自殺未遂を起こしたり。
何とも今井メロの自叙伝のような壮絶さです (笑)
もちろん、それらのハードでヘビーな半生があったからこそ、
定年後 (?) は、ゆるゆるなおじいちゃんキャラになったわけですが。
それを踏まえた上でも、この半生を知ってしまった以上、
今後、仙厓の絵を観る時に、これまでのような気持ちで接することが出来なくなったのは確かです (笑)
ある意味で、 “読みとうない” 小説でしたw
(星2.5つ)」
~小説に登場する名画~
《葦画賛》
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Book:12 『等伯 〈上〉〈下〉』
本日は、 “こちトラも自腹じゃ!” 2連発!
Book:11の 『死にとうない 仙厓和尚伝』 に引き続いて紹介するのは、
第148回直木賞を受賞したばかりの今話題のあの歴史小説です。
等伯 〈上〉/日本経済新聞出版社
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等伯 〈下〉/日本経済新聞出版社
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■等伯 〈上〉〈下〉
作者:安倍龍太郎
出版社:日本経済新聞出版社
発売日: 2012/9/15
ページ数:〈上〉350ページ/〈下〉369ページ
誰も見たことのない絵を―狩野派との暗闘、
心の師・千利休の自刃、秀吉の世に台頭する長谷川派を次々と襲う悲劇。
亡き者たちを背負い、おのれの画境に向かう。
とこしえの真善美、等伯がたどりついた境地。
(「BOOK」データベースより)
「こういうことを言うと、後出しじゃんけんのように思われてしまうでしょうが。
実は、直木賞受賞前より、この小説は手に入れていました。
この企画で紹介しようというのと、
単純に長谷川等伯の 《松林図屏風》 が好きなこともあって、ジャケ買いしたようなものです (笑)
それが、まさか直木賞を受賞しようとは。
なんと、僕に先見の明があったのでしょうか (←どうでもいい自慢)
それはさておきまして。
直木賞うんぬんに関係なく、この小説は、面白かった!!
これまで、この “こちトラも自腹じゃ!” 企画のために、
「あんまり面白くないだろうなァ・・・」 と思いつつも、 (←オイッ!)
芸術家を主人公にした小説を読んできたわけですが。
この小説と出合えたことで、それらの苦労 (?) がチャラになった感じです (笑)
この小説の面白さのポイントは、たくさんありますが。
最大のポイントは、 “等伯のだめんずっぷり” にあったような気がします。
もちろん、絵の才能は、類稀なるものがあるのですが。
長い物語 (人生) のあちらこちらで、
「あちゃー、等伯、バカだなー>_<」
という箇所が、登場します。
その失敗のたびに、きちんと反省するのですが、
また時が経つと同じような失敗をしてしまう。
画家としては急成長するのに、人間としての成長は遅々としか進まず (笑)
でも、そのだめんずっぷりに、世の男性は、共感するのではなかろうか。
また、等伯はだめんずなのに、妻も息子も、よくできた人物というのが、またポイント。
“そんなに、理想的な妻も、理想的な息子もいないでしょ?!”
というくらいに、理想的な家族。
世の男性は、現実逃避をすべく (?) 、この小説を読むのではなかろうか。
信長や秀吉、千利休といった歴史上の有名な偉人も、
本能寺の変や千利休の切腹事件などの歴史上の大事件も描かれるので、純粋に歴史小説として楽しめますが。
美術に興味があるなら、なおのこと面白いのが、この小説。
当時の美術界事情が、よくわかります。
下手な専門書を読むより、よっぽど頭に入りやすいです。
また、等伯の絵に対する描写が、素晴らしく、
本当に、作家さんに等伯が乗り移って書いたのではと思わされるくらいに、リアリティある描写なのです。
下手なキャプションよりも、よっぽどためになります。
等伯の絵を観る前に読めば、作品に向き合ったときの感動は100倍にもなるはずでしょう。
今、何よりも悔しいのは、
本物の 《松林図屏風》 を観る前に、なぜ読んでおかなかったのか?!
ということです。
自分のバカバカバカ。
他に特筆すべきこととして、ライバルである狩野永徳のキャラ設定が秀逸だったなという印象。
永徳を筆頭に狩野派の連中は、ほぼ全員ステレオタイプなくらいに、イヤなヤツなのですが。
(↑この春開催予定の京都国立博物館の “狩野山楽・山雪” に影響が無いといいのですが・・・笑)
最後の最後に、永徳が人間らしさを爆発させる瞬間があって、そのシーンが個人的には好きです。
ともあれ、今後、狩野永徳の作品を観る目が変わるのは確実です。
(星5つ)」
~小説に登場する名画~
《日堯上人像》
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飛驒の円空―千光寺とその周辺の足跡―
その独特な “ゆる~い” 作風に多くのファンを持つ仏師・円空 (1632~1695) 。
僕も、円空ファンの一人です。
そんな円空ファンにとって、聖地とも言える場所が、岐阜県にある千光寺。
“円空仏の寺” として知られる、この飛騨のお寺には、
なんと、円空の手による仏像が、63体も所蔵されているのだとか。
その千光寺にある63体の円空仏のうち、《不動明王および二童子立像》 や、
地面に生えたままの立木を、梯子をかけて彫刻したとされる超大作 《金剛力士(仁王)立像 吽形》 、
さらには、7年に一度しか開帳されないという秘仏 《歓喜天立像》 を含む実に61体も (!) が、
現在、東京国立博物館での “ 飛驒の円空―千光寺とその周辺の足跡―” のため上京中。
・・・ということは、今、千光寺に残っている円空仏は、2体だけ。
“円空仏の寺” なのに?!
そこまでして、今回の展覧会に全面協力をしてくださっている千光寺には、いくら感謝してもし足りません。
さてさて、今回上京している千光寺の円空仏の中で、
もっとも印象に残ったのは、やはりポスターにも使われている 《両面宿儺坐像》
普段の “ゆる~い” 円空仏とは違って、ゴツゴツと荒々しいフォルムの円空仏です。
一つの体に2つの頭、そして、4本の手足を持つとされる飛騨の異形の怪物・両面宿儺 (りょうめんすくな)
その怪物のとんでもないパワーが、ギュギュっと凝縮されているかのような印象を受けました。
また、円空仏と言えば、一本一本の木が持つクセや性質を最大限に活かしていることが、その魅力。
この 《両面宿儺坐像》 でも、ちゃんと活かされていました。
《両面宿儺坐像》 の乳首の部分に注目です。
実は、これは、木の節に当たる部分。
そこを、乳首に見立ててしまうとは。。。
お見それしました (←?)
《両面宿儺坐像》 以外で、
印象に残った仏像と言えば、 《三十三観音立像(部分)》
一体一体のクオリティは、若干低めですが (笑)
全31体勢ぞろいした姿は、壮観でした。
「・・・ん?全31体?? 《三十三観音立像》 なのに?」
2体足りないのは、近隣の人に貸したまま返ってこなかったからとのこと。
誰ですか、借りパクしている人は (笑) ?
ちなみに、今回の展覧会には、千光寺以外の飛騨高山の寺社の円空仏も出展されています。
それらの中でも群を抜いてインパクトが大きかったのが、清峰寺の 《千手観音菩薩立像》 です。
千手観音様の手が、もはや虫の足にしか見えません (笑)
もしくは、エイリアンの触手にしか見えません。
もし、何も知らずに、お寺に行って、
このような千手観音菩薩様が安置されていたら、衝撃 (笑撃?) は必至!
こんな姿の千手観音菩薩様が、普通に安置されている飛騨高山という地は、
よっぽど動じない人が多いのか、よっぽど笑いに対しての免疫力が強いのでしょう。
貴重な円空仏の数々を堪能できる展覧会。
飛騨高山の森をイメージした展示空間も、展覧会をより魅力的なものに演出していました。
惜しむらくは、展示会場の手狭さ。
お客さんが少なければ、そこまで感じませんが、
お客さんが多い時に行くと、少々ストレスを感じるレベルでした。
まぁ、 “ゆる~い” 円空仏を眺めていれば、
そのストレスは、いつの間にか緩和されていますけれども (笑)
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アートと音楽―新たな共感覚をもとめて
東京都現代美術館で開催中の “アートと音楽―新たな共感覚をもとめて” 。
こちらは、タイトルを読んで字のごとく、 「アートと音楽の関係性」 に迫る美術展です。
「アートと音楽の関係性」 というテーマ自体は、特に目新しいものでもない気がしますが。
いざ、 「アートと音楽の関係性」 に迫った他の美術展を挙げてみよう・・・と思っても、パッとは思い浮かびません。
そういう意味では、「アートと音楽の関係性」 というテーマは、
実は、ありそうでなかった、盲点のような美術展テーマだったのかなと思います。
それだけでも、十分に興味が湧きましたが。
さらには、この美術展の総合プロデューサーを務めたのが、
“世界のサカモト” でお馴染みのあの坂本龍一教授とのこと。
どんな美術展に仕上がっているのか、非常に興味津々です。
というわけで、会期終了まで、あと1週間を切ってしまいましたが、
本日、何とか滑り込むような形で、 “アートと音楽” を鑑賞して参りました。
さてさて、会場で、まず出会うのが、
セレスト・ブルシエ=ムジュノの 《クリナメン》 というインスタレーション作品です。
展示室の真ん中には、なんと大きなプールが!
そして、そのプールに、大きさの異なる白磁の器が、いくつもプカプカと浮いています。
水流の影響によって、それらの白磁の器が、ぶつかり合った時に、
展示室には何とも言えない爽やかで心地よい音が鳴り響くのです。
(参考までに、セレスト・ブルシエ=ムジュノさんの過去の展示)
↑こちらの映像の時の作品と比べると、
今回の作品の方が、より音が澄んでいたような気がします。
ただ白磁の器がぶつかり合っただけの音なのに、その音色は、想像できないくらいに恍惚的。
いつまでも浸っていたくなるインスタレーション作品でした。
この 《クリナメン》 という作品と出合えただけでも、十二分に行った価値があった気がしましたが。
これ以外にも、ステキな作品と多数出合うことが出来ました。
その一部をご紹介しますと・・・
・池田亮司さんの 《data.matrix [n°1-10]》 は、サイバー&クールな映像インスタレーション。
『攻殻機動隊』 が好きな人が、ハマりそうな作品です (←僕の勝手なイメージ)
data.matrix [n°1-10] 2006-09年ⓒ2009 ryoji ikeda
Photo: 丸尾隆一 Courtesy of Gallery Koyanagi, Tokyo
・大友良英リミテッド・アンサンブルズによる 《with without record》 は、
一昔前のポータブル・レコードプレイヤーを119台 (!) も使用した圧巻のインスタレーション作品。
大友良英+青山泰知 《without records》 2008年
写真提供:山口情報芸術センター[YCAM] 撮影:丸尾隆一(YCAM) 【参考図版】
・“自然の声” が聞こえるというクリスティーネ・エドルンドは (ちょっと電波系?) 、
植物の危険信号をヴィジュアル化した 《セイヨウイラクサの緊急信号》 という作品を発表しています。
2010年Courtesy Galleri Riis, Oslo / Stockholm
Photo: Jean-Baptiste Beranger
普通の美術展では出合えないような作品が多く、とても新鮮な印象の美術展でした。
また、現役作家の作品だけでなく、ワシリー・カンディンスキーをはじめ、
《「E.R.キャンベルのための壁画No.4」の習作(カーニバル・冬)》
パウル・クレー、ジョン・ケージ、武満徹…など、
美術史に名を残す 「アートと音楽の関係性」 に迫った作家の作品も、併せて展示したことで、
美術展に深みが出ていた気がします。
2つ星。
逆に、残念だったのは、
総合プロデューサーの坂本龍一さんのインスタレーション作品が、あまりパッとしなかったこと (苦笑)
餅は餅屋。音楽は音楽屋。アートはアート屋ということでしょうか。
最後に、個人的に、とっても印象に残った作品をご紹介。
それは、マノン・デ・ブールの 《二度の4分33秒》
こちらは、アメリカの作曲家ジョン・ケージが作曲した、
4分33秒何も演奏しないという衝撃的なピアノ曲 『4分33秒』 をモチーフにした映像作品。
(ちなみに、美術展には、そのジョン・ケージによる 《4分33秒》 の譜面も出展されています)
タイトルに “二度の” とあるように、
一度目に、『4分33秒』 を演奏するピアニストの様子を流し、
二度目に、 その 『4分33秒』 の演奏を観賞している人々の様子を流すという映像作品です。
ただでさえ、 無音が続くだけの4分33秒間は、長く感じられますが、この作品は、その2倍。
苦痛も2倍です。
それに追い打ちをかけるように、超個人的な理由ですが、
ちょうどこの映像作品が始まったあたりで、トイレに行きたくなってしまい、
4分33秒が、と~~~~~~~~っても長く感じられました (しかも、2ターン!)
僕にとってのあの4分33秒間は、永遠を感じられるほどの長さでした。
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MOTアニュアル2012
東京都現代美術館が、継続的に開催している若手アーティストを中心としたグループ展。
それが、MOTアニュアル。
その2012年度ver.は・・・
“Making Situations, Editing Landscapes 風が吹けば桶屋が儲かる”
というテーマのもと、
『物事の通常の状態に手を加え、異なる状況を設定することで、
日常の風景に別の見え方をもたらす7組のアーティスト (展覧会HPより)』
を紹介するのだそうな。
・・・・・・・具体的に、どんなアーティストなのか、ピンとは来ませんが。
同時開催中の “アートと音楽” とセットで観れば、
チケット代が儲かるので、こちらも観てみることにしました (笑)
さて、この美術展。
受付にて、衝撃的な事実が発覚しました。
チケットをもぎってもらった後に、受付の方から渡されるのが、こちらの紙↓
何が書かれているのかと、よく目を通しますと・・・
何やらスケジュールが、ビッシリと記載されています。
実は、こちらは、参加アーティストのうちの1人・田中功起さんのMOTアニュアル期間中の活動カレンダー。
なんと田中さんは、参加アーティストでありながら、展覧会場には、作品を1点も出展しておらず、
期間中、東京都現代美術館の外で、何かしらの活動をしているということが、今回のアートなのだとか。
24時間テレビでいうところの、マラソンランナー的な立ち位置ではなかろうか。
ともあれ、参加作家の作品が、会場に無いというのは、前代未聞です (笑)
ちなみに、田中さんは、会期中の10月30日に、
山手線の車内で、アーティストトークをしたそうで・・・
その時の様子が収録されたリーフレットが、展覧会場で配布されていました。
田中功起さんによる予測不能なパンチから始まったMOTアニュアル2012。
“これは、面白そうな美術展だぞ♪”
と、期待は高まります。
とりあえず田中さんは一旦脇に置いておきまして (笑)
まずはじめに会場で紹介されているのが、
森田浩彰さんによる 《人が集まる場所で、みんなで、行う、何か。》 という作品。
作品と言いますか、会場に置かれているのは、何やらが書かれた紙のみ。
一種類につき一人一部ずつ貰えるので、何はともあれ、全部頂くことに。
計21枚也。
それらには何が書かれているのかと言えば・・・
美術館内の様々な場所で実際に行われている/設置されている/
知らない間に観客も参加しているかもしれないことが、それぞれに書かれています。
裏返してみると・・・
ご丁寧に地図まで記載されています。
ちなみに、実際にロッカーに婚姻届が置かれているのか、気になって仕方がなかったので。
美術展の観賞後に、ロッカーに確認をしに行ってみることに。
確かに、ロッカーの中に、婚姻届が (笑) !!
MOTアニュアル2012を観る前に、
ロッカー内の婚姻届に気づいてしまった人は、相当驚いたことでしょう。
このロッカーの婚姻届以外にも、
森田さんは、いろいろな仕掛けを、美術館内に施しています。
その中には、こんなものも↓
オレンジのリボンをつけた監視員さんを見つけたので、試しに頼んでみたところ・・・
本当に、携帯カイロが貰えちゃいました (笑)
そんな森田さん以上に、東京都現代美術館を巻き込んでしまっているのが、田村友一郎さん。
《深い沼》 と名付けられた彼のインスタレーション作品は、
とあるテキストとともに、展示空間いっぱいに、東京都現代美術館所蔵の絵画や彫刻作品を展示したもの。
それだけでは、インスタレーション作品というよりも、
単なる田村友一郎さんセレクションの東京都現代美術館の所蔵作品展に過ぎないのですが。
彼の作品の真骨頂は、その続き。
なんと、企画展示室を飛び抜けて・・・
地下3階の駐車場へと続いているのです。
地下3階の駐車場に出現した、まさかの光景とは?!
気になる方は、是非、ご自身の目で。
ちなみに、この展示があるために、地下3階の駐車場は、現在使用不可になっているのだとか。
・・・・・ん?美術館のスタッフブログには、こんな案内が↓
『「アートと音楽―新たな共感覚をもとめて」、「MOTアニュアル2012 Making Situations Editing Landscapes 風が吹けば桶屋が儲かる」展は、2月3日(日)で会期が終了致します。
おかげさまで、会期初日より、たくさんのお客様にご来場いただき、ありがとうございます。
最終日にかけて混雑が予想されます。
特に土日は、いくつかの作品でご覧いただくのにお待ちいただく場合がございます。
ご来館をご予定のお客様はお時間に余裕を持ってお越しください。
また、駐車場の台数にも限りがございます。
なるべく公共の交通機関をご利用くださいますよう、お願い申し上げます。
皆さまの、ご来館をお待ちしております。』
間違いなく、田村さんの作品のせいですね (笑)
・・・と、面白い作品とは、たくさん出合えたのですが。
“面白いけれども、面白いだけ” という作品が、そのほとんどだった気がします。
駄菓子も美味しいですが、いくら駄菓子を食べても、お腹が膨れないように。
今回のMOTアニュアルに出展されていた作品を、
いくら鑑賞したところで、充実感や満足感はいっぱいになりませんでした。
いろんなアーティストが参加している美術展で、
今回のMOTアニュアル参加作家のうちの一人だけが参加しているなら、いい意味でスパイスになるのでしょうが。
そういう作家ばかりを集めちゃダメなような気はしました。
余談ですが。
2月3日まで、東京都現代美術館のエントランスホールには、
ビートたけし×ヤノベケンジの豪華コラボレーション作品が設置されています。
1時間に1回、井戸の中より・・・
頭に斧が刺さった謎の生命体が現れます!!
MOTアニュアル2012の作品よりも、こちらの作品のほうが、満足度が高かったです (笑)
10位以内を目指して、ランキングに挑戦中!(現在12位)
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第四十九話 国宝ハンター、見送る!
~前回までのあらすじ~
日本全国にある国宝をすべて目にする。
そんな途方もない企画に、一人チャレンジする国宝ハンター・とに~。
順調に数を重ねているように思えたが、前回、まさかのカウントミスが発覚。
どうやら2件多くカウントしてしまっていたらしい。
その事実にショックを隠せない国宝ハンターは、
「認めたくないものだな。自分自身の、若さゆえの過ちというものを。」
と呟いたとか呟いていないとか。
しかし、落ち込んでいるヒマもなく、彼の国宝ハンティングの旅は続くのである。
とに~、行きまーす!
年始年末は何かと出費がかさむ季節。
日本全国に国宝ハンティングをしに行きたい気持ちはあるものの、
通帳の残高が、それを許してはくれません。トホホ。
ということで、今月は、都内での国宝ハンティングです。
まずは、江戸東京博物館で開催中の “尾張徳川家の至宝” にて、
《太刀〈銘来孫太郎作/(花押)正応五年壬辰八月十三日以下不明〉》 (ジャンル:工芸品) と、
(注:今回の記事に使用している写真は、特別に許可を得て撮影したものです)
《太刀〈銘国宗/〉》 (ジャンル:工芸品 徳川美術館所蔵) の2件をゲット。
罰当たりな発言なのは、重々承知していますが、
すでに33件もの国宝の刀を目にしているので、もうそろそろ刀はいいです (笑)
さすがに、飽きてきました (←言っちゃったw)
続いて、東京国立博物館へ。
たくさんの国宝がゲット出来そうな “書聖 王羲之” が、ちょうど開催中でしたが・・・
国宝ハンターは、ここをあえてスルー!!
出展リストとにらめっこした末に、
この展覧会は、後期に訪れた方が良いと判断しました。
そこで、後ろ髪を引かれつつも平成館の考古展示室へ。
トーハクには、何度も通っていますが、
考古展示室を訪れるのは、実は、第三話以来。
さすがに、1年以上も経過すると、
ほぼ入れ替えの無い考古展示室でも、展示品の入れ替えがあるようで・・・
国宝の金印が展示されていました!!
・・・と思ったら、模造でした (笑)
そんなぬか喜びをさせられながらも、
写真撮影不可の 《人物画象鏡》 (ジャンル:考古資料) と邂逅。
考古展示室を訪れた甲斐はありました。
その後は、リニューアルほやほやの東洋館へ。
1月29日より始まった “中国の絵画 中国書画精華(後期)” では、
前期以上に、国宝の中国絵画が出展されていました。
まずは、 《絹本著色十六羅漢像》 (ジャンル:絵画)
トーハク所蔵の 《絹本著色十六羅漢像》 は、第七話で鑑賞済みですが、
今回ハンティングした 《絹本著色十六羅漢像》 は、京都の清凉寺所蔵ver.です。
続いて、 《紙本墨画禅機図断簡〈因陀羅筆/(寒山拾得図)〉》 (ジャンル:絵画)
不自然なほどの左の余白。
トリミングを失敗した感じが否めない国宝です。
そして、ラストは、ちょっと珍しい国宝絵画をご紹介。
《絹本墨画淡彩出山釈迦図「道有」の鑑蔵印がある〈梁楷筆/〉》 (ジャンル:絵画)
《絹本墨画淡彩雪景山水図「道有」の鑑蔵印及び「雑華室印」の印がある〈梁楷筆/〉》 (ジャンル:絵画)
《絹本墨画淡彩雪景山水図「道有」の鑑蔵印及び「雑華室印」の印がある》 (ジャンル:絵画) です。
・・・タイトル長いよ。
実は、こちらは、もともとは、中国・南宋時代の画院画家・梁楷による別々の作品でした。
それらの独立した作品を、足利義満が、勝手に三幅対の作品としてプロデュース。
中には、大きさを揃えるために、裁断された作品もあるのだそうな。
こうして、日本でトリオを組まされた3点の絵画ですが、
時代を経て、足利家のもとを離れ三井家や本願寺へ、それぞれソロで活動をしていました。
その後、昭和23年に、三井家からトーハクへ寄贈された 《絹本墨画淡彩雪景山水図〈梁楷筆/〉》 は、国宝に指定。
他の2点は、重要文化財どまりというメンバー内格差が生じていましたが (笑)
平成9年に、 《絹本墨画淡彩出山釈迦図〈梁楷筆/〉》 が、
平成16年に、もう一点の 《絹本墨画淡彩雪景山水図》 が、トーハクに寄贈されたことで、メンバーが再集結。
その再結成ぶりが評価されて (?) 、
平成19年に、メンバー全員で1件の国宝という異例の指定を受けたのだそうです。
こんなにも紆余曲折を経た国宝があるものだろうか。
実に、波乱万丈な人生を歩んだ国宝です。
今現在の国宝ハンティング数 320/1085
国宝ハンターは、ランキングにも挑戦中!
(皆様のおかげで現在6位まで上がりました!快進撃!!)