奈良県に行ったら一度は訪れたいと思っていた大和文華館に行ってきました。
その上品な印象の美術館名から、こじんまりした美術館を想像していましたが。
実際は、道の駅ばりの広大な駐車場を持つ立派な美術館でした!
さらに、チケット売り場から美術館までは、
野趣あふれる文華苑と名付けられた広大な自然園が広がっています。
なんとなくですが。
ここまでの雰囲気から、MOA美術館やMIHO MUSEUMに近いものを感じてしまいました。
しかし、実際は、宗教が母体の美術館ではなく、
近畿日本鉄道 (近鉄) の創立50周年を記念して開設された美術館とのこと。
つまりは、根津美術館や五島美術館に近い美術館だったのですね。
とりあえず、ホッと一息ついたところで (←?)
いざ、美術館の中へ。
これだけ広大な土地を持つ美術館なのに・・・という言い方は失礼かもしれませんが。
美術館の展示室は、そこまで広くなかったです。
というか、展示室はワンフロアだけ。
しかも、そのワンフロアの中心に、竹が林立した中庭があるという・・・。
正直なところを言わせてもらえば、
「自然は、もういいよ! (文華苑で散々目にしたので)」
という感じです (笑)
そんな大和文華館では、現在、 “人物画名品展―肖像画、風俗画、美人画―” が開催中です。
こちらは、大和文華館のコレクションの中から、
重要文化財の 《小大君像》 や、
同じく重要文化財で尾形光琳作の 《中村内蔵助像》 など、
人物画の名品ないしは人物が描かれた山水図を紹介した美術展です。
(一部、奈良国立博物館所蔵の 《伝淀殿像》 (4/23~5/12) のように特別出陳品もあります)
オーソドックスでシンプルな内容の美術展。
企画というより、作品そのものの力で勝負しているなァという感じでした。
今回の美術展の目玉は何と言っても、 《婦女遊楽図屏風(松浦屏風)》
金地の屏風には、遊女や禿、童女が描かれています。
しかも、彼女らは、髪を梳いたり、
手紙を書いたり、カルタ遊びに夢中になったり・・・と思い思いの行動を取っています。
そんなギャルギャルした屏風なのに (?) 、なんと国宝。
その理由は、ほぼ等身大に近い大きさで群像が描かれている絵画は、他に例が無いからとのこと。
そんな消去法のような理由で国宝になるパターンもあるのですね (笑)
国宝と言えば、もう1点。
《一字蓮台法華経〈普賢菩薩勧発品〉》 も展示されていました。
画面左に記されているのは、経文。
一文字一文字が仏に見立てられているそうで、
よく見ると、一文字一文字が蓮台に乗せられているのがわかります。
デコメの元祖??
その他に印象的だったのは、平安後期に描かれたという 《病草紙断簡》
平安時代から針治療が行われていたのですね。
そして、平安時代から、針治療に耐える人がいたのですね。
治療を受けているオッサンのポッチャリ感がリアルです。
もう一点印象的だったのが、 《輪舞図屏風》
人々が踊っている姿を描いた屏風なのですが・・・
(注:実際は、カラー作品です)
「上空過ぎwww」
Google Earthばりの視点で描かれています。
もはや何が何だか、よくわかりません。
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人物画名品展―肖像画、風俗画、美人画―
「もののあはれ」と日本の美
こちらは、国学者・本居宣長が、その著書 『紫文要領』 の中で提唱した・・・
重要文化財 《紫文要領 稿本》
“もののあはれ” という概念を、さまざまな角度から紹介しようという美術展。
日本津々浦々から、国宝や重要文化財を含む約150点の作品が、サントリー美術館に集結しています。
会場では、 『源氏物語』 のような古典文学作品に、 “もののあはれ” を見たり、
《源氏物語図屏風「須磨・橋姫」》
(注:展示期間は、4/17~5/20です)
和歌の世界に、 “もののあはれ” を見たり、
重要文化財 《佐竹本三十六歌仙絵 藤原高光》 伝藤原信実筆
(注:展示期間は、4/17~5/6です)
月を見ては、 “もののあはれ” を感じ、
重要文化財 《砧蒔絵硯箱》
(注:展示期間は、4/1~4/17です)
四季を感じては、 “もののあはれ” を誘われ、
《色絵龍田川文皿》
「・・・って、どんだけ “もののあはれ” を感じればええねん! 」
と思わず、関西弁でツッコみたくなるほどの “もののあはれ” 推し。
サントリー美術館は、 “もののあはれ” で、今年の流行語大賞を狙っているのでしょうか??
確かに、 『源氏物語』 や和歌の世界にも、
雪月花や花鳥風月、四季の移ろいにも、 “もののあはれ” というような情感を覚えますが。
そんなことを言い出したら、ほぼすべての日本美術作品に、
“もののあはれ” を感じているような気がして、キリがない気がします。
ピンポイントに迫った美術展のようでいて、
実質は、幅広いジャンルの日本美術が展示されている漠然とした美術展だった印象です。
美術展を企画するのって難しいですね。
そこにも、 “もののあはれ” を感じます。
とは言え、美術展全体としてみるとぼやけた印象でしたが、
作品一つ一つのレベルは相当なもので、 「よくぞこれだけ集めたなァ」 と、その苦労が偲ばれました。
作品として強く感銘を受けたのは、千葉市美術館が所蔵する鈴木其一の 《芒野図屏風》
(注:展示期間は、4/17~4/30です)
ただススキが描かれただけのシンプルな屏風なのですが。
その画面の中に漂う幽玄さに強く惹かれ、
思わず、 「この屏風の世界に入りたい。。。」 と、
いや、もっと言えば、 「この屏風の世界に入って現実逃避したい。。。」 と思ってしまったほどです。
この絵の前には、いくらでも立っていられるような気がしました。
それから、同じ琳派の屏風作品で、 《秋草鶉図屏風(右隻)》 も印象に残った作品の一つ。
(注:展示期間は、4/17~5/13です)
こちらは、とにかく鶉がカワイイ!
このコロコロとしたフォルムが、何とも言えず愛らしいです。
その可愛らしさに目じりが下がりっぱなしでしたので、
今、冷静に考えてみると、 “もののあはれ” は感じていなかった気がします (笑)
数ある展示品の中で、別格のオーラを放っていたのは、
永青文庫が所蔵する国宝の 《時雨螺鈿鞍》 でした。
(注:展示期間は、4/17~4/30です)
たかが鞍。されど鞍。
こんなにも日本工芸の粋が集められた工芸品があっただろうか…と感嘆してしまうほどの美しさ。
この1点に、 “もののあはれ” を感じられただけでも足を運んだ甲斐があったというものです。
・・・・・・・と。
この美術展を通して、一生分の “もののあはれ” を感じた気がしますが (笑)
美術品よりも何よりも、一番 “もののあはれ” を感じるのは、展示替えのスパンの早さ。
約2ヶ月の展示期間中に、全部で9回も展示替えがあるのです。
ほぼ毎週展示替えがあるようなもので、2週間しか展示しない作品もたくさんあります。
ボヤボヤしている間に、
「あっ、あの作品ってもう展示されてないんだ?!えっ、あの作品も展示されてないの?!!」
となってしまうこと必至。
めまぐるしすぎる展示期間の移り変わりに、 “もののあはれ” を感じずにいられません。
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第五十九話 国宝ハンター、欲張る!
~前回までのあらすじ~
国宝を大量ゲットするために、奈良へと足を運んだ国宝ハンター。
精力的に奈良を巡った甲斐もあって、100件の国宝に出合うという目標は、1日半で達成してしまった。
それだけ多くの国宝を見ながらも、
「やっぱり国宝ハンター 100件見ても大丈夫!」 とばかりに、奈良の国宝を探し続ける。
そして、そんな2日目も終わろうとしていた―
一心不乱に奈良の街を自転車を漕ぎ続け、
気づけば、目標の100件どころか128件の国宝をゲットしていました。
もう奈良市近辺で見られる国宝はありません。
この時、時刻は14時半。
遠出をすれば、もう1件くらいは国宝が見られそうです。
と言っても、どこへ・・・?
例えば、あえて奈良を出て、お隣の京都へ行ってみるとか?
・・・・・いやいやいや、それは無いですよね (←自問自答)
奈良から京都って、それは冒険しすぎです。
もっと現実的なことを考えないといけません。
でも、奈良市の北は、京都府木津川市です。行けるんじゃない?
・・・・・いやいやいや、だから、それは無いですって (←自問自答)
今回は、奈良の国宝ハント旅です。
京都に行くのは、そもそも全く想定していなかったではないですか。
5分後
この道をまっすぐ行けば、京都か。
う~ん、行っちゃうか。
しかし、この軽い決断が、15分後には後悔を生むことに。
奈良から京都へと向かう道は、完全なる山道。
平坦な道は一切なく、アップダウンの激しい坂道の連続です。
ここまでの旅で、ほとんど体力が残っておらず。。。
ついには自転車を降りて、ただひたすら押しながら歩き続けました。
そうこうして、なんとか京都府に突入。
京都に辿り着いた喜びもあって、精神的なHPが回復。
再び自転車に乗って、道を進んで行くと・・・
なんとな~くイヤな予感が。
そして、
行き止まり!オーマイガッ!!
この時、心が完全に折れてしまいました。
体力的にも精神的にも、ボロボロ状態。
それでもゴールに向かって、歩を進めます。
そして、京都へと向かってから、1時間半後。
ようやくお目当ての浄瑠璃寺へと到着しました。
そこに広がっていた光景は、まさに極楽浄土。
さすが、『山城の極楽浄土』 と称されるお寺だけはありました。
あんな山奥で、このような世界に出合えるとは!
ここに来るまでに、泣きたくなるほど苦労したので、その感動はひとしおです。
もちろん、大人なので、本当に泣きませんでしたが、
浄瑠璃寺の光景を見た瞬間は、あまりの美しさに、本当に涙が出てきました。
《浄瑠璃寺本堂(九体寺本堂)》 (ジャンル:建造物) を眺めたあとは、
中も拝観させて頂き、 《木造阿弥陀如来坐像(本堂安置)》 (ジャンル:彫刻) も観賞。
さらに、 《浄瑠璃寺三重塔(九体寺三重塔)》 (ジャンル:建造物) も観賞。
これにて、この奈良の旅も、
無事にオールアップを迎えることが出来ました。 (最後は京都ですがw)
皆様、応援ありがとうございました。
これだけ沢山の国宝と出合うことが出来たのは、皆様の応援があったからこそです。
さぁ、あとは奈良に戻るまでが、国宝の旅です。
のんびりと帰ることにしましょう。
一つでも多くの国宝を探すのに必至だった時は、わき目も振らなかったですが。
のんびりと自転車を漕ぐと、看板の文字だって目に入ってきますね。
「何々?国宝五重塔 海住山寺 加茂駅北3km。へぇ~、国宝かぁ・・・・・国宝?!」
今いる場所から加茂駅まで数km。
そこから、さらに3km。
もう1件、行けちゃうんじゃない?
・・・・・いやいやいや、それは欲張り過ぎですって (←自問自答)
浄瑠璃寺ゴールで、感動のフィナーレを迎えたじゃないですか。
脳内で、 『サライ』 を大合唱したじゃないですか。
15分後
Uターンして、加茂駅までたどり着きました。
あとは、たった3㎞です。
しかし、この軽い決断が、5分後には激しい後悔を生むことに。
(↑ん?この展開、さっきもあったような??)
よく知らないままに向かった海住山寺。
実は、標高200メートルほどの山中にあるお寺だったのです。
そんなこととはつゆ知らず、加茂駅から北へと向かう僕。
「上り坂ばっかりだなぁ・・・ (疲)」
「上り坂ばっかりだなぁ・・・ (焦)」
「上り坂ばっかりだなぁ (泣)!!」
結局、ずーっと上り坂でした (なぜなら、山の上に海住山寺があるからだ!)
汗はダラダラ。足はフラフラ。体はボロボロです。
30歳にもなって何をやってんだ、僕は。
ともあれ、今回の旅、本当に本当のラストの国宝・・・
《海住山寺五重塔》 (ジャンル:建造物) をゲット。
これにて、この奈良の旅も、
無事にオールアップを迎えることが出来ました。 (今度こそ本当にw)
今現在の国宝ハンティング数 482/1088
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レオナルド・ダ・ヴィンチ展―天才の肖像
今年2013年は、ルネサンス美術の当たり年。
そのトップバッターを飾る “ラファエロ” に引き続き、
4月23日より東京都美術館で開催されている “レオナルド・ダ・ヴィンチ展―天才の肖像” に行ってきました。
そのお目当ては、何と言っても、 《アトランティコ手稿》
アトランティコ手稿 (←声に出すと、とても言いづらい!) とは、
レオナルドの遺品として残された1000枚以上の手稿を、後世に冊子の形式で集めたもので、
その名は、冊子に利用された紙が、 アトラス (地図帳) と同じ大型の判型だったことに由来するそうです。
400年以上の歴史を持つアンブロジアーナ図書館・絵画館には、
全部で405葉のアトランティコ手稿が所蔵されているそうで。
今回の美術展には、そのうちの22葉が出展されています。
たった22葉の手稿・・・つまりは、レオナルド・ダ・ヴィンチの個人的なネタ帳が22枚と侮るなかれ。
その22枚だけでも十分に、レオナルド・ダ・ヴィンチの天才ぶりを目の当たりにすることが出来ます。
上で紹介した画像 (《頭部の素描、作品リスト、アタランテ・ミリオロッティの肖像に関する言及》) は、いかにもネタ帳という感じですが。
プレゼン用に描かれたと思われる緻密な兵器の素描や、
影の理論について、レオナルド・ダ・ヴィンチが考証を重ねていた手稿などもあって、見応えはバッチリ。
また、中には、浮き輪をつけて泳ぐ男性の姿が描かれたものがあり、
その男性のイラストこそ、西洋美術史上初の泳ぐ人像であるかもしれないとのことでした。
《アトランティコ手稿》 の内容の素晴らしさに関しては、
凡才である自分の頭では、完全に理解することは不可能でしたが (笑)
それらの手稿から漂ってくる知のエッセンスは、ちゃんと受信できた気がします。
《アトランティコ手稿》 に触れたことで、ちょっとだけ頭が良くなった後は、 (←この発言が、そもそもバカっぽいw)
ポスターのメインビジュアルにも使われている・・・
レオナルド・ダ・ヴィンチのミラノ時代の傑作 《音楽家の肖像》 の元へ!
こちらは、イタリアのアンブロジアーナ図書館・絵画館が所蔵する傑作で、門外不出の一枚。
もちろん日本に来日するのは、今回が初めてです!
さてさて、そんな 《音楽家の肖像》 と初対面した率直な感想は・・・
「・・・・・あぁ、こういうレオナルド作品もあるのね」
でした。
“レオナルド・ダ・ヴィンチの作品は、すべからく鳥肌が立つ。”
それくらいのイメージを抱いていただけに。
想像していたよりも、 「フツー。」 な印象だったこちらの作品に、
僕の中で、勝手に落差を感じてしまいました。
おそらくレオナルド以外の画家の作品であったなら、
「なかなか迫るものがある肖像画だなァ」
と感銘を受けたのでしょうが。
レオナルドの作品だと知った上で観てしまうと、
「まぁ、うん。悪くはない肖像画だけどね。君は、もっと出来る子だよね?」
と、どうしても感じずにはいられませんf^^:
特に強く感じてしまったのが、頑張っているところと頑張っていないところ (←?) のギャップ。
顔の描写は、頑張っている気がしましたが、
それに比べると、手の表現は、そこまで頑張っていなかったように思います。
(他のレオナルドの作品は、指先の表現が特に素晴らしいので)
さらに言えば、服の表現は、手の表現以上に、頑張っていなかったような気がします。
頑張っていなさ過ぎて、
「あれっ、服を後ろ前に着ているの??」
と思ってしまったくらいに、不自然な描写でした (笑)
レオナルドの 《音楽家の肖像》 がメインの美術展と思って訪れるよりも、
レオナルドの 《アトランティコ手稿》 がメインの人文系展覧会と思って訪れることをオススメします。
ちなみに。
レオナルドの作品以外にも、レオナルドに影響を受けたレオナルデスキたちの作品も紹介されています。
その中で一番印象的だったのが、
ベルナルディーノ・ルイーニ (本名ベルナルディーノ・スカーピ) の《幼子イエスと子羊》 という作品。
幼子イエスが子羊に、チョークスリーパーを決めています (笑)
オチる寸前みたいな子羊の表情が、何とも言えません。
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片岡球子 創造の秘密 日本画家のスケッチブックから
神奈川県立近代美術館 鎌倉で開催中の・・・
“片岡球子 創造の秘密 日本画家のスケッチブックから” へ行ってきました。
こちらは、神奈川県にゆかりのある日本画家・片岡球子をフィーチャーした美術展。
約80年にも及ぶ長い画家生活の中で残した沢山のスケッチブックに注目し、
彼女のスケッチブックをと本画を併せて展示するというユニークな試みの美術展です。
ちなみに、片岡球子について簡単に説明しておきますと。
片岡球子は、103歳で天寿をまっとうするまで、
異端の日本画家、型破りな日本画家と呼ばれ続けた女性画家。
その個性的で激しすぎる画風は、時に “ゲテモノ” とまで揶揄されたほどです。
また、自他ともに認めるヘタクソな画家であり、
帝展や院展に何度も落選した経験から、 “落選の神様” という有難くないあだ名まで頂戴しています。
さてさて、会場を訪れるまで、
「さぞかし、スケッチブックがメインの美術展なのだろうなァ。
(=本画は、大したものが展示されていないんだろうなぁ・・・)」
と、あまり期待はしていなかったのですが。
もちろんスケッチブックの数々も展示されているものの、
片岡球子が生涯取り組んだ 《面構》 シリーズや、
《面構 葛飾北斎》
《面構 足利尊氏》
彼女の代名詞とも言うべき火山を描いた作品も展示されており、
《火山(浅間山)》
普通に、片岡球子の代表作が堪能できる美術展でした。
というか、普通に代表作を飾ってしまったことで、
本画のパワーが、スケッチブックの印象を圧倒してしまっていた感があります (笑)
いろいろと展示されていた中で、個人的に一番目を惹かれたのが、 《カンナ》 という作品。
まぁ、お世辞にも上手くはないですが。
こんなにも開き直った感じで (←?) 、堂々と個性的に描かれると、
「あれっ、逆に上手い絵ってなんだろう?」
と、自分の美的価値観が揺らいでしまいます。
で、揺らいでしまうのですが、最終的には、
「ま、上手かろうが下手だろうが、見ていて元気になるから、いっか♪」
と、ポジティブな気持ちになれます。
くよくよ悩んでいる時に効くサプリのような絵画です。
それと、前述したように、
片岡球子が好きな歴史上の人物を描く 《面構》 シリーズも何点も展示されていましたが。
その中で特に印象に残ったのが、 《面構 東洲斎写楽》 です。
「いやいやいや、面構えも何も、写楽って誰かわかってないじゃん!
どんな顔しているのか、わからないじゃん!」
などと思っていたら・・・
白いお面を被っていました!スケキヨ?!
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ボンボニエールと和ランプの世界
デパ地下で、よく見かける和菓子屋・宗家 源 吉兆庵。
その鎌倉本店に行ってきました。
もちろん、和菓子を買うのが主目的ではなく。
その鎌倉本店に併設されている・・・
鎌倉・吉兆庵美術館を訪れるのが主目的です。
虎屋にも虎屋文庫という企業ミュージアムがありますが、
宗家 源 吉兆庵にも、このような企業ミュージアムがあったのですね。
しかも、鎌倉だけでなく本社のある岡山県にも、岡山・吉兆庵美術館が存在するとのこと。
さすが、よくデパ地下で見かけるだけのことはあります (←?)
早速、美術館に中に入ってみると・・・
受付に誰も人がいません!!
「御用の方は呼び出しボタンを押してください」 とのことなので、
呼び出しボタンを押してみると、宗家 源 吉兆庵のお店の方から売り子さんがやって来ました (笑)
そんな仕組みから、なんとなく察しがついたのですが。
ほぼ貸切状態で、美術館を楽しむことが出来ました。
ただ、お客さんが少ないからと言って、
たいした美術館ではなかったかと言えば、そんなことはなく。
600円という入館料こそ、若干割高な気がしたものの、趣の感じられる良い美術館でした。
そんな鎌倉・吉兆庵美術館で、
現在、開催されているのは、 “ボンボニエールと和ランプの世界” という美術展。
吉兆庵が所蔵するボンボニエールと和ランプのコレクションを紹介する美術展です。
和ランプとは、その語感から予想が付くように、
和風のランプのことで、主に明治時代に生産されたランプのこと。
読んで字のごとしです。
しかし、あまり耳馴染みのないボンボニエールって、一体何でしょう・・・?
ボンボニエールとは、フランス語で飴を表す 「ボンボン」 を入れるための小物のこと。
つまり、飴玉や金平糖などを入れるケースのことです。
一般の人にとっては、フリスクケースのようには、目にすることのないボンボニエールですが。
実は、皇室の皆様の間では、お馴染みのもの。
というのも、明治時代より、皇室で行われる儀式や婚礼などのお祝い行事の記念品として、
列席者にボンボニエールが贈られているのだそうです。
ちなみに、そんな皇室の習慣は、現代でも続いているそうで、
最近では、2005年の紀宮様と黒田慶樹さんがご成婚された際に、
招待客にボンボニエールが配られたのだとか。
宗家 源 吉兆庵が、どのような伝手で手に入れたのかは、わかりかねますが。
今回の美術展では、約30点ほどの皇室ゆかりのボンボニエールが紹介されていました。
プレーンなタイプ (?) のボンボニエールから、
ユニークなタイプのボンボニエールまで。
そのバリエーションは、さまざま。
その優美かつ可愛らしい世界は、しばらく眺めていても飽きません。
また、皇室のお祝いのために作られているということもあって、細工の繊細さ・精巧さは最高級。
手のひらサイズの小さなボンボニエールの中には、
日本工芸の粋や日本美術のエッセンスが詰まっていました。
そして、金平糖も詰まっていました。
・・・と、企画展も、楽しませて頂きましたが。
個人的には、鎌倉ゆかりの人物として常設展示されている北大路魯山人の作品が印象的でした。
これまで他の美術館で、
北大路魯山人の陶芸作品を見ても 「ふ~ん。」 くらいにしか思わなかったのですが。
こちらの美術館では、例えば、 《備前金ツクロイ四方尺鉢》 の上に、
アユの塩焼き (もちろんサンプル) が盛り付けられていました。
その “しっくり感” と来たら、ありません!
北大路魯山人の陶芸作品は、料理を盛り付けてナンボ。
そのことを、ビジュアルでまざまざと見せつけられた気がしました。
また、盛り付け方も、さすが和菓子屋さんという感じで、本職ならでは。
是非、すべての北大路魯山人作品に、料理を盛り付けた展覧会を開催して頂きたいものです。
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新・無料で観れる 美術百選 《毛利庭園(東京都港区)》
六本木の顔・六本木ヒルズは、今年でめでたく開業10周年を迎えました。
わ~、おめでとうございます
そこで、そんな10周年を記念して、
六本木ヒルズ内の歴史ある毛利庭園の池に新作のパブリックアートが設置されました。
それが、こちら↓
「ん?M??」
毛利庭園の頭文字の 『M』 でしょうか?
たぶん違います。
ある方向からは、 『M』 の文字のようにしか見えませんが。
ある方向から見ると、あの形が姿を現すのです。
新・無料で観れる 美術百選 011
ジャン=ミシェル・オトニエル 《Kin no Kokoro》
作者は、昨年に原美術館で大々的な個展が開催されたジャン=ミシェル・オトニエルさん。
大型のガラス作品で知られる彼の今回の新作は、金箔仕様のゴージャス (?) なもの。
おめでたく、かつラブリーな作品で、
実に10周年記念に相応しいパブリックアートである気がしました。
最後は、 《Kin no Kokoro》 と六本木ヒルズをパチリ
15周年、20周年と、今後も記念パブリックアートは設置されるのか。
これからの六本木ヒルズにも期待です。
<無料で観れる美術 データ>
毛利庭園
住所:東京都港区六本木6-10-1
アクセス:東京メトロ日比谷線・都営大江戸線「六本木駅」より徒歩4分
この美術室を盛り上げるワンクリックも、無料で出来てしまいます。
PR: 今までにない部屋探しサイト「Nomad.(ノマド)」
暮らしと美術と髙島屋 世田美が、百貨店のフタを開けてみた。
世田谷美術館にて、髙島屋をテーマにした美術展が開催されています。
高島屋とは、もちろん、あの髙島屋。
百貨店の髙島屋です。
公立の美術館が、一企業をフィーチャーした美術展を開催したことだけでも、かなりチャレンジングですが。
その美術展のタイトルも、
“暮らしと美術と髙島屋 世田美が、百貨店のフタを開けてみた。” とチャレンジング!
さらには、そのポスターも・・・
髙島屋のエレベーターをメインビジュアルにするというチャレンジングぶり。
しかも、その一部を、注意深~く見てみますと・・・
隠れた遊び心を発見 (笑) !!
こんなにもチャレンジングな世田谷美術館の姿勢に、
美術展を訪れる前から、すでにノックアウトされてしまいました。
もう絶対に、楽しいに決まってます!
・・・・・・・で。
実際に、美術展を訪れた率直な感想は、と言いますと、
期待通り、楽しかったです♪♪♪
エレベーターガール風のナレーションが秀逸なオープニング映像に始まり、
大阪にある髙島屋史料館が所蔵する髙島屋関連の美術品や、
竹内栖鳳 《アレ夕立に》 1909年 髙島屋史料館蔵
髙島屋の歴史を飾ったディスプレイ写真や貴重なポスターの数々に目を奪われ、
キモノ大阪春季大展覧会ポスター
(原画・北野恒富/文:与謝野晶子) 1929年 髙島屋史料館蔵
呉服屋からスタートした髙島屋ならではの着物にも目を奪われ。
訪問着 《暫》 1952年(第78回秋の百選会) 髙島屋史料館蔵
(注:展示は、前期[~5/19]までです)
終始、美術展会場では、ワクワクしっぱなしでした。
そう言えば、親にデパートに連れて行ってもらった時は、
「こんな感じでワクワクしてたよなぁ~」
と、子供の頃を思い出してしまったほど。
ひょっとすると、実際の髙島屋よりも、
今回の世田谷美術館の会場の方が、百貨店の楽しさが満ちていたような気がします (笑)
個人的にお目当てだった竹内栖鳳の 《アレ夕立に》 も、もちろん良かったのですが。
それ以上に良かったのが、ビロード友禅 《世界三景 雪月花》 の下絵3点セットでした。
こちらは、1910年にイギリスで開催された日英博覧会に髙島屋が出品したもので、
世界の絶景を、日本伝統の雪月花という画題と組み合わせた図柄は、当時、高い評価を得たのだとか。
ちなみに、そのうちの2点である山元春挙の 《ロッキーの雪》 と、
1905年 髙島屋史料館蔵
竹内栖鳳の 《ベニスの月》 のビロード友禅は、
1905年 髙島屋史料館蔵
1994年に大英博物館にコレクションされたのだそうです。
(↑せっかくなら、もう1点 [=「花」の作品] もまとめて収蔵してくれれば良かったのに)
そんな大英博物館にコレクションされているほどの工芸品の下絵が観られて感激もひとしお。
美術作品として観ても感銘を受けましたが、
これを、明治時代の一企業が制作したという事実に、より感銘を受けました。
昨今ではデパ地下ばかりに意識が向きがちですが (?) 、
改めて、いかに髙島屋が日本の文化に貢献してきたかを実感することが出来た気がします。
ただ、もっと個人的に印象に残ったのは、美術品の数々よりもポスターの数々でした。
《近畿の名宝を蒐めて 福の神大展覧会ポスター》 (原画:高岡徳太郎) をはじめ、
1931年 高島屋史料館蔵
壁一面に貼られていたのは、髙島屋でこれまでに開催された展覧会ポスターたち。
「東京漫画会 関西第一回漫画展覧会」 や、
「科学日本の誇 テレビジョン関税発表会」(昭和14年) のように、
まだ内容が想像の付く展覧会もあったのですが・・・。
「世界に輝く わが潜水艦展覧会」 や、
「大阪で富士登山が出来る 富士山大博覧会」 のような謎の展覧会もチラホラと (笑)
いい意味で、時代を感じることが出来ました。
ちなみに。
“暮らしと美術と髙島屋展” で、髙島屋と非常に馴染みの深い 『民藝』 を紹介している関連して。
世田谷美術館の常設展会場では、現役の民藝作家・柚木沙弥郎の美術展を開催中。
常設展会場は、上です。
上でございます。
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河鍋暁斎の能・狂言画
三井記念美術館で開催中の “河鍋暁斎の能・狂言画” に行ってきました。
こちらは、幕末から明治にかけて活躍した絵師・河鍋暁斎をフィーチャーした美術展。
・・・と言っても、ただ絵師としての河鍋暁斎をフィーチャーしただけでなく。
能・狂言を愛好し、素人ながら自らも能の舞台に立ったこともある河鍋暁斎にちなんで、
河鍋暁斎が描いた能・狂言画をフィーチャーした美術展。
そのことからもわかるように、かなりニッチな美術展と言えるでしょう。
河鍋暁斎と言えば、これまでは、妖怪画のイメージで紹介されることが多かった絵師。
能や狂言の絵を描いているイメージは、
あまり・・・というか、全然ありませんでした。
それだけに、
「本当に、そんな美術展が成立するの(¬_¬) ??」
と、少々イジワルな気持ちで、会場を訪れたのですが。
能の演目の一つ 『猩々』 の場面を描いた 《猩々図扇面》 に、
(注:展示は、5/19にちまで)
同じく能の演目 『石橋』 を画題にした 《石橋図屏風》 、
『唐人相撲』 という狂言の演目をテーマにした 《唐人相撲図》 ・・・などなど、
河鍋暁斎が描いた能・狂言画は、意外なほどに存在していました。
それも、やはり本人が舞台にあがっていただけあって、空気感や臨場感は抜群。
絵の中の人物が、本当に動いているかのような印象を受けました。
・・・・・・・・ただし。
確かに、河鍋暁斎が描いた能・狂言画だけで、
ひとまず美術展の体裁は整っていた気はしたのですが。
河鍋暁斎の作品だけでなく、その息子や娘、弟子の作品も紹介されていたり、
下絵やスケッチを紹介するコーナーが、全体の20~25%くらいを占めていたり。
《能「道成寺」(鐘の中)下絵》
美術展の形にはなっていたものの、
「・・・・・・・・・で?」
というのが、率直な感想です。
そこまでして、河鍋暁斎が描いた能・狂言画だけに絞らなくても良かったような。
能や狂言が好きな人ならともかくも、
一般的な観賞者としては、他の河鍋暁斎作品を紹介するとか、
もしくは、せっかく三井記念美術館は重要文化財の 《旧金剛宗家伝来能面》 を所蔵しているのですから、
(注:今回は展示されていません!)
それらも併せて紹介するとか、何かもう一つ工夫があった方が楽しめた気がしました。
今回の美術展が、マニアックすぎた分、
次回の三井記念美術館の美術展に期待したいと思います。
ゲゲゲ。
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幸之助と伝統工芸
「何を今さら?」 感が、ハンパないですが。
今年も、ぐるっとパスを愛用しています。
2013年度版は、対象となる施設が、昨年の75施設から77施設へとパワーアップ!
2つの施設が、その対象施設に仲間入りしたのです。
そのうちの一つが、五島美術館。
せっかく仲間入りしてくれたのは嬉しいのですが・・・。
半年前に、年額4000円を払って、美の友会に入会してしまいました。。。
ぐるっとパスの対象施設になると知っていれば、入会しなかったものを (泣)
そして、もう一つの新対象施設は、パナソニック 汐留ミュージアム。
五島美術館の美術展も、パナソニック 汐留ミュージアムの美術展も鑑賞出来て、お値段は据え置き。
ぐるっとパスは、アート鑑賞ライフの頼もしい味方です。
・・・・・と、ひとしきり、ぐるっとパスを褒め称えたところで。
今年から、新対象施設となりましたパナソニック 汐留ミュージアムへ行ってきました。
今年で開館10周年の節目を迎えるパナソニック 汐留ミュージアム。
それを記念して開催されているのが、 “幸之助と伝統工芸” という美術展です。
美術展のタイトルにもある 『幸之助』 とは、
もちろん坂崎幸之助のことではなく、パナソニック株式会社の創業者である松下幸之助のことです。
「経営の神様」 と称されているだけに、
松下幸之助の経営者としての面ばかりが取り沙汰されている気がしますが。
実は、松下幸之助には文化人としての面もありまして。
若い時から、絵画や工芸作品などの美術品を収集したり、
公益社団法人日本工芸会などの団体の役員を務めたり、と、文化支援活動を続けていたのだそうです。
今回の美術展では、そんな文化人・松下幸之助をフィーチャーし、
初出品作品約60点を含む幸之助ゆかりの工芸作品約90点を、前中後期の3期に分けて紹介しています。
三輪休和(十代休雪) の 《萩茶碗》 や、
北大路魯山人の 《備前焼餅 平鉢》 、
森口華弘による 《駒織縮緬地友禅訪問着》 など、
同時代の作家や工芸家の方の作品ばかりかと思いきや・・・
江戸時代の 《黒茶碗 銘 閑談》 のようなビンテージ (?) 茶器もあり、見応えは十分。
しかも、それらの工芸品を、モダンに、かつスタイリッシュに展示されているので、一見の価値アリです。
・・・・・ただ、鑑賞中に、ずーっと感じていたのは、
「東京国立近代美術館の工芸館とテイストが、ちょっとカブってるなぁ」
ということ (笑)
とは言え、東京国立近代美術館の工芸館よりも、
雰囲気は、パナソニック リビング ショウルームに近かったです。
ちなみに、数ある展示品の中でのマイベストは、富本憲吉の 《色絵柳胴紐大鉢》
なんとなくブリティッシュな印象。
なんとなくトラディショナルな印象。
なんとなくマルイのメンズブランドショップに置いてありそうな印象。
この 《色絵柳胴紐大鉢》 を含め、全体的に好きな作風の作品が多かったです。
松下幸之助さんとは、趣味が合いそうです。
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日本橋三越&ホキ美術館のイベントに、アートテラー・とに~氏が抜擢?!
こんばんは。
ATN (=アートテラーニュース) の時間です。
来週15日から20日にかけて、日本橋三越本店の6・7階では、
三越美術部が総力を挙げた “2013三越美術逸品会” が開催されます。
その期間中に開催されるギャラリートークイベントの司会として、
アートテラーのとに~氏が抜擢されたことが判明いたしました。
その抜擢理由は、
“いつもとは一味違ったユーモア溢れる会話を織り交ぜた楽しくわかりやすいイベントを開催するため”
とのこと。
日本で初めてデパートメントストア宣言をした日本橋三越というビッグネームからの依頼に対し、
アートテラーのとに~氏は、次のようなコメントを寄せています。
「『これまでとは違うイベントを』 と考えて、
僕を選んでくださったことを非常に光栄に思います。
と、同時に、これで僕が結果を出せなかったら、
『やっぱり、これまで通りにイベントで良かったよ』 ということになってしまうので (笑)、
その責任は重大です。
ギャラリートークは、15日 (水) と18日 (土) の2回。
どちらも14時からで、入場は無料。
話を聞いたからには、作品を買わないといけない・・・ということはありません。
もちろん話を聞いて作品が欲しくなったら、買ってください (笑)
15日の回では、東京藝術大学出身の若手院展作家で結成された “無窮の會” のメンバーを迎え、
「藝大あるある」 や 「私が日本画家になった理由(わけ)」 などのトークテーマで、
『アメトーーク』 風にギャラリートークを。
18日の回では、人間国宝の伊藤赤水さんとマンツーマントークを展開。
気は引き締めつつ、当日は、誰よりも楽しむつもりで頑張ります。」
15日と18日は、是非、ショッピングついでに日本橋三越を訪れてみてはいかがでしょうか?
さて、続いてのニュースです。
来月6月2日に、有楽町の国際フォーラムにて、
ホキ美術館 開館3周年イベント 「ホキ美術館 DAY」 が開催されます。
その登壇者の一人として、アートテラーのとに~氏が抜擢されました。
千葉県出身ということもあって、
ことあるごとに、千葉県にあるホキ美術館をプッシュしてきたアートテラー・とに~氏。
そのプッシュぶりが結実した今回のオファーに対して、とに~氏は、次のようなコメントを寄せています。
「まさか、お声掛けして頂けるとは夢にも思っていませんでした。
とても光栄に思います。
僕以外の登壇者は、ホキ美術館創設者の保木将夫さんに、
美術界の重鎮である森本草介先生と五味文彦先生に、
そして、ダウンタウンさんの同期でもあるアート愛好家芸人のおかけんたさんです。
そうそうたる顔ぶれ過ぎて、率直な感想としては、
「・・・・・・・僕でいいんですか?」
という感じです。
「良かったら、前説でいいですよ」 と本気で思います (笑)
しかし、オファーを頂いた以上は、結果を残してきたいと思います。
登壇者5人の中で一番の若手、一番の若輩者ですが。
それを活かして、お客さんに一番近い立場で、いろいろと発言をしてこようと思います。
当たって砕けてきます (笑)」
すでに午前の部は定員が埋まっているそうですが、
午後の部 (13:30~) に関しては、定員に少し余裕があるみたいです。
気になる方は、是非チェックしてみてください。
<イベント詳細>
アートテラー・とに~氏 司会進行によるギャラリートーク
・その1 「無窮の會」出品作家(日本画家)
5月15日(水) 午後14時~ 日本橋三越本館7階ギャラリー
・その2 無名異 人間国宝 伊藤赤水氏
5月18日(土) 午後14時~ 日本橋三越本館6階美術特選画廊
参加申し込みは特に必要ありません
ホキ美術館 開館3周年イベント「ホキ美術館 DAY」
日時:2013年6月2日(日)
トークショウ開催場所:東京国際フォーラム 「ホールD5」
第1回トークショウ【午前】参加無料 11:00~
第2回トークショウ【午後】参加無料 13:30~
参加申し込みの詳細はこちらから
それでは、今夜のATNは、この辺りで。
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山口晃展 ~付り澱エンナーレ老若男女ご覧あれ~
昨日は、そごう美術館で開催中の・・・
“山口晃展 ~付り澱エンナーレ老若男女ご覧あれ~” に行ってきました。
昨年メゾンエルメスで開催された “望郷―TOKIORE(I)MIX” とはうって変わって、
そごう美術館だからでしょうか、現代美術展には珍しく、会場のお客さんのほとんどが年配の方でした。
『老若男女』 というよりは、 『老老男女』 という感じです。
それでも、大和絵をベースにしている山口晃さんの作品は、
年配の方にも、すんなりと受け入れられていたようでした。
まさに、老若男女にご覧頂きたい美術展です。
《千躰佛造立乃圖》 (2009) や、
個人蔵 © YAMAGUCHI Akira, Courtesy of Mizuma Art Gallery
《厩圖2004》 (2004) のような絵画作品は、
滋賀県立近代美術館蔵
© YAMAGUCHI Akira, Courtesy of Mizuma Art Gallery
実物を見ないと、その細密描写ぶりが伝わらないので見逃せないですし、
特別に全点展示されている 『私と20世紀のクロニクル』 の挿画も見逃せませんが。
今回の山口晃展で一番見逃せないのは、何と言っても 「山愚痴屋澱エンナーレ2013」 の展覧会場。
なんと山口晃展の会場の中に、別の美術展会場があるのです。
(←入れ子構造になっている会場で、こちらのパンフレットが渡されます)
・・・・と言っても、 「山愚痴屋 (やまぐちや) 澱エンナーレ(おりえんなーれ)」 とは、
山口晃さん一人の作品だけで構成されているトリエンナーレ風の美術展。
例えは古いですが、木梨憲武の 「1人ものまね王座決定戦!!」 みたいな感じです (笑)
(←何人もアーティストが参加しているようですが、全員山口晃さんw)
あくまでトリエンナーレ風の美術展にこだわっているので、
絵画だけでなく、映像作品や立体作品など、作品の形式はさまざま。
確かに、言われてみなければ、全部が山口晃さんの作品とは思えないほどでした。
意外と、カメレオン的なアーティストだったのですね。
そんな 「山愚痴屋澱エンナーレ2013」 の出展作品の中で、
個人的に気に入った作品は、山口晃さんの 《解読》 というシリーズ。
これは、一般的な交通標識の新たな解釈を、山口晃さんが勝手に考えてしまうというもの。
例えば、 は、『マイケル』 。
は、 『ていうか、そもそも50キロでなんか走れませんて、人は。え?人じゃない?』 。
に至っては、 『高見沢俊彦』 でした (笑)
他には、毒っ気の効いた 《サウンドロゴ》 シリーズがお気に入り。
この美術展を通じて、山口晃さんの知られざる一面が垣間見えた気がします。
最後に、もう1点気になってしまった作品を。
「山愚痴屋澱エンナーレ2013」 の会場ではなく、
山口晃展の会場のほうで展示されていた 《百貨店圖日本橋新三越本店》 (2004) です。
株式会社三越伊勢丹 蔵
©YAMAGUCHI Akira Courtesy Mizuma Art Gallery
描かれているのは、もちろん日本橋新三越本店。
まさか、そごうの中で、日本橋三越に遭遇するとは思ってもみませんでした。
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たまもの 埼玉県立近代美術館大コレクション展
埼玉県立近代美術館では、現在、コレクション展が開催中です。
「あ、な~んだ、ただのコレクション展か」
と思ってしまった方、甘いです。
開催されているのは、ただのコレクション展ではなく、大コレクション展。
そんな “たまもの 埼玉県立近代美術館大コレクション展” は、今週日曜まで開催されています。
何よりも驚くべきは、その出品作品数。
「300点?」 「いえいえ、そんなものではありません。」
「じゃあ、500点?」 「まだまだ」
正解は、空前絶後の約1000点!
出品リストだけで、全7枚・・・。
大コレクション展と名乗っているのは、ダテじゃありません。
それだけ膨大な数の作品が、展示室だけに収まるわけもなく (←?) 。
コインロッカーや、
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
3階にある図書室、
エントランスや受付、ミュージアムショップ、レストランまでもが展示スペースに。
まさに埼玉県立近代美術館全館を挙げて開催されている美術展です。
展示されているのは、もちろん全てが埼玉県立近代美術館のもの。
だから、 『たまもの』 。
クロード・モネ 《ジヴェルニーの積みわら、夕日》 (1888~89年) や、
埼玉県立近代美術館所蔵
小茂田青樹 《春の夜》 (1930年) といった・・・
埼玉県立近代美術館所蔵
埼玉県立近代美術館のマスターピースたちが、
美術展会場のあちらこちらで、華を添えています。
また、美術展タイトルの 『たまもの』 には、
寄贈や購入などで、埼玉県立近代美術館に授かった 『賜物』 という意味もあるそうで。
川口市の旧家・大熊家から寄贈されたという貴重な近代日本画の掛軸群も、
今回の美術展で初めて、一堂に並べて紹介されています。
これ以外にも、これまでなかなか紹介する機会の無かった 『賜物』 や、
今回の美術展で初めて紹介される 『賜物』 がありますので、要チェックです。
さてさて、約1000点も作品が展示されていると聞いて・・・
「全部観たら、疲れるんじゃないかなぁ(´□`。)」
と、心配になっている方はいませんか?
確かに、全部じっくり観ると疲れます (笑)
でも、僕自身は、覚悟していたよりは、疲れませんでした。
おそらく、その理由は、展示テーマが32に分けられていたことにあると思います。
(※効能には個人差があります。)
「食べるもの」 や、
「深く眠る」 などなど、
展示テーマが細かく設定されていたことで、
1つの大きな美術展ではなく、32のミニ美術展という感じで、サクサク楽しめました。
ケーキで例えるなら (←?) 、1つのホールケーキを完食したというよりも、
32個のプチケーキをバイキング形式で楽しく食べたという感じ。
作家で例えるならば、星新一のショートショートの世界のような美術展だった気がします。
ちなみに、数あるテーマの中で、一番見逃せないのが、 「百花繚乱」 のコーナー。
文字通り、花を描いた絵の数々が、百花繚乱のごとく展示されています。
この展示風景は、実に圧巻。
目に飛び込んできた時のインパクトは他の追随を許しません。
自分は千葉出身なので、正直、認めたくはないですが。
この展示風景を目にした時ばかりは、
「さ、埼玉県に負けた・・・(´・ω・`)」
と、素直に思いました。
ここは潔く負けを認めて、3ツ星。
全埼玉県民に足を運んで頂きたい美術展です。
(もちろん僕のような非埼玉県民にもオススメです)
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梅佳代展 UMEKAYO
かれこれ数年前のこと。
本屋さんの新刊コーナーにて、
梅佳代さんのデビュー写真集 『うめめ』 と出合って、衝撃 (いや、笑撃か) を受けました。
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「なんだ、この写真集はwwwww」
そこに写っていたのは、日常の中の思わず笑ってしまう光景。
自分も芸人だった過去が長いので、
職業柄、笑ってしまう光景に出合うと、ケータイやデジカメに収めてしまいましたが。
その時までのマイベスト面白写真コレクションが、
『うめめ』 を見た瞬間に、一気に霞んでしまったのです。
「こ・・・この写真に負けた・・・orz」
その一番の敗因は、梅佳代さんの写真からは、
“笑わせてやる!” という気負いが、まったく感じられないこと。
それと比べると、笑わせる気満々で撮った自分の写真が、なんと浅ましいことか。
しかも、そんな超自然体で撮影された写真ながらも、
もはや笑いの神様が降臨したとしか思えない神がかった光景が広がっているではないですか。
それも一点だけでなく、何点も!
正直なところ、梅佳代さんの才能に嫉妬しました (笑)
芸人以外の方に対して、その才能を嫉妬したのは、後にも先にも、この時だけです。
それ以来、すっかり梅佳代さんは気になる存在に (←恋ではありません)
新作の写真集が出るたびにチェックしていました。
そして、今回ついに、東京オペラシティ アートギャラリーにて、
梅佳代さんの初個展 “梅佳代展 UMEKAYO” が開催されたとのこと。
嫉妬する気持ちを抑えて (?) 、行ってまいりました。
会場は、全部で6つのセクションによって構成されていました。
それらのセクションの中で、やはり白眉は、 「シャッターチャンス Part 1&2」 というセクション。
こちらでは、梅佳代さんの真骨頂とも言うべきストリートスナップの数々が紹介されています。
どの写真も、本っっっ当に面白い。
悔しいけど、面白い (笑)
美術館で、こんなにも笑いを堪えたのは初めての経験かもしれません。
また、壁一面がピンクに染められた 「女子中学生」 というセクションも見逃せません。
実は、こちらで紹介されている 「女子中学生」 シリーズは、
約10年ぶりに公開されているそうで、ある意味封印されていたシリーズです。
梅佳代さんが専門学生時代に仲良くなった近所の女子中学生を、学生寮に招き撮影。
その一連の写真の中で、女子中学生たちは、
パンツを見せたり、バナナを手に・・・(自主規制) と、やりたい放題 (笑)
とは言え、女子中学生なので、壇蜜のようなエロスは、かけらも感じられません
ただ、この被写体の彼女らは、さすがに今はいい大人になっているはず。
この当時の写真を見て、
「認めたくないものだな…、自分自身の…若さ故の過ちというものを…」
と、呟くであろうことは、想像に難くありません (笑)
会場では他にも、男子小学生たちのおバカな姿を捉えた 『男子』 や、
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梅佳代さんの実の祖父をモデルにした 『じいちゃんさま』 、
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そして、故郷の能登をテーマにした最新作 『のと』
のと/新潮社
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これらの3つの写真集が、そのまま1つのセクションとなっています。
ただ単に写真を並べるのではなく、
それぞれの写真集のテイストに合わせた展示になっていて好感が持てました。
「梅佳代さんの写真がアートなの?」
と問われれば、自信を持って、 「アートです。」 とは答えられませんが。
彼女の写真にとっては、そんなことはどうでもよくて、
自信を持って、 「こんなに楽しい写真は他にないですよ!」 と答えることは出来ます。
ここ数年で一番笑った美術展であることは確かです。
ちなみに。
美術展もさることながら、この梅佳代展の展覧会図録もナイスです。
アートディレクションは、祖父江慎さん。
そして、写真家で編集者の都築響一さんも特別に寄稿しています。
さらに、図録限定で公開されている・・・
シークレット作品 (袋とじ) もあります。
ある意味で、 「ムフフ」 となる写真でした。
気になった方は、是非、お手に取ってみてくださいませ。
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新・無料で観れる 美術百選 《横浜マリンタワー(神奈川県横浜市)》
きょ、今日は、横浜マリンタワーに来たんだな。
ここの1、2階の吹き抜け部分 (無料スペース) には、
とある有名な人気日本画家の手がけた壁画があるんだな。
そ、それが、こちらなんだな↓
誰が描いたのかは、近づいてみればわかるんだな。
そう。『裸の大将』 でも、お馴染みの山下清なんだな。
もちろん壁画だから、貼り絵ってわけにはいかないんだな。モザイクなんだな。
ちなみに、描かれているのは、 “昔” の横浜の姿なんだな。
で、この絵と対比するように、 “今” の横浜の姿を描いた絵もあるんだな。
ただ、 “今” と言っても、この壁画が制作された1961年当時にとっての “今” だから、
2013年から見たら、だいぶ “昔” なんだな。ややこしいんだな。
新・無料で観れる 美術百選 012 山下清 《横浜の今昔》
よ、余談なんだが、よ~く見ると、モザイクの中にローマ字で綴られた名前を発見したんだな。
「IZUMI」 と 「AMANO」 読めるんだな。
なんでも、当時、壁画制作に携わったアルバイトの大学生が、
こっそり埋め込んだそうみたいなんだな (笑)
わ、若気の至りなんだな。
<無料で観れる美術 データ>
横浜マリンタワー
住所:神奈川県横浜市中区山下町15
アクセス:○みなとみらい線「元町・中華街」駅4番出口より徒歩1分
○JR「石川町」駅より徒歩15分
この美術室を盛り上げるワンクリックも、無料で出来てしまいます。