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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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マルク・シャガール ―版画の奇跡∞無限大の色彩

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現在、目黒区美術館では、 “マルク・シャガール ―版画の奇跡∞無限大の色彩” が開催されています。

シャガールの作品は、これまでに幾度となく目にしていますので。
正直なところ、

「あぁ、またシャガールかぁ(^~^;)」

というのが、美術展を訪れる前の率直な感想でした。
例によって、色鮮やかで、何かふわふわしてて、何か楽しげで、愛に溢れている作品なのでしょう。
もはや観る前から、マンネリ感は否めません。
しかも、油彩画ではなく、版画の美術展。

「まぁ、一応、シャガールだし、押さえておきますか(^~^;;)」

という程度のモチベーションで、足を運んだのですが・・・・・

会場
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


いや、全然面白かったです!!

実は、この美術展のコンセプトは、 「シャガールを視る。」
シャガールのファンを当て込んで企画された美術展ではなく、
僕のようにシャガールを見た気になっている人に、改めて作品を視てもらおうと企画された美術展なのです。

見どころは何と言っても、 「20世紀で最も美しい本」 とも言われている 《ダフニスとクロエ》 (全42点)。

ダフニスとクロエ


大人の事情で、会場風景としてしか紹介できませんが。
是非、近づいて、よく視て頂きたい逸品です。
普通のリトグラフが10色刷りのところ、こちらの 《ダフニスとクロエ》 は、なんと18~20色刷り!
その鮮やかな発色や、繊細に色が重なり合う様子は、
近づいて、自分の網膜に焼き付けて、初めて感動が生まれるものでした。
流し見しているだけでは、ほぼ感動はありません。

色彩に関しては、間違いなく 「20世紀で最も美しい本」 なのですが、
描かれている内容に関しては、ツッコミどころ満載というのが、シャガールの味なのでしょう。
ちょいちょい変なキャラクターが登場しますし、
ちょちちょい妄想力が爆発した世界が繰り広げられますし。
どことなく、さくらももこに通じるところがある気がしました (笑)


ちなみに、こちらの展示室には、 《サーカス》 (全38点) というシリーズも展示されています。

サーカス


いい意味で脈絡のないシャガールの作品世界を表現した展示方法にも要注目です。
視るからに楽しげ。

展示


《ダフニスとクロエ》《サーカス》 の色彩溢れる世界を堪能した後は、一転して、モノクロの世界へ。

自画像


こちらのコーナーで紹介されている 《自画像》 は特に必見。
いつものひょわひょわふるふるな線と違って、
心の琴線にピーンと触れるような深度のある線でした。
上から目線で恐縮ですが、 「シャガール、やれば出来んじゃん!」 という感じでした (笑)


さらに、その後に待ち受けているのが、初期の傑作とされる 《死せる魂》
全96点が欠けることなく展示されています。圧巻。

死せる魂

死せる魂  死せる魂


こちらは、 《ダフニスとクロエ》 以上に、ツッコミどころが満載。
5点に4点くらいのペースで、ツッコミを入れる必要があります。
が、5点に1点は、 「これはっ!」 と思わされる非凡な作品が登場するので、侮れません。


シャガールの美術展なので、サラサラッと観賞できるだろうと、軽い気持ちで来たはずなのに。
気づけば、2時間くらい、じっくりとシャガールの作品と向き合っていました。
ぐったり。
でも、心地よい疲れです。



ちなみに。
美術展の図録の代わりとして、こだわり満載のリーフレットが4月下旬から発売される予定だとか。
これは欲しいです。

リーフレット




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