今回ご紹介するのは、 “のぞいてびっくり江戸絵画 ―科学の眼、視覚のふしぎ―” 。
5月11日までサントリー美術館で開催されている美術展です。
歌川国芳の 《みかけハこハゐがとんだいゝ人だ》 が目を惹くチラシなので、
「なるほど。びっくりする江戸絵画を紹介する美術展なんだな」
と早合点して会場を訪れたのですが、半分正解で半分不正解でした。
確かに、歌川広重の 《即興かげぼしづくし 根上りのまつ 梅に鶯》 や、
(注:展示は、4月21日まで)
特定の位置に円筒形の鏡を置くと図が現れる 《西洋婦人図鞘絵》 のような、
(注:展示は、4月21日まで)
トリックアート的な江戸絵画も紹介されていたのですが。
トリックアートだけではなく、もっと視覚文化全般に迫った美術展でした。
第1章では、「〈遠近法〉との出会い」 を。
歌川広重 《名所江戸百景 する賀てふ》
続く、第2章では、 「〈鳥の眼〉を得た絵師たち」 をテーマにしています。
葛飾北斎 《東海道名所一覧》
(注:展示は、4月21日まで)
第1章、第2章が絵師の視覚に迫っていたのに対し、
第3章では、 「〈顕微鏡〉でのぞくミクロの世界」 、第4章では、 「〈博物学〉で観察する」 と、
江戸時代後期の科学の進歩がもたらした視覚にも迫っていました。
例えば、第3章で紹介されていた重要文化財の原羊遊斎作 《雪華文蒔絵印籠》 。
この印籠に施された雪の結晶という文様は、
(注:展示は、4月21日まで)
顕微鏡が発明されていなければ、確実に生み出されていなかった図案です。
まさに科学とアートとが融合した名品と言えましょう。
科学とアートとが融合した名品 (迷品?) と言えば、
山田訥斎の 《蚤図》 には、本当にびっくりさせられました。
(注:展示は、4月21日まで)
「!!!」
こんなにも蚤を大画面で描いた画家は、
世界広しと言えども、この山田訥斎くらいではなかろうか。。。
ちなみに。
個人的に一番びっくりしたのは、小田野直武の 《不忍池図》 が出展されていたこと。
小田野直武を主人公にした小説を3冊も読んで以来、
一度は、実物を拝見したいと願い続けていた作品なのでした。
まさか、この美術展で出合うとは。
全く予想していなかったために、びっくりもびっくり。
ただ、出来れば、ずっと初体面を楽しみにしていたので、
こんな風に出合い頭でばったり対面する形は避けたかったです (笑)
(注:展示は、4月21日まで)
初めて目にした 《不忍池図》 は、想像していたものに比べて、かなり大画面でした。
14型テレビくらいの大きさかとばかり思っていたのですが、確実に、37インチテレビの画面くらいはありました。
大画面だけに、より遠近法が強調されていた気がします。
向き合った瞬間、スッと絵の世界へ入って行けました。
江戸美術を取り上げた美術展は数多くありますが。
科学的な視点や視覚文化という切り口で紹介しているのは、新鮮でした。
ついでに、美術展CMも新鮮。
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のぞいてびっくり江戸絵画 ―科学の眼、視覚のふしぎ―
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