本日ご紹介するのは、国立西洋美術館で開催中の “ジャック・カロ―リアリズムと奇想の劇場” 。
こちらは、17世紀を代表する版画家ジャック・カロ (1592~1635) に焦点を当てた美術展です。
実は、国立西洋美術館は、世界でも有数のジャック・カロのコレクションを所蔵しているそうで。
その数は、なんと約400点 (!) にも及ぶのだとか。
今回の美術展では、その中から厳選に厳選を重ねた約230点が紹介されています。
これまでにも、 “かたちは、うつる” や、“アルブレヒト・デューラー版画・素描展” など、
隙あらば (?) 、版画の美術展を開催してきた国立西洋美術館。
今回の美術展も、まさに、その系統の美術展といった印象でした。
ルーペを無料で貸し出したり、タッチパネルを使用したり、
随所に版画観賞を楽しませる試みは見られましたが・・・やはり版画オンリーの美術展は盛り上がりに欠けます。
美術展のポスターに使われている 《アルノ川の祝祭(扇)》 や、
《聖アントニウスの誘惑(第二作)》 など、
圧倒的な世界観を持つ作品も、多々ありましたが。
それと同じくらいに、戦争の情景を克明に描いた作品や、
生まれつきの小人で道化師として生計を立てている人物をリアルに描いた作品など、
世の中を、ありのままの姿で見せるような、Let It Goな作品も多かったです。
カロが描いた時代から数百年経っているとは言え、
そういう社会的な作品は、現代の目でも十分に胸を苦しくさせるものがありました。
それも、描き込み過ぎるくらいに描き込む版画家の作品なので、なおさらです。
そういう意味では、ビジュアル的にも精神的にもモノクロームな世界が広がる美術展でした。
ちなみに。
個人的に強く印象に残った作品は、 《二人のザンニ》 です。
これは、もう完全なるジョジョ立ち。
しかも、2人揃ってジョジョ立ち。
ジョジョ立ちでないとしたら、何、このポーズ?
それと、地味に印象に残っているのが、 《食卓の聖家族》 という作品。
家族に2人も聖人がいれば、暗い部屋でも安心なのですね。
食卓のろうそくが、あまり役に立っていない気がします。
光源が頭の後ろにあるということは、常に逆光状態。
マリア様もキリストも、お互い、顔が判別できないと思われます。
聖家族あるある。
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ジャック・カロ―リアリズムと奇想の劇場
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