現在、国立西洋美術館では、 “ジャック・カロ―リアリズムと奇想の劇場” が開催中ですが。
“非日常からの呼び声 平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品” も同時開催されています。
こちらは・・・
葬送〈第1部(上)〉 (新潮文庫)/新潮社
¥594
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『葬送』 などで知られる若手作家・平野啓一郎さんをゲストキュレーターとして迎え、
彼のキュレーションで、国立西洋美術館のコレクションを紹介しようという美術展です。
作品をセレクトしたのも平野啓一郎さんなら、
展示の配置を考えたのも、キャプションを書いたのも平野啓一郎さん。
国立西洋美術館が、完全に丸投げした形の美術展です (笑)
普段の常設展示室でお馴染みの作品もありましたが。
あまり国立西洋美術館で目にすることのない作品も何点かはあり、
それらの作品が日の目を見たことだけでも、平野啓一郎さんにお願いして正解だと思います。
ただ、作家さんだけに、キャプションや章立てが、とても文学的な印象に仕上がっており、
全体的には、美術展を見るというよりは、文学作品を読むような作りになっていた気がしました。
活字が苦手な人には、ちょっと辛いかも。
作品を選ぶセンスが素晴らしかっただけに、もう少しくだけた展示でも良かったような。
では、ここからは、平野さんが選んだ作品の中から印象に残っているものをいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、マックス・クリンガーの 《連作〈手袋〉より:行為》 です。
手前の手袋を拾おうとしている人以外は、なんか変。
ピーンと直立不動です。
よくよく足もとを見ると、スケート靴。
・・・・・いや、スケートしているようには見えません。
続いて、ベルナルド・カヴァッリーノの 《ヘラクレスとオンファレ》 。
理由あって、女王オンファレの奴隷となったヘラクレス。
理由あって、女性の仕事である糸紡ぎをさせられています。
ヘラクレスは不器用なため、周囲の女性に笑われるハメに。
そんな羞恥プレイ (?) を強いる女王オンファレのドS顔が印象的でした。
そっちも女王。
ダフィット・テニールス(子) による 《聖アントニウスの誘惑》 も、かなり印象的な一枚。
砂漠で修行生活を自らに強いた聖アントニウス。
その辛い修行の最中に、さまざまな誘惑が幻覚として襲い掛かったようです。
この絵の中にも、いろいろな幻覚が姿を現しています。
見るからに怪物的なものも沢山いますが、一番怖いのは、中央に描かれた女性。
よく観ると、足が鳥。
聖アントニウス、気づいて!
怖い絵と言えば、ハンマースホイの 《ピアノを弾く妻イーダのいる室内》 。
絵の前に立つと気が付くのですが、
焦点は奥にいる妻の姿ではなく、手前の灰皿にあっています。
・・・・・ということは、もしかしてだけどもしかしてだけど、
この灰皿を手に取って、ピアノに没頭する妻の後頭部をガーンとやるんじゃないの?
最後にご紹介するのは、ゴヤの 《『妄』:飛翔法》 。
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非日常からの呼び声 平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品
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