本日より始まった “藤井達吉の全貌 野に咲く工芸 宙を見る絵画” に行ってきました。
渋谷区立松濤美術館で、7月27日まで開催されています。
さてさて、 『藤井達吉の全貌』 と言われたところで。
全貌も何も、藤井達吉の一面すら知らない人が大多数なのではないでしょうか。
かくいう僕も、その一人。
藤井達吉とは、一体何者なのでしょう??
藤井達吉 (1881~1964) は、近代工芸の先駆者として位置づけられている人物。
ただし、某美術館で絶賛開催中の “超絶技巧!明治工芸の粋” で紹介されている工芸家とは一線を画します。
「工芸家が同時にそれ自身が画家でもあり、建築家、彫刻家でもある」
を理想としていたことからもわかるように。
工芸家でありながら、
《秋の山書棚》
画家でもあり、
《日光(昼)》
装丁家でもあり。
《長田幹彦著「霧」》
実に幅広いジャンルで創作活動を行った人物なのです。
また、メインである工芸に関しても、木工だけに留まらず。
七宝に、
《七宝文筆皿》
染織に、
《白地松葉散し着物》
金工に、
《電気スタンド》
陶芸に、手漉き和紙に、エトセトラに・・・と何でもござれ。
まず間違いなく、日本美術史上屈指のオールラウンダーな人物です。
確かに、 『藤井達吉の全貌』 という美術展タイトルほど、
彼の芸術家人生を表すに相応しいフレーズは無い気がしました。
おそらく、恐ろしいまでに器用な人物だったのでしょう。
藤井達吉は、どんな分野でも、すぐに自分のモノにしてしまったはずです。
ただ、自分のモノにし過ぎるあまり、
どのジャンルの作品からも、同じような藤井達吉臭 (?) のようなものが感じられました。
他の明治の工芸家の作品に漂う “凄味” とは対極的な “ゆる味” が漂っているのです(笑)
例えば、 《鷹狩図手筥》 。
タイトルを目にするまで、鷹狩の絵とは思えませんでした。
あと画像では分かりづらいのですが、箱の中にはビッシリと謎の図案が描き込まれています。
超絶的なゆるさ!
また、 《大島風物図屏風》 (左隻) も、見逃せないユル作品。
当時の工芸家が、 「その発想はなかったw」 と驚いたという屏風作品です。
布を縫い付けることで、まるでアップリケのように絵を屏風に描いています。
ちなみに、線は凧糸。
自由すぎる発想で制作された作品ではありますが、風合いはとってもイイ感じ。
妙に落ち着くものがありました。
最後に、一番度肝を抜かれた掛軸作品をご紹介いたしましょう。
これまで数百数千と日本画を目にしている自負はありますが。
《土星》 を正面から堂々と描いた日本画を目にしたのは初めてです。
発想が自由すぎる!
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