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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展

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今回ご紹介するのは、世田谷美術館で開催中の “ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展” です。
会期は、9月15日まで。

ジャポニスム
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


この美術展が開催されるというニュースを知った時の率直な第一印象は、

“・・・・・・・また?”

でした。
というのも、記憶しているだけでも、
2010年に森アーツセンターギャラリーで “ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち” が。
翌2011年には山種美術館で “ボストン美術館浮世絵名品展 錦絵の黄金時代”
さらに、2012年にはトーハクで “ボストン美術館 日本美術の至宝” が開催されています。
ちなみに、昨年2013年はボストン美術館の着物コレクションを紹介する “Kimono Beauty” が開催されました。
ボストン美術館のコレクションは、トム・クルーズばりに来日している気がします。


それだけに、またいつものボストン美術館展と同じだろうと、大きな期待はしていなかったのですが。
いやはや、自分が浅はかでした。
今回のボストン美術館展は、期待を大きく上回る面白さでした。
個人的には、ここ最近に開催された歴代のボストン美術館展の中で、断トツ1位です。

これまでのボストン美術館展が、ボストン美術館が誇る日本美術コレクション、
もしくは西洋美術コレクション、それらのどちらか一方にスポットを当てていたのに対し。
ジャポニズムをテーマにした今回のボストン美術館展は、その両方の作品にスポットを当て、
それらを対比させることで、いかに日本美術が西洋美術に影響を与えたのかを紹介していました。

対比  地日  


これは、まさに日本美術と西洋美術、
その両方の世界的コレクションを有するボストン美術館にしか出来ない美術展であった気がします。

しかも、対比のさせ方が、いちいち面白く。
“いやぁ、それは無理やりなんじゃ・・・ (苦笑)” という対比は、ほとんどありませんでした。
例えば、三代歌川広重が描いた猫の絵と、浮世絵から線描の影響を受けたマネの絵を対比させてみたり。

猫


日本の型紙と、型紙の紋様に影響を受けたティファニー工房のデスクセットを対比させてみたり。

紋様


明らかに広重の 《名所江戸百景 水道橋駿河台》 の影響を受けてしまった・・・

こいのぼり


ルイ・デュムーランの 《京都の鯉のぼり、端午の節句》 を並べて展示してみたり。
日本美術が西洋美術に影響を与えた数々の実例を目の当たりにして、
なんとなく胸がスカッとするものがありましたし、同じ日本人として誇らしい気持ちになれました。
そういう意味では、日本人にとっては、3つ星の美術展です。
星星星
(日本人以外の方には、2つ星の可能性もw)


ちなみに、数ある対比の中で、思わず唸ってしまったのが、
こちらのモネの 《トルーヴィルの海岸》《積みわら(日没)》 がそれぞれ・・・

モネ


広重の 《東海道五十三次之内 四日市 三重川》 と、
《東海道五十三次之内 鞠子 名物茶屋》 の影響を受けているというものです。

東海道五十三次


確かに、指摘されてみれば、かなり似ている気がします。
信じるか信じないかはあなた次第。


さてさて、何と言っても、今回のボストン美術館展の目玉は・・・

ラ・ジャポネーズ


モネが着物に身を包んだ愛する妻カミーユを描いた大作 《ラ・ジャポネーズ》 です。
およそ1年にわたって行われていた修復後、このたび晴れて世界初公開されています。
なんと本国アメリカよりも先に、日本の世田谷で公開されているのです。

モネの作品は、これまで何度も目にしていますが。
それら以上に、鮮烈なまでに色彩が目に飛び込んで来る作品でした。
こんなにも人の目を掴んで離さない作品は、そうそうお目にかかれない気がします。
カミーユの着物のセンスは、やや気になるものがありますが、それを補って余りある肖像画の傑作でした。
ただ、カミーユの着物のセンス以上に気になったのが、カミーユの小顔具合。

少なく見積もっても、9頭身以上!!

そう思ったのは、どうやら僕だけでなかったようで。
第1会場と第2会場の中間に、こんなものが用意されていました (笑)

小顔


最後に。
今回、最も気に入った作品をご紹介させてください。

写真左


ウィリアム・エドワード・ノートンの 《夜》 (写真左) です。
水面に映った月明かりの美しさが、絶品。
あえて月本体は描かないというセンスも、絶品。
しばし、この作品の前で佇んでしまいました。
港にある足を乗せるヤツがあれば (?) 、いくらでも佇んでいられます。




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