今年2014年は、日本とスイスの国交が樹立して、ちょうど150年目を迎える節目の年。
それを記念して、現在、国立西洋美術館では、
スイスの国民的画家フェルディナント・ホドラー (1853~1918) の最大規模の回顧展が開催されています。
“フェルディナント・ホドラー展” は、来年1月12日まで。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
展覧会は、ホドラーの初期の作品の紹介から始まります。
いたってオーソドックスな風景画を描いたホドラーですが。
ほどなくして・・・
「何があった!?」
と、思わず声を上げてしまいたくなるほどに、ホドラーの絵のスタイルが変化します。
父ばかりでなく、母と兄弟5人すべてを結核のため失ったのも原因の一つでしょうか。
暗くテンション低めの絵ばかりを描くようになってしまったのです。
特に 《傷ついた若者》 に関しては、暗いというレベルを通し越して、怖いレベル。
《傷ついた若者》
1886年、油彩・カンヴァス、ベルン美術館 Kunstmuseum Bern, Geschenk des Künstlers
草原で若者が裸で寝てしまった様を描いた絵・・・と思いきや。
若者の後頭部には、血だまりが!!
これは、完全に事件です。
さて、そんな暗い絵から一転。
「今度は何があった!?」
と、またまた思わず声を上げてしまいたくなるほどに、ホドラーの絵のスタイルが変化します。
(ジョジョを彷彿とされるような) 身体の動きや、
運動する身体が織りなすリズムの表現を取り入れた独自のスタイルを築くようになるのです。
そんなホドラースタイルの代表的な作品が、ポスターにも使われている 《感情Ⅲ》 。
4人の女性がポージングを取っているような。ダンスを踊っているような。
不思議な味わいのある作品です。
《感情Ⅲ》 というタイトルながら、全員向こうを向いているため、感情が全く分かりません (笑)
《感情Ⅲ》
1905年、油彩・カンヴァス、ベルン州美術コレクション © Kanton Bern
ちなみに、自分的には、この作品から聞こえてきたリズムは、フォークダンスのリズム。
それも、 『オクラホマミキサー』 のリズムでした。
リズムの絵画表現を追求し続けたホドラーは、
のちに数多くの壁画装飾プロジェクトを担当することになります。
その原画の数々も、今回のホドラー展では紹介されていました。
こうしたホドラーの独特の人物画にも、心を動かされるものがあったのですが。
個人的には、ホドラーの描く独特の風景画のほうに惹かれました。
どれも独特の味わいがあって印象的だったのですが、
とりわけ強く印象に残ったのが、 《シェーブルから見たレマン湖》 です。
《シェーブルから見たレマン湖》
1905年、油彩・カンヴァス、ジュネーヴ美術・歴史博物館 © Musée d’art et d’histoire, Ville de Genève © Photo : Yves Siza
現実の風景を描いているはずなのに、どことなくファンタジーの世界。
青空、水面、遠景と、すべてが青一色だからでしょうか。
それとも、雲が妙な形をしているからでしょうか。
ずーっと眺めていたら、そのまま違う世界に連れて行かれてしまいそうな、奇妙な印象の風景画でした。
ホドラーは、このレマン湖の景色がお気に入りだったようで、レマン湖を描いた作品を多く描いています。
そして、晩年にも。
《白鳥のいるレマン湖とモンブラン》
1918年、油彩・カンヴァス、ジュネーヴ美術・歴史博物館 © Musée d’art et d’histoire, Ville de Genève © Photo: Yves Siza
手前にいるのは、レッシー?!
・・・・・ではなくて、白鳥でした。
独特のクセのようなものがあるので、好き嫌いは分かれるかもしれませんが。
一度目にしたら忘れられない、このオリジナリティ溢れる世界観を体験してみる価値は充分にあります。
余談ですが、国立新美術館で開催中の “チューリヒ美術館” と同じく、
ホドラー展のミュージアムショップでも・・・
スイスに本社を置くネスレ社とコラボした限定キットカットが発売されていました (笑)
考えることは皆一緒。
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フェルディナント・ホドラー展
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