祖師ヶ谷大蔵駅と成城学園前駅のちょうど中間あたりに位置する福沢一郎記念館。
昭和を代表するシュルレアリスム画家・福沢一郎のアトリエ兼自宅を改装した美術館です。
そんな福沢一郎記念館が、今年の10月で、開館20周年を迎えました。 (←おめでとうございます!)
それを記念して、現在は、開館20周年記念として、
“福沢一郎と山下菊二 師弟は時代とどう向き合ったか” が開催中。
こちらは、福沢一郎記念館としては初となる二人展なのだそうで、
福沢一郎 (1898~1992) と、人気急上昇中の山下菊二 (1919~1986)の作品が併せて展示されています。
福沢一郎が1936年に開設した福沢一郎絵画研究所に、19歳のとき入門したという山下菊二。
それだけに、二人の作品を比べて観てみると、
画風は違うものの (福沢はあっさり、山下はこってり) 、どこか通ずるものを感じました。
二人とも社会問題に深い関心を寄せ、作品のテーマにしているそうですが。
どちらかと言えば、福沢一郎は、一歩引いた立ち位置で、
時にユーモアやペーソスを交えながら作品に仕上げるのに対して、
山下菊二は、その対象にどっぷりとのめり込んで制作するタイプだったとのこと。
昭和史に残る労働争議である東宝争議に参加していたり、
小河内村でのダム反対闘争や、松川裁判、安保闘争、狭山裁判などにも関与していたそうです。
言うなれば、報道カメラマンの画家版といった感じでしょうか。
福沢一郎と山下菊二の作品による交流を見比べるのも興味深かったのですが。
(↑フランスでアンフォルメルという美術運動が流行った時に、なんとなくアンフォルメル風の作品をそれぞれ描いていた師匠と弟子)
直接的な交流が伺える資料の数々も興味深かったです。
例えば、こちらは福沢一郎の作品のスケッチ。
モデルを務めたのは、弟子の山下菊二であったようです。
また、念願の自宅を完成させた山下菊二が福沢一郎に送った手紙も展示されていました。
どうしても、師匠に一度足を運んでもらいたかったのでしょう。
駅から家までの地図が、めちゃめちゃ詳細です (笑)
これだけ詳細な地図をもらっておきながら、
福沢一郎の息子さん曰く、 「父は一度も山下さん家には行っていなかった」 とのこと。
「行ってやれよwww」
思わず心の中でツッコんでしまいました。
今回紹介されていた作品の中で、一番印象に残ったのが、福沢一郎によるフクロウの絵画です。
何でも、 “フクロウと言えば山下菊二 山下菊二と言えばフクロウ” というくらいに、
山下菊二は、フクロウを飼うほどにフクロウ好きで、フクロウの絵を多く描いているようなのですが。
(今回は山下菊二のフクロウの絵はありません)
師匠である福沢一郎も、このようにフクロウの絵を描いていたようです。
山下菊二が福沢一郎に影響されたのか。
それとも、弟子の山下菊二のフクロウの絵を観て、福沢一郎がこの絵を描いてみたのか。
真相は、フクロウのみぞ知る闇の中。
さてさて、今回の開館20周年記念の展覧会。
二人展を開催したのも初めての試みだったそうですが、
普段は月・水・金しか開館していない福沢一郎記念館が、なんと日曜も開館しています。
これまで足を運べなかった平日はお仕事の社会人の皆様、21年目のビッグチャンスです!
また、今回の開館20周年記念の展覧会でも、
コーヒーと手作りのシフォンケーキのおもてなしサービスは健在。
たった300円の入館料で、美術作品とコーヒー&ケーキを味わえるだなんて。
福沢一郎の絵画内に広がるシュルレアリスムの世界より、あり得ない現実です (笑)
ちなみに、こちらのシフォンケーキは、ふわっふわで美味。
「とに~さんのブログを観て来ました」 と言えば、
少し厚めにシフォンケーキをカットしてくださるようですよ (笑)
展示の期間は、11月30日まで。
小さな美術館ではありますが、一度は足を運ぶ価値がある美術館です。
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福沢一郎と山下菊二 師弟は時代とどう向き合ったか
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