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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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没後15年記念 東山魁夷と日本の四季

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今年2014年は、 『昭和の国民的風景画家』 である東山魁夷の没後15年という節目の年。
それにちなんで、現在、山種美術館では、
“没後15年記念 東山魁夷と日本の四季” という特別展が開催されています。

今回の展覧会のハイライトとなるのが、こちら↓

満ち来る潮
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


縦約2メートル、横約9メートルの大作 《満ち来る潮》 です。
実は、この作品には、元となる作品があります。
それは、昭和43年に新築された皇居宮殿のために東山魁夷が描いた大作 《朝明けの潮》
その絵を皇居宮殿で目にした山種美術館初代館長の山・種二は大いに感動し、
多くの人々が鑑賞出来るようにと (基本的に皇居宮殿は一般公開されないので) 、
同趣作品の制作を東山魁夷に直接依頼したのだとか。
そうして描かれたのが、こちらの 《満ち来る潮》 というわけです。
山種さん、僕らのためにありがとうございます。

皇居宮殿に飾られている 《朝明けの潮》 が引き潮の情景なのに対し、
山・種二が証券会社の社長であったため縁起を担いで、 《満ち来る潮》 は満ち潮の情景が描かれたそうです。

満ち来る潮  満ち来る潮


フットライトに照らされているので、迫力も美しさもひとしお。
作品を観る角度によって、波間のきらめきの表情が変わりますので、それも併せてお楽しみください。


さてさて、今回の東山魁夷展の見どころは、 《満ち来る潮》 だけにはとどまりません。

「京都は今描いといていただかないとなくなります、京都のあるうちに描いておいてください」

という文豪・川端康成の言葉に後押しされて誕生したという連作 《京洛四季》 の中から、
山種美術館が所蔵する 《年暮る》 や、

年暮る


ノーベル文学賞受賞の記念に、のちに東山魁夷から川端康成に送られた 《北山初雪》 など、

北山初雪


代表的な作品の数々が展示されています。
さらには、宮内庁が所蔵する 《萬緑新》 (展示は前期のみ) や、
あの長谷川町子が長谷川町子美術館を作るきっかけとなったという 《春を呼ぶ丘》 も展示。
まさに名作揃いです。

春を呼ぶ丘


今回展示されていた東山魁夷の作品は、お世辞抜きで、どれもこれも素晴らしかったです。
どれもこれも美しい風景。
どれもこれも、吉永小百合が脇に立っていそうな感じがしました (←AQUOSのCMのイメージ)
初めて観る絵なのに、どこか懐かしく、
全く飽きることなく、作品の前でただただ眺め続けていました。

個人的にもっとも眺め続けた作品は、山種美術館が所蔵する 《緑潤う》
この作品なら、もしかしたら開館時間から閉館時間まで観続けられる気がします。

緑潤う


また、今回の展覧会で驚かされたのは、東山魁夷作品のマチエール (絵肌) の表現の豊かさ。
なんとなくサラサラっと描かれているイメージだったのですが、
LED照明のおかげで画面がクッキリしたため、近づいてみると意外なほどにモコモコしているのがわかりました。
例えは良くないですが、ちょっとユニクロのフリースみたいな感じです (笑)

フリース?


そして、近づいてみると、色の表現の豊かさにも気づかされます。
遠くで観て味わって、近づいて観て味わって。
東山魁夷作品は、是非2WAYでお楽しみください。


ちなみに、東山魁夷作品ばかりを紹介していましたが、
今回の展覧会には、東山魁夷の師匠や同窓生たちの作品も併せて展示されています。

師匠  同窓生



「この絵を素晴らしいと思えない日本人はいないのでは?」 というくらいに、
日本人の皆様にオススメの展覧会です。 (もちろん海外の方にも、オススメです)

温泉やお風呂に浸かった時のように、思わず 「あ~」 と声が漏れてしまうことでしょう。




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