現在、ホキ美術館では、野田弘志さんの画業を振り返る “野田弘志展” が開催されています。
《摩周湖・夏天》 や、
1998年 ホキ美術館
《皿と果物Ⅰ》 といった、
2004年 ホキ美術館
ホキ美術館が所蔵する野田弘志作品だけでなく、
彼が35歳の時、画壇に衝撃をもたらしたという名作 《やませみ》 をはじめ、
1971年 豊橋市美術博物館
(注:11月21日~12月29日展示)
豊橋市美術博物館が所蔵する初期の作品3点も期間限定で特別出展されていました。
僕が記憶している限りでは、ホキ美術館に他館の作品が展示されていたのは初めて。
そういう意味でも貴重な展覧会だったと思います。
今回、改めて初期から最新作までの野田さんの作品を観て、感じたことがあります。
一般的な写実画家の作品を鑑賞した場合、まず一番に、 「わっ、写真みたい!」 という感情が沸き起こります。
そして、その後で、描かれている対象 (人物であったり風景であったり) に思いを巡らせます。
しかし、野田さんの作品の場合、向き合った瞬間から、描かれている対象に思いを巡らせることになります。
しばらく思いを巡らせた後で、写真みたいにリアリティのある絵であったことにハッと気が付くのです。
おそらく、野田さんの作品に描かれている対象は、それだけ存在感があるのでしょう。
描かれているものというよりは、そこにあるべくしてあるもの、といった印象です。
ちなみに、今回の展覧会のために制作された 《崇高なるもの》 シリーズの新作も展示されています。
《崇高なるもの》 は、実物大よりも少し大きな人間が、ただ立っている姿を描いた作品シリーズ。
その2作目となる 《「崇高なるもの」OP.2》 は、ホキ美術館の創設者である保木将夫さんがモデルです。
2012年 ホキ美術館
今回新たにシリーズに加わった 《「崇高なるもの」OP.5》 のモデルはピアニストの岩崎淑さん。
2014年 ホキ美術館
一般的な写実画家の作品なら、そこまで気にならないのでしょうが。
野田弘志さんが生み出した作品だけに、
保木将夫さんや岩崎淑さんには大変申し訳ないのですが、正直、気味が悪かったです (笑)
というのも、190cm近い人間が、目の前に立っているのです。
しかも、絵とは思えない存在感を持って。
『進撃の巨人』 をちょっと連想してしまいました。
写実絵画=写真みたいな絵画。
というイメージを、良い意味で裏切る作品に出合える美術展です。
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野田弘志展
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