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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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俵有作展-水墨の波動-

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誰だかよくわからない芸術家 (←失礼!) を取り上げながらも、
確実に、満足度・充足度の高い美術展を開催し続けている練馬区立美術館。
そんな練馬区立美術館では、現在、 “俵有作展-水墨の波動-” が開催されています。

俵有作。
やっぱりというか、なんというか・・・誰だかよくわかりません (←失礼!)


ある時は、日本の古玩具・古民具の収集家。

郷土玩具考 (1966年) (郷土玩具研究シリーズ〈第1期 別冊 第1巻〉)/俵 有作

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また、ある時は、 『郷土玩具考』 をはじめ何冊もの研究書を上梓した古玩具研究者。
しかしてその実体は (?) 、水墨を基調としたドローイング作品を発表し続けた作家。
それが俵有作 (1932~2004) です。

展覧会のサブタイトルに、 “レオナルドを慕い、山水に遊び、ミショーを想う” とあるように。
俵有作のドローイング作品は、レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿のようでもあり、

俵有作
(注:美術館内の撮影は、特別に許可を得ています)


山水画のようでもあり、

山水画


フランスの画家・詩人であるアンリ・ミショーの作品のようでもあり。

アンリ・ミショー


さらには、漢数字の 「一」 とタイトルが付けられた作品群にいたっては、
ドローイング作品というよりも、書の作品ではないかという気さえします。

俵有作


と、 「一」 筋縄でいかないのが、俵有作の作品。
「一」 体、どの引き出しにしまえばいいのか。
今年に見た作品の中で、 「一」 番、頭を悩ませました。

とは言え、 “引き出しに入らないなら、捨てちゃおうか” という気持ちにはならず。

“どこか自分が忘れないところに、大切にしまっておきたい。”

そんな気持ちにさせる不思議な魅力のある作品でした。
何とも言えない 『可笑しみ』 が、俵有作の作品にはあるのです。


と、作品そのものも、もちろん良いのですが。
日本の古玩具・古民具の収集家だけあって、キラリと光る表装のセンスに目を奪われました。

キラリと光  キラリと光


こんなモダンな表装ならば、モダンなリビングに飾っても違和感はありません。
ちなみに、こちらの 《瑞雲曼荼羅》 の一文字 (質の高い裂地を使って作品の上下につけたもの) は・・・

瑞雲曼荼羅


秋山仁さんのバンダナを連想させます。
(モダンかどうかは、さておきまして)


“こういう作品は、日本人よりも、むしろ日本が好きな外国人に受けそうだなぁ”

と思っていたら、なんと、その通りでした。
なんでも、俵有作の作品は、近年海外で高い人気と評価を得ているそうで。
そもそも今回の展覧会は、インディアナポリス美術館、
ヒューストンのアジア・ソサエティを巡回しての凱旋展、初の国内での展覧会なのだそうです。
そんな貴重な凱旋展ながら、観賞料は無料
練馬区立美術館は、太っ腹です。
星


最後に、僕のお気に入りの作品を。
数ある 「一」 の中で、こちらの 《一》 が、 「一」 番グッときました。

一


俵有作は筆だけでなく、茶筅や箒でもドローイングをすることがあったほど自由すぎる作家。

茶筅


きっと、あの 《一》 も筆ではない何かで描かれているのだと思います。
想像するのは、可笑しい。




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