本日ご紹介するのは、サントリー美術館で開催中の “天才陶工 仁阿弥道八” 。
京焼の名工・仁阿弥道八 (1783~1855) に焦点を当てた展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
“京焼・・・。やきものの展覧会かぁ。。。”
と思ってしまった方は、いませんか?
そんなイマイチやきものに興味が持てない方にこそ、オススメの展覧会です。
なぜなら、やきものに興味が無い人でも、
仁阿弥道八の作るどこかユーモラスなやきものには、きっとハマってしまうことでしょう。
例えば、気持ち良さそうに目を細める山羊型の手焙 (=小型の火鉢) に、
《白釉山羊手焙》 仁阿弥道八 江戸時代 19世紀 正伝永源院蔵
同じく、気持ち良さそうに目を細める黒猫型の手焙。
《黒楽銀彩猫手焙》 仁阿弥道八 江戸時代 19世紀 遠山記念館蔵
このような彫像的なやきもの作品が、たくさん展示されています。
どれもユーモラスで愛嬌たっぷり。
これらのキャラクターを主人公にしたクレイアニメを作って欲しいくらいです。
ちなみに、僕のお気に入りは、写真手前の 《銹絵鶴香合》 。
目元がふなっしーにそっくりでした。
《銹絵鶴香合》 の着ぐるみを作ったら、ゆるキャラとして人気が出そうな気がします。
さてさて、こんなユーモラスなやきものを作る一方で、
その類まれなる技術力の高さから、高級な茶道具の 「写し」 の名品も数多く制作している仁阿弥道八。
例えば、こちらの2つの茶碗をご覧ください。
よく似たテイストの茶碗に見えますが、
右にあるのは樂道入によって17世紀に制作された 《黒樂四方茶碗 銘 山里》 で、
左にあるのは、それを19世紀に仁阿弥道八が 「写し」 て制作した 《冨岳文黒茶碗》 です。
他にも、京焼のトップスター・野々村仁清の茶碗を 「写し」 たり、
17世紀朝鮮のやきものを 「写し」 たり。
さまざまなジャンルのやきものを、よくぞここまで完璧に真似できるものです。
「写し」 と言っても、決して、「パクリ」 という印象はなく、
一流のモノマネ芸人のパフォーマンスを観ているかのような魅力がありました。
ユーモラスなやきもの作品を楽しめる一方で、
天才陶工のプロフェッショナルな技も楽しめる仁阿弥道八の展覧会。
一粒で二度美味しい展覧会です。
また、この他にも、道八ブランドは特に人気が高いという煎茶道具の数々や、
仁阿弥道八の父・初代高橋道八や息子・三代高橋道八の作品も紹介されており、
仁阿弥道八という陶芸家の作品世界を、より深く知ることが出来ました。
今年観賞したやきもの系の展覧会の中でも、特に密度が濃かった気がします。
ちなみに、作品をお見せすることが出来ず恐縮ですが、
展覧会のラストに紹介されていた九代高橋道八さん (一昨年に襲名) の作品群も素晴らしかったです。
ちゃんと仁阿弥道八のDNAを受け継ぎつつ、
今のリビングに飾っても違和感が無さそうなモダンさも持ち合わせつつ。
九代高橋道八さんのこれからの作品も楽しみです。
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天才陶工 仁阿弥道八
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